金融/不動産知恵袋

不動産担保ローン 返済

  • 「競売」の実態と今後の動向――担保不動産売却までの流れと心得(4)

    以前に比べ、競売される不動産に対する注目度は上がっています。不動産業者だけではなく、一般の個人が競売に参加するケースも珍しくなくなりました。この背景には、市場価格よりも割安な価格で不動産物件を入手できる可能性がある、といった見方が広がっていることが挙げられます。 そのため、不動産担保ローンを借入れて返済が行き詰った場合、担保不動産は競売ではなく、市場価格に近い価格で売れる任意売却で売る方が良い、といった見方も浸透していったと思われます。果たして、そうした見方は本当に正しいのでしょうか。改めて、最近の競売の動向をチェックしてみましょう。 競売の落札価格は安くはない!? (3)でお話ししたように、競売にかけられる不動産の基準となる価格「売却基準価額」は、市場価格の7~8割程度に設定されます。物件の中身や地域によってもバラつきがありますが、最近は7割程度に設定されるケースが増えているようです。さらに、最低落札価格は、売却基準価額から2割割安に設定されます。こうした事実から、競売物件は安く買える、という見方が出てきました。 実際、バブル崩壊以降の地価の下落が続いた時期は、市場価格に比べてかなり割安な価格で落札されたケースも発生していました。しかし、国内景気が回復し、不動産市場が持ち直すにつれて、落札価格の水準も上昇していったのです。 興味深いデータがあります。全国競売評価ネットワークという機関が、競売情報を公表している「不動産競売物件情報サイト」のデータを分析したものです。この全国競売評価ネットワークの分析によると、平成28年度に全国の裁判所で行われた不動産競売における平均落札価格は、市場価格の95・4%だったそうです。東京地裁が管轄する東京エリアの不動産競売に至っては、市場価格を超える111・6%でした。 なお、発表されている最新データは平成28年度分で、この年だけが落札が好調だったわけではありません。過去のデータをさかのぼってみると、全国ベースでは平成23年度以降、平均落札価格は市場価格の90%を超えていました。東京エリアをみると、平成22年度以降は100%を超えているのです。こうしたデータを見る限り、「不動産を競売で売却すると市場価格よりかなり安くなる」というのは、少なくとも、ここ数年の現状には当てはまらない、といえるでしょう。 任意売却をする場合、通常の不動産取引とはそれほど変わらないため、売買をする不動産業者には仲介手数料を支払うことになります。加えて、任意売却を行なう専門業者への手数料も発生します。そうした点を考慮すると、競売と任意売却のどちらが有利であるということは、一概にはいえないと考えられます。 競売件数は減少傾向だが、今後は増加の可能性も 担保不動産の競売件数は減少傾向にあります。それは、『司法統計』をみると一目瞭然です。司法統計とは、裁判所が取り扱った事件に関する統計で、最高裁判所の事務総局が取りまとめて公表しています。その中に、「不動産等を目的とする担保権の実行としての競売等」という項目があり、これが担保不動産の競売件数に該当します。 裁判所のホームページでは、平成12年度からのデータが閲覧できますが、平成12年度には全国で8万2879件ありました。それが、ほぼ右肩下がりで減少傾向となり、最新の平成28年度では1万8568件になっています。競売件数は、この間、4分の1以下にまで減ったことになります。 減少傾向にある要因はいろいろと指摘されています。中でも、強い影響を与えているとされているのが、「中小企業金融円滑化法」(通称「モラトリアム法」)の施行です。リーマン・ショック後の2009年12月に、中小企業を救済し、連鎖倒産を防ぐためにつくられた法律です。内容は、中小企業に融資している金融機関に対して、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などを促して、中小企業の資金繰りに関する負担を軽くする、というものです。 そして、このモラトリアム法によって、金融機関の中小企業への融資の態度が大きく変化したといわれています。不動産を担保として融資をしている場合、貸出先の中小企業の返済が滞ってきたといったケースでも、すぐに担保不動産を競売にかけることはせず、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などに、柔軟に応じるようになったとされます。 モラトリアム法自体は、2013年3月末で終了しましたが、実は、その後も金融庁は、金融機関に対して〝任意〟で中小企業への融資スタンスについて報告を求めてきた、という経緯があります。そのため、モラトリアム法の実質的な効力は継続してきました。 しかし、金融庁は、その金融機関からの任意の報告についても、平成30年度(2019年3月末)を最後としたのです。その結果、これまで金融機関が正常な債権として扱ってきた融資の案件であっても、不良債権の扱いにされるケースが発生しているとされています。もしかすると、これまで減少傾向をたどってきた担保不動産の競売は、2019年以降、増加に転じるかもしれません。これが、今後の競売の落札価格にどんな影響を与えるのかは不透明ですが、注視していきたいと思います。 不動産担保ローンの専門家に 相談する ご融資に関するお問合せフォームへ ▼シリーズ「担保不動産売却までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向

