「自宅購入」の記事一覧

  • 不動産売買の税金

    不動産の購入・売却にかかる税金をそれぞれ解説

    不動産売買の際には、購入する側と売却する側のそれぞれに税金がかかります。不動産売買の予定がある場合は、あらかじめどのような税金が発生するのか知っておくことが重要です。 この記事では、不動産の購入と売却のそれぞれにかかる税金について解説します。 不動産の「購入」にかかる税金 まずは、不動産の購入にかかる税金の種類と計算方法を紹介します。不動産の購入にかかる税金は、「不動産取得税」「登録免許税」「印紙税」の3種類です。順に解説します。 不動産取得税 不動産取得税とは、土地や家屋などの不動産を取得した際に課される税金です。都道府県から送付される納税通知書を使用して、取得日から半年から1年後に納付します。税額は以下の算式で計算されます。 課税標準額(固定資産税評価額)×税率(本則4%) ただし、令和6年(2024年)3月31日までは、居住用の住宅を購入した場合に限り、以下2つの軽減措置があります。 土地部分のの課税評価額が2分の1に減額 土地部分も3%の軽減税率が適用 出典) ・総務省「不動産取得税」 ・東京都主税局「不動産取得税」 登録免許税 登録免許税とは、所有権の保存登記(新築住宅)や移転登記(中古住宅)、住宅ローンの抵当権設定登記などを行う際に納める税金です。法務局で登記手続きを行う際に納めるので、納税も含めて司法書士に依頼するのが一般的です。税額は以下の算式で計算されます。 課税標準額×税率 課税標準額と税率は登記の内容によって異なり、住宅については軽減税率が適用されます。 登記の内容 課税標準額 本則税率 軽減税率 建物の所有権保存登記 登記官が認定した価額 0.4% 0.15%※1 土地の所有権移転登記 固定資産税評価額 2% 1.5%※2 建物の所有権移転登記 固定資産税評価額 2% 0.3%※1 抵当権設定登記 借入金額 0.4% 0.1%※1 ※1 令和6年(2024年)3月31日まで ※2 令和8年(2026年)3月31日まで 印紙税 印紙税とは、契約書や領収書などに課される税金です。不動産の購入では、売買契約書や住宅ローンの金銭消費貸借契約書などに税額分の収入印紙を貼付します。印紙税額は以下のとおりです。 契約金額 不動産売買契約書()は軽減税率※ 工事請負契約書 金銭消費貸借契約書 100万円超500万円以下 2,000円(1,000円) 400円~2,000円 2,000円 500万円超1,000万円以下 1万円(5,000円) 1万円 1万円 1,000万円超5,000万円以下 2万円(1万円) 2万円 2万円 5,000万円超1億円以下 6万円(3万円) 6万円 6万円 1億円超5億円以下 10万円(6万円) 10万円 10万円 5億円超10億円以下 20万円(16万円) 20万円 20万円 ※ 令和6年(2024年)3月31日まで 出典) ・国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」 ・国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」 不動産購入時の税金対策 ここでは、不動産購入時に利用できる税金対策を2つ紹介します。 住宅ローン控除 住宅ローンを利用して住宅の新築、取得または増改築等をした場合に利用できる制度です。一定の要件を満たすと、最大13年間、年末ローン残高の0.7%が所得税(一部、翌年の住民税)から控除されます。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。 住宅ローン控除については、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 認定住宅新築等特別税額控除 個人が認定長期優良住宅や認定低炭素住宅など(以下認定住宅)を新築及び取得した場合に、一定額をその年の所得税額から控除できる制度です。控除額の計算方法は以下のとおりです。 標準的なかかり増し費用(限度額650万円)×10% 標準的なかかり増し費用とは、認定住宅の基準適合に必要な費用のことです。認定住宅の床面積に応じて計算します。ただし、住宅ローン控除とは併用できないので注意が必要です。 出典)国税庁「No.1221 認定住宅等の新築等をした場合(認定住宅等新築等特別税額控除)」 不動産の「売却」にかかる税金 次に、不動産の売却にかかる税金の種類と計算方法を紹介します。不動産の売却にかかる税金は、「譲渡所得税」「登録免許税」「印紙税」の3種類です。不動産購入と異なる譲渡所得税を中心に解説します。 譲渡所得税 不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じる場合は、他の所得(給与所得、事業所得など)と区分して譲渡所得税がかかります。発生した譲渡所得税は確定申告をして納税を行います。税額算出に用いられる譲渡所得金額は以下の算式で計算されます。 譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 取得費:売却する不動産の購入代金(建物は減価償却費相当額を控除)、仲介手数料など 譲渡費用:仲介手数料、不動産を売却するための測量費、建物の取壊し費用など ※特別控除額の詳細は後述 このように算出した譲渡所得金額に税率を掛けて計算します。税率は、「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」で以下のように異なります。 区分 税率 長期譲渡所得(所有期間5年超) 20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%) 短期譲渡所得(所有期間5年以下) 39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%) 出典)国税庁「土地や建物を売ったとき」 登録免許税 売却時は、抵当権抹消登記の際に登録免許税がかかります。登録免許税額は、不動産1個につき1,000円です。住宅の場合、土地1個と建物1個で合計2,000円となります。 所有権移転登記も必要ですが、登録免許税額は買主負担が一般的です。 出典)法務局「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」 印紙税 売却時は、不動産売買契約書に貼付する収入印紙が必要です。通常は売主と買主が1通ずつ契約書を保管するため、売却時にも印紙税が生じます。印紙税額は購入時と同様です。 不動産売却時の税金対策 不動産売却時の税金対策として利用できる制度を3つ紹介します。 3,000万円の特別控除 マイホームを売却したときに、所有期間に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。課税所得を大きく減らせるため、譲渡所得税の負担が軽減されます。 以前住んでいた住宅を売却する場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。ただし、親子や夫婦などの近しい親族へ売却する場合は控除を受けられません。 出典)国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 マイホーム売却時の軽減税率の特例 所有期間10年超のマイホームを売却する場合、一定の要件を満たすと、長期譲渡所得にかかる税率(通常は20.315%)が以下のように軽減されます。 長期譲渡所得金額 税額 6,000万円以下の部分 14.21%(所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%) 6,000万円超の部分 20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%) この特例は、上述した3,000万円の特別控除と併用可能です。 出典)国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」 損益通算・繰越控除 令和5年(2023年)12月31日までに所有期間5年超のマイホームを売却して譲渡損失が生じた場合、一定の要件を満たすと、その損失を他の所得(給与所得、事業所得など)から控除できる損益通算が可能です。 また、損益通算をしても控除しきれなかった譲渡損失は、翌年以後3年以内に繰り越して控除できる、繰越控除が可能です。 出典) ・国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」 ・国税庁「No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」 まとめ マイホームの売買は軽減税率や特別控除などの特例が充実しているため、うまく活用すれば税負担の軽減につながります。不動産売買の予定がある場合は、物件の売買価格や諸費用だけでなく、どんな税金がいくらかかるのかも把握しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの流れや費用、利用できる税制上の特例を解説 ライフスタイルの変化などから、「住み替え」を検討することがあるかもしれません。しかし、住み替えたいと思っても、どのように住み替えを進めていいか、わからないことが多いかもしれません。また、住み...記事を読む

  • 持ち家派が減少?

