こんにちは、公認会計士の千日太郎です。 まずは、最新の機構債と市場動向から2026年2月の【フラット35】金利予想を以下のように分析しました。 【2026年2月 フラット35金利予想】 予想:2.18%~2.28% 傾向:前月比+0.10%~+0.20% の上昇 要因:新発10年国債利回りの急上昇(2.27%へ到達) 前回の記事(【フラット35】日銀利上げ直後の2026年1月金利は2.08%に決定|公認会計士の予測と機構債分析!)では、【フラット35】の2026年1月金利を1.99%~2.04%と予想し、結果は2.08%となりました。 解散総選挙後を織り込んで、新発10年国債利回りが急上昇しています。積極財政・赤字国債増発への警戒から国債売りが出ているという見方です。新発10年国債利回りが上がれば、固定金利タイプの住宅ローンは上がります。【フラット35】も例外ではありません。 この記事では、急変する市場の中で「なぜこの予想になるのか」、その根拠となる国債・機構債の動きと、私たち借り手にとって重要な「逆ザヤ(機構による金利抑制)」の現状について解説します。 2026年2月の【フラット35】金利は2.26% に決定しました(更新日:2026年2月2日)。 【フラット35】2026年1月金利予想の結果と検証 2026年1月の金利は2.08%に決定 2026年1月の【フラット35】金利は2.08%に決定し、12月下旬での予想(1.99%~2.04%)を上回る結果となりました。 背景には、1月は新発10年国債利回りが0.15ポイント上昇し、機構債の表面利率も0.15ポイント上昇したことがあります。これに対し、【フラット35】の上昇はある程度抑えられましたが、予想レンジを超える上げ幅となりました。 なお、【フラット35】の金利は、以下の簡易式で説明できます。 ・予測ロジック(簡易式) 予測金利 ≒新発10年国債利回り + ローンチスプレッド – 調整幅(機構裁量) 金利上昇が抑えられた要因(拡大する逆ザヤ) 予想以上に金利が上昇したとはいえ、市場金利の上昇幅に比べれば【フラット35】の上昇は抑制されています。これを支えているのは、過去連続8か月にわたって【フラット35】が機構債の表面利率を下回っている、いわゆる「逆ザヤ」現象です。 昨年6月に初めて0.05ポイントの逆ザヤを目の当たりにしたときは驚いたものですが、今年の1月ではその幅が0.37ポイントまで拡大しています。現在は住宅金融支援機構が利益を犠牲にして、どこまでこの「逆ザヤ」を容認して金利を抑え込むかが予想の核となっています。 逆ザヤの推移(機構債 vs フラット35) 年月 機構債表面利率(機構債発表日) フラット35金利 金利差(逆ザヤ) 2025年6月1.94%(5月22日)1.89%-0.05ポイント 2025年7月1.88%(6月20日)1.84%-0.04ポイント 2025年8月2.02%(7月18日)1.87%-0.15ポイント 2025年9月2.08%(8月21日)1.89%-0.19ポイント 2025年10月2.12%(9月19日)1.89%-0.23ポイント 2025年11月2.15%(10月17日)1.90%-0.25ポイント 2025年12月2.30%(11月20日)1.97%-0.33ポイント 2026年1月2.45%(12月17日)2.08%-0.37ポイント ※出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※筆者作成 【フラット35】2026年2月金利予想 1月22日・23日の日銀会合では政策金利据え置きが決定されましたが、植田総裁は最近の新発10年国債利回りの動向について「かなり速いスピードで上昇している」との認識を示しました。 実際、2026年2月に向けての市場動向を見ると、新発10年国債利回りは1.94%から2.27%へ、0.33ポイントの大幅上昇となりました。これに伴い、機構債の表面利率も2.45%から2.78%へと、同じく0.33ポイント上昇しています。市場金利通りに計算すれば、2月の【フラット35】は2.40%を超えてくる水準です。しかし、今回は急激な変動を避けるための政策的配慮が働き、上昇幅は一定程度抑えられると見込みます。 これまでの機構債の表面利率や新発10年国債利回りの推移を踏まえた、【フラット35】の金利予想は以下のとおりです。 【フラット35】金利推移と2026年2月予想 2025年11月 2025年12月 2026年1月 2026年2月千日太郎の予想 【フラット35】の金利(※) 1.90% 1.97% 2.08% 2.18%~2.28%※2/2発表の金利は2.26%でした ※出典)住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」 シナリオ①:2.18%「激変緩和」 下限の2.18%は、機構による「激変緩和措置」が最大限に発揮されるシナリオです。10年国債利回りの急上昇に対し、その上昇分をそのまま住宅ローン金利に転嫁すれば、住宅市場への悪影響は避けられません。 日銀総裁も金利上昇スピードをけん制している局面であり、住宅金融支援機構がさらに逆ザヤ幅を拡大させてでも、金利上昇を0.1%程度に抑え込む(2.08%→2.18%)という読みです。 シナリオ②:2.28%「上昇圧力の反映」 上限の2.28%は、市場金利の上昇圧力を一定程度反映せざるを得ないシナリオです。 2月機構債が決まった時点の新発10年国債利回りは2.27%まで上昇しています。 これまで【フラット35】の金利が新発10年国債利回りを下回ったことはありません。そのため、いくら政策的に金利を抑えるとしても、この「新発10年国債利回り(2.27%)」よりは低くできないのではないか?という読みです。 機構債の表面利率・新発10年国債利回り・ローンチスプレッドの推移 主要データ(2026年1月22日時点) 機構債発表日 2025年10月17日 2025年11月20日 2025年12月17日 2026年1月22日 機構債の表面利率(※1) 2.15% 2.30% 2.45% 2.78% 新発10年国債利回り(※2) 1.64% 1.79% 1.94% 2.27% ローンチスプレッド(※1) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) ※1 出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※2 10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。 まとめ 昨年の利上げをきっかけに新発10年国債利回りは大幅に上昇し、さらに解散総選挙後の積極財政による国債増発を警戒した金利上昇に拍車がかかっています。 日銀は1月会合で金利を据え置きましたが、植田総裁は今後も利上げ路線を継続する意向を示しており、住宅ローンの変動金利も固定金利も上昇基調が続く公算が大きいと言えます。 民間銀行は住宅ローンの金利を上げざるを得ない中、【フラット35】については独自の緩和措置により、急激な上昇はある程度抑えられるとみていますが、早めの資金計画や仮審査の申し込みなど、金利上昇リスクへの備えを進めておくことをお勧めします。 ※この記事は2026年1月22日時点の公開情報に基づき、筆者の個人的な見解として執筆したものです。将来の金利動向を保証するものではありません。最終的な借り入れや投資の判断は、ご自身の責任において行ってください。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 千日太郎(Sennichi Taro) 公認会計士としての専門知識を活かし、YouTubeなどを通じて住宅ローンの仕組みや金利動向についての情報を発信。住宅購入を検討する人に向けた実務的な内容を中心に、金融に関する知識をわかりやすく解説している。 著書『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』では、住宅ローンの選び方や返済計画に関する基本的な考え方を丁寧に紹介しており、実用的な入門書として一定の評価を得ている。 住宅ローンに関する独自の視点や分析は、利用者や一部の業界関係者からも注目されており、継続的に情報提供を行っている点が特徴。
住宅ローンを組んだ後に、転職や独立、あるいは勤務先の倒産などで退職の機会が訪れることは誰にでも起こり得ます。そんなとき、「退職したことを銀行に連絡すべきか」「もし連絡したら、一括返済を求められるのではないか」という不安に思うかもしれません。 結論から申し上げると、退職したことだけを理由に、住宅ローンの一括返済を求められたり、契約を解除されたりすることはありません。 ただし、金融機関への報告義務や、退職後に見落としがちなリスクについては正しく理解しておく必要があります。 この記事では、住宅ローン返済中に退職した場合の金融機関への連絡の要否、退職後のリスク、そして万が一返済が厳しくなった際の具体的な解決策を解説します。 住宅ローン返済中の退職・転職、金融機関への連絡は「必須」 住宅ローン返済中に退職や転職をした場合、金融機関への連絡は「必須」です。 住宅ローンの契約時、多くの方が目にする「金銭消費貸借契約証書(または契約約款など)」には、氏名・住所・勤務先などに変更があった際には速やかに届け出る旨の条項が記載されています。退職・転職はこれに該当するため、報告は契約上の義務となります。 なぜ金融機関への報告が必要なのか 金融機関は、債務者(借り手)の返済能力を常に把握しておく必要があります。退職して収入が途切れたり、転職して給与水準が変わったりすることは、返済の継続性に影響を与える重要な変化だからです。 「連絡すると何かペナルティがあるのでは?」と不安になるかもしれませんが、返済を遅延なく続けられるのであれば、報告を理由に金利が引き上げられたり、一括返済を迫られたりすることはまずありません。 連絡を怠った場合のリスク もし報告をせずに、後から金融機関に退職や転職が発覚した場合、以下のようなリスクが生じます。 信頼関係の悪化 万が一、将来的に返済の相談(返済期間の延長など)が必要になった際、「不誠実な利用者」とみなされ、柔軟な対応を受けにくくなる可能性があります。 緊急時の連絡不通 返済遅延などの緊急時に、自宅や携帯電話で連絡がつかない場合、登録された勤務先に連絡が入ることがあります。その際に退職しており連絡が取れないと、所在不明とみなされ、銀行の不信感を招く原因になります。 後のトラブルを避けるためにも、退職や転職先が決まり次第、速やかに手続きを行うのが安心です。 退職しても一括返済を求められない2つの理由 住宅ローン契約中に退職しても、即座に一括返済を求められないのには、明確な理由があります。 物件(不動産)という「担保」があるから 住宅ローンは、購入した物件を「担保」として金融機関が資金を貸し出す仕組みです。万が一返済が滞った場合でも、金融機関はその物件に設定された抵当権により、優先的に資金を回収することができます。 そのため、借り手が退職したこと自体よりも、「担保価値がある状態で、毎月の返済が滞りなく行われているか」が重視されます。 返済能力の判定は「総合的」に行われるから 勤務先や年収などの審査時の属性は重要ですが、一度融資が実行された後は、契約者が「返済を続けている実績」そのものが強い信用となります。 一時的に退職しても、十分な貯蓄があったり、すぐに次の職が決まっていたりして返済が継続できるのであれば、金融機関があえて契約を打ち切るメリットは少ないのです。 【ケース別】退職が住宅ローンに与える影響と注意点 退職の理由によって、その後の返済計画で注意すべきポイントが異なります。 転職の場合:収入の増減に合わせた調整 転職で年収が上がる場合は、これまで通り返済を続ければ問題ありません。一方、年収が下がる場合は、返済比率(年収に対する年間返済額の割合)が高まり、家計を圧迫するリスクがあります。 資金に余裕があるなら「返済額軽減型」の繰上返済を行い、毎月の負担を減らすのも一つの手です。 独立・起業の場合:数年間の「信用力低下」を覚悟する 独立直後は、会社員時代に比べて収入が不安定とみなされ、金融機関からの信用力が一時的に低下します。 特に注意したいのが、独立後しばらくは他のローンへの借り換えや追加融資が極めて難しくなる点です。 独立を考えている場合は、会社員という「信用」があるうちに、現在のローンの条件見直しや借り換えを検討しておくとよいでしょう。 