「税金」の記事一覧

  • 赤字決算でも資金調達はできる?お金がない時の解決方法は?

    赤字決算で法人税はどうなる?資金調達は可能?

    営利目的で事業を行う企業や個人事業主は、売上アップや経費削減に取り組むことで利益の確保(黒字決算)を目指します。しかし、不況の煽りを受けて資金繰りが厳しくなり、赤字決算となってしまうこともあるでしょう。 赤字決算には一部税制面でメリットがある場合もありますが、今まで融資を受けていた銀行から借り入れができなくなる恐れもあります。そこでこの記事では、赤字決算で資金繰りが厳しくなったときの資金調達方法を紹介します。 赤字決算とは 決算とは、企業の1年間の収益と費用を計算し、利益や損失をまとめた数字を「決算書」として確定させることです。企業(法人)は決算月までの1年間、個人事業主は1~12月の1年間で計算します。 収益が費用を上回り利益が出ることを「黒字決算」、費用が収益を上回り損失が生じることを「赤字決算」と言います。国税庁の統計情報によれば、2018年度は申告法人数(普通法人)の約66%が赤字となっています。 決算は、あくまでも一定期間の業績を表すものです。赤字になったからといって、すぐに倒産するわけではなく、資金があれば事業を継続することは可能です。ただし、赤字決算が続くと資金繰りが厳しくなり、倒産につながる恐れがあります。 出典)国税庁「2018年度 統計情報(法人税)」 赤字決算のメリット 赤字決算に悪いイメージを持つかもしれませんが、税制面においては以下のようなメリットがあります。 法人税がゼロになる 企業は、黒字決算で利益(課税所得)が出た場合は法人税を納めなくてはなりません。法人税額は課税所得に一定の税率を乗じて計算するため、利益が大きくなるほど法人税の負担は増えます。一方で、赤字決算の場合は課税所得が発生しないため、法人税はゼロになります。 赤字の繰り越しが可能(欠損金の繰越控除) 赤字決算によって生じた欠損金(税務上の損失)は、翌年度以降に繰り越すことが可能です。繰り越した欠損金は、翌年度以降に生じた課税所得(税務上の利益)と相殺できるため、法人税の節税につながります。 たとえば、今年度の決算が100万円の赤字の場合、その100万円を繰越欠損金として翌年度に繰り越します。翌年度が300万円の黒字であれば、通常は300万円に税率を乗じるところ、200万円(300万円-100万円)に税率を乗じて法人税額を計算するため、法人税の負担が軽減されます。 2018年4月1日以後に開始する事業年度で生じる欠損金は、最長10年間繰り越すことができます。欠損金の繰越控除を行うには、「欠損金が生じた年度に青色申告で確定申告書を提出していること」など、一定の条件を満たす必要があります。 出典)国税庁「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」 法人税の還付金を受け取れる(欠損金の繰り戻しによる還付) 「欠損金の繰り戻しによる還付」とは、赤字決算で欠損金が生じた場合に、その欠損金を前期に繰り戻して法人税額の還付を請求できる制度です。「還付事業年度から欠損事業年度まで、連続して青色申告で確定申告書を提出している」など、一定の条件を満たすと適用されます。 経営状況が悪化して赤字になり、少しでも手元資金を確保しておきたい場合は、本制度の利用を検討するといいでしょう。 出典)国税庁「No.5763 欠損金の繰戻しによる還付」 赤字決算のデメリット 赤字決算のデメリット・注意点は以下のとおりです。 融資を受けにくくなる 金融機関が企業に融資する際は、決算書をもとに与信面の審査を行います。赤字決算の場合、金融機関からの信用度が低下して、新たに融資を受けるのが難しくなるかもしれません。また、赤字決算が続くと、すでに融資を受けている借入金の返済を求められる可能性もあります。 赤字でも税金は発生する 決算が赤字でも税金は発生します。