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公開日:2024.11.01
再雇用制度は、多くの企業で定年退職後の労働力確保の手段として導入されていますが、再雇用後の給与が下がることに不安を感じる方も少なくありません。
本記事では、再雇用後の給与が下がる理由と対策、給付金制度について解説します。また、同一労働同一賃金の観点から見た法的な背景についても紹介するので参考にしてください。
再雇用時に給与が下がる理由は、雇用形態の変更と契約の見直しが入るからです。多くの場合、正社員から契約社員やパートタイムに変更されるため、基本給が大幅に減少します。実際に株式会社パーソル研究所の調査では、再雇用後の給与が定年前に比べて約44.3%下がったことがわかります。職務内容や企業の方針によって異なりますが、多くの人が大幅な収入の減少を感じる結果となります。
また、正社員として継続した際にも、定年後再雇用制度では再雇用者の労働条件は、再雇用時に改めて取り決めてよいこととなっています。そのため、役職であっても仕事効率が落ちるなどを理由に給料が下げられてしまいます。
出典)株式会社パーソル総合研究所|シニア人材の就業実態や就業意識に関する調査結果
同じ仕事をしているのに給与が下がる理由の一つには、法律的な背景があります。日本では「同一労働同一賃金」の原則が適用されつつありますが、再雇用の場合には必ずしも適用されないことが多いようです。
再雇用時には、労働契約法や高年齢者雇用安定法のもとで新たな契約が結ばれ、雇用形態の変更によって給与体系が変わることがあります。企業は再雇用者に対して異なる賃金体系を設定することが認められており、結果として、同じ業務内容であっても給与が下がることがあります。
再雇用後に給与が下がる理由について不安を感じている方も多いでしょう。ここからは、給与が下がることを防ぐための方法を解説します。
再雇用後に給与が下がる理由の一つとして、企業側が再雇用者の能力や経験を再評価する場合があります。そのため、スキルや資格を新たに取得して、自分の専門性を高めることが大切です。
例えば、業務に関連する資格を取得すると、その専門性が企業側に認められ、給与の見直し交渉の材料にできる可能性があります。これまでの職務経験や実績を整理し、再雇用後にどのような貢献ができるかを具体的に示すのも効果的です。スキルアップや資格取得に努めることで、給与の減額を防ぎ、再雇用後の待遇を改善するための交渉力を得られるでしょう。
再雇用後に給与が下がる際には、法律事務所や労働組合に相談しましょう。同一労働同一賃金の原則が再雇用に適用されるかどうかを確認し、自分のケースに合った法的な対応策を検討することが大切です。
法律事務所では、具体的なアドバイスを受けながら、自分の権利を守るための適切な措置を考えられます。また、労働組合に相談することで、集団としての交渉力を活用し、より有利な条件を引き出せる可能性があります。再雇用後に給与が下がる理由について疑問や不安を感じた場合には、早めにこれらの専門機関に相談し、適切な対応を行うようにしましょう。
再雇用により給与が下がった場合、給付金制度を活用することで、経済的な負担を軽減できます。再雇用で給料が下がった場合は、以下の給付金制度を活用しましょう。
給付金制度の詳細は以下のとおりです。
制度名 | 制度概要 | 給付されるタイミングと割合 |
---|---|---|
高年齢雇用継続基本給付金 | 60歳になっても同じ職場で引き続き働く場合に支給される給付金 | 再雇用後の給与が60歳時点の賃金と比べて75%未満になった場合に支給され、月々の給与の15%程度が支給される※ |
高年齢再就職給付金 | 60歳で一度退職し、その後再び就職した場合に支給される給付金 | 再雇用後の給与が60歳時点の賃金と比べて75%未満になった場合に支給され、月々の給与の15%程度が支給される |
※2025年4月以降に給付率が10%に変更以降、段階的に廃止される予定。
給付金を申請する場所は、公共職業安定所(ハローワーク)です。各自の状況に合った制度を積極的に活用しましょう。
スキルや資格を取得して交渉を行ったり、法律事務所や労働組合に相談したりするなどの方法で、待遇の改善が期待できる場合もあります。また、給付金制度を活用して収入減を補うことも有効な対策です。再雇用に備えて情報を収集し、適切に対応することで、安心して働き続けられます。本記事を参考に、再雇用後の不安を改善しましょう。
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