「リースバック」の記事一覧

  • リースバックの家賃設定を解説!家賃が高いというのは本当か?

    リースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い?

    リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられる商品です。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金を確保したい高齢者を中心に利用者は年々増加しています。 その一方で、リースバックは「家賃が高い」と言われることもあります。家賃を払い続けられるか心配で、リースバックを利用するか迷っている方もいるのではないでしょうか。この記事では、リースバックの家賃が高いと言われる理由と家賃を安く抑える方法について解説します。 リースバックの家賃はどう決まる? 家賃の計算方法 リースバックの家賃は、不動産の売却価格と期待利回り、周辺の家賃相場などによって決まります。具体的な家賃は、以下の計算式で求められます。 家賃(月額) = 売却価格 × 期待利回り ÷ 12ヵ月 つまり、期待利回りが一定であれば、不動産の売却価格が安くなるほど家賃も安くなり、売買価格が同じだったとしても期待利回りが低ければ家賃も安くなる、ということです。 期待利回りとは 期待利回りとは、物件の売却価格に対する年間賃料の割合を表す数値です。例えば期待利回りが5%というのは、年間賃料が売却価格の5%である、ということを表します。期待利回りは物件種別や築年数、運営会社の運営方針、財務状況によって変わります。 運営会社によっては、売買価格は相対的に高くとも、家賃が周辺の賃料相場より高いこともあるかもしれません。反対に、運営会社によっては、利回りを低く設定し、家賃が周辺の賃料相場より低いこともあるかもしれません。 リースバックは「家賃が高い」と言われる理由 リースバックは一般的な不動産賃貸とは異なり、周辺相場で家賃が決まるわけではなく、不動産の売却価格などが考慮されます。売買価格によっては、家賃が相場よりも高く設定されることもあるため、「リースバックは家賃が高い」というイメージがあるのかもしれません。 例えば、「住宅ローン残高の多い物件」や「競売を申立てられた物件」は、売却価格を高くせざるを得ないため、家賃が賃料相場より高くなることが多いでしょう。なぜなら、リースバックを利用するには、運営会社が買取をするために、住宅ローン借入のために設定されている抵当権の抹消が必要だからです。 どうしたらリースバックの家賃を安くできるのか 上述のように家賃を決める際には、売却価格と期待利回りが要因となります。つまり、売却価格を下げ、期待利回りの低い運営会社を選定する事が家賃を安く抑える方法です。 そのため、家賃だけに焦点を当てるのであれば、複数の会社に査定を出して期待利回りの低い会社を選定した上で、売却価格を下げることで家賃を最も安くすることが有効でしょう。ただし、運営会社の方針によっては交渉に必ずしも応じてもらえるとは限りません。そのため、価格や家賃の相談に乗ってもらえるかを確認してみましょう。 リースバックで家賃が安くなった事例を紹介 ここでは、リースバックで家賃が家賃相場より安くなった事例を2つ紹介します。 事例① Aさんは、急遽まとまったお金が必要になりました。持ち家(マンション)を所有していますが、家族がいるため、できれば引っ越しはしたくありません。そこでリースバックの利用を検討していました。運営会社との面談で「なるべく家賃を安くしたい」という希望を伝えたところ、以下の条件を提示され、契約に至りました。 物件エリア江戸川区 物件種別区分マンション 築年数・間取り18年、3LDK 売却価格3,400万円 家賃相場20.3万円/月 家賃18万円/月 Aさんの場合、5,000万円ほどで借り入れた住宅ローンの残高が2,000万円まで減っていました。マンションの売却価格は市場価格より安くなりましたが、家賃は相場より安く抑えることができたため、しばらくは引っ越しせずに暮したいと考えているようです。 事例② Bさんは、目先にまとまったお金が必要になったため、リースバックを検討していました。運営会社との面談で「家賃を安く抑えたい」「将来的に買い戻す可能性がある」という希望を伝えたところ、以下の条件を提示され、契約に至りました。 物件エリア横浜市保土ヶ谷区 物件種別戸建て 築年数・間取り15年、木造2階建て(延床面積150㎡) 売却価格1,950万円 家賃相場19.4万円/月 家賃13万円/月 家賃相場19.4万円に対し、家賃は13万円で、家賃は相場より5万円以上安くなりました。また、調達資金の一部を信用借り入れの返済に充てたことで、家計改善にもつながりました。 まとめ リースバックは「家賃が高い」というイメージがあるかもしれませんが、家賃は売却価格とのバランスで決まるため、売却価格を安く抑えることで家賃を安くできます。また、運営会社を比較したり、諸条件を交渉したりすることでも、家賃を安くできるかもしれません。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックにかかる税金と節税方法について解説 リースバックの利用を検討する中で、利用にあたってどのような税金が発生するのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックは不動産取引の一種であり、リースバックにかかる税金は不動産売却...記事を読む

