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  • 不動産担保ローンの「仮審査」とは?

    不動産担保ローンを提供している金融機関のサイトには、よく「仮審査」や「事前審査」に関するページがあります。住宅ローンを利用したことがある人なら、一見、「本審査」の前の行われた審査と同じようなものだろう、と思うのではないでしょうか。 実は、不動産担保ローンの仮審査や事前審査は、住宅ローンで行われたものとはかなり違います。今回は、その違いを明らかにしていきます。なお、仮審査あるいは事前審査といった呼称は、金融機関がそれぞれ独自に使用していますが、このどちらかのパターンが多いようです。以下、本コラムでは仮審査と呼びます。 住宅ローンの仮審査は必須 仮審査は住宅ローンにおいて不可欠です。仮審査を通過しないと、融資をするかどうかを決定する本審査に進めません。仮審査が必要となる理由には、住宅ローンを申し込むタイミングが関わっています。 正式に住宅ローンを申し込めるのは、ローンを借りる人が不動産業者と物件の売買契約を交わした後になります。物件の所有権を持っていないと、申し込みはできないことになっているからです。しかし、もし売買契約が完了している状態で、住宅ローンを借りることができなければ、物件の引き渡しはいつまで経っても行われません。売買代金が回収できない不動産会社はもとより、住宅を購入する人にとっては大問題となります。 そうした問題を発生させないために仮審査があります。購入する物件を決めた段階で、購入予定者が金融機関に仮審査を申し込み、住宅ローンを借りるための条件をクリアしているかどうかを審査します。そして、仮審査を通過した人が不動産会社と売買契約を結び、金融機関に本審査を申し込みます。こうした段階を踏むことで、売買契約を交わしたにもかかわらず本審査に通らない、という事態を予防しているわけです。 本審査で落ちてしまう要因とは 住宅ローンの仮審査はあくまで簡易的な審査になります。ローンを申し込む人の年収や年齢、信用情報といった必要最小限のデータを基に、金融機関が信用力を判断します。そして、仮審査を通過すると本審査に進みますが、必ず本審査が通るというわけではない点には注意が必要です。 本審査は、金融機関に加えて、住宅ローンの債務保証をする信用保証会社にも審査されます。信用保証会社は、住宅ローンを借りる人のいわば〝保証人〟といった存在です。そのため、仮審査は数日(短い金融機関だと1~2日)で終了しますが、本審査は1週間程度かかるところが多いようです。 本審査を通過できないケースとしては、以下のようなものが考えられます。まず、仮審査のときに申告したデータが実際とは違っていたといったことです。申告した年収が最近のものとは違っている、あるいは、収入証明書などが用意できなかった、などが多いようです。申告していなかったクルマのローンが高額で審査に通らなかった、といったケースもあります。 また、本審査では、ローンを借りる人が、団体信用生命保険に加入できるかどうかもチェックされます。健康状態に問題があり、団体信用保険に加入できないと、本審査に落ちてしまうことになります。 不動産担保ローンの仮審査は事前相談の役割 これまで述べてきたように、住宅ローンの仮審査は手順や内容が明確になっています。それに対して、不動産担保ローンの仮審査は、それぞれの金融機関が独自に行っており、中身は明確になっていなせん。しかも、仮審査を受けなくても、直接、本審査を申し込むことが可能です。ローンを申し込む人はすでに不動産を保有しているため、住宅ローンで考慮しなければならない不動産会社との売買契約のタイミングなどが、存在しないからです。 それでは、不動産担保ローンの仮審査にはどんな意味があるのでしょうか。実際に行われている金融機関の仮審査は、多くの場合〝事前相談〟といった役割を担っているようです。不動産担保ローンを検討している人の「正式に審査を申し込む前に、融資が可能かどうかをちょっと聞いてみたい」というニーズに対応しているといえます。 不動産担保ローンの本審査には、さまざまな書類が必要になります。不動産の登記簿謄本の登記時事項証明書、土地や建物の図面、前年度の固定資産税納付の証明書、固定資産税評価証明書などです。こうした書類を揃えるには、かなりの手間と費用がかかります。手間と費用をかけて書類を揃えて本審査に申し込み、仮に審査を通過しなかった場合、精神的にもダメージを受けることは想像に難くありません。 仮審査の内容は金融機関ごとにバラつきがありますが、概ね、信用情報や担保物件の簡易的な評価を行なっているようです。また、仮審査で融資ができる可能性が高いと判断されても、本審査が通らないことがあるのは住宅ローンと同じです。そうした点を理解していれば、気軽に打診ができる事前相談としての仮審査のメリットは小さくない、と思われます。