    持ち家派が減少?アンケート結果から住まいの実態を探る

    住まい選びは、暮らしに大きな影響を与えます。また、自宅は一度購入すると、そう簡単には売却や住み替えができなくなります。今後の住まいを検討する際に、他の人の考え方や動向が参考になるかもしれません。 この記事では、全国宅地建物取引業協会連合会の「2023年 住宅居住白書(全国の20歳以上の男女が調査対象)」から、住まいに関する実態と読み取れることを紹介します。 出典)全国宅地建物取引業協会連合会「2023年 住宅居住白書」 不動産は買い時か否か 「いま、不動産は買い時だと思いますか」に対する回答結果は下表のとおりです。 回答 2022年 2023年 買い時だと思う 6.4% 15.8% 買い時だと思わない 26.4% 37.0% わからない 67.2% 47.2% わからないと答えた人が20%減少し、買い時だと思う人、思わない人ともに、前年比で10%程度上昇しています。この結果から、「わからない」を除いた時に、買い時だと思う人の比率が増加していることがわかります。 まず、買い時だと思う理由として多く挙がったのは、以下の理由です。 今後住宅ローン金利が上昇しそうだから(今の金利が低いから):44.0% 不動産価値(価格)が安定または上昇しそうだから:24.9% 住宅ローン減税など住宅取得のための支援制度が充実しているから:24.6% 続いて、買い時だと思わない理由として多く挙がったのは、以下の理由です。 不動産価値(価格)が下落しそうだから:29.7% 自分の収入が不安定または減少しているから:25.4% 住宅ローン減税など税制優遇が見直されそうだから:12.5% これらの結果から、不動産価格の面では、上昇するよりも下落すると考える人が多数のようです。一方で、金利の面では、米国をはじめとする諸外国の政策金利が上昇していることもあり、「日本でも将来金利が上昇する」と予測し、金利が低い今のうちに住宅ローンを組んでおきたいと考えている人が多いようです。 収入の面については、「収入が安定しているから(買い時だと思う)」に対して、「収入が安定していないから(買い時だと思わない)」と回答する人が多くなっています。この結果から、収入への不安から不動産の購入に踏み切れない人が多いことが読み取れます。 持ち家派は賃貸派の約4倍 「あなたは「持ち家派」「賃貸派」どちらですか(現在の住まいは関係なし)」の回答結果は、持ち家派67.5%、賃貸派17.4%となりました。 <持ち家派の理由> 家賃を払い続けることが無駄に思えるから(56.8%) 落ち着きたいから(37.4%) 老後の住まいが心配だから(35.3%) 持ち家を選ぶ人は、自分のものではない賃貸住宅に家賃を払い続けることに抵抗があるようです。また、家に対して心理的、経済的な安心感を求める傾向があります。 <賃貸派の理由> 住宅ローンに縛られたくないから(45.3%) 税金や維持管理にコストがかかるから(34.3%) 不動産を所有しない身軽さがいいから(29.4%) 一方、賃貸を選ぶ人は、自由や身軽さを重視する傾向が見られます。また、固定資産税や火災保険料、修繕費などの維持管理コストにも敏感です。収入に対する不安から、多額のローンを組むことに抵抗がある人も多いと考えられます。 持ち家派は初の60%台となり、過去8年の調査で最低となりました。ただし、賃貸派も前年より減少しており、今回(2023年)から回答に「どちらともいえない」という選択肢が追加されています。それを考慮すると、全体的に大きな変化はないとも考えられます。 災害に対する意識が高まっている 災害に対する住まいの意識として、「あてはまる」と回答した結果は以下のとおりです。 築年数や構造(免震、耐震)について考えるようになった(35.2%) 緊急避難場所や防災マップ・ハザードマップを意識するようになった(35.2%) 地盤などの状況を意識するようになった(30.3%) 災害に対する意識は全体的に高く、3人に1人は免震やハザードマップ、地盤などを意識しています。 ハザードマップについて「知っている」と回答した人は83.8%で、認知度は高いようです。住んでいる地域のハザードマップを見たことがある人は、60代の75.1%に対し、20代は36.4%でした。関心度は年齢と比例して高く、若年層ほど無関心な傾向にあります。 全体的に災害への意識が高いのは、地球温暖化の影響で台風や洪水などの被害が増えていることや、日本は地震大国であり、過去に「東日本大震災」などの大地震も発生していることが理由だと考えられます。 また、宅建業法施行規則の改正により、不動産取引の重要事項説明においてハザードマップの確認が追加(2020年8月28日から施行)されたことも、意識の高まりにつながっている可能性があります。 関連記事はこちらハザードマップとは?使い方や活用ポイントを解説 介護を意識した住まい方が重視されている 「今後求めている住まい方」については、以下の回答が上位となりました。 介護が必要になっても年金の範囲内で安心して暮らし続けられる住まいの整備(26.5%) 中心市街地など利便性の高い都心居住の推進(21.2%) 職場の近くで住まう職住近接の推進(18.8%) 長寿命化の影響で、年代が上がるにつれて介護や金銭面を強く意識しており、老後を見据えて住まいを選ぶ傾向が見られます。一方で、年代が若いほど職住近接を求めており、住まい選びで通勤しやすさを重視しているようです。 関連記事はこちら老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 空き家問題に対する意識は受動的である 少子高齢化の影響により、今後は空き家の急増が見込まれています。 空き家に関する現状調査では、「自身や家族の家が空き家になっている、または将来空き家になる可能性がある」と回答した人は35.0%です。そのうち、「話し合いをしていない」「放置、何も考えていない」と回答した人は6割を超えています。 空き家問題への対策については、補助金や税制優遇、行政からの働きかけが有効と考える人が多数を占めています。 多くの人が、空き家問題を認識しているものの、緊急性を感じておらず、問題を先送りしている人が多いのが現状です。また、「国や自治体が利用者に働きかけることで解決が見込める」と考えており、全体的に受け身の姿勢が見られます。 関連記事はこちら空き家を相続したらどうするべき?対処方法や税制特例について解説 まとめ 「持ち家か賃貸か」「住まいに何を求めるか」といったテーマは正解がなく、考え方は人それぞれです。ただし、一般消費者の動向は、自身の住まい選びの参考資料として活用できます。住まい選びで何を重視すべきか分からない場合は、本アンケートの調査結果を参考にしてみてはいかがでしょうか。 出典)全国宅地建物取引業協会連合会「2023年 住宅居住白書」 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自宅購入はより安全で優れた不動産投資!? 不動産投資といえば、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得ることをイメージするのではないでしょうか。しかし、考え方によっては賃貸暮らしの家賃支出をなくし、ローンの返済とともに資産を増や...記事を読む