  • 相続争いを生まないためのリースバックという選択肢

    相続争いを生まないためのリースバックという選択肢

    自宅を所有していると、老後も住み続けられる安心感がある一方で、相続に不安を感じることもあるのではないでしょうか。不動産は実物資産であるため、相続人が複数いると簡単に分けられません。また、相続財産の大部分を不動産が占める場合は、財産をどう分けるか折り合いがつかず、相続争いが生まれる可能性があります。 しかし、リースバックで自宅を売却すれば、同じ家に住み続けながら相続争いを回避できます。この記事では、リースバックで相続問題を解決できる理由について説明します。 なぜ相続争いが生まれるのか 相続争いが生まれる理由はさまざまですが、その最たる例のひとつが不動産(自宅)に関連する理由です。たとえば、相続財産が不動産と預貯金のみで、不動産が占める割合が大きいと相続争いが生まれやすくなります。なぜなら、複数の相続人がいる場合、相続人全員が納得する形で財産を分けるのが難しいからです。 均等に財産を分けるという観点で考えれば、不動産は持分相続ができるので、1つの不動産を複数人で相続することも可能です。しかし、相続後にその不動産を1人の使用者が専有した場合には、相続人の間に不平等が生まれることになります。親族間で賃貸借契約を結んで適正な家賃を支払うことで平等に近い形に是正することは可能ですが、あまり現実的な方法とは思えません。 相続争いの具体例を紹介 不動産の相続の難しさがイメージできるように、具体例を1つ紹介します。相続財産が不動産(4,000万円)と預貯金(2,000万円)の合計6,000万円、相続人が配偶者と子2人のケースについて確認しましょう。法定相続分は配偶者が1/2、子はそれぞれ1/4です。相続財産は合計6,000万円なので、法定相続割合で分けると以下のようになります。 配偶者:3,000万円(6,000万円×1/2) 子(A):1,500万円(6,000万円×1/4) 子(B):1,500万円(6,000万円×1/4) また、法定相続割合で不動産と預貯金を均等に分割する場合、相続財産は以下のように分けられます。 配偶者:不動産2,000万円、預貯金1,000万円(合計3,000万円) 子(A):不動産1,000万円、預貯金500万円(合計1,500万円) 子(B):不動産1,000万円、預貯金500万円(合計1,500万円) 不動産に持分を設定することで、上記のように資産を均等に分けることができます。しかし、その不動産を配偶者のみが占有して利用する場合には、当然平等であるとは言えないでしょう。 リースバックで相続問題を解決できる理由 先程紹介したようなケースの場合、リースバックを利用することで相続問題を解決できます。リースバックとは、自宅を売却したうえで賃貸借契約を結び、家賃を払うことで売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。 相続争いを避けるために自宅を売却すると、通常は別の住居を探さなくてはなりません。しかし、リースバックなら家賃を払うことで、売却後も同じ家に住み続けられます。また、不動産を現金化することで、相続財産は預貯金のみとなるため、相続財産を均等に分配できます。 先ほどのケースで、リースバックを利用しており、不動産を2,800万円*で売却していた場合には下記のような遺産分割となります。 ※一般的にリースバックの買取価格は評価額の7割程度とされているため、4,000万円×70%=2,800万円としています。 配偶者:預貯金2,400万円 子(A):預貯金1,200万円 子(B):預貯金1,200万円 上述のとおり、相続財産が預貯金のみであれば、相続人同士でもめることなくスムーズに遺産分割ができるでしょう。加えて、もしその家に住み続けたい相続人がいた場合でも、賃貸借契約を承継し、自らが家賃を支払ってその家に住み続けることになるので、公平と言えます。 リースバックを利用するタイミング リースバックの利用は相続争いを無くすという点からは、生前に行うことが理想ですが、相続発生後であっても可能です。しかし、相続発生後に手続きをすると、相続税や所得税などの税金面で複雑化することや、持分相続の場合に共有者全員の同意が必要などの制限が発生します。 このような点から相続発生後のリースバック利用にも争いが生まれる可能性があり、相続発生後にリースバックを利用するのであれば、生前にリースバックを利用しておいた方が良いと言えるでしょう。 もう一つの選択肢としての不動産担保ローン 相続する不動産に長期的な視点で資産価値がある場合やその不動産への愛着が強いなどの理由で所有権を手放したくない場合には、不動産担保ローンを利用するといいでしょう。不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を金融機関に担保として差し入れるかわりにお金を借りられる融資方法の一つです。 そのため、相続財産である不動産を担保に融資を受けることで、相続人同士の金銭的な不平等を解決するための資金を用意することができます。 関連記事はこちら相続で不動産担保ローンを活用する4つの事例を紹介 Appendix:リースバックで相続税対策できる? 不動産の相続税評価額は、おおよそ実際に売却できる金額の7~8割程度の金額となるため、不動産を売却して現金化するよりも相続税を抑えることができると考えられます。そのため、一般的には資産を現金として持っておくよりも不動産として持っておく方が、相続税対策になると言われています。 一方で、リースバックは元々相場の7割程度の価格で売却する仕組みであり、運営会社と話し合って月々の家賃と売却価格も抑えることができる場合もあります。そうして手元に入る現金が、不動産の相続税評価額を下回るのであれば、相続税対策になることもあるでしょう。 まとめ 相続財産の大部分を不動産が占める場合、複数の相続人がいると相続争いが生まれる恐れがあります。しかし、リースバックを利用すれば、住む家を確保しながら財産を均等に分配できない問題を解決できます。自宅の相続に不安を感じているなら、リースバックを活用した相続対策も検討してみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • リースバックのよくあるご相談7選

    リースバックのよくあるご相談7選

    リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。老後資金を確保したい高齢者を中心に、リースバックの利用者は年々増加しています。 リースバックには興味があるものの、仕組みや特徴があまり理解できず、疑問や不安を感じている人もいるかもしれません。この記事では、リースバックでよくあるご相談とその回答をまとめて紹介します。 Q1. 住宅ローンが残っていても利用できますか? A. 住宅ローンが残っていても、リースバックは利用できます。 ただし、運営会社に自宅を売却するときには、通常の不動産売却と同様に住宅ローンの借り入れ時に設定されている抵当権を抹消する必要があります。 抵当権を抹消するには、リースバックで調達した資金で住宅ローンを一括返済しなければなりません。そのため、売却価格が住宅ローンの残高を上回っていないと、リースバックを利用するのは難しいでしょう。 一般的に、リースバックの売却価格は市場価格よりも安くなる傾向にあります。そのため、住宅ローンが残っていることでリースバックを利用できるか自身で判断できない場合は、運営会社に相談してみましょう。 関連記事はこちら住宅ローン残債がある物件はリースバックを利用できない? Q2. 売却した不動産を買い戻すことはできますか? A. リースバックで売却した不動産は、買い戻しができる場合が多いです。 リースバックの買い戻し価格は、当初の売却価格と買い戻し時点での市場価格とのバランスで決まります。ただし、一般的には買い戻し価格が売却価格よりも高くなるので注意が必要です。 一部の運営会社では、売却時に特約や売買予約契約を締結して、一定期間の買い戻し価格をあらかじめ決めておける場合もあります。運営会社によって買い戻しができる期間や買い戻し価格は異なるので、契約前に確認しておくことが大切です。 なお、買い戻しの希望がある場合には、後々の買い戻しに関するトラブルを避けるため、不動産売却の契約と同時に買い戻しに関する特約や契約を締結しておくようにしましょう。 関連記事はこちらリースバックは買い戻しできる?仕組みや買い戻し価格の目安を解説 Q3. 早く資金が欲しいのですが、入金までにどれくらい期間がかかりますか? A. 一般的には、入金まで2週間~1か月程度かかります。 リースバックの契約までには、不動産の価値を評価するための実地査定や、保証会社、火災保険の手続きなども必要になるため、早くても2週間程度かかると考えておきましょう。 なお、リースバックには、運営会社が物件を買い取って貸主になるケースや、運営会社とは別の会社が物件を買い取って貸主になるケースなど、複数のケースが存在します。資金調達を急いでいる場合は、リースバック運営会社が直接買い取りを行う会社に相談して、最短でいつ入金されるかを確認するのがおすすめです。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 Q4. 家賃の支払いを安く抑えることはできますか? A. 売却価格との相談次第では、家賃の支払いを安く抑えられる可能性があります。 リースバックの売却価格と家賃は、それぞれ単独で決まるわけではありません。家賃が安くなれば、その分売却価格も安くなるため、家賃と売却価格のバランスを確認して総合的に判断する必要があります。 そのため、リースバックを利用する際には、手元に確保したい資金と、毎月支払うことのできる家賃を踏まえた上で、売却価格を重視するのか、家賃を重視するのかを考えておきましょう。 関連記事はこちらリースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? Q5. できるだけ長く住み続けることはできますか? A. 賃貸借契約を再契約、もしくは更新することで、長く住み続けることができます。 「定期借家契約」の場合、多くの運営会社が定期借家契約期間を2、3年程度と設定していることが多いです。しかし、賃貸契約期間が定められている「定期借家契約」であっても、運営会社によっては、契約期間満了後に再契約に応じる場合もあります。 ただし、「定期借家契約」は確実に再契約をできるわけではありません。できるだけ長く住み続けたい場合には、借主の意向で契約の更新ができる「普通借家契約」が可能な運営会社を選ぶか、定期借家契約期間を最低限住み続けたい期間に設定できるかを確認しておくと安心です。 関連記事はこちらリースバックの退去について解説!強制退去させられることはある? Q6. 高齢で年金受給者なのでも利用できますか? A. 売却する不動産に一定の価値があれば、通常は高齢者や年金受給者でも利用できます。 リースバックは不動産売買契約と賃貸借契約が一体となったサービスであるため、融資商品とは異なり、年齢制限や収入の基準を設けていないことが多く、高齢であっても利用できる可能性は高いです。 ただし、賃貸借契約において、保証会社の審査で家賃の支払い能力がないとみなされれば、リースバックを利用できない恐れもあります。まずは運営会社に相談して、利用できるかを確認してみましょう。 関連記事はこちら老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリット Q7. 手元資金がほとんどないのですが、費用はどれくらいかかりますか? A. リースバックでかかる費用は、売却する不動産の状況や運営会社によって異なります。 リースバックは不動産売買契約と賃貸借契約が一体となったサービスなので、それぞれの契約にかかる費用が発生します。しかし、サービス利用にかかる費用は不動産の売却価格で精算できるため、事前に手元資金を準備する必要はありません。 不動産売買契約にかかる費用は以下のとおりです。 仲介手数料:売却価格の3%+6万円 ※仲介の場合のみ 印紙代:1万円前後 抵当権抹消費用:2万円前後 ※抵当権の抹消がある場合のみ また、賃貸借契約にかかる費用は以下のとおりです。 敷金:家賃の1~2か月分程度 礼金:家賃の1~2か月分程度 更新料:家賃の1か月分程度 保証料:家賃の1か月分程度 火災保険料:数万円 リースバックの不動産売買契約にかかる費用は運営会社が仲介なのか、直接買い取りなのかによって大きく変わります。 賃貸借契約にかかる費用は、敷金や礼金、更新料などの費用のほか、火災保険料や事務手数料などの費用がかかります。敷金や事務手数料などの費用が無料の会社もある一方で、30~50万円程度の事務手数料を請求される場合もあります。 運営会社によっては、上記記載の費用以外にも手数料がかかる場合もあるので、どんな費用がいくらかかるかを必ず確認しておきましょう。併せて、リースバックにかかる税金についても把握しておけば、費用に関する悩みは解消できるでしょう。 関連記事はこちらリースバックにかかる税金と節税方法について解説 まとめ この記事では、リースバックでよくある一般的な相談とその回答を紹介しました。リースバックは運営会社によって対応が異なる部分もあるため、複数の運営会社を比較、検討したうえで契約する会社を選ぶことが大切です。リースバックを検討しているなら、まずは運営会社に相談して疑問や不安を解消しておきましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む

