0120-755-677受付時間:9:00 - 19:00 年中無休
公開日:2024.11.01
年金が少ない高齢者にとって、老後の生活費をどうやって確保するかは深刻な問題です。年金だけでは生活費や医療費をまかなうのが難しい現実に直面している方もいるかもしれません。
生活費を補うには、例えば、副業やパートタイムの仕事、節約術、そして地域の支援制度の活用など、多岐にわたる選択肢があります。本記事では、年金が少ない人が老後の生活費を補うための具体的な方法を紹介します。
総務省統計局が発表した『家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯、単身者無職世帯の収入と支出額は下記のとおりです。
収入 | 消費支出 | |
---|---|---|
65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 244,580円 | 250,959円 |
65歳以上の単身者無職世帯 | 126,905円 | 145,430円 |
どちらの世帯でも消費支出が収入を上回り、それぞれ月額6,379円、月額18,525円の赤字となっています。つまり、赤字を補うには、収入を増やすか貯金を切り崩す必要があるということです。
出典)家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要
高齢になると若い頃に比べて、怪我をしやすくなったり、病気になったりすることが増える傾向があります。したがって、入院費用や通院費用といった急な出費が生じる可能性も高まるため、それに備えて貯蓄しておくことも大切です。
生命保険文化センターの『2022(令和4)年度 生活保障に関する調査』によると、入院時の自己負担額は平均198,000円(※1)。1回の入院で約20万円が必要です。また、厚生労働省によると65歳以上の1人当たり国民医療費は754,000円(※2)となっています。医療費に充てるお金を数十万円確保しておくのがよいでしょう。
※1出典)生命保険文化センター『2022(令和4)年度生活保障に関する調査』
※2出典)厚生労働省『令和3(2021)年度国民医療費の概況』
年金の収入だけでは、生活費、医療費などを含めた支出をまかないきれない場合に、どのような対応をするべきかを紹介します。
まず、初めに日頃の生活におけるコストを見直して、支出を減らしましょう。特に、電話やインターネットなどの通信費、電気、ガスの光熱費といった固定費を減らすとより効果的です。料金の安いお得なプランに変更したり、買い替えのタイミングで省エネ機能のある電化製品を選んだりするとよいでしょう。固定費を月額3,000円削減できれば、年間で36,000円節約できます。
また、大きく固定費を下げたいのであれば、住み替えなども検討しましょう。賃貸物件に住んでいる方は、「地方の物件」や「現状よりもコンパクトな物件」に引っ越しをすれば、現状よりも家賃を安くできる場合があります。持ち家に住んでいる方は、家を売却することで固定資産税などの税額を下げることができます。ただし、持ち家を所有していた方が引っ越し先に賃貸を選んだ場合は、引っ越し後には家賃が発生するため、結果的に毎月の固定費は増加する傾向があります。
公的年金の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の場合、年金生活者支援給付金を受給できます。給付金の支給要件と給付額は以下のとおりです。
【支給要件】
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である。
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は889,300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は887,700円以下(※2)である。
※1:障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2:昭和31年4月2日以後に生まれた方で789,300円を超え889,300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で787,700円を超え887,700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
【給付額】
月額5,310円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出され、次の1、2の合計額が給付されます。
※1:昭和16年4月2日以降に生まれた方は被保険者月数が480月です。それ以前の生年月日の方は被保険者月数が異なります。詳しくは厚生労働省 公式HPを確認してください。
※2:保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変動します。詳しくは厚生労働省 公式HPを確認してください。
例えば、支給要件を満たした昭和31年4月2日以後生まれの方で、被保険者月数480月のうち納付済月数が480か月、全額免除月数が0か月の場合、月額5,310円が支給されます。
年金だけでは収入が足りないのであれば、年金以外の収入を増やす必要があります。定年退職をしたあとも再就職したり、アルバイトを始めたりして、収入を得ることができれば生活費を補填できるでしょう。
また、60歳以降に失業保険(基本手当)を受給していた65歳未満の方が再就職して、雇用保険の一般被保険者となった場合、高年齢再就職給付金を受給できる場合があります。高年齢再就職給付金は、60歳以上65歳未満の方が、雇用保険の基本手当を受給したのちに再就職し、その上で給料が60歳時点に比べて75%未満に減っている場合に受けられる支援制度です。
受給資格に関して、上記で示した年齢のほかに下記の条件があります。
上記の受給資格を満たし、再就職時の給料が60歳時点の給料に比べて75%未満に減っている、かつ給料が365,114円未満であれば、高年齢再就職給付金を受け取れます。
ただし、支給対象月の全期間において、育児休業給付または介護休業給付の支給対象になっている場合には、高年齢再就職給付金を受け取れません。
出典)厚生労働省 公式HP
出典)厚生労働省 高年齢雇用継続給付について
シニア世代の方におすすめのアルバイトを紹介します。シニア世代におすすめなのは、警備員、清掃員、マンション管理など、年齢や経験を問わず求人募集をしているアルバイトです。また、長年料理をしてきた方であれば、社員食堂や給食センターの調理補助の仕事も経験を活かせるのでおすすめです。
シニア世代の仕事選びでは、無理なく自分のペースで働ける仕事を選ぶのがポイントです。求人サイトやアプリ、ハローワーク、シルバー人材センターを活用してアルバイトを探してみましょう。
年金だけでは生活が苦しい場合に、再就職やアルバイトで収入を増やすと支給される在職老齢年金が減ってしまう場合があります。2024年度(令和6年度)の支給停止額の計算方法を確認しておきましょう。具体的には、年間の年金額を12で割った基本月額と総報酬月額相当額(※)の合計額が50万円を超えた場合、50万円を超えた額の1/2の年金額が支給停止の対象となります。
※毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準贈与額)を12で割った額
なお、老齢基礎年金は減額されず、収入を増やしても全額受け取れます。
出典)公益財団法人生命保険文化センター 公式HP
年金が少なく、老後の生活費を賄うのが難しいと感じているのであれば、生活費の見直しや支援制度の利用、年金以外の収入源の確保を検討しましょう。老後は、思わぬ怪我や病気で医療費が急に必要となるケースもあります。少しずつでもよいのでお金を貯めていくのがおすすめです。
年金が少なくても支給制度を活用したり、アルバイトを始めたりすることで、生活状況を改善する方法はあります。本記事で紹介した対処法をぜひ実践してみてください。
執筆者紹介