たとえば、「消費税」は消費者が負担して事業者が納税する仕組みのため、赤字でも納税が必要です。また、「法人住民税の均等割」は資本金等の額や従業員数などに応じて課税されるので、損益に関わらず税負担が生じます。 赤字決算でも資金調達する方法は? 赤字決算になり、与信面で銀行からの借り入れが難しい場合は、どのような方法で資金調達を行えばよいのでしょうか。ここでは、赤字決算でも資金調達が可能な方法を紹介します。   政府系金融機関からの借り入れ 政府系金融機関であれば、赤字決算でも借り入れが可能なケースもあります。 たとえば、日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」は、社会的・経済的環境の変化などの外的要因で、一時的に業況が悪化している事業者向けの融資制度です。一定の条件を満たせば融資を受けられる可能性があるので、まずは支店の窓口などに問い合わせてみるといいでしょう。 出典)日本政策金融公庫「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」 クラウドファンディング クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達する方法です。赤字決算であっても、クラウドファンディングであれば支援を受けられるかもしれません。 クラウドファンディングは、資金のあり方や支援者への特典の有無によっていくつかの種類があるため、自社にあった方法を選択することが大切です。プロジェクトの内容によっては目標金額を達成できず、思うように資金が調達できないこともあります。 親戚からの借り入れ 赤字決算で資金調達が難しい場合は、親戚から事業資金を借りるのも一つの方法です。ただし、親戚からの借り入れは贈与とみなされ、贈与税が課される可能性があります。 親戚からの借り入れであっても借用書や契約書を作成し、その内容どおりに返済を行うことが大切です。また、無理な借り入れを行って返済が困難になると、トラブルに発展することもあるので注意しましょう。 ビジネスローン ビジネスローンは、主にノンバンクが取り扱っている事業者向けのローンです。無担保・無保証で申し込みできるローンもあるため、赤字決算でも融資を受けられる可能性があります。さらに不動産を担保にすると、借り入れできる可能性が高まるでしょう。 ただし、ビジネスローン(特に無担保・無保証の場合)は金利が高い傾向にあり、少額しか借りられないケースもあります。 リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。 リースバックの審査では、与信面よりも「不動産に問題がないか」「家賃を払うことができるか」といった点が重視されます。そのため、売却できる自宅があれば、赤字決算でも資金調達が可能です。 ただし、売却価格は市場価格より安くなるのが一般的です。また、定期借家契約の場合は運営会社の事情で再契約ができず、売却から数年で引っ越しを迫られるケースもあります。リースバックで長く住み続けたい場合は、普通借家契約が可能な運営会社を選びましょう。 >リースバックとは? まとめ 赤字決算は税制面でのメリットはあるものの、銀行から融資を受けるのが難しくなります。決算が赤字になると見込まれるときは、早めに資金調達について検討することが大切です。銀行から融資を受けることができない場合は、政府系金融機関やリースバックといった方法を検討してみましょう。 リースバックならSBIスマイル 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【FP相談】事業資金の融資でおすすめの方法とは? 企業の働き方改革や副業の解禁など、今は会社員として給与収入のみの人も、独立開業を考えている人もいるでしょう。とはいえ、開業を考えるとき、気になるのは資金面ではないでしょうか? この記事では、...記事を読む

