こんにちは、公認会計士の千日太郎です。 衆院選後の過度な財政不安や日銀の早期利上げ観測が後退し、新発10年国債利回りが急低下しています。市場金利が下がれば、固定金利タイプの住宅ローンも下がるのが基本セオリーであり、【フラット35】も低下が予想されます。 まずは、最新の機構債と市場動向から分析した、2026年3月の【フラット35】金利予想の結論からお伝えします。 【2026年3月 フラット35金利予想】 予想レンジ:2.13% ~ 2.17% 傾向:前月比 ▲0.09%~▲0.13%の低下 要因:新発10年国債利回りの低下 前回の記事(【フラット35】2026年2月金利は2.26 %に決定|公認会計士の予測と機構債分析!)では、【フラット35】の2026年2月金利を2.18%~2.28%と予想し、結果は2.26%となりました。 この記事では、急変する市場の中で「なぜ3月はこの金利予想になるのか」、その根拠となる国債・機構債の動きと、私たち借り手にとって重要な「逆ザヤ(機構による金利抑制)」の現状について詳しく解説します。 【フラット35】2026年2月金利予想の結果と検証 2026年2月の【フラット35】金利は2.26%に決定 2026年2月の【フラット35】金利は2.26%に決定し、2026年1月下旬での予想レンジ(2.18%~2.28%)の中で、上限に近い結果となりました。 金利上昇の背景として、2月は新発10年国債利回りが0.33ポイント上昇し、それに伴い機構債の表面利率も0.33ポイント上昇したことが挙げられます。これに対し、【フラット35】の金利上昇は引き続き抑えられている状況です。 なお、【フラット35】の金利は、以下の簡易式で説明できます。 ・予測ロジック(簡易式) 予測金利 ≒新発10年国債利回り + ローンチスプレッド – 調整幅(機構裁量) 金利上昇が抑えられた要因(拡大する逆ザヤ) 予想以上に市場金利が上昇したとはいえ、その上昇幅に比べれば【フラット35】の上昇はかなり抑制されています。これを支えているのは、過去連続9か月にわたって【フラット35】の金利が機構債の表面利率(調達コスト)を下回っている、いわゆる「逆ザヤ」現象です。 昨年の6月に0.05ポイントから始まった逆ザヤは毎月拡大を続け、2026年2月には10倍の0.52ポイントに達しています。特に衆院選直前の1月から2月にかけての拡大幅は大きく、住宅金融支援機構が自らの利益を犠牲にして、どこまでこの「逆ザヤ」を容認して金利を抑え込むかが、今後の予想の核となります。 逆ザヤの推移(機構債 vs フラット35) 年月 機構債表面利率 機構債発表日 フラット35金利 金利差(逆ザヤ) 2025年6月1.94%5月22日1.89%-0.05ポイント 2025年7月1.88%6月20日1.84%-0.04ポイント 2025年8月2.02%7月18日1.87%-0.15ポイント 2025年9月2.08%8月21日1.89%-0.19ポイント 2025年10月2.12%9月19日1.89%-0.23ポイント 2025年11月2.15%10月17日1.90%-0.25ポイント 2025年12月2.30%11月20日1.97%-0.33ポイント 2026年1月2.45%12月17日2.08%-0.37ポイント 2026年2月2.78%1月22日2.26%-0.52ポイント ※出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※筆者作成 【フラット35】2026年3月金利予想 衆院選の自民大勝によって株価は高騰し、上がるかと思われた新発10年国債利回りは静観、その後低下傾向となっています。日銀の植田総裁は2月16日に高市首相と会談しましたが「一般的な経済、金融情勢の意見交換であった」とし、具体的な内容については明言しませんでした。 実際、2026年3月に向けての市場動向を見ると、新発10年国債利回りは2.27%から2.12%(※)へ、0.15ポイントの大幅低下となりました。これに伴い、機構債の表面利率は2.78%から2.65%へと0.13ポイント低下しています。 単純計算すれば、3月の【フラット35】は0.13~0.15%の低下となります。しかし、今回は逆ザヤの抑制(機構側の赤字縮小)が働き、実際の低下幅は若干抑えられると見込んでいます。 これまでの機構債の表面利率や新発10年国債利回りの推移を踏まえた、【フラット35】の金利予想は以下のとおりです。 ※10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。 【フラット35】金利推移と2026年3月予想 2025年12月 2026年1月 2026年2月 2026年3月 【フラット35】の金利(※) 1.97% 2.08% 2.26% 千日太郎の予想2.13% ~ 2.17% ※出典)住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」 シナリオ①:2.13%(機構債の低下を素直に反映) 下限の2.13%は、機構債の表面利率の低下が最大限に発揮されるシナリオです。10年国債利回りの低下幅は0.15ポイントですが、こちらはあくまで指標であるため、住宅金融支援機構が実際に資金調達する「機構債の低下幅(0.13ポイント)」を採用しました。 シナリオ②:2.17%(「激変緩和」の反動で下げ幅を抑える) 上限の2.17%は、機構側がこれまでの「激変緩和」の反動として、金利の低下幅をあえて抑えるというシナリオです。 1月から2月にかけては、積極財政を警戒した10年国債利回りの上昇がピークを迎え、機構債表面利率に対する【フラット35】の逆ザヤが-0.52ポイントという異常値に達していました。このまま、機構債の低下幅と同じ幅で【フラット35】を下げてしまうと、今後も0.52ポイントという大きな逆ザヤ(機構側の赤字)水準を維持・拡大することになってしまいます。 歴史的な長期金利の上昇を住宅ローン利用者が被らないようにするための、例外的な「激変緩和」措置であったとするならば、今回の金利低下局面では、低下幅を少し渋る(抑える)動きに出ると予想されます。 ただし、低下幅が抑えられて2.17%となったとしても、逆ザヤは-0.48ポイントとなり、依然として大幅な利用者優遇状態であることに変わりはありません。 機構債の表面利率・新発10年国債利回り・ローンチスプレッドの推移 主要データ(2026年2月18日時点) 機構債発表日 2025年11月20日 2025年12月17日 2026年1月22日 2026年2月18日 機構債の表面利率(※1) 2.30% 2.45% 2.78% 2.65% 新発10年国債利回り(※2) 1.79% 1.94% 2.27% 2.12% ローンチスプレッド(※1) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 53bps(0.53%) ※1 出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※2 10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。 まとめ 衆院選後は、過度な財政不安や日銀の早期利上げ観測が後退し、新発10年国債利回りは低下傾向にあります。