  • 戸建ての防犯対策は何をすればいい?場所別の対策と注意点を解説

    戸建ての防犯対策は何をすればいい?場所別の対策と注意点を解説

    戸建て住宅は床面積が広く、間取りの自由度が高いことから、ファミリー層を中心に人気があります。しかし、マンションに比べると、セキュリティ面で不安を感じる人もいるでしょう。戸建てに安心して住むには、どんな防犯対策をすればよいのでしょうか。 この記事では、戸建ての防犯対策で行うべきことや注意点を場所別に紹介します。 戸建て住宅への侵入犯罪の現状 警察庁の調査によると、侵入窃盗の発生場所は、戸建て住宅が33.0%で最も多く、全体の1/3を占めています。 また、侵入強盗の発生場所は、戸建て住宅が17.6%と、商店に次いで多い結果となっています。 これらの結果から、戸建てに住むなら防犯対策は必須といえるでしょう。 出典)警察庁「住まいる防犯110番」 戸建ての防犯対策で行うべきこと 空き巣などの被害を防ぐには、侵入されないように、ドアや窓を中心に防犯対策を行うことが重要です。 ドアの防犯対策 ドアからの侵入を防ぐためにできる対策は主に以下のとおりです。 <ドアの防犯対策> 補助錠を取り付ける ガードプレートを取り付ける CP部品に交換する すでに備え付けられている鍵(主錠)とは別に、補助錠を取り付けると侵入に時間がかかるため、空き巣は嫌がります。外から鍵が2つあることが分かれば、防犯効果はより高くなるでしょう。 ガードプレートとは、ドア枠とドアの隙間を埋めるためのプレートです。ドア枠とドアの隙間があるとバールなどの工具を差し込まれ、ドア錠を破壊される恐れがあります。 防犯性の高いCP部品のドアに交換するのも有効です。CP部品とは、警視庁などの関係省庁と民間団体が、一定の防犯性があると認定したうえで、防犯性能の高い建物部品目録に掲載、公表した建物部品を指します。一般的な侵入手口に対して「5分以上」抵抗できる性能を有しているため、防犯効果が高いといえます。 出典)「防犯性能の高い建物部品」目録検索システム 窓の防犯対策 窓からの侵入を防ぐためにできる対策は主に以下のとおりです。 <窓の防犯対策> ロック付きのクレセント錠・補助錠を取り付ける 防犯フィルムを貼り付ける CP部品に交換する 空き巣は窓ガラスの一部を破って鍵を開け、室内に侵入するため、暗証番号などのロック付きクレセント錠や補助錠を取り付けることで、侵入に時間がかかります。また、防犯フィルムを貼っておくとガラスが割れにくくなります。ほかにも破壊するのに時間がかかる、CP部品の防犯ガラスなどを取り付けるのも有効です。 その他の防犯対策 その他にも、場所に応じて以下のような対策が考えられます。 <その他の防犯対策> センサー付きライトを設置する 庭先に砂利を敷く カメラ付きインターフォンを設置する 見通しのよいフェンスを設置する 侵入されやすい場所や死角にある勝手口などにセンサー付きライトを設置しておくと、人の動きを感知してライトが点灯します。庭先に砂利を敷き、踏むと音が出るようにしておくのも有効です。 カメラ付きインターフォンは屋内から訪問者の顔を確認できるため、知らない人が訪問してきてもドア越しに対応可能です。また、空き巣は周囲の目を気にします。見通しのよいフェンスを設置しておけば、侵入しても外から視認できるため、一定の防犯効果が期待できるでしょう。 ホームセキュリティの導入も選択肢 防犯対策をさらに強化したい場合は、ホームセキュリティを導入するのも選択肢です。セキュリティシステムが自宅を24時間365日監視し、侵入などの異常を感知すると、「警報を鳴らす」「警備会社へ自動通報して警備員が駆けつける」などの対応をしてくれます。 ホームセキュリティの料金やサービス内容は会社によって異なるため、比較・検討してみましょう。 戸建ての防犯対策で注意すべきこと 戸建ての防犯対策では、日々の心掛けも重要です。侵入を防ぐために注意しておきたいことは主に以下のとおりです。 短時間の外出でも確実に戸締りをする 侵入犯罪は、鍵のかけ忘れにより発生することもあります。短時間の外出でも確実に戸締りを行い、トイレや格子のある浴室の窓の施錠も必ず確認しましょう。 玄関周辺に合鍵を置かない 敷地内の郵便受けなどに合鍵を置くのも危険です。鍵は家族が各自で持ち歩くようにしましょう。 足場になるものを置かない 敷地内に脚立、バケツなどを置いておくと、侵入の際に足場として使われる恐れがあるので、置いたままにしておかないことが大切です。 郵便受けに新聞を溜めない 郵便受けに新聞を溜めてしまうと、長期間留守にしていることが知られてしまいます。旅行などで長く家を空ける場合は、新聞の配達を止めてもらうように手配するといいでしょう。 まとめ 戸建てはマンションより侵入しやすいとされ、空き巣などの被害も比較的多く発生しています。マイホームとして戸建てを選ぶなら、場所に応じた防犯対策を行うことが重要です。戸建て住宅に安心して住み続けるために、防犯対策のポイントを理解しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム選びのポイントは?購入経験者のアンケート結果もご紹介 マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしを...記事を読む

    2023.08.09自宅購入
  • ハザードマップとは?使い方や活用ポイントを解説

    ハザードマップとは?使い方や活用ポイントを解説

    マイホームなどの不動産を購入する前に、必ず確認しておきたいのが「ハザードマップ」です。日本は自然災害が多く、建物に被害が生じるリスクがあります。住宅購入などの重大な決断の際には、ハザードマップの見方を理解して、自然災害リスクの低い地域を選ぶことが重要です。 この記事では、ハザードマップで確認できる自然災害の種類や見方、活用ポイントを詳しく解説します。 ハザードマップとは ハザードマップとは、自然災害リスクの高い地域や避難場所、避難経路などを表示した地図のことです。地震や土砂災害などによる被害の軽減や防災対策に使用することを目的としており、国や市区町村が提供しています。 ハザードマップを見れば、災害の種類ごとに被災想定地域やリスクの高さ、避難場所などを確認できます。 ハザードマップで確認できる自然災害の種類 ハザードマップで確認できる主な自然災害の種類は以下のとおりです。 洪水 内水 土砂災害 高潮 津波 地震 火山 洪水は河川の氾濫を意味するのに対し、内水は大雨で排水できず、マンホールなどから水が溢れることを意味します。 ハザードマップは想定される被害に応じて地図上の色が変わるため、一目でリスクの高い地域を把握することが可能です。 日本における自然災害の発生状況 日本は傾斜が急な山が多いため、台風や大雨により、がけ崩れや土石流、地すべりなどの土砂災害が多く発生しています。政府広報オンラインによれば、2022年の土砂災害発生件数は795件です。直近10年間は、平均して年間1,446件もの土砂災害が発生しています。 また、日本は地震が多い国でもあります。2011年に発生した東日本大震災では、12万棟を超える住宅が全壊するなど甚大な被害が出ました。以降も2016年の熊本地震、2018年の北海道胆振東部地震などの大地震が発生しており、住宅の全壊や半壊、一部破損といった被害が出ています。 これらの自然災害から身を守るには、ハザードマップを活用して日頃から必要な備えをしておくことが重要です。 出典) ・政府広報オンライン「土砂災害から身を守る3つのポイント あなたも危険な場所にお住まいかもしれません!」 ・気象庁「日本付近で発生した主な被害地震」 ハザードマップの使い方 国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」の2種類を提供しています。それぞれの使い方を紹介します。 ▼ハザードマップポータルサイトトップ 出典)国土交通省「ハザードマップポータルサイト」 重ねるハザードマップ 重ねるハザードマップの使い方は以下のとおりです。 ハザードマップポータルサイトにアクセスする 調べたい地点の住所を入力する、または地図上で選ぶ 災害種別を選択する 具体例として、災害種別で「洪水」と「道路防災情報」を選択した、東京駅周辺のハザードマップを見てみましょう。 ▼東京駅周辺のハザードマップ ※編集者が赤文字で一部加工 出典)国土交通省「ハザードマップポータルサイト」 洪水により浸水が想定される地域は、水の高さに応じて色が変わっています。また、浸水のリスクがある道路も警告のマークが表示されています。 わがまちハザードマップ 続いて、わがまちハザードマップの使い方は以下のとおりです。 ハザードマップポータルサイトにアクセスする 閲覧したい市区町村とハザードマップの種類を選択する 「この内容で閲覧」ボタンを押し、市区町村のページにアクセスする 市区町村が提供しているハザードマップを確認する 市区町村が作成したハザードマップを閲覧できるため、より詳しい情報を確認することが可能です。ただし、市区町村によって作成・公開しているハザードマップの種類は異なります。 ハザードマップの活用ポイント マイホームなどの不動産を取得する場合は、物件購入前にハザードマップを確認しておくことが大切です。ここでは、ハザードマップの活用ポイントを3つ紹介します。 ①自然災害リスクの有無を確認する まずは、購入物件の周辺地域にどんな自然災害リスクがあるかを確認しましょう。地形や河川の有無などによって、想定される自然災害の種類やリスクの高さは異なります。また、同じ市内でも、場所によって自然災害リスクは変わってきます。 ハザードマップで被災想定地域を確認すれば、リスクの低い地域の物件を選択することが可能です。 ②災害発生時の避難場所を把握する ハザードマップ上では自然災害リスクは低くても、必ずしも被害に遭わないとは限りません。万が一に備えて、避難場所や避難経路を把握しておくことが大切です。 ハザードマップでは避難場所だけでなく、その避難場所が対応している災害の種別が表示されるので、事前に確認しておきましょう。避難場所の確認は家族全員で行っておくことも大切です。 ③交通規制の可能性を確認する 自然災害が発生すると、交通規制でいつも利用している道路が通行できなくなる恐れがあります。周囲に比べて標高が低い地域では、道路が冠水することもあります。 帰宅時や避難時にあわてずに済むように、周辺に交通規制が発生しやすい道路がないかを確認しておきましょう。 まとめ 日本は自然災害が多く、誰しもが自然災害に遭うリスクを抱えています。建物への被害を最小限に抑えるためにも、物件購入前にハザードマップで自然災害リスクを把握しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...記事を読む