  • 競売を回避する「任意売却」とは?――担保不動産売却までの流れと心得(3)

    ローンの返済を滞納し、担保としている不動産を手放すことになったとしても、それでローンが完済されるわけではありません。競売での売却価格がローンの残額を下回った場合、不足する金額を支払わなければならないからです。今回は、競売後の流れと、ローンの債務を清算するための競売以外の選択肢である「任意売却」について、お話しします。 競売でローンが完済できるわけではない 金融機関はローンの返済をしてもらうために、担保としている不動産を競売によって売却するわけですが、不動産の売却代金がローンの残高に不足していることがあります。この残っている債務(「残債」といいます)を返済するのは、ローンを借入れた債務者に変わりはありません。つまり、ローンを滞納して返済が不能となった場合、担保不動産を競売にかければ解決する、ということではないのです。 競売で返済ができなかった残債については、引き続き、債権者に返済をすることになります。このときの債権者は、ローンを融資した金融機関や途中で「代位弁済」をした保証会社となりますが、債権管理回収を専門に行う「サービサー」という業者になることもあります。サービサーは、競売後、それまでの債権者から債権を譲渡され、債務者からの債権回収を行ないます。 このように、債権者は変わる可能性はありますが、債務者の残債に対する返済義務はそのままです。実際の返済方法については、債権者との交渉になりますが、分割払いとなるケースが多いようです。 競売価格は市場価格の約7~8割に設定される では、なぜ競売で売却した不動産の代金が、ローンの残債に不足するのでしょうか。その原因は、競売価格(正式には「売却基準価額」)にあるとされています。(2)でも説明していますが、競売にかけられた物件については、不動産の状態をチェックする現況調査などを経て、不動産鑑定士によって競売価格が決められます。一般的に、この競売価格は、市場価格の7~8割程度に設定されます。 市場価格より2~3割ほど割安に価格が設定される理由は、競売物件には買主にとってさまざまなリスクが存在するからです。例えば、落札後、建物の構造に欠陥が見つかった場合、修繕費などは買主が負担します。また、前の所有者がスムーズに退去をしてくれなかった場合は、買主が必要な交渉や手続きをしなければなりません。こうしたリスクを考慮して、競売価格は市場価格よりも低く設定されるのです。 さらに、競売には、「買受可能価額」という最低落札価格が設定されています。この買受可能価額は競売価格よりもさらに2割割安に設定されています。そのため、仮に競売価格が市場価格の7割の水準に設定されており、買受可能価額で落札されてしまった場合は、市場価格の56%の価格で売却されてしまうことになります。 また、これは見過ごされやすい費用ですが、ローンの延滞が始まってから競売で売却されるまでの間、延滞分の遅延損害金や罰則金が発生します。金融機関にもよりますが、遅延損害金は年率20%近くに設定しているところも多く、延滞から競売による売却までおよそ1年半かかるとすると、毎月の支払額によってはかなりの金額に上ります。こうした費用が重なるため、売却代金が残債に不足するケースが多くなります。 「任意売却」でも一括返済は難しい 競売によって不動産が市場価格よりも安く売却されてしまうことを防ぐ手段が、「任意売却」です。不動産が競売にかけられる前に、債務者が自分の意志で不動産を売却することから任意売却と呼ばれています。 任意売却の最大のメリットは、基本的には通常の不動産取引と同じような売買が可能なので、市場価格に近い価格で売却できる可能性があることです。また、裁判所による担保不動産への「差押え」が行われる前に売却できれば、不動産の登記簿に「差押え」が記載されることもありません。 但し、任意売却をするには、債権者である金融機関の同意が前提となります。そのため、任意売却を行なう専門の業者に金融機関との交渉を依頼することになります。そこで合意が得られれば、任意売却の手続きに入ることができます。 任意売却は、競売の入札が始まっている状態でも可能です。しかし、そもそも不動産の売却には時間がかかるため、任意売却を選択するのであれば、早い段階から専門の業者に依頼することがポイントになるでしょう。 また、任意売却は、あくまでも「市場価格に近い価格で売却できる可能性がある」というに過ぎません。任意売却が行われても、ローンの残債が残ることはよくあります。残債の返済は、債務者が分割払いなどで行います。その点は、競売による売却と変わりません。 「競売」の実態と今後の動向――担保不動産売却までの流れと心得(4) 以前に比べ、競売される不動産に対する注目度は上がっています。不動産業者だけではなく、一般の個人が競売に参加するケースも珍しくなくなりました。この背景には、市場価格よりも割安な価格で不動産物件...記事を読む ▼シリーズ「担保不動産売却までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向