しかし植田総裁は依然として利上げ路線を継続する意向を示しており、住宅ローンの金利が一本調子で下がるシナリオを描きにくい状況です。 引き続き【フラット35】については、公的融資という側面から急激な変動(上昇)が抑えられ、借り手にとって有利な「逆ザヤ」状態が続くとみていますが、早めの資金計画や仮審査の申し込みなど、金利上昇リスクへの備えを進めておくことをお勧めします。 ※この記事は2026年2月18日時点の公開情報に基づき、筆者の個人的な見解として執筆したものです。将来の金利動向を保証するものではありません。最終的な借り入れや投資の判断は、ご自身の責任において行ってください。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 千日太郎(Sennichi Taro) 公認会計士としての専門知識を活かし、YouTubeなどを通じて住宅ローンの仕組みや金利動向についての情報を発信。住宅購入を検討する人に向けた実務的な内容を中心に、金融に関する知識をわかりやすく解説している。 著書『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』では、住宅ローンの選び方や返済計画に関する基本的な考え方を丁寧に紹介しており、実用的な入門書として一定の評価を得ている。 住宅ローンに関する独自の視点や分析は、利用者や一部の業界関係者からも注目されており、継続的に情報提供を行っている点が特徴。
地震保険から支払われる保険金額は、建物や家財の損害の程度によって決定されます。その損害の程度は「一部損」「全損」などの区分がありますが、区分ごとにどのような違いがあるのでしょうか。 この記事では、地震保険の損害区分とそれぞれの違い、申請から給付までの流れ、具体的な支払い例を紹介します。 損害認定の仕組みと4つの区分 地震保険では、建物や家財の損害状況によって変わる損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つに区分し、その区分に応じて保険金が決まる仕組みになっています。 損害の程度は、損害保険会社の専門の調査員(または鑑定人)が原則として目視により判定します。なお、大規模災害時は写真等による自己申告で認定される場合もあります。 その際、認定の基準となる「時価」と、実際に支払われる「保険金額」には明確な違いがあります。のちの判定基準を正しく理解するために、まずはこの2つの違いを押さえておきましょう。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 認定は「時価」、支払いは「契約金額」が基準 地震保険の仕組みを理解するポイントは、認定と支払いで「基準にする金額」が異なる点です。 認定のモノサシは「時価」 損害区分(全損~一部損)の判定は、建物の経年劣化を考慮した「現在の価値(時価)」に対し、どの程度の被害が出たかで行います。 支払いのベースは「契約金額(保険金額)」 実際に受け取るお金は、修理費用や時価額そのものではなく、「契約した保険金額」に対する一定割合(5%~100%)で決まります。 「全損」から「一部損」までの認定基準と割合 各区分の認定基準と、支払われる保険金の割合は以下のとおりです。 2017年1月1日以降に保険期間が始まる契約に適用 損害の状況 支払われる保険金 建物 家財 全損 基礎・柱・壁・屋根などの損害額が建物の時価の50%以上 家財の損害額が家財の時価の80%以上 契約金額の100%(時価が限度) 焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の70%以上/td> 大半損 基礎・柱・壁・屋根などの損害額が建物の時価の40~50%未満 家財の損害額が家財の時価の60%~80%未満 契約金額の60%(時価の60%が限度) 焼焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の50~70%未満/td> 小半損 基礎・柱・壁・屋根などの損害額が建物の時価の20~40%未満 家財の損害額が家財の時価の30%~60%未満 契約金額の30%(時価の30%が限度) 焼失・流失した部分の床面積が建物の延床面積の20~50%未満/td> 一部損 基礎・柱・壁・屋根などの損害額が建物の時価の3~20%未満 家財の損害額が家財の時価の10%~30%未満 契約金額の5%(時価の5%が限度) 全損・大半損・小半損・一部損に至らない建物が床上浸水又は地盤面から45cmを超える浸水 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「備えて安心地震の話」 建物の損害認定(主要構造部・基礎など) 建物の調査は、建物を支えるために重要な主要構造部(基礎、柱、壁、屋根)に着目して行われます。そのため、門、塀、垣、エレベーター、給排水設備など、主要構造部に該当しない部分のみに損害が生じている場合は、補償の対象外となるため注意が必要です。 ■主要構造部(イメージ図) ※筆者作成 また、構造に関わらない内壁(クロスなど)や天井の損傷は、地震保険においては「主要構造部」の損害としてカウントされないケースが一般的です。あくまで「建物の構造」に関わる部分(外壁や基礎など)が重視されます。 なお、津波による浸水被害の場合は「浸水の深さ」、地盤の液状化による被害の場合は「建物の傾斜の角度や沈下の深さ」によって認定されます。また、木造建物、非木造建物など、建物の種類によって認定基準は異なります。 出典) ・一般社団法人日本損害保険協会「(地震保険 損害の認定基準について」 ・一般社団法人 日本損害保険協会「(備えて安心 地震保険の話」 家財の損害認定 家財(家具や家電など)の損害認定は、一つひとつの購入価格ではなく、家財全体を以下の5つに分類し、それぞれの「構成割合」を加味して損害額を算出します。 なお、すべての家財がチェックされるわけではなく、基本的にはこの5分類の中で一般的に所有されていると考えられる品目の損傷状況から、家財全体の損害割合を算出して判定します。 【家財の5分類】 1.食器類(食器、花瓶など) 2.電気器具類(テレビ、パソコン、冷蔵庫など) 3.家具類(タンス、棚、テーブルなど) 4.身回品その他(カメラ、楽器、靴など) 5.寝具・衣類(洋服、布団など) 例えば、地震により「テレビ、パソコン、冷蔵庫(電気器具類3品目)」と「タンス(家具類1品目)」が転倒して破損したとします。この4品目の損害割合の合計が家財全体の時価の10%以上に達すれば「一部損」、30%以上に達すれば「小半損」といった形で認定されます。一つ一つの被害は小さくても、複数の分類で損害が重なることで認定基準(10%以上)を満たすケースがあります。 出典)一般社団法人日本損害保険協会「地震保険 損害の認定基準について p.3」 保険金の支払い例と補償額の目安 ここでは、具体的な金額を用いて保険金の支払い例を紹介します。前提として、地震保険の契約金額は「火災保険の契約金額の30%~50%」の範囲で設定されます。 ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。たとえ時価がそれ以上の価値であっても、上限を超える契約はできません。 