定年退職の場合:退職金の使い道は慎重に 定年退職後は、給与収入がなくなるため、退職金で一括完済を目指す方が多いでしょう。しかし、手元資金をすべて完済に充ててしまうと、その後の老後資金や急な医療費が不足する恐れがあります。 完済するか、あえてローンを残して手元に現金を置くか、ライフプランに基づいた慎重な判断が求められます。 返済が厳しくなったときの3つの解決策 退職によって予定していた収入が得られず、返済が苦しくなったとしても、決して放置してはいけません。早めに対処すれば、自宅を手放さずに済む可能性も十分にあります。 金融機関に返済条件の変更を相談する まずは、現在ローンを借りている金融機関の窓口に相談しましょう。「条件変更(リスケジュール)」が認められれば、一定期間は利息のみの支払いにしたり、返済期間を延長して月々の支払額を減らしたりできる場合があります。 相談時には、「なぜ現在の返済が困難になっているのか(退職の経緯や家計の状況)」に加えて、「いつまでに再就職し、いくらであれば無理なく払い続けられるのか(今後の収支見通し)」を明確に伝えましょう。 他のローンへの借り換えや一時的な追加ローンの利用を検討する 現在のローンよりも低金利な住宅ローンへ借り換えることができれば、毎月の返済額を軽減できる可能性があります。ただし、銀行の住宅ローン審査では「勤続年数」や「安定した収入」が厳しくチェックされるため、退職・転職直後は審査に通りにくいという現実があります。 もし、転職後に年収が下がった、あるいは独立して銀行の住宅ローンが組めない状況になった場合に、資金繰りを改善したいのであれば、短期間のつなぎ資金の借り入れや、複数のローンを一本化する借り換えとして「不動産担保ローン」も選択肢の一つとして検討できます。 住宅ローンに比べると金利は高くなる傾向があり、返済期間によっては総返済額が増える場合があります。 しかし、与信だけでなく不動産の価値を加味して審査が行われるため、銀行で断られた場合でも、生活を立て直す手段として活用できる場合があります。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 売却やリースバックで住居費を見直す 返済の目途が立たない場合には、これ以上の借入を増やすのではなく、家を手放してローンを整理するという選択肢もあります。 不動産仲介による売却・任意売却 家を売却した代金でローンを完済する方法です。売却価格がローン残高を下回る場合でも、金融機関の同意を得て「任意売却」を行えば、競売よりも高い価格で売却できる可能性があり、結果として残債を抑えて、より有利な条件で再出発できることがあります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 リースバック 「家を売却してローンを完済したいが、引越しはしたくない」という場合に有効な手段です。自宅をリースバック運営会社に売却し、その後は賃貸として同じ家に住み続けることができます。まとまった売却代金を手にしながら、住環境を変えずに生活を立て直せるのが大きなメリットです。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 融資実行前の退職は要注意 ここまで「返済中の退職」について解説してきましたが、最も注意しなければならないのが、「住宅ローンの本審査に通過した後、融資が実行される(家のお金が振り込まれる)までの退職」です。 なぜ融資が取り消されるのか 住宅ローンの審査は、あくまで「現在の勤務先で、現在の年収が継続すること」を前提に行われています。融資実行前に退職してしまうと、審査の前提条件が崩れたとみなされ、再審査が必要になります。 特に、転職直後で試用期間中であったり、独立直後で収入実績がなかったりする場合、返済能力が不安定と判断され、結果的に「否決(融資不可)」となるケースが少なくありません。 やむを得ず退職・転職する場合 どうしても融資実行前に環境が変わる場合は、隠さずに早めに金融機関へ相談しましょう。事後報告になると「虚偽の申告」とみなされ、契約解除となるリスクもありますが、事前に相談することで、転職先の条件(同業種でのキャリアアップなど)によっては再審査に通る可能性もあります。 関連記事はこちら住宅ローンの本審査後に転職したらどうなる?リスクと注意点、対処法を紹介 まとめ 住宅ローンの返済中に退職・転職しても、毎月の返済が滞りなく行われていれば、即座に一括返済を求められたり家を追い出されたりすることはありません。ただし、金融機関への報告は契約上の義務であり、将来の信頼関係にも関わるため、速やかに届け出ることが大切です。 退職によって返済が厳しくなりそうなときは、以下の3つのステップを検討してください。 金融機関への相談 返済期間の延長などの条件変更(リスケジュール)を相談する。 借り換えや追加ローンの検討 低金利な住宅ローンへの借り換えや、不動産担保ローン(一本化など)を活用して、毎月の返済額や資金繰りを改善する。 家を売却して住居費を見直す 任意売却やリースバックなどの方法を用いて家を売却し、売却代金でローンを完済して生活を再建する。 退職は人生の大きな転機です。住まいの不安を1人で抱え込まず、早めに専門家や金融機関へ相談することが、無理のない返済と安定した生活を守るための第一歩となります。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンを滞納したらどうなる?対処法も併せて解説 収入の減少や、まとまった支出の発生で、住宅ローンが払えなくなってしまう人もいるでしょう。住宅ローンを滞納すると、自宅が競売にかけられる恐れがあります。住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、なる...
海外送金を利用する際に多くの人が気になるのは、「送金してから着金までどれくらい時間がかかるのか?」という点です。 銀行・ネット銀行・資金移動業者など、利用するサービスによって海外送金のスピードは大きく異なり、場合によっては数日以上かかることもあります。さらに、着金が遅れると為替レートの変動によって受取額が減るリスクも発生します。 この記事では、海外送金の着金日数の目安をサービス別に比較し、できるだけ速く着金させるための3つの方法や、遅延が起きる仕組みについて詳しく解説します。 海外送金の基本的な仕組みや手数料、安全性については、以下の記事で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。 関連記事はこちら海外送金とは?初心者にもわかる仕組み・手数料・安全な方法まとめ 海外送金の着金日数の目安と遅延リスク 海外送金にかかる日数は、利用する金融機関や送金方法によって異なります。ここでは、一般的な銀行送金の目安と、遅延が発生する主な要因を整理します。 銀行の海外送金に必要な日数 銀行窓口やインターネットバンキングを利用した場合、着金までの目安は送金日から 1営業日~6営業日程度です。ただし、これは順調に進んだ場合の目安であり、次のような要因でさらに時間がかかることがあります。 【着金が遅延する要因】 SWIFTでの送金で中継銀行を経由する場合 SWIFTネットワークを利用する送金では、送金元と受取先の間に中継銀行(コルレス銀行)が入る場合があります。経由する銀行が多いほど各銀行での確認や処理が追加されるため、時間がかかる傾向があります。 送金元や送金先銀行などで土日祝日を挟む場合 日本だけでなく、中継国や受取国の休日も影響します。 送金先銀行のシステム処理に時間がかかる場合 現地の銀行システムや事務処理のスピードに依存します。 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に基づく確認 送金目的や資金の出所確認に時間がかかることがあります。 関連記事はこちら海外送金の方法はどれが最適?銀行・ネット銀行・資金移動業者の違いと選び方 送金が遅れることによるリスク(為替変動) 送金の遅れは、単に「相手にお金が届かない」という不便さだけでなく、為替変動による損失リスクにも直結します。 為替レートは24時間変動しています。そのため、送金に時間がかかるほど、為替変動の影響を受けやすくなり、その間の円安・円高の動きによっては、受け取れる金額が想定よりも減ってしまう可能性があります。 リスクを回避・軽減するためのポイント こうしたトラブルや損失を防ぐため、以下のポイントを意識し手続きを行いましょう。 為替リスクの回避 送金手続き時点で為替レートが確定するサービス(外貨建て送金や一部の資金移動業者など)を利用することで、送金中のレート変動による受取額の減少を防ぐことができます。 余裕を持ったスケジュール 着金期限(支払期限など)が決まっている場合は、遅延の可能性を考慮し、余裕を持って送金手続きを行うことが重要です。 スピーディな送金手段の検討 「どうしても急ぎで資金を届けたい」という場合は、銀行送金にこだわらず、即日着金に対応した「資金移動業者」の利用を検討するのも有効な手段です。 海外送金のスピード比較|メガバンク・ネット銀行・資金移動業者 できるだけ速やかに海外へ送金したい場合は、サービスごとの着金スピードを把握しておくことが重要です。ここでは、メガバンク・ネット銀行・資金移動業者の送金日数の目安を比較します。 メガバンクの海外送金にかかる日数 メガバンクは信頼性が高い一方、SWIFTネットワークを利用するため、着金までに時間がかかる傾向があります。 金融機関名 送金スピード(着金日) 三井住友銀行 未記載 三菱UFJ銀行 未記載 みずほ銀行 約1週間(受取金融機関の状況による) ※送金国、通貨、経由する中継銀行の数等によって、さらに日数がかかる場合があります。 ※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は各銀行の公式情報をご確認ください。 出典) ・三井住友銀行「海外への送金・海外からの送金・外貨建て送金」 ・MUFG「外国送金」 ・みずほ銀行「外国への送金・受け取り」 ネット銀行の海外送金にかかる日数 ネット銀行はオンラインで手続きできる利便性がありますが、送金スキームはメガバンクと同様にSWIFTを利用するケースが多く、即時での着金は一般的に難しいといえます。 金融機関名 送金スピード(着金日) 楽天銀行 送金日から1営業日~5営業日程度 ソニー銀行 送金実行から3営業日~4営業日以上 住信SBIネット銀行(法人) SWIFT発信日からおおむね1日~3日程度 ※送金国、通貨、経由する中継銀行の数等によって、さらに日数がかかる場合があります。 ※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は各銀行の公式情報をご確認ください。 出典) ・楽天銀行「海外送金」 ・ソニー銀行「ソニー銀行からの外貨送金」 ・住信SBIネット銀行「法人のお客さま 外貨送金・外貨受取サービス」 資金移動業者の海外送金にかかる日数 資金移動業者は、銀行とは異なる独自の送金網を持っています。事前に主要な国や地域の銀行口座に資金をプールしておくことで、利用者から依頼があった際に、国境を越えて資金を移動させることなく、現地の口座から受取人へ直接振り込む仕組みをとっています。 これにより、SWIFT送金で発生するような「中継銀行を経由する時間」を省くことができ、銀行送金よりも早く送金できるのが特徴です。 金融機関名 送金スピード(着金日) Wise(ワイズ) 送金手続きから最短即日~最長5日 Revolut(レボリュート) 送金手続きから最短即日~最長2営業日 PayPal(ペイパル) 即時振替:数分(最長30分)標準振替:約3~6営業日 SBIレミット 送金方法、着金方法、送金先国により変化 ■現金受取の場合 最短:10分/通常:1~3時間程度 ■銀行口座の場合 最短:10分/通常:1~2営業日 ※資金移動業者は、1回あたりの送金上限額(例:100万円など)が設けられている場合があるため、高額送金の際は事前の確認が必要です。 ※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は各事業者の公式情報をご確認ください。 出典) ・wise「公式サイト」 ・Revolut「公式サイト」 ・PayPal「公式サイト」 ・SBIレミット「公式サイト」 海外送金を速くするための3つの方法 少しでも早く相手に資金を届けたい場合、利用者側で意識できるポイントがあります。ここでは、着金スピードを短縮するための3つの方法を紹介します。 