「5,000万円の家を買いたいけれど、自分の年収で本当に買えるのか」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。 この記事では、フラット35を利用して5,000万円の家を購入する際の金利に基づく返済シミュレーションと、購入時に注意すべきポイントについて解説します。 フラット35の金利で見る5,000万円借入時の住宅ローン返済額 フラット35では、融資率(借入金額が物件価格に対して占める割合)によって金利が変動します。融資率が9割以下と9割超の場合で適用金利が異なるため、頭金の有無によって返済額に差が生じます。 2025年7月時点の、新機構団信付きのフラット35(借入期間21年以上35年以下)の金利水準は以下のとおりです。 フラット35の金利水準(2025年7月) 融資率 金利の範囲 最も多い金利 9割以下年1.840%~年3.970%年1.840% 9割超年1.950%~年4.080%年1.950% 出典)住宅金融支援機構金利情報をもとに筆者作成 ここでは、頭金なしと頭金を1割入れてローンを組む場合の2パターンでシミュレーションします。 頭金なしで5,000万円、頭金1割で4,500万円を借り入れた場合の返済額 返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしを前提に、頭金なし(融資率10割)と融資率9割を条件にシミュレーションすると下表のようになります。 条件 借入額 適用金利 毎月の返済額 総返済額 頭金なし5,000万円1.95%約16.4万円約6,902万円 頭金1割4,500万円1.84%約14.5万円約6,106万円 頭金なしの場合は、初期費用を抑えられるメリットがありますが、融資率が9割超となるため金利が高くなり、結果として毎月の返済額や総返済額が増加します。一方で、頭金を1割入れると融資率が9割となり、金利が低く抑えられるため、返済負担も軽減されます。 関連記事はこちらフラット35は頭金・自己資金なしで組める? 5,000万円の家を無理なく購入するために注意すべきポイント 5,000万円の家を購入する場合は、住宅ローンの返済だけでなく、将来の生活も見据えた資金計画が重要です。以下のポイントを押さえて、無理のない住宅購入を目指しましょう。 自己資金を多めに準備する 自己資金が多ければ多いほど、借入金額を抑えることができ、毎月の返済額や総返済額の負担を軽減できます。国土交通省の調査によると、住宅購入者の自己資金比率は平均30%~50%程度です。可能な限り自己資金は多めに準備をし、住宅ローンの借入額を適切に設定しましょう。 住宅種別 自己資金比率 土地付注文住宅29.0% マンション48.3% 注文住宅42.5% 建売住宅30.4% 中古マンション47.9% 中古戸建住宅47.3% 出典)国土交通省令和5年度住宅市場動向調査をもとに筆者作成 諸費用や維持費を考慮する 住宅購入では、物件価格以外にもさまざまな費用がかかります。借入額を決める場合は、購入時の「諸費用」や、購入後に継続して発生する「維持費」も含めて、総合的に資金計画を立てることが重要です。 購入時にかかる主な諸費用 住宅ローンの事務手数料 登記費用(登録免許税・司法書士報酬など) 火災保険料(数年分を一括払いするケースが多い) 引越し費用・家具家電の購入費用 購入後にかかる主な維持費 戸建住宅:固定資産税、修繕費(屋根・外壁など) マンション:管理費、修繕積立金、駐車場代など これらの費用は、住宅ローンの返済とは別に必要となるため、月々の支出や将来の負担を見越して、余裕のある資金計画を立てましょう。 返済負担率を20%程度に抑える 返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を示す指標で、住宅ローンの審査でも重視されます。この数値が高くなるほど、毎月の返済額や総返済額の負担が重くなり、生活費や将来の支出に影響を及ぼす恐れがあります。 国土交通省の調査によると、住宅ローンを利用している世帯の返済負担率は、平均で15~20%程度です。借入希望額を決める場合は、教育ローンや自動車ローンなどの他の借り入れも含めた総返済負担率が20%を超えないように意識すると安心です。以下は、住宅種別ごとの平均的な返済負担率です。 住宅種別 返済負担比率 マンション15.5% 注文住宅19.4% 建売住宅17.6% 中古マンション15.7% 中古戸建住宅16.1% 出典)国土交通省令和5年度住宅市場動向調査をもとに筆者作成 定年までに完済できる計画を立てる 一般的に、住宅ローンは長期にわたって返済が続くため、定年退職後も住宅ローンが残っていると、老後の生活に大きな負担になる場合があります。返済期間中には、病気やケガ、転職などで収入が減少するリスクもあるため、安定した収入があるうちに完済できるよう、計画的に返済期間を設定することが大切です。 例えば、30歳で住宅ローンを組む場合は、返済期間を35年に設定すると完済は65歳になります。60歳を定年として収入が減少することを考えると、最後の5年間は返済負担が大きくなることが想定されます。そのため、繰上返済を活用したり、返済期間を短めに設定したりすることで、定年までの完済を目指すことが現実的です。 まとめ 5,000万円の家を購入するための住宅ローンの返済額は、適用金利や頭金の有無などによって大きく変動します。購入を検討する場合は、事前に返済シミュレーションを行い、月々の支出や将来の生活設計を踏まえた資金計画を立てることが大切です。 特に、定年までに無理なく完済できるよう、返済期間や自己資金の準備、諸費用・維持費の見積もりを含めて、総合的に判断しましょう。安心して自宅を購入するためには、「借りられる金額」だけでなく、「返せる金額」を見据えた計画が欠かせません。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35の金利引き下げメニューについて詳しく解説 フラット35には、家族構成や住宅の性能などに応じて利用できる金利引き下げメニューがあります。最大で年1.0%の金利引き下げを受けられるため、住宅ローンの返済負担の軽減が期待できます。 この記...