  • 地価上昇が続く歌舞伎町や渋谷!『地価LOOKレポート』で見る地価動向

    国土交通省は、2019年6月に『地価LOOKレポート』を発表しました。このレポートは、それほど知名度は高くありませんが、主要都市の地価動向をタイムリーに明らかにしてくれる貴重な調査となっています。そもそもどんなレポートなのか、今回の結果はどんな内容になっているのかについて、順を追って解説をしていきましょう。 不動産業界が注目する速報性を重視した地価の統計 国内の地価に関する統計としては、公示地価をはじめとして、基準地価や路線価といったものが広く知られています。地価 LOOK レポート(正式名称は「主要都市の高度利用地等の地価動向報告」)は、そうした統計と比べると一般的ではありませんが、不動産業界では地価の〝先行指標〟として非常に注目されています。 地価 LOOK レポートは、国土交通省が四半期ごとに発表している統計。実際には、「一般財団法人 日本不動産研究所」に委託して、100名以上の不動産鑑定士によって調査されているものです。公示地価や路線価との違いは、調査対象となる地域を絞っている点です。対象地域は、主要都市とその周辺に限定しており、全国 の100地区となっています。公示地価の調査地点は2万6000地点(2018年)、基準地価は2万1644地点(2017年)、路線価は約33万1000地点 (2018年)ですから、大きな差があります。 また、前述した全国100地区の内訳は、東京圏43 地区、大阪圏25 地区、名古屋圏9地区、地方圏23 地区となっていますが、その地区内において、細かく場所が特定されてはいません。例えば、東京都新宿区では、「新宿三丁目」と「歌舞伎町」の2か所が調査対象地区で、新宿三丁目であれば、「東京メトロ丸ノ内線・副都心線の新宿三丁目駅周辺。新宿通り沿いを中心に百貨店、中高層の店舗ビル等が集積する高度商業地区。」という所までしか、場所は特定されていないのです。ほぼ住所まで特定されている、公示地価や基準地価とは対照的なデータとなっています。 このように、地価 LOOK レポートは、調査対象地点が少なく、場所も住所までは特定されていないという〝欠点〟があります。それにも関わらず、不動産業界で注目されているのは、地価の動向について先行性があるからです。公示地価や基準地価、路線価は年1回しか発表されません。それに対して、地価 LOOK レポートは年4回発表されます。3か月ごとに調査されているので、地価が上昇しているのか下落しているのか、あるいは、横ばいになっているのかといった、傾向がつかみやすいのです。 したがって、地価LOOKレポートを継続して追っていると、公示地価や基準地価、路線価といった代表的な地価が、どういう動きをするのかが、ある程度予想できるようになります。調査対象地点を絞り、細かい住所までは特定できませんが、その分調査回数を増やすことで、地価の動向をいち早く明らかにする――これが地価LOOKレポートの役割といえるでしょう。 都心の一部では地価の上昇傾向が強まる そこで、改めて6月に発表されたデータを見てみます。調査時期は2019 年1 月1日~4 月1日です。まず、国土交通省の総括としては、「主要都市の地価は全体として緩やかな上昇基調が継続」といったものですが、注目されるのは、地価が横ばいとなっている地区が減少する一方、上昇率が3%以上6%未満(前期比/四半期の変動率。以下同)という、国土交通省が「比較的高い上昇」と規定している上昇率を記録した地区が増えていることです(グラフ参照)。 上昇のおもな要因として、国土交通省は次のような点を挙げています。 ・空室率の低下、賃料の上昇等堅調なオフィス市況 ・再開発事業の進展による魅力的な空間・賑わいの創出 ・訪日外国人の増加による旺盛な店舗、ホテル需要 ・利便性の高い地域等での堅調なマンション需要 上記の要因が、「景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境」という国内景気の現状と相まって、オフィス、店舗、ホテル、マンションといった不動産投資全般が堅調にある、とまとめています。 