週の始めに送金する理由 金融機関の営業日は基本的に平日です。金曜日に送金手続きを行うと、土日を挟むため着金は翌週以降となり、タイムロスが発生します。スムーズな処理を狙うなら、月曜日や火曜日など週の初めに手続きすることでスピード短縮につながる可能性が高まります。 また、海外送金は時差や現地の休日の影響も受けます。送金先の国の祝日も事前に確認しておきましょう。 カットオフタイムに注意する 各金融機関には「カットオフタイム(当日取組受付時限)」が設定されています。これは、その日の処理として受け付ける締め切り時間のことです。この時間を過ぎると、受付は完了しても実際の送金処理は翌営業日に回されます。 例:三井住友銀行の場合、海外送金(外貨建送金)の当日取組受付時限は14時まで(※本記事執筆時点) 日数を短縮したい場合は、午前中の早い時間に手続きを済ませることをおすすめします。 銀行口座を介さない即日着金の方法(ウォレット・現金受取) SWIFTネットワークを利用する銀行送金はどうしても日数がかかりますが、銀行口座を介さないサービスを利用することで、数分~数時間での着金(受け取り)が可能になります。 主な方法として、以下の2つが挙げられます。 ウォレット受取(アカウント間送金) PayPalやWise、Revolutなどの資金移動業者が提供するサービスです。送金人と受取人の双方が同じサービスのアカウントを持っていれば、銀行を介さずに即座に資金移動が完了します。 現金受取(キャッシュピックアップ) 資金移動業者が提携する現地の店舗(取扱店)窓口で、受取人が現金を直接受け取る方法です。銀行口座を持たない相手にも送ることができ、手続き完了から最短数十分程度で受け取れます。 利用時の注意点 これらの方法は非常にスピーディですが、銀行送金に比べて「1回あたりの送金限度額」が低く設定されていることが一般的です。また、現金受取の場合は、多額の現金を店舗から持ち運ぶ際の盗難リスクなども考慮する必要があります。 そのため、少額の仕送りや緊急時の送金など、用途に合わせて使い分けることも一つの方法といえます。 海外送金が遅れているときに確認すべきこと 海外送金は国内送金と異なり、プロセスが複雑で見えにくいため、不安になることも多いでしょう。しかし、「なぜ遅れているのか」の理由や確認すべきポイントを押さえておくことで、目安の日数を超えた場合でも落ち着いて対応できます 。 遅延の原因を確認するポイント 目安の日数を過ぎても着金しない場合、単なる遅れではなく、何らかのトラブルで手続きがストップしている可能性があります。主な原因は以下のとおりです。 厳格なコンプライアンス審査(AML/CFT) マネー・ローンダリング対策やテロ資金供与防止の観点から、送金内容について詳細な審査が行われているケースです。「資金の出所」や「送金目的」を証明する追加資料の提出を求められ、回答するまで送金が保留されている可能性があります。 受取人情報などの入力ミス 受取人の名前(スペル)、口座番号、SWIFTコードなどに誤りがあると、着金できずに資金が銀行間で滞留したり、送金元へ返金(組戻し)されたりする原因になります 。 書類の不備・不足 提出した本人確認書類の有効期限切れや、インボイス(請求書)などの必須書類が不足しており、手続き自体が完了していないケースです。 着金までの目安日数を把握する方法 送金時に正確な着金日数を把握するのは難しいですが、次の点を踏まえておおよその目安をつけることは可能です。 金融機関の「目安日数」を確認する 各サービスの公式サイト等に記載されている標準的な所要日数を確認しましょう。 各国の休日を考慮する 日本だけでなく、送金先の国や、通貨の中心市場(米ドルなら米国など)が祝日の場合は、処理が翌営業日に持ち越されます。 なお、目安の日数を大幅に超える場合は、何かしらのトラブルが発生している場合があります。万が一に備え、利用した金融機関(送金サービス)のカスタマーサポートや、受取銀行の連絡先を事前に控えておくと安心です。 送金が失敗した場合の対応と組戻しの注意点 受取人情報の誤り(口座番号違い、スペルミス)などで送金が完了しなかった場合、資金は送金元の口座へ返金されます。これを「組戻し」といいます。 【組戻しの注意点】 手数料がかかる 返金手続き自体に、数千円程度の手数料がかかることが一般的です。 為替差損のリスク 外貨両替を伴う送金の場合、送金時と返金時で為替レートが異なるため、手元に戻ってくる金額が送金時より減ってしまう(元本割れする)可能性があります。 こうしたトラブルを防ぐため、送金前には以下の項目を入念にチェックしましょう。 送金前に確認すべき項目 確認項目 注意点 受取人情報 氏名、電話番号、住所(米国は州名、中国は省名を含む) 受取銀行情報 SWIFTコード、銀行名、支店名、口座番号 送金目的 具体的に英語で記載(例:Living expenses, Tuition fees) まとめ 海外送金の着金スピードは、利用するサービス(銀行・ネット銀行・資金移動業者)と送金のタイミングによって大きく変わります。 送金が遅れると、その間の為替レートが変動し、受取額が減ってしまうリスクも高まります。為替リスクの回避のためには、送金手続き時点で為替レートが確定するサービスを利用すること、また、少しでも着金を早めるためには、「週の初めに送金する」「カットオフタイムに注意する」といった工夫や、急ぎの場合には「ウォレット受取」や「現金受取」を活用するといった手段が有効です。 正しい知識と対策をもって、賢く安全に海外送金を利用しましょう。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。 ※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
地震による被害に備えるため、建物だけでなく家財補償も重要です。しかし、地震保険で家財がどこまで守られるのか、補償範囲や保険金額の仕組みを正しく理解していないと、「保険金が支払われない」という事態になりかねません。 この記事では、地震保険で補償される家財と対象外のもの、保険金額の決まり方、そして加入判断のポイントをわかりやすく解説します。地震保険の基本的な仕組みや火災保険との違いについては、以下の記事をご参考にしてください。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 地震保険で家財は補償される?基本の仕組みと補償範囲 地震保険は単独では契約できず、必ず火災保険とセットで加入する仕組みです。契約の形は次の3パターンから選べます。 建物のみ :建物だけを補償 家財のみ :家財だけを補償 建物+家財:建物・家財を補償 ここで注意したいのは、建物の地震保険に加入していても家財は自動的に補償されないという点です。まずは、どのようなものが「家財」として補償対象になるのか確認しましょう。 地震保険で補償される家財の具体例 地震保険で補償される家財は、居住用建物に収容されている生活用動産(普段の生活に使う動かせるもの)です。具体的には次のようなものが対象になります。 家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコンなど) 家具(ベッド、ソファ、タンス、食器棚など) 衣類・寝具 食器・調理器具 これらは日常生活に欠かせない「動かせるもの」です。逆に、キッチンや浴槽、備え付けのクローゼットなどの動かせない設備は「建物」の一部として扱われ、家財補償の対象外となります。 地震保険で補償されない家財と対象外になる理由 地震保険で補償されない家財には、次のようなものがあります。 自動車・バイク(総排気量125cc以下の原動機付自転車を除く) 現金や通貨類(小切手、株券、商品券など) 印紙・切手 高額な貴金属・宝石・骨とう品(1個または1組で30万円超) データやソフトウエア(パソコン内部のデータなど) これらが対象外となる理由は、価値の評価が難しいことや、地震による損害の確認が困難なためです。 特に注意が必要なのは「自動車」です。通常の自動車保険(車両保険)でも、地震・噴火・津波による損害は原則として補償されません。車を守るには、自動車保険に「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」などの特約を付帯する必要があります。 地震保険で補償される家財の保険金額と損害認定の仕組み 「家財が壊れたら修理代が出る」と思っている方もいるかもしれませんが、地震保険は実損払い(修理費の支払い)ではありません。保険金は、損害の程度に応じて定められた割合で支払われる仕組みです。 地震保険で補償される家財の支払基準 地震保険では、保険の対象である家財全体の時価に対する損害額の割合に応じて、次の4段階で認定されます。 損害の程度 認定基準(家財全体の時価に対する損害額) 支払われる保険金 全損 80%以上 地震保険金額の100%(時価額が限度) 大半損 60%~80%未満 地震保険金額の60%(時価額の60%が限度) 小半損 30%~60%未満 地震保険金額の30%(時価額の30%が限度) 一部損 10%~30%未満 地震保険金額の5%(時価額の5%が限度) ※平成29年1月1日以降保険始期の地震保険契約の場合 出典)財務省「地震保険制度の概要」をもとに筆者作成 重要なのは、「家財全体の中でどれくらいの割合が被害を受けたか」で判断されるという点です。食器や家具、家電などをカテゴリーごとに分類し、それぞれの被害状況をポイント化して算出します。 「1点だけ壊れた」では保険金が出ない理由と仕組み 地震保険は損害割合で認定されるため、家財の場合は1つだけ壊れても基準に達しない場合があります。例えば、地震により数十万円する大型テレビが壊れても、他の家財が無事なら損害割合が10%未満となり、「一部損」にも該当せず保険金は支払われません。「1点壊れたら補償される」という誤解に注意しましょう。 保険金が支払われないその他のケースと注意点 損害認定の基準以外にも、次のようなケースでは補償対象外となります。 地震発生日の翌日から10日経過後に生じた損害 時間が経過すると、地震との因果関係の証明が難しくなるためです。 紛失や盗難による損害 地震の混乱に乗じた盗難や、避難中の紛失は補償されません。 家財にも地震保険は必要?加入判断のポイント 建物への地震保険だけでなく、家財も補償対象にすべきかどうかは、次のポイントで判断しましょう。 生活再建に必要な自己資金を備えているか 被災後の生活では、避難費用や仮住まいの確保に加え、冷蔵庫や洗濯機、衣類などの買い直しに数十万円~百万円単位の出費が発生することもあります。これらの費用を貯蓄で賄えない場合は、家財を対象とした地震保険加入を検討しましょう。 高額な家財を所有しているか 大型家電や高級家具など、生活を構成する家財の総額が高い世帯ほど、被災時の経済的ダメージは大きくなります。家財の評価額(時価)を試算し、失った場合のインパクトを把握することが重要です。 地震保険に加入したらいくら受け取れるか 地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲で設定されます(家財の上限は1,000万円)。例えば、家財の再調達価額が1,000万円の場合、火災・地震保険金額は以下のようになります。 火災保険金額:1,000万円 地震保険金額:最大500万円(50%設定の場合) つまり、地震保険だけでは生活を完全に元通りにすることはできません。地震などが起きた場合に「全額は出ないが、当面の生活再建費として数百万円が下りれば助かるかどうか」という視点で判断しましょう。 関連記事はこちら家財保険とは?補償内容と必要性を解説 まとめ 地震保険の家財補償は、被災後の生活を立て直すための重要な資金源になります。しかし、「自動車や現金は対象外」「1点だけ壊れても保険金が出ない場合がある」など、仕組みを正しく理解していないと期待した補償が受けられないこともあります。 加入を検討する際は、次の3つの視点で判断しましょう。 自己資金で生活再建が可能か 高額な家財を所有しているか 保険金額の上限を把握したうえで、生活再建にその資金が必要か 地震保険だけで「元通りの生活」を完全に取り戻すことはできませんが、数百万円の補償があることで生活再建の負担を大きく減らせる可能性があります。ご自身の家財の量や貯蓄額を確認し、必要な備えを検討してみてください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...
