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フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。本審査に落ちる確率は公表されていませんが、審査に落ちやすい人の傾向は把握することができます。 この記事では、フラット35の主な審査基準と本審査に落ちやすい人の特徴、落ちた場合の対策を紹介します。 フラット35の主な審査基準 フラット35は、申込者の収入や信用情報、購入する物件によって本審査で否決になることがあります。まずはフラット35の主な審査基準についてみていきましょう。 年齢・国籍 フラット35は、申し込み時の年齢が満70歳未満の人が対象です。ただし、親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上でも申し込みできます。親子リレー返済とは、申込者本人とその子・孫などの後継者が2世代でローンを返済していく制度です。 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 また、日本国籍であることも申込要件です。外国籍の場合は、永住許可を受けている人または特別永住者の人であれば申し込みできます。 収入状況 収入状況は、年収に応じて総返済負担率の基準が定められています。総返済負担率とは、年収に占める年間合計返済額の割合で、フラット35以外の住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、カードローンなどの返済額も含めて計算します。 ・年収400万円未満:総返済負担率30%以下 ・年収400万円以上:総返済負担率35%以下 年収は、原則として申込年度の前年の収入で確認されます。会社員は給与収入金額、自営業者などは事業所得や不動産所得などを合計した所得金額をもとに判断します。 信用情報 信用情報は、申込者の返済能力を判断するために確認されます。金融機関は、税金や他のローンの滞納などがないかを確認します。クレジットカードやローンの滞納歴が信用情報に記録されていると返済能力を問題視され、審査に通過しにくくなる恐れがあります。 資金使途 フラット35の資金使途は、申込者本人またはその親族が居住する新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入に限定されます。第三者への賃貸を目的とした投資用物件、店舗・事務所用の物件などの取得資金には利用できません。 住宅の技術基準 フラット35は、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅が対象です。例えば、住宅規模の基準では、床面積は戸建てが70㎡以上、マンションが30㎡以上と定められています。また、基準を満たしていることを証明するために、物件検査をして適合証明書を取得しなくてはなりません。 フラット35の主な審査基準のまとめ フラット35の主な審査基準をまとめると下記のとおりです。 主な審査基準 年齢・国籍 申込時の年齢が満70歳未満(親子リレー返済で70歳以上も可) 日本国籍、永住許可、特別永住者が対象 収入と返済負担率 年収400万円未満:総返済負担率30%以下 年収400万円以上:総返済負担率35%以下 年収は申込年の前年の収入を基に判断会社員:給与収入金額自営業者 等:事業所や不動産所得などを合計した金額 信用情報 税金や他のローンの滞納履歴の有無 資金使途 自身または親族が居住する住宅の購入・建築が対象 投資用物件や店舗・事務所用物件は対象外 新築住宅の主な技術基準 住宅の規模(戸建て:70㎡以上、マンション30㎡以上) 適合証明書の取得が必要 関連記事はこちらフラット35の審査基準を徹底解説! フラット35の本審査に落ちやすい人の特徴 フラット35の主な審査基準を踏まえ、本審査に落ちやすい人の特徴も見ていきます。 勤続年数が短い フラット35は、勤続年数の最低期間を定めていないため、転職して間もないケースでも収入があれば申し込みは可能です。ただし、転職して数ヵ月など、勤続年数があまりに短い場合は「継続した安定収入がない」と判断されることがあります。 フラット35以外に借り入れがある フラット35の審査基準である総返済負担率は、すべての借り入れを含めて計算されます。すでに自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、総返済負担率が高くなり、本審査に影響が出ることがあります。 自己資金が少ない フラット35は、一定の要件を満たせば頭金・自己資金なしでも借り入れが可能です。ただし、金利は高めに設定され、審査が厳しくなることがあります。 関連記事はこちらフラット35は頭金・自己資金なしで組める? 物件の担保評価が低い 住宅ローンの審査では、物件の担保評価も重要視されます。フラット35の技術基準はクリアしていても、築年数が古い物件や立地が悪い物件は担保価値が低く見積もられ、審査に影響を与えることがあります。 フラット35の本審査に落ちた場合の対策 フラット35の本審査に落ちた場合は、以下の対策を検討しましょう。 一定期間をあけて再度申し込みを行う 住宅ローン審査において、金融機関は申込者の支払能力を調査するために、信用情報機関に照会をします。例えば信用情報機関の株式会社シー・アイ・シーは、申込情報を照会日より6か月間保有します。 申込情報に審査の可否は記載されませんが、フラット35に再度申し込む場合は、審査に落ちた理由を分析・改善したうえで、一定期間をあけてから申請しましょう。 出典)株式会社シー・アイ・シー「信用情報早わかり!」 ペアローンや収入合算を検討する 配偶者などに収入がある場合は、ペアローンや収入合算を利用することが可能です。ペアローンとは、1つの物件に対して、夫婦・親子・パートナーなどがそれぞれ主たる債務者となって住宅ローンを組む方法です。一方収入合算とは、申込者本人の収入に、配偶者や親子の収入を合算して住宅ローンを組む方法です。 ペアローンや収入合算を活用することで、単独で住宅ローンを組むよりも借入可能額を増やせるため、審査に通過しやすくなります。 関連記事はこちら住宅ローンのペアローンと収入合算の違いとは? 物件を変更する 担保評価の低さが原因で本審査に落ちた場合は、別の物件を購入することで解決できるかもしれません。新築物件や立地のよい中古物件などを選択すれば担保評価が上がることもあります。 フラット35以外の住宅ローンに申し込む 住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なります。フラット35の審査に不安を感じている人や、審査に落ちた人は、ノンバンクの住宅ローンの利用を選択肢に加えておくとよいでしょう。 ノンバンクの住宅ローンは、銀行の住宅ローンと比べて、独自の審査基準を設けて柔軟性が高い傾向があります。ただし、銀行に比べて金利が高めに設定されていることには注意が必要です。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い まとめ フラット35の本審査では、申込者の収入状況や信用情報、物件の担保評価など、さまざまな要素が総合的に判断されます。そのため、審査に落ちやすい人には一定の傾向が見られます。しかし、そのすべてがすぐに改善できるとは限りません。 どうしても購入したい物件がある場合は、たとえ審査に落ちたとしても、冷静に原因を分析し、前向きに対策を進めることが重要です。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35の金利引き下げメニューについて詳しく解説 フラット35には、家族構成や住宅の性能などに応じて利用できる金利引き下げメニューがあります。最大で年1.0%の金利引き下げを受けられるため、住宅ローンの返済負担の軽減が期待できます。 この記...
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。今月から【フラット35】の金利予想を「住まいとお金の知恵袋」で連載します。7月に入ってから参院選の影響からか、債券価格は下がり長期金利が上昇しつづけています。 新発10年国債利回りは住宅ローンの固定タイプの金利に影響を与え、住宅金融支援機構が【フラット35】の資金調達方法としている機構債の表面利率にも影響してきます。 2025年8月【フラット35】金利予想 では早速、直近4カ月の機構債の表面利率や新発10年国債利回りの推移と8月の【フラット35】の金利予想です。8月は機構債の表面利率と新発10年国債利回りがともに大幅上昇しましたが、【フラット35】の金利上昇は抑えられて、1.89~1.97%になると予想しました。 機構債発表日 2025年4月17日 2025年5月22日 2025年6月20日 2025年7月18日 機構債の表面利率(※1)1.65%1.94%1.88%2.02% 新発10年国債利回り1.30%1.54%1.43%1.55 ローンチスプレッド(※1)35bps(0.35%)40bps(0.40%)45bps(0.45%)47bps(0.47%) 出典) ※1 住宅金融支援機構「既発債情報」 ※2 新発10年国債利回りは便宜上、機構債の表面利率からローンチスプレッドを差し引いた数値としています。 5月 6月 7月 8月千日太郎の予想 【フラット35】の金利(※3)1.82%1.89%1.84%1.89~1.97% 出典) ※3 【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」 新発10年国債利回りと機構債の表面利率の推移 新発10年国債利回りの上昇幅は、1.43%から1.55%へ0.12ポイントの上昇となりました。これに対して、機構債の表面利率は1.88%から2.02%へ0.14ポイントの上昇です。今月はほぼ同じ幅で動いたので、順当な結果と言えます。 機構債の表面利率と新発10年国債利回りの表面利率の差は“ローンチスプレッド”といわれます。機構債は35年という長期の住宅ローン債権を裏付けとしています。そのため、金利が一定以上出なければ、債券としての成立が難しくなります。 最近では、このローンチスプレッドが拡大傾向にありました。これは、住宅ローンを借りるわたしたちにとって、新発10年国債の利回りが上昇した際に、それ以上に住宅ローン金利が上昇する可能性が高まることを意味します。 4月0.35ポイント、5月0.40ポイント、6月0.45ポイントと約0.05ポイント幅で拡大し続けていたのですが、7月は0.47ポイントと上昇ペースが落ちたので、これは良い傾向です。 機構債と【フラット35】の金利推移 機構債の表面利率は1.88%から2.02%へ0.14ポイントの上昇に対して千日太郎の【フラット35】の金利予想は1.84%から1.89%へ0.05ポイントの上昇に抑えられるというものです。 この予想を支えているのは、過去2か月にわたって【フラット35】の金利が機構債の表面利率を下回っていることにあります。一言で言うと、住宅金融支援機構は収益性を問わず、低金利を続けているのです。 【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(詳細は後述)によると、住宅金融支援機構は、機関投資家に対して「機構債」と呼ばれる債券を販売することで資金を集め、その資金をもとに個人向けの住宅ローンを提供するという仕組みになっています。