リースバックの条件はどう決まる?売却価格・家賃の決まり方

updated:2021.10.11

リースバックの条件はどう決まる?売却価格・家賃の決まり方

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リースバックとは、不動産の売買契約と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却資金を手にした後も同じ家に住み続けられます。また、契約内容によっては売却した自宅を将来買戻すことも可能です。

リースバックは老後資金を確保する手段として注目されていますが、通常の不動産取引とは仕組みが異なるので、リースバックを検討するのであれば、自宅の売却価格と家賃、買戻し価格がどのように決まるのか理解しておくことが大切です。今回は、リースバックの売却価格と家賃、買戻し価格について詳しく解説します。

リースバックの契約条件:売却価格

リースバックを利用する場合、まずは自宅がいくらで売れるのか気になるのではないでしょうか。リースバックの売却価格は、一般的には市場価格の70%前後です。たとえば、売却する自宅の市場価格が3,000万円の場合、リースバックの売却価格は2,100万円(3,000万円×70%)前後となります。

リースバックでは、運営会社が不動産を処分する際の損失を抑えるために、売却価格を市場価格よりも低く設定しています。運営会社は物件購入後に自由に売買できない制約を抱えるので、不動産価格の下落リスクを長期間抱えることになります。このことが、売却価格が低めになる主な理由ですが、不動産は個別要因が多く、運営会社によって評価方法も異なるため、「市場価格の70%前後」というのはあくまで目安に過ぎません。実際にリースバックで自宅を売却する場合は複数の運営会社に相談し、売却価格を比較することが大切です。

「売却価格を高くするポイント

基本的にリースバック運営会社が最初に提示する価格を高くするのは難しいでしょう。しかし、場合によっては価格を上げることが出来るかもしれません。なぜなら、リースバックにおいて、売却価格と家賃はトレードオフの関係にあるためです。運営会社によっては、売却価格と家賃の関係から買い取ることが出来る最大の金額を提示していない可能性があります。

そのため、家賃が高くなったとしても、手元資金をより重視するのであれば、その希望をリースバック運営会社に伝えてみるといいでしょう。運営会社によっては希望に沿った形で価格を調整してくれるかもしれません。

「地域による相場の差」

リースバックの売却価格は前述したように、市場価格と比べて低くなる傾向にあります。それは、リースバック運営会社が不動産を買い取り、再販する際に利益を確保するためです。一方で、リースバックによる売却価格と市場価格は正の相関関係にあります。

そのため、流通性の高い都心部や人気の高いエリアなどは、市場価格と売却価格の乖離が小さくなり、流通性の低い郊外や人口減少が著しいエリアなどは、市場価格と売却価格の乖離が大きくなるだけでなく、リースバック運営会社に取扱不可とされることもあります。

このように一般的な不動産売却で扱われる市場価格と同じように、リースバックの売却価格も地域による相場の差が生まれます。

リースバックの契約条件:家賃

家賃の計算方法

リースバックで自宅を売却した後は、毎月家賃(リース料)を払うことになります。リースバックの家賃は不動産の売却価格と期待利回り、周辺の賃料相場などによって決まります。具体的なリースバックの家賃は、以下の計算式で求められます。

家賃(月額)=売却価格×期待利回り÷12ヵ月

例えば、期待利回り6%だと仮定した場合、売却価格によって家賃は下記の通りとなります。 

1,500万円 × 6% ÷ 12ヵ月 = 7.5万円/月
2,000万円 × 6% ÷ 12ヵ月 = 10.5万円/月
2,500万円 × 6% ÷ 12ヵ月 = 12.5万円/月

家賃を安く抑えたい場合には売却価格を安く、手元資金を多くしたい場合には売却価格を高くするなど、自身の要望を運営会社に伝えた上で決めましょう。

家賃と期待利回りの関係

また、その不動産からの期待利回りは物件種別(戸建て、マンション)や築年数、運営会社の運営方針、財務状況によって変わります。例えば、売主に長く住んで欲しい運営会社は利回りを低く設定し、周辺の賃料相場より低く設定していることもあるかもしれません。期待利回りが低ければ売却価格が同じでも家賃は下記の通りとなります。

2,000万円 × 5% ÷ 12ヵ月 = 8.3万円/月

一方、物件の仕入れとしてリースバックを利用している不動産会社などであれば、周辺の賃料相場より高く設定することもあるかもしれません。期待利回りが高ければ、売却価格が同じでも家賃は下記の通りとなります。