【モデルケース】 建物の評価額:2,000万円 家財の評価額:1,000万円 地震保険の契約金額(火災保険の50%で設定した場合): ・建物:1,000万円 ・家財:500万円 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「地震保険の保険金額の設定にあたっては、どのような制限がありますか。」 ケース1:全損(建物・家財が消失・倒壊) 地震による火災や倒壊で、建物と家財がともに「全損」となった場合の受取額です。 この状況での受取額は以下のとおりです。 建物分:1,000万円(契約金額の100%) 家財分:500万円(契約金額の100%) 公的支援(被災者生活再建支援金):最大300万円(基礎支援金+加算支援金) 受取総額:1,800万円 被害総額(3,000万円)に対し、受け取れる金額は1,800万円となります。地震保険はあくまで「生活再建の資金」を補うものであり、元通りに再建するための費用が全額補償されるわけではない点に留意が必要です。 地震保険と公的支援だけで生活再建費用をすべてカバーするのは難しいため、別途不足分を補うための地震補償保険の上乗せなどが有効といえます。 出典) ・一般社団法人日本損害保険協会「(地震保険とは」 ・内閣府「(公的支援制度について」 ケース2:一部損(ひび割れや家財の破損) 建物の一部や家財の一部が壊れ、ともに「一部損」と認定された場合の受取額です。 以下のような被害状況が目安となります。 建物 基礎や柱、外壁のひび割れ、屋根瓦のずれなどが生じ、建物全体の時価の3%~20%未満の損失が発生した場合 家財 「食器類の大半が割れた」「テレビやエアコンが落下して破損した」などの被害を受け、家財全体の時価の10%~30%未満の損失が発生した場合 この状況での受取額は以下のとおりです。 建物分:50万円(契約金額の5%) 家財分:25万円(契約金額の5%) 公的支援:原則なし 受取総額:75万円 一部損の場合、受け取れる保険金は契約金額の5%に限られます。実際の修理費用がこの金額を上回る場合でも、支払われる金額は変わりません。特に、基礎のひび割れ修理などは高額になりやすいため、5%の保険金だけでは修理費を賄いきれないケースも少なくありません。 また、原則として公的支援の対象外となるため、修理費用が保険金額を上回る場合は、自己資金での持ち出しとなります。 出典)財務省「地震保険制度の概要」 請求手続きの流れと必要書類 地震による損害が発生した場合の、一般的な請求フローと必要書類について解説します。 請求から保険金支払いまでの流れ 1.保険会社への連絡 加入している保険会社、または保険代理店の窓口へ連絡します。 2.損害調査の実施 保険会社の専門調査員が訪問し、建物や家財の被害状況を確認します。 3.調査結果の連絡・確定 調査結果に基づき損害区分(全損~一部損)が認定され、支払われる保険金額が確定します。 4.必要書類の提出 保険金請求書などの書類を提出します。 5.保険金の入金 指定した口座に保険金が支払われます。 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「台風・大雪・地震などの自然災害により建物・家財が損傷した場合の一般的な保険金請求手続き」 申請に必要な書類 一般的に以下の書類が必要となりますが、状況によって異なるため保険会社の案内に従ってください。 保険金請求書 損害状況がわかる写真や画像データ 修理見積書 など 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「台風・大雪・地震などの自然災害により建物・家財が損傷した場合の一般的な保険金請求手続き」 請求手続きの注意点と適切な認定を受けるためのポイント 地震保険をスムーズに請求し、適正な認定を受けるために知っておきたいポイントを紹介します。 保険証券がない場合の対処法 地震保険の保険証券が手元になくても保険金を請求することは可能です。まずは加入中の保険会社に相談しましょう。加入した保険会社がわからない場合は、日本損害保険協会に相談すると損害保険会社に照会してくれます。 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「自然災害損保契約のご照会」 片付け前に「被害状況の写真」を撮る 地震によって建物や家財が壊れたら、できる限りその状況を写真に撮っておくことが大切です。損害調査を受ける前に壊れたものを片づけてしまうと、調査員が目視で損害状況を確認できず、査定内容が変わってしまいます。 自己申告ではなく「鑑定人の調査」で決まる 地震保険で支払われる保険金は、損害保険会社による損害認定によって決まります。自己申告した損害金額、支払った修理費用などを基準に支払われるわけではない点に注意しましょう。 「罹災証明書」発行のための被害認定と地震保険の損害認定は別物 罹災証明書とは、災害による被害の程度を自治体が証明する書面です。被災者生活再建支援金などの申請時に必要になりますが、自治体が行う罹災証明書発行のための「被害認定調査」と保険会社が行う地震保険の「損害調査」とは、目的や基準が大きく異なります。そのため、地震保険請求時に罹災証明書の提出は基本的に不要です。 「罹災証明が出るまで請求を待つ」必要はありませんので、被害が出たら早めに保険会社へ連絡しましょう。 認定結果に納得できない場合は「再調査」を依頼できる もし「一部損にもならない(無責)」と判定されたり、認定区分に納得がいかなかったりする場合は、保険会社に「再調査」を依頼することができます。その際は、納得できない箇所の写真や、工務店の意見書などを添えて相談するとよいでしょう。諦めずに交渉することも大切な権利です。 まとめ 地震保険は、建物や家財の損害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)に応じて保険金が支払われます。ただし、全損であっても受け取れる金額は火災保険金額の50%が上限であり、一部損の場合は契約金額の5%にとどまります。 前述したシミュレーションのとおり、地震保険と公的支援だけでは、元の生活を取り戻すための資金が不足する可能性があります。「現在の補償内容で住宅ローンを払いながら生活を再建できるか」を一度確認し、不安が残る場合は、地震保険の上乗せ補償などの検討をおすすめします。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。 SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...