つまり、機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたります。 5月に発行された機構債の表面利率は1.65%で【フラット35】の金利は1.82%でした。これは、住宅金融支援機構が1.65%で資金を調達し、それを1.82%の金利で住宅ローンとして提供していることを意味します。 この差額は、住宅金融支援機構の運営費用やリスク管理などに充てられるものであり、利益を目的としたものではありません。実際、住宅金融支援機構は非営利の独立行政法人であり、営利を目的していない点にご留意ください。 一方で、5月に発行された機構債の表面利率は1.94%で【フラット35】の金利は1.89%でした。この差の0.05%は、住宅金融支援機構にとって純粋な損失となります。さらに6月も、機構債の表面利率が1.88%であるのに対し、【フラット35】の金利が1.84%となっており、0.04%の差が生じています。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? 住宅金融支援機構がどこまで金利を抑えるか?2つの予想シナリオ 千日太郎の予想としては、8月も収支がマイナスの状態を維持すると見ています。予想に1.89%~1.97%という幅を持たせているのには、それぞれの予想シナリオがあるためです。 シナリオ①「激変緩和」 これは、金利が急激に上昇した局面でも【フラット35】の金利上昇が1カ月あたり0.05ポイント程度に抑えられてきた過去の傾向を踏まえ、今月も同様の抑制が行われるとするシナリオです。 シナリオ②「マイナス幅の限度」 過去2か月、機構債と【フラット35】の金利差は0.04~0.05ポイントでした。7月に発行された機構債の表面利率が2.02%でしたから、仮にマイナス幅を0.05ポイントとすると【フラット35】の金利は1.97%になるというシナリオです。 【フラット35】の金利抑制と機構債との関係 【フラット35】の金利が長期金利や機構債の上昇に対して抑えられる傾向は、日銀がマイナス金利政策を解除した2024年3月19日から一貫して継続してきました。しかし、機構債の表面利率を下回る水準をつけたのは、2025年6月が初めてです。 このように金利を抑えられている主な理由は、住宅金融支援機構が国の政策実施機関に位置づけられる独立行政法人であり、営利を目的としない非営利団体であることにあります。とはいえ、収益が減少することが明らかな施策を行うことは、極めて異例な対応と言えるでしょう。 金利抑制の持続性と機構債の発行動向 このような状態はいつまでも続くとは考えにくく、いつかは終わるだろうと見ています。しかし、7月の機構債の発行額は605億円と、4,5月の102億円、6月の295億円から大きく増加しています。 日銀が利上げを開始してもなお、変動金利を選択する人の割合が増えつづけ、住宅金融支援機構の債権残高が減少傾向にありました。その中でのこの7月の発行額の増加は、【フラット35】の需要回復の兆しとも言えます。 【フラット35】を利用する立場としては、こうした低金利の傾向が少しでも長く続くことを期待したいところです。 出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(金利タイプ)」 【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み 住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。 出典)【フラット35】Qフラット35のしくみを教えてください。 この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入するので、その表面利率は新発10年国債の利回りに連動する傾向があります。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 千日太郎(Sennichi Taro) 公認会計士としての専門知識を活かし、YouTubeなどを通じて住宅ローンの仕組みや金利動向についての情報を発信。住宅購入を検討する人に向けた実務的な内容を中心に、金融に関する知識をわかりやすく解説している。 著書『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』では、住宅ローンの選び方や返済計画に関する基本的な考え方を丁寧に紹介しており、実用的な入門書として一定の評価を得ている。 住宅ローンに関する独自の視点や分析は、利用者や一部の業界関係者からも注目されており、継続的に情報提供を行っている点が特徴。
住宅の購入と同時に車の買い替えを検討している人もいるでしょう。そんなとき、「住宅ローンに車のローンを上乗せしたい」と考える人もいるかもしれません。結論から言うと、住宅ローンに車のローンを上乗せすることは原則できません。しかし、住宅ローンと車のローンを併用することは可能です。 この記事では、住宅ローンに車のローンを上乗せできない理由や併用する際の審査基準、同じ金融機関で組むメリット、注意点を解説します。 住宅ローンに車のローンを上乗せできない理由 そもそも住宅ローンは、住宅の購入や建築、借り換えなどに資金使途が限定されたローン商品です。一方で、車のローン(マイカーローン・自動車ローン)は、自動車の購入を目的とした融資であり、住宅ローンとは目的が異なります。そのため、住宅ローンで借りた資金を車の購入に充てることは契約違反となり、最悪の場合、一括返済を求められるリスクもあります。 なお、住宅ローンでは、事務手数料や保証料、登記費用などの諸費用をローンに含められることもあります。対応可否は金融機関ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。 住宅ローンと車のローンは併用できる 住宅ローンと車のローンは、同じ金融機関でも別々の金融機関でも、審査に通れば併用が可能です。併用する際に重要な判断基準となるのが「総返済負担率」です。 総返済負担率とは 総返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を示す指標で、住宅ローンの審査で重視されます。借入希望者が無理なく返済できるかどうかを判断するために重要な基準で、以下のように求められます。 総返済負担率=(年間返済額/年収)×100 フラット35の基準 例えば、住宅金融支援機構のフラット35の場合、総返済負担率の基準は以下のように定められています。 年収400万円未満:30%以下 年収400万円以上:35%以下 この基準に基づくと、年間返済額は以下のように計算されます。 年収300万円:年間返済額90万円以内(月々約7.5万円以内) 年収400万円:年間返済額140万円以内(月々約11.6万円以内) この年間返済額には、住宅ローンだけでなく、車のローンや教育ローン、カードローンなどのすべての借り入れが含まれます。複数のローンを併用している場合は、年間の総返済額がこの基準を超えないよう注意しましょう。 出典)フラット35 年収による借入額などの制限はありますか。 車のローンがある場合の住宅ローン借入可能額 すでに車のローンがある場合、住宅ローンの借入可能額にどのような影響があるのでしょうか。年収500万円の人が住宅ローンとしてフラット35を利用する場合を例に、車のローンの年間返済額が0円、36万円、60万円として、借入可能額がどのように変化するかシミュレーションしました。 <住宅ローンの融資条件> 返済期間:35年 適用金利:1.890% 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし) 車のローンの年間返済額 フラット35の借入可能額 0円4,478万円 36万円3,557万円 60万円2,942万円 この表からわかるように、車のローンの返済額が増えるほど、住宅ローンの借入可能額は大きく減少します。これは、総返済負担率の上限を超えないようにするためであり、複数のローンを併用する際には、返済額のバランスを慎重に見極める必要があります。 住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組むメリット 住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組むメリットは以下のとおりです。 返済管理がしやすくなる 住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で契約すると、返済日や引き落とし口座を一本化できるため、毎月の返済管理がしやすくなります。複数の金融機関でローンを組む場合に比べて、支払いの管理ミスや資金移動の手間を減らせます。 金利優遇を受けられる可能性がある 一部の金融機関では、住宅ローンの利用者に対して、車のローンを優遇する制度を設けている場合があります。例えば、住宅ローンを契約している人が同じ金融機関で車のローンを組むと、通常よりも低い金利が適用されるケースがあります。こうした優遇制度の有無は、事前に金融機関へ確認しておくと安心です。 審査がスムーズに進む可能性がある すでに住宅ローンを組んでいる場合、金融機関はその人の返済実績や信用情報を把握しているため、追加で車のローンを申し込む際の審査がスムーズに進むことがあります。新たに別の金融機関で申し込むよりも、手続きや審査の負担が軽減される可能性があります。 住宅ローンと車のローンを併用する際の注意点 住宅ローンと車のローンを併用する際には、返済能力や家計への影響を十分に考慮する必要があります。以下のポイントに注意して、無理のない借入計画を立てましょう。 総返済負担率を必ず確認する 一般的に総返済負担率は30~35%程度が上限とされています。住宅ローンと車のローンを併用する場合、それぞれの年間返済額を合算して総返済負担率を計算する必要があります。上限を超えると、ローンの審査に通らない可能性が高くなるため、事前にシミュレーションを行い、基準内に収まるよう調整しましょう。 無理のない返済計画を立てる 住宅ローンと車のローンを併用すると、毎月の返済額が増え、家計への負担が大きくなります。特に、車のローンは返済期間が短めで月々の返済額が高くなりがちなため注意が必要です。 将来のライフイベントや予備費も考慮し、急な出費や収入の変動にも対応できるよう、無理のない範囲で借り入れを検討しましょう。 まとめ 住宅ローンに車のローンを上乗せすることは、原則として認められません。ただし、住宅ローンと車のローンを併用することは可能です。併用する場合は、同じ金融機関で組むことで「管理がしやすい」「金利優遇」などのメリットを享受できる可能性があります。 一方で、過度な借り入れは家計を圧迫する可能性もあります。無理のない返済計画を立てたうえで、ローンをうまく活用しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 50年ローンはやばい?利用する際のポイントを解説 一般的に住宅ローンの返済期間は最長35年とされていますが、近年最長50年の住宅ローンを提供する金融機関が増えてきています。50年ローンはリスクが高いといった声もありますが、本当に利用を避ける...