東京都内の地区を個別に見てみると、43地区中、地価の上昇率が3%以上6%未満と「比較的高い上昇」となったのは、新宿区の歌舞伎町(JR山手線の新宿駅の北方に位置し、西武新宿駅東側、靖国通りの北側一帯)と渋谷区の渋谷(JR山手線の渋谷駅周辺一帯)の2地区でした。この3%以上6%未満という上昇率は、3か月ごとの四半期の変動率ですので、年率に換算するとかなり高い上昇率ということになります。 都心部は、すでに2020年の東京オリンピックに関連するさまざまな不動産投資がピークを越えたと言われ、不動産市況もいったん落ち着くのではないか、といった見方もありました。しかし、現状は、地価の底上げが続いており、一部では過熱に近い状況にあるということができるでしょう。このように、地価LOOKレポートは、タイムリーな地価の動向を教えてくれるデータとなっているのです。   (出典)国土交通省「主要都市の地価は97%の地区で上昇基調 ~令和元年第1四半期の地価LOOKレポートの結果~」(2019)よりグラフを抜粋

  • 不動産担保ローンを低金利で借りるコツとは

    不動産担保ローンに限らず、ローン金利は、一般的に「○%~○%」といったように上限と下限が表示されることがほとんどです。これは、個別のローンごとに適用される金利が変わる、ということを表しています。当然、ローンを借りる方にとってみれば、金利は低ければ低いほど良い条件であることは間違いありません。では、どうすれば借入金利を低くすることができるのでしょうか? そこには、不動産担保ローンならではの〝コツ〟があるのです。 審査の内容と金利に与える影響――「融資先の属性」 ローンの金利は、融資を実行する前に金融機関が行う審査の結果に大きく左右されます。つまり、審査の中身を理解すれば、低金利で借りるコツがわかってきます。まず、金融機関はどんな点をチェックするのでしょうか。 不動産担保ローンにおける審査では、おもに以下のような項目が対象となります。①融資先の属性、②担保となる不動産の価値、③担保掛目(たんぽかけめ)、④資金の使途、⑤借入期間などです。以下、それぞれの項目について、どんな点がポイントとなるのかについて、詳しく説明していきましょう。 「融資先の属性」は「信用力」をみる 不動産担保ローンを借りるのは、通常、個人か法人になります。したがって、個人の属性と法人の属性に分かれることになりますが、審査内容はそれほど変わりません。属性として重要なのは融資先の「信用力」であり、信用力を計る条件として「収入」が大きな要素になります。融資先が個人であれば年収、企業であれば利益ということになります。 融資先の「信用情報」も信用力に影響します。過去にローンを借りていればその返済状況がチェックされ、ローンの返済が滞ったことがあると信用力は低くなります。逆に、延滞などがなく、きちんと返済がされていれば信用力は高くなります。また、個人であれば年齢や勤続年数(法人は設立からの年数)、他のローンをすでに利用しているかどうか、といったことも融資先の属性に該当します。 「融資先の属性」におけるポイント 属性では特に収入が重視され、基本的に収入が多いほど信用力は高いと判断されます。しかし、その金額だけが審査対象となるわけではありません。重要なのは「返済比率」。返済比率とは「収入に占めるローンの年間返済額の割合」のことで、「返済負担率」とも呼ばれます。例えば、年収が500万円の個人であれば、返済比率30%という水準は年間返済額が150万円になります。 年間の収入に占めるローンの支払額が大きくなると、それにともなって返済比率は高くなります。返済比率が高くなるほど借り入れる側の負担は重くなるので、返済が滞るリスクが生じます。そのため、金融機関は審査において返済比率の基準を設定しており、その基準に近いローンには高めの金利が適用されたり、融資そのものが実行されなかったりするケースが出てきます。 例えば、不動産担保ローンのひとつである住宅ローンの場合、銀行では、返済比率の基準を30%に設定していることが多いようです。年収500万円の個人の返済比率30%という水準は、年間返済額が150万円ですので、年収500万円以下の人は年間返済額150万円を超えるローンは組めないことになります。