俳優・勝野洋さん(以下、勝野さん)の妻であり、タレント、キルト作家としても活躍するキャシー中島さん(73)(以下、キャシーさん)のお住まいにお邪魔して、住まいやお金に関するお話をフリーアナウンサーの八木亜希子さんが伺いました。 この記事は、YouTubeチャンネル「SBIシニアの住まいとお金ch」で公開されている、キャシーさんご出演のインタビュー動画に基づいて作成しています。動画の詳細はこちら(第2回・第3回)からご覧ください。 「住まい」への価値観とお母様との思い出の住まい モデルとして活動をしていたある日、先輩モデルが見せてくれた高価なダイヤの指輪に対し、『そんなの持ってても舐めても美味しくないし、石じゃん。』と一蹴したといいます。『それなら、横浜で建売の50坪が500万円で出てるから、そっち買った方がいい。』と語るキャシーさんの価値観は、若い頃から「住まい」に向いていました。 お母様と過ごした思い出の住まい 19歳で引っ越した保土ヶ谷の一戸建ては、縁側や池、ハーブを育てる裏庭など、趣のある造りだったそうです。お母様が亡くなられた後に手放したものの、『持っていても良かったな。』と振り返るほど、思い出深い住まいでした。 『家は、家族が住む場所。あったかい空間が大事なの。』と語るその言葉には、人生を通じて住まいを大切にしてきた想いが込められていました。 勝野さんとの出会い、プロポーズ、そして新婚生活 キャシーさんが勝野さんに惹かれたきっかけは、テレビで見た子供をあやすシーン。『この人、真面目そうでいいな。こういう人と結婚したら幸せになれるかも。』と思い、なんと『この人と結婚しよう!』と決意します。 その後、親友の紹介で勝野さんがよく訪れるお店を知り、偶然を装って出会いを重ねていきます。初めは警戒されていたものの、ある日『うちに可愛い子猫がいるんだけど、見に来る?』と誘い、距離が縮まっていきました。 ▼キャシーさん宅の猫のお写真 ハワイでのプロポーズ 交際が始まった年の年末、勝野さんから石原裕次郎さんの別荘があるハワイへ行く予定であることを聞きます。それを聞いたキャシーさんはその場で『偶然、私もハワイに行くのよ。』と言いながらも、実はその後急いでハワイ行きの航空券を手配したそう。 こうして一緒に行ったハワイの海岸で、勝野さんが『君と結婚することになるみたいだ」とプロポーズを受け、結婚することとなりました。その時勝野さんは「君といつまでも」を歌ってくれたそうで、『ベタだけど感動した。』と語るキャシーさんの表情には、幸せがにじみ出ていました。 新婚生活の舞台となったマンション 勝野さんと結婚してからは、東京都渋谷区の2LDKマンションで新婚生活を始めます。レンガ色のマンションで、庭付きの1階で、お風呂は深めの「寝バス」を特注し、将来の子ども部屋も見据えた間取りにしたそうです。 『玄関から見た瞬間に「素敵なお家ね」と思ってもらえるように。』と、廊下の広さや花台の配置にもこだわり、自分らしい空間を丁寧に作り上げていきました。 家族を想う気持ちと芸能界引退の決断 その後、妊娠を機に芸能界を一度引退します。『中途半端では無理。やるなら徹底的に。』と語るキャシーさんは、子どもが学校に通うようになるまでは、なるべく一緒に過ごしたいという強い思いを持っていました。 『家族というものにすごく思いがあった。』と語る姿からは、何よりも家族との時間を大切にされていたことが伝わってきました。 住まいは、人生の節目を彩る場所 結婚、新生活、家族との時間——キャシーさんの人生の節目には、いつも「住まい」がありました。自分らしく整えた空間で、大切な人と過ごす時間を育む。その姿は、住まいが人生の舞台であることを改めて教えてくれます。 本編動画では、さらに詳しいエピソードや当時の住まいの様子もご覧いただけます。ぜひご視聴ください。 本編動画はこちら 執筆者紹介 SBIシニアの住まいとお金 メディア部 SBIシニアの住まいとお金は、【人生100年時代を見据えて、「住まい」も「お金」も充実できる人生をサポートしたい】との思いから、60歳以上の持ち家の方を対象に「Youtubeで楽しむ」、「セミナーで学ぶ」、「専門家に相談する」の3つのサービスを運営しています。 <公式サイト> https://www.sbi-efinance.co.jp/senior/ <YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/@sbi_senior/ 次に読むべき記事 勝野 洋氏がデビュー秘話と妻との馴れ初めを自宅で語る 俳優の勝野 洋氏(74)(以下「勝野氏」)のお住まいにお邪魔して、住まいやお金に関するお話をフリーアナウンサーの八木亜希子さんが伺いました。この記事は、SBIシニアの住まいとお金ch(You...
俳優・勝野洋さん(以下、勝野さん)の妻であり、タレント、キルト作家としても活躍するキャシー中島さん(73)(以下、キャシーさん)のお住まいにお邪魔して、住まいやお金に関するお話をフリーアナウンサーの八木亜希子さんが伺いました。 この記事は、YouTubeチャンネル「SBIシニアの住まいとお金ch」で公開されている、キャシーさんご出演のインタビュー動画に基づいて作成しています。動画の詳細はこちら(第4回・第5回)からご覧ください。 導かれるようにして見つけた御殿場の土地 当時勝野さんのとあるコマーシャル撮影の送り迎えのために御殿場に訪れたキャシーさんは、たまたま迷子になって訪れた東山湖の美しさに心を奪われます。 『こんなところに住んでいたら幸せになりそう。』と娘さんと語り合ったその帰り道に、ふと「売地」の看板を見つけます。電話番号を控え、翌日には勝野さんを連れて現地へ。その土地に立った瞬間、『ここがいい!』と直感したそうです。 じゃんけんで決まった300坪の土地購入 最初は100坪の購入予定だったものの、地主の希望は300坪。資金面で悩みながらも、『じゃんけんで決めよう。』と勝野さんと勝負。じゃんけんに勝ったキャシーさんが『じゃあ買います。』と即決。その後、マンションを売却し、事務所の保証も得て、夢の住まいづくりが始まりました。 キルトと暮らす、理想の空間づくり この御殿場の家は、キルト教室やカフェとしても活用できるよう設計されました。『母に言われたの。家を建てるなら、一部でいいから仕事ができる場所を作りなさいって。それをずっと守ってきたの。』と語るキャシーさん。住まいは、生活と仕事が交差する舞台でもあります。 三軒茶屋の自宅はまだ完成形ではない 『70歳の入り口って、まだ60代なのよね。だから、すっごいやる気満々なんですよ。』と語るキャシーさん。自分で決めた道を信じて歩んできた人生は、まさに「夢を形にする」連続でした。 現在の住まいはただの生活拠点ではなく、1階がショップ、2階がキルトスクール、3階がフラスクール、4階がアトリエという構成の、仕事ができるビルが併設されています。 ▼Kathy MOM Cafe(三軒茶屋) 『これが完成形かと言われると、まだまだ。』とこれからの夢について語るその姿勢には、キャシーさんの夢を追い続ける力強さが感じられます。そんなキャシーさんの語り口に、八木さんも『夢じゃなくて、計画を聞いているみたい』 キャシー中島さんがこれからやりたいこと 八木さんの『これからの人生で絶対にやりたいことは何ですか?』という質問に対し、キャシーさんは『ノープラン!』と笑いながらも、『今できること、今欲しいものをやっていく。』と語ります。 『80歳になったら大変かも。でもその時考えればいい。今は銀行とも交渉できる元気があるから、やりたいことをやってみましょう。』と、前向きな姿勢が印象的でした。 視聴者のみなさんに向けたメッセージ 最後に、視聴者のみなさんへ住み替えマスターの顔も持つキャシーさんからメッセージ。ずばり『土地を買うときのポイントは、①周りをよく見る、②シチュエーションを考える、③朝昼晩その土地に立ってみる』。そして、『縁とつながりを大事にして。』と締めくくりました。 『家を買う、建てるって楽しいこと。自分で考えていいんだから。』と語るキャシーさんのお話は、何歳であってもこれからの人生を豊かにできる、そんなヒントに満ちていました。本編動画では、もっと詳しく、キャシーさんのお話を沢山お聴きいただけます。ぜひご視聴ください。 本編動画はこちら 執筆者紹介 SBIシニアの住まいとお金 メディア部 SBIシニアの住まいとお金は、【人生100年時代を見据えて、「住まい」も「お金」も充実できる人生をサポートしたい】との思いから、60歳以上の持ち家の方を対象に「Youtubeで楽しむ」、「セミナーで学ぶ」、「専門家に相談する」の3つのサービスを運営しています。 <公式サイト> https://www.sbi-efinance.co.jp/senior/ <YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/@sbi_senior/ 次に読むべき記事 勝野 洋氏の住まいの歩みとこれからの夢 俳優の勝野 洋氏(74)(以下「勝野氏」)のお住まいにお邪魔して、住まいやお金に関するお話をフリーアナウンサーの八木亜希子さんが伺いました。この記事は、SBIシニアの住まいとお金ch(You...