海外送金は、家族への仕送りやビジネス取引などで欠かせない手段ですが、「本当に安全なのか?」「詐欺に遭うリスクはないのか?」と不安に思う方も多いでしょう。実際、海外送金をめぐる詐欺や不正送金の事例は国内外で報告されています。 しかし、金融庁の規制や外為法に基づく手続き、そして各サービスのセキュリティ対策を理解すれば、リスクを低減することにつながります。 この記事では、海外送金の安全性を高める方法、詐欺の実例と防止策、そして安心して利用するためのポイントを詳しく解説します。海外送金の基本や仕組みを知りたい方は、以下の記事で詳細を記載していますので、ご参考にしてください。 関連記事はこちら海外送金とは?初心者にもわかる仕組み・手数料・安全な方法まとめ 海外送金で厳格な審査・規制が行われる理由 海外送金では、国内送金よりも厳しい審査が行われます。これは、送金の安全性を確保し、詐欺や不正送金を防ぐためです。具体的には、以下の理由があります。 犯罪資金の流用防止 送金がテロ資金やマネー・ローンダリングに使われないよう、金融庁の規制や外為法に基づく確認が行われます。 利用者保護 なりすましや詐欺メールによる被害を防ぐため、本人確認や追加書類の提出が求められます。 国際的な制裁対応 ロシアや北朝鮮など、制裁対象国への送金は規制されており、事前確認が必要です。 国内送金と異なり、海外送金ではマイナンバーなどを記載した告知書の提出が法令(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律)で義務付けられています。 こうした規制や審査は、利用者を守ることにも繋がります。送金サービスの案内に沿って、必要書類や本人確認にしっかり対応することが、安全な海外送金の第一歩です。 日本国内の法的規制と外為法の要点 日本で海外送金を行う場合、外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく法的規制があります。外為法は、国や国際社会の平和・安全の維持(テロ資金供与の防止など)や、対外取引の正常な発展を確保する目的があります。 外為法における海外送金に関する主なポイントは以下のとおりです。 高額送金の事後報告制度 送金額が3,000万円相当を超える場合、金融機関から日本銀行への事後報告が必要です。 制裁国・制裁対象者への送金規制・禁止(経済制裁措置) 外為法は対外取引の自由を基本としますが、国際約束の履行・国際平和への貢献・日本の安全確保が必要な場合には、財務相と経産相が経済制裁を発動できます。 送金目的の申告 金融機関は、経済制裁措置を確実に行うために、送金取引が外為法の規制対象取引ではないことを確認しており、送金目的によっては、追加書類の提出や本人確認が求められます。 上記の「3,000万円」は、主に国際収支統計の作成や市場動向の把握などを目的とした法律上の報告基準です。 一方で、これとは別にマネー・ローンダリング対策の観点から、実務上は10万円程度の少額送金であっても、金融機関独自に送金目的や原資の確認を求められることが一般的です。 詳細は財務省の公式サイトでも確認できます。 出典) ・財務省「(外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドライン」 ・財務省「(日本と海外との間の送金を行う際に必要な手続はどうなっていますか」 ・財務省「(経済制裁措置及び許可手続きの概要」 ・日本銀行「(外為法の報告制度について」 送金先国の規制および制裁対象国の確認 海外送金は、どの国にも自由に行えるわけではありません。送金先の国によっては、受取金額に上限があったり、送金そのものが制限されていたりする場合があります。特に注意が必要な国は以下のとおりです。 ロシア・ベラルーシ 経済制裁により送金制限あり 北朝鮮・イラン 送金そのものが禁止または厳しく制限 その他の制裁対象国 外務省や財務省の最新情報を確認 ※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は財務省の公式情報をご確認ください。 送金先国の規制は頻繁に変わるため、利用前に必ず金融機関や外務省の公式サイトで最新情報を確認しましょう。特に制限が多い国への送金は、手続きに時間がかかることがあるため、早めの準備が重要です。 出典)財務省「経済制裁措置及び対象者リスト」 海外送金にまつわる主な詐欺の手口と実例 これまでは日本における海外送金の法的規制や、制裁対象国への送金について見てきましたが、ここからは海外送金で起こりがちな詐欺被害の事例を紹介します。実際に起こった事例を通じて、どのような点に気をつけるべきかを見ていきましょう。 個人の被害事例:なりすまし・国際ロマンス詐欺 個人が巻き込まれやすい海外送金詐欺として、公的機関や警察庁が特に注意を呼びかけているのが、国際機関へのなりすましや、SNSを通じたロマンス詐欺です。 1. 国際的機関(WHOなど)へのなりすまし 実在する国際機関や医師を名乗る手口が多発しています。 公益社団法人 日本WHO協会によると、「WHOの医師」や「職員」を名乗る人物から、以下のような名目で送金を要求される事例が報告されています。 「WHOとの契約金を受け取るための手数料が必要」 「WHOにより口座が凍結されており、日本に送金するための手数料を立て替えてほしい」 また、警察庁の統計によると、こうしたSNSやマッチングアプリをきっかけとした「SNS型ロマンス詐欺」の被害は、前年に比べて大幅に増加しており、深刻な状況が続いています。 「愛している」「二人の将来のため」といった甘い言葉で信用させ、暗号資産の購入や指定口座への送金を指示し、一度送金すると連絡が取れなくなるのが典型的なパターンです。 「手数料」や「契約金」といった名目で、面識のない相手から海外送金を求められた場合は、詐欺を疑い、送金前に警察や消費生活センターに相談してください。 出典) ・公益社団法人日本WHO協会「(日本WHO協会からのお知らせ」 ・警察庁「(令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)」 法人の被害事例:ビジネスメール詐欺(BEC) 一方、法人間の取引においても、海外送金を巡る詐欺事件は多発しており、全国銀行協会なども「ビジネスメール詐欺」として注意を呼びかけています。 よくある手口としては、海外の関連会社や取引先の経営者・担当者を装った相手から、偽の取引メールが送られてくるケースです。「急に資金が必要になった」「送金先の銀行口座が変更になった」などともっともらしい理由で、偽の口座へ誘導し、送金させようとするのが特徴です。 実際に公表された被害事例 2020年、独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、海外取引において第三者からのなりすましメールによる詐欺被害に遭ったことを公表しました。 この事例では、取引先になりすました第三者から「振込先銀行口座の変更」を依頼する虚偽のメールが届き、担当者が偽の請求書に基づいて送金手続きを行ってしまったものです。その後、本来の取引先から入金確認の問い合わせがあり、資金を騙し取られていた事実が発覚しました。 出典) ・一般社団法人 全国銀行協会「(法人間の外国送金の資金をだまし取る詐欺にご注意!」 ・独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構「(海外取引にかかる誤送金について」 海外送金の詐欺・トラブルを防ぐ具体的な対策 海外送金に関する詐欺被害を防ぐためには、手口を知るだけでなく、具体的な対策をあらかじめ講じておくことが重要です。ここでは、送金前に行うべき確認や、日頃のセキュリティ対策について解説します。 安全な事業者・サービスの選定 金融庁登録業者の確認方法 海外送金は主に、銀行・ネット銀行・資金移動業者を通じて行いますが、正規の事業者であるかを確認する方法があります。例えば、資金移動業者であれば、資金決済法に基づき金融庁(全国の財務局等)に登録されています。 金融庁の公式サイトでは、事業者の登録番号・登録年月日・事業者名・本店所在地・電話番号などが記載されています。海外送金サービス会社が公開している情報と合致するかをあらかじめチェックしておきましょう。 