海外送金をする際に気になるのが「いくらまで送れるのか」「税金はかかるのか」という点です。送金額が大きくなると、外為法や金融機関のルールに加えて、贈与税や所得税などの税制上の対応が必要になる場合があります。また、税務署から問い合わせを受けるケースもあるため、正しい知識を持って準備しておくことが重要です。 この記事では、海外送金の限度額や税金の仕組み、非課税となる条件、税務署への対応方法までわかりやすく解説します。さらに、海外送金の基本から仕組み、手数料、各サービスの比較まで網羅した記事もあわせて参考にしてください。 関連記事はこちら海外送金とは?初心者にもわかる仕組み・手数料・安全な方法まとめ 海外送金の限度額とは? 海外送金を行う際には、送金できる金額に制限があります。これは、外為法や金融機関が定めるルールによって決まっており、送金目的や利用するサービスによっても異なります。これらの制限は、マネー・ローンダリング防止やテロ資金供与防止、税務調査の円滑化を目的としています。 海外送金はいくらまで送れる?外為法と金融機関のルール 日本では、海外送金に関して外為法(外国為替及び外国貿易法)が適用されます。外為法第55条では、日本から海外の銀行口座に送金する場合、送金額が3,000万円を超えると、日本銀行(財務大臣)への事後報告が必要と定められています。これは、国が国際収支を正確に把握するための統計上の手続きであり、送金自体が制限されるわけではありません。 さらに、金融機関や送金サービス事業者は、マネー・ローンダリング防止や不正取引防止の観点から、独自に送金限度額を設定しています。例えば、ネット銀行や資金移動業者では、1回あたり数百万円までとするケースが多く、銀行窓口ではより高額の送金が可能な場合もあります。 出典) ・e-gov 法令検索「外国為替及び外国貿易法」 ・金融庁「金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について」 送金目的別の限度額の違い(仕送り・投資・法人送金) 送金目的によっても限度額は変わります。一般的な仕送りや留学費用の場合、金融機関が設定する上限額の範囲内であれば問題ありません。しかし、投資や法人送金など高額な資金移動を伴う場合は、追加の本人確認や契約書の提出が求められることがあります。 また、制裁対象国への送金や、特定の取引に該当する場合は、送金自体が制限されるケースもあるため、事前に金融機関へ確認することが重要です。 高額送金時の注意点と報告義務(税務署通知・審査) 高額送金を行う場合、外為法による報告義務だけでなく、税務署への通知にも注意が必要です。100万円を超える海外送金については、金融機関から税務署へ「国外送金等調書」が提出される仕組みになっています。そのため、送金後に税務署から問い合わせが来ることもあります。 さらに、金融機関は高額送金に対して独自の審査を行うため、送金目的や資金の出所を証明する書類が必要になる場合があります。スムーズな送金のためには、事前に金融機関へ確認し、必要書類を準備しておくことが安心です。 海外送金と税金の関係 海外送金そのものに税金がかかるわけではありません。しかし、送金の目的や金額によっては、贈与税や所得税などの課税対象になる場合があります。ここでは、一般情報として、どのようなケースで税金が発生するのか、また非課税となるのかについて解説します。 海外送金にかかる贈与税(非課税となるケースと必要な手続き) 海外に住む家族への送金であっても、原則として個人から贈与として財産を受け取る場合には贈与税の対象となります。ただし、生活費や教育費など特定の目的であれば非課税となる特例があります。ここでは基本的な課税ルールと、非課税措置を正しく受けるためのポイントを解説します。 出典) ・国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」 ・国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」 贈与税の基本(年間110万円の基礎控除) 贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して課税されます。 例えば、年間で200万円を送金した場合、基礎控除額を超えた「90万円」が課税対象となります。 生活費・教育費が非課税となる条件 親子や夫婦などの扶養義務者から送られる「生活費や教育費」は、贈与税の課税対象にはなりません。国税庁の規定では、非課税となる「生活費」や「教育費」について、以下のように定められています。 生活費 その人(受贈者)が通常の日常生活を営むのに必要な費用(治療費、養育費など) 教育費 その人(受贈者)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費など 預金や投資への流用は課税対象となる点に注意 名目が「生活費」であっても、使い切れずに余った資金を「預金(貯蓄)」したり、株式や不動産の購入資金に充てたりした場合は、非課税の対象外(贈与)となります。非課税措置はあくまで「生活や教育のために消費した資金」に限られます。 海外への報酬・使用料支払い時に源泉徴収が必要なケース 居住者(日本の個人や法人)が、海外に住む人(非居住者)や外国法人に対して、日本国内で行った業務への報酬や、工業所有権等の使用料などを支払う場合、支払う側で所得税等の源泉徴収が必要となることがあります。 本来、税金を納めるのは「報酬を受け取る側(海外の相手)」ですが、日本の税法上、海外にいる相手から税金を徴収するのは困難です。そのため、「支払う側(日本国内の送金者)」が、支払金額からあらかじめ税金を差し引いて(源泉徴収して)、代わりに日本の税務署へ納付する義務が課されています。 具体的には、相手に対して「税金分を差し引いた金額」を送金し、差し引いた税金は支払った月の翌月10日(場合によっては翌月末日)までに税務署へ納付します。 ただし、すべての送金が課税対象ではなく、「国内源泉所得(日本国内で行った業務への報酬や、日本からの不動産賃貸料など)」に該当する場合に限られます。 出典) ・国税庁「非居住者等に対する源泉徴収のしくみ」 ・国税庁「No.2878 国内源泉所得の範囲」 税務署への対応と必要書類 海外送金を行った後、税務署から問い合わせが来るケースがあります。特に高額送金や贈与税・所得税の対象となる場合は、申告や書類提出が必要です。この章では、税務署への対応方法と必要書類、税務調査への備え方を解説します。 税務署への申告が必要なケースと罰則 海外送金で贈与税や所得税の課税対象となる場合、申告期限までに適切な手続きを行う必要があります。贈与税の場合、贈与を受けた人が翌年の2月1日から3月15日までに申告・納税を行います。 申告を怠った場合には、本来の税金に加え、以下の罰則(付帯税)が課される可能性があります。 延滞税(利息相当分) 法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて課されます。 なお、納期限の翌日から2か月を経過する日以後は、それまでの期間に比べて高い割合の税率が適用されます。 加算税 申告漏れや無申告に対して課されます(過少申告加算税、無申告加算税など)。 重加算税 事実を隠ぺい・仮装するなど悪質な場合、上記の加算税に代わって35%~40%の(過去に無申告加算税が課されたことがある場合などは最大50%)の高い税率が適用されます。 不安な場合は、税務署や税理士に早めに相談することが重要です。 出典) ・国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」 ・国税庁「延滞税の計算方法」 ・国税庁「無申告事案における重加算税の賦課要件」 必要書類の一覧 税務署に申告や説明を行う際には、送金目的や送金の事実を示す書類を準備しておくと安心です。代表的な書類は以下のとおりです。 戸籍謄本(家族関係の証明) 送金明細書・通帳 契約書(投資や法人送金の場合) 領収書や請求書(教育費・生活費など) 送金依頼書の控え これらの書類を保管しておくことで、税務署からの問い合わせにもスムーズに対応できます。 税務調査への備え方 海外送金額が100万円を超える場合、金融機関から税務署に「国外送金等調書」が提出されるため、税務署から問い合わせが来る可能性があります。100万円以下であっても、税務署が必要と判断すれば調査が行われることがあります。 こうした税務調査に備えるためには、いくつかの準備をしておくことが望ましいです。まず、送金目的や金額を証明できる書類を整理し、保管しておくことが重要です。次に、疑問点や不安がある場合は、税務署や税理士に早めに相談しておくと安心です。さらに、国税庁が設けている相談窓口を活用することで、正しい情報を得ることができます。 事前にこうした準備を進めておけば、税務署から問い合わせや調査があった際にも、落ち着いて対応できるでしょう。 海外送金における税金のよくある誤解と注意点 海外送金に関しては、税金の取り扱いについて誤解されやすいポイントがあります。ここでは、特に多い3つの誤解と注意点を整理します。 「仕送りは非課税」は本当? 上記「海外送金と税金の関係」でも述べたように、海外に住む家族への仕送りは、生活費や教育費に充てられるものであれば、贈与税の課税対象にはなりません。しかし、すべての仕送りが無条件で非課税になるわけではありません。通常の日常生活に必要と認められる範囲を超える高額な送金や貯蓄目的の送金は、贈与税の対象となる可能性があります。 非課税であることを証明するために、用途を裏付ける証拠(領収書・振込明細・契約書など)を保管して備えておくと安心です。 「海外送金=脱税」ではない? 海外送金を行うことや受け取ること自体は脱税ではありません。ただし、課税対象となるにもかかわらず申告を怠った場合は、脱税と見なされることがあります。具体的には、所得の隠蔽や贈与税の無申告、相続税の申告漏れなどが該当します。 正しい知識を持ち、必要な書類を準備し、期限内に申告を行えば問題ありません。不安な場合は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。 税務署から問い合わせが来たらどうする? 税務署から問い合わせがあった場合、慌てる必要はありません。送金目的や送金額を証明できる書類を準備しておけば、冷静に対応できます。必要な場合は、税務署の指示に従って申告を行い、期限内に納税を済ませましょう。 事前に準備をしておくことで、税務署からの問い合わせや調査にもスムーズに対応できます。 まとめ 海外送金には、外為法や金融機関のルールによる限度額があり、さらに送金目的や金額によっては贈与税や所得税が課税される場合があります。特に高額送金や法人送金では、税務署への申告や必要書類の準備が欠かせません。 扶養義務者からの仕送りや教育費など通常の日常生活に必要と認められる範囲の送金であれば非課税となりますが、証明書類をきちんと保管しておくことが安心につながります。税務署から問い合わせがあった場合も、慌てずに対応できるよう準備しておきましょう。 不安な場合は、国税庁の相談窓口や税理士に早めに相談することをおすすめします。正しい知識と準備があれば、海外送金は安全に行えます。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。 ※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
日本は世界有数の地震多発国です。万が一の被災後に生活を立て直すため、地震保険は重要な備えといえます。しかし、「保険料の負担が大きい」「建物が耐震化されているから大丈夫」といった理由で、加入を迷う人も少なくありません。 この記事では、地震保険の仕組みや公的支援の限界、保険料の決まり方などを整理し、自分にとって必要かどうか判断できる情報をわかりやすく解説します。 地震保険の必要性と補償の仕組み 地震保険が必要かどうか判断するためには、過去の被害状況と補償の仕組みを理解することが重要です。 過去の大地震と住宅被害の実態 日本では過去30年で、震度6~7の大地震が全国各地で発生しています。 出典)一般社団法人日本損害保険協会「地震保険」 直近では、2024年1月1日に発生した能登半島地震(最大震度7)において、以下のような甚大な被害が出ました。 住家全壊:6,536棟 半壊 :23,693棟 一部破損:135,122棟 このように、耐震住宅でも被害を免れないケースが多く、地震保険の必要性は高いといえます。 出典) ・気象庁「日本付近で発生した主な被害地震(平成8年以降)」 ・内閣府 防災情報のページ「令和6年能登半島地震に係る被害状況等について」 地震保険の補償範囲と保険金額 地震保険は、火災保険では補償されない地震・噴火・津波による損害を対象とします。損害の程度に応じて、保険金は次のとおり支払われます。 損害の程度 支払われる保険金 全損 地震保険金額の100%(時価額が限度) 大半損 地震保険金額の60%(時価額の60%が限度) 小半損 地震保険金額の30%(時価額の30%が限度) 一部損 地震保険金額の5%(時価額の5%が限度) 出典)損害保険料率算出機構「地震保険基準料率」 重要な点は、地震保険の保険金額は、火災保険の30~50%の範囲内で設定する必要があることです。また、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限額となります。 つまり、建物が全壊しても、地震保険の保険金だけでは再建費用を全額カバーできません。これは、地震は一度に広範囲で甚大な被害をもたらすことがあり、民間の保険会社だけでは保険金の支払いを賄いきれなくなるリスクがあるためです。 そのため、地震保険は国と保険会社が共同で運営し、万が一の際も確実に保険金が支払われるよう、あえて補償額に上限を設けて制度の安定性を維持しています。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「地震保険の保険金額の設定にあたっては、どのような制限がありますか。」 公的支援制度の内容と限界 「国からの支援があるから保険は不要」と考える人もいますが、公的支援には上限があります。地震などの災害で住宅が全壊するなどの著しい被害を受けた場合、「被災者生活再建支援制度」により、最大300万円の支援金を受け取ることができます。地域によっては、自治体独自の支援制度を設けている場合もあります。 しかし、昨今の建築費の高騰を考慮すると、最大300万円の支援金だけで住宅を再建することはほぼ不可能です。地震保険は、この不足分を補うための重要な手段といえます。 出典)内閣府「公的支援制度について」 地震リスクと地震保険加入率の地域差 地震保険の必要性を判断するうえで、自分が住む地域の地震リスクを把握することは重要です。ここでは、地域別の地震リスクと地震保険の加入率を紹介します。 地震リスクが高い地域の分布 国立研究開発法人 防災科学技術研究所の「J-SHIS Map」によると、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が高い地域は下図のとおりです。 出典)国立研究開発法人 防災科学技術研究所「J-SHIS Map」 中でも千島海溝に面している北海道東部、南海トラフ地震が想定される九州から四国、関東までの太平洋側地域の地震リスクが特に高いことがわかります。 地震保険加入率の都道府県別データ 損害保険料率算出機構のデータによると、地震保険の世帯加入率は地域によって大きく異なります。 出典)損害保険料率算出機構「地震保険 世帯加入率」 2024年のデータでは、最も加入率が高いのが宮城県の53.5%、次いで愛知県の44.8%、熊本県の43.4%となっており、過去に大地震を経験した地域やリスクが高いとされる地域で加入率が高い傾向にあります。 ※上記統計は、居住用建物および家財を対象として損害保険会社が取り扱っている「地震保険」のみの数値であり、各種共済については含みません。 地震保険料を決める建物構造と耐震性能 地震保険の保険料は、所在地と建物構造によって大きく変わります。