公開日:2025.08.22
定年後、自由な時間が増える一方で「何をして過ごせばいいのか」「生活費は足りるのか」と不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、シニア世代の「現在の楽しみ」ランキングTOP5と、ゆとりある老後を送るために必要な生活費の目安をわかりやすく紹介します。自分らしい老後の生き方を見つけるヒントとして、ぜひ参考にしてください。
ここでは、2024年にソニー生命株式会社が全国の50歳〜79歳の男女を対象に実施した「シニアの生活意識調査」の結果をご紹介します。下表は、シニア世代が「現在の楽しみ」として挙げた人気の過ごし方TOP5です。定年後の過ごし方を考えるうえでも参考になる内容です。
順位 | 現在の楽しみ | 割合 |
---|---|---|
1位 | 旅行 | 45.3% |
2位 | テレビ・ドラマ | 39.9% |
3位 | グルメ | 28.1% |
4位 | 映画 | 25.9% |
5位 | 読書 | 22.3% |
出典)ソニー生命株式会社「シニアの生活意識調査2024」
シニア世代にとって、余暇活動の充実は「生きがい」につながる重要な要素です。
公益財団法人 長寿科学振興財団が60歳以上の男女618名を対象に行った調査では、「余暇活動を行っているときに生きがいを感じますか?」という問いに対し、男性の79.0%、女性の87.4%が「はい」と回答しています。
また、内閣府の「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」によると、シニア層が生きがいを感じる場面として、家族との団らんや食事、スポーツ、旅行などが挙げられています。
下表は、60歳以上の男女1,783名を対象にしたアンケート結果で、「生きがい(喜びや楽しみ)を感じる時」に関する回答をまとめたものです。
生きがいを感じる時 | 割合 |
---|---|
孫など家族との団らんの時 | 55.3% |
おいしいものを食べている時 | 54.8% |
趣味やスポーツに熱中している時 | 53.5% |
友人や知人と食事・雑談をしている時 | 52.6% |
テレビをみたり、ラジオを聞いている時 | 43.2% |
旅行に行っている時 | 39.8% |
夫婦団らんの時 | 34.5% |
他人から感謝された時 | 31.7% |
仕事に打ち込んでいる時 | 30.9% |
収入があった時 | 24.8% |
勉強や教養などに身を入れている時 | 16.7% |
社会奉仕や地域活動をしている時 | 12.5% |
若い世代と交流している時 | 10.0% |
その他 | 1.2% |
不明・無回答 | 0.7% |
このように、シニア層が生きがいを感じる場面は多岐にわたりますが、共通しているのは「人とのつながり」や「自分の好きなことに没頭する時間」が重要であるという点です。
定年後の生活を前向きに楽しむためには、こうした生きがいを意識しながら、余暇活動を積極的に取り入れることが大切です。
出典)公益財団法人 長寿科学振興財団「余暇活動と生きがい感についての調査報告」
出典)内閣府「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(8.世代間の交流・生きがい p.118)」
定年後は自由な時間が増える一方で、「収入が減るのでは?」「趣味や旅行を楽しめるだろうか」といった不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
特に、ゆとりある老後を送りたいと考える場合、生活費の見通しと資金の準備は欠かせません。
公益財団法人生命保険文化センターの調査によると、「老後の最低日常生活費」と「ゆとりのための上乗せ額」を合計した“ゆとりある老後の生活費”は、月額で平均37.9万円が必要とされています。これは、基本的な生活に加えて、趣味や旅行、交際費などを含めた金額です。
また、同調査では「ゆとりのための上乗せ額の使い道」についても以下のような結果が出ています。
使い道 | 割合 |
---|---|
旅行やレジャー | 60.0% |
日常生活費の充実 | 48.6% |
趣味や教養 | 48.3% |
身内とのつきあい | 46.2% |
耐久消費財の買い替え | 31.7% |
子どもや孫への資金援助 | 19.4% |
隣人や友人との付き合い | 12.5% |
とりあえず貯蓄 | 3.9% |
その他 | 0.3% |
わからない | 0.5% |
この結果からも、老後の「楽しみ」には一定の支出が伴うことがわかります。特に、旅行やレジャーを継続的に楽しむには、計画的な資金準備が必要です。
出典)公益財団法人生命保険文化センター「令和4年度 生活保障に関する調査 p.113,115」
一方、総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの世帯の実収入(月平均)は252,818円です。主な収入源は年金などの社会保障給付ですが、ゆとりある老後の生活費と比べると約12万円の差があります。
出典)統計局「家計調査報告(家計収支編2024年(令和6年)平均結果の概要p.18)」
この差額を埋めるためには、以下のような対策が考えられます。
老後の生活を安心して楽しむためには、「収入を増やす」「支出を抑える」「資産を活用する」の3つの視点から、バランスよく対策を講じることが重要です。
この記事では、シニア世代が現在楽しんでいる活動を紹介しながら、定年後の生き方や生活費の実態について解説しました。旅行や趣味、家族との時間など、生きがいにつながる活動は、老後の生活を豊かにする大切な要素です。
一方で、ゆとりある老後を送るには、年金だけでは生活費が不足する可能性があることも明らかになりました。趣味やレジャーを楽しむためには、経済的な備えが欠かせません。
老後の時間を充実させるためには、「生きがい」と「経済的な準備」の両立が重要です。自分にとって何が生きがいになるのかを見つめ直し、それに必要な支出を見積もることで、より安心して定年後の生活を楽しむことができます。
ぜひ、この記事をきっかけに「自分らしい老後の過ごし方」について考え、今からできる準備を始めてみてください。
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