出典)金融庁「資金移動業者登録一覧」 セキュリティ機能による判別 顧客から預かった資金を安全に管理することは、どのような形態の事業者にとっても重要な点です。顧客資産を守るために、各社ではさまざまなセキュリティ対策が行われており、どのサービスを利用するかの判断材料の一つとなるでしょう。 具体的なセキュリティ対策として、多要素認証の導入・SSL暗号化・アンチマルウェアツールの導入などが挙げられます。多要素認証とは、ID・パスワードなどの知識情報とスマホのアプリ・SNS認証などの所持情報、そして指紋・顔認証といった生体情報のうち、2つ以上の異なる組み合わせで本人確認を実施する認証方法をいいます。 SSL暗号化とは、Webサイトと閲覧者との間で行き交う通信データを暗号化し、なりすましや改ざんを防ぎ、個人情報や決済情報といった機密データを安全に送受信するための技術のことです。そして、アンチマルウェアツールとは、パソコンやスマホなどに害を与えるマルウェアの侵入を防ぎ、検知・駆除するためのソフトウェアや機能をいいます。 海外送金サービスを選ぶときには、複数のセキュリティ対策を実施している会社を選んでみましょう。ただし、サービス提供会社の対策を過信しすぎるのではなく、自分でも必要なセキュリティ対策に取り組むのが大切です。 出典)金融庁「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。」 【環境設定】アカウントと利用環境の予防策 公式サイト・アプリ経由でのフィッシング対策 海外送金サービスを利用する際は、メールやSMSに記載されたリンクからアクセスするのではなく、あらかじめブックマークした「公式サイト」や、正規ストアからインストールした「公式アプリ」を経由して利用するようにしましょう。 犯罪グループは、金融機関や送金サービスに成りすました偽のメールを送り付け、本物そっくりの「偽サイト(フィッシングサイト)」へ誘導してIDやパスワードを盗もうとします。しかし、公式アプリを利用すれば、偽のサイトへ誤ってアクセスしてしまうリスクを大幅に減らすことができます。 出典)金融庁「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。」 パスワード管理とマルウェア対策の徹底 海外送金に絡んだ詐欺被害や不正送金のトラブルに巻き込まれるケースでは、基本的なセキュリティ対策が徹底されていないことが原因となる場合もあります。例えば、パソコンを導入したときに設定したパスワードやセキュリティソフトがそのままになっているようなケースです。 被害を避けるためには、パスワードは定期的に変更し、第三者から推測されやすいパスワードの利用は避けましょう。また、個人情報の窃取や乗っ取りといった損害を与えるマルウェア(悪意のあるプログラム)は、最新のセキュリティソフトでなければ防げない恐れがあります。 「すでにセキュリティ対策を行っているから大丈夫」と思わずに、定期的にチェックを行うようにしてみましょう。 【送金実行】送金前後の事実確認と着金管理 送金前の徹底:口座変更時は「電話」で確認 個人の利用であれ、法人間のビジネス上の送金であれ、相手方が普段と異なる方法で連絡をしてきたり、送金先が急に変わったりしているときには注意が必要です。送金を行う前に、まずは相手方に直接確認を取るようにしてみましょう。 もし確認ができなければ、送金は一旦留保しておいたほうが無難です。不審なところがあるときは、自分だけの判断で行動せずに、警察に相談をすることも大切だといえます。 送金後の徹底:受取人との「着金確認」 送金手続きが完了しても、安心せずに必ず「相手にお金が届いたか」を確認しましょう。海外送金は、国内振込とは異なり、即座に反映されないケースが多いです。 そのため、手続きが済んだらまずは受取人に連絡し、着金予定日を過ぎた頃に入金確認をお願いしましょう。万が一、予定日を過ぎても届いていない場合は、送金に使った「ご自身の利用した金融機関」に問い合わせて、送金状況の調査を依頼しましょう。 【トラブル対応】異常発生時の相談窓口と窓口一覧 異常を察知した際の即時アクション 海外送金詐欺の手口は年々巧妙化しており、どれほど注意を払っていても被害を完全にゼロにすることは容易ではありません。不審な点を感じた際や、実際に送金してしまった後の初動が、被害拡大を防ぐ唯一の手段となります。 相手方への確認が不十分なまま多額の送金を行うことは、極めてリスクが高い行為といえます。送金後に「騙されたかもしれない」と少しでも感じた場合は、以下の順序で直ちに行動してください。 1.送金元の金融機関へ連絡: 送金の差し止めや「組戻し(返金手続き)」が可能か至急確認してください。 2.公的相談窓口への通報: 警察や専門機関へ事案を報告し、法的なアドバイスを仰ぎます。 主な相談窓口一覧 詐欺被害に遭った資金を取り戻すことは、実務上非常に困難であるのが現実です。迅速に対応できるよう、以下の窓口を事前に把握しておくことをおすすめします。 相談先 役割・特徴 連絡先(目安) 警察相談専用電話 犯罪の疑いがある場合の総合相談 #9110 消費者ホットライン 契約トラブルや詐欺全般の相談 188(局番なし) 金融機関の専用窓口 不正送金の停止や口座凍結の依頼 各金融機関の公式サイトを参照 詐欺の被害に遭ってしまうと、お金を取り戻すのは困難でもあるため、気になることがあるときにはいつでも相談できるように、それぞれの相談窓口への連絡先をチェックしておくと素早く対応ができるはずです。 出典) ・警視庁「警察相談ダイヤル#9110」 ・消費者庁「消費者ホットライン」 安全な海外送金のためのポイントまとめ 海外送金サービスは、さまざまな会社が提供しているので、複数の会社を比較しながら選ぶようにしましょう。特に安全性といった点では、どのようなセキュリティ対策を行っているのか、事前にホームページなどで確認しておくと良いです。 国内の送金よりも、海外送金のほうが金融機関の審査が厳しいのは、マネー・ローンダリング・テロ資金供与などの犯罪を防ぎ、法令を遵守するためです。こうした厳格な手続きは、結果として利用者を詐欺や不正送金のトラブルから守ることにもつながります。金融機関から求められた書類の提出や確認には、しっかりと対応していくことが肝心です。 この記事で紹介した事例やセキュリティ対策を基に、海外送金サービスを便利に活用してみましょう。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。 ※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