  • 利用者が前年比1.5倍?!不動産リースバックの実態は?

    利用者が前年比1.5倍?!不動産リースバックの実態は?

    株式会社セイビーは、「不動産リースバック利用者への総合調査(2020年度)」の調査結果を発表しました。リースバックは自宅を活用した資金調達方法として注目されていますが、まだ新しいサービスであるため、利用者から直接話を聞く機会は少ないのではないでしょうか。そこでこの記事では、リースバックの利用を検討している方向けに、本調査結果の内容について解説します。 「不動産リースバック利用者への総合調査」とは >リースバックの概要についてはこちら 「不動産リースバック利用者への総合調査」とは、株式会社セイビーがインターネットを通じて実施したアンケート調査です。リースバックは年々需要が伸びていますが、まだ新しいサービスで情報が不足しているため、利用者の実態や意向、不満点などを明らかにすることを目的としています。今回の調査地域は全国で、スクリーニング調査対象者は11,001名、本調査対象者は241名です。 リースバックを検討している方は、「他の人はどんな目的でリースバックを利用しているのか」「不満点はないか」など、事前に知っておきたいことが多くあるでしょう。利用者から直接話を聞く機会は少ないかもしれませんが、本調査結果の内容を確認することで、リースバック利用者の実態が見えてきます。 リースバックの利用者は前年比1.5倍に増加 ここからは、本調査結果の内容について解説していきます。 出典)株式会社セイビー 「不動産リースバック」利用者に関する総合調査2020年度の調査結果を発表 リースバック利用者の割合はアンケートを行った全体の3%ですが、前年対比では1.5倍となりました。 リースバックは比較的新しいサービスであることや、そもそもリースバックを利用できる人が限定されているため、利用者の割合はまだ小さいものの、昨年に比べると大きく増加しています。今後は高齢化の進行によって、老後の資金需要は増えると予測されることから、自宅を活用して資金調達できるリースバックのニーズもさらに高まっていくと考えられます。 リースバック利用者の資金使途は「住宅ローンの早期返済」が最も多い 出典)株式会社セイビー 「不動産リースバック」利用者に関する総合調査2020年度の調査結果を発表 リースバック利用者の資金使途で最も多いのが、「住宅ローンの早期返済」で43.6%です。次いで、「生活費」27.4%、「相続対策」27.0%、「老後資金の確保・老後生活の充実」26.6%となっています。 また、前年比では以下の項目が大きく増加しています。 相続対策:27.0%(前回19.7%) 老後資金の確保・老後生活の充実:26.6%(前回14.0%) 終活・資産整理:17.4%(前回10.8%) 投資資金:15.8%(前回7.0%) 事業性資金:13.3%(前回5.1%) 教育費:9.5%(前回4.5%) 納税資金:9.1%(前回3.8%) リースバックは、自宅を売却して資金調達した後も、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるのが最大のメリットです。今回のアンケート結果から「住宅ローンの返済に負担を感じているが、今後も今の自宅に住み続けたい」という方が、リースバックを活用するケースが多いことが読み取れます。 それ以外には、リースバックを利用することで自宅の所有権がリースバック運営会社に移転するので、資産整理や相続トラブル回避といった目的で利用する人も一定数いるようです。また、投資資金や事業性預金、納税資金といった項目が伸びていることから、事業の資金などの、通常の融資商品では借りにくい資金調達の手段としてリースバックを検討する方も増えていると考えられます。 リースバックを利用して自宅に住み続けたい理由は? 出典)株式会社セイビー 「不動産リースバック」利用者に関する総合調査2020年度の調査結果を発表 リースバック利用者が自宅に住み続けたい理由として最も多いのが、「自宅に愛着があるから」で47.3%です。次いで「街に愛着があるから」38.2%、「引っ越しをしたくないから」30.7%、「ご近所に自宅の売却を知られたくないから」24.5%となっています。 リースバックは、「長く住み続けてきた自宅や街に愛着があり、今後も住み続けたい」という思いで利用される方が多いようです。通常は住宅ローンを完済しようと不動産を売却してしまうと、今の自宅に住み続けることが出来ないだけでなく、新しい家を探したり、引っ越しなどの手間が発生したりします。しかし、住宅ローンの返済負担が重く、自宅を売却するしかない場合でも、リースバックを利用すれば売却後も同じ家に住み続けられます。 また、「引っ越しをしたくない」「自宅の売却を知られたくない」と回答した方の割合も多いことから、「周囲に知られることなく自宅を売却して資金調達したい」というニーズがあることも読み取れます。 リースバックの満足度と不満点について 出典)株式会社セイビー 「不動産リースバック」利用者に関する総合調査2020年度の調査結果を発表 リースバック業者への満足度は、「非常に満足」22.8%、「やや満足」33.6%で、全体で約56%の人が満足しています。一方で、「やや不満」は5.0%、「非常に不満」は4.1%で、リースバック業者に不満を感じている人の割合は約9%にとどまっています。 この調査結果から、リースバック業者への満足度は比較的高く、不満を感じている人の割合は少ないことがわかります。 出典)株式会社セイビー 「不動産リースバック」利用者に関する総合調査2020年度の調査結果を発表 一方、リースバックの不満点で最も多いのは、「事務手数料が高い」で30.3%です。次いで「買取額が安い」23.7%、「必要書類が多すぎる」22.4%、「家賃が高い」22.0%、「入金されるまでに時間がかかった」20.3%となっています。 不満点として事務手数料の高さを挙げる人の割合が大きくなっていますが、事務手数料は業者によって異なります。また、買取額や家賃も業者によって変わってくるので、満足のいくリースバック取引のためには複数の業者に相談し、諸条件を比較したうえで利用するといいでしょう。 また、「必要書類の多さ」「入金されるまでの時間」など、事務手続きについて不満を感じる人も多いようです。リースバックは不動産売却と賃貸借契約が一体となったサービスであるため、通常の不動産売却に比べると手続きが煩雑だと感じるかもしれません。しかし、手元資金を確保するために融資商品を利用する場合でも、同じように手間はかかります。相談の段階で担当者に必要書類や入金までの時間などを確認しておくと、スムーズに手続きを進められるでしょう。 まとめ 本調査結果によって、リースバック利用者の実態が明らかになりました。利用者の多くは住宅ローンの早期返済を目的としており、自宅や街への愛着から売却後も同じ家に住み続けたいと考えているようです。また、リースバックの利用者は前年対比で1.5倍に増えており、今後もリースバックの需要は伸びていくと考えられます。本調査結果の内容を参考に、リースバックの利用を検討してみてはいかがでしょうか。 出典)株式会社セイビー 「不動産リースバック」利用者に関する総合調査2020年度の調査結果を発表 リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • リースバックのデメリットやリスクは?トラブル事例とその回避方法について解説

    リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説

    リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ることもあるかもしれません。契約してから後悔しないためには、事前にトラブル事例を把握したうえで、それらに対処する方法を理解しておくことが大切です。 この記事では、リースバックのトラブル事例と、トラブルを避ける方法について解説します。 ①売却価格が適正価格より安かった 前提として、リースバックの売却価格は、基本的に市場価格よりも安くなります。これはリースバック運営会社が借主の家賃滞納リスクや、買い戻しに応じるために自由に売買できない制約などを抱えているためです。一般的に、売却価格は市場価格の70%前後になる場合が多いです。 しかし、運営会社によっては、想定以上に安い売却価格を提示する場合があります。提示された売却価格が安すぎることに気づくためには、複数の運営会社に相談して売却価格を比較することが有効です。ひとつの運営会社だけで判断しないように気を付けましょう。 ②家賃が支払えなくなった リースバックは、自宅を売却した後に家賃を支払うことになります。売却価格を重視して契約した場合、その家賃は相場に比べて割高に設定されることが多いです。家賃の設定が自身の家計に対して適切でないと、支払いが徐々に厳しくなり、最終的には手元資金が枯渇して家賃が支払えなくなる恐れがあります。 後から家賃が支払えなくなるトラブルを回避するためには、契約前に売却価格と賃料設定のバランスが適切かどうか、複数の運営会社で確認することが大切です。運営会社によって不動産の評価方法や賃料設定は異なるので、ひとつの運営会社だけで判断せず、必ず複数の会社を比較して判断しましょう。 また、家賃を問題なく支払い続けられるように、長期間の収支シミュレーションを作成するのも有効です。自身の今後の収入見込み額や貯金額などの状況を整理して、本当に支払い続けられる適切な家賃設定かを判断しましょう。 関連記事はこちらリースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? ③家賃の引き上げを要求された 固定資産税の上昇、土地または建物の価格の上昇、その他の経済事情の変動などにより運営会社から家賃の引き上げを要求されることがあります。家賃は毎月支払わなければならないため、少しの値上げであっても、将来的には大きな負担となり、最終的に家賃が支払えなくなってしまうかもしれません。 賃貸借契約が普通借家契約の場合、契約書の特記事項に家賃を増額しない旨が記載されていれば、家賃の引き上げを要求されることがありません。契約を締結する前にしっかりと確認することが大切です。 また、賃貸借契約が定期借家契約の場合は、契約期間中に家賃の引き上げを要求されることはありません。一方で、再契約のタイミングで要求される恐れがあります。もし確実に家賃を引き上げを要求されないようしたい場合は、普通借家契約かつ特記事項に家賃を増額しない旨を記載してもらえないかを、運営会社に相談してみましょう。 ④再契約時に退去を求められた リースバックの賃貸借契約では、賃貸借契約期間が定められている定期借家契約も用いられます。。定期借家契約の締結時に「再契約によって住み続けることが可能」と説明されていたとしても、契約期間満了後に運営会社の事情で再契約を断られた場合は、退去しなくてはなりません。 こうしたトラブルを回避するためには、事前に賃貸借契約が「普通借家契約」であるかを確認しておきましょう。「普通借家契約」であれば、正当な事由がない限り、貸主都合による一方的な賃貸借契約の解除はできません。もし「定期借家契約」で賃貸借契約を締結するのであれば、賃借期間が満了した時点で退去すると考えておきましょう。 なお、定期借家契約であっても、期間満了前の正当な事由がない退去命令はできません。そのため、契約期間の途中であれば、貸主から退去を求められたとしても基本的に応じる必要はありません。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 ⑤買い戻し資金が足りなかった リースバックでは、基本的に売却した自宅の買い戻しが可能です。そのため、将来的に自宅を買い戻すことを前提として、リースバックの利用を検討している人もいるでしょう。しかし、一般的にリースバックの買い戻し価格は、売却価格よりも高くなります。そのため、提示された買い戻し価格が想定より高く、資金不足で買い戻しができない場合も考えられます。 買い戻しのために住宅ローンが組める可能性もありますが、年齢や収入によっては、買い戻しのために新たな住宅ローンを組むのは難しいかもしれません。買い戻しを想定してリースバックを利用する場合は、住宅ローンが使えない前提で資金計画を立てておくことが大切です。。 ⑥買い戻しに応じてもらえなかった 資金の問題で自宅の買い戻しができない場合もありますが、そもそも運営会社が買い戻しに応じない場合もあります。買い戻しに関する契約を締結している場合などは、運営会社は買い戻しに応じなければなりませんが、このような契約を書面ではなく口約束のみで済ませてしまった場合、買い戻しを拒否されてしまう恐れもあります。 このようなトラブルを避けるため、将来的に自宅の買い戻しを検討している場合は、買い戻し条件を必ず書面化しておきましょう。具体的には、「売買契約書上に特約として明記する」、「売買予約契約を締結する」といった方法があります。加えて、買い戻し価格が高くなりすぎないよう、複数の会社を比較したうえで契約することが大切です。 関連記事はこちらリースバックは買い戻しできる?仕組みや買い戻し価格の目安を解説 ⑦相続人ともめてしまった リースバックで自宅を売却する場合は、サービスを利用することをあらかじめ相続人に話しておかないと、相続でもめる原因になる恐れがあります。リースバックは売却後も同じ家に住み続けられるので、自宅を売却したことを第三者に知られることは少ないでしょう。たとえ子どもであっても、何も話しておかなければ、気づかない場合がほとんどです。 そのため、子どもは将来自宅を相続するつもりだったにもかかわらず、知らぬ間に自宅がリースバックで売却されていたとなれば、親族といえどもトラブルになる恐れがあります。リースバックはリバースモーゲージと異なり、サービスの利用要件に推定相続人からの同意を必要としませんが 、相続トラブルを回避するために、リースバックを利用する場合は、事前に推定相続人にも伝えておきましょう。 関連記事はこちら相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 ⑧運営会社が倒産した 業績不振で倒産リスクが高いなど、与信に問題がある運営会社を利用した場合に、賃貸借契約期間中に運営会社が倒産する恐れがあります。運営会社によっては、売買代金の一部を預け入れることで、家賃を下げるサービスを提供している会社もありますが、売買代金の一部を預け入れている状態で運営会社が倒産すると、その代金が戻ってこない恐れがあります。 リースバックは多額の資金を必要とする事業なので、トラブルを回避するために、運営会社の買取実績や業績などを確認し、信頼のできる運営会社を選ぶことが大切です。 トラブルを避けるために抑えるべきポイント リースバックにおけるリスクは表面化するとトラブルに発展する恐れがあります。トラブルを回避するために、以下のようなポイントに気を付けましょう。 契約内容を確認する リースバックの契約時には、売買契約と賃貸借契約の2つの契約を締結します。トラブルを避けるためには、それぞれの契約に自身の認識と異なる点が無いか確認することが大切です。 契約内容の確認に際して、賃貸借契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かの確認は特に大切です。「普通借家契約」であれば、正当な事由がない限り、貸主は契約の更新を拒めません。一方で、「定期借家契約」の場合は、契約期間の満了によって契約が終了するので、退去を求められる恐れがあります。また、将来的に自宅を買い戻すことを検討している場合は、契約内容に買い戻しに関する取り決めが定められているか確認することも大切です。なお、契約内容は口頭ではなく、書面上で確認するようにしましょう。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 複数の運営会社を比較する リースバックでのトラブルを避けるために、複数の運営会社を比較しましょう。リースバックは、運営会社によって売却価格や家賃などの諸条件・サービス内容が異なります。比較を行わなかった場合、与信に問題がある運営会社を選んでしまったり、売却価格や家賃が適切でないサービスを利用してしまうなどの恐れがあります。ひとつの運営会社だけで判断せず、必ず比較検討を行ったうえで、自身のライフプランに合った運営会社を選びましょう。 関連記事はこちらリースバックを比較する5つのポイント 第三者に相談する リースバックでのトラブルを避けるためには、第三者に相談することも有効です。特に、不動産等に詳しくない場合は、自身で売却価格や家賃、契約内容が適切かどうか判断するのは難しいでしょう。そういった場合に、自分自身で判断するのでは無く、専門家等から客観的な意見を聞き、第三者的な視点から判断するのも有効です。 相続人に伝える 相続トラブルを回避するために、相続人にリースバックの利用を伝えておくことも大切です。リースバックは、その性質上自宅を売却したことが気づかれない場合が多いです。そのため、リースバックが原因で相続人とトラブルになる恐れがあります。リースバックを利用する場合は、前もって相続人に伝えておきましょう。 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるのがメリットですが、当然デメリットやリスクも存在し、うまく利用しないと、本コラムで紹介したようなトラブルが発生してしまう恐れがあります。リースバックを利用する場合は、紹介した事例を参考にトラブル回避の対策をしっかり立てて、契約してから後悔することのないようにしましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    リースバックとは、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続けることを可能にする取引手法を指します。住宅においては、自宅を売却して現金を得て、売却後は賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むことができるサービスです。 この記事では、リースバックの仕組みやメリット・デメリットを解説します。 