  • マイホームの購入予算はどう決める?頭金や住宅ローンの考え方

    マイホームの購入予算はどう決める?頭金や住宅ローンの考え方

    マイホームは高額の買い物であるため、あらかじめ予算を決めておく必要があります。資金計画を立てずに購入し、住宅ローンの返済が滞るようなことがあれば、最悪の場合はマイホームを手放すことになるかもしれません。安心して住み続けるためにも、購入予算の決め方について理解しておくことが大切です。 この記事では、マイホームの購入予算や住宅ローンの頭金、借入金額の決め方を紹介します。 マイホームの購入に必要なお金は? マイホームの購入に必要なお金は、購入時にかかるお金と、購入後にかかるお金に分類できます。それぞれ詳しく見てみましょう。 マイホームの購入時にかかるお金 マイホームの購入時には、申し込みや契約時に支払う手付金や頭金と、住宅ローンの借入時に支払う諸費用が必要です。 手付金や頭金は、物件価格の10~20%が目安です。3,000万円の住宅を買うなら、頭金として300~600万円を用意します。ただし、不動産会社や物件によっては手付金が5%でもいい場合や、「100万円でも問題ない」という場合もあるので、自己資金を使いたくない場合には相談してみるといいでしょう。 一方、諸費用は物件価格の10%が目安です。具体的には、以下のような費用がかかります。 登記費用(所有権、抵当権設定) 司法書士報酬(登記を依頼) 契約書に貼付する収入印紙(印紙税) 住宅ローンの事務手数料・保証料 火災保険料 仲介手数料(中古物件の場合) 住宅ローンの借入時に諸費用を組み込める金融機関もあるため、自己資金を使いたくない場合には、仮審査の段階で問い合わせてみるといいかもしれません。 マイホームの購入後にかかるお金 マイホームの購入後にかかるお金は以下のとおりです。 入居費用(引っ越し、家具・家電購入) 不動産取得税 固定資産税 住宅ローンの返済 管理費・修繕積立金(マンションの場合) 引っ越しや家具・家電購入は個人差が大きい費用です。混雑するシーズンである3月に遠方の引っ越しをファミリーでする場合には、引っ越しだけで50万円程度かかる場合もあります。 不動産取得税は物件の取得に対して1度だけかかる税金です。都道府県からの納税通知書が届いた後に支払います。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者にかかる税金です。不動産会社などに確認して、税額の概算額を把握しておくことが大切です。 購入後は住宅ローンの返済も始まります。マンションを購入した場合は、毎月管理費と修繕積立金を支払わなくてはなりません。上記の他にも、不定期で発生する修繕費用、生活費3~6ヵ月分程度の予備費、将来のための貯蓄を確保しておくと安心です。 マイホームの購入予算は「頭金+住宅ローン」 マイホームの購入予算は、準備できる頭金の額と住宅ローンの借入金額で決まります。頭金の額を増やしすぎると、諸費用や購入後にかかるお金を含めた負担が大きくなります。頭金を払っても、ある程度の資金が残るようにしておくことが大切です。 住宅ローンの借入金額は、年収や家計の状況などによって判断する必要があります。概算値であればある程度試算することが可能です。 住宅ローンの借入可能額は年収でわかる 住宅ローンはいくらでも借り入れられるわけではありません。自身の借入可能額を把握し、その範囲内で借入金額を決める必要があります。そして、住宅ローンの借入可能額は、「年収倍率」「返済比率」の2つから試算できます。 年収倍率とは、年収に対する物件価格の割合です。購入者の年収が600万円、物件価格が3,000万円であれば、年収倍率は5倍(3,000万円÷600万円)となります。一般的に、借入可能額は年収倍率7倍が目安です。 住宅金融支援機構の「2021年度 フラット35利用者調査」によれば、年収倍率は5.7~7.5倍となっています。ただし、この調査はあくまでフラット35利用者だけの結果であり、銀行が扱う住宅ローンなどの利用者は調査対象に含まれていません。 次に、返済比率とは年収に対するすべての借り入れの年間返済額の割合です。購入者の年収が600万円、毎月のローン返済額が15万円(年間180万円)の場合、返済比率は30%(180万円÷600万円)となります。金融機関によって異なりますが、住宅ローンの返済比率は30~35%が目安です。 出典)住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」 住宅ローンの借入金額は無理なく返せる金額にする 住宅ローンの借入可能額は、あくまでも借り入れられる金額です。借入可能額いっぱいまで借りてしまうと、毎月の家計を圧迫し、返せなくなってしまう恐れがあります。住宅ローンの借入金額は、借入可能額の範囲内で無理なく返せる金額にすることが大切です。 また、借入時の年収が今後も続くとは限りません。収入減少の可能性も考慮し、実際に毎月払える金額を調べて借入金額を決めましょう。 ローンシミュレーションで返済額を調べよう 住宅ローンの返済額を調べる場合は、ローンシミュレーションが便利です。借入希望額や金利、返済期間などを入力するだけで、月々の返済額を簡単に試算できます。 ※SBIエステートファイナンスのサイトへ遷移します。 借入金額や金利などを自由に設定して、返済額がどのように変わるかを試算してみましょう。 購入予算が足りないときは? 「購入したい物件が見つかったが、予算が足りない」というケースもあるでしょう。その場合は、一旦購入したい物件を諦めて、以下2つの方法を検討することをおすすめします。この2つの方法は時間がかかる方法ですが、確実に購入予算を増やすことができます。 頭金が貯まるまで待つ 1つ目は、住宅ローンの頭金が貯まるまで待つことです。計画的に貯蓄して頭金を増やすと、住宅ローンの借入金額が減ります。毎月の返済額を抑えられるため、結果として購入予算を増やすことが可能です。ただし、より多くの頭金を貯めるには時間がかかります。 貯金や金融資産を切り崩して頭金を増やす方法も考えられますが、無理に頭金を用意した結果、生活が困窮してしまう恐れもあります。基本的には時間をかけて頭金を貯める方法が安心といえるでしょう。 年収が上がるまで待つ もう1つは、年収が上がるまで待つことです。年収が上がってから改めて審査を受けることで、住宅ローンの借入可能額が上がる可能性があります。ただし、年収が上がるまで待つのは頭金を貯める以上に時間がかかる恐れがあります。 なお、配偶者と収入合算する方法もあります。配偶者と合算した収入で審査を受けられるため、この方法でも借入可能額が上がる可能性があります。ただし、配偶者は連帯保証人になる必要があることに注意しましょう。 関連記事はこちら保証人・連帯保証人・連帯債務者の違いとは?融資における担保の種類を解説 まとめ マイホームの購入では、「住宅ローンの頭金」「諸費用」「購入後にかかるお金」の3つを考慮して予算を考える必要があります。また、住宅ローンは借入可能額ではなく、無理なく返済できる金額を調べて借入金額を決めることが大切です。 しっかりと資金計画を立てた上で、理想のマイホームを探しましょう。 60歳からの住宅ローン相談受付中 住宅ローンの悩みや疑問をお持ちの方へお金の専門家が丁寧にサポートします。※SBIシニアの住まいとお金のWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自宅購入はより安全で優れた不動産投資!? 不動産投資といえば、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得ることをイメージするのではないでしょうか。しかし、考え方によっては賃貸暮らしの家賃支出をなくし、ローンの返済とともに資産を増や...記事を読む