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。本審査に落ちる確率は公表されていませんが、審査に落ちやすい人の傾向は把握することができます。 この記事では、フラット35の主な審査基準と本審査に落ちやすい人の特徴、落ちた場合の対策を紹介します。 フラット35の主な審査基準 フラット35は、申込者の収入や信用情報、購入する物件によって本審査で否決になることがあります。まずはフラット35の主な審査基準についてみていきましょう。 年齢・国籍 フラット35は、申し込み時の年齢が満70歳未満の人が対象です。ただし、親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上でも申し込みできます。親子リレー返済とは、申込者本人とその子・孫などの後継者が2世代でローンを返済していく制度です。 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 また、日本国籍であることも申込要件です。外国籍の場合は、永住許可を受けている人または特別永住者の人であれば申し込みできます。 収入状況 収入状況は、年収に応じて総返済負担率の基準が定められています。総返済負担率とは、年収に占める年間合計返済額の割合で、フラット35以外の住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、カードローンなどの返済額も含めて計算します。 ・年収400万円未満:総返済負担率30%以下 ・年収400万円以上:総返済負担率35%以下 年収は、原則として申込年度の前年の収入で確認されます。会社員は給与収入金額、自営業者などは事業所得や不動産所得などを合計した所得金額をもとに判断します。 信用情報 信用情報は、申込者の返済能力を判断するために確認されます。金融機関は、税金や他のローンの滞納などがないかを確認します。クレジットカードやローンの滞納歴が信用情報に記録されていると返済能力を問題視され、審査に通過しにくくなる恐れがあります。 資金使途 フラット35の資金使途は、申込者本人またはその親族が居住する新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入に限定されます。第三者への賃貸を目的とした投資用物件、店舗・事務所用の物件などの取得資金には利用できません。 住宅の技術基準 フラット35は、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅が対象です。例えば、住宅規模の基準では、床面積は戸建てが70㎡以上、マンションが30㎡以上と定められています。また、基準を満たしていることを証明するために、物件検査をして適合証明書を取得しなくてはなりません。 フラット35の主な審査基準のまとめ フラット35の主な審査基準をまとめると下記のとおりです。 主な審査基準 年齢・国籍 申込時の年齢が満70歳未満(親子リレー返済で70歳以上も可) 日本国籍、永住許可、特別永住者が対象 収入と返済負担率 年収400万円未満:総返済負担率30%以下 年収400万円以上:総返済負担率35%以下 年収は申込年の前年の収入を基に判断会社員:給与収入金額自営業者 等:事業所や不動産所得などを合計した金額 信用情報 税金や他のローンの滞納履歴の有無 資金使途 自身または親族が居住する住宅の購入・建築が対象 投資用物件や店舗・事務所用物件は対象外 新築住宅の主な技術基準 住宅の規模(戸建て:70㎡以上、マンション30㎡以上) 適合証明書の取得が必要 関連記事はこちらフラット35の審査基準を徹底解説! フラット35の本審査に落ちやすい人の特徴 フラット35の主な審査基準を踏まえ、本審査に落ちやすい人の特徴も見ていきます。 勤続年数が短い フラット35は、勤続年数の最低期間を定めていないため、転職して間もないケースでも収入があれば申し込みは可能です。ただし、転職して数ヵ月など、勤続年数があまりに短い場合は「継続した安定収入がない」と判断されることがあります。 フラット35以外に借り入れがある フラット35の審査基準である総返済負担率は、すべての借り入れを含めて計算されます。すでに自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、総返済負担率が高くなり、本審査に影響が出ることがあります。 自己資金が少ない フラット35は、一定の要件を満たせば頭金・自己資金なしでも借り入れが可能です。ただし、金利は高めに設定され、審査が厳しくなることがあります。 関連記事はこちらフラット35は頭金・自己資金なしで組める? 物件の担保評価が低い 住宅ローンの審査では、物件の担保評価も重要視されます。フラット35の技術基準はクリアしていても、築年数が古い物件や立地が悪い物件は担保価値が低く見積もられ、審査に影響を与えることがあります。 フラット35の本審査に落ちた場合の対策 フラット35の本審査に落ちた場合は、以下の対策を検討しましょう。 一定期間をあけて再度申し込みを行う 住宅ローン審査において、金融機関は申込者の支払能力を調査するために、信用情報機関に照会をします。例えば信用情報機関の株式会社シー・アイ・シーは、申込情報を照会日より6か月間保有します。 申込情報に審査の可否は記載されませんが、フラット35に再度申し込む場合は、審査に落ちた理由を分析・改善したうえで、一定期間をあけてから申請しましょう。 出典)株式会社シー・アイ・シー「信用情報早わかり!」 ペアローンや収入合算を検討する 配偶者などに収入がある場合は、ペアローンや収入合算を利用することが可能です。ペアローンとは、1つの物件に対して、夫婦・親子・パートナーなどがそれぞれ主たる債務者となって住宅ローンを組む方法です。一方収入合算とは、申込者本人の収入に、配偶者や親子の収入を合算して住宅ローンを組む方法です。 ペアローンや収入合算を活用することで、単独で住宅ローンを組むよりも借入可能額を増やせるため、審査に通過しやすくなります。 関連記事はこちら住宅ローンのペアローンと収入合算の違いとは? 物件を変更する 担保評価の低さが原因で本審査に落ちた場合は、別の物件を購入することで解決できるかもしれません。新築物件や立地のよい中古物件などを選択すれば担保評価が上がることもあります。 フラット35以外の住宅ローンに申し込む 住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なります。フラット35の審査に不安を感じている人や、審査に落ちた人は、ノンバンクの住宅ローンの利用を選択肢に加えておくとよいでしょう。 ノンバンクの住宅ローンは、銀行の住宅ローンと比べて、独自の審査基準を設けて柔軟性が高い傾向があります。ただし、銀行に比べて金利が高めに設定されていることには注意が必要です。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い まとめ フラット35の本審査では、申込者の収入状況や信用情報、物件の担保評価など、さまざまな要素が総合的に判断されます。そのため、審査に落ちやすい人には一定の傾向が見られます。しかし、そのすべてがすぐに改善できるとは限りません。 どうしても購入したい物件がある場合は、たとえ審査に落ちたとしても、冷静に原因を分析し、前向きに対策を進めることが重要です。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35の金利引き下げメニューについて詳しく解説 フラット35には、家族構成や住宅の性能などに応じて利用できる金利引き下げメニューがあります。最大で年1.0%の金利引き下げを受けられるため、住宅ローンの返済負担の軽減が期待できます。 この記...