住宅ローンに限らず、融資の審査過程では、申込者の勤務先に対して在籍確認が行われることがあります。在籍確認の目的やタイミング、電話で確認される内容について、気になる人がいるかもしれません。この記事では、在籍確認の目的や行われるタイミング、電話で確認される内容について解説します。 住宅ローンの在籍確認とは? 在籍確認とは、金融機関が融資等の審査の際に、申込者が勤務先に本当に在籍しているかを確認するための手続きのことです。会社員は、住宅ローンを申し込む場合、金融機関に勤務先を申告します。金融機関の担当者が、申込者が申告した勤務先に電話をかけるなどして、本当にその勤務先に在籍しているかを確認します。 在籍確認の目的 在籍確認は、申込者の返済能力を適切に評価するために行われます。会社員の場合、住宅ローンを借りるための必要書類として、源泉徴収票を金融機関へ提出します。 源泉徴収票には、勤務先から1年間に支払われた給与や賞与の総額、源泉徴収された所得税額などが記載されており、これにより金融機関は申込者の収入状況を正確に把握できます。 ただし、源泉徴収票は年に1回しか発行されないため、申込者が申し込み時点ですでに転職している場合があります。そのため、金融機関は、「勤務先が実在しているか」「申込者が現在その勤務先に在籍しているか」を確認するために在籍確認を行います。 住宅ローンの在籍確認はいつ行われる? 住宅ローンの在籍確認が行われるタイミングは、金融機関によって異なります。本審査の最終段階で行われることもあれば、事前審査後に行われることもあります。 どのタイミングで在籍確認が行なわれるかは金融機関によって異なるため、事前に申込先の金融機関に確認しておくことが重要です。 在籍確認の連絡がこない? 住宅ローンの在籍確認は、必ず実施されるとは限りません。例えば、申込者が申込先の金融機関で給与振込口座を保有している場合、金融機関はその取引履歴を確認することで、勤務先への在籍を把握できるため、あらためて電話で在籍確認を行う必要がないと判断することもあります。ただし、「在籍確認が不要」と明記している金融機関はないため、在籍確認が省略されるかどうかは、事前に申込先の金融機関へ確認しておくとよいでしょう。 住宅ローンの在籍確認で聞かれる内容 住宅ローンの在籍確認は、一般的に金融機関の担当者が申込者の勤務先に電話をする形で行われます。主な確認項目は以下のとおりです。 申込者の氏名 生年月日 勤務先の名称 電話の内容は非常に簡潔で、在籍の事実が確認できればすぐに終了します。金融機関によっては、上記以外の情報についても確認する場合がありますが、事前に調べないと答えられないような難しい質問はされないため特別な準備は不要です。 住宅ローンの在籍確認に関する注意点 住宅ローンの在籍確認を円滑に進めるには、いくつかの注意点があります。金融機関の確認方法を把握し、必要な対応を整えておきましょう。 申込者が出られる電話番号を金融機関に申告する 在籍確認では、金融機関の担当者は金融機関名を名乗らず、個人名で電話をかけることがあります。最近では、個人情報保護の観点から、個人名での電話を本人に取り次がない企業も増えているため、注意が必要です。 そのため、住宅ローンの申込時に勤務先の代表電話を申告すると、在籍確認の電話を取り次いでもらえない場合があります。勤務先に事情を伝えたうえで、所属部署の直通番号を申告するなどの対策を取ると良いでしょう。 電話での在籍確認ができない場合は金融機関へ相談する 営業などで外出が多く、勤務先の電話に出るのが難しい人は、事前に金融機関へ相談し、別の方法を検討してもらうことが重要です。 例えば、金融機関によっては、申込者本人が電話に出られなくても、同僚が「席を外しております」などの対応をした場合でも在籍確認が済むことがあります。また、前述のとおり、給与振込口座の取引履歴や健康保険組合への連絡で在籍確認が可能な場合もあります。 金融機関に相談せず、電話に出られない状況が続くと審査に影響する可能性があるため、必ず事前に相談しましょう。 まとめ 住宅ローンの在籍確認は、金融機関が申込者の返済能力を適切に判断するための重要な手続きです。一般的には本審査の最終段階で行われ、氏名や勤務先の確認など簡単な受け答えで終了します。 在籍確認を円滑に進めるには、「事前に勤務先へ連絡があることを伝えておく」「電話に出られない場合は金融機関へ相談する」などの事前準備が大切です。安心して住宅ローンを利用するためにも、在籍確認の流れを理解しておきましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いとは? 住宅ローンを借りるときは、保証料や融資手数料などの諸費用がかかります。支払方式に応じて「保証料型」と「融資手数料型」の2つに分けられますが、どのような違いがあるのでしょうか。 この記事では、...
住宅ローンを組むには、金融機関の審査に通過する必要があります。住宅ローンで審査されるとき、申込者に税金滞納があるとどのような影響があるのでしょうか。 この記事では、税金滞納が住宅ローンの審査に与える影響と対策について解説します。 税金滞納とは 税金滞納とは、納税義務者が法定の納期限までに税金を納めなかった状態を指します。税金を納期限までに支払わない場合、財産の差し押さえなどの滞納処分が科される恐れがあります。 税金を滞納していても審査に通る? 税金を滞納していても、必ずしも住宅ローンの審査に通らないわけではありません。しかし、審査のハードルが高くなると考えておくべきでしょう。金融機関は申込者の返済能力を重視するため、税金の滞納があると「返済能力に問題がある」と判断されやすくなります。 また、金融機関は申込者に納税証明書の提出を求めるなどして、国税や地方税の納税状況を確認します。そのため、税金を滞納している場合は金融機関に知られることになり、一般的に住宅ローンの審査に通るのが難しいといわれています。 さらに、税金以外にもローンや社会保険料の滞納にも注意が必要です。ローン返済の延滞は信用情報に記録されるほか、健康保険料や年金保険料などの社会保険料を滞納している場合も、返済能力に問題があるとみなされることがあります。 住宅ローン申込時の税金関連の必要書類 前述のとおり、住宅ローンの申し込み時には、納税証明書の提出を求められることがあります。会社員と個人事業主(自営業者)では、求められる書類が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。 会社員の場合、所得税や住民税は給与や賞与から源泉徴収されるため、納税状況を証明する書類として源泉徴収票や住民税決定通知書を提出します。 一方、個人事業主(自営業者)は、自身で納税手続きを行う必要があるため、確定申告書や住民税納税証明書、納税証明書「その1・その2」など、会社員よりも多くの書類を準備する必要があります。 納税証明書の対象税目 税金は、以下のように課税主体によって対象税目や納税証明書の申請窓口が異なります。 課税主体 対象税目 申請窓口 国所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税 など税務署 都道府県住民税(県民税)、事業税、自動車税、不動産取得税 など都道府県税事務所 市区町村住民税(市民税)、固定資産税・都市計画税、軽自動車税 など市区町村役場 関連記事はこちら納税証明書とは?種類ごとの記載事項や取得方法などを解説 税金を滞納した状態での住宅ローン審査への対策 もし、税金を滞納した状態で住宅ローンを組むことを検討しているのであれば、まずは税金滞納の解消を最優先に考えましょう。 最も確実な方法は、滞納している税金を一括で支払うことです。支払いの余裕がある場合は、速やかに納税手続きを進めるのが理想です。一方で、すぐに全額を支払うのが難しい場合でも、決して放置をせず、管轄の税務署や市区町村の窓口などに相談しましょう。 支払いが困難と認められる事情があれば、分割納付が認められることがあります。また、状況によっては、財産の差押え猶予や延滞税の免除が認められる可能性もあるため、早めの相談が重要です。 関連記事はこちら税金を滞納するとどうなる?払えないときの解決方法や対策を紹介 住宅ローン返済中の税金滞納にも注意 住宅ローン返済中に税金を滞納すると、重大な影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。税金を納期限までに支払わなかった場合、督促状が送付されます。一般的に、国税は納期限から50日以内、地方税は20日以内に督促状が発布されるのが原則です。 督促状が届いても納付しない場合、税務署や自治体から電話や訪問、文書による催告が行われます。滞納を放置すると財産の差し押さえなどの措置が取られることもあるため、早めに対応することが重要です。 出典)国税庁「第1編、第2章、第2節、督促」 法律の規定に基づき、納税者の所轄税務署の徴収職員は、本人の同意を得ることなく金融機関や勤務先、生命保険会社などに財産調査を行うことが可能です。調査の結果、預貯金や生命保険、自動車、給与、さらには住宅ローンで購入した不動産などの財産が差し押さえの対象となることがあります。 まとめ 税金滞納がある場合、金融機関から返済能力に問題があると判断されることが多く、住宅ローンの審査に通るのが難しくなるといわれています。ただし、滞納があるからといって必ず審査に落ちるわけではなく、条件次第ではローンを組めることもあります。 しかし、税金の滞納を抱えたまま住宅ローンを組むと、返済計画が不安定になりやすく、将来的な支払いに影響を及ぼすことも考えられます。特に、税金の滞納だけでなく住宅ローンの延滞が発生すると、個人信用情報に記録され、希望する条件での借り入れが難しくなるリスクもあります。 そのため、住宅ローンを申し込む前に、まずは税金の滞納を解消することを優先し、無理のない資金計画を立てることが重要です。安定した返済ができる状況を整えることで、住宅ローンを計画的に返済できる基盤を築くことができます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 支払督促とは?かかる費用と手続きの流れをわかりやすく解説 支払督促は、お金の未払いに関するトラブルを解決できる法的手続きのひとつです。お金を返してもらえなくて困っている場合、支払督促を利用すれば、裁判をしなくても迅速に問題を解決できる可能性がありま...