    2023.07.26自宅購入
  • マイホーム購入の流れと押さえておくべきポイントを解説

    マイホーム購入の流れと押さえておくべきポイントを解説

    マイホーム購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物です。しかし、実際に「家が欲しい」と思っても、何から始めたらよいかわからないのではないでしょうか。入居してから後悔しないように、事前に購入の流れを理解しておくことが大切です。 この記事では、マイホーム購入の流れの全体像と押さえておくべきポイントを解説します。 マイホーム購入の流れの全体像 マイホーム購入では、住宅ローンを利用する人が大半です。住宅ローンを利用する場合、物件購入と同時並行で進める必要があります。全体の流れは以下のとおりです。 図:物件購入と住宅ローン利用の全体の流れ ※編集部作成 時系列に沿って、各項目のポイントと注意点を見ていきましょう。 情報収集 予算やエリア、間取り、物件種類(戸建て・マンション)、入居時期などの希望を明確にしたうえで、条件に合致する物件を探しましょう。インターネットや広告などで情報収集し、どんな物件がいくらで売られているかを把握します。 また、住宅ローンを利用したい金融機関をピックアップし、金利や融資条件、借入可能額などの情報を集めておくことも大切です。 問い合わせ・現地見学 「実物を見てみたい」と思える物件が見つかったら、問い合わせて相談や現地見学に行ってみましょう。担当者から話を聞き、実物を見ることで入居後の生活をイメージしやすくなります。売買価格や提携ローンなどの情報も入手できます。 物件の購入申し込み 複数の物件を比較して「購入したい」と思える物件が見つかったら、購入申し込みを行います。申し込み方法は、新築物件と中古物件で異なります。 新築は、先着順に申し込みを受け付ける物件と、抽選方式で申込者を決める物件があります。先着順の場合は発売開始日を確認して、早めに申し込むことが大切です。抽選方式の場合は登録期間が決まっているため、期間内に申し込みを行いましょう。 中古の場合は、仲介業者を通じて売主に「買付証明書」を提出するのが一般的です。新築・中古のどちらも、申し込み時に10万円程度の申込証拠金が必要になることもあります。 住宅ローンの事前審査 購入申し込み後、住宅ローンの事前審査を受けましょう。 事前審査では、本審査の前に年収や勤続年数、物件価格などの情報から、住宅ローンの利用条件を満たしているかを確認されます。申し込み時には、本人確認書類や源泉徴収票、物件の確認資料などが必要です。金融機関に確認して早めに準備しておきましょう。 関連記事はこちら住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 重要事項説明・売買契約 宅地建物取引士による重要事項説明を受けたうえで、物件の売買契約を締結します。 当日の説明だけでは、重要事項や契約内容を把握するのは困難です。事前に「重要事項説明書」や「不動産売買契約書」の写しを入手し、しっかり読み込んでから契約に臨みましょう。不明点や疑問点があれば、契約前に質問して解決しておくことが大切です。 契約時には、銀行振込で手付金を支払うのが一般的です。手付金は売買価格の10%程度が相場で、引き渡し時に残金を決済します。 住宅ローンの申し込み・ローン契約 売買契約を締結したら、住宅ローンの本審査の申し込みを行いましょう。本審査では、事前審査よりも厳しく申込者の属性や物件の確認が行われます。本審査を通過したら、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。 内覧 新築マンションや注文住宅で完成前に売買契約を締結する場合は、引き渡し前に内覧会が行われます。 内覧会では、「契約内容と実際の物件に違いはないか」「ミスや不具合がないか」をチェックすることが大切です。問題がある場合は、引き渡しまでに対応してもらいましょう。 融資実行、残金決済・物件引き渡し 手続きに不備がなければ、指定日に住宅ローンの融資が実行され、売買価格から手付金を差し引いた残額を決済します。融資金は申込者本人の口座に振り込まれますが、金融機関によっては不動産会社の口座に直接振り込んでもらうことも可能です。 決済が終わると、物件が引き渡されます。 物件種類ごとに押さえておきたいポイント マイホーム購入では、物件の種類によって注意点が異なります。ここでは、物件種類ごとに押さえておきたいポイントを紹介します。 新築マンション 多くの場合、新築マンションのモデルルーム見学は「事前予約」が必要です。スタッフから十分な説明を受けられ、質問もしやすいため、予約不要でも事前に連絡してから見学に行くのがおすすめです。 また、入居の数ヵ月前に入居説明会が行われます。マンション管理や入居手続きに関する説明のほか、駐車場の区画や引っ越し日などが決められます。 新築戸建て 新築戸建ては、土地を購入して新たに家を建てる「注文住宅」と、すでに建物が完成済の「建売住宅」の2つがあります。 住宅ローンで融資が実行されるのは、基本的に住宅の引き渡し時です。そのため、注文住宅の場合は、土地購入から建物完成までの間に「つなぎ融資」が必要になることがあります。つなぎ融資について、事前に不動産会社や金融機関に確認しておきましょう。 中古マンション・中古戸建て 中古マンションは、共用部分の状態や管理規約、長期修繕計画を確認することが大切です。共用部分がきれいに清掃されているかで、管理状態を推測できます。また、管理規約や長期修繕計画の内容、修繕積立金が十分に積み立てられているかもチェックしておきましょう。 中古戸建ては、元の所有者の維持管理や築年数によって品質に差が大きく生じます。建物の状況や不具合を確認するため、購入前に「建物状況調査」を受けるのも選択肢です。 関連記事はこちら建物状況調査とは?メリット・デメリットと手続きの流れを解説 中古物件+リフォーム 中古物件を購入してリフォームする場合は、スムーズに工事を進められるように、リフォームの流れを理解しておくことが大切です。リフォーム相談ができる仲介業者、リフォーム会社に相談するのも有効です。リフォームも並行して進めておけば、購入時の住宅ローンにリフォーム金額を含めた融資を受けられる金融機関もあるので、事前に確認しておきましょう。 また、リフォームの減税制度を利用できれば、税負担の軽減が期待できます。リフォーム減税の適用要件を満たしているかを確認しておきましょう。 関連記事はこちら【令和5年版】リフォーム減税の対象工事・申請の流れ・注意点 まとめ マイホーム購入では、売買契約や住宅ローンでさまざまな手続きが必要になります。理想のマイホームを手に入れるために、物件探しから契約、入居までの流れを理解しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム選びのポイントは?購入経験者のアンケート結果もご紹介 マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしを...記事を読む