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。今月から【フラット35】の金利予想を「住まいとお金の知恵袋」で連載します。7月に入ってから参院選の影響からか、債券価格は下がり長期金利が上昇しつづけています。 新発10年国債利回りは住宅ローンの固定タイプの金利に影響を与え、住宅金融支援機構が【フラット35】の資金調達方法としている機構債の表面利率にも影響してきます。 2025年8月【フラット35】金利予想 では早速、直近4カ月の機構債の表面利率や新発10年国債利回りの推移と8月の【フラット35】の金利予想です。8月は機構債の表面利率と新発10年国債利回りがともに大幅上昇しましたが、【フラット35】の金利上昇は抑えられて、1.89~1.97%になると予想しました。 機構債発表日 2025年4月17日 2025年5月22日 2025年6月20日 2025年7月18日 機構債の表面利率(※1)1.65%1.94%1.88%2.02% 新発10年国債利回り1.30%1.54%1.43%1.55 ローンチスプレッド(※1)35bps(0.35%)40bps(0.40%)45bps(0.45%)47bps(0.47%) 出典) ※1 住宅金融支援機構「既発債情報」 ※2 新発10年国債利回りは便宜上、機構債の表面利率からローンチスプレッドを差し引いた数値としています。 5月 6月 7月 8月千日太郎の予想 【フラット35】の金利(※3)1.82%1.89%1.84%1.89~1.97% 出典) ※3 【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」 新発10年国債利回りと機構債の表面利率の推移 新発10年国債利回りの上昇幅は、1.43%から1.55%へ0.12ポイントの上昇となりました。これに対して、機構債の表面利率は1.88%から2.02%へ0.14ポイントの上昇です。今月はほぼ同じ幅で動いたので、順当な結果と言えます。 機構債の表面利率と新発10年国債利回りの表面利率の差は“ローンチスプレッド”といわれます。機構債は35年という長期の住宅ローン債権を裏付けとしています。そのため、金利が一定以上出なければ、債券としての成立が難しくなります。 最近では、このローンチスプレッドが拡大傾向にありました。これは、住宅ローンを借りるわたしたちにとって、新発10年国債の利回りが上昇した際に、それ以上に住宅ローン金利が上昇する可能性が高まることを意味します。 4月0.35ポイント、5月0.40ポイント、6月0.45ポイントと約0.05ポイント幅で拡大し続けていたのですが、7月は0.47ポイントと上昇ペースが落ちたので、これは良い傾向です。 機構債と【フラット35】の金利推移 機構債の表面利率は1.88%から2.02%へ0.14ポイントの上昇に対して千日太郎の【フラット35】の金利予想は1.84%から1.89%へ0.05ポイントの上昇に抑えられるというものです。 この予想を支えているのは、過去2か月にわたって【フラット35】の金利が機構債の表面利率を下回っていることにあります。一言で言うと、住宅金融支援機構は収益性を問わず、低金利を続けているのです。 【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み(詳細は後述)によると、住宅金融支援機構は、機関投資家に対して「機構債」と呼ばれる債券を販売することで資金を集め、その資金をもとに個人向けの住宅ローンを提供するという仕組みになっています。つまり、機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたります。 5月に発行された機構債の表面利率は1.65%で【フラット35】の金利は1.82%でした。これは、住宅金融支援機構が1.65%で資金を調達し、それを1.82%の金利で住宅ローンとして提供していることを意味します。 この差額は、住宅金融支援機構の運営費用やリスク管理などに充てられるものであり、利益を目的としたものではありません。実際、住宅金融支援機構は非営利の独立行政法人であり、営利を目的していない点にご留意ください。 一方で、5月に発行された機構債の表面利率は1.94%で【フラット35】の金利は1.89%でした。この差の0.05%は、住宅金融支援機構にとって純粋な損失となります。さらに6月も、機構債の表面利率が1.88%であるのに対し、【フラット35】の金利が1.84%となっており、0.04%の差が生じています。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? 住宅金融支援機構がどこまで金利を抑えるか?2つの予想シナリオ 千日太郎の予想としては、8月も収支がマイナスの状態を維持すると見ています。予想に1.89%~1.97%という幅を持たせているのには、それぞれの予想シナリオがあるためです。 シナリオ①「激変緩和」 これは、金利が急激に上昇した局面でも【フラット35】の金利上昇が1カ月あたり0.05ポイント程度に抑えられてきた過去の傾向を踏まえ、今月も同様の抑制が行われるとするシナリオです。 シナリオ②「マイナス幅の限度」 過去2か月、機構債と【フラット35】の金利差は0.04~0.05ポイントでした。7月に発行された機構債の表面利率が2.02%でしたから、仮にマイナス幅を0.05ポイントとすると【フラット35】の金利は1.97%になるというシナリオです。 【フラット35】の金利抑制と機構債との関係 【フラット35】の金利が長期金利や機構債の上昇に対して抑えられる傾向は、日銀がマイナス金利政策を解除した2024年3月19日から一貫して継続してきました。しかし、機構債の表面利率を下回る水準をつけたのは、2025年6月が初めてです。 このように金利を抑えられている主な理由は、住宅金融支援機構が国の政策実施機関に位置づけられる独立行政法人であり、営利を目的としない非営利団体であることにあります。とはいえ、収益が減少することが明らかな施策を行うことは、極めて異例な対応と言えるでしょう。 金利抑制の持続性と機構債の発行動向 このような状態はいつまでも続くとは考えにくく、いつかは終わるだろうと見ています。しかし、7月の機構債の発行額は605億円と、4,5月の102億円、6月の295億円から大きく増加しています。 日銀が利上げを開始してもなお、変動金利を選択する人の割合が増えつづけ、住宅金融支援機構の債権残高が減少傾向にありました。その中でのこの7月の発行額の増加は、【フラット35】の需要回復の兆しとも言えます。 【フラット35】を利用する立場としては、こうした低金利の傾向が少しでも長く続くことを期待したいところです。 出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(金利タイプ)」 【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み 住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。 出典)【フラット35】Qフラット35のしくみを教えてください。 この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入するので、その表面利率は新発10年国債の利回りに連動する傾向があります。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 千日太郎(Sennichi Taro) 公認会計士としての専門知識を活かし、YouTubeなどを通じて住宅ローンの仕組みや金利動向についての情報を発信。住宅購入を検討する人に向けた実務的な内容を中心に、金融に関する知識をわかりやすく解説している。 著書『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』では、住宅ローンの選び方や返済計画に関する基本的な考え方を丁寧に紹介しており、実用的な入門書として一定の評価を得ている。 住宅ローンに関する独自の視点や分析は、利用者や一部の業界関係者からも注目されており、継続的に情報提供を行っている点が特徴。