住宅ローンを利用して自宅を購入する場合、「年収1,800万円の世帯は、どのくらい借りられるのか」と気になる方もいるかもしれません。共働き世帯では、世帯年収を合算できるため、借入可能額が単身世帯より高くなる傾向があります。 この記事では、年収1,800万円の世帯が借りられる住宅ローンの目安を解説します。さらに、返済シミュレーションや住宅ローンを組む場合の注意点も紹介します。 住宅ローンの借入可能額はどう決まる? 住宅ローンの借入可能額は、金融機関が申込人の返済能力や不動産の価値などを総合的に判断して決定します。一般的には、以下のような項目が重要視されます。 返済負担率 返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。住宅ローンは給与などの収入から返済されるため、申込者の返済能力を判断する指標となります。例えば、住宅金融支援機構の全期間固定金利フラット35では、返済負担率の基準が以下のとおり設定されています。 年収400万円未満:返済負担率30%以下 年収400万円以上:返済負担率35%以下 世帯年収に対する融資率 融資率とは、不動産の購入金額に対する住宅ローンの借入金額の割合です。以下の算式で計算します。 融資率(%)=住宅ローンの借入金額÷不動産の購入金額×100 融資率の上限は、金融機関や住宅ローン商品ごとに異なります。最近では融資率100%で融資を受けることができる住宅ローン商品もありますが、一般的に不動産価格の10~20%程度の頭金を準備したほうが良いともされています。融資率が高いほど自己資金は少なく済む一方で、金融機関から提示される金利が高くなったり、審査が厳しくなったりします。 返済能力 金融機関は、申込者の年収や勤務先、勤続年数をもとに返済能力を判断します。そのため、収入の安定性や勤務先、勤続年数、預貯金などが審査の対象となり、借入可能額に影響を与えます。 不動産の担保価値 一般的に金融機関は、申込者が住宅ローンを組む際、購入する不動産に抵当権を設定します。申込者が万が一住宅ローンを返済できなくなると、金融機関は抵当権を実行して担保不動産を売却し、借入金の返済に充当します。このような仕組みのため、不動産の担保価値も住宅ローンの借入可能額を決定する重要な要素となります。 関連記事はこちら抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説 借入期間・年齢 金融機関は、住宅ローンの申込条件として、借入期間や完済時年齢を設定しています。借入期間は最長35年、完済時年齢は80歳未満とする金融機関が一般的です。若いうちに借り入れをするほうが、借入期間を長く設定できるため、借入可能額を増やすことができます。 年収1,800万円の世帯の住宅ローン借入可能額の目安 ここでは、住宅金融支援機構のデータを用いて、年収1,800万円の世帯の住宅ローン借入可能額の目安を紹介します。 住宅ローン借入可能額は世帯年収の何倍? 住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローン利用者の年収倍率は住宅の種類に応じて5.3倍~7.6倍となっています。年収倍率とは、住宅購入の所要資金を年収で割った数値です。仮に融資率が100%だとすると、年収1,800万円の世帯の借入可能額は以下のように計算できます。 住宅種別 年収倍率 年収1,800万円の世帯の借入可能額(1,800万円×年収倍率) 土地付注文住宅7.6倍1億3,680万円 マンション7.2倍1億2,960万円 注文住宅7.0倍1億2,600万円 建売住宅6.6倍1億1,880万円 中古マンション5.6倍1億80万円 中古戸建5.3倍9,540万円 出典)住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」をもとに筆者作成 ただし、これらはあくまでもデータをもとに算出した金額です。実際の借入可能額は、個人の返済能力や不動産の条件などによって変動します。 借入金額別の住宅ローン返済シミュレーション 前述の年収倍率から借入可能額を1億3,680万円、9,540万円としたときの「返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなし」を条件にシミュレーションすると以下のようになります。 借入額9,540万円の場合 適用金利 毎月の返済額 総返済額 1.0%約26.9万円約1億1,310万円 1.5%約29.2万円約1億2,268万円 2.0%約31.6万円約1億3,273万円 借入額1億3,680万円の場合 適用金利 毎月の返済額 総返済額 1.0%約38.6万円約1億6,218万円 1.5%約41.8万円約1億7,592万円 2.0%約45.3万円約1億9,033万円 年収1,800万円の世帯が住宅ローンを組む注意点 年収1,800万円の世帯は一般的な家庭よりも高所得であるため、高額な住宅ローンを組めます。一方で、以下の点に注意しながら計画することが重要です。 無理のない返済計画を立てる 教育費や老後資金など、住宅購入の他にもまとまったお金が必要な場面があります。また、万が一の病気やケガなどにより収入が減少することもあるでしょう。無理なく返済を続けられるように、将来のライフイベントにおける支出や収入の変化も考慮に入れて住宅ローンの借入金額を決めることが重要です。 自身に合った金利タイプを選ぶ 住宅ローンの金利タイプは、大きく変動金利と固定金利の2つに分けられます。変動金利は金利が低めに設定されていますが、将来金利が上昇して返済負担が増えるリスクがあります。 一方、固定金利は将来の金利上昇リスクを回避できますが、借入時の金利は比較的高めです。それぞれメリット・デメリットがあるため、比較検討したうえで自身に合った金利タイプを選択しましょう。 諸費用がかかることを考慮する 不動産を購入する場合、不動産価格以外にもさまざまな諸費用がかかります。具体的には、仲介手数料、事務手数料、登記費用、火災保険料、地震保険料などがあります。住宅ローンを契約する前に、諸費用がいくらかかるかを把握しておきましょう。 まとめ 年収1,800万円の世帯は、年収倍率が6倍以上ともなれば住宅ローンを1億円以上借りられます。しかし、将来のライフイベントや収入減少のリスクも考慮に入れて、無理のない返済計画を立てることが重要です。「借りられる金額」ではなく、「無理なく返済できる金額」を意識して住宅ローンを組むようにしましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35で住宅ローンを組みたいときはどこに相談する?選び方と注意点を解説 住宅ローンの選択肢として人気の高い「フラット35」。その魅力は長期固定金利で、将来の金利変動リスクを避けられる点にあります。しかし、具体的にどの金融機関や相談先を選べば良いのか、迷う方も多い...
住宅ローンの本審査がなかなか進まず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本審査の結果が遅れる理由を理解し、スムーズに進めるための対策を講じることで、融資実行までの時間を短縮できます。 この記事では、本審査の期間の目安や遅れる原因、対策について詳しく解説します。 住宅ローンの本審査とは? 住宅ローンの本審査とは、金融機関に住宅ローンを正式に申し込むことで行われる最終的な審査です。この本審査に通過すると、住宅ローンを契約し、融資を受けることができます。 住宅ローン審査の流れ 住宅ローン審査の一般的な流れは以下のとおりです。 事前申し込み 事前審査 正式申し込み 本審査 契約締結 融資実行 一般的に住宅ローンの審査は、事前審査と、正式申し込み後に行われる本審査の2段階に分かれています。 事前審査は、申込者の年収や借入希望額、物件などの情報から、ローンを最後まで返済できるか金融機関が簡易的に確認します。一方で本審査は、申込者の返済能力や物件の担保価値を、より詳細な書類で金融機関や保証会社が厳密に審査します。 本審査に通過すると、金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、物件引き渡し日に融資が実行されます。 関連記事はこちら住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 住宅ローンの本審査期間の目安 一般的に、本審査の期間は1~2週間とされています。ただし、金融機関の審査体制や申込者の状況によっては、1か月以上かかる場合もあるため、事前に本審査の結果がでるまでの期間を確認しておくと安心です。 例えば、ネット銀行は審査スピードが比較的速い傾向があります。一方、大手都市銀行では審査がより慎重に行われるため、時間がかかる場合もあります。また、審査の混雑状況や書類の正確性も審査期間に影響するため、スムーズに進めるには事前の準備が重要です。 住宅ローンの本審査が遅れる主な理由 本審査が長引く原因として、主に以下のような理由が考えられます。 借入希望額が大きい 申込者の収入に対して借入希望額が高額な場合、金融機関は返済能力を慎重に評価するため、審査に時間がかかることがあります。特に、年収に対して借入額が高い場合は追加書類の提出を求められることもあり、審査が長引く原因となります。 申込者が集中している 不動産の購入の需要が高まる時期は、一般的に金融機関への申し込みが集中し、審査が通常よりも長引くことがあります。例えば、3月~4月は新生活シーズンであり、住宅ローン減税の適用期限も近づくので、金融機関の処理が遅くなることが考えられます。 完済時年齢が高い 住宅ローンの完済時年齢は一般的に75~80歳が上限とされており、完済時の年齢が高いほど金融機関は慎重な審査を行います。特に、定年後などの収入が不安定になる場面は、追加の審査が必要になることもあり、時間がかかる場合があります。 保証会社を利用している 保証会社を利用する場合、住宅ローンを申し込んだ金融機関に加えて保証会社の審査も必要となるため、審査期間が長くなることがあります。 保証会社は住宅ローンの返済が滞った場合のリスクを引き受ける役割があるため、審査基準が金融機関とは異なり、審査手続きが追加されることで本審査の時間が延びる場合があります。 関連記事はこちら住宅ローンの保証会社とは?役割や種類、利用時の注意点を解説 住宅ローンの本審査をスムーズに進めるためのポイント 本審査の期間を短縮するためには、以下の点を意識することが大切です。 提出書類の不備を防ぐ 必要書類に不備があると、金融機関から修正や追加提出を求められ、審査が長引く原因となります。特に、所得証明や勤務状況に関する書類が不備だった場合、再提出が求められ、審査が遅れることになります。事前審査の申告内容と本審査の提出書類に相違がないか確認し、事前にチェックリストを作成しておくと良いでしょう。 新たな借り入れや転職を控える 金融機関は、住宅ローンの審査において、他社の借り入れも含めて借入可能額を設定します。本審査中に新たな借り入れをして負債が増えてしまうと、金融機関からの評価が下がる場合があります。 また、金融機関は、住宅ローンの審査をする上で、申込者の収入の安定性を重視しています。本審査期間中に転職すると、事前審査時から前提条件が変わってしまうため、審査がやり直しになる場合もあります。 金融機関からの連絡に迅速に対応する 金融機関から確認の連絡や追加書類の提出依頼があった場合は、できるだけ速やかに対応することが大切です。金融機関への返信や書類の提出が遅れてしまうと、審査が中断し、結果として審査に時間がかかります。 金融機関からの連絡を見落とさないように、メールや電話はこまめにチェックすることを心掛けましょう。また、金融機関ごとに審査は異なるため、事前に審査の流れを確認し、必要な対応を把握しておくとスムーズに進められます。 まとめ 一般的に、住宅ローンの本審査期間は1~2週間が目安ですが、借入希望額の大きさや申込者の集中、完済時年齢の高さなどの原因で、審査結果が出るまでに時間がかかることもあります。 審査をスムーズに進めるためには、提出書類の不備を防ぎ、金融機関からの連絡に迅速に対応することが大切です。住宅ローンの本審査が遅いと感じたら、金融機関に進捗を確認し、必要な対応を早めに行うことを心がけましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 マイホーム購入の流れと押さえておくべきポイントを解説 マイホーム購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物です。しかし、実際に「家が欲しい」と思っても、何から始めたらよいかわからないのではないでしょうか。入居してから後悔しないように、事前に...