  • 法的手続き開始から所有権の移転まで――担保不動産売却までの流れと心得(2)

    前回は、ローンの支払いが滞納してから、金融機関から、「法的手続きを開始する」という内容を通知する催告書が届くまででした。そして、その段階で、すでに手続きが始まっている可能性が高いことを述べました。今回は、それ以降、裁判所による競売にかけられるまでです。 「期限の利益喪失」後は、裁判所の競売手続きに移行する ローンの延滞によって、前回説明をした、債務者の「期限の利益」が喪失された後は、何もしなければ、担保となっている不動産は競売にかけられることになります。したがって、不動産を売却されたくないのであれば、この通知が来る前に、一括返済をするなど、何らかの対応をとる必要があります。 さらに、金融機関によっては、「代位弁済」の通知が来ることがあります。「代位弁済」(だいいべんさい)とは、滞納をしている債務者に代わって、保証会社がローンの残高を金融機関に対して一括返済することです。代位弁済が行われた後は、債務者は金融機関から保証会社に代わります。そのため、「代位弁済」の通知は保証会社から送られてきます。すでに「期限の利益」は喪失しているため、保証会社が債務者になっても、一括返済が必要であることは同じ。「期限の利益喪失」の通知の後に届くことになります。 ここで注意すべき点は、融資をする金融機関がすべて保証会社を利用しているとは限らないということです。銀行は保証会社を利用しているケースがほとんどですが、銀行以外は、保証会社を利用していないことも少なくないのです。当然、保証会社を利用していなければ、代位弁済の通知が送られてくることはなく、債権者は変わりません。 裁判所からの最初の通知は「差押え」 「期限の利益」が喪失され、放置をしておくと、裁判所から「差押え」(さしおさえ)の通知が届きます。金融機関あるいは保証会社といった債権者が、裁判所に担保としている不動産の競売の申し立てをすると、今度は裁判所から債務者に、裁判所が不動産を「差押え」したことを知らせるのです。 差押えは、債権者がローンの返済を受ける権利を守るために、不動産の所有者が勝手に売却することができないようにする措置といえます。裁判所が差押えをした事実は、不動産の登記簿謄本に登記されます。差押えの記録がある不動産は売買できません。また、この段階に入ると、債権者の同意なしに競売を回避することもできなくなります。ただし、ローンの一括返済をすれば差押えを解除することは可能です。 裁判所の差押えの後は、同じく裁判所から「担保不動産競売開始決定通知」が送られてきます。債権者が申し立てていた不動産の競売を、裁判所が正式に受理したことを知らせる書類です。この通知が届いた後は、競売に向けての具体的な手続きが開始されます。 通知後、1~2か月程度で裁判所の執行官による現況調査が行われます。現況調査とは、実際の不動産の状態をチェックすることで、登記簿に記載されている情報があっているか、周辺の状況はどうか、誰が住んでいるのかといったことを確認する作業です。外観や室内の写真撮影や住人への聞き取りなどが行われます。 この現況調査は、法的な執行力があるため、拒否することはできません。もし、室内の調査を拒めば、執行官が鍵を壊して建物の中に入ることが認められています。裁判所は、こうした現況調査の結果や、不動産鑑定士による価格の査定を参考にして、競売にかける不動産の基準価格を決めることになります。 競売のスケジュールが決まり不動産からの退去が近づく 現況調査から3~6か月くらい経過すると、いよいよ裁判所から「競売の期間入札」が決定したという通知が来ます。担保となっている不動産の競売に関する日程が記載された書類です。 以下、大体の競売の流れは、まず対象となる不動産の物件情報が開示される「閲覧開始日」が設定されます。そこから数週間以内に入札が開始されます。入札の終了までは最長1か月以内となっており、入札終了後、1~2週間程度で入札の結果が公表されます。そして、裁判所は、対象となる不動産に最も高い価格を付けた人(「最高価買受人」といいます)に不動産の売却を行うことになります。 入札の結果が出た後は、2か月程度で最高価買受人による代金の納付が行われます。代金の納付が行われた段階で、不動産は落札者の所有となりますので、登記簿上の所有権は移転され、その不動産に居住している人がいれば退去しなければなりません。以上が、担保不動産が売却されるまでの流れとなります。 なお、競売にかけられて、所有権が移転するまでの間、差押えや現況調査があっても、その不動産に住み続けることは可能です。しかし、「期限の利益」を喪失した後は、ローンの残高を一括返済する以外に、不動産の売却を回避する方法はありません。したがって、不動産を所有し続けたいのであれば、現実的には、「期限の利益」を喪失する前までの間に、何らかの対応をとる必要がありますが、それは非常に短い期間となります。売却されるまで猶予がある、と考えることは禁物なのです。 競売を回避する「任意売却」とは?――担保不動産売却までの流れと心得(3) ローンの返済を滞納し、担保としている不動産を手放すことになったとしても、それでローンが完済されるわけではありません。競売での売却価格がローンの残額を下回った場合、不足する金額を支払わなければ...記事を読む ▼シリーズ「担保不動産売却までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向