住宅の購入と同時に車の買い替えを検討している人もいるでしょう。そんなとき、「住宅ローンに車のローンを上乗せしたい」と考える人もいるかもしれません。結論から言うと、住宅ローンに車のローンを上乗せすることは原則できません。しかし、住宅ローンと車のローンを併用することは可能です。 この記事では、住宅ローンに車のローンを上乗せできない理由や併用する際の審査基準、同じ金融機関で組むメリット、注意点を解説します。 住宅ローンに車のローンを上乗せできない理由 そもそも住宅ローンは、住宅の購入や建築、借り換えなどに資金使途が限定されたローン商品です。一方で、車のローン(マイカーローン・自動車ローン)は、自動車の購入を目的とした融資であり、住宅ローンとは目的が異なります。そのため、住宅ローンで借りた資金を車の購入に充てることは契約違反となり、最悪の場合、一括返済を求められるリスクもあります。 なお、住宅ローンでは、事務手数料や保証料、登記費用などの諸費用をローンに含められることもあります。対応可否は金融機関ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。 住宅ローンと車のローンは併用できる 住宅ローンと車のローンは、同じ金融機関でも別々の金融機関でも、審査に通れば併用が可能です。併用する際に重要な判断基準となるのが「総返済負担率」です。 総返済負担率とは 総返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を示す指標で、住宅ローンの審査で重視されます。借入希望者が無理なく返済できるかどうかを判断するために重要な基準で、以下のように求められます。 総返済負担率=(年間返済額/年収)×100 フラット35の基準 例えば、住宅金融支援機構のフラット35の場合、総返済負担率の基準は以下のように定められています。 年収400万円未満:30%以下 年収400万円以上:35%以下 この基準に基づくと、年間返済額は以下のように計算されます。 年収300万円:年間返済額90万円以内(月々約7.5万円以内) 年収400万円:年間返済額140万円以内(月々約11.6万円以内) この年間返済額には、住宅ローンだけでなく、車のローンや教育ローン、カードローンなどのすべての借り入れが含まれます。複数のローンを併用している場合は、年間の総返済額がこの基準を超えないよう注意しましょう。 出典)フラット35 年収による借入額などの制限はありますか。 車のローンがある場合の住宅ローン借入可能額 すでに車のローンがある場合、住宅ローンの借入可能額にどのような影響があるのでしょうか。年収500万円の人が住宅ローンとしてフラット35を利用する場合を例に、車のローンの年間返済額が0円、36万円、60万円として、借入可能額がどのように変化するかシミュレーションしました。 <住宅ローンの融資条件> 返済期間:35年 適用金利:1.890% 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし) 車のローンの年間返済額 フラット35の借入可能額 0円4,478万円 36万円3,557万円 60万円2,942万円 この表からわかるように、車のローンの返済額が増えるほど、住宅ローンの借入可能額は大きく減少します。これは、総返済負担率の上限を超えないようにするためであり、複数のローンを併用する際には、返済額のバランスを慎重に見極める必要があります。 住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組むメリット 住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で組むメリットは以下のとおりです。 返済管理がしやすくなる 住宅ローンと車のローンを同じ金融機関で契約すると、返済日や引き落とし口座を一本化できるため、毎月の返済管理がしやすくなります。複数の金融機関でローンを組む場合に比べて、支払いの管理ミスや資金移動の手間を減らせます。 金利優遇を受けられる可能性がある 一部の金融機関では、住宅ローンの利用者に対して、車のローンを優遇する制度を設けている場合があります。例えば、住宅ローンを契約している人が同じ金融機関で車のローンを組むと、通常よりも低い金利が適用されるケースがあります。こうした優遇制度の有無は、事前に金融機関へ確認しておくと安心です。 審査がスムーズに進む可能性がある すでに住宅ローンを組んでいる場合、金融機関はその人の返済実績や信用情報を把握しているため、追加で車のローンを申し込む際の審査がスムーズに進むことがあります。新たに別の金融機関で申し込むよりも、手続きや審査の負担が軽減される可能性があります。 住宅ローンと車のローンを併用する際の注意点 住宅ローンと車のローンを併用する際には、返済能力や家計への影響を十分に考慮する必要があります。以下のポイントに注意して、無理のない借入計画を立てましょう。 総返済負担率を必ず確認する 一般的に総返済負担率は30~35%程度が上限とされています。住宅ローンと車のローンを併用する場合、それぞれの年間返済額を合算して総返済負担率を計算する必要があります。上限を超えると、ローンの審査に通らない可能性が高くなるため、事前にシミュレーションを行い、基準内に収まるよう調整しましょう。 無理のない返済計画を立てる 住宅ローンと車のローンを併用すると、毎月の返済額が増え、家計への負担が大きくなります。特に、車のローンは返済期間が短めで月々の返済額が高くなりがちなため注意が必要です。 将来のライフイベントや予備費も考慮し、急な出費や収入の変動にも対応できるよう、無理のない範囲で借り入れを検討しましょう。 まとめ 住宅ローンに車のローンを上乗せすることは、原則として認められません。ただし、住宅ローンと車のローンを併用することは可能です。併用する場合は、同じ金融機関で組むことで「管理がしやすい」「金利優遇」などのメリットを享受できる可能性があります。 一方で、過度な借り入れは家計を圧迫する可能性もあります。無理のない返済計画を立てたうえで、ローンをうまく活用しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 50年ローンはやばい?利用する際のポイントを解説 一般的に住宅ローンの返済期間は最長35年とされていますが、近年最長50年の住宅ローンを提供する金融機関が増えてきています。50年ローンはリスクが高いといった声もありますが、本当に利用を避ける...