一般的に金融機関で住宅ローンを組む場合は、団体信用生命保険(以下、団信)の加入を求められます。最近では、より手厚い保障を求めて「8大疾病保障特約」をつける人もいますが、どんな特徴があるのでしょうか。 この記事では、住宅ローン団信の8大疾病保障特約の必要性やメリット、加入時の注意点を解説します。 そもそも団信とは 一般的な団信(以下、一般団信)は、住宅ローン契約者が死亡または所定の高度障害状態になったときに、住宅ローンが完済される保険です。住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合、保険金で住宅ローンが完済されるため、家族にローンの返済を残さずに済みます。 関連記事はこちら住宅ローンの団体信用生命保険とは?保障内容や特約を解説 8大疾病保障団信とは 8大疾病保障団信とは、一般団信に8大疾病を保証する特約をつけた団信を指します。8大疾病とは、3大疾病の「がん、急性心筋梗塞、脳卒中」と、5つの重度慢性疾患である「糖尿病、高血圧性疾患、肝硬変、慢性膵炎、慢性腎不全」を指します。 8大疾病保障団信は、8大疾病に罹患して所定の状態が続くと、住宅ローン残高が保険金で完済されます。ただし、金融機関によって8大疾病の定義や保障内容が異なることもあるため、事前に確認しておくことが大切です。 8大疾病保障特約の必要性 厚生労働省の人口動態統計によると、老衰を除くと、がん、心疾患、脳血管疾患が死因上位3つで、全体の45.6%を占めています。また、腎不全も9番目に位置しています。 一般的に、年齢が高くなるにつれて糖尿病や高血圧といった慢性疾患を患う可能性は高くなるといわれております。より手厚い保障を確保したい人や完済時年齢が比較的高い人は、8大疾病保障特約を検討するとよいかもしれません。ただし、保障を充実させるとその分保険料も高くなるので注意が必要です。 令和5年の日本人の上位10位の死因および一般的な三大疾病特約、および八大疾病特約の保障の対象かどうかは下表のとおりです。 死因 三大疾病 八大疾病 死亡総数に占める割合 悪性新生物(がん)〇〇24.3% 心疾患〇〇14.7% 老衰ーー12.1% 脳血管疾患〇〇6.6% 肺炎ーー4.8% 誤嚥性肺炎ーー3.8% 不慮の事故ーー2.8% 新型コロナウイルス感染症ーー2.4% 腎不全ー〇1.9% アルツハイマー病ーー1.6% 出典)厚生労働省「令和5年(2023)人口動態統計(確定数)の概況」を基に筆者が作成 8大疾病保障団信のメリット 8大疾病保障団信には、以下のようなメリットがあります。 離職・休職の収入減に備えられる 一般的に、住宅ローンは返済期間が長期にわたります。住宅ローンを借りた後に収入や生活環境が変化する可能性もあるため、返済できるか不安を感じる人もいるでしょう。また、8大疾病のいずれかに罹患して長期療養が必要になった場合、離職や休職をせざるを得なくなり、収入が途絶える恐れがあります。 一般団信に8大疾病保障特約をつけておけば、所定の条件を満たすと住宅ローンの残債が完済されるため、治療に専念できる環境が整い、精神的な負担も軽減されるでしょう。 医療保険やがん保険では不足する保障をカバーできる 民間の医療保険やがん保険は、手術や入院、通院などの医療費をカバーすることを主目的としています。一時金や入院給付金などを受け取れますが、住宅ローンの返済は保障されません。 8大疾病保障団信に加入すれば、病気による経済的なリスクに対して、より手厚い保障を受けることが可能です。 8大疾病保障特約付き団信に加入する際の注意点 8大疾病保障団信に加入する場合は、以下の点に注意が必要です。 保障を受けるための条件を理解する 8大疾病のいずれかに罹患したとしても、すぐに団信の保障が開始されるわけではありません。例えば、「所定の状態が60日継続したとき」のように、疾病ごとに保障内容が定められています。 また、団信を契約後、一定期間は保障対象とならない免責期間が設けられていることもあります。契約前に、保障を受けるための条件を把握しておきましょう。 特約によって返済額がいくら変わるかを確認する 一般団信に8大疾病保障特約をつけると、その分保険料が発生します。一般的には、住宅ローンの金利に上乗せするかたちで支払うことになります。毎月の返済額や総返済額への影響を確認しておくことが大切です。また、団信で上乗せされる金額と一般的な医療保険等で備える場合とで、どれくらいの差があるかまで確認しておくといいでしょう。 病歴や通院歴を正しく告知する 8大疾病保障団信は、一般団信に限らず、年齢などの申し込み要件が定められています。そのため、団信に加入するためには、病歴や通院歴などを保険会社に告知して審査を受ける必要があります。告知漏れや虚偽の申告があると、告知義務違反となって万が一のときに保障を受けられないリスクがあるので、正確な告知を心掛けましょう。なお、病歴や年齢によっては加入できない場合があります。 まとめ 住宅ローンの団信に8大疾病保障特約をつけることで、死亡や所定の高度障害状態だけでなく、がんをはじめとする幅広い病気に備えることができます。ただし、一般的な住宅ローンの金利に上乗せするかたちで保険料が発生することに注意が必要です。 長期のローンを組む場合や健康に不安がある方は、経済的なリスクを軽減する手段として8大疾病保障団信を検討してみてはいかがでしょうか。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 団信が受け取れない理由は?加入前に知るべきポイントと対処法 一般的に金融機関で住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険(以下、団信)の加入を求められます。団信に加入すれば、万が一のときに住宅ローンの残債を肩代わりしてもらえるのが魅力です。ただ、中には「...
一般的に金融機関で住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険(以下、団信)の加入を求められます。団信に加入すれば、万が一のときに住宅ローンの残債を肩代わりしてもらえるのが魅力です。ただ、中には「保険金が受け取れなかった」というケースもあります。 この記事では、団信の保険金が受け取れない理由や団信加入時に確認しておきたいポイント、団信の保険金が受け取れなかったときの対処法について解説します。 団体信用生命保険の保障内容 団信とは、加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合に、住宅の持分や返済割合などにかかわらず、以後の住宅ローンの返済が不要となる生命保険です。この仕組みにより、遺された家族は住宅ローンの返済を気にすることなく生活を続けることができます。 団信の基本保障は「死亡」および「高度障害状態」です。最近では3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)なども保障するタイプもあります。団信加入には保険会社の審査があり、健康状態などの告知が必要です。 関連記事はこちら住宅ローンの団体信用生命保険とは?保障内容や特約を解説 団体信用生命保険が受け取れない理由 団信は生命保険の一種であるため、一定の条件を満たさないと保険金は受け取れません。ここでは、団信で保険金が支払われない主な理由を紹介します。 保険金の支払事由に該当しなかった 団信には、保険金が支払われる条件が定められています。例えば、事故によって障害が残ったとしても、保険会社が定める高度障害状態に該当しないと判断された場合や、病気でも所定の状態にならなければ保障対象とならない場合など、支払事由に該当しないと保険金は受け取れません。 病歴や通院歴を正確に告知していなかった 団信に加入する際は、健康状態に関する告知が義務付けられています。例えば、がん治療で通院していることを告知せずに加入し、加入後にそのがんが原因で死亡した場合や、申し込みの段階で、病歴や通院歴、服薬状況などを正確に告知していなかった場合は、告知義務違反と判断されて、保険金が受け取れないことがあります。 住宅ローンを滞納していた 一般的に、住宅ローンを滞納して保証会社などの第三者が、ローンを滞納している債務者に代わって金融機関に一括返済する、いわゆる代位弁済の手続きが始まると団信は解約となります。団信が解約されたタイミングで、支払事由に該当する事案が発生したとしても保険金を受け取れなくなってしまいます。 関連記事はこちら代位弁済とは?仕組みや流れ、考えられるリスクについて解説 金融機関に保険金請求をしていなかった 団信の保険金は、死亡や高度障害状態になった場合に自動的に受け取れるものではありません。保険金を受け取るには、契約者自身または遺族が金融機関に対して保険金の請求手続きを行う必要があります。 保険金を請求する際は、医師の診断書など所定の書類を準備して金融機関で手続きを行います。万が一のときは、金融機関に連絡し手続きの方法や流れを確認するようにしましょう。 団体信用生命保険の加入時に確認しておきたいポイント 団信のトラブルを未然に防ぐために、団信加入時に以下のポイントを確認しておきましょう。 保険金の支払条件に問題はないか 保険金が支払われる条件は、保険会社や商品によって異なります。加入時に死亡や高度障害状態の定義、3大疾病などの特約や保障範囲、給付条件などを確認しましょう。特に高度障害状態については、認定基準が細かく定められている場合があるので注意が必要です。責任開始日(保障が始まる日)や免責期間(保険金の支払いが免除される期間)なども把握しておきましょう。 関連記事はこちらフラット35の新機構団信と一般団信の違いとは?保障内容と3大疾病保障について解説 健康状態を正しく告知しているか 前述の通り、健康状態を正しく告知しないと告知義務違反と判断され、保険金が受け取れない場合があります。病歴や通院歴、服薬状況などの告知事項はもれなく、正確に告知することを心掛けましょう。告知すべきか迷う項目がある場合は、自己判断せずに金融機関や保険会社に相談することが大切です。 住宅ローンを無理なく支払い続けられるか 住宅ローンの滞納を続けると、団信が解約されて保障を受けられなくなる恐れがあります。将来にわたって住宅ローンを無理なく払い続けられるか、団信加入前に資金計画を立てることが重要です。 団体信用生命保険の保険金が受け取れないときの対処法 万が一、団信の保険金が受け取れなかった場合は、状況に応じて以下の対処法を検討しましょう。 住宅ローンの返済を続ける 団信未加入で住宅ローンの完済前に契約者が亡くなった場合、融資された住宅を相続人が債務を引き継ぐことになります。債務が引き継がれた相続人は、今後の自身の収入や財産状況を整理し、返済を続けることが可能かを検討しましょう。返済が苦しい場合は、金融機関に返済計画の見直しや借り換えなどの対応を相談するのも一つの方法です。 任意売却をする 契約者が亡くなり、住宅ローンを引き継いだが支払い続けるのが難しい場合は、任意売却で住宅を売却する方法もあります。任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者と債務者の間で同意して担保不動産を売却することです。競売に比べて、市場価格に近い値段で売却できる可能性があります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 まとめ 団信に加入すれば、契約者に万が一のことがあった場合は保険金で住宅ローンが完済されます。ただし、状況によっては保険金が受け取れないこともあります。団信加入時には支払条件や告知事項をしっかりと確認し、無理のない返済計画を立てることが重要です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンを滞納したらどうなる?対処法も併せて解説 収入の減少や、まとまった支出の発生で、住宅ローンが払えなくなってしまう人もいるでしょう。住宅ローンを滞納すると、自宅が競売にかけられる恐れがあります。住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、なる...