  • 相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットを紹介

    相続時精算課税制度とは?メリット・デメリットを紹介

    相続時精算課税制度は、両親や祖父母から財産の贈与を受けるときに選択できる制度です。この制度を利用することで、贈与時の負担軽減につながる可能性があります。 ただし、相続時精算課税制度にはデメリットもあるため、制度の内容を理解した上で利用を検討することが大切です。この記事では、相続時精算課税制度の概要やメリット・デメリットを紹介します。 相続時精算課税制度の概要 相続時精算課税制度とは 相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫に財産を贈与した場合に選択できる贈与税の制度です。同一の贈与者からの贈与であれば、2,500万円まで贈与税は課税されず、限度額に達するまで何回でも控除でき、限度額を超えた部分については、一律20%の贈与税率が適用されます。 また、相続時には、相続時精算課税制度の贈与財産と他の相続財産と合計して相続税を計算します。贈与税を支払っている場合は、相続税から支払済の贈与税を差し引くことができます。 相続時精算課税制度利用の流れ 相続時精算課税制度を利用する子または孫は、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。戸籍謄本などの一定の書類とともに、贈与税の申告書に添付して納税地の所轄税務署長に提出します。 出典)国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」 相続時精算課税制度のメリット 相続時精算課税制度のメリットと想定されるケースは以下のとおりです。 税金の支払いを先延ばしにできる 相続時精算課税制度で財産を贈与すれば、2,500万円までは贈与税がかかりません。また、制度を利用して相続が発生するまで贈与財産に対する税金の支払いを先延ばしにできます。あくまでも支払いの先延ばしであり、税金が免除されるわけではありません。 「生前贈与をしておきたいが、納税を先延ばしにしたい」という希望がある場合であれば、2,500万円までなら贈与税がかからないため、生前贈与を行いやすいでしょう。子どもがまとまったお金が必要なタイミングで生前贈与を行い、税金の支払いを先延ばしにすれば、財産を有効活用できるかもしれません。 収益性のある資産の生前贈与は相続税対策になる 相続時精算課税制度で収益を生み出す資産を生前贈与すると、相続税対策につながる可能性があります。たとえば、親が収益不動産を贈与せずに所有し続けると、収益不動産と生前得た家賃収入が相続税の課税対象となります。 しかし、相続時精算課税制度で収益不動産を子に生前贈与すれば、贈与後に生じる家賃収入は子に継承できるため、相続税の課税対象に含まれず、収益不動産のみが相続税の課税対象となります。そのため、相続時の収益不動産の時価が贈与時を下回らなければ、税金対策になります。* ただし、経年劣化によって贈与後に収益不動産の価値が下がると、価値減少分だけ相続税の負担が増えてしまうので、相続時精算課税制度の選択は慎重に判断する必要があるでしょう。 ※家賃収入に対する税金については勘案していません。 将来価値が上がる資産の贈与は相続税対策になる 相続時精算課税制度の贈与財産は、贈与時の時価が相続税評価額となります。そのため、将来価値が上がる資産を贈与すれば、「相続時の時価-贈与時の時価」について相続税の負担が軽減されます。「ほぼ確実に価値が上がる」と見込める資産がある場合は、相続税対策になります。 そのため、一時的に評価が下がっている自社株など「今後は確実に値上がりする」と判断できる資産がある場合にはメリットがあります。ただし、不動産などは基本的に経年劣化で資産価値が下がります。そもそも必ず値上がりするといえる資産は存在しないため、暦年課税と相続時精算課税のどちらが有利かを判断するのは難しいでしょう。 相続時精算課税制度のデメリット 一方で、相続時精算課税制度には以下のデメリットもあります。 年110万円以下の贈与でも贈与税の申告が必要 暦年課税には基礎控除額が設定されており、贈与額が年110万円以下であれば贈与税はかかりません。また、贈与税の申告も不要です。しかし、相続時精算課税制度を選択すると、年110万円以下の贈与であっても、贈与を受けた翌年に贈与税の申告をしなくてはなりません。少額で複数回の贈与を受ける場合は、贈与税申告の手間がかかります。 一度選択すると暦年課税に戻すことはできない 相続時精算課税制度を選択すると、選択した年分以降は永久的に適用され、暦年課税に戻すことができなくなります。暦年課税では、年間110万円までの基礎控除額があるため、計画的に利用することで大きなメリットとなるケースもあるため、相続時精算課税制度の選択は慎重に判断する必要があるでしょう。 