公開日:2025.07.31
人生の終盤をどう過ごすか、それは誰にとっても避けられないテーマです。近年では「終活」という言葉が広く知られるようになり、将来に備えて準備を始める人が増えています。とはいえ、「何から始めればいいか」「いつ始めるのがいいのか」と悩む人も多いのではないでしょうか。
この記事では、終活を始めるタイミングや進め方、準備すべきことについて、具体的なステップを解説します。
株式会社NEXERが行った調査によると、終活を始めるのにふさわしい年代として、「60代頃」と回答した人が31.2%、「70代頃」と回答した人が36.9%、「80代頃」と回答した人は10.3%でした。つまり、60代~70代が全体の約7割を占めています。
出典)株式会社NEXER、森正株式会社(SAIKAI&CO.)「【終活、何をする?】実際に終活を行っている78.7%が「不用品処分をしている」」
終活を始めるのにふさわしい年代として、60代~70代と答える人が多い一方で、早く始めると安心できる要素も多分にあるでしょう。あくまで目安ですが、年代別に以下のようなイメージで進めるといいでしょう。
将来に備えた準備期間として、情報を整理し始める時期です。まだ終活には早いと感じる方も多いですが、50代は「準備期間」として最適です。老後の生活設計や医療・介護の希望、資産の棚卸しなど、情報を整理し始めることで、60代以降の終活がスムーズになります。
生活が安定し始めるこの時期に、終活の基盤を整えましょう。多くの人が終活を始める年代であり、家族との話し合いや書類の整理を進めるのに適しています。
家族と共有する段階で、これまでの終活の準備を実際に形にしていく時期です。エンディングノートの完成や、家族への情報共有を行い、必要に応じて専門家のサポートを受けましょう。
終活の内容を定期的に見直し、家族と連携して安心を確保しましょう。体力的な負担を減らすためにも、家族や支援者と連携して進めることが大切です。
終活は、人生の最終章を安心して迎えるための準備です。以下のステップに沿って進めることで、無理なく取り組むことができます。
まずは、終活を行う目的を明確にしましょう。代表的な例としては、以下のようなものがあります。
目的がはっきりすると、何を準備すべきか見えてきます。
次に、資産の内容や医療・介護に関する希望など、自身に関わることをリスト化しましょう。代表的な例としては、以下のようなものがあります。
情報を整理することで、万が一の時にも家族がスムーズに対応することができます。
情報を整理したら、必要な手続きを進めましょう。
特にエンディングノートは、自分の思いや希望を記録するのに適しており、終活を進めるうえで作成しておくといいでしょう。
終活をスムーズに進めるためには、以下の分野での準備が重要です。
相続トラブルを防ぐうえで、遺言書を作成することは重要です。遺言書には法的効力があり、財産の分配方法や遺族へのメッセージを明確に残すことができます。
将来、医療や介護が必要になったときに備えて、治療・介護の意思表示は事前に行いましょう。たとえば、延命治療を希望するかどうか、どのような介護施設を希望するかなどを明確にすることで、家族が判断に迷うことを防げます。
また、「事前指示書(リビング・ウイル)」や「尊厳死宣言公正証書」などの書類を活用することで、医療機関や介護施設に自分の意思を伝えることができます。
出典)公益財団法人 日本尊厳死協会「リビング・ウィルとは」
日本公証人連合会「尊厳死宣言公正証書」
相続の対象となる財産には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。そのため、正確な把握が必要です。
プラスの財産 | マイナスの財産 |
---|---|
|
|
特に不動産や有価証券などは、評価額や名義の確認も必要になるため、早めに準備することが重要です。
終活を進めるうえで、身の回りの整理は欠かせません。以下のポイントを押さえることで、家族の負担を減らすことができます。
思い出の品や長年使っていないものなどは、自分自身で整理するのが理想です。残すもの、譲るもの、処分するものの基準をあらかじめ決めると、作業がスムーズに進みます。
特に、写真や手紙などの思い出の品を残す場合は、家族にとっても大切なものになる可能性があるため、残す理由や背景をメモすると良いでしょう。
スマートフォンやパソコンなどのデジタル情報も忘れずに整理しましょう。これらの機器には、ネット上の資産を管理するアプリや、保険などの契約内容の確認メール等が集約されています。遺族がスマートフォンやパソコンのパスワードを知らない場合、ロックを解除することは非常に困難になり、デジタル遺品の確認を進めることも難しくなります。
信頼できる方法でパスワードやアカウント情報を記録・保管することが、家族の負担を減らす鍵となります。最近では、デジタル遺品専用の管理サービスやアプリも登場しており、活用することで安全かつ効率的に管理できます。
出典)独立行政法人 国民生活センター「今から考えておきたい「デジタル終活」 -スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-」
終活で整理した情報は、家族にしっかり伝えることが重要です。重要な情報(前述した内容や処分してほしいデジタル遺品や家族へのメッセージなど)は、エンディングノートにまとめましょう。エンディングノートを活用すれば、医療・介護の希望、財産の概要、連絡先、メッセージなどを一冊にまとめることができます。
ただし、エンディングノートには法的効力がないため、財産分与などの重要事項は遺言書と併用することが望ましいです。
出典)法務省「エンディングノート」
本記事では、終活を始めるタイミングや終活の進め方や準備すべきことを解説しました。終活は、人生の終わりを意識することで、今をより大切に生きるための活動です。
また、終活を早めに準備することで、自身の心の余裕と家族の安心につながります。まずはエンディングノートの1ページを書いてみることから始めてみましょう。小さな一歩が、安心につながります。
お問い合わせは最短即日回答。
ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。
執筆者紹介
Webフォームからお気軽にご連絡ください。