1つの不動産を複数人で所有しているときに、各所有者が持つ所有権の割合を「持分」といいます。不動産担保ローンは、自分の持分だけを担保に融資を受けることはできるのでしょうか。この記事では、不動産担保ローンが持分のみで借りられるのか、また、特殊な不動産に対する融資が可能かどうかについて解説します。 自分の持分だけを担保にした不動産担保ローンは難しい 不動産担保ローンは、土地や不動産、マンションなどの不動産を担保に借り入れができるローンです。金融機関によっては、本人が所有する不動産だけでなく、家族や法人名義の不動産を担保にすることも可能です。しかし、共有名義の不動産について、自分の持分だけを担保にした融資を取り扱う金融機関は限られます。 「自分の持分だけを担保にした融資」とは、例えば、戸建て住宅を夫婦で二分の一ずつ所有している場合に、夫婦のどちらか一方のみの持分を担保とした借り入れを指します。 自分の持分だけを担保にした不動産担保ローンが難しい理由 金融機関が融資の際に担保提供を求めるのは、融資金が未回収となるリスクに備えるためです。不動産担保ローンの場合、金融機関は担保不動産に抵当権を設定します。これにより、万が一債務者がローンを返済できなくなった場合に、金融機関が担保不動産を競売にかけて、売却代金から優先的に弁済を受けられます。 しかし、担保不動産が共有名義であり、一方の持分のみを担保に融資を行う場合、その持分単独では不動産全体を処分できないため、融資金の回収リスクが高まります。そのため、多くの金融機関では持分のみを担保とした不動産の取り扱いに対応していません。なお、共有名義人全員が担保提供をする場合は、一人で所有する不動産を担保にする場合と同等に評価されることが一般的です。 関連記事はこちら抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説 不動産担保ローンでの特殊な不動産の融資可否 持分のほかに、一般的には「売却するのが難しい」といわれる特殊な不動産を担保にローンを組めるか気になる人もいるでしょう。 ここでは、「既存不適格建築物」「借地権付建物」「再建築不可」「市街化調整区域」の4種類の不動産について、不動産担保ローンの融資可否を紹介します。なお、あくまでも一般的な傾向であり、金融機関によって審査基準が異なる点には注意が必要です。 既存不適格建築物 既存不適格建築物とは、新築時には当時の法律に適合していたものの、その後の法改正などの影響で現在の基準に適合していない不動産をいいます。例えば、建築当時は問題なかったが、法改正により建ぺい率や容積率がオーバーしているケースが考えられます。 不適格という言葉が入っていますが、あくまでも現行法の基準を満たしていないという意味であり、違法な不動産ではありません。ただし、建て替える場合は現行法に適合させる必要があるため、現在と同じ不動産を建てることはできません。また、現行法に適合している不動産に比べると、金融機関の担保評価は低い傾向にあります。 既存不適格建築物は建築時には適法であった不動産であり、違反建築物ではないため、不動産担保ローンの融資対象となりますが、金融機関によっては取り扱い対象外の可能性もあります。 借地権付建物 借地権とは、不動産を建てるために一定期間にわたって土地を借りる権利のことです。一般的な不動産は、土地と建物をセットで取得します。一方で、借地権付建物とは、建物は自分の所有物ですが、土地の所有権は他人(地主)にある状態です。住宅ローンの場合、通常は土地と建物を一緒に担保とするため、借地権付建物では借り入れが難しくなります。 審査が柔軟な金融機関であったとしても、地主(借地権者)の同意の有無、借地権の残存期間などによって融資可能か判断されます。借地権付建物であっても融資を受けられる可能性はあるため、まずは不動産担保ローンを提供する金融機関に相談してみるとよいでしょう。 再建築不可 再建築不可とは、現在建てられている不動産を解体して更地にすると、新たな不動産を建てられない土地のことです。再建築不可の不動産は、主に都市計画法における都市計画区域や準都市計画区域にあります。これらの区域では、建築基準法で「幅が4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければならない」という接道義務があり、基準を満たさないと新たに建物を建てることができません。 再建築不可の不動産は流通性が著しく劣るため、資産価値が低くなってしまいます。一般的には、再建築不可の不動産を担保に不動産担保ローンを借り入れることは難しいでしょう。 関連記事はこちらセットバックとは?2項道路や接道義務について徹底解説! 市街化調整区域 市街化調整区域は、都市計画法において「市街化を抑制すべき区域」と定義されており、原則として新たな開発行為や住宅の建築は制限されています。既存の建物を建て替える場合や用途を変更する場合には、自治体の許可が必要となることがあります。 このような制限があるため、市街化調整区域の不動産は担保評価が低くなりやすく、不動産担保ローンの審査が厳しくなる傾向があります。 関連記事はこちら市街化区域とは?市街化調整区域との違いを解説 まとめ 不動産担保ローンは、共有名義の不動産について、自分の持分だけを担保に融資を受けることは可能ですが、対応している金融機関は限られています。ただし、共有者全員が担保提供する場合は、通常の不動産担保ローンが利用可能です。自分の持分を担保に不動産担保ローンで借り入れをしたい場合は、金融機関に申し込む前に共有者同士で十分に話し合いましょう。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンの担保評価額を解説!いくら借りられるかの目安を知る方法とは? 不動産担保ローンの利用を検討する際、自分がいくら借りられるのか、気になる人もいるでしょう。自分がいくら借りられるかの目安を知るために重要なのが、担保とする不動産の評価である「担保評価額」です...
一般的な住宅ローンは、契約者本人が居住するための不動産取得に資金使途が限定されます。そのため、セカンドハウスを購入する目的で住宅ローンを組むことはできません。ただ、セカンドハウスローンやフラット35を利用すれば、セカンドハウス購入のための借り入れができる可能性があります。 この記事では、フラット35を利用して、セカンドハウスを購入する方法について詳しく解説します。 セカンドハウスローンとは セカンドハウスとは、生活拠点としている自宅以外の別荘や別宅など、定期的に居住する目的で所有する住まいのことを指します。セカンドハウスローンとは、そのような自身のためのセカンドハウスや両親・子供のための不動産を購入する際に利用できるローンです。 セカンドハウスローンと一般的な住宅ローンの違い 住宅ローンは契約者本人が居住するための不動産取得に資金使途が限定されますが、セカンドハウスローンは生活拠点とは別の不動産の購入資金が資金使途の対象に含まれる点が大きな違いです。 また、一般的な住宅ローンは金利が低く設定されていますが、セカンドハウスローンは、住宅ローンとダブルローンになったり、自己居住用の住宅購入資金ではなかったりするので、金融機関はリスクが高いと判断するため、金利も高い傾向にあります。 セカンドハウスの購入にはフラット35が利用できる セカンドハウスを購入するとき、セカンドハウスローンだけでなく、フラット35も利用できます。フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。全国300以上の提携金融機関が扱っており、最長35年間固定金利で融資を受けられます。 借入時に毎月の返済額や総返済額が確定するため、資金計画を立てやすいのが特長です。資金使途がセカンドハウスの購入だからといって、金利や対象となる不動産、借入金額、借入期間などの条件に差はありません。融資を希望する場合は、住宅金融支援機構ではなく、民間の提携金融機関に申し込みを行います。 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 フラット35でセカンドハウスを購入する場合の注意点 フラット35でセカンドハウスを購入する場合は、以下の点について注意が必要です。 二重で借り入れができない 既にフラット35を利用して、契約者本人が居住する不動産を購入している場合、新たにセカンドハウス取得のためにフラット35を二重で借り入れることはできません。 住宅ローン控除が利用できない フラット35を利用して契約者本人が居住する不動産を購入する場合、一定の要件を満たすと住宅ローン控除を利用できます。しかし、セカンドハウスの購入を目的とする場合は原則として住宅ローン控除の対象外です。 投資目的でセカンドハウスの購入ができない フラット35は、賃貸に利用する投資目的で借り入れができません。あくまで、契約者本人やその家族がセカンドハウスを購入して居住することが前提であるため、第三者に貸し出すといった目的では利用できません。 フラット35を利用してセカンドハウスを購入する場合の手続き セカンドハウスを購入する目的でフラット35の融資を受けるには、金融機関の審査に通過する必要があります。ここでは、融資申し込み時の流れについて説明いします。 申し込みの流れ フラット35を利用する際の一般的な流れは以下のとおりです。 事前審査の申し込み 借り入れの本申し込み・団体信用生命保険の加入申し込み(任意) 本審査 物件検査・適合証明書の発行 借り入れの契約・火災保険の加入 フラット35を利用してセカンドハウスの購入を希望する場合は、銀行等の金融機関や不動産会社、住宅ローン専門の相談窓口などで事前審査を申し込みます。事前審査に通過したら、必要書類を提出して本審査に進みます。 この段階では、自身の収入や購入物件などについて詳細な情報提供が必要です。本審査に通過し、契約手続きが完了すると融資が実行されます。 申し込み条件 フラット35の申込条件は以下の3つです。なお、総返済負担率はフラット35だけでなく、自動車ローンやカードローンなどのすべての債務を含めて計算する点に注意が必要です。 申込時の年齢が満70歳未満である(親子リレー返済の場合は満70歳以上でも申し込み可) 日本国籍の人、外国籍で永住許可を受けている人または特別永住者である すべての借り入れについて、総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)が、年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下である 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」 必要書類 フラット35に申し込む際は、主に次の書類を提出する必要があります。必要書類は主に以下のようなものですが、詳細は金融機関によって異なるため、事前に確認して早めに準備しましょう。 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) 収入証明書類(源泉徴収票、所得証明書、確定申告書など) 購入する住宅に関する書類(売買契約書、工事請負契約書など) まとめ セカンドハウスローンやフラット35を利用すれば、別荘や週末を過ごすための別宅、単身赴任先の家など幅広い目的で不動産の購入を検討できます。一般的な住宅ローンとの違いを理解し、自身のライフプランや経済状況に応じて慎重に検討しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35の審査基準を徹底解説! フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利が確定するため、返済計画を立てやすく、金利変動リスクへの備えとなります。ただし、フラット3...