リースバックの概要と仕組み リースバックは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法です。近年は、不動産事業者によるリースバックサービスの取扱いが増加しており、「リースバック」という言葉単体で、住宅におけるリースバックを指すことが一般的になりつつあります。 住宅におけるリースバックは、リースバック運営会社とリースバックを利用したい個人間で、不動産の売買契約および賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることが可能になります。 リースバックは、住み替えや老後資金の確保、円滑な相続等を目的として、住宅利活用の新たな選択肢として注目されています。一方で、リースバックは認知度が未だ低いことや、一連の取引の複雑さから、消費者の理解が不十分なまま契約が締結されるなどのトラブルも見られます。 リースバックとリバースモーゲージとの違い リースバックは、自宅に住み続けながら老後資金を受け取れるという点で、リバースモーゲージとも比較されるサービスです。一方で、リースバックが不動産取引であることに対して、リバースモーゲージはローン商品であるため、根本的には異なるサービスです。主な違いは下表のとおりです。 リースバックとリバースモーゲージとの違い 種類 リースバック リバースモーゲージ 契約の形態不動産売却契約不動産賃貸借契約金銭消費貸借契約 年齢制限なしあり 借り入れの有無なしあり 転居の要否なしなし 所有権の移転ありなし 資金使途自由原則、生活資金 ※筆者作成 関連記事はこちらリースバックとリバースモーゲージの違いを徹底比較! リースバックのメリット リースバックには、以下のようなメリットがあります。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 通常の不動産売却では、まとまった資金を得られる一方で、引っ越しの手間や費用が発生します。また、高齢になると、新居の購入や賃貸借契約の締結が難しくなるケースも少なくありません。リースバックでは、売却した自宅にそのまま住み続けられるため、まとまった資金を得ながらも、慣れ親しんだ自宅に住み続けられます。 月々の支出が定額化される 自宅を所有していると、定常的に発生する管理費や固定資産税、火災保険や地震保険など、さまざまな費用が発生します。リースバックでは、所有者がリースバック運営会社となるため、住居費用は毎月一定の家賃(リース料)に一本化されます。 家を所有することで発生するリスクがなくなる 自宅を所有していると、突発的な災害等で不動産価格の下落や建物の損壊などのリスクを抱えます。特に、戸建ての場合はマンションに比べて不動産価格の下落や災害による影響を受けやすいです。また、住宅ローンが変動金利の場合は、金利上昇で返済額が増加するかもしれません。リースバックでは、所有者がリースバック運営会社となるため、これらの家を所有することで発生するリスクはなくなります。 リースバックのデメリット 一方で、リースバックには、以下のようなデメリットもあります。 売却価格が市場価格よりも安くなる リースバックは、基本的に自宅の売却価格が市場価格よりも安くなります。個人に売却する不動産仲介とは異なり、不動産業者が直接買い取りをするため、市場価格よりも安く買い取るためです。また、リースバック運営会社は買い取った不動産を所有するリスクやコストを維持する点で、リースバックではない直接買取よりも安くなることも珍しくありません。 リフォームや建て替えが自由にできなくなる 持ち家の場合、マンションなどの規約が定められている場合を除き、自由にリフォームや建て替えができます。しかし、リースバックを利用すると、不動産の所有者はリースバック運営会社になるため、リフォームや建て替えをしたいと思っても、運営会社の許可が必要です。 ずっと住み続けられるとは限らない リースバックは、自宅に引き続き住むことができるサービスですが、期間は必ずしも希望通りとは限りません。リースバックにおける賃貸借契約が普通賃貸借契約であれば、原則住み続けることができます。 一方で、定期借家契約の場合、ずっと住み続けられる保証はありません。貸主と借主の合意があれば再契約は可能ですが、あらかじめ、「必ず再契約をする」などの契約を結ぶことはできません。当初の賃貸借契約の期間を越えて家に住み続けたい場合は、定期借家契約ではなく、普通借家契約が締結できる運営会社を選ぶと安心です。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? リースバック利用の流れ リースバック利用の流れは、以下のとおりです。 相談・仮査定 仮査定(売却価格・家賃)の提示 物件の調査及び査定 契約条件(売却価格・家賃)の提示 契約の締結 売買決済・賃貸開始 リースバックの利用を検討するのなら、まずはリースバック運営会社に仮査定を依頼しましょう。仮査定では、固定資産税額や管理費、共益費を聞かれることもあるので、あらかじめ準備しておきましょう。運営会社によっては、最短で当日中に概算の売買価格と家賃を提示してもらえます。 仮査定の結果を受けて手続きを進める場合には、物件の本調査に進みます。本調査では、リースバック運営会社の担当者や査定会社などが、物件に訪問し図面との違いがないかなどを確認します。この結果を基に、取り扱いの可否や契約書上の売買価格と家賃を決定します。なお、本調査で瑕疵等が見つかれば、リースバックを利用できない場合もあります。 本調査が問題なく完了したら、確定した売買価格と家賃を中心とした契約条件を提示されます。内容に問題がなければ売買契約、賃貸借契約等の手続きを行い、売買決済、賃貸が開始されます。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 リースバックの活用事例 リースバックでは、以下のような活用事例があります。 老後資金の確保 老後資金が不足したとしても、自宅を売却して引っ越すことは避けたいと思う人も多いでしょう。一方で、ローンを利用しようとしても、年齢などを理由に金融機関から断られることも珍しくありません。リースバックであれば、年齢を理由に断られることもなく、自宅に住み続けられます。 住み替え資金の確保 リースバックは、長く住み続けるだけでなく、住み替えの際にも活用できます。リースバックで自宅を売却すれば、新居の頭金や手付金に充てられるほか、ローンの返済資金にも利用出来ます。また、新居に住み替えるまでは、今までの家に住み続けられるので、仮住まいを探す必要もありません。 月々の返済負担の軽減 住宅ローンの支払いがある人は、リースバックを利用することで、月々の支払額を減らせる可能性があります。住宅ローンによっては、月々の支払金額が上がる商品もあるほか、収入の減少などで毎月の支払いが厳しくなることもあるでしょう。リースバックの家賃が住宅ローンの返済額より低くなれば、月々の支払額が減り、資金繰りが楽になるでしょう。 住宅ローンの完済 住宅ローンの返済が滞って金融機関に残債の一括返済を求められた場合、任意売却や競売を選択すると、自宅を失うことになります。しかし、リースバックを利用し、その資金で住宅ローンを完済することができれば、同じ家に住み続けることができます。 関連記事はこちらリースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックのよくあるご質問 リースバックのよくあるご質問とその回答は、以下のとおりです。 住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか? 住宅ローンが残っていても、リースバックを利用することは可能です。ただし、売却時に対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。 家賃の支払いを安く抑えたいのですが、可能ですか? リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されますので、売却価格を抑えることで、家賃を下げられる可能性があります。 手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか? リースバックは、不動産の売買代金から費用を清算することができるので、手元資金は不要です。諸費用については、運営会社にあらかじめ確認しておきましょう。 高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか? 高齢者や年金受給者であっても、リースバックを利用できます。リースバックは、融資商品ではないので、年齢制限や収入の基準を設けられていないことが多いです。 関連記事はこちらリースバックのよくあるご相談7選 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるので、「老後資金を確保したい」「住宅ローンの返済負担を減らしたい」という場合に活用できます。ただし、売却価格は市場価格より安くなり、ずっと住み続けられる保証はありません。契約してから後悔しないように、メリットやデメリットをよく理解したうえで、リースバックを利用するか検討しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "住宅ローンが残っていても、リースバックを利用することは可能です。ただし、売却時に対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。" } }, { "@type": "Question", "name": "家賃の支払いを安く抑えたいのですが、可能ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されますので、売却価格を抑えることで、家賃を下げられる可能性があります。" } }, { "@type": "Question", "name": "手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リースバックは、不動産の売買代金から費用を清算することができるので、手元資金は不要です。諸費用については、運営会社にあらかじめ確認しておきましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"高齢者や年金受給者であっても、リースバックを利用できます。リースバックは、融資商品ではないので、年齢制限や収入の基準を設けられていないことが多いです。" }} ] } ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • リースバックを比較する5つのポイント