不動産を複数人で所有する「共有名義」の状態は、単独所有とは異なり、自身の判断だけで不動産全体を売却したり、建て替えたりすることができません。 「離婚した元配偶者と顔を合わせたくない」「兄弟間で遺産分割協議がまとまらない」といった理由から、自身の持分だけを手放したいと考える方は少なくありません。 結論から言えば、自身の共有持分だけであれば、他の共有者の同意なく売却・放棄することが可能です。しかし、そこには法的な手順や、知っておかなければならない税務リスクが存在します。 この記事では、共有持分を単独で売却する4つの方法と、持分放棄の具体的な手続き、そしてトラブルを未然に防ぐための注意点について解説します。 共有持分の仕組みと放置するリスク 単独所有との違いと制限 共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有する際に、各共有者が持つ所有権の割合のことです。 例えば、3,000万円の不動産を夫婦で購入し、それぞれ1,500万円ずつ負担した場合、持分割合は「2分の1ずつ」となります。共有者は、持分割合に応じて不動産を使用・管理する権利がありますが、同時に固定資産税や修繕費などの維持費を負担する義務もあります。 関連記事はこちら不動産の共有持分とは?共有名義で購入するメリット・デメリット、売却方法を解説 共有名義を放置するデメリット 共有持分の問題を先送りにして放置すると、以下のような問題が生じる場合があります。 不動産全体は共有者が単独で自由に売却することができない 共有者間で管理や費用負担をめぐるトラブルに発展する懸念がある 相続発生時に権利関係が複雑化し、売却や活用がさらに難しくなる 共有名義の不動産全体を売却するには、共有者全員の同意が必要です。1人でも同意が得られない場合、売却はできません。 さらに、共有者の1人が亡くなるとその持分が相続され、共有者の人数がねずみ算式に増えてしまうことがあります。こうなると権利関係が複雑化し、解決が極めて困難になるリスクがあります。 共有持分だけを売却する4つの方法 共有名義の不動産であっても、ご自身の「共有持分のみ」であれば売却が可能です。他の共有者の許可は不要ですが、後のトラブルを避けるために対策を講じる必要があります。 ここでは、代表的な4つの売却方法を紹介します。 他の共有者への売却 最もスムーズな方法は、他の共有者に売却することです。共有者が2人の場合、一方がもう一方に売却すれば不動産は単独名義となり、自由に活用できます。共有者が3人以上いる場合は、誰にどれだけの持分を売却するかなど、複雑化する場合があります。 ただし、個人間での売買は契約条件や価格交渉でトラブルが起きやすいため、不動産仲介業者を介して契約することが望ましいでしょう。 第三者への仲介売却 不動産仲介会社を通じて、第三者(個人や投資家)に売却する方法もあります。自分で売り出し価格を決められるため、買取業者よりも高値で売却できる可能性があります。 ただし、共有持分は利用に制約があるため、一般的に流通性が低く、買い手が見つかるまで時間がかかる傾向があります。時間に余裕があり、できるだけ高値で売却したい場合に適した方法といえます。 専門買取業者への売却 共有持分の買取業者に依頼すれば、仲介による売却よりも短期間で現金化できる可能性が高いです。売却価格は仲介より低くなる傾向がありますが、早期売却を希望する場合には適した選択肢です。 依頼する際は、複数社に評価を依頼して条件を比較することが重要です。売却価格だけではなく、契約条件や手数料の確認も忘れないようにしましょう。 土地の分筆による売却 土地の場合は、「分筆(複数の土地に分割して登記)」を行い、単独所有にしたうえで売却する方法もあります。分筆を行えば、自分の土地として自由に売却できるようになります。 ただし、分筆を行うには他の共有者全員の同意が必要です。また、土地の形状や立地によっては分筆が難しい場合があり、測量や登記の手続きに費用や時間がかかります。まずは、土地家屋調査士などの専門家に相談して判断することをおすすめします。 売却方法の比較表 売却方法 メリット デメリット 向いている状況 他の共有者への売却 スムーズに話が進みやすい 価格交渉が難航する場合あり 共有者との関係が良好 第三者への仲介売却 買取業者より高値で売却できる可能性あり 買い手が見つかりにくい 時間に余裕がある 買取業者に売却 短期間で現金化可能 仲介より価格が低い傾向あり 早く売却したい 土地を分筆して売却 単独所有で売却可能 分筆費用・時間がかかる 土地の形状が適している ※筆者作成 持分放棄の手続きと税務リスク 「売れなくてもいいから手放したい」という場合、持分を「放棄」することも可能です。民法第255条に基づき、放棄した持分は他の共有者に帰属します。 (持分の放棄及び共有者の死亡)第二百五十五条共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。 内容証明郵便による意思表示 持分放棄は、単に口頭で「いらない」と伝えるだけでは不十分です。後日、「そんな話は聞いていない」と言われないよう、持分放棄の意思表示を証拠として残すことが重要です。 具体的には、郵便局が文書の内容と発送事実を証明してくれる「内容証明郵便(配達証明付)」などが有効です。これにより、「いつ、誰が、誰に対して、持分放棄の意思表示をしたか」が客観的に証明されます。 通知が相手に到達したことを確認した後、司法書士に依頼して持分移転登記の手続きへと進みます。 なお、持分移転登記は原則として「他の共有者と共同」で行う必要があります。相手が登記手続きへの協力を拒否した場合は、裁判所を通じた手続きが必要になることもあるため、強引に進める前に専門家への相談が不可欠です。 「みなし贈与」などの税務リスク 注意すべきは「税金」です。持分を受け取った側の共有者は、経済的利益を得たことになります。これが相続税法第7条に基づき「みなし贈与」とされ、「持分を受け取った側の共有者」に贈与税が課税される場合があります。 また、放棄を行っても登記手続きが完了していなければ、固定資産税や管理費の負担義務は消えません。放棄を行う際は、司法書士や税理士へ相談しましょう。 出典) ・e-Gov法令検索「民法」(第255条) ・e-Gov法令検索「相続税法」(第7条) トラブルを防ぐ注意点と「売らない」選択肢 共有持分の売却や買取を円滑に進めるためには、以下の点を確認してください。 売却・放棄を成功させる事前チェック 複数業者に評価を依頼する 共有持分は流通性が低く、業者によって評価額に差が出やすい特徴があります。1社だけで判断せず、複数社に評価を依頼し、条件を比較することで適正な価格を把握できます。 税務リスクを確認する(贈与税・譲渡所得税) 無償譲渡や低額譲渡は「みなし贈与」とされる可能性があります。また、売却益が出た場合は譲渡所得税が課税されます。税務判断は個別の状況により異なるため、事前の確認が不可欠です。 登記手続きまで確実に行う 口頭での合意だけでは不十分です。登記が完了していなければ、名義が残り続け、固定資産税や管理費の請求が来ることになります。司法書士に依頼するなどして、確実に名義変更を行いましょう。 専門家(弁護士・司法書士・税理士)に相談する 共有持分の取り扱いは、法的・税務的に複雑な判断を伴います。トラブルを未然に防ぎ、安全に取引を行うためにも、専門家の助言を得ることをおすすめします。 共有持分を担保にする不動産担保ローン もし、共有持分の売却を検討している理由が「人間関係の解消」ではなく、「まとまった資金調達」であるならば、売却以外の選択肢もあります。それは、ご自身の共有持分のみを担保にして融資を受ける「不動産担保ローン」です。 通常の銀行ローンでは共有者全員の同意(連帯保証)を求められることが一般的ですが、ノンバンク系の不動産担保ローンであれば、自身の共有持分のみを担保に、原則として他の共有者の同意不要で融資を受けられる場合があります。また、金融機関によっては郵送物や連絡方法に配慮してくれるため、他の共有者に知られないよう進められる場合もあります。 「愛着のある不動産を手放したくはないが、現金が必要」という場合では、有効な解決策となります。 