一般的に注文住宅を建てるときは、住宅ローンの融資が実行される前に、事前に土地購入代金や建物の一部建築費用などを用意しなければなりません。手元資金で支払うことができない時に、つなぎ融資を利用すれば、これらの費用の支払いに対応できる可能性があります。 この記事では、つなぎ融資の概要やメリット・デメリット、利用時の注意点を解説します。 つなぎ融資とは 一般的に、つなぎ融資とは、住宅ローン実行前に必要な資金を一時的に立て替えるためのローンのことをいいます。通常、住宅ローンは住宅の引き渡し時に実行されますが、注文住宅のように住宅の引き渡し前に土地購入代金や着工金、中間金などの支払いが発生する場合、住宅ローンが決済される前に資金を用意しなくてはなりません。このようなときに、つなぎ融資を利用すれば、住宅ローン実行前の支払いに対応できます。 売却つなぎ融資とは 売却つなぎ融資とは、売却予定の不動産を担保にして、融資を受けられるローンです。持ち家の人が、住み替えに発生する費用として、現在借りている住宅ローンを完済したり、新居の手付金や頭金を支払ったりする際に利用できます。 つなぎ融資は住宅ローンの融資を利用して一括で返済するのに対し、売却つなぎ融資は不動産を売却して得た資金から一括で返済する仕組みです。 つなぎ融資のメリット つなぎ融資には以下のようなメリットがあります。 住宅ローン実行までの資金を調達できる 注文住宅における土地購入代金や建築中の支払いはまとまった金額となるため、自己資金でまかなえる人は少ないでしょう。つなぎ融資を利用すれば、住宅ローン実行前に必要な資金を調達できます。 月々の返済負担が小さい つなぎ融資の返済は、一般的に利息のみです。元金は住宅ローン実行時に一括返済するため、月々の返済負担を抑えることができます。 住み替えをスムーズに進められる 売却つなぎ融資を利用すれば、買い先行で住み替えをする際も便利です。買い先行とは、先に新居を購入してから自宅を売却する方法です。自己資金がない状態で住み替えを検討する場合、自宅の売却代金を新居の購入に使うことができないため、頭金や手付金を用意できず、新居の購入が難しくなる場合があります。つなぎ融資を受けることで、一時的な資金不足を解消できます。計画を延期することなく、住宅取得をスムーズに進められるでしょう。 関連記事はこちら仮住まいなしで住み替えをする5つの方法 つなぎ融資のデメリット・注意点 つなぎ融資は、以下のようなデメリットや注意点もあります。 借り入れコストが発生する つなぎ融資を利用すると、契約時や完済時の手数料や借入期間中の利払いが発生します。また、融資年率も住宅ローンに比べて高い場合もあるので、期間が長期化すると想定よりもコストが大きくなる恐れがあります。 つなぎ融資に対応している金融機関は少ない つなぎ融資は、住宅ローン実行時に、つなぎ融資を一括返済する必要があるため、同じ金融機関で住宅ローンとセットで契約するのが一般的です。つなぎ融資に対応している金融機関は少ないため、借入先の選択肢は限られるかもしれません。 つなぎ融資の取り扱いはなくても、金融機関が提携しているローン会社を紹介してもらえる場合もあります。「つなぎ融資はA銀行、住宅ローンはB銀行」のように、別々の金融機関で組むことができるかは借入先によって異なります。まずは住宅ローンを申し込む金融機関に相談するとよいでしょう。 住宅ローン控除を利用できない 住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得した場合に受けられる税制優遇措置です。つなぎ融資は「借入期間が10年以上」などの要件を満たさないため、住宅ローン控除の対象外となります。 スケジュールに余裕を持つ つなぎ融資は、一般的に住宅ローンの本融資が実行されるまで、利息の支払いが発生します。悪天候などの諸事情によって、住宅の建築が当初の予定通りに工事が進まないこともあるでしょう。工事の進捗が遅れてつなぎ融資の借入期間が延びると、その分の金利負担が増えてしまいます。つなぎ融資を利用する際は、不測の事態が発生することも視野に入れ、資金やスケジュールに余裕を持つことが大切です。 つなぎ融資利用の流れ つなぎ融資を利用する際の一般的な流れは以下のとおりです。 ハウスメーカーと建築プランを決める つなぎ融資を利用できる金融機関を探す つなぎ融資と住宅ローンの審査を受ける つなぎ融資で住宅ローン実行前に発生する費用を支払う 住宅ローンでつなぎ融資の元金を一括返済する つなぎ融資を希望する場合は、ハウスメーカーや住宅ローンを申し込む金融機関に相談してみましょう。インターネット検索を利用して、つなぎ融資に対応している金融機関を調べるのも有効です。 まとめ つなぎ融資は、住宅ローン実行前に必要な資金を調達できる便利なローンです。ただし、つなぎ融資を利用するには借り入れコストが発生します。つなぎ融資のメリット・デメリットを比較検討したうえで、利用すべきかを判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 マイホーム購入の流れと押さえておくべきポイントを解説 マイホーム購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物です。しかし、実際に「家が欲しい」と思っても、何から始めたらよいかわからないのではないでしょうか。入居してから後悔しないように、事前に...
フラット35は、最長35年間の全期間固定金利の住宅ローンです。マイホーム購入でフラット35を検討する際に、「頭金なしでローンを組めるのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。この記事では、頭金なしでフラット35を組む方法や注意点、返済事例などを紹介します。 頭金なしでフラット35を組むことは可能 フラット35は、頭金(自己資金)なしでも借り入れが可能です。 フラット35は住宅の建設費や購入価額のほかに、融資手数料、登記費用、火災保険料などの諸費用も借り入れ対象に含まれます。 そのため、一定の要件を満たしていれば、10割までの融資(いわゆるフルローン)が利用できます。 ただし、フラット35は融資率が9割以下と9割超で金利が変わります。融資率とは、住宅の建設費または住宅の購入価額に対してフラット35の借入金額の占める割合のことです。 2025年3月時点の、新機構団信付きのフラット35(借入期間21年以上35年以下)の金利水準は以下のとおりです。 フラット35の金利水準(2025年3月) 融資率 金利の範囲 最も多い金利 9割以下年1.940%~年3.690%年1.940% 9割超年2.050%~年3.800%年2.050% 出典)住宅金融支援機構「金利情報」をもとに作成 頭金なしでフラット35を組むときの注意点 頭金なしでフラット35を組むときは、以下の点に注意が必要です。 返済比率が年収400万をボーダーに変わる 返済比率(総返済負担率)とは、すべての借り入れについて、年収に占める年間合計返済額の割合のことです。 フラット35を申し込むには、以下の返済比率の基準を満たす必要があります。 フラット35の返済比率の基準 年収400万円未満 年収400万円以上 返済比率30%以下35%以下 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」をもとに作成 例えば、年収400万円の人であれば、年間のローン返済額を140万円以下にする必要があります。頭金なしでフラット35を組むと借入金額が増えるため、それに応じて返済比率も増えます。年収や借入金額によっては返済比率の基準を満たせず、申し込みできなくなるかもしれません。 また、申込要件を満たしたとしても、借入金額が増えると審査に影響する可能性があります。住宅金融支援機構のホームページには、「融資率が9割を超える場合は、融資率が9割以下の場合と比較して、ご返済の確実性などをより慎重に審査させていただく」と記載されています。 出典)住宅金融支援機構「融資率とは」 金利が高くなることで毎月の返済額が増加する 先述のとおり、フラット35は融資率によって金利が変わります。頭金なしでローンを組むと融資率は10割となり、融資率9割超の金利が適用されます。融資率9割以下に比べて金利が高くなるため、その分毎月の返済額や総返済額が増加します。 頭金なしでフラット35を組むのであれば、金利が高くなることを考慮し、無理のない返済計画を立てることが重要です。 フルローン融資が否決となったときは自己資金を用意できるまで待つ フルローンの融資が否決となった場合は、自己資金が用意できてから改めてフラット35に申し込みましょう。頭金を入れて融資率が9割以下になれば、金利が下がり、毎月の返済額や総返済額を抑えることが可能です。 マイホーム購入に時間がかかってしまいますが、「比較的短期間で頭金を貯められる」「無理のない返済計画を立てたい」という場合におすすめの方法です。 頭金なしでフラット35を組んだときの事例 ここでは、3,000万円の物件(諸費用を含む)を購入する際に、頭金なしの場合と頭金を1割入れる場合でフラット35の返済額がどのように変わるかを見てみましょう。 頭金なしと頭金1割のフラット35返済比較 頭金なし(融資率10割) 頭金1割(融資率9割) 頭金ー300万円 借入金額3,000万円2,700万円 金利※年2.050%年1.940% 借入期間35年 返済方法元利均等返済 毎月の返済額10.1万円8.9万円 総返済額4,207万円3,722万円 ※2025年3月の最も多い金利(新機構団信付き、借入期間21年以上35年以下) 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」をもとに作成 頭金なしの場合は、マイホーム購入時の自己資金を抑えられます。ただし、頭金を1割入れる場合に比べて、毎月の返済額は1.2万円増加します。 まとめ フラット35は、返済比率などの要件を満たせば頭金・自己資金なしでも借り入れが可能です。ただし、融資率が9割を超えると金利が高くなり、審査も厳しくなる傾向にあります。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット50とは?メリット・デメリットや条件について解説 フラット50は、最長50年の借り入れが可能な全期間固定金利の住宅ローンです。一般的に住宅ローンの借入期間は最長35年ですが、フラット50ならより長期の借り入れが可能です。この記事では、フラッ...
