公開日:2025.08.20
過去に延滞や債務整理をした経験があると、個人信用情報に「事故情報(異動情報)」が記録され、こうした情報が登録されている状態は、一般的に「ブラックリストに載っている」と表現されます。過去にこのような経験がある人は、住宅ローンの審査に不安を感じるかもしれません。
この記事では、そもそもブラックリストとは何か、その確認方法や、住宅ローン審査にどのような影響を及ぼすかについて、わかりやすく解説します。
「ブラックリスト」とは、信用情報機関が管理する個人信用情報に、延滞や債務整理などの事故情報が記録されている状態を指す俗称です。実際に「ブラックリスト」という名前のリストが存在するわけではありませんが、金融機関の審査においては重要な判断材料となります。
住宅ローンの審査では、申込者の返済能力を確認するために、金融機関が信用情報機関から個人信用情報を取得します。そして、過去の事故情報が記録されていると、審査にマイナスの影響を及ぼします。「自分はブラックリストに載っているのか?」と不安に感じる人は、信用情報を開示して確認することができます。
日本の代表的な信用情報機関は、以下の3社です。
信用情報機関 | 主な加盟会員 |
---|---|
CIC(シー・アイ・シー) | クレジットカード会社など |
JICC(日本信用情報機構) | 消費者金融など |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 銀行など |
銀行やクレジットカード会社などの金融機関は、上記のいずれかに加盟しています。3社(CIC・JICC・KSC)は情報交流協定を結んでおり、事故情報などは相互に共有される仕組みになっています。
ブラックリストに載る主な事故情報は以下のとおりです。
これらの情報は、信用情報機関に一定期間記録されます。信用情報機関ごとの登録期間は以下のとおりです。
信用情報機関 | 登録期間 | |
---|---|---|
CIC(シー・アイ・シー) | 契約期間中および完済日から | 5年以内 |
JICC(日本信用情報機構) | 契約継続中および完済日から | 5年以内 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 契約期間中および完済日から | 5年以内 |
破産・民事再生手続開始決定から | 7年以内 |
信用情報機関に情報開示を申し込む方法は以下のとおりです。
CICでは、2025年8月現在、インターネットによる信用情報の開示が一時休止されていますが、郵送による開示は現在も利用可能です。郵送開示の手数料は500円~で、申し込みから約3週間で開示報告書が届きます。
なお、インターネット開示は2025年10月9日に再開予定とされています(※最新情報はCIC公式サイトをご確認ください)。
項目/開示方法 | 郵送 | インターネット |
---|---|---|
必要書類 | 開示申込書、本人確認書類、手数料(開示利用券(コンビニチケット)または定額小為替証書) | 休止中 ※2025年8月現在 |
手数料 | 500円~ | |
開示までの期間 | 約3週間 |
詳細は、株式会社シー・アイ・シーのホームページをご参照ください。
出典)株式会社シー・アイ・シー「郵送で開示する」
出典)株式会社シー・アイ・シー「インターネット開示のサービス再開予定時期のお知らせ」
JICC(日本信用情報機構)では、スマートフォンアプリを使って信用情報の開示を申し込むことができます。専用アプリをダウンロードし、本人認証を行ったうえで、氏名や生年月日などを入力し、クレジットカードなどで手数料を支払うと、開示結果を受け取ることができます。
データ受け取りの場合は1,000円、郵送受け取りの場合は1,300円の手数料がかかり、取得までの期間はそれぞれ1~3日程度、5~7日程度が目安です。スマホアプリが利用できない場合は、郵送による開示手続きも可能です。
項目/開示方法 | 郵送 | インターネット |
---|---|---|
必要書類 | ・郵送申込:開示申込書、本人確認書類、手数料(郵送開示利用券) ・アプリ:本人確認書類 | マイナンバーカード |
手数料 | 1,300円 | 1,000円 |
開示までの期間 | ・郵送申込:7~10日程度 ・アプリ申込:5~7日程度 | 1~3日程度 |
詳細は、株式会社日本信用情報機構のホームページをご参照ください。
出典)株式会社日本信用情報機構「開示を申し込む」
KSC(全国銀行個人信用情報センター)では、インターネットまたは郵送による信用情報の開示が可能です。
インターネット開示では、メールアドレスを登録し、住所・氏名などの情報を入力したうえで、マイナンバーカードの電子証明書を使って本人確認を行います。手続き完了後、クレジットカードなどで手数料(1,000円)を支払うと、最短3~5営業日で開示報告書をダウンロードできます。
スマートフォンやマイナンバーカードが利用できない場合は、郵送による開示も可能です。申込書類の到着後、7~10日程度で報告書が届きます。
項目/開示方法 | 郵送 | インターネット |
---|---|---|
必要書類 | 開示申込書、本人確認書類、手数料(本人開示・申告手続利用券) | マイナンバーカード |
手数料 | 1,679円~1,800円 | 1,000円 |
開示までの期間 | 7~10日程度 | 最短3~5営業日 |
詳細は、一般社団法人全国銀行協会のホームページをご参照ください。
出典)一般社団法人全国銀行協会「本人開示の手続き」
ブラックリストに載った状態では住宅ローンの審査に通るのは難しいとされていますが、一定の条件を満たせば、審査に通る可能性が全くないわけではありません。ここでは、審査通過の可能性を高めるポイントや、柔軟な対応をしている金融機関の例をご紹介します。
事故情報が記録されている場合は、以下のような条件を満たしているかどうかが重要になります。
まず、事故情報の対象となった債務をすでに完済していることが前提となります。完済していない状態では、審査に通るのは非常に難しいでしょう。また、信用情報機関に記録された事故情報が削除されているかどうかも、審査の判断材料になります。
さらに、現在の収入が安定していて、返済能力があると判断されることも重要です。過去に問題があったとしても、現在の生活状況が改善されていれば、金融機関の評価も異なります。
加えて、事故情報の対象となった債務の他にクレジットカードやローンで延滞がないなど、信用情報全体が良好であることもプラス要素になります。そのほかにも、住宅ローンを利用する際に頭金を多めに用意することで借入金額を減らせば、金融機関にとってのリスクが下がり、審査通過の可能性が高まることがあります。
銀行の住宅ローンは、保証会社の審査を通過することが前提となります。ただし、保証会社によって審査基準が異なるため、事故情報があっても通過する可能性もゼロではありません。特に地方銀行や信用金庫などの地域密着型の金融機関では、申込者の個別事情を丁寧に考慮してくれることがあります。
一部のノンバンク系金融機関では、銀行よりも柔軟な審査基準を採用している場合があります。金利はやや高めになる傾向がありますが、過去に事故情報があっても、現在の収入や返済実績が良好であれば、審査対象となる可能性があります。
ブラックリストに載っている状態では、住宅ローンの審査に影響が出る可能性が大きいでしょう。しかし、事故情報は永遠に残るものではなく、一定期間が過ぎれば信用情報から削除されます。
まずは、自分の信用情報を開示して、現在の状況を正確に把握することが第一歩です。そのうえで、収入や返済履歴を整え、計画的に準備を進めていけば、住宅ローンの審査に通る可能性も十分にあります。
焦らず、着実にステップを踏むことが、安心して住宅ローンを組むための近道です。
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