住宅ローンの借入金利も「○%~○%」と表示されています。返済比率が高くなればなるほど上限の金利に近づき、返済比率が低くなればなるほど下限の金利に近づくといえるでしょう。 したがって、借入金利を低くするには、まず「返済比率を低くする」ということが挙げられます。ただ現実的には、収入を増やすということはなかなか難しいので、年間返済額を減らすことがポイントになってきます。 審査の内容と金利に与える影響――「担保となる不動産の価値」 「担保となる不動産の価値」の評価方法 カードローンをはじめとする無担保ローンとは違い、不動産担保ローンは文字通り不動産をローンの担保にします。そのため、無担保ローンよりも大きな金額を低金利で借り入れることができるのです。一般的に、担保となる不動産の価値(=評価額)が高くなるほど、借り入れる金額を増やす、金利を低くするといったことが可能になります。 不動産は土地と建物の2つで構成されています。土地の評価には、国税庁が発表している「路線価」(正式名称は「相続税路線価」)を用います。一般的な不動産取引では、「公示地価」や「基準地価」に基づいて売買価格が決定されるケースが多いとされていますが、路線価は公示地価や基準地価の8割程度とされています。 建物の評価はやや複雑で、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築あるいは購入時に必要となる金額のことで、さらに、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを加味して評価します。ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると評価額はゼロ。例えば、戸建て住宅の法定耐用年数は22年なので、築22年を超えた一戸建ての価格は0円となり、不動産価格は土地だけを評価することになります。 「担保となる不動産の価値」におけるポイント 前述したように、担保不動産の評価額が高いほど、借入額を増やしたり、金利を低くしたりする余地が広がります。とはいうものの、「すでに保有している不動産の評価額は変わらないのでは」と思っている人がほとんどでしょう。それは誤解です。実は、不動産の評価は、オーナーの工夫によって変えることができるのです。 建物の評価の部分でも述べましたが、建物の価値は築年数の経過とともに減少していきます。しかし、リフォームなどすることによって価値を高めることはできます。リフォームまではいかなくても、周辺の掃除や外壁のクリーニングを定期的に行い、建物を整えておくことは重要です。 また、土地についても、駅に近い立地であれば、商業施設の新規出店など周辺環境が良くなるケースが出てきます。そうした利便性の高さを、金融機関の融資担当者に積極的にアピールをすることが、担保不動産の評価を上げることにつながります(詳しくは「不動産価値の高め方と立地条件と不動産価値の関係」をご参照ください)。 不動産としての価値を高めるということは、それが住宅であれば、とりもなおさず住環境を改善することにもなります。普段から心がけておくことは、それほど難しいことではないでしょう。 審査の内容と金利に与える影響――「担保掛目」 不動産の実質的な担保価値を算定する「担保掛目」 担保掛目とは、担保となる不動産の評価額に対して、金融機関が設定する比率のことです(たんに「掛目」と呼ばれることもあります)。例えば、担保不動産の評価額が土地と建物を合わせて4,000万円の場合、融資する金融機関の担保掛目が80%という比率であれば、実質的な担保価値は4,000万円×80%=3,200万円となります。 不動産担保ローンにおいて、この担保掛目は非常に重要です。基本的には、この担保掛目を用いて算定される実質的な担保価値が融資金額の限度額になるからです。担保掛目は、金融機関が独自に設定していますが、住宅ローンも含めて、80%程度に設定しているところが多いようです。 なぜ、実質的な担保価値が評価額の100%にはならないのでしょうか。もし、融資の返済が滞り、金融機関が不動産を売却することになった場合、不動産はすぐに現金化することは困難です。保有している間に、価値が減少する可能性もあります。そうしたリスクに備えるために、あらかじめ時価評価の80%程度に設定しているわけです。 