住宅ローンが残っていても自宅を賃貸に出せる?

更新日: / 公開日:2020.04.07

住宅ローンを借りて自宅を購入した後、急な転勤などで、住み替えが必要になった場合、いずれは元の自宅に戻りたいと考え、自宅を賃貸に出せないか検討することもあるかもしれません。この記事では、住宅ローンの残債がある自宅を賃貸に出したい時、どのように対処すればいいかについて解説します。

住宅ローンが残っている自宅は原則賃貸に出せない

結論から言うと、住宅ローンを借りたまま自宅を賃貸に出すことは原則できません。なぜなら、住宅ローンの資金使途は「自己居住用の不動産」の購入に限定されており、賃貸に出した時点で「自己居住用」ではなくなってしまうためです。

仮に、住宅ローンを借りている金融機関に無断で自宅を賃貸に出し、それが発覚した場合、住宅ローンの一括返済を求められる恐れがあります。

まずは住宅ローンを借りている金融機関に相談しよう

住宅ローン返済中の自宅を賃貸に出したい場合には、まずは住宅ローンを借りている金融機関に相談しましょう。金融機関がやむを得ないと判断すれば、自宅を賃貸に出すことを許可してくれる可能性もあります。

もちろん、賃貸に出すことを認められないことも往々にしてあるので、その時には、不動産投資ローンへの借り換えを検討するといいでしょう。

不動産投資ローンへの借り換えは慎重に

上述のとおり、住宅ローンの資金使途は、自己居住用の不動産の購入に限定されています。そのため、「不動産投資ローン」に借り換えることで、自宅を賃貸に出せるようになります。一方で、不動産投資ローンへの借り換えは、金利の上昇や総返済額の増加などのデメリットもあります。

一般的に、住宅ローンは不動産投資ローンよりも金利が低いので、借り換えによって金利は上昇し、総返済額が増加します。一方で、自宅を賃貸に出すと家賃収入が得られるため、安定した家賃収入が見込める物件であれば、家賃収入だけでローンを返済できるかもしれません。また、借り換えに際して、返済期間を延ばせば、毎月の返済額を減らすことができる可能性もあります。

なお、不動産投資ローンを取り扱う金融機関に借り換えの相談をすると、キャッシュフローの改善を含めた提案をしてもらえるかもしれません。まずは、不動産投資ローンを取り扱う金融機関に相談して、提示された条件をもとに、借り換えをするかどうか判断するといいでしょう。

住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えイメージ

ここでは、住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えイメージを紹介します。サラリーマンのCさんは、勤務している会社から海外赴任の内示を受け取りました。住宅ローンが残っている自宅を賃貸に出し、海外赴任が終わったタイミングで、住み慣れた自宅に戻ることを考えていました。

Cさんはまず、住宅ローンを借りている金融機関に相談をしましたが、賃貸に出すことを認められませんでした。そのため、住宅ローンが残っている自宅を担保にして、不動産投資ローンへの借り換えを行いました。その結果、借り換え前と借り換え後の状況は下表のようになりました。

借り換え前借り換え後
ローン残高2,500万円2,560万円*
返済期間20年20年
金利1.50%6.00%
月々の返済額12万円18.3万円
家賃収入0万円18.7万円

※借り換えに際して、2,500万円に諸費用として2.20%を上乗せしています。

借り換えによって金利は1.5%から6.0%に上がり、月々の返済額が6.3万円増加しました。一方で、自宅を賃貸に出すことで、月々18.7万円の収入が得られるようになりました。そのため、月々の負担なく不動産投資ローンの残債を減らしていくことに成功しました。

実際に借り換えを行う場合は、不動産投資ローンを取り扱う金融機関に申し込みを行いましょう。審査に通過したら、住宅ローンを借りている金融機関に、返済可能日などを確認のうえ、契約手続きを進めます。手続きの流れの詳細は、以下の記事で詳しく紹介しています。

まとめ

住宅ローンのある自宅を賃貸に出したい場合は、まずは住宅ローンを借りている金融機関に相談してみましょう。そして、賃貸に出すことが認められなければ、不動産投資ローンへの借り換えを検討するといいでしょう。ただし、不動産投資ローンへ借り換えるためには、審査に通過する必要があるため、自身の希望だけでなく、借り換えがそもそもできるのかなどを確認してみましょう。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。