  • 「金銭消費貸借契約証書」の重要性――担保不動産売却までの流れと心得(1)

    金融機関から借入れた不動産担保ローンの返済が困難になってしまうと、担保として提供している不動産は金融機関によって売却されることになります。これは、不動産担保ローンを借入れるときの〝常識〟ですが、売却されることになった場合、実際にどんな手続きが発生するのかは、それほど知られてはいません。万が一、返済が困難になったときはもちろん、きちんと返済が終了したときにも関わる手続きが含まれていますので、4回にわたってお話しをしていきます。 不動産を担保にする権利「抵当権」 まず、不動産が担保にされたときの権利関係について、確認をしたいと思います。不動産担保ローンを融資するとき、金融機関は貸出先の不動産を担保にしますが、具体的には、「抵当権」を設定することになります。このとき、融資をする金融機関は「債権者」となり「抵当権者」になります。一方、融資を受ける方は、「債務者」となり「抵当権設定者」と呼ばれます。 抵当権は、債務者である金融機関が、担保とする不動産の登記簿謄本に登記することで完了します。登記されると、債務者がローンの返済が不可能になり(=「債務不履行」と呼ばれます)、裁判所が実施する「競売」(けいばい)などで不動産が売却された場合、優先して債務の返済を受けることができます。不動産を競売にかけることは「抵当権の実行」と呼ばれます。 なお、ローンを完済すれば抵当権を外すことができます。したがって、ローン返済期間の途中であっても、残りの借入額と利息をすべて繰り上げ返済してしまえば、抵当権を外せることになります。何らかの理由で、返済の途中で不動産を売却することになった場合は、まず完済をしてから売却します。抵当権が設定されている不動産には、基本的には買い手はつかないからです。抵当権が残ったままだと、不動産の前の所有者が債務不履行に陥ったときには、抵当権が実行されてしまいます。 また、ローンの返済が終わったとき、抵当権は自動的に抹消される、ということはありません。登記簿に記載されている抵当権は、抹消の手続きを行わない限り残ります。ローンを完済すれば、たとえ抵当権が記載されていても、金融機関の担保からは外れるのですが、抵当権が残っていると、その不動産を売却するときにスムーズにいかないケースが出てきます。したがって、完済したときには自分で手続きを行なう必要があります(費用を支払って、司法書士に代行してもらうことも少なくありません)。 「催告書」は法的手続きの通知書 では、ローンの返済が滞納した後の流れを追っていきましょう(以下は一般的に想定されるパターンで、すべての金融機関が該当するわけではありません)。 返済日に銀行口座からの引き落としができなかった場合、金融機関は、返済日の翌日に問い合わせの電話をしてくるはずです。問い合わせの内容は、支払いができなかった理由と、いつ頃に支払いができるのかという2つに集約されます。そして、金融機関としては、この段階で、融資先が債務不履行になっている可能性を視野に入れるようになります。 電話での問い合わせ以外に、支払いを催促する「督促状」(とくそくじょう)が郵送されてきます。この督促状は、返済を求める請求書にもなっており、「このまま滞納が続くとローンの残高と支払いの遅延損害金を一括返済してもらうことになる」といったことも記載されています。 