関連記事はこちら不動産担保ローンは持分だけでも借りられる?特殊な不動産の融資可否も紹介 不動産共有持分に関するよくある質問 Q.他の共有者が反対していても売却できる? A.自分の持分のみであれば可能です。他の共有者の同意は必要ありません。ただし、売却後に買主と他の共有者との間でトラブルになることを避けるため、事前に相談しておくのが望ましいといえます。 Q.放棄に費用はかかる? A.はい、かかります。持分移転登記の手続きに必要な「登録免許税」や、手続きを代行する「司法書士報酬」などが必要です。 Q.一般的な不動産会社でも売却できますか? A.共有持分単独での売却は、断られる場合があります。通常の不動産会社は「不動産全体」の売買を前提としているため、権利関係が複雑な共有持分のみの取り扱いは避ける傾向にあります。相談する際は、共有持分を専門に扱う不動産会社や、弁護士などの専門家を探すのが一般的です。 まとめ 共有名義の不動産は、自身の持分だけであれば「売却」や「放棄」によって単独で手放すことが可能です。 現金化したい場合 なるべく高い金額での売却を目指す「仲介」や、早期解決が可能な「買取業者」など、優先順位に合わせて売却先を選ぶ。 手放したい場合 放棄が可能だが、他の共有者への「みなし贈与」などの税務リスクに注意する。 資金だけ必要な場合 売却せず、持分のみを担保にした「不動産担保ローン」の利用も検討する。 最も避けるべきは、問題を先送りにして権利関係をさらに複雑にしてしまうことです。ご自身の状況に合わせて、最適な出口戦略を選んでください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産買取のメリット・デメリットとは?不動産業者の選び方も解説 一般的に不動産を売却する場合は「不動産買取業者へ売却する方法」と「不動産仲介業者を通して売却する方法」の2種類があります。どのような場合に不動産買取を利用し、どのような不動産業者を選べばわか...
地震などの自然災害で住宅が損壊した際、被災者生活再建支援金などの公的支援を受けるために欠かせないのが「罹災(りさい)証明書」です。 被災時に「地震保険金を請求する際にも、罹災証明書が必要なのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。実は、自治体が行う罹災証明書発行のための「被害認定調査」と保険会社が行う地震保険の「損害調査」とは、目的や基準が大きく異なります。この違いを正しく理解していないと、いざという時に「思ったより保険金が少なくて生活再建が難しい」といった事態を招きかねません。 この記事では、罹災証明書の定義や地震保険金請求との関係、具体的な発行手続きの手順を整理して解説します。さらに、地震保険の補償不足を補い、確実に住まいを守るための備えについても詳しく紹介します。 罹災証明書の定義と地震保険金請求の際の証明書の要否 まずは罹災証明書の役割と、地震保険を請求する際に罹災証明書が必要になるかどうかを整理していきましょう。 罹災証明書の定義と役割 罹災証明書とは、地震や風水害などの自然災害によって住宅が被害を受けた際、その被害の程度を自治体が認定・証明する書類です。 市区町村の職員などが現地調査を行い、被害状況に応じて「全壊」から「一部損壊」までの6区分で判定されます。この判定結果は、被災者生活再建支援金の受給や義援金の配分、税金の減免など、公的な支援を受けるための「共通の尺度」として用いられます。 ■災害の被害認定基準(令和3年6月24日付府政防670号内閣府政策統括官(防災担当)) 住家の主要な構成要素(屋根、壁、柱など)の損害が、住家全体に占める割合によって以下のように区分されます。 損害の区分 損害基準判定(住家の主要な構成要素の経済的被害の住家全体に占める損害割合) 全壊 50%以上 大規模半壊 40%以上50%未満 中規模半壊 30%以上40%未満 半壊 20%以上30%未満 準半壊 10%以上20%未満 準半壊に至らない(一部損壊) 10%未満 出典)内閣府「災害に係る住家の被害認定」 罹災証明書と被災証明書との違い 罹災証明書と混同されやすいものに「被災証明書」があります。最大の違いは、「証明の対象」が住居(家)であるかどうかです。 書類名称 主な対象物 判定の有無 罹災証明書 現に居住している住宅(持ち家・借家) 「全壊」「半壊」などの判定あり 被災証明書 住宅以外の建物(店舗、空き家)、工作物(塀、門扉)、動産(車、家財) 被災した事実のみを証明(判定なし) 地震保険金請求における必要性 地震保険金を請求する際、罹災証明書の提出は原則として不要です。地震保険は損害保険会社が独自の基準で調査を行うため、自治体の調査結果を待たずに請求手続きを進めることができます。 ただし、大規模な災害などで現地調査が困難な場合に限り、保険会社から参考資料として提示を求められたり、罹災証明書を調査の代わり(援用)として活用したりするケースがあります。 地震保険と罹災証明書で査定結果が異なる理由 地震保険と罹災証明書では、損害を判定する際の査定対象や範囲、認定基準などが大きく異なります。そのため、「罹災証明書は半壊なのに、地震保険は一部損(または支払いなし)だった」というズレが生じることがあります。 地震保険:主要構造部の損害を査定 地震保険の査定対象は、建物の骨組みにあたる「主要構造部」に限定されています。主要構造部とは、建築基準法等で定められた以下の部分を指します。 査定の対象: 軸組(柱・梁)、基礎、屋根、外壁(耐力壁) 査定の対象外: 窓ガラス、ドア、内装(壁紙)、キッチン・バス等の設備、ベランダ たとえ内装や設備がボロボロになっても、基礎や柱といった骨組みに被害がなければ、地震保険の判定は低くなる仕組みです。なお、津波による浸水被害の場合は、例外的に「浸水の高さ」に基づいて損害を判定します。 罹災証明書:住家全体の損害を査定 罹災証明書は、主要構造部だけでなく、非主要構造部を含めた「住家全体」の損害を査定します。 内閣府の指針に基づき、屋根や柱などの部位ごとに細かく損害額(経済的被害)を算出し、それらを合算して建物全体の被害割合を決定します。地震保険では無視される「建具(窓・ドア)」「給排水設備」「内装」なども判定に含まれるため、地震保険よりも範囲が広くなります。 地震保険と罹災証明書の査定対象の比較 地震保険と罹災証明での査定対象を一覧にすると、以下のようになります。 査定対象(例) 地震保険 罹災証明書 主要構造部 柱 〇 〇 梁 〇 〇 屋根 〇 〇 耐力壁 〇 〇 基礎 〇 〇 非主要構造部 雑壁 × 〇 外部仕上材 × 〇 建具 ドア × 〇 扉 × 〇 サッシ × 〇 設備 バルコニー × 〇 エレベーター × 〇 受水槽設備 × 〇 給排水設備 × 〇 外部階段 × 〇 出典)財務省「地震保険制度の概要」および内閣府「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」を基に筆者作成 マンションで判定のズレが生じる原因 マンションの場合、「どこを見て判定するか」のルールが根本的に異なるため、戸建て以上にズレが生じやすくなります。 地震保険(建物) 個人の専有部ではなく、マンション全体(柱・梁など)の共用部の被害状況で判定が決まります。そのため、部屋の内装がボロボロでも、建物の骨組みが無事なら「支払対象外」となるケースが一般的です。 