「担保掛目」におけるポイント 前述したように、一般的には、担保不動産に金融機関が設定する担保掛目を適用した金額が、融資の限度額になります。時価評価が4,000万円の物件に対して、担保掛目が80%であれば、融資の限度額は3,200万円です。そして、実際にこの物件を担保として3,200万円を借りる場合、金利は高めに設定されることが多くなります。金融機関にしてみると、限度額をフルに融資することは、受け入れるリスクも最大になるからです。 したがって、限度額まで借りなければ、金融機関がとるリスクも減少することになり、設定される金利を引き下げる余地が生じます。時価評価4,000万円の物件で担保掛目が80%、融資額の上限が3,200万円のとき、2,800万円しか借りなければ、担保掛目は70%になります(4,000万円×70%=2,800万円)。金融機関としては、担保掛目が設定している水準を下回れば、その分、金利を引き下げる余地が出てきます。借りる側は、限度額まで借りる必要がなければ、担保掛目を下げることで、金利を低くできる可能性があります。 審査の内容と金利に与える影響――「資金の使途」 ローンによって制限がある「資金の使途」 資金の使途は、借りたお金の使いみちのことです。融資審査のときに、金融機関は必ず「資金使途」として、使いみちを質問してきます。担保が必要のない、いわゆる無担保型の「フリーローン」では、基本的にお金の使いみちは自由ですが(フリーローンの「フリー」は使いみちが〝自由〟という意味です)、不動産担保ローンでは、金融機関によって資金使途に制限がかかるケースがあります。 例えば、会社の運転資金にすることを目的とした事業用資金は、不動産担保ローンとしては融資しない銀行が少なくありません。すでに事業で赤字が出ている状態であれば、返済が滞るリスクがあるからです。一方、多くのノンバンクでは、事業用資金の融資をしています。このように、金融機関ごとに資金使途の制限はかわってきます。 「資金の使途」 資金使途は、正しく申告しなければならないのは当然ですが、資金繰りの状況をきちんと伝えることで、金利を低くしてもらえる可能性があります。会社の運転資金として借りる場合でも、「事業が上手くいっていない」ということにはならないからです。会社の売上げが伸びて、売掛金が大きくなってくると、会社は事業用の立替金を増やしておく必要があります。また、取引先の要請で、売掛金の回収期間が延びてしまうケースもあるでしょう。こうしたことは事業が軌道に乗っているからこそ起こる事態です。 審査の際に、資金使途をたんに運転資金とするよりも、「なぜ運転資金が必要になったのか」といった理由を明確にすることで、融資が受けやすくなり、金利も下げることができる可能性が出てきます。その際は、理由の〝証拠〟となる会社の帳簿などを、併せて提出すると、さらに効果が高まると思われます。 また、仮に事業があまり順調に行っていない場合でも、きちんとした事業計画書を提出することで、融資が受けやすくなることもあります。資金使途自体は、変えることはできませんが、工夫する余地はいろいろとあるのです。 審査の内容と金利に与える影響――「借入期間」 「借入期間」と金利の関係性 ローンの借入期間と金利には密接な関係があります。ほとんどの人は、「借入期間が長いほど高金利になる」というイメージを持っていると思われます。基本的には、そうした認識は間違ってはいません。借入期間が長期になるほど、予期しない問題が発生するといった返済が滞るリスクが高くなるからです。 ただし、借入期間が長いほど金利が高いというのは、ローンが「固定型」の場合です。固定型は、借入時に設定された金利が返済終了まで変わらない、というものです。これに対して、「変動型」のローンは、一定のタイミングで金利が見直されるというもので、借入後の金融市場の動向によって、金利は上昇することもあれば、低下することもあります。したがって、通常、変動型の金利は借入期間によって大きな違いはありません。 金融機関が融資しやすいローンとは? 上記の傾向から外れる、微妙なケースも存在しています。例えば、住宅ローンには「固定期間選択型」というタイプがあります。これは、「10年固定」といったように、借入後、あらかじめ決めた期間の金利が固定される、というローンです。固定される期間は、3年、5年、7年、10年など、金融機関によってさまざまです(なお、固定期間が終了した後は「変動型」に移行します)。 