  • マイホーム選びのポイントは?理想の暮らしをイメージして物件を探そう

    マイホーム選びのポイントは?購入経験者のアンケート結果もご紹介

    マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしをイメージして物件を探すのがおすすめです。 この記事では、マイホームの物件種類や選び方を購入経験者のアンケート結果と併せて紹介します。 そもそも購入できるマイホームの物件種類は? マイホームの物件種類は、大きく「戸建て」と「マンション」の2つに分けられます。それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解すれば、物件を探しやすくなるでしょう。 戸建て 戸建てのメリットは以下のとおりです。 間取りや設備を自由に決められる リフォームや建て替えが自由にできる 専用の庭や駐車場を持てる 管理費・修繕積立金、駐車場代が発生しない 騒音トラブルが起きにくい 戸建ては、マンションに比べて自由度が高いのが魅力です。注文住宅なら間取りや設備を決められます。建売住宅でもリフォームや建て替えは自由にできます。 管理費・修繕積立金、駐車場代などの固定費用はかかりません。また、近隣と一定の距離があることから、騒音トラブルが起こりにくいのもメリットです。 続いて、戸建てのデメリットは以下のとおりです。 リフォームや建て替えで将来まとまったお金がかかる 庭や外まわりの手入れに手間がかかる 防犯性が弱い 高齢になると階段の移動に負担がかかる(平屋を除く) 売却しにくい 戸建ては外壁や屋根などのリフォームでまとまったお金がかかることがあります。また、マンションに比べると防犯面が脆弱で、万全に備えるにはホームセキュリティを入れるなどの対応が必要です。 他にも築年数が経過すると建物部分が市場で評価されにくくなり、購入価格と比べた時の値下がりが大きくなる点もデメリットと言えるでしょう。 マンション マンションのメリットは以下のとおりです。 共用部分の管理・清掃を管理会社に任せられる セキュリティ対策が充実している 耐久性や耐火性に優れている まとまった修繕費用が発生しにくい 室内に階段がなく高齢になっても暮らしやすい マンションは、建物管理やセキュリティ、耐久性・耐火性に優れているのが魅力です。共用部分の管理や清掃は管理会社が行ってくれます。オートロックなどのセキュリティも充実しているため、防犯面で安心です。構造上、地震や火災などに強いのもメリットです。 また、大規模修繕工事の費用は、毎月支払う修繕積立金でまかなわれます。突発的にまとまった費用がかかることは少ないため、資金計画を立てやすいでしょう。 続いて、マンションのデメリットは以下のとおりです。 リフォームの自由度が低い 建物管理や修繕、建て替えの方針を自由に決められない 管理費・修繕積立金、駐車場代を毎月支払う必要がある 専用の庭がないことが多い ペットを飼えないことが多い 騒音トラブルが起こりやすい 一方で、マンションは戸建てに比べるとリフォームの自由度が低く、建て替えなどは所有者の一定数以上の合意が必要となります。 一階や屋上を除き、専用の庭として利用できるスペースがなく、ペット不可などの条件が付いている物件も珍しくありません。「ガーデニングを楽しみたい」「大型犬を飼いたい」といった希望がある場合は不向きといえるでしょう。 また、左右や上下の住戸と接しているので、騒音トラブルが起こりやすい点にも注意が必要です。 まずは理想の暮らし方を考えてみる マイホーム購入で後悔しないためには、物件を探す前に理想の暮らし方を考えてみることが大切です。「自分や家族にとっての理想の暮らし」が明確になれば、希望条件の優先順位は自然と決まるため、物件を選びやすくなります。 ①理想の暮らしを書き出してみる まずは理想の暮らしのイメージを書き出してみましょう。具体例は以下のとおりです。 都心に住んで生活利便性を上げたい 勤務先の近くに住んで通勤時間を短くしたい 日当たりがよく、明るい家で暮らしたい 両親と同居したい 趣味を満喫できるエリアに住みたい 自然豊かな場所でのんびり暮らしたい ガーデニングや野菜作りを楽しみたい 大型犬を飼いたい 休日は友人を招待してホームパーティを楽しみたい 実現できるかは考えず、思いつくまま書いていくのが大切です。できるだけたくさん書いてみましょう。 ②絶対に譲れないポイントを考える 理想の暮らしのイメージを書き出したら、「絶対に実現したい」「これは譲れない」と思う項目をピックアップして優先順位をつけてみましょう。この作業により、マイホーム選びで絶対に譲れないポイントがはっきりします。 例えば、生活利便性や通勤時間の短さを重視したいなら、都心のマンションが候補になるかもしれません。自然豊かな場所でのんびり暮らしたいなら、郊外の戸建てが向いている可能性があります。 絶対に譲れないポイントを基準に、どんな物件がよいか検討してみましょう。 マイホーム購入の決め手を紹介 実際にマイホームを購入した人は何が決め手になり、どんなことに後悔しているのでしょうか。ここでは、購入経験者を対象としたアンケート調査の結果を紹介します。 マイホーム購入時に重視したこと 「マイホーム購入時に重視したこと」への回答結果は以下のとおりです。 1位:立地のよさ(296人) 2位:騒音・治安などの周辺環境(93人) 3位:価格が予算内か(83人) 4位:間取り・生活動線のよさ(81人) 5位:日当たりがよいか(63人) 6位:外観・デザインが好みか(23人) 7位:断熱・耐震などの機能性(22人) 出典)訳あり物件買取プロ「後悔!マイホーム購入時に注意しておけばよかったことランキング】男女501人アンケート調査」 立地のよさを重視する人が圧倒的に多く、次いで周辺環境、予算、間取りの順となりました。外観やデザイン、機能性を重視した人は少ないようです。 マイホーム購入での注意点 「マイホーム購入時にもっと注意すればよかったこと」への回答結果は以下のとおりです。 1位:間取り・生活動線のよさ(93人) 2位:騒音・治安などの周辺環境(70人) 3位:立地のよさ(53人) 4位:外構のデザイン・使い勝手(50人) 5位:コンセント・スイッチの位置(44人) 5位:周辺住民の雰囲気(44人) 7位:日当たりがよいか(41人) 8位:収納の使い勝手(36人) 9位:コスト面の検討(34人) 10位:住宅設備の使い勝手(22人) 出典)訳あり物件買取プロ「後悔!マイホーム購入時に注意しておけばよかったことランキング】男女501人アンケート調査」 最も多いのは「間取り・生活動線のよさ」でした。実際に住んでみると「使いにくい」と感じ、「間取りや生活動線を工夫すればよかった」と後悔している人が多いようです。 また、「コンセント・スイッチの位置」「周辺住民の雰囲気」「収納の使い勝手」は、「マイホーム購入時に重視したこと」では挙がっておらず、実際に住んでみて「購入前にしっかり確認しておけばよかった」と後悔している人が一定数いるようです。これからマイホームを購入する人は、この辺りもしっかり確認しておくと良いかもしれません。 まとめ マイホーム選びでは、理想の暮らしをイメージすると、希望に合った物件を見つけやすくなるでしょう。購入者を対象としたアンケートでは、「間取りや生活動線に注意すればよかった」と後悔している人が多いようです。 戸建てとマンションの違いを理解し、絶対に譲れないポイントを明確にした上で、理想のマイホームを探してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム購入の必要性とは? マイホームは「人生で最も高い買い物」といわれます。購入時には住宅ローンを利用できますが、頭金や諸費用としてある程度のお金を準備しなくてはなりません。また、ローン返済は長期にわたるため、購入す...記事を読む

    2023.07.12自宅購入
  • 新築志向の日本で中古物件市場はどうなっている?国土交通省の調査から分析

    【分析】新築志向の日本で中古物件市場はどうなっている?