リースバックは、自宅を売却した後もリースバック運営会社(売却先)と賃貸借契約を結ぶことで同じ家に住み続けられるサービスです。 基本的には戸建てもマンションも取引可能ですが、運営会社によってはどちらか一方に限定される場合もあります。この記事では、マンションのリースバックの特徴やメリット・デメリット、注意点を解説します。 リースバックのメリット・デメリット まずは、一般的なリースバックのメリット・デメリットを紹介します。 メリット リースバックには以下のようなメリットがあります。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 一般的な不動産売却でもまとまった資金を得ることはできますが、新居の準備や引っ越し費用が発生してしまいます。一方でリースバックは、自宅を売却して資金を得た後も自宅にそのまま住み続けられるので、引っ越し費用などが発生しません。 月々の支出が定額化される 自宅を所有していると、管理費や固定資産税などさまざまな費用が発生します。しかし、リースバックを利用すれば、管理費や固定資産税などを含めた一定の家賃(リース料)を運営会社に払うことなるため、支払いが一本化されます。 家を所有することで発生するリスクがなくなる 自宅の所有には、「災害により建物が損壊するリスク」「金利上昇によって変動金利の住宅ローン返済額が増加するリスク」などがあります。リースバックは所有者が運営会社となるため、これらのリスクがなくなります。 デメリット 一方で、リースバックには以下のようなデメリットもあります。 売却価格が市場価格よりも安くなる リースバックは、基本的に自宅の売却価格が市場価格より安くなります。運営会社によりますが一般的な不動産売却価格の70%ぐらいがリースバック利用時の買取金額と言われています。 リフォームや建て替えが自由にできなくなる リースバックを利用すると、自宅の所有者は運営会社となります。リフォームや建て替えをするには、運営会社の許可が必要です。 ずっと住み続けられるとは限らない リースバックの賃貸借契約が定期借家契約の場合、貸主との合意がないと再契約できないため、ずっと住み続けられる保証はありません。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 マンションをリースバックするメリット・デメリット マンションをリースバックする場合は、特有のメリット・デメリットが存在します。 メリット マンションを所有していると、管理費や修繕積立金の支払いが毎月生じます。また、毎年固定資産税もかかりますが、リースバック後はこれらの支払いが不要になります。ただし、家賃に含まれている場合もあり、単純に減額になるわけではない点に注意が必要です。 なお、駐車場代については家賃に含まれず、通常はリースバック後も支払額に変更はありません。ただし、運営会社を通じて管理会社に支払うことになります。 デメリット マンションによっては、過去に何らかの事故があった物件(いわゆる事故物件)、建築基準法などに適合していない違法物件に該当するかもしれません。そのような物件の場合、物件評価が下がる可能性があり、そもそも取引ができないケースもあります。 物件の評価方法の違い リースバックにおける物件の評価方法は、マンションと戸建てで以下のような違いがあります。 マンションの場合 マンションの場合、同じマンション内や近隣マンションの過去の成約事例から評価します。戸建てとは異なり、同じような広さ、方角の部屋が多数あることから取引事例が多く、価格を算出しやすいです。 戸建ての場合 戸建ての場合、土地と建物を分けて評価します。 土地は広さや形状、接道状況、用途地域などをもとに評価されます。住宅には、「建築基準法で定められている道路に敷地が2m以上接していなければならない」という接道義務があります。また、市街化区域内では土地の用途を13種類に区分し(用途地域)、建築できる建物や規模などを制限しています。そのため、接道状況や用途地域も土地の評価に影響を与えます。 建物は間取りや構造、築年数などをもとに評価されます。一般的に戸建ては木造が多いため、鉄筋コンクリート造のマンションに比べると、築年数の経過により資産価値が下がりやすい傾向にあります。また、戸建ては将来的な土地利用計画が評価に影響することもあります。 リースバック取引時の注意点 リースバックを利用する場合は、物件種別を問わず、自宅の価値を正確に把握することが大切です。運営会社によって売買価格や家賃、手数料だけでなく、賃貸借契約の期間や種類、買い戻し条件も異なります。必ず複数社から見積もりをとり、比較検討することが大切です。 関連記事はこちらリースバックを比較する5つのポイント まとめ 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるリースバックは、老後資金の確保や住宅ローンの返済負担軽減に有効な手段です。マンションでリースバックをする場合は、特有のメリット・デメリットや戸建てとの違いを理解したうえで複数社から見積もりをとり、しっかりと比較検討しましょう。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 高齢者の自宅売却のトラブルが増加!回避するための対策とは? 「強引に勧誘された」「高額の違約金を請求された」など、高齢者の自宅売却に関するトラブルが増加しています。 相手に言われるがまま売買契約をしてしまうと、高齢者の場合は「住む場所が見つからない」...
店舗併用住宅とは、建物の一部分を店舗として利用する住宅です。自宅で開業するために、店舗併用住宅の建築・取得を検討する人もいるでしょう。店舗併用住宅でも住宅ローンを利用できますが、一般住宅とは条件や注意すべき点が異なります。 この記事では、店舗併用住宅で住宅ローンを組む場合の条件やメリット・デメリット、注意点を解説します。 店舗併用住宅で住宅ローンを組む場合の条件 店舗併用住宅でローンを組む場合、基本的に居住部分は住宅ローン、店舗部分は事業用ローンを利用します。ただし、一定の要件を満たせば、居住部分と店舗部分をまとめて住宅ローンを利用できる金融機関もあります。 まずは、一般的な銀行とフラット35の利用条件について見ていきましょう。 銀行の場合 銀行の場合、店舗併用住宅で住宅ローンを利用できるかは金融機関によって異なります。多くの金融機関では、「居住部分の床面積割合」「店舗部分の使用目的」などを条件として設定しています。 例えば、住信SBIネット銀行の利用条件は以下のとおりです。 店舗(事務所)部分を除く居住部分の床面積が、建物全体の床面積の2分の1以上あること 店舗(事務所)部分が自己の使用であること ※事業性融資(店舗・事務所部分のリフォーム等)には利用できない 出典)住信SBIネット銀行「〔住宅ローン〕 店舗(事務所)併用物件でも利用することはできますか?」 住信SBIネット銀行では、居住部分の床面積が50%未満の場合、店舗部分を他人に貸し出す場合は店舗併用住宅で住宅ローンを組むことはできません。条件は金融機関によって異なるので、住宅ローンを申し込む予定の金融機関に店舗併用住宅の利用条件を確認するとよいでしょう。 フラット35の場合 フラット35の場合、以下4つのすべての条件を満たす場合は店舗併用住宅でも住宅ローンを組めます。ただし、借り入れの対象となるのは居住部分のみです。 住宅部分の床面積が全体の1/2以上であること 店舗や事務所の部分は申込本人または同居者が生計を営むために自己使用するものであること 「住宅部分」と「店舗や事務所の部分」との間が壁、建具などで区画されており、原則として相互に行き来できる建て方であること 「住宅部分」と「店舗や事務所の部分」を一つの建物として登記(一体登記)できること(店舗や事務所を区分登記しないこと) 出典)フラット35「一部分を店舗や事務所として利用するような住宅(内部で行き来できるもの)は融資の対象になりますか。」 店舗併用住宅でフラット35を利用するなら、店舗部分については事業用ローンの利用を検討する必要があるでしょう。 店舗併用住宅で住宅ローンを組むメリット 店舗併用住宅で住宅ローンを組む際には、以下のようなメリットがあります。 店舗部分の経費算入ができる 居住部分は住宅ローン控除が使える 事業用ローンよりも金利が低い傾向にある 店舗部分の建築費や店舗部分の面積に応じたローンの利息は、事業の経費に計上できます。テナント料がかからないので、自宅とは別に店舗を借りるよりも支出を抑えられるかもしれません。 居住部分は住宅ローン控除など対象となるため、税負担の軽減が期待できます。また、住宅ローンは事業用ローンよりも金利が低い傾向にあることから、利払いの負担軽減にもつながるでしょう。 店舗併用住宅で住宅ローンを組むデメリット 一方で、店舗併用住宅で住宅ローンを組むことには、以下のようなデメリットもあります。 建てられる場所が制限されるため住宅ローンが借りづらい 売却しにくい 特に店舗併用住宅は一般住宅に比べると購入を検討する人が少なく需要が低いので、売却がしにくいのが最大のデメリットしてあげられるでしょう。 店舗併用住宅で住宅ローンを組む注意点 店舗併用住宅で住宅ローンを組む際の主な注意点は以下2つです。 居住部分と店舗部分の割合を検討する 売却時のことを考えておく 店舗併用住宅では、住宅ローン控除の適用範囲などに注意して税制優遇を有効活用できるように、居住部分と店舗部分の割合をどうするかを検討しておくことが大切です。そもそも居住部分が50%以上ないと、住宅ローン控除が使えない点にも注意が必要です。 また、店舗併用住宅は需要が少なく、売却が難しい傾向にあります。将来お店の場所を移転したり、事業を辞めたりする可能性を考慮し、どのように売却するかを考えておきましょう。 その他、店舗併用住宅で火災保険に加入する際にも注意が必要です。店舗併用住宅も火災保険の対象となる建物ですが、建物の用途は住居のみに使用する「専用住宅」ではなく、一部を店舗として使用する「併用住宅」となります。そのため、一般住宅に比べると保険料が高くなる場合があります。 まとめ 店舗併用住宅で住宅ローンを組むことは可能ですが、通常は居住部分の床面積割合や店舗部分の使用目的などの条件が定められています。金融機関に申し込みをする前に、店舗併用住宅で住宅ローンを組む場合の条件を確認しておくことが大切です。 フラット35の場合は借り入れ対象が居住部分に限られるため、店舗部分は事業用ローンの利用を検討しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35子育てプラスとは?金利引き下げの条件や注意点を解説 フラット35子育てプラスとは、子育て世帯や若年夫婦世帯に向けた新たな金利引き下げ制度です。一定の要件を満たすと子供の人数などに応じて金利が引き下げられるため、住宅ローンの負担軽減が期待できま...