さらに、耐震性能による割引制度を活用すれば、負担を大きく減らすことが可能です。 地震保険料の決定要因|所在地と建物構造 地震保険料は、建物の所在地(都道府県)と建物の構造区分(イ構造・ロ構造)によって決まります。 【年間保険料の例】(注)契約金額1,000万円当たり(割引適用なしの場合) 建物の所在地(都道府県) 建物の構造区分 イ構造(主として鉄骨・コンクリート造) ロ構造(主として木造) 北海道・青森県・岩手県・秋田県・山形県・栃木県・群馬県・新潟県・富山県・石川県・福井県・長野県・岐阜県・滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・鹿児島県 7,300 円 11,200 円 宮城県・福島県・山梨県・愛知県・三重県・大阪府・和歌山県・香川県・愛媛県・宮崎県・沖縄県 11,600 円 19,500 円 茨城県・徳島県・高知県 23,000 円 41,100 円 埼玉県 26,500 円 41,100 円 千葉県・東京都・神奈川県・静岡県 27,500 円 41,100 円 出典)政府広報オンライン「被災後の生活再建を助けるために。もしものときの備え「地震保険」を」 東京・神奈川など地震リスクが高い地域は保険料も高額で、さらに木造住宅は鉄骨造より約1.5倍~2倍高い傾向があります。加入前に、自分の居住エリアと建物構造を確認し、年間保険料の目安を把握しておきましょう。 耐震性能による地震保険料の割引制度 建物に所定の免震・耐震性能がある場合、以下の割引制度を利用して保険料の負担を減らすことができます。 制度 割引率 要件 免震建築物割引 50% 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物である場合 耐震等級割引・耐震等級3 50% 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)又は国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に基づく耐震等級を有している場合 耐震等級割引・耐震等級2 30% 耐震等級割引・耐震等級1 10% 耐震診断割引 10% 地方公共団体等による耐震診断又は耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年(1981年)6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 建築年割引 10% 昭和56年(1981年)6月1日以降に新築された建物である場合 出典)政府広報オンライン「被災後の生活再建を助けるために。もしものときの備え「地震保険」を」 ※割引制度の適用を受けるためには、所定の確認資料の提出が必要です。 ※上記の割引は重複して適用することはできません。 新築や耐震等級が高い住宅なら、保険料は半額になる可能性があります。加入前には、免震建築物割引や耐震等級割引など、適用できる割引条件を必ず確認しましょう。 地震保険加入判断のためのチェックポイント ここまでの情報を踏まえ、地震保険に加入すべき人の特徴を整理します。 自己資金と住宅再建費用の関係 自宅が全壊した場合、公的支援(最大300万円)だけでは再建費用を賄うことはほぼ不可能です。預貯金や自己資金で建て直しや仮住まいの費用をカバーできない場合、地震保険の必要性は非常に高いといえます。 地震リスクが高い地域での備え 南海トラフ地震など、マグニチュード8~9クラスの地震が30年以内に発生する確率は70~80%と予測されています。地震リスクが高い地域に住んでいる場合、経済的な備えとして地震保険は重要です。 ただし、地震は予測できないため、リスクマップだけで判断せず、万が一に備える姿勢が必要です。 家財の損害と地震保険の必要性 地震保険は建物だけでなく、家財も補償対象です。高額な家具や家電が多い場合、損害額も大きくなるため、家財を対象とした地震保険の加入も検討しましょう。 地震補償保険などで不足分を補う方法 通常の地震保険は火災保険の最大50%までしか補償されません。住宅ローンが残っている場合や、元の生活水準を維持したい場合は、地震補償保険などの上乗せ商品や地震保険に追加できる上乗せ特約を検討することが有効です。これにより、再建費用を確実に確保できます。 ※筆者作成 まとめ 日本は世界有数の地震多発国であり、過去には幅広い地域で震度6~7規模の大地震が発生しています。公的支援制度だけで自宅を再建するのは難しく、十分な自己資金がない場合は地震保険の必要性は非常に高いといえます。 ただし、地震保険は火災保険の最大50%までしか補償されません。備えが不十分と感じる場合は、地震補償保険などの上乗せ商品や地震保険に追加できる上乗せ特約を検討し、再建費用を確保することが安心につながります。万が一に備えるため、保険料の目安や割引制度を確認し、自分に合った補償を選ぶことが生活再建のカギとなります。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。 SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 新耐震基準とは?中古住宅購入時に確認すべき耐震性能のポイント 日本は世界でも有数の地震の多い国であり、住宅の「耐震性」は、安心して暮らすために欠かせない重要な要素です。特に中古住宅を購入する際には、その建物がどの耐震基準に基づいて建てられているかを確認...
地震保険料控除は、年末調整や確定申告で適用できる所得控除制度のひとつです。地震保険料を支払っている方が一定の条件を満たすことで、所得税や住民税の課税所得から控除され、税負担を軽減できます。 この記事では、制度の概要・対象条件・控除額の計算方法・証明書の取得手順・記入例・注意点まで、わかりやすく解説します。 地震保険料控除とは?制度概要と対象条件 地震保険料控除は、1月1日から12月31日までの1年間に支払った地震保険料に応じて、所得税や住民税の課税所得から一定額を差し引ける制度です。これにより、地震への備えをしながら税負担を軽減できます。 この制度は、2006年の税制改正で「損害保険料控除」が廃止されたことを受け、2007年1月から新たに導入されました。地震保険に加入している方は、年末調整や確定申告でこの控除を適用することで節税効果が得られます。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 控除の対象となる契約条件 地震保険料控除を受けるには、次の条件を満たす必要があります。 居住用として常時使用する建物、または生活に必要な家財が補償対象であること 契約者本人、または生計を一にする配偶者や親族が所有する建物や家財であること なお、空き家やセカンドハウスなど、居住用として使用していない不動産は対象外です。申告前に契約内容を必ず確認しましょう。 出典)国税庁「No.1146 地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約」 旧長期損害保険契約の経過措置 2006年12月31日以前に契約した「長期損害保険契約」は、以下の条件をすべて満たす場合に限り、経過措置として控除対象となります。 契約日が2006年12月31日以前であること 保険期間又は共済期間が10年以上で、満期返戻金等があること 2007年1月1日以降に契約内容の変更(異動)を行っていないこと この経過措置は、古い契約を継続している方にとって重要なポイントです。自身が加入している地震保険がどちらに該当するのか確認するようにしましょう。 出典) ・国税庁「No.1145 地震保険料控除」 ・国税庁「地震保険料控除に関する経過措置」 地震保険料控除の金額と計算方法 地震保険料控除の控除額は、契約の種類によって異なります。「地震保険契約」と「旧長期損害保険契約(経過措置)」で計算方法が変わるため、以下で詳しく解説します。 地震保険契約の場合 2007年以降に契約した地震保険はこちらに該当します。控除額は、年間の支払保険料に応じて次のように決まります。控除額には上限があり、5万円を超える部分は一律で5万円となります。 税の種類 年間の支払保険料 控除額 所得税 5万円以下 支払保険料全額 5万円超 一律5万円 住民税 5万円以下 支払保険料×1/2 5万円超 一律2万5,000円 旧長期損害保険契約(経過措置)の場合 2006年12月31日以前に契約した長期損害保険契約は、一定条件を満たす場合に限り控除対象です。控除額は次のとおりです。旧契約は控除額の計算が複雑なので、証明書に記載された金額をよく確認するようにしましょう。 税の種類 年間の支払保険料 控除額 所得税 1万円以下 支払保険料全額 1万円超2万円以下 支払保険料×1/2+5,000円 2万円超 一律1万5,000円 住民税 5,000円以下 支払保険料全額 5,000円超1万5,000円以下 支払保険料×1/2+2,500円 1万5,000円超 一律1万円 両方の契約がある場合の上限 地震保険契約と旧長期損害保険の両方を契約している場合、それぞれの控除額を合算できます。ただし、合算後の上限額は所得税が5万円、住民税が2万5,000円です。複数契約がある場合でも、上限を超える控除はできないので注意しましょう。 出典) ・国税庁「No.1145 地震保険料控除」 ・東京都主税局「個人住民税(地震保険料控除)」 地震保険料控除証明書の取得方法と提出書類 地震保険料控除を受けるためには、保険会社が発行する「地震保険料控除証明書」が必須です。証明書がないと控除を適用できないため、手元に届いているか必ず確認しましょう。 控除証明書の取得方法 地震保険料控除を受けるには、保険会社から発行される「地震保険料控除証明書」が必要です。一般的に、毎年10月頃に保険会社から契約者宛てにハガキ形式などで郵送されます。もし手元に届かない場合や紛失した場合は、速やかに保険会社のホームページやコールセンターを通じて再発行を申し込みましょう。 また、一部の保険会社では電子データでの交付にも対応しています。e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用する場合は、電子データの活用が便利です。 年末調整と確定申告での提出書類の違い 地震保険料控除を受けるには、会社員などが勤務先で行う「年末調整」と、自営業者などが自身で行う「確定申告」の2種類のどちらかの手続きが必要です。 年末調整 勤務先に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に、保険会社名や支払保険料、控除額などを記入し、控除証明書を添付して提出します。 確定申告 確定申告書の第一表および第二表に必要事項を記入し、控除証明書を添付して提出します。なお、マイナポータル連携を利用してe-Taxで申告する場合は、控除証明書の添付を省略可能です。 出典)国税庁「No.1145 地震保険料控除」 確定申告における地震保険料控除の記入例 ここでは、年間の地震保険料と控除額が「25,000円」の場合を例に、確定申告書の記入箇所を解説します。 確定申告書(第一表)の記入例 下図左側の「所得から差し引かれる金額」の項目にある「地震保険料控除」の欄に、控除額「25,000」を記入します。 確定申告書(第二表)の記入方法 「保険料等の種類」の欄にある「地震保険料控除」の箇所に、地震保険料「25,000」を記入します。 e-Taxの入力手順 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って金額を入力するだけで、自動的に控除額が計算され、確定申告書に反映されます。「控除の入力」画面にある「地震保険料控除」の項目から手続きを進められます。 出典) ・国税庁「令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」 ・国税庁「令和6年分確定申告書作成コーナー(地震保険料を支払った場合)」 地震保険料控除に関する注意点とよくある間違い 確定申告の内容に誤りがあると、税務署から確認の連絡がきたり、修正申告が必要になったりする場合があります。以下の点に注意しましょう。 火災保険料部分は控除対象外 地震保険は多くの場合、火災保険とセットで契約しますが、控除の対象となるのは「地震保険料」の部分のみです。火災保険料は地震保険料控除の対象にはなりません。控除証明書の控除対象保険料をよく確認し、金額を間違えないよう注意しましょう。 一括払い契約の控除額計算 長期契約で保険料を一括払いしている場合、その年に控除できるのは「1年分相当」の保険料のみです。この場合、控除対象額は「一括払い保険料 ÷ 保険期間(年)」で算出します。 正確な金額は、毎年送付される控除証明書に記載されています。 店舗併用住宅の控除額計算 店舗や事務所と自宅が一体となった「店舗併用住宅」の場合、控除対象となるのは「居住用部分」のみです。建物全体に対する保険料ではなく、「地震保険料 × 住居部分の延床面積 / 建物全体の延床面積」で算出した金額をもとに申告する必要があります。 ただし、住居として使用している面積が建物全体の90%以上である場合は、居住専用とみなされ、地震保険料の全額を控除対象とすることができます。 出典)国税庁「法第77条《地震保険料控除》関係」 地震補償保険が控除対象外となる理由 地震への備えとして、単独で加入できる「地震補償保険」という商品(保険会社により名称は異なります)がありますが、これは税制上の地震保険料控除の対象外です。 出典)国税庁「No.1146 地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約」 地震保険との違いと補償範囲 地震補償保険(保険会社により名称は異なります)は、民間保険会社が提供する任意の補償商品であり、公的制度である「地震保険」とは異なります。地震保険は法律に基づき、火災保険とセットで契約し、補償額や条件に制限があります。 一方、地震補償保険は、地震保険の不足分を補うために設計されており、補償範囲や金額は保険会社ごとに異なります。 なぜ税制優遇がないのか 控除のメリットがないにもかかわらず検討される背景には、公的な仕組みである「地震保険」特有の補償限度額があります。 通常の地震保険は、法律により「火災保険金額の30%~50%」の範囲内でしか設定できません。また、建物は5,000万円、家財は1,000万円という上限もあります。そのため、万が一の大震災で自宅が全壊した場合でも、受け取れる保険金は最大で建物の再調達価格の半額程度にとどまります。 こうした「地震保険だけではカバーしきれない費用」への備えとして、上乗せで保険金を受け取れる地震補償保険が存在します。税制優遇はありませんが、リスク対策手段のひとつとして理解しておくとよいでしょう。 出典)損害保険協会「地震保険の保険金額の設定にあたっては、どのような制限がありますか。」 まとめ 地震保険料控除は、地震への備えをしながら税負担を軽減できる重要な制度です。 年末調整や確定申告で正しく申告するためには、次のポイントを押さえておきましょう。 控除対象は「地震保険料」のみ。火災保険料は対象外 毎年10月頃に届く「地震保険料控除証明書」を必ず確認 年末調整では勤務先に提出、確定申告では申告書に記入し添付 e-Taxを利用すれば控除証明書の添付を省略できる場合あり 一括払い契約や店舗併用住宅の場合は計算方法に注意 正しい手続きを行うことで、所得税は最大5万円、住民税は最大2万5,000円の控除が受けられます。控除証明書を紛失した場合は早めに再発行を依頼し、申告期限までに準備を整えましょう。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。 SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 新耐震基準とは?中古住宅購入時に確認すべき耐震性能のポイント 日本は世界でも有数の地震の多い国であり、住宅の「耐震性」は、安心して暮らすために欠かせない重要な要素です。特に中古住宅を購入する際には、その建物がどの耐震基準に基づいて建てられているかを確認...