請求書が届いた後も滞納が続き、返済の予定などを示さなかった場合は、「催告書」(さいこくしょ)が郵送されてきます。督促状との違いは、催告書は請求書ではなく、通知書であることです。何を通知するのかというと、「このまま滞納が続くと法的措置をとることになる」といった内容です。この法的措置とは抵当権の実行、つまり担保不動産の売却になります。 催告書は「内容証明郵便」で郵送されることがほとんどです。内容証明郵便とは、郵便局が「確実に郵送しました」という配達の記録を証明してくれるものです。催告書は、裁判所で不動産を競売にかけるときに必要な書類であることから、内容証明郵便を使うわけです。したがって、催告書が郵送されてきたら、すでに金融機関は法的な手続きを開始した可能性が高いと予想されます。 さらに、催告書が届いた場合、ローンの支払いの遅延などの情報を管理する「個人信用情報機関」は、目安として3か月以上の返済の遅延がある人を〝ブラックリスト〟に入れると考えられるため、その前に通知をすることになります。ただし、督促状や催告書が郵送された段階で、個人の信用情報には記録が残されていると考えたほうがいいでしょう。 「金銭消費貸借契約証書」の内容を確認しておくことが大事 たまに、ローンの契約を〝軽く〟考えてしまう人がいます。何の根拠もなく、「1回くらいの延滞であれば許されるだろう」といった思い込みなどです。しかし、多くの金融機関で、ローンの契約時に交わす「金銭消費貸借契約証書」に、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載しています。 「期限の利益」とは聞き慣れない言葉ですが、「ローンを分割払いで返済できる」ということで契約書に記載されます。この「期限の利益」を喪失してしまうと、ローンを借りた債務者は分割払いで返済できるという権利を失うため、残高と利息分を一括して支払わなければなりません。つまり、この通知が来た段階で、債務者は滞納分の支払いだけでは済まず、一括返済しか選択肢がないことになります。そもそも、毎月の返済が困難となり滞納をするわけですから、一括返済はほぼ不可能といえるでしょう。 もし、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載されていれば、契約書上の返済期日を過ぎてしまうと、金融機関から、いつ法的措置を取られたとしてもおかしくはないのです。「契約書なんてどれも同じだろう」とは考えず、金銭消費貸借契約証書の内容はきちんと理解しておくことが大切なのです。 法的手続き開始から所有権の移転まで――担保不動産売却までの流れと心得(2) 前回は、ローンの支払いが滞納してから、金融機関から、「法的手続きを開始する」という内容を通知する催告書が届くまででした。そして、その段階で、すでに手続きが始まっている可能性が高いことを述べま...記事を読む ▼シリーズ「担保不動産売却までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向

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