    リースバックを比較する5つのポイント

    リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。近年リースバックの需要は増加傾向にあり、リースバックを取り扱う運営会社も増えています。 こうした状況下で、どのように運営会社を選べばいいのか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。この記事では、リースバックを比較する5つのポイントについて解説します。 複数の運営会社を比較した方がいい理由 上述のとおり、リースバックを取り扱う運営会社は増えています。そして、同じリースバックでも、運営会社によって売買価格や家賃などの諸条件やサービス内容に違いがあります。 仮に1社しか選ばずに契約を進めてしまうと、例えばその会社が提示した売買価格があまりにも安くても、気づくことができない恐れがあります。また、複数の運営会社を比較したうえでより条件の良い運営会社を選ぶ方が、例え手間がかかっても損をするリスクを抑えられるので、必ず比較検討を行うべきです。 もしリースバックを前向きに検討しているのであれば、自分が何を重要視するのかをはっきりさせて比較することが大切です。これから解説する5つのポイントはどれも重要ですが、その中でも特にどのポイントを重要視するのかも併せて考えてみてください。 リースバックを比較するポイント1:売買価格 リースバックでは、運営会社によって、不動産の評価方法に違いがあるため、売買価格は変わってきます。また、運営会社が売主の家賃滞納リスク、買い戻しに応じるために自由に売買できない制約を抱えていることも、売買価格に影響を与えます。あくまで目安ですが、一般的なリースバックの売買価格は市場価格の70%前後です。 リースバックで自宅を売却するときは、なるべく高い価格で売却できる方が良いと考えがちですが、売買価格は家賃とトレードオフの関係にあり、売買価格が下がれば家賃も下がります。そのため、売買価格だけで決定するのではなく、その他の条件を踏まえた上で総合的に判断することが大切です。 また、売買価格のほかに、以下の手数料にも注目する必要があります。 仲介手数料 事務手数料 抵当権の抹消手数料 リースバックの多くは仲介手数料がかかりますが、運営会社が買主になることで仲介手数料が発生しない場合もあります。事務手数料を無料にしている運営会社もある一方で、30~50万円程度の事務手数料を請求している運営会社もあります。また、住宅ローンが残っている場合は、抵当権の抹消費用を請求されるので、金額が適正かどうかも確認する必要があります。 リースバックでは、自宅を少しでも高く売却し、安い家賃で借りることが理想です。しかし、売買価格や家賃だけに注目するのではなく、手数料などの他の比較ポイントも含めて総合的に判断しましょう。 リースバックを比較するポイント2:家賃 リースバックでは、自宅の売却後に家賃を支払うことになりますが、運営会社によって家賃も変わります。また、売買価格でも述べましたが、一般的に売買価格と家賃はトレードオフの関係にあり、売買価格が下がれば家賃も下がります。 運営会社によっては「家賃を何か月か猶予する」「売買代金の一部を預け入れすれば家賃が下がる」と提案されるケースもあるかもしれません。しかし、それは単に売買価格を低く見積もっているだけです。家賃は安ければいいわけではなく、売買価格も含めて比較することが大切です。 また、リースバックで売却した自宅を借りる際は、敷金や礼金、更新料、家賃保証会社への保証料も必要になります。これらの費用は無料の会社もあれば、有料の会社もあるので、家賃も含めてしっかりと比較しましょう。 関連記事はこちらリースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? リースバックを比較するポイント3:賃貸契約期間 リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるのがメリットです。しかし、リースバックの多くは賃貸契約期間が3年などに定められている「定期借家契約」になります。ほとんどの運営会社は「再契約することでそのまま住み続けることは可能」と謳っていますが、運営会社の事情で再契約されないことも考えられます。 そのため、貸主からの解約申し入れには正当事由が必要である「普通借家契約」のほうがより良い契約といえるでしょう。定期借家契約でリースバックを利用する場合は、運営会社の都合で再契約ができずに契約が終了することも想定し、状況に応じて引っ越しする覚悟が必要です。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? リースバックを比較するポイント4:買い戻し条件(価格、期間) リースバックは、売却した自宅の買い戻しができることも特徴のひとつです。将来的に自宅を買い戻すことを想定して、リースバックを検討する人もいるのではないでしょうか。しかし、リースバックで自宅を買い戻すときの価格は、売却時よりも高くなることが多いです。 また、買い戻し条件も運営会社によって異なるため、予定どおり買い戻せるかはわかりません。予め価格や賃貸契約期間などの条件が決まっていて、それらが書面化されていれば、買い戻しについてのトラブルを避けられます。買い戻し価格を提示してくれる会社が複数ある場合は、より安い価格で買い戻しができる会社を選ぶといいでしょう。運営会社によっては、買い戻し条件が曖昧なところもあるので注意が必要です。 関連記事はこちらリースバックは買い戻しできる?仕組みや買い戻し価格の目安を解説 リースバックを比較するポイント5:運営会社の信頼性 リースバックを利用する際は、運営会社の信頼性も重要なポイントです。実績や業績などを比較して、倒産リスクが低い会社を選びましょう。家賃を低くするために売買代金の一部を預け入れしている状態で運営会社が破産した場合には、その預けている売買代金の一部は戻ってこない恐れがあります。 また、管理業務の体制やサービスついても、内容を調べて比較しておきましょう。中には専用窓口を設置して、高齢者を対象にした見守りサービスや家事代行サービス、宅食サービスなどを提供している会社もあります。 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるので、老後資金の不足など、まとまった現金が必要な場合に活用できます。ただし、運営会社によって売買価格や家賃、手数料だけでなく、賃貸契約期間や買い戻し条件も異なります。 リースバックを検討する際は、自身の状況をきちんと整理し、必ず複数の会社から見積もりを取るなど、比較検討したうえで利用するサービスを決めることが大切です。自宅を売却した後も安心して同じ家に住み続けられるように、この記事で紹介した5つの比較ポイントを参考にリースバックの運営会社を比較してみてください。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む