この固定期間選択型も、一般的には「固定期間が長くなるほど、金利は高くなる」という傾向にありますが、よく見ると、固定期間が短い方の金利が、長い方の金利よりも低いといったケースが存在します。例えば、あるメガバンクでは、5年固定型や7年固定型の方が、10年固定型よりも高く設定されています(2019年7月時点)。 こうしたケースが起きる要因としては、日銀の政策金利や金融市場の動向が挙げられますが、それ以外には、ローンを提供している金融機関の貸出金の残高の内容も関係しています。貸出金の残高の内容とは、残高に占める固定型と変動型の割合や、ローンが返済される時期などです。金融機関としては、固定型に偏っているとか、返済がある時期に集中しているといった事態は避けなければなりません。経営の安定性を高めるために、さまざまなローンをバランスよく提供することが重要になります。 すると、金融機関には、ローンのタイプや借入期間などの条件において、融資をしやすいローンが出てきます。したがって、借入期間を柔軟に設定できるようであれば、金融機関に金利が低くなる期間があるかどうかを聞いてみる、という手があります。ただし、必要以上に借入期間を長くすると、今度は利息の負担が増えてしまうので、その点には注意しなければなりません。 金利を引き下げるポイントを見つける これまで、低金利で借りるコツを5つの審査項目ごとに述べてきました。以下、簡単に振り返ってみます。 ①融資先の属性…借りる人の信用力が高いほど低金利での借り入れができる。収入に占めるローンの年間返済額の割合である返済比率を下げれば、信用力を高めることが可能。 ②担保となる不動産の価値…建物のリフォームやクリーニング、周辺環境で好転した部分をアピールすることで不動産の価値を高められる可能性がある。 ③担保掛目…借入額を、金融機関が設定している不動産の担保掛目を下回る金額にすることで、金利を引き下げる余地が生まれる。 ④資金の使途…会社の運転資金などの事業用資金を借りる場合は、財務状態を正確に申告するとともに、事業計画書などを作成する。 ⑤借入期間…金融機関が融資しやすい期間がある可能性がある。借入期間に融通が利くようであれば、低い金利が適用される期間があるかどうかを聞いてみる。 上記のポイント以外にも、初めて不動産担保ローンを借りる場合は、複数の金融機関にローンを申し込んで金利を比較し、最も低金利を提示してきた金融機関から借りる、といったことも挙げられます。また、借り入れをした経験があり、すでに返済が終了していれば、同じ金融機関に申し込む方が、低い金利を適用される可能性があります。すでに完済をしたという履歴が、信用力のアップにつながるからです。 このように、低金利で借りるコツというのはいくつか存在します。しかし、そのすべてを活用することはなかなか困難でしょう。融資を受ける側にとって、借入額や借入期間などは譲歩をしにくいケースが多いと考えられるからです。しかし、そもそも何のために借り入れるのかという目的、優先順位を整理することで、活用できるポイントが見つかる可能性が出てきます。不動産担保ローンの借入額は大きな金額です。0.2%あるいは0.1%でも金利が下がれば、軽減される利息は決して小さくはないでしょう。

  • 規制緩和で戸建て住宅の評価額が上昇!?改正建築基準法のポイント

     2019年6月25日に建築基準法が改正されました。この改正建築基準法の内容は、すでに国土交通省から2018年6月に公布され、一部の規定については同年9月から施行されていました。そして、2019年6月から新たに施行される法律には、戸建て住宅に関する重要な改正が含まれています。 戸建て住宅の転用について大幅な規制緩和 そもそも建築基準法とは、国民が安全かつ快適に生活を送ることができることを目的として定められた、建物や土地に関わる規定です。建物を設計し、建築したりする際には、都市計画法や消防法といった多くの法律が関わってきますが、建築基準法の対象となるのは、建築物や建築物の敷地、設備、構造、用途など。土地に対して、どんな用途や規模の建物が建てられるのか、建物の床面積や建築面積の上限は何平米かといった、さまざまな規定を定めています。建物を着工する前に行われる建築確認や、着工後の中間検査、着工が終了したことを確認する完了検査といった検査についても、建築基準法が規定しています。 建築基準法はこれまでに何度も改正をされています。今回の改正について、その背景を国土交通省は次のように述べています。