住宅ローンに限らず、融資の審査過程では、申込者の勤務先に対して在籍確認が行われることがあります。在籍確認の目的やタイミング、電話で確認される内容について、気になる人がいるかもしれません。この記事では、在籍確認の目的や行われるタイミング、電話で確認される内容について解説します。 住宅ローンの在籍確認とは? 在籍確認とは、金融機関が融資等の審査の際に、申込者が勤務先に本当に在籍しているかを確認するための手続きのことです。会社員は、住宅ローンを申し込む場合、金融機関に勤務先を申告します。金融機関の担当者が、申込者が申告した勤務先に電話をかけるなどして、本当にその勤務先に在籍しているかを確認します。 在籍確認の目的 在籍確認は、申込者の返済能力を適切に評価するために行われます。会社員の場合、住宅ローンを借りるための必要書類として、源泉徴収票を金融機関へ提出します。 源泉徴収票には、勤務先から1年間に支払われた給与や賞与の総額、源泉徴収された所得税額などが記載されており、これにより金融機関は申込者の収入状況を正確に把握できます。 ただし、源泉徴収票は年に1回しか発行されないため、申込者が申し込み時点ですでに転職している場合があります。そのため、金融機関は、「勤務先が実在しているか」「申込者が現在その勤務先に在籍しているか」を確認するために在籍確認を行います。 住宅ローンの在籍確認はいつ行われる? 住宅ローンの在籍確認が行われるタイミングは、金融機関によって異なります。本審査の最終段階で行われることもあれば、事前審査後に行われることもあります。 どのタイミングで在籍確認が行なわれるかは金融機関によって異なるため、事前に申込先の金融機関に確認しておくことが重要です。 在籍確認の連絡がこない? 住宅ローンの在籍確認は、必ず実施されるとは限りません。例えば、申込者が申込先の金融機関で給与振込口座を保有している場合、金融機関はその取引履歴を確認することで、勤務先への在籍を把握できるため、あらためて電話で在籍確認を行う必要がないと判断することもあります。ただし、「在籍確認が不要」と明記している金融機関はないため、在籍確認が省略されるかどうかは、事前に申込先の金融機関へ確認しておくとよいでしょう。 住宅ローンの在籍確認で聞かれる内容 住宅ローンの在籍確認は、一般的に金融機関の担当者が申込者の勤務先に電話をする形で行われます。主な確認項目は以下のとおりです。 申込者の氏名 生年月日 勤務先の名称 電話の内容は非常に簡潔で、在籍の事実が確認できればすぐに終了します。金融機関によっては、上記以外の情報についても確認する場合がありますが、事前に調べないと答えられないような難しい質問はされないため特別な準備は不要です。 住宅ローンの在籍確認に関する注意点 住宅ローンの在籍確認を円滑に進めるには、いくつかの注意点があります。金融機関の確認方法を把握し、必要な対応を整えておきましょう。 申込者が出られる電話番号を金融機関に申告する 在籍確認では、金融機関の担当者は金融機関名を名乗らず、個人名で電話をかけることがあります。最近では、個人情報保護の観点から、個人名での電話を本人に取り次がない企業も増えているため、注意が必要です。 そのため、住宅ローンの申込時に勤務先の代表電話を申告すると、在籍確認の電話を取り次いでもらえない場合があります。勤務先に事情を伝えたうえで、所属部署の直通番号を申告するなどの対策を取ると良いでしょう。 電話での在籍確認ができない場合は金融機関へ相談する 営業などで外出が多く、勤務先の電話に出るのが難しい人は、事前に金融機関へ相談し、別の方法を検討してもらうことが重要です。 例えば、金融機関によっては、申込者本人が電話に出られなくても、同僚が「席を外しております」などの対応をした場合でも在籍確認が済むことがあります。また、前述のとおり、給与振込口座の取引履歴や健康保険組合への連絡で在籍確認が可能な場合もあります。 金融機関に相談せず、電話に出られない状況が続くと審査に影響する可能性があるため、必ず事前に相談しましょう。 まとめ 住宅ローンの在籍確認は、金融機関が申込者の返済能力を適切に判断するための重要な手続きです。一般的には本審査の最終段階で行われ、氏名や勤務先の確認など簡単な受け答えで終了します。 在籍確認を円滑に進めるには、「事前に勤務先へ連絡があることを伝えておく」「電話に出られない場合は金融機関へ相談する」などの事前準備が大切です。安心して住宅ローンを利用するためにも、在籍確認の流れを理解しておきましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いとは? 住宅ローンを借りるときは、保証料や融資手数料などの諸費用がかかります。支払方式に応じて「保証料型」と「融資手数料型」の2つに分けられますが、どのような違いがあるのでしょうか。 この記事では、...
住宅ローンを組むには、金融機関の審査に通過する必要があります。住宅ローンで審査されるとき、申込者に税金滞納があるとどのような影響があるのでしょうか。 この記事では、税金滞納が住宅ローンの審査に与える影響と対策について解説します。 税金滞納とは 税金滞納とは、納税義務者が法定の納期限までに税金を納めなかった状態を指します。税金を納期限までに支払わない場合、財産の差し押さえなどの滞納処分が科される恐れがあります。 税金を滞納していても審査に通る? 税金を滞納していても、必ずしも住宅ローンの審査に通らないわけではありません。しかし、審査のハードルが高くなると考えておくべきでしょう。金融機関は申込者の返済能力を重視するため、税金の滞納があると「返済能力に問題がある」と判断されやすくなります。 また、金融機関は申込者に納税証明書の提出を求めるなどして、国税や地方税の納税状況を確認します。そのため、税金を滞納している場合は金融機関に知られることになり、一般的に住宅ローンの審査に通るのが難しいといわれています。 さらに、税金以外にもローンや社会保険料の滞納にも注意が必要です。ローン返済の延滞は信用情報に記録されるほか、健康保険料や年金保険料などの社会保険料を滞納している場合も、返済能力に問題があるとみなされることがあります。 住宅ローン申込時の税金関連の必要書類 前述のとおり、住宅ローンの申し込み時には、納税証明書の提出を求められることがあります。会社員と個人事業主(自営業者)では、求められる書類が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。 会社員の場合、所得税や住民税は給与や賞与から源泉徴収されるため、納税状況を証明する書類として源泉徴収票や住民税決定通知書を提出します。 一方、個人事業主(自営業者)は、自身で納税手続きを行う必要があるため、確定申告書や住民税納税証明書、納税証明書「その1・その2」など、会社員よりも多くの書類を準備する必要があります。 納税証明書の対象税目 税金は、以下のように課税主体によって対象税目や納税証明書の申請窓口が異なります。 課税主体 対象税目 申請窓口 国所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税 など税務署 都道府県住民税(県民税)、事業税、自動車税、不動産取得税 など都道府県税事務所 市区町村住民税(市民税)、固定資産税・都市計画税、軽自動車税 など市区町村役場 関連記事はこちら納税証明書とは?種類ごとの記載事項や取得方法などを解説 税金を滞納した状態での住宅ローン審査への対策 もし、税金を滞納した状態で住宅ローンを組むことを検討しているのであれば、まずは税金滞納の解消を最優先に考えましょう。 最も確実な方法は、滞納している税金を一括で支払うことです。支払いの余裕がある場合は、速やかに納税手続きを進めるのが理想です。一方で、すぐに全額を支払うのが難しい場合でも、決して放置をせず、管轄の税務署や市区町村の窓口などに相談しましょう。 支払いが困難と認められる事情があれば、分割納付が認められることがあります。また、状況によっては、財産の差押え猶予や延滞税の免除が認められる可能性もあるため、早めの相談が重要です。 関連記事はこちら税金を滞納するとどうなる?払えないときの解決方法や対策を紹介 住宅ローン返済中の税金滞納にも注意 住宅ローン返済中に税金を滞納すると、重大な影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。税金を納期限までに支払わなかった場合、督促状が送付されます。一般的に、国税は納期限から50日以内、地方税は20日以内に督促状が発布されるのが原則です。 督促状が届いても納付しない場合、税務署や自治体から電話や訪問、文書による催告が行われます。