  • 急な医療・介護費用の資金調達!リースバックでもしもに備える!

    急な医療・介護費用の資金調達!リースバックでもしもに備える!

    親の医療費や介護費用が、ご自身の家族の教育費などと重なって、ダブルパンチになる世代が増えています。高齢の親の入院など急な連絡をもらっても慌てずに対処できるよう、お金の調達の選択肢を増やしておくことはとても重要でしょう。 この記事では、急な入院や介護費用を心配するアラフィフ世代からみた、親の医療費や介護費用、その長期化を視野にいれた資金調達の手段についてご紹介します。 [ご相談者 Kさん] 51歳 男性。妻と子供3人。子は大学2年生、高校3年生、高校1年生 父は既に他界していて、82歳の母が地方の実家で一人暮らし。 母が転んで骨折し、入院。どうやら介護も必要な様子。 自分はこれから教育費がピークを控えているので、母の医療費や介護の費用などは、母の財産で捻出できたらと思っている。 (1)母入院の急な連絡、医療費や介護費用含めたお金が心配 Kさん:先日、母が入院したと連絡があり、ビックリしました。転んで骨折したらしいのですが、歳も歳なので、介護が必要になりそうで、お金もどうなるかとても不安です。 FP吹田:それはお母様も、付き添う人も大変ですね。入院期間はどのくらいかかりそうなのですか? Kさん:3~4カ月はかかるらしいです。まず医療費が気になりますね。自分も姉も、ちょうど子供の大学などお金がかかるピークなんですよ。 FP吹田:皆さんお子さんの教育費とダブルで気がかりなのですね。お母様の医療費は、後期高齢者医療制度で、健康保険の適用範囲内なら高額療養費制度を利用することで1カ月一定額までの負担になるようになっています。お母様が年金収入のみとして、課税所得145万円未満の一般世帯なら、入院と外来で1カ月に57,600円が上限と言われています。 Kさん:1か月に約6万円ですか。介護の費用がかかり始めたら、更にですよね。 FP吹田:はい、医療と介護と両方お金がかかることに対しては、高額介護合算療養費という制度で上限が設定されています。詳細は自治体に確認していただくことになりますが、東京都の場合、後期高齢者医療制度+介護保険制度を合わせて、所得が一般世帯なら自己負担も年額56万円までとなっています。 Kさん:なるほど。医療と介護を合わせた上限ですね。母の住む市町村に問い合わせてみます。ただ、実際には、移動や付き添う交通費もかかるし、母のことがいつまで続くのか、先が見えないんですよね。公的な貸付制度ってなかったでしょうか? FP吹田:はい、先ほどの高額療養費の範囲内で貸付を受けられる高額医療費貸付というのものもあるのですが、これは「貸付」といっても、実際は、借りるお金が高額療養費の申請後に還付されるだけで、戻ってくる分の先払いにすぎません。自己負担上限までの負担は実際、変わらないのですよ。お母様ご自身の預貯金などは、おありなのでしょうか? Kさん:それが、不動産はあっても、年金が少なくて、預貯金はあまりないのです。母のリハビリとかが長びいても安心できるような資金調達とか何かないでしょうか? (2)自宅を相続後、売却するつもりならリースバックを考えて FP吹田:そうでしたか。不動産はおありなのですね。 Kさん:はい、父からの相続で不動産はみな母が引き継いだのです。地方なので、自分も姉も、その土地があっても今の子育て環境では活かせないと話しまして。 FP吹田:お子さんの受験などを考えると、実家に戻ることもないということですね。 Kさん:はい、おそらく、自分も姉も、実家に戻ることはなく、いずれ母が亡くなったら、売却を考えることになるかと思います。 FP吹田:なるほど、亡くなられた後に売却されることをお考えでしたら、ご自宅などの不動産のリースバックという方法を検討されてはいかがでしょうか? Kさん:リースバックですか? FP吹田:はい。不動産業者に不動産を売却するけれども、そのまま借りるという仕組みで、ご自宅などお母様の住む環境は全く変えずに、不動産を活用して資金を捻出できる方法の一つです。 Kさん:なるほど。名義は変わるけれども、実態は変わらないから、母に負担はかからないのですね。いずれ売却する不動産なら、時期が早まるだけだから、問題なさそうですね。 FP吹田:はい。所有権を手放すので、中には淋しく感じる方もいらっしゃいますが、相続後に売却すると思っていらっしゃるなら、逆に、今後の固定資産税などの納税義務や地震や災害での修復などの重荷から早めに解放されるとも言えます。念のため、メリット・デメリットを以下の表にまとめてみました。 (3)リースバックのメリット・デメリットとは 【表】リースバックや高額医療費貸付のメリット・デメリット リースバック 高額医療費貸付(国保) 仕組み 不動産の売却と賃貸の組み合わせ 高額療養費支給見込み額の9割相当額の貸付 メリット ・買主を探す必要がなく、現金化までの期間が比較的に短い ・引越す必要がなく、環境が変わらない ・資金使途が自由 ・高額療養費制度の申請後に清算され、長期の借金ではない ・無利子 ・保証人不要 デメリット ・売却価格が周辺相場よりも安くなりがち ・毎月のリース料(家賃)が発生する ・資金使途が医療費のみ ・貸付限度額がある Kさん:なるほど。資金使途が自由なら、医療費や介護費用と、万一の葬儀関係費用も含めて賄えたら、一気に不安が消えるような気がします。 FP吹田:そうですね。特に介護費用については、介護保険適用外の出費もありうるので、予算が大きく変わる可能性があります。その意味で、自由に使えるお金があるというのは安心感につながるでしょう。リースバックは、通常の不動産売却に比べると、買主とのやりとりなどの時間がかからなくて迅速な一方、売却価格が低めになりがちなど一長一短ですが…。 Kさん:それはやむを得ないですね。こちらも急いで資金を確保したいので。 FP吹田:それをご理解の上なら、問題ないでしょう。仮に亡くなられてからでは、お母様の資産を動かすのは、遺産分割協議を終えてからでないとできません。ですから、意思決定できるお元気なうちにお母様にも相談をされたほうが良さそうですね。 Kさん:幸い、母はまだ認知症の症状は出ていませんし、お金のことは心配しているはずなので、姉とともに相談してみます。特に、子供の教育費にしわ寄せがいかないように対策がとれるのなら、前向きに検討できると思います。 FP吹田:お母様やお姉様、皆さんにとって、一番不安や負担がない方法として、ご相談してみてくださいね。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ 医療・介護費用を捻出したい場合の選択肢は以下のとおりです。 国保の高額医療費貸付 無利子だが、高額療養費支給見込み額の9割相当以内で、還付される分の先払いにすぎない。高額療養費制度の自己負担額そのものは払うことには変わらない。 リースバックの可能性は? 不動産業者に売却するので、比較的短期間で資金を捻出できる。 資金使途も制限がないので、介護費用などの予算変動にも対応できる。 所有権は手放すが、実質的な環境は変わらないので、家族で協力しやすい。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...記事を読む