小規模宅地等の特例が利用できなくなる 小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす土地を相続した場合に、相続税評価額が最大80%減額される制度です。相続時精算課税制度を選択すると、小規模宅地等の特例を利用できなくなります。状況によっては、小規模宅地等の特例の適用を受けることで相続税対策になります。 出典)国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」 令和5年度税制改正の内容 令和5年度税制改正によって、相続時精算課税制度も一部改正されます。改正内容は以下のとおりです。 ①年110万円の基礎控除の創設 相続時精算課税制度を選択した受贈者が、両親もしくは祖父母から2024年1月1日以降に贈与によって取得した財産に係るその年分の贈与税については、贈与税の課税価格から基礎控除額110万円が控除されるようになります。 ②相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例の創設 災害によって相続時精算課税制度を選択した受贈者が贈与によって取得した土地や建物が一定の被害を受けた場合、その災害による被災価額を控除する特例が創設されます。適用を受けるには、災害によって被害を受けた日が2024年1月1日以降であり、かつ贈与の日から贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間である必要があります。 なお、贈与の日が2024年1月1日以前である場合でも、災害によって被害を受けた日が2024年1月1日以降であれば、本特例の適用対象となります。 出典)国税庁「令和5年度『相続税及び贈与税の税制改正のあらまし』」 相続時精算課税制度は選ぶべきでない? 税制改正前は、相続時精算課税制度に年110万円の基礎控除がなかったため、基本的には暦年課税で少しずつ贈与をする方が税制メリットが大きい状況でした。しかし、今回の税制改正によって相続時精算課税制度でも同様に年110万円の基礎控除が適用されるようになったため、相続時精算課税制度を選択しやすい状況になったといえます。 ここでは、税制改正後に暦年課税と相続時精算課税制度のどちらを選ぶべきかについての考え方を紹介します。 贈与税の観点 相続時精算課税制度でも暦年課税でも、年110万円の基礎控除の範囲内であれば、贈与税がかかることはありません。しかし、年110万円の基礎控除の範囲を超えると、相続時精算課税制度はさらに合計2,500万円まで贈与税がかからないのに対し、暦年課税は超えた金額すべてに対して贈与税がかかります。 そのため、贈与税だけを考えると、基本的に相続時精算課税制度の方が納付金額が少なくなります。 相続税の観点 贈与時の年110万円の基礎控除分の金額について、相続時精算課税制度の場合は、相続財産に加算されることはありません。それに対して暦年課税の場合は、相続発生時から7年前までの贈与については、年110万円の基礎控除分の金額についても相続税の対象となります。 一方、贈与時の年110万円の基礎控除分を超えた金額については、相続時精算課税制度の場合、全て相続財産として加算されます。それに対して暦年課税の場合は、相続発生から8年より前の贈与は相続財産として扱われません。 そのため相続税については、贈与を行った期間がある程度長くなると、暦年課税の方が納付金額が少なくなります。 より詳細な試算が大切 相続時精算課税制度と暦年課税制度のどちらが税制メリットが大きいかを判断するためには、贈与税と相続税を併せて試算する必要があります。基本的には、贈与を行う期間が短く金額が小さければ相続時精算課税制度、贈与を行う期間が長く金額が大きければ暦年課税が、税制メリットが大きくなる傾向にあります。 ただし、相続開始日がいつになるかは予想することができず、必ずしも毎年一定の贈与を継続するとも限らないでしょう。ご自身の状況に合わせて、可能な限り詳細に試算してみることが大切です。より適切な判断を行うには、税理士などの専門家へ相談するといいでしょう。 まとめ 相続時精算課税制度を利用することで、納付する贈与税や相続税を抑えることができる可能性があります。ただし、一度選択すると暦年課税には戻せないので、相続時精算課税制度の選択は慎重に判断しなければなりません。相続時精算課税制度について理解を深め、相続時精算課税制度を利用すべきかどうか検討してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 終活とは?終活では何を準備すればいい? 昔に比べて平均寿命が延びて老後の期間が長くなったことから、「終活」を行う人が増えています。終活と聞くと、葬儀やお墓、相続など自分が亡くなった後のことをイメージするかもしれません。しかし、実際...記事を読む