2,000万円 × 7% ÷ 12ヵ月 = 11.6万円/月

このように、期待利回りも家賃に影響を与え、期待利回りが高くなるほど家賃も高くなります。売却価格はなるべく高く、家賃はなるべく安くなるように複数の運営会社で比較することが大切ですが、まずは自分のライフプランから手元に多く資金を残すのか、賃貸で長く住みたいのか、それによって売却価格を重視するか、家賃を重視するかを決定し、どちらかを固定した状態で比較検討することが良いでしょう。

家賃を安く抑える方法

上述のように家賃を決める際には、売却価格と期待利回りが要因となります。つまり、売却価格を下げ、期待利回りの低い運営会社を選定する事が家賃を安く抑える方法です。そのため、家賃だけに焦点を当てるのであれば、複数の会社に査定を出して期待利回りの低い会社を選定した上で、売却価格を下げることで家賃を最も安くすることが出来るでしょう。

たとえば、複数社に査定を出した際に下記のような金額を提示されたとします。

A社:売買価格2,000万円 家賃11.0万
B社:売買価格2,200万円 家賃11.5万
C社:売買価格1,900万円 家賃10.5万

上記の場合の期待利回りは下記のような結果が得られます。

A社:期待利回り6.60%(11.0万×12ヶ月/2,000万円)
B社:期待利回り6.27%(11.5万×12ヶ月/2,200万円)
C社:期待利回り6.63%(10.5万×12ヶ月/1,900万円)

最初の提示ではC社の家賃が最も低かったですが、B社において同じ価格まで売買価格を下げることが出来れば、9.9万円/月(1,900万円×6.27%÷12ヶ月)まで家賃を下げることができます。ただし、運営会社のスタンスによっては必ずしも対応してもらえるとは限りません。そのため、価格の相談に乗ってもらえるかの確認は必ずしてから話を進めましょう。

リースバックの契約条件:買戻し価格

リースバックで売却した自宅は、契約内容によっては将来買戻すことも可能です。一般的に買戻し価格は売却価格の1.1~1.3倍で、売却価格よりも高くなるケースがほとんどです。たとえば、売却価格が2,100万円の場合、買戻し価格は2,310万円~2,730万円(2,100万円×1.1~1.3倍)となります。

リースバックの買戻し価格は、当初の売却価格と買戻し時点での市場価格とのバランスで決まります。一部の運営会社では、売買予約契約を締結して一定期間の買戻し価格を決めておくことも可能です。

リースバックで買戻しを検討する場合の留意点

リースバックで買戻しを検討する場合の留意点は以下3つです。

買戻しについて資金計画を立てておく

リースバックで売却した自宅を買戻す場合、当初の売却価格より買戻し価格のほうが高いうえに、不動産売買に関する諸費用が発生します。そのため、資金計画を立てておかないと必要な資金を用意できず、予定通りに買戻しができなくなる恐れがあります。将来の買戻しを前提にリースバックを利用するなら、あらかじめ現実的な資金計画を立てておきましょう。

買戻し条件に合意できない可能性がある

リースバックでは、自宅を売却するときに売買予約契約の締結や売買契約書上に買戻しに関する特約を明記しておかないと、買戻し条件に合意できない可能性があります。なぜなら、市場価格の変動などにより、想定より高い買戻し価格が提示されるかもしれないからです。買戻しに関するトラブルを回避するには、あらかじめ買戻し条件を書面化しておきましょう。

買戻しの際に住宅ローンが利用できない可能性がある

リースバックで売却した自宅を買戻す場合、住宅ローンの利用を検討するかもしれません。しかし、年齢や収入によっては、銀行の住宅ローンが利用できない可能性があります。買戻す予定でリースバックを利用するなら、住宅ローン以外の資金調達方法を検討したうえで資金計画を立てておきましょう。

《Appendix》買取価格と売却価格の違いは?

リースバックに限らず不動産の売買価格について調べると、 “売却価格”や“買取価格”など表現が統一されていないことに気付くかもしれません。一方で、それぞれが指す価格は同一のもので、下記のような区分に基づいて表現が異なります。

売却価格:不動産の売り手視点の価格
買取価格:不動産の買い手視点の価格

つまり、リースバックを例にすれば、不動産を売却する個人にとっての価格は“売却価格”となり、不動産を買い取るリースバック運営会社にとっての価格は“買取価格”となります。

まとめ

リースバックの売却価格や家賃、買戻し価格は、それぞれ単独で決まるものではなく、相関の関係にあります。自宅が高く売れたとしても、その分家賃や買戻し価格は高くなります。リースバックを検討するときは複数の運営会社と相談し、「売却価格」「家賃」「買戻し価格」のバランスを確認して総合的に判断することが大切です。また、買戻しを前提にリースバックを利用する場合は、上記の留意点もおさえておきましょう。

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執筆者紹介

「金融/不動産知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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