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、16万件を超える大規模な住宅被害が発生しました。日本は地震大国であり、今後も大地震が発生するリスクがあります。地震による住宅被害を最小限に抑え、生活を再建するにはどのような備えが必要なのでしょうか。 この記事では、能登半島地震のデータをもとに、住宅被害の実態や復興の進捗、今後の課題、地震保険や防災対策の備えについて解説します。 能登半島地震による住宅被害の実態 能登半島地震では、住宅被害が16万件を超え、生活基盤に深刻な影響を与えました。特に古い木造住宅の倒壊が目立ち、耐震化の遅れが課題として浮き彫りになっています。ここでは、被害規模とライフラインへの影響を整理し、なぜこれほどの被害が発生したのかを考えます。 被害規模と住宅倒壊の状況 2024年1月1日午後4時10分、石川県能登地方でマグニチュード7.6、最大震度7の地震が発生しました。その後半年間で震度5強以上の地震が12回観測され、被害は石川県を中心に新潟・富山・福井にも広がりました。 内閣府の報告による住宅被害の状況は次のとおりです。 被害区分 棟数 全壊 6,536棟 半壊 2万3,693棟 一部破損 13万5,122棟 出典)内閣府 防災情報のページ「令和6年能登半島地震に係る被害状況等について」 合計16万件超の住宅が損壊し、生活再建に大きな課題を残しました。 火災発生やライフラインへの影響 地震の揺れだけでなく、二次災害も深刻でした。発生から約2か月間で火災は17件、交通網は寸断され、電気・水道などライフラインの復旧に時間を要しました。 断水 最大約13万5,000戸 停電 最大約4万4,000戸 長期の避難生活を余儀なくされた世帯も多く、災害時のライフライン確保の重要性が改めて浮き彫りになりました。 出典)内閣府 防災情報のページ「特集① 令和6年能登半島地震」 復興の進捗と現在の住まいの状況 能登半島地震の発生から1年以上が経過し、被災地は「避難」から「復旧」、そして「生活再建」へと移行しています。しかし、復興は長期化しており、高齢化や建設業者不足などの課題が影響しています。ここでは、仮設住宅の設置状況、公費解体とインフラ復旧、災害公営住宅の整備、不動産市場の変化を整理します。 仮設住宅の設置状況 生活の基盤となる住まいの確保は、復興の第一歩です。能登半島地震では住宅の全壊・半壊が相次ぎ、自力で住居を確保できない世帯に対し、災害救助法に基づく応急仮設住宅が提供されました。必要戸数6,882戸は2024年12月23日にすべて建設完了しました。 仮設住宅はプレハブ型が中心で、入居条件は「住宅が全壊し居住できない」など所定の要件を満たすことが必要です。しかし、長期入居によるコミュニティの分断や孤独問題など、生活再建には新たな課題も生じています。 出典) ・石川県「応急仮設住宅(建設型)について(災害救助法:令和6年(2024年)能登半島地震)」 ・内閣府 防災情報のページ「能登半島地震・豪雨におけるこれまでの取組と今後の対応方針について」 公費解体とインフラ復旧の現在地 仮設住宅の整備と並行して、倒壊した家屋の処理やインフラ復旧も進められています。公費解体は、所有者に代わって自治体が解体を行う制度で、放置された家屋による防災・衛生リスクを防ぐために重要です。2025年10月末時点で申請棟数約4万棟のうち95%が完了し、街の景観は「倒壊家屋」から「更地」へと変わりつつあります。 インフラについては、上下水道の応急復旧は完了しましたが、耐震化を含む本復旧は2028年度末を目標に進行中です。完全復旧まで時間を要するため、住民の帰還や生活再建には長期的な課題が残っています。 出典) ・石川県「公費解体の進捗状況(令和7年10月末)p.1」 ・国土交通省「令和6年能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通し (令和7年9月末時点)p.4」 災害公営住宅の整備と将来を見据えた工夫 仮設住宅の次のステップとして、恒久的な住まいとなる災害公営住宅の整備が進められています。能登半島地震では、石川県と富山県の10市町で約3,000戸の建設が計画され、2026年夏頃から順次入居が始まる予定です。 災害公営住宅は、長期的な生活再建を支える重要な施策ですが、人口減少や高齢化を踏まえた工夫も求められています。具体的には、将来的に「移住者への分譲」や「福祉施設等への転用」が可能な設計を採用するなど、資産価値を維持する取り組みが検討されています。 また、コミュニティの維持や高齢者支援のため、共用スペースや見守り体制の整備も課題となっています。 出典) ・国土交通省「令和6年能登半島地震による被災者の住まいの確保」 ・国土交通省「中長期的活用を見据えた災害公営住宅の供給上の工夫についてp.8」 ・国土交通省「令和6年能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通し (令和7年9月末時点)p.15」 不動産市場や賃貸需要の変化 震災は地域の不動産市場にも大きな影響を与えています。国土交通省の「令和7年地価公示」によると、石川県全体では住宅地の地価変動率が前年比+0.6%とわずかに上昇しましたが、甚大な被害を受けた能登地方では地価が大きく下落しました。 全国の地価変動率下位10地点はすべて能登地方が占めており、被災リスクの高まりや再建コスト増、人口流出が背景にあります。賃貸市場では、震災直後に仮住まい需要が急増し、家賃の上昇や空室率の低下が見られました。 しかし、長期的には人口減少や経済活動の停滞により、空室率の上昇や家賃の下落が懸念されています。こうした不動産価値の変動は、生活再建や資産形成に大きな影響を与えるため、今後の動向を注視する必要があります。 出典) ・国土交通省「令和7年地価公示の概要 p.5,p.8」 ・公益社団法人 石川県宅地建物取引業協会「第19回不動産市況DI調査」 今後の課題と生活再建に必要な資金と支援策 能登半島地震では、公的支援や保険金が生活再建を支えましたが、受け取れる金額には限度があります。住宅再建には数千万円単位の費用がかかることもあり、資金不足や二重ローン問題が深刻化しています。ここでは、公的支援の課題と地震保険の現状を整理し、今後の備えについて考えます。 公的支援の課題と「二重ローン」のリスク 能登半島地震では「被災者生活再建支援金」や「災害援護資金」などの公的支援が用意されましたが、これだけで元の生活を取り戻すことは困難です。支援金は最大300万円、自治体の上乗せを含めても数百万円規模にとどまり、住宅再建には数千万円単位の費用がかかるケースが多いためです。 特に深刻なのが「二重ローン」の問題です。自宅が全壊しても既存の住宅ローンは免除されず、再建のために新たな借り入れを行うと返済負担が二重になります。国や自治体は「災害援護資金」の貸付や「フラット35」の返済猶予措置を設けていますが、あくまで一時的な支援であり、最終的な返済負担は残ります。 こうした現状から、生活再建には公的支援だけでなく、自助努力による備えが不可欠です。 出典) ・石川県「令和6年能登半島地震における被災者生活再建支援金について」 ・石川県「令和6年能登半島地震 被災者生活再建支援制度 市町独自制度一覧」 ・珠洲市「珠洲市住まい再建支援金」 ・内閣府 防災情報のページ「災害援護資金の貸付」 地震保険の現状と課題 能登半島地震では、地震保険の重要性が改めて浮き彫りになりました。損害保険協会によると、2024年5月31日時点の支払保険金額は約910億円、支払件数は10万3,439件に上りました。しかし、2022年度の石川県の世帯加入率は30.2%、富山県は27.0%であり、生活再建資金の不足が深刻な課題となっています。 地震保険は火災保険に付帯する形で加入しますが、補償額は火災保険の30~50%に制限され、建物は最大5,000万円、家財は最大1,000万円までです。再建費用を全額カバーすることはできず、保険料負担や補償額の制限が加入率の低さにつながっています。 今後は、上乗せ補償や民間保険の活用、加入促進策が課題です。次章では、地震への備えと保険の重要性をさらに詳しく解説します。 出典) ・一般社団法人 日本損害保険協会「令和6年能登半島地震に係る地震保険の 支払件数・支払保険金等について」 ・損害保険料率算出機構「2022年度 地震保険世帯加入率」 地震への備えと保険の重要性 能登半島地震では、住宅被害が16万件を超え、生活再建には公的支援だけでなく保険や自助努力が不可欠であることが明らかになりました。ここでは、地震への備えとして、ハザードマップの活用、保険の見直し、経済的な準備のポイントを整理します。 ハザードマップで災害リスクを確認する重要性 能登半島地震では、地盤の弱い地域や津波リスクのある沿岸部で住宅被害が集中しました。こうした被害を防ぐために重要なのがハザードマップです。ハザードマップは、洪水・津波・土砂災害などのリスクや避難場所、避難経路を示した地図で、自治体や国土交通省のサイトで確認できます。 マイホームを購入する際は、必ずハザードマップで災害リスクを確認し、できるだけ安全な立地を選ぶことが生活再建の第一歩です。また、現在の住まいでも避難経路や避難所を事前に把握しておくことが重要です。 関連記事はこちらハザードマップとは?使い方や活用ポイントを解説 火災保険と地震保険の違いと補償の限界 火災保険と地震保険では補償範囲に大きな違いがあります。火災保険は火災や風水害などによる損害を補償しますが、地震・噴火・津波による損害は対象外です。一方、地震保険は地震・噴火・津波を原因とする火災や損壊、埋没、流失を補償します。 ただし、地震保険の補償額は法律で制限されており、火災保険の30~50%の範囲で設定されます。建物は最大5,000万円、家財は最大1,000万円が上限です。これは、巨大災害時に保険金総額が膨らみすぎないよう国と民間が共同で運営しているためです。 能登半島地震では、地震保険の支払保険金額は約910億円に達しましたが、再建費用を全額カバーするには不十分なケースが多く、自己資金や追加補償の必要性が浮き彫りになりました。こうした補償の限界を理解し、上乗せ保険や資金計画を検討することが重要です。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 地震保険の加入率と見直しのポイント 地震保険の世帯加入率は2024年の全国平均で35.4%、火災保険契約における地震保険付帯率は70.4%と過去最高を記録しました。しかし、能登半島地震では加入率が低い地域で生活再建資金の不足が深刻化し、保険の重要性が改めて浮き彫りになりました。 地震保険を見直す際は、次のポイントを確認しましょう。 居住エリアのリスク ハザードマップで地震・津波・液状化リスクを確認。 再建資金の有無 自己資金だけで生活再建が可能か。 資産の保全 建物や家財が高額な場合、失った際の経済的ダメージに耐えられるか。 地震保険は火災保険の30~50%しか補償されないため、上乗せ補償や特約の活用も検討し、万が一に備えた資金計画を立てることが重要です。 出典) ・損害保険料率算出機構「2024年度 地震保険付帯率、世帯加入率」 ・損害保険料率算出機構「火災保険契約のうち70.4%が地震保険を付帯(2024年度地震保険付帯率)」 まとめ 能登半島地震の被害と復興の状況から、生活再建には公的支援だけでは不十分であることがわかります。万が一に備えて耐震補強や防災グッズの準備に加え、地震保険の見直しや資金計画を検討することが重要です。 万が一の際に資金不足に陥らないよう、今のうちから以下の対策を検討しておきましょう。 耐震補強や防災グッズの準備 ハザードマップでリスク確認 地震保険や火災保険の補償内容を見直す 上乗せ補償や生活再建資金の計画を検討 災害はいつ起こるかわかりません。物理的・経済的な備えの両面から、ご家族の暮らしを守る準備を始めましょう。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。 SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 新耐震基準とは?中古住宅購入時に確認すべき耐震性能のポイント 日本は世界でも有数の地震の多い国であり、住宅の「耐震性」は、安心して暮らすために欠かせない重要な要素です。特に中古住宅を購入する際には、その建物がどの耐震基準に基づいて建てられているかを確認...