  • 不動産担保ローンとリースバックの違いとは

    リースバックと不動産担保ローンの違いを徹底比較!

    リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適な方法を選択できます。 この記事では、不動産担保ローンとリースバックの違いについて詳しく解説します。 リースバックと不動産担保ローンの概要 リースバックの概要 リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅を売却する場合、通常であれば新たな住まいを探す必要がありますが、リースバックであれば自宅を売却した後もそのまま住み続けられます。また、リースバックは資金使途に制限がなく、老後資金や教育費、事業資金の確保など幅広く活用できます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 不動産担保ローンの概要 不動産担保ローンとは、不動産を担保に資金を借りることができるローン商品です。自宅を担保に資金を調達する場合でも、自宅に住み続けながら資金を調達することができます。また、不動産担保ローンも資金使途は原則自由であり、幅広く活用できます。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバックと不動産担保ローンの共通点と違い まず、リースバックと不動産担保ローンは「不動産を活用した資金調達方法」という点では共通しています。しかし、リースバックは不動産売買+賃貸借契約、不動産担保ローンは融資であり、そもそもの仕組みが異なります。 具体的には以下のような違いがあります。 所有権移転の有無 資金の受け取り方(売却と融資) 月々の支払い(家賃と利息) リースバックは、自宅を売却して賃貸に切り替えた時点で所有権は運営会社に移転します。それに対して、不動産担保ローンはあくまで自宅を担保にするだけなので、自宅の所有権は移転しません。 また、リースバックは売却資金を受け取り、その後は毎月家賃を払うのに対し、不動産担保ローンは融資を受け、毎月返済を行う点で異なります。 不動産担保ローンと比較したリースバックのメリット 不動産担保ローンと比較したリースバックのメリットは以下の2つです。 ①審査がない リースバックは不動産売却なので、基本的に年齢や年収などの条件で断られることはありません。持ち家さえあれば利用しやすい商品といえるでしょう。 一方で不動産担保ローンは融資なので、年齢や年収などを審査されます。不動産担保ローンは不動産評価を重視するローンではあるものの、リースバックと比較すると条件次第では利用できない恐れもあるでしょう。 ②持ち家リスクがない リースバックは自宅を売却するため、普段の維持管理や災害などによる被害の修繕にかかる費用は全て運営会社が負担してくれます。 一方で不動産担保ローンは利用した後も自宅を持ち家として保有し続けることになるため、上述の費用は自己負担となります。 不動産担保ローンと比較したリースバックのデメリット 不動産担保ローンと比較したリースバックのデメリットは以下の2つです。 ①必ずしも住み続けられるとは限らない リースバックは賃貸借契約の種類によっては、例え家賃を滞納していなかったとしても退去しなければならなくなる恐れがあります。 一方で不動産担保ローンはあくまで自宅を担保にしているだけなので、返済を滞納しない限りは自宅に住み続けられます。 関連記事はこちらリースバックの退去について解説!強制退去させられることはある? ②リフォームができなくなる リースバックを利用すると自宅の所有権はリースバックの運営会社に移転してしまいます。そのため、リースバックを利用した時点で自由にリフォームをすることができなくなります。 一方で不動産担保ローンは自宅の所有権を手放すわけではないので、利用した後も引き続き自由にリフォームをすることができます。 リースバックと不動産担保ローン、どちらを利用すべき? リースバックは不動産を売却するため、売却金額に対して必要資金が過小な場合はあまり適していません。例えば、不動産評価額が5,000万円のとき、リースバックの売却金額は3,500万円前後が目安です。仮に必要資金が1,000万円である場合には、必要以上の手元資金を確保したことになります。また、売却価格だけに着目すると、取引時点で損失を確定したという見方もできます。 一方で不動産担保ローンの場合は、自宅の不動産評価額をもとに金融機関が定めた借入限度額までであれば、自由に借入額を設定できます。そのため、必要な金額がリースバックによって得られる資金と比較して明らかに小さい場合は、不動産担保ローンの利用を検討すべきと言えます。 ある程度まとまった資金が必要なら リースバックの売却金額は一般的に7割前後と言われていますが、運営会社によっては8割近くになることもあります。さらに、不動産担保ローンの担保掛目は、一般的に6割~8割程度と言われています。 つまり、リースバックの売却金額と不動産担保ローンの融資限度額は同程度、もしくは運営会社や金融機関によって異なるものの、リースバックの方がまとまった金額を調達できることもあります。 また、不動産担保ローンは一般的に、融資希望額が大きくなるにつれて、審査が通りにくくなります。このような状況では、同一商品、サービス内での検討だけでなく、それぞれのサービス間でも比較検討する価値があると言えるでしょう。 まとめ リースバックは売却と賃貸を組み合わせた取引であり、融資である不動産担保ローンとはそもそもの仕組みが異なります。両者の違いを正しく理解したうえで、ライフスタイルや考え方に合わせてどちらを利用するかを検討しましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックとリバースモーゲージの違いを徹底比較! 近年、まとまった老後資金を確保する手段として「リースバック」や「リバースモーゲージ」が注目されています。もし、まとまった老後資金の確保を目的として利用を検討する場合には、リースバックとリバー...記事を読む