    住宅を購入する際、新築と中古のどちらにするかで悩む人も多いかもしれません。この記事では、国土交通省の調査から、日本国内の中古住宅市場について分析したうえで、どのような理由で新築と中古を選んでいるのかを紹介します。 日本は国際的に見ても新築志向 日本は国際的に見ても中古住宅より新築住宅を好む国民性であることが、国土交通省の「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」から分かっています。調査結果は以下のとおりです。 図:中古住宅流通シェアの国際比較 ※調査結果から著者が作成 市場規模は国によって異なりますが、日本は中古住宅が占める流通戸数の割合が、海外と比較して圧倒的に大きくなっています。この結果から日本は国際的に見ても新築志向であることが分かります。 出典)国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」 中古住宅を選ばない理由は"新築が良いから" 国土交通省が実施した「令和4年度住宅市場動向調査」では、新築の戸建(分譲)と集合住宅(分譲)に住み替えた人が、なぜ中古住宅を選ばなかったのかを集計しています。それぞれの結果から、日本で中古住宅が選ばれない理由を見ていきましょう。 分譲住宅に住み替えた人の回答 まず、分譲住宅(戸建)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:分譲住宅(戸建)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 続いて、分譲住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:分譲住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 戸建と集合住宅に共通して、「せっかくのマイホームは新築にしたい」がかなり多いことが分かります。特に戸建の方が顕著で、戸建を検討する人は特に、中古より新築と考えている人が多いことが分かります。 一方集合住宅では、戸建と比べて「給排水管などの老朽化が懸念されたから」がやや多くなっています。集合住宅の場合、大規模な給排水管工事を行うのは困難なため、不安に感じてしまう人が多いと推測されます。 出典)国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査」 中古住宅を選ばない理由 戸建と集合住宅の2つに分けて結果を確認しましたが、ここでも「せっかくのマイホームは新築にしたい」という理由が多くを占めることが分かりました。 それ以外の理由として多いのは、隠れた不具合があるのではないか、その後のリフォーム費用やメンテナンス費用が結局かなりかかるのではないか、といった理由でした。こうした中古住宅に対する不安が、日本の新築志向にも繋がっているのではないでしょうか。 日本の中古住宅取引数の推移 ここまでの結果を踏まえると、日本国内の中古住宅取引は需要があまりなく、衰退しているかのように思えますが、実態は異なります。国土交通省の「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」によると、日本国内の新築住宅と中古住宅の取引戸数は以下のように推移しています。 図:日本の中古住宅取引数の推移(万戸) ※調査結果から著者が作成 このように、新築住宅が多数を占めますが、中古住宅の取引戸数はずっと横ばいとなっています。このように、日本は新築志向である一方で、中古住宅にも常に一定の需要があることが分かります。 出典)国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果」 中古住宅を選んだ理由は"手頃感" 国土交通省が実施した「令和4年度住宅市場動向調査」では、中古住宅に住み替えた人が、なぜ中古住宅を選んだのかについても集計しています。集計結果から、中古住宅が常に一定の需要がある理由について分析します。 中古住宅を選んだ人の回答 まず、中古住宅(戸建)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:中古住宅(戸建)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 続いて、中古住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答は以下のとおりです。 図:中古住宅(集合住宅)に住み替えた人の回答結果 ※調査結果から著者が作成 戸建と集合住宅に共通して、「予算的に見て中古住宅が手頃だったから」が多数を占めています。新築の値上がりが激しく、予算の都合で中古住宅を選ぶ人が多いことが推測されます。 また、そういった現状の中で、リフォームを前提に購入した人や、リフォーム済みの中古住宅を購入した人が多数を占めており、中古住宅に対する不安や不満をリフォームによって解消している人が多いことも分かります。 出典)国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査」 中古住宅を選んだ理由 中古住宅を選んだ理由で最も多いのは、「予算的に見て中古住宅が手頃だったから」でした。「令和4年度住宅市場動向調査」によると、各住宅の全国平均取得金額は以下のとおり推移しています。 図:各住宅の全国平均取得金額(万円) ※調査結果から著者が作成 出典)国土交通省「令和4年度住宅市場動向調査」 見てのとおり、中古と新築では金額にかなりの差が生まれていることが分かります。令和4年度の結果で比較すると、戸建では1,622万円、集合住宅では2,414万円もの差があります。ここまで金額の差が生まれている以上、予算面で中古を選ばざるを得ない状況も十分に考えられます。 まとめ 日本は新築志向である一方で、予算面の都合から中古住宅も一定の取引戸数を保っていることが分かりました。新築志向は未だ根強いですが、中古住宅を選んで予算を抑えつつ、リフォーム等を行うことで不安を解消し、理想の住まいを実現するのも一つの選択肢ではないでしょうか。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 建物状況調査とは?メリット・デメリットと手続きの流れを解説 中古住宅は新築より割安な価格で購入できるのが魅力です。しかし、元の所有者の維持管理や築年数などによって、品質に差が生じるため、購入する際には、性能や品質に問題がないか不安を感じるのではないで...記事を読む

  • 住宅の瑕疵保険とは?必要性や種類、メリット・デメリットを解説

    住宅の瑕疵保険とは?必要性や種類、メリット・デメリットを解説

    自宅を購入するとき、住宅に欠陥や不具合がないか気になるのではないでしょうか。安心して住宅を購入できるように、「瑕疵(かし)保険」という仕組みがあります。瑕疵とは、本来あるべき性能や品質を持っていないことです。住宅の場合、建築基準法に定められた基準を満たしておらず、重大な欠陥がある状態などを指します。 この記事では、瑕疵保険の必要性や種類、メリット・デメリットについて解説します。 瑕疵保険とは 瑕疵保険とは、住宅の検査と保証がセットになった保険制度です。国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社である住宅瑕疵担保責任保険法人が保険を引き受けることで、制度が成り立っています。住宅瑕疵担保責任保険法人は以下のとおりです。 ■住宅瑕疵担保責任保険法人一覧 株式会社住宅あんしん保証 住宅保証機構株式会社 株式会社日本住宅保証検査機構 株式会社ハウスジーメン ハウスプラス住宅保証株式会社 (一財)住宅保証支援機構 ※2023年11月現在 出典)国土交通省 住宅瑕疵担保責任保険法人 瑕疵保険は、住宅の購入者ではなく事業者が加入する仕組みで、購入した住宅に欠陥が見つかった場合は、補修等を行った事業者に保険金が支払われます。 新築住宅、中古住宅ともに瑕疵保険の加入対象となっています。新築住宅は、建設工事完了日から1年以内に引き渡しまたは売買契約の締結が行われた住宅で、中古住宅は、新耐震基準を満たすことが要件です。また、新築住宅、中古住宅ともに、建築士による検査に合格する必要があります。 瑕疵保険の必要性 住宅の瑕疵保険はなぜ必要なのでしょうか。ここでは、新築住宅と中古住宅それぞれについて瑕疵保険の必要性を解説します。 新築住宅の場合 新築住宅の売主は、住宅の主要構造部分の瑕疵について10年間の瑕疵担保責任を負う義務があります。しかし、売主の倒産などによって瑕疵担保責任を十分に果たせない場合、住宅購入者に大きな費用負担が生じます。 そのため、住宅購入者の利益保護を目的に、2007年に住宅瑕疵担保履行法が成立・公布されました。法律の公布によって、瑕疵担保責任の履行が確保されるように、新築住宅等の売主等に対して「保証金の供託」または「保険加入」が義務付けられました。 中古住宅の場合 中古住宅の瑕疵保険は、新築とは異なり「任意加入」です。中古は築年数や使用状況によって品質に差が生じるため、物件購入後に欠陥や不具合が見つかるかもしれません。 中古住宅の売買契約は、売主が「宅建業者」と「一般の人」の2種類です。売主が宅建業者の場合は、宅建業法上の瑕疵担保責任の義務に対応するため、2年間の保証が付くのが一般的です。一方で、不動産仲介による売買を含む、一般の人が売主となる場合、保証なしで売買されることも多いです。そのため、中古住宅市場では、特に売主が一般の人の場合の売買において、瑕疵保険の必要性が高いといえるでしょう。 瑕疵保険の種類 瑕疵保険は「新築住宅」と「既存住宅」の大きく2種類に分かれます。ここでは、それぞれの概要を確認してきましょう。 新築住宅 新築住宅の瑕疵保険を「住宅瑕疵担保責任保険」といい、住宅瑕疵担保責任保険は、「住宅瑕疵担保責任保険(1号保険)」と「住宅瑕疵担保責任任意保険(2号保険)」の2種類に分かれます。1号保険は、住宅瑕疵担保履行法に定める建設業者・宅建業者の資力確保義務に対応する保険で、2号保険は、売主に資力確保義務がない場合に加入する保険です。 いずれも加入にあたり、事業者は建築士の検査を受けて合格する必要があります。新築住宅に瑕疵があった場合、補修等を行った事業者に対して保険金が支払われるため、購入者は無償で直してもらえます。請負契約や売買契約の際に業者から説明が行われるので、内容を確認しておきましょう。 既存住宅 既存住宅の瑕疵保険は以下の4種類に分かれます。 既存住宅売買瑕疵保険 リフォーム瑕疵保険 大規模修繕工事瑕疵保険 延長保証保険 既存住宅売買瑕疵保険は中古住宅の売買における瑕疵保険で、売主が「宅建業者の場合」と「宅建業者以外の場合」に分かれ、宅建業者以外の場合では、さらに「検査事業者保証」と「仲介事業者保証」に分かれます。 宅建業者が売主の場合は、宅建業者が保険に加入し、一般の方が売主の場合は、仲介業者や検査事業者が保険に加入する仕組みです。新築と同じく、保険に加入するには専門の建築士による検査を受けて合格しなくてはなりません。 リフォーム瑕疵保険は、リフォーム時の検査と保証がセットになった保険です。リフォームの工事中や工事完了後に、第三者である建築士の現場検査が行われます。工事後に欠陥が見つかった場合、補修等を行った事業者に対して保険金が支払われる仕組みです。 大規模修繕工事瑕疵保険はマンションの大規模修繕における瑕疵保険であるため、一般の方が利用する機会はないでしょう。また、延長保証保険は、新築住宅の引き渡し後10年間の瑕疵担保責任期間が経過後に検査・補修した場合の保険です。延長保険契約時の現況検査やメンテナンス工事の実施が加入要件となります。 出典)国土交通省「住宅瑕疵担保制度ポータルサイト」 瑕疵保険のメリット・デメリット 住宅の買主側からすると、住宅購入後に欠陥が見つかった場合に、無償で直してもらえるのがメリットです。また、売主側からすると、瑕疵保険の加入にあたり、専門の建築士による検査を受けるため、購入希望者に物件の安全性をアピールできるでしょう。 買主側からすると、特にデメリットはありませんが、売主側からすると、保険料負担が生じることがデメリットです。さらに、検査を受けて欠陥が見つかった場合、瑕疵保険の加入基準を満たすために追加工事が必要になる場合もあります。また、中古住宅の保険期間は1~5年であるため、保険内容によっては短期間しか保証されない場合があります。 瑕疵保険の利用方法 売主が宅建業者の場合は、事業者が加入するため購入者は手続き不要です。売買契約時などに瑕疵保険の説明や書類への記入があるので、詳細はその場で確認するようにしましょう。また、引き渡しの際に保険の証明書を受け取る必要があるので、忘れないようにしましょう。 住宅に瑕疵が見つかった場合は、売主(事業者)に補修依頼をします。売主が倒産している場合は、保険法人に補修費用(保険金)の直接請求が可能です。保険の証明書を確認して連絡をとりましょう。 売主が一般の人の場合は、検査事業者に補修依頼をします。売主が事業者の場合と同じく、検査事業者が倒産している場合は保険法人に補修費用を直接請求できます。 売主との間でトラブルが発生した場合は、「住宅紛争処理支援センター」に相談できます。申請手数料1万円を支払えば、「住宅紛争審査会」に申請して、「あっせん」「調停」「仲裁」を受けることも可能です。 まとめ 自宅を購入する場合、瑕疵保険に加入している住宅なら欠陥が見つかっても無償で直してもらえます。特に売主が個人である中古住宅を取得する場合は、瑕疵保険の有無を確認してから購入しましょう。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ リフォーム瑕疵保険とは?加入方法や適用条件を解説 住宅のリフォームを検討する際は、工事の依頼先を慎重に選ぶことが重要です。しかし、何らかのトラブルが生じたときに備えて、補償を受けられる保険に加入しておきたいと考えることもあるでしょう。 もし...記事を読む

