老後のダウンサイジングとは?小さく豊かに暮らす方法を解説

公開日:2025.01.29

老後の生活を見据えた「ダウンサイジング」は、近年注目を集めています。退職後の収入減少や健康状態の変化に備え、生活の質を維持しながらも無駄を省くことは老後資金を蓄えるうえで非常に重要です。
本記事では、老後におけるダウンサイジングのメリットや具体的な方法、成功のポイントについて詳しく解説します。これからの人生をより豊かに過ごすためのヒントを提供しますので、ぜひ参考にしてください。

ダウンサイジングとは?

一般社団法人不動産流通経営協会の調査によると、住み替え意向者のうち65歳以上のシニア層におけるダウンサイジングの意向は80%を超えていることがわかりました。その背景には、住居費や維持管理にかかる費用を減らし、より効率的な生活を目指すシニア層が増えていると考えられます。


出典)一般社団法人 不動産流通経営協会|シニアの住宅に関する実態調査

加えて、子どもの独立によって家族構成が変わり、広い住宅が必要なくなったことも要因のひとつです。生活しやすいコンパクトな住宅への関心が高まっています。また、高齢化の進展により、バリアフリー設計の住宅や交通・医療アクセスが整った場所への住み替えを望む人も多くなっています。こうした変化から、経済面や生活環境を考慮し、ダウンサイジングを選ぶ動きが広がっているといえるでしょう。

ダウンサイジングのメリット

ダウンサイジングは、住まいを小さくすることで生活全体に多くの利点をもたらします。経済的な負担を軽減できるだけでなく、日々の暮らしやすさや効率を高める効果も期待されています。

ここでは、具体的なメリットについて詳しく説明します。

固定費の削減につながる

住まいを小さくすると、固定費の負担が減ります。賃貸住宅では家賃や管理費が安くなり、持ち家の場合は固定資産税が軽くなるでしょう。

また、住宅がコンパクトになることで冷暖房の効率が良くなり、光熱費の節約にもつながります。広い住宅は維持や管理に手間や費用がかかりますが、小規模な住まいではその負担が少なくなります。

そのため、経済的なゆとりが生まれ、老後の生活にも安定感が加わります。固定費の削減によって負担が減るため、将来への不安も軽減されるでしょう。

利便性が向上する

住まいが小さくなると、掃除にかかる時間や手間が減ります。部屋数が少なくなることで、清掃する範囲も限られるため、日常の負担が軽くなるでしょう。

住宅がコンパクトになることで冷暖房の効率も良くなり、短時間で部屋全体が快適な温度になります。これにより光熱費の節約も期待でき、経済的な負担も抑えられるでしょう。

また、トイレやキッチンなどの設備が近くなることで生活動線が短くなります。移動が少なくなるため、日常生活の利便性が高まるのもメリットです。

不要な物を減らすきっかけとなる

住まいを小さくする過程では、持ち物を見直す機会が自然と増えます。広い家では使わない物や不要な物がそのまま残りやすく、気づかないうちに物が増えがちです。

住み替えを機に、何が本当に必要なのかを考え、整理を進めると、生活空間がすっきりとしたものになります。不要な物を手放すと、限られたスペースに必要な物だけを置けるため、日常の暮らしが快適になります。

また、物の管理がしやすくなり、探し物に時間を取られることも減るでしょう。シンプルな生活空間は心の余裕も生みます。

ダウンサイジングのデメリット

住まいを小さくすることで得られるメリットがある一方で、デメリットも考えられます。ここでは、ダウンサイジングを進める際のデメリットについて解説します。

費用がかかる

ダウンサイジングを行う際には、引っ越し費用や新居の準備費用が必要です。特に、住まいの広さや間取りが変わることで、家具や家電を新しい環境に合わせて買い替える場合、出費が増える場合があります。持ち家を売却して住み替える場合も注意が必要です。築年数が経過している住宅は売却価格が下がりやすく、売却代金が新居の購入費用を下回ることもあります。

住み替え先が都市部や利便性の高い場所であれば、物件価格が高くなり、経済的な負担が増えるケースも考えられるでしょう。

住み心地が変わる

住まいが小さくなると、部屋数が減り、家族との距離が自然と近くなります。一方で、ひとりで過ごす空間が限られ、今までの生活スタイルを見直さなければならない場面も出てくるでしょう。

特に、趣味や作業のための専用スペースが確保しにくくなるため、工夫が必要になります。

また、収納スペースが少なくなると、持ち物を整理しなければなりません。不要な物を減らし、効率的な生活を意識するきっかけにはなるものの、愛着のある物を手放す際には悩むこともあるでしょう。

慣れ親しんだ住まいやご近所さんとの別れ

長年暮らした住まいを手放す際には、思い出や愛着から心理的な負担を感じやすくなります。特に、子育てを終えた後の住み替えでは、家族との思い出を整理することが気持ちの面で大きな影響を与えるでしょう。

また、付き合いの長いご近所さんがいれば、そういった方と離れることになります。もしご近所さんとの付き合いを継続したいのであれば、現在の家の近くのマンションに引っ越すかあるいは、家を建てるなどしてダウンサイジングをすることが選択肢となります。

ダウンサイジングをする際の注意点

住まいを小さくする際には、部屋の広さだけを基準にせず、将来の生活にも目を向ける必要があります。特に高齢になると身体の動きが制限されることがあるため、段差の少ないバリアフリー設計の住まいを検討するとよいでしょう。

また、日常生活の利便性も忘れてはいけません。例えば、歩いて通える距離に病院やスーパーがあると、健康管理や買い物がしやすくなります。

さらに、交通手段が限られている地域では、移動方法も事前に確認しておくと安心です。ダウンサイジングは、今の生活だけでなく将来の暮らしを考えることが大切です。

環境や設備をしっかりと確認し、快適で負担の少ない住まいを選びましょう。

まとめ

本記事では、老後の生活を見据えたダウンサイジングについて、メリット・デメリットや注意すべきポイントを解説しました。ダウンサイジングは、経済的な負担を軽くし、日常生活を効率的にする一方で、収納スペースの減少や住み替え費用がかかるなどの課題もあります。

また、将来の身体の変化を考え、段差の少ないバリアフリー設計や生活利便性の高い住まいを選ぶことが大切です。健康面や移動のしやすさにも配慮することで、老後の暮らしをより快適なものにできるでしょう。

ダウンサイジングを検討している方は、本記事を参考に、無理のない計画を立てながら、自分に合った住まいを見つけてください。

執筆者紹介

「SBIシニアの住まいとお金」スタッフ
シニア世代の住まいから、住宅ローンや老後の資産形成などのポイントをわかりやすく丁寧に解説していきます。様々な資格と経歴を持った住まいとお金のプロフェッショナルが執筆、監修を行っています。
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