「最近の大規模火災を踏まえ、老朽化した木造建築物の建替え等による市街地の安全性の向上や、建築物の適切な維持管理による建築物の安全性の確保を円滑に進めることなどが課題となっています。また、空き家が増加傾向にある中で、住宅をそれ以外の用途に変更して活用することが求められており、建築行政においても、安全性の確保と既存建築ストックの有効活用を両立しつつ、建築規制を合理化していく必要があります。」(以下、略) 今回の戸建て住宅に関する重要な改正は、後半部分の「既存建築ストックの有効活用」という部分です。こうした現状認識の下で、具体的に次のような改正が行われました。 (1)戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下)を他の用途とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする(2)用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し  次に、この改正によって、具体的に何がどう変更になったのかについて、わかりやすく説明していきましょう。 戸建て住宅の転用で耐火構造への改修が不要に 従来、建物の種類が「居宅」になっている戸建て住宅を他の用途へ転用する場合、転用後の延床面積が100㎡以下であれば、建築確認手続きは不要でした。それが、今回の改正で、建築確認手続きが不要となる延床面積が200㎡以下にまで拡大されることになりました。さらに、3階建て以下で延床面積200㎡未満の戸建て住宅などを他の用途の建築物に転用する際、柱や梁といった主要や構造部を耐火構造にする改修を不要とする特例が設けられたのです。 こうした改正によって、一般の戸建住宅を、簡易宿泊施設や老人福祉施設などに転用しやすくなると考えられています。例えば、改正前の建築基準法では、木造の戸建て住宅を簡易宿泊施設に転用する場合には、宿泊室が3階にある建物は耐火建築物でなくてはいけないという規定があったため、該当しない建物の3階は宿泊施設としては使えませんでした。それが、今回の改正によって、延床面積が200㎡未満の3階建てであれば、耐火建築物にしなくてもよいことになりました。 また、建物の用途変更を伴う建築確認手続きにはさまざまな書類が必要で、それを用意するためには費用と手間がかかります。改正によって、3階建てで延床面積200㎡未満の戸建て住宅であれば、そうした建築確認手続きは不要となります。 空き家対策の切り札となるか 国内でも、2018年6月に「住宅宿泊事業法」いわゆる「民泊新法」が施行されて以降、各地に法律に則った民泊施設が数多く登場しています。但し、これまで、都心部に多い3階建ての戸建住宅は民泊施設には不向きとされていました。その理由は、耐火建築物への改修や建築確認手続きが高いハードルとなっていたからです。しかし、今回の建築基準法の改正によって、小規模の3階建ての戸建住宅が民泊施設として活用されるケースが増加すると予想されています。それに伴って、戸建て住宅の不動産としての評価にも、変化が生じると考えられます。 国土交通省が、このような規制緩和を進めるのは、建築基準法改正の背景でも述べたように、「既存建築ストックの有効活用」特に〝空き家〟問題の対策としての側面が強いと言えます。総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年実施)によると、全国の空き家(総数819万5600戸)の内、賃貸や売却用、別荘を除いた約4割が「その他の住宅」であり、その大部分を戸建住宅が占めているそうです。さらに2033年には、全国の空き家の数は約2150万戸になるという推計もされています。将来にわたって急増する空き家を、簡易宿泊施設や老人福祉施設にスムーズに転用させることを狙っているわけです。 短期的には、2020年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けての、宿泊施設の確保も視野にあるでしょう。いずれにしても、今回の建築基準法の改正は、戸建て住宅の利用価値を見直し大きなきっかけになると考えられます。

  • 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