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。前回の記事(【フラット35】2025年12月は1.97%に決定|公認会計士の予測と機構債分析!)では、【フラット35】の12月金利を1.90%~1.95%と予想し、結果は1.97%となりました。 12月19日の日銀会合では、政策金利の0.75%への引き上げが決定され、約30年ぶりの水準となりました。この決定を受け、債券市場では新発10年国債利回りが2%超に急騰した一方で、為替市場では1ドル=157円の円安に振れ、金融市場全体に大きな変動が生じています。 この記事では、この環境の変化を踏まえた【フラット35】の2026年1月の金利予想を、最新データと機構への取材情報から解説します。 2026年1月の【フラット35】金利は2.08% に決定しました(更新日:2026年1月5日)。 【フラット35】2025年12月金利予想の結果と検証 2025年12月の金利は1.97%に決定 2025年12月の【フラット35】金利は1.97%に決定し、11月下旬での予想(1.90%~1.95%)をやや上回る結果です。 背景には、新発10年国債利回りと機構債の表面利率がともに0.15ポイント上昇したことがありますが、住宅金融支援機構の調整により急騰は回避されました。 なお、【フラット35】の金利は、以下の簡易式で説明できます。 ・予測ロジック(簡易式) 予測金利 ≒新発10年国債利回り + ローンチスプレッド – 調整幅(機構裁量) 金利上昇が抑えられた要因 金利上昇が抑えられた最大の理由は、住宅金融支援機構が逆ザヤを許容して低金利を維持していることです。逆ザヤとは、機構債の「仕入金利」が【フラット35】の貸出金利を上回る状態を指します。 この状態は2025年6月に初めて確認され、たいそう驚いたものですが、直近の2025年12月では逆ザヤの幅が0.33ポイントまで拡大しています。つまり、住宅金融支援機構は収益を犠牲にしてでも、急激な【フラット35】金利上昇を利用者に転嫁しない方針を取っています。 逆ザヤの推移(機構債 vs フラット35) 月 機構債表面利率(機構債発表日) フラット35金利 金利差(逆ザヤ) 2025年6月1.94%(5月22日)1.89%-0.05ポイント 2025年7月1.88%(6月20日)1.84%-0.04ポイント 2025年8月2.02%(7月18日)1.87%-0.15ポイント 2025年9月2.08%(8月21日)1.89%-0.19ポイント 2025年10月2.12%(9月19日)1.89%-0.23ポイント 2025年11月2.15%(10月17日)1.90%-0.25ポイント 2025年12月2.30%(11月20日)1.97%-0.33ポイント ※出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 【フラット35】2026年1月金利予想 2026年1月の金利は1.99%~2.04%と予想 12月の日銀会合で政策金利が0.75%に引き上げられた影響で、新発10年国債利回りは会合前の1.95%前後から週明けには2.10%まで急騰しました。市場は今回の決定を「タカ派寄り」と受け止め、長期金利に強い上昇圧力がかかっています。 この国債利回りの上昇は、住宅金融支援機構が【フラット35】の資金調達に用いる機構債の表面利率にも直結します。12月時点で機構債は2.30%でしたが、1月は2.45%へ上昇。ローンチスプレッドは0.51%で横ばいです。 こうした状況を踏まえ、千日太郎の【フラット35】予想レンジは1.99%~2.04%としました。急騰局面でも、機構の「激変緩和」策により上昇幅は抑えられると見ています。 【フラット35】金利推移と2026年1月予想 2025年10月 2025年11月 2025年12月 2026年1月千日太郎の予想 【フラット35】の金利(※) 1.89% 1.90% 1.97% 1.99%~2.04%※1/5発表の金利は2.08%でした ※出典)住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」 シナリオ①:1.99%「激変緩和」 1.99%のシナリオは「激変緩和」措置への期待です。10年国債利回りの上昇に伴う機構債の表面利率の上昇を、住宅ローンの金利に反映させないことで、住宅金融の円滑化を図るというシナリオです。金利が2.00%を超えるかどうかは心理的な壁として作用するため、願わくば2%台に抑えてほしいという期待も込めての予想です。 シナリオ②:2.04%「マイナス幅の限度+激変緩和」 逆ザヤの限界を考慮した場合、【フラット35】金利の理論値は2.12%ですが、前月比で+0.15ポイントの急上昇は避けたいところです。そこで、「激変緩和」により上昇幅を+0.07ポイント程度に抑え、2.04%とするシナリオです。 機構債の表面利率・新発10年国債利回り・ローンチスプレッドの推移 主要データ(2025年12月22日時点) 機構債発表日 2025年9月19日 2025年10月17日 2025年11月20日 2025年12月17日 機構債の表面利率(※1) 2.12% 2.15% 2.30% 2.45% 新発10年国債利回り(※2) 1.61% 1.64% 1.79% 1.94% ローンチスプレッド(※1) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) ※1 出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※2 10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。 【フラット35】2026年1月金利予想の背景要因と機構の戦略 千日太郎の予想として、今回は「市場金利は急上昇したが、フラット35の金利上昇は最小限に抑えられる(1.99%~2.04%)」と見ています。その根拠は、金利決定に影響する3つの要素を分析した結果です。 市場要因(上昇要因) 機構債の表面利率(上昇要因) 機構債の戦略的判断(抑制要因:逆ザヤとE55債) それぞれの動きを順に見ていきます。 市場要因(国債利回り・ローンチスプレッド) まず、金利のベースとなる「新発10年国債利回り」は、日銀の利上げを受けて1.79%から1.94%へ0.15ポイント上昇しました。 一方で、投資家の期待利回りである「ローンチスプレッド(国債との金利差)」は、直近3ヶ月間0.51%で横ばいを維持しています。 これは、国債の金利が上がった分だけ、機械的に調達コスト(機構債)も上がったことを意味します。 機構債の表面利率の動向 住宅金融支援機構の資金調達コストにあたる「機構債の表面利率」は、2.30%から2.45%へ0.15ポイント上昇しました。 通常であれば、仕入値(機構債)の0.15ポイントの上昇を売値(フラット35)に転嫁し、【フラット35】金利は2.12%まで上がる計算です。しかし、今回はそこまでは上がらないと予想しています。その理由が次の要素です。 機構の戦略的判断 住宅金融支援機構は以下の2つの手段で金利上昇を抑えていると考えられます。 ①「逆ザヤ」の許容(短期的対策) 2025年12月の逆ザヤ幅は-0.33ポイントと過去最大に達しました。ここから、急激な金利上昇(激変)を緩和するために、逆ザヤ幅を維持、あるいは一時的に拡大させてでも、急激な金利転嫁を防ぐはずです。 ②「E55債」による調達コスト圧縮(中長期的対策) 赤字(逆ザヤ)を垂れ流し続けることはできません。そこで切り札となるのが、新たな資金調達手段「E55(イーゴーゴー)債」です。 E55債の概要と特徴 2025年11月に、住宅金融支援機構への直接取材でその実務面を聞く機会を得ました。E55債は、長期金利が上昇する環境下でも低金利の住宅ローンを提供するために開発された新たな資金調達方法です。2025年10月発行分では、通常の機構債よりも実際に低コストでの調達を実現しています。 E55債の概要 発表日 表面利率 10年国債利回り ローンチスプレッド 2025年10月22日1.63%1.27%0.36% ※出典)住宅金融支援機構「発行実績-E55債」 E55債が低金利で調達できる理由は、「未償還残高が一定割合(55%)を下回ると全額繰上償還される」という特殊なルールにあります。 通常の機構債 機構債の未償還残高総額が当初発行総額の10%以下になるまで、原則として全額繰上償還されません。 E55債 機構債の未償還残高総額が当初発行総額の55%以下となった場合、1年以内に全額繰上償還をする義務があります。 投資家にとっては通常の機構債よりも「早くお金が返ってくる可能性が高い」ため、リスクが低く、そのぶん低い金利でも買ってくれるのです。この仕組みにより投資家のリスクが低下し、低金利での発行が可能になります。E55債の発行が増えれば、【フラット35】の金利上昇はさらに抑えられる見込みです。 ■機構債の種類と償還ルールの違い 出典:S&P Global Ratings 住宅金融支援機構債券の概要 2025年11月17日 まとめ 12月の日銀利上げにより、市場金利は急騰しました。新発10年国債利回りは2%超、機構債の表面利率も2.45%まで上昇しています。通常であれば【フラット35】の金利は大幅に引き上げられる局面ですが、住宅金融支援機構は逆ザヤの許容とE55債による低コスト調達という戦略で、急激な上昇を抑えています。 2026年1月の予想レンジは1.99%~2.04%。心理的な「2%超え」を避ける調整が働く可能性が高く、長期固定金利の安定性は維持される見込みです。 今後もインフレや追加利上げで市場金利は上昇圧力を受けますが、【フラット35】は政策的な役割と新たな資金調達手段により、利用者にとって安心感のある選択肢であり続けるでしょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 千日太郎(Sennichi Taro) 公認会計士としての専門知識を活かし、YouTubeなどを通じて住宅ローンの仕組みや金利動向についての情報を発信。住宅購入を検討する人に向けた実務的な内容を中心に、金融に関する知識をわかりやすく解説している。 著書『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』では、住宅ローンの選び方や返済計画に関する基本的な考え方を丁寧に紹介しており、実用的な入門書として一定の評価を得ている。 住宅ローンに関する独自の視点や分析は、利用者や一部の業界関係者からも注目されており、継続的に情報提供を行っている点が特徴。
