公開日:2025.07.31
人生100年時代、定年後の働き方として“起業”が注目されています。経験や人脈を活かせるメリットがある一方で、資金や健康面などの課題もあります。この記事では、60代から起業する魅力や注意点、資金調達の方法について詳しく解説します。
定年後に新たな挑戦として“起業”に関心を持つ50~60代が増えています。長年の経験や人脈を活かし、「自分らしい働き方」を求めて起業に踏み出すシニア層が注目されています。
実際、フリー株式会社が行った調査によると、50歳〜69歳の約4人に1人が起業に関心を持っています。さらに、そのうち約3割が『3年以内に起業を実現したい』と回答しており、起業への意欲の高さがうかがえます。この結果は、定年後の働き方として“起業”が現実的な選択肢になってきていることを示しています。
出典)フリー株式会社「起業に関するアンケート調査」
60代で起業することには、他の年代にはない強みがあります。ここでは、シニアの起業における代表的なメリットをご紹介します。
長年の職業経験で培ったスキルや業界知識は、起業後の事業運営において大きな武器になります。さらに、築いてきた人脈や信頼関係は、ビジネスの立ち上げをスムーズに進めるうえで大きな支えとなります。
定年後はフルタイム勤務に縛られることなく、自分のペースで働けるのが大きな魅力です。趣味やライフスタイルに合わせた働き方を選べるため、心身の負担を抑えながら、充実した起業ライフを送ることができます。
起業は常に新しい課題や学びに直面するため、脳の活性化にもつながります。ITやマーケティングなど、これまで触れてこなかった分野に挑戦することで、自己成長を実感できるでしょう。
豊富な経験や人脈を活かせる60代の起業には多くの魅力がありますが、成功のためにはいくつかの注意点も押さえておく必要があります。
自分のペースで働けても、起業には長時間労働やストレスが伴うこともあります。若い頃に比べて体力が低下しているシニア層にとっては、身体的な負担が大きくなることがあります。無理のない働き方と、日々の健康管理が重要です。
起業しても必ず成功するわけではありません。収入が安定するまで時間がかかることもあり、働ける年数が限られている60代にとっては、失敗のリスクを取り戻すのが難しい場合もあります。多額の資金を一度に投入するのではなく、小さく始めて徐々に拡大するなど、慎重な事業計画が欠かせません。
年齢を理由に、金融機関からの融資が受けにくいケースもあります。そのため、自己資金の範囲で事業を始めることを前提に、現実的な資金計画を立てることが重要です。公的支援制度や助成金の活用も視野に入れましょう。
起業には初期費用や運転資金など多くの資金が必要です。自己資金が足りない場合は、公的融資や助成金の活用が有効です。
公的機関が提供している融資には、以下のようなものがあります。
対象 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方のうち、女性または35歳未満か55歳以上の方 |
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融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
資金使途 | 運転資金・設備資金 |
出典)日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」
対象 | 次のいずれかに該当する方。
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融資限度額 | 3,500万円 |
資金使途 | 運転資金・設備資金 |
出典)東京信用保証協会「都創業融資(略称:創業)」
東京都は、都内の開業率のアップを目的として、創業助成金の制度を提供しています。
対象 | 都内での創業を具体的に計画している個人、または創業後5年未満の中小企業者等のうち、一定の要件を満たす方 |
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助成限度額 | 400万円 |
助成対象経費 | 事業費、人件費、委託費 |
出典)東京都「創業助成事業」
その他にも、以下のような資金調達方法があります。
開業資金を調達できない場合は、家族や親戚から借りるのも一つの方法です。ただし、親族からの借り入れは贈与とみなされ、贈与税がかかる場合があるので注意しましょう。
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金調達する方法です。新規開業で実績がなくても、資金の使い道をアピールしたり、支援者への特典を用意したりすることで、開業資金を集められる可能性があります。
ビジネスローンは、主にノンバンクが取り扱っている事業者向けのローンです。無担保・無保証で利用できるローンもある一方で、公的な融資に比べると金利は高い傾向にあります。
また、自宅などの不動産を所有している場合は、不動産担保ローンも選択肢となります。不動産担保ローンは、無担保ローンに比べてまとまったお金を低金利で借りることができます。
本記事では、60代で起業するメリットや資金調達方法、注意点について解説しました。定年後の人生をどう過ごすかは、人それぞれです。起業という選択肢は、これまでの経験や人脈を活かしながら、自分らしい働き方を実現できる可能性を秘めている一方で、体力や資金、家族との関係など、慎重に考えるべき点も少なくありません。
大切なのは、「起業=正解」ではなく、「自分にとって納得のいく選択かどうか」を見極めることです。まずは、起業に関する制度や支援情報をチェックし、自分に合ったスタートの形を見つけましょう。
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