滞納を放置すると財産の差し押さえなどの措置が取られることもあるため、早めに対応することが重要です。 出典)国税庁「第1編、第2章、第2節、督促」 法律の規定に基づき、納税者の所轄税務署の徴収職員は、本人の同意を得ることなく金融機関や勤務先、生命保険会社などに財産調査を行うことが可能です。調査の結果、預貯金や生命保険、自動車、給与、さらには住宅ローンで購入した不動産などの財産が差し押さえの対象となることがあります。 まとめ 税金滞納がある場合、金融機関から返済能力に問題があると判断されることが多く、住宅ローンの審査に通るのが難しくなるといわれています。ただし、滞納があるからといって必ず審査に落ちるわけではなく、条件次第ではローンを組めることもあります。 しかし、税金の滞納を抱えたまま住宅ローンを組むと、返済計画が不安定になりやすく、将来的な支払いに影響を及ぼすことも考えられます。特に、税金の滞納だけでなく住宅ローンの延滞が発生すると、個人信用情報に記録され、希望する条件での借り入れが難しくなるリスクもあります。 そのため、住宅ローンを申し込む前に、まずは税金の滞納を解消することを優先し、無理のない資金計画を立てることが重要です。安定した返済ができる状況を整えることで、住宅ローンを計画的に返済できる基盤を築くことができます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 支払督促とは?かかる費用と手続きの流れをわかりやすく解説 支払督促は、お金の未払いに関するトラブルを解決できる法的手続きのひとつです。お金を返してもらえなくて困っている場合、支払督促を利用すれば、裁判をしなくても迅速に問題を解決できる可能性がありま...
住宅ローンを利用して自宅を購入する場合、「年収1,800万円の世帯は、どのくらい借りられるのか」と気になる方もいるかもしれません。共働き世帯では、世帯年収を合算できるため、借入可能額が単身世帯より高くなる傾向があります。 この記事では、年収1,800万円の世帯が借りられる住宅ローンの目安を解説します。さらに、返済シミュレーションや住宅ローンを組む場合の注意点も紹介します。 住宅ローンの借入可能額はどう決まる? 住宅ローンの借入可能額は、金融機関が申込人の返済能力や不動産の価値などを総合的に判断して決定します。一般的には、以下のような項目が重要視されます。 返済負担率 返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。住宅ローンは給与などの収入から返済されるため、申込者の返済能力を判断する指標となります。例えば、住宅金融支援機構の全期間固定金利フラット35では、返済負担率の基準が以下のとおり設定されています。 年収400万円未満:返済負担率30%以下 年収400万円以上:返済負担率35%以下 世帯年収に対する融資率 融資率とは、不動産の購入金額に対する住宅ローンの借入金額の割合です。以下の算式で計算します。 融資率(%)=住宅ローンの借入金額÷不動産の購入金額×100 融資率の上限は、金融機関や住宅ローン商品ごとに異なります。最近では融資率100%で融資を受けることができる住宅ローン商品もありますが、一般的に不動産価格の10~20%程度の頭金を準備したほうが良いともされています。融資率が高いほど自己資金は少なく済む一方で、金融機関から提示される金利が高くなったり、審査が厳しくなったりします。 返済能力 金融機関は、申込者の年収や勤務先、勤続年数をもとに返済能力を判断します。そのため、収入の安定性や勤務先、勤続年数、預貯金などが審査の対象となり、借入可能額に影響を与えます。 不動産の担保価値 一般的に金融機関は、申込者が住宅ローンを組む際、購入する不動産に抵当権を設定します。申込者が万が一住宅ローンを返済できなくなると、金融機関は抵当権を実行して担保不動産を売却し、借入金の返済に充当します。このような仕組みのため、不動産の担保価値も住宅ローンの借入可能額を決定する重要な要素となります。 関連記事はこちら抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説 借入期間・年齢 金融機関は、住宅ローンの申込条件として、借入期間や完済時年齢を設定しています。借入期間は最長35年、完済時年齢は80歳未満とする金融機関が一般的です。若いうちに借り入れをするほうが、借入期間を長く設定できるため、借入可能額を増やすことができます。 年収1,800万円の世帯の住宅ローン借入可能額の目安 ここでは、住宅金融支援機構のデータを用いて、年収1,800万円の世帯の住宅ローン借入可能額の目安を紹介します。 住宅ローン借入可能額は世帯年収の何倍? 住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローン利用者の年収倍率は住宅の種類に応じて5.3倍~7.6倍となっています。年収倍率とは、住宅購入の所要資金を年収で割った数値です。仮に融資率が100%だとすると、年収1,800万円の世帯の借入可能額は以下のように計算できます。 住宅種別 年収倍率 年収1,800万円の世帯の借入可能額(1,800万円×年収倍率) 土地付注文住宅7.6倍1億3,680万円 マンション7.2倍1億2,960万円 注文住宅7.0倍1億2,600万円 建売住宅6.6倍1億1,880万円 中古マンション5.6倍1億80万円 中古戸建5.3倍9,540万円 出典)住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」をもとに筆者作成 ただし、これらはあくまでもデータをもとに算出した金額です。実際の借入可能額は、個人の返済能力や不動産の条件などによって変動します。 借入金額別の住宅ローン返済シミュレーション 前述の年収倍率から借入可能額を1億3,680万円、9,540万円としたときの「返済期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなし」を条件にシミュレーションすると以下のようになります。 借入額9,540万円の場合 適用金利 毎月の返済額 総返済額 1.0%約26.9万円約1億1,310万円 1.5%約29.2万円約1億2,268万円 2.0%約31.6万円約1億3,273万円 借入額1億3,680万円の場合 適用金利 毎月の返済額 総返済額 1.0%約38.6万円約1億6,218万円 1.5%約41.8万円約1億7,592万円 2.0%約45.3万円約1億9,033万円 年収1,800万円の世帯が住宅ローンを組む注意点 年収1,800万円の世帯は一般的な家庭よりも高所得であるため、高額な住宅ローンを組めます。一方で、以下の点に注意しながら計画することが重要です。 無理のない返済計画を立てる 教育費や老後資金など、住宅購入の他にもまとまったお金が必要な場面があります。また、万が一の病気やケガなどにより収入が減少することもあるでしょう。無理なく返済を続けられるように、将来のライフイベントにおける支出や収入の変化も考慮に入れて住宅ローンの借入金額を決めることが重要です。 自身に合った金利タイプを選ぶ 住宅ローンの金利タイプは、大きく変動金利と固定金利の2つに分けられます。変動金利は金利が低めに設定されていますが、将来金利が上昇して返済負担が増えるリスクがあります。 一方、固定金利は将来の金利上昇リスクを回避できますが、借入時の金利は比較的高めです。それぞれメリット・デメリットがあるため、比較検討したうえで自身に合った金利タイプを選択しましょう。 諸費用がかかることを考慮する 不動産を購入する場合、不動産価格以外にもさまざまな諸費用がかかります。具体的には、仲介手数料、事務手数料、登記費用、火災保険料、地震保険料などがあります。住宅ローンを契約する前に、諸費用がいくらかかるかを把握しておきましょう。 まとめ 年収1,800万円の世帯は、年収倍率が6倍以上ともなれば住宅ローンを1億円以上借りられます。しかし、将来のライフイベントや収入減少のリスクも考慮に入れて、無理のない返済計画を立てることが重要です。「借りられる金額」ではなく、「無理なく返済できる金額」を意識して住宅ローンを組むようにしましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35で住宅ローンを組みたいときはどこに相談する?選び方と注意点を解説 住宅ローンの選択肢として人気の高い「フラット35」。その魅力は長期固定金利で、将来の金利変動リスクを避けられる点にあります。しかし、具体的にどの金融機関や相談先を選べば良いのか、迷う方も多い...