    2021.01.27制度税金
  • 住宅ローン減税特例が延長!さらに床面積が40平米以上に緩和

    住宅ローン減税特例が延長!さらに床面積が40平米以上に緩和

    2020年12月21日に閣議決定された2021年度(令和3年度)税制改正の大綱において、住宅ローン減税及び住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置の延長等が盛り込まれました。今回の措置は、新型コロナウイルス感染症の影響により落ち込んだ経済の回復を図るために策定されたものです。 今後の国会で関連税制法が成立することが前提にはなりますが、マイホーム取得にかかる税負担を軽減できる可能性があります。マイホーム取得を検討しているのであれば、税制改正の内容を理解しておくことが大切です。 この記事では、住宅ローン減税の仕組みや緩和される適用要件について詳しく解説します。 そもそも住宅ローン減税とは 住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは、個人がマイホームの新築や取得、増改築等を行う場合、一定の要件を満たすと住宅ローン年末残高の1%が所得税から控除される制度です。所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除することも可能です。 マイホームの取得で住宅ローン減税が適用されれば、住宅ローン金利の負担軽減が期待できます。なお、住宅ローン減税の適用を受けるには確定申告が必要ですが、会社員(給与所得者)の場合は、2年目以降は年末調整で控除の適用を受けられます。 出典)国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」 住宅ローン減税の控除期間13年の適用要件について 2019年10月に実施された消費税率の引き上げ(8%→10%)に伴い、住宅ローン減税の控除期間が従来の10年から13年に延長されました。控除期間の延長は、建物購入価格の消費税増税分の負担を軽減することが目的で、特別特定取得にあたる場合に適用されます。 特別特定取得とは、消費税率10%が適用される新築や中古住宅の取得を指し、その住宅に「2019年10月1日~2020年12月31日」の間に居住を開始した場合に適用されます。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で入居が期限に遅れた場合は、一定の要件を満たした上で、2021年12月末までに入居すれば特別措置の対象となります。 控除額は、10年目までは「住宅ローン年末残高×1%(控除限度額50万円)」です。11~13年目は、「住宅ローン年末残高×1%」または「建物価格(消費税を除く)×2%÷3」のいずれか低い金額が控除額となります。 出典)国土交通省「消費税率引上げに伴う住宅取得に係る対応について」」 2021年度税制改正の概要 2021年度税制改正の概要は以下のとおりです。 住宅ローン減税 住宅ローン減税については、現行の特別特定取得における控除期間13年の措置について、契約期限と入居期限をともに1年延長することが盛り込まれました。 具体的には、契約期限(注文住宅は2020年10月~2021年9月、分譲住宅等は2020年12月~2021年11月)と入居期限(2021年1月~2022年12月)を満たす者に、現行の控除期間13年が適用されます。 また、上記の措置については、新たに床面積要件がこれまでの「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されます。ただし、「40㎡以上50㎡未満」の住宅については、「合計所得金額1,000万円以下」の所得制限が設けられている点に注意が必要です。 住宅ローン減税 改正概要 改正前 改正後 50㎡以上 (特別特定取得) 13年控除 *1 期限延長:13年控除 *1 50㎡以上 10年控除 *1 変更なし:10年控除 *1 40㎡以上50㎡未満 (特別特定取得) 対象外 拡充:13年控除 *2 40㎡以上50㎡未満 対象外 変更なし:対象外 ※1:「合計所得金額3,000万円以下」の所得制限あり ※2:「合計所得金額1,000万円以下」の所得制限あり 住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置 住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置とは、父母や祖父母などの直系尊属から住宅の新築や取得、増改築等の資金として贈与を受けた場合に、一定額まで贈与税が非課税になる制度です。 住宅取得等資金については、2021年4月~12月の住宅取得等に係る契約について、2020年度と同額の非課税限度額(最大1,500万円)を適用することが盛り込まれました。 また、2021年1月以後の贈与については、床面積要件がこれまでの「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されます。ただし、「40㎡以上50㎡未満」の住宅については、住宅ローン減税の場合と同様に「合計所得金額1,000万円以下」の所得制限が設けられています。 出典) ・国土交通省「住宅ローン減税等が延長されます!」 ・国土交通省「令和3年度住宅税制改正概要(住宅ローン減税・贈与税非課税措置)」 適用要件の緩和で今までと何が変わる? 2021年度税制改正において、住宅ローン減税や住宅取得等資金に係る贈与税非課税措置の適用要件が緩和されることで、40㎡台のマンションが値上がりする可能性があります。 40㎡台のマンションは、今まで住宅ローン減税の適用外であることがハードルとなっていました。しかし、適用要件が緩和されたことで、今後は購入を検討する人が増えると予想されます。 40㎡台の物件は、単身者やDINKs世帯(子供がいない共働き世帯)からすれば問題ない広さです。比較的価格が抑えられていることから購入しやすく、住宅ローン減税が適用されれば、購入のハードルはさらに下がるでしょう。 まとめ 住宅ローン減税の控除期間13年の措置が延長されるなど、2021年税制改正では個人の住宅取得を支援する内容が盛り込まれています。適用要件が緩和され、今までは対象外だった40㎡台の物件にも住宅ローン減税が適用されるのは重要なポイントです。 住宅ローン減税が適用されれば、長期的にはまとまった金額の節税が期待できます。マイホームの取得を検討しているなら、今回の税制措置をうまく活用しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自営業の自宅購入で住宅ローンの審査に落ちた!次なる手段は? 住まいにこだわりを持って暮らす方はとても多いですよね。特に最近、働き方の多様化で増えているフリーランスなど自営業の中で、自宅や離れにアトリエなど仕事場を持ちたいと思っている方もよく見かけます...記事を読む

    2021.01.20制度税金