    今回は、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく非常に具体的に示されています。おそらく、今後、中長期的な指針となっていくと考えられます。 「不動産投資ローン」に改善を促す金融庁 金融庁は、「アパート投資向けの不正融資問題」において、特に、紹介業者が顧客を金融機関に紹介するケースについて警鐘を鳴らしています。簡単にいうと、融資に必要な審査関係資料や契約内容について、紹介業者に依存する傾向がみられ、融資先の顧客の管理体制が〝緩く〟なっているのではないか、というものです。 実際に、金融機関の回答をみると、不動産投資ローンを住宅ローンの延長と捉えてしまい、顧客の給与収入も返済原資の一部とみなしているため、物件のキャッシュ・フローのみで返済の見込みがなくとも、融資が実行されるケースが散見されたようです。 また、中古の物件に対する融資期間が、建物の築年数を控除した法定耐用年数を大幅に超えるケースもあったとされています。そのため、金融機関の9割以上は融資先事業の収支計画のシミュレーションをしている、とされていますが、その「精緻さにばらつきあり」と懸念が表明されています。 銀行や信用金庫では、不動産を担保として融資をする場合、担保不動産の市場価格に加えて、顧客の収入や、融資先が企業であれば事業の収益動向も加味して融資額を決めることが多いとされています。それに対して金融庁が懸念を表明したことにより、少なくとも不動産投資ローンについては、担保不動産の評価、事業の収支計画の妥当性に基づいた与信が行われることになるでしょう。 投資先物件のキャッシュ・フローの重要性 金融庁は、事業の収支計画の審査についても、以下のような提言をしています。 ①不動産投資ローンは、住宅ローンと違って、融資額も大きくなり、事業性融資の性格が強くなる点に留意する。 ②債務の返済は、賃貸事業が長期的に生むキャッシュ・フローの水準が大きく左右するため、金融機関は物件がキャッシュ・フローを生む期間(=建物の耐用年数)をできる限り客観的に検証し、その耐用年数から想定される合理的な融資期間を設定する。 ③債務の完済までの収支シミュレーションに基づき、賃貸事業としての返済可能性を見極めることが重要。 ④ 顧客は、目先の利回りにとらわれることなく、大規模修繕の必要性や物件収支が下振れた際の返済余力や、当初想定した価格で売却できない可能性も考慮しつつ、長期的な事業の収支計画を判断する必要がある。 いずれも、金融機関の審査に対する非常に具体的な提言となっており、金融庁が公表するレポートとしては、〝異例〟の内容といえます。以上のような指針から、今後、不動産投資ローンを受けるためのハードルは、かなり高くなることが予想されます。 投資先の物件が生み出すキャッシュ・フローをおもな返済原資とするということは、不動産の選別は厳しくならざるを得ません。すでに、価格が上昇している物件は、十分なキャッシュ・フローが見込みにくいため、融資が実行されにくくなります。また、建物の耐用年数を客観的に検証して融資期間を決めることになれば、築年数の古い中古物件は融資対象から外れるケースが増えてくるでしょう。 金融機関の審査が問われる時代に これまで、金融機関は、決してキャッシュ・フローについて無視をしてきたわけではありません。ただ、金融庁のレポートも指摘しているように、一部の金融機関では、家賃収入から返済額や経費を差し引いた金額が「黒字」になればよい、と安易に考えていた形跡がうかがえます。これからは、単純なキャッシュ・フローだけでなく、「債務返済倍率」といった不動産投資の健全性を計る指標も併せて、融資の審査を行なうことが求められてくるでしょう。 さらに、金融庁は、融資が実行された後も、当該物件の空室率や賃料などの確認作業を行なうことを金融機関に要請しています。融資期間中に、事業の実績を踏まえた収支計画のシミュレーションの更新を、まったく行っていない金融機関があったためです。 以上は、基本的には不動産投資ローンに関する事柄ですが、金融庁は、今後他の融資全般についても、事業の収支計画をベースとした審査の適正化を進めていく、と見られています。ますます、金融機関の審査のノウハウが重要になっていくでしょう。   ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

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