海外送金サービスは銀行・ネット銀行・資金移動業者など多様な選択肢がありますが、どれを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。サービスごとに手数料・対応国・送金スピードが異なるため、比較して選ぶことが重要です。 この記事では、海外送金サービスを選ぶ前に知っておきたい基本から、手数料の仕組み・為替レートの影響・送金スピードの違いまで詳しく解説します。 海外送金サービスを選ぶ前に知っておきたい基本 海外送金サービスを利用する際には、単に「どの会社が安いか」だけでなく、仕組みや注意点を理解しておくことが重要です。送金方法や手数料の構造、為替レートの影響、着金までのスピードなど、複数の要素が総コストや利便性に直結します。 ここでは、海外送金の基本的な仕組みと、選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。 海外送金の仕組みと注意点 海外送金は、ある国の銀行や送金サービスから別の国の受取人の口座へ資金を移動する仕組みです。一般的には、以下の流れで行われます。 送金依頼 送金額・通貨・受取人情報を指定 為替換算 円を外貨に両替(為替レート+スプレッドが適用) 送金処理 SWIFTネットワークや送金業者のシステムを通じて資金移動 着金 受取人の口座に入金(中継銀行を経由する場合あり) 注意点として、送金手数料の他に中継銀行手数料や受取銀行手数料が発生するケースがあります。また、送金目的によっては税務署への申告や本人確認(KYC)が必要になるため、事前に確認しておきましょう。 関連記事はこちら海外送金とは?初心者にもわかる仕組み・手数料・安全な方法まとめ 手数料・為替レートの関係 海外送金の総コストは、単なる「送金手数料」だけではありません。以下の3つの要素が密接に関係しています。 送金手数料(及び関連手数料) 銀行やサービスによって異なり、送金時の手数料に加え、中継銀行や受取銀行の手数料が発生する場合もあり、これらを含めた総額で比較が必要です。 為替レート+スプレッド 金融機関が設定するスプレッドは、市場レートと銀行や送金サービスが提示するレートの差を指し、これも実質的なコストとなります。スプレッドが広い場合は実質的なコストが増加します。 例えば、「手数料ゼロ」をうたうサービスでも、為替レートに大きなスプレッドが含まれている場合があります。また、スピードを重視して即日送金を選ぶと、追加手数料が発生するケースもあります。総コスト+利便性(スピード)のバランスを考えて選ぶことが重要です。 海外送金サービスを選ぶ3つの重要ポイント 海外送金サービスを選ぶ際には、単に「手数料が安い」だけで判断するのではなく、総コスト・対応国・送金スピードを総合的に比較することが、失敗しない選び方の基本です。 手数料の違いと総コストの考え方 海外送金の費用は、送金手数料だけでなく、為替レートのスプレッドや中継銀行・受取銀行の追加手数料も含まれます。例えば、手数料が無料と表示されていても、為替レートに大きなスプレッドが設定されている場合、結果的に高くなることがあります。 送金手数料が固定額なのか、送金額に応じて変わるのかを確認しましょう。また、為替レートにどれくらいのスプレッドが含まれているかを公式サイトでチェックすることも重要です。さらに、中継銀行や受取銀行で追加の手数料が発生する場合があるので、事前に把握しておくと安心です。 関連記事はこちら海外送金の手数料を安くするには?主要サービス比較と注意点を解説 対応国・通貨の確認方法 サービスによって、送金できる国や通貨の種類は異なります。特にビジネス利用で様々な国と取引をする場合は、対応範囲が広いサービスを選ぶことが重要です。 送金できる国や地域を公式サイトで確認しましょう。米ドルやユーロ以外の通貨にも対応しているかどうかもチェックが必要です。ビジネス利用の場合は、請求書対応や複数送金機能があるかどうかも見ておくと便利です。 送金スピードの確認と注意点 即日送金などのスピードはサービスを選ぶ上で魅力的ですが、スピードだけで選ぶのではなく、その業者が信頼できるかどうかも同時に確認が必要です。 まずは、着金までにどれくらい時間がかかるのかを確認しましょう。即日送金なのか、数営業日かかるのかで利便性が大きく変わります。 それと同時に、安全性のチェックも不可欠です。金融庁(財務局)への登録有無(資金移動業者の場合)はもちろん、暗号化や二段階認証などのセキュリティ対策、法令に基づく厳格な本人確認(KYC)が行われている事業者であるかを必ず確認してください。 海外送金サービスの比較【メガバンク・ネット銀行・資金移動業者】 海外送金サービスには、メガバンク・ネット銀行・資金移動業者という3つの主要な選択肢があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、利用目的や送金条件によって適したサービスは異なります。ここでは、各分類の特徴を整理します。 メガバンクの特徴とメリット・デメリット メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など)は、海外送金において高い信頼性を持ち、世界中の銀行ネットワークを通じて安全に資金を移動できます。 メリット 対面窓口での相談が可能で、トラブル時も安心 大手金融機関としての高い社会的信用と堅牢なコンプライアンス体制 デメリット ネット専業や資金移動業者に比べ、総コストが割高な傾向 着金までに時間がかかる場合が多い ネット銀行の特徴とメリット・デメリット ネット銀行(楽天銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行など)は、オンラインで完結できる利便性が魅力です。スマホやPCから簡単に送金でき、総コストもメガバンクより比較的安い傾向があります。多通貨対応や原則24時間手続き可能な点も特徴です。 メリット 手数料が安い(数百円~) 銀行窓口に行く必要がなく、原則24時間手続きが可能 デメリット 対面でのサポートを受けられない 一部の銀行では個人向けの海外送金機能自体がない 資金移動業者の特徴とメリット・デメリット 資金移動業者は、銀行以外の企業が提供する海外送金サービスで、手数料の安さや送金スピードの速さが特徴です。金融庁に登録された事業者であり、資金決済法に基づいて運営されています。 メリット 独自の送金スキームにより、銀行に比べて手数料・為替コストが格安な場合が多い 最短即日着金など、着金スピードが速い デメリット 1回あたりの送金限度額(例:100万円など)が設けられている場合がある 銀行ではないため、預金保険制度(ペイオフ)の対象外 比較表【手数料・対応通貨・送金スピード・サポート体制】 銀行 送金手数料 対応通貨 送金スピード(着金日) サポート体制 三井住友銀行 店頭窓口:7,000~7,500円/件インターネットバンキング:2,500~3,500円/件 6通貨 未記載 窓口・電話・チャット 三菱UFJ銀行 店頭窓口:7,000~7,500円/件インターネットバンキング:2,500~3,000円/件 12通貨 未記載 窓口・WEBサポート・電話・チャット みずほ銀行 個人:8,000~8,500円/件法人:7,000~7,500円/件みずほダイレクトアプリ:5,000円 7通貨 送金手続きから一週間程度 窓口(一部テレビ電話の店舗あり)・チャット ※本比較表は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものであり、最新の料金や条件を保証するものではありません。上記以外の手数料や実際の取引に際しては、必ず各金融機関の公式情報をご確認ください。 出典) ・三井住友銀行 「海外への送金・海外からの送金・外貨建て送金」 ・MUFG 「外国送金」 ・みずほ銀行 「外国への送金・受け取り」 ネット銀行 送金手数料 対応通貨 送金スピード(着金日) サポート体制 楽天銀行 750円/件 67通貨 送金日から1営業日~5営業日程度 電話・メール ソニー銀行 3,000円/件 11通貨 送金実行から3営業日~4営業日以上 電話・チャット・WEBフォーム 住信SBIネット銀行(法人) 2,500円/件 10通貨 SWIFT発信日からおおむね1日~3日程度 WEBフォーム・チャット・電話 ※本比較表は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものであり、最新の料金や条件を保証するものではありません。上記以外の手数料や実際の取引に際しては、必ず各金融機関の公式情報をご確認ください。 出典) ・楽天銀行「海外送金」 ・ソニー銀行「ソニー銀行からの外貨送金」 ・住信SBIネット銀行「法人のお客さま 外貨送金・外貨受取サービス」 資金移動業者 送金手数料 対応通貨 送金スピード(着金日) サポート体制 Wise(ワイズ) 0.33%~ 24通貨 送金手続きから最短即日~最長5日 電話・メール・チャット Revolut(レボリュート) 送金手数料は無料 41通貨 送金手続きから最短即日~最長2営業日 チャット PayPal(ペイパル) 499円/件 22通貨 即時振替:数分(最長30分)標準振替:約3~6営業日 電話・メール SBIレミット 460円~/1件 13通貨 送金方法、着金方法、送金先国により変化 ■現金受取の場合 最短:10分/通常:1~3時間程度 ■銀行口座の場合 最短:10分/通常:1~2営業日 電話・メール ※本比較表は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものであり、最新の料金や条件を保証するものではありません。上記以外の手数料や実際の取引に際しては、必ず各金融機関の公式情報をご確認ください。 出典) ・wise:公式サイト ・Revolut:公式サイト ・PayPal:公式サイト ・SBIレミット:公式サイト 目的別に見る海外送金サービスの特徴 海外送金サービスは、利用目的によって重視すべきポイントが異なります。ここでは、留学・仕送りの場合、ビジネス・法人送金の場合、高額送金や投資の場合に分けて、選び方の視点を整理します。 留学や仕送りに利用する場合 少額の海外送金を行う場合は、手数料の水準と利便性を重視することがポイントです。オンラインで簡単に手続きできるサービスや、スマホアプリで送金履歴を確認できる仕組みがあると、管理がしやすくなります。 また、即日着金や現金受取に対応しているサービスは、急ぎの送金にも対応しやすく、安心です。留学や仕送りでは、送金のタイミングが重要になるため、スピードと使いやすさを兼ね備えたサービスを選びましょう。 ビジネスや法人送金に利用する場合 法人送金では、対応通貨の幅と業務効率化機能を重視することがポイントです。請求書対応や複数送金機能があるサービスは、経理業務の負担を減らします。 さらに、会計ソフトとの連携や送金履歴の一括管理を備えたサービスは、業務効率化に役立ちます。ビジネス利用では、こうした機能を確認して選ぶことも重要です。 高額送金や投資向けに利用する場合 まとまった金額(例:100万円超)を送金する場合は、送金上限額と安全性を確認することが不可欠です。暗号化通信や二段階認証などのセキュリティ対策、金融庁登録の有無を必ずチェックしましょう。 まとめ 海外送金サービスは、銀行・ネット銀行・資金移動業者など複数の選択肢があります。それぞれに手数料の仕組み、対応通貨、送金スピードといった特徴があり、どのサービスが適しているかは利用目的によって異なります。 選ぶ際には、次のポイントを総合的に確認しましょう。 総コストの把握 送金手数料だけでなく、為替レートのスプレッドや中継銀行手数料など、その他のコストも含めて比較する。 送金スピードの確認 利便性(スピード)を追求しつつ、金融庁(財務局)登録の有無(資金移動業者の場合)やセキュリティ対策も必ず確認する。 用途による使い分け 少額・急ぎなら「資金移動業者」、高額・安心重視なら「銀行」など、目的に応じて使い分ける。 海外送金は、利便性だけでなく安全性やコスト面のリスク管理も欠かせません。公式サイトや金融庁の登録情報を確認し、信頼できるサービスを選ぶことが、安心して送金するための第一歩です。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。 ※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。