住宅ローンの本審査がなかなか進まず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本審査の結果が遅れる理由を理解し、スムーズに進めるための対策を講じることで、融資実行までの時間を短縮できます。 この記事では、本審査の期間の目安や遅れる原因、対策について詳しく解説します。 住宅ローンの本審査とは? 住宅ローンの本審査とは、金融機関に住宅ローンを正式に申し込むことで行われる最終的な審査です。この本審査に通過すると、住宅ローンを契約し、融資を受けることができます。 住宅ローン審査の流れ 住宅ローン審査の一般的な流れは以下のとおりです。 事前申し込み 事前審査 正式申し込み 本審査 契約締結 融資実行 一般的に住宅ローンの審査は、事前審査と、正式申し込み後に行われる本審査の2段階に分かれています。 事前審査は、申込者の年収や借入希望額、物件などの情報から、ローンを最後まで返済できるか金融機関が簡易的に確認します。一方で本審査は、申込者の返済能力や物件の担保価値を、より詳細な書類で金融機関や保証会社が厳密に審査します。 本審査に通過すると、金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、物件引き渡し日に融資が実行されます。 関連記事はこちら住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 住宅ローンの本審査期間の目安 一般的に、本審査の期間は1~2週間とされています。ただし、金融機関の審査体制や申込者の状況によっては、1か月以上かかる場合もあるため、事前に本審査の結果がでるまでの期間を確認しておくと安心です。 例えば、ネット銀行は審査スピードが比較的速い傾向があります。一方、大手都市銀行では審査がより慎重に行われるため、時間がかかる場合もあります。また、審査の混雑状況や書類の正確性も審査期間に影響するため、スムーズに進めるには事前の準備が重要です。 住宅ローンの本審査が遅れる主な理由 本審査が長引く原因として、主に以下のような理由が考えられます。 借入希望額が大きい 申込者の収入に対して借入希望額が高額な場合、金融機関は返済能力を慎重に評価するため、審査に時間がかかることがあります。特に、年収に対して借入額が高い場合は追加書類の提出を求められることもあり、審査が長引く原因となります。 申込者が集中している 不動産の購入の需要が高まる時期は、一般的に金融機関への申し込みが集中し、審査が通常よりも長引くことがあります。例えば、3月~4月は新生活シーズンであり、住宅ローン減税の適用期限も近づくので、金融機関の処理が遅くなることが考えられます。 完済時年齢が高い 住宅ローンの完済時年齢は一般的に75~80歳が上限とされており、完済時の年齢が高いほど金融機関は慎重な審査を行います。特に、定年後などの収入が不安定になる場面は、追加の審査が必要になることもあり、時間がかかる場合があります。 保証会社を利用している 保証会社を利用する場合、住宅ローンを申し込んだ金融機関に加えて保証会社の審査も必要となるため、審査期間が長くなることがあります。 保証会社は住宅ローンの返済が滞った場合のリスクを引き受ける役割があるため、審査基準が金融機関とは異なり、審査手続きが追加されることで本審査の時間が延びる場合があります。 関連記事はこちら住宅ローンの保証会社とは?役割や種類、利用時の注意点を解説 住宅ローンの本審査をスムーズに進めるためのポイント 本審査の期間を短縮するためには、以下の点を意識することが大切です。 提出書類の不備を防ぐ 必要書類に不備があると、金融機関から修正や追加提出を求められ、審査が長引く原因となります。特に、所得証明や勤務状況に関する書類が不備だった場合、再提出が求められ、審査が遅れることになります。事前審査の申告内容と本審査の提出書類に相違がないか確認し、事前にチェックリストを作成しておくと良いでしょう。 新たな借り入れや転職を控える 金融機関は、住宅ローンの審査において、他社の借り入れも含めて借入可能額を設定します。本審査中に新たな借り入れをして負債が増えてしまうと、金融機関からの評価が下がる場合があります。 また、金融機関は、住宅ローンの審査をする上で、申込者の収入の安定性を重視しています。本審査期間中に転職すると、事前審査時から前提条件が変わってしまうため、審査がやり直しになる場合もあります。 金融機関からの連絡に迅速に対応する 金融機関から確認の連絡や追加書類の提出依頼があった場合は、できるだけ速やかに対応することが大切です。金融機関への返信や書類の提出が遅れてしまうと、審査が中断し、結果として審査に時間がかかります。 金融機関からの連絡を見落とさないように、メールや電話はこまめにチェックすることを心掛けましょう。また、金融機関ごとに審査は異なるため、事前に審査の流れを確認し、必要な対応を把握しておくとスムーズに進められます。 まとめ 一般的に、住宅ローンの本審査期間は1~2週間が目安ですが、借入希望額の大きさや申込者の集中、完済時年齢の高さなどの原因で、審査結果が出るまでに時間がかかることもあります。 審査をスムーズに進めるためには、提出書類の不備を防ぎ、金融機関からの連絡に迅速に対応することが大切です。住宅ローンの本審査が遅いと感じたら、金融機関に進捗を確認し、必要な対応を早めに行うことを心がけましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 マイホーム購入の流れと押さえておくべきポイントを解説 マイホーム購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物です。しかし、実際に「家が欲しい」と思っても、何から始めたらよいかわからないのではないでしょうか。入居してから後悔しないように、事前に...