  • 住宅購入時の優遇制度を解説、2022年以降の変更点も紹介

    住宅購入時の優遇制度を解説

    住宅を購入するときは、「住宅ローン控除」をはじめとしたさまざまな優遇制度が用意されています。一方で、どのような優遇制度があるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。 この記事では、住宅購入で得られるさまざまな優遇制度について詳しく解説します。 住宅ローン控除 住宅ローンを借りて住宅を購入する場合は、住宅ローン控除が利用できる可能性があります。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、住宅取得者の住宅ローン金利負担の軽減を図るための制度です。住宅ローン年末残高の0.7%が10年間所得税から控除され、控除額と納税額に応じて所得税が還付されます。所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除することも可能です。 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 印紙税の軽減措置 住宅を購入する際は、売買契約書に収入印紙を貼付して印紙税を納めなくてはなりません。不動産売買契約書の印紙税は、軽減措置によって税率が引き下げられています。2024年3月31日までに作成される契約書については、以下の軽減税率が適用されます。 表 印紙税の軽減措置(単位:円) 契約金額 本則税率 軽減税率 100万円超 500万円以下 2,000 1,000 500万円超 1,000万円以下 10,000 5,000 1,000万円超 5,000万円以下 20,000 10,000 5,000万円超 1億円以下 60,000 30,000 1億円超 5億円以下 100,000 60,000 5億円超 10億円以下 200,000 160,000 印紙税は、物件価格(契約金額)が高くなるほど税負担も増える仕組みです。軽減措置の適用期間中に売買契約を締結すれば、印紙税の節税になります。 出典)国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」 登録免許税の軽減措置 登録免許税とは、購入した住宅(土地、建物)の登記を行うときに納める税金です。課税標準額(固定資産税評価額)に税率を掛けて税額を計算します。 購入した住宅の所有権を設定するため、新築住宅は所有権保存登記、中古住宅の場合は所有権移転登記を行わなくてはなりません。住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記も必要です。 住宅購入に関する登録免許税の軽減措置は以下のとおりです。 表 登録免許税の軽減措置(単位:%) 登記の書類 本則税率 軽減税率 土地の所有権移転登記 2.0 1.5 住宅用家屋の所有権保存登記 0.4 0.15 住宅用家屋の所有権移転登記 2.0 0.3 抵当権設定登記 0.4 0.1 土地は2023年3月31日、住宅用家屋と抵当権は2022年3月31日まで軽減税率が適用される予定でしたが、令和5年度の税制改正により、その適用期限がが令和8年3月31日まで3年延長されました 出典)国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」 不動産取得税の軽減制度 不動産取得税とは、住宅などの不動産を取得したときに課される税金です。税額は、課税標準額(固定資産税評価額)に税率を掛けて計算し、税率は土地・家屋ともに3.0%です。 住宅購入では、土地・家屋にかかる不動産取得税の軽減制度があります。2024年までに取得した土地については、課税標準額が1/2となり、「土地を取得後3年以内に住宅が新築されている」などの要件を満たすと、さらに税額が軽減されます。家屋については、以下の床面積要件を満たす新築住宅を購入した場合、課税標準額から1,200万円が控除されます。 表 新築住宅の床面積要件 住宅の種類 床面積要件 一戸建て 50㎡以上 240㎡以下 一戸建て以外(マンションなど) 40㎡以上 240㎡以下 中古住宅についても同様の軽減措置がありますが、現行の耐震基準に適合していることが要件です。住宅が新築された日に応じて、100万円から1,200万円の間で課税標準額から控除されます。 固定資産税の軽減制度 住宅を所有すると、毎年固定資産税が課税されます。固定資産税の税額は、土地・家屋ともに課税標準額(固定資産税評価額)の1.4%です。ただし、住宅用地には課税標準の特例措置があり、小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分)は課税標準額の1/6、一般住宅は課税標準額の1/3で税額を計算します。 家屋については、新築住宅で「50㎡以上 280㎡以下」という床面積要件を満たす場合、固定資産税額の2分の1が減額されます。減額期間は一戸建てが3年間、マンションが5年間で、2022年3月31日までに新築された住宅が対象となります。 なお、税制改正により、2024年3月31日までに延長されました。 出典)国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」 住宅取得等のための資金にかかる贈与税非課税措置 父母や祖父母などの直系尊属から自ら居住する住宅の新築・購入、増改築のために金銭の贈与を受けた場合、以下の金額まで贈与税が非課税になります。 一般住宅:1,000万円 質の高い住宅:1,500万円 本措置を申請する受贈者(贈与を受ける人)は、下記の要件を満たす必要があります。 贈与年の1月1日で20歳以上 贈与年の合計所得金額が2,000万円以下 贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住する また、対象となる家屋は、床面積50㎡以上240㎡以下で中古住宅は耐震基準に適合するものである必要があります。なお、「質の高い住宅」とは下記のような要件を満たす住宅です。 断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上の住宅 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震建築物の住宅 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上の住宅 本措置を受けるには、確定申告時に税務署に申請する必要があります。申請の際は「受贈者の戸籍謄本」「贈与年の所得金額を証明する書類」「売買契約書」「登記事項証明書」などが必要です。手続きの詳細は税務署に確認しましょう。 出典)国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」 まとめ 個人の住宅取得を後押しするため、国はさまざまな優遇制度を用意しています。この記事で紹介した優遇制度を利用すれば、住宅購入費用の負担軽減が期待できます。なお、それぞれの制度には終了期限が設けられているので、常に最新の情報をチェックするようにしてください。住宅購入を検討しているなら、優遇制度を最大限に活用しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 住宅ローン控除(住宅ローン減税ともいいます)とは、住宅ローンを利用して住宅の新築、取得又は増改築等をした場合に利用できる、所得税額等を控除する制度です。住宅ローン控除を利用する場合、自身の状...記事を読む