罹災証明書 生活再建が目的のため、建物の構造だけでなく、エントランスの破損やライフラインの状況など、マンション全体の「居住機能」も加味して判定されます。 このように「建物としては丈夫(保険は対象外)」だが「生活には支障がある(罹災証明書は認定)」というケースが発生するため、結果に大きな差が出ることがあるのです。 罹災証明書の発行手続きと必要書類 罹災証明書は自動的に送られてくるものではなく、被災者自身が自治体に申請する必要があります。 申請窓口と申請方法 住宅のある市区町村の担当窓口(防災課や資産税課など)で申請します。 近年は「オンライン申請」を導入する自治体が増えており、マイナポータルなどを通じてスマートフォンやパソコンから手続きが可能です。発行手数料は原則として無料です。 必要書類と申請条件 申請ができるのは、被害を受けた住宅の所有者や居住者、またはその代理人です。手続きには以下の書類を用意しましょう。 交付申請書:窓口または自治体ホームページで入手 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など 被害状況がわかる写真:現地調査の代わりや補足として重要(プリントアウトまたは画像データ) 委任状:代理人が申請する場合 出典) ・政府広報オンライン「住まいが被害を受けたとき 最初にすること」 ・マイナポータル「【災害】罹災証明書の発行申請」 発行までの期間と注意点 発行までの期間は通常1週間〜数週間程度です。ただし、大規模な災害で調査件数が多い場合は、1か月以上かかることもあります。 正確な被害認定を受けるためには、片付けや修理を始める前に現場を記録することが不可欠です。自治体調査の前に修繕してしまうと、本来の被害区分が認められない恐れがあります。写真は引きの写真と寄りの写真を撮っておくと安心です。 引きの写真:建物の外観4方向(全景)や、各部屋の全景 寄りの写真:壁の亀裂、屋根のズレ、浸水の跡など被害箇所がはっきりわかるもの 地震保険の補償限度と上乗せの備え 地震保険は被災後の生活を支える大切な制度ですが、実は「家を元通りに建て直す」ためのものではありません。ここでは補償の限界と、それを補うための選択肢を解説します。 地震保険の補償限度 地震保険で支払われる保険金には、法律に基づいた独自のルールがあります。 まず、設定できる保険金額は、主契約である火災保険の30%〜50%(建物は最大5,000万円、家財は最大1,000万円)と決められています。つまり、最大でも火災保険の半分までしか補償されません。 また、実際の支払額は以下の4つの損害区分に応じて機械的に決まります。 損害の区分 支払われる保険金(契約金額に対して) 全損 100% 大半損 60% 小半損 30% 一部損 5% このように、地震保険だけでは建物の再建費用や住宅ローンの完済には不足するケースが多いため、不足分をどう補うかが重要になります。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 地震保険の不足分をカバーする手段 地震保険の不足分をカバーする手段は、大きく2つに分けられます。ひとつは既存の地震保険に「特約」として上乗せする方法、もう一つは「単独」で加入できる保険を利用する方法です。 これらは、保険金の支払い基準によって以下の3つのタイプに分類できます。特に、記事前半で解説した「罹災証明書」の判定結果がそのまま支払いの根拠となるタイプがある点は知っておくとよいでしょう。 商品タイプ(分類) 支払いの基準 罹災証明書 特徴 上乗せ特約(損保会社の特約など) 保険会社の損害調査 不要 地震保険に上乗せする特約。保険会社の査定結果に連動して支払われる。 震度連動型 観測された震度 不要 地震の震度に応じて、定額の保険金が支払われるため、受け取りが速い。 罹災証明書連動型 罹災証明書の認定 必要 保険会社の調査とは異なる、行政の被害認定に基づいて保険金が支払われる。 出典)主要な損害保険会社および少額短期保険会社の商品概要を基に筆者作成 最適な備えの選び方 重視するポイントによって、選ぶべき備えは変わります。 「とにかく手続きを簡単に、早く現金が欲しい」 保険会社の調査や自治体の判定を待つ必要がない「震度連動型」が適しています。 「マンション共用部や、内装・設備の被害までしっかりカバーしたい」 「罹災証明書連動型」の組み合わせがおすすめです。 地震保険の査定基準と、罹災証明書の認定基準は異なります。そのため、地震保険では「対象外」や「一部損」となった場合でも、自治体の調査では生活への支障が考慮され「半壊」以上と判定されるケースもあります。 このように、「異なる2つの査定基準」を持つことで、認定のズレによる「もらいそびれ」のリスクをカバーできる点が最大のメリットです。 まとめ 罹災証明書は、公的支援を受けるために不可欠な書類ですが、地震保険の請求には原則として不要です。最後に、この記事の重要なポイントを振り返りましょう。 項目 重要なポイント 役割の違い 罹災証明書は「公的支援」のため、地震保険は「保険金支払い」のために、それぞれ異なる基準で調査が行われます。 査定範囲のズレ 地震保険は「骨組み(主要構造部)」のみを査定しますが、罹災証明書は「家全体(内装・設備含む)」を判定するため、結果に差が出ることがあります。 写真撮影の重要性 正確な被害認定を受けるには、片付けや修理を始める前に、建物の全景と損壊箇所のアップを必ず撮影して保存してください。 生活再建への備え 地震保険の補償は火災保険の最大50%です。不足分を補うために、罹災判定と連動する民間保険などで備えを強化しましょう。 地震などの大規模災害が発生した際、住宅ローンだけが残り、再建資金が足りないという事態は避けなければなりません。万が一の際、自分や家族の生活をどう守るのか。今のうちに地震保険の契約内容を確認し、「上乗せの備え」を整えておくことが、安心への第一歩となります。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 保険料は月々1,210円※から ※栃木・マンション・保険金額300万円タイプの場合です。 SBIリスタ少短のWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。 まずは、最新の機構債と市場動向から2026年2月の【フラット35】金利予想を以下のように分析しました。 【2026年2月 フラット35金利予想】 予想:2.18%~2.28% 傾向:前月比+0.10%~+0.20% の上昇 要因:新発10年国債利回りの急上昇(2.27%へ到達) 前回の記事(【フラット35】日銀利上げ直後の2026年1月金利は2.08%に決定|公認会計士の予測と機構債分析!)では、【フラット35】の2026年1月金利を1.99%~2.04%と予想し、結果は2.08%となりました。 解散総選挙後を織り込んで、新発10年国債利回りが急上昇しています。積極財政・赤字国債増発への警戒から国債売りが出ているという見方です。新発10年国債利回りが上がれば、固定金利タイプの住宅ローンは上がります。【フラット35】も例外ではありません。 この記事では、急変する市場の中で「なぜこの予想になるのか」、その根拠となる国債・機構債の動きと、私たち借り手にとって重要な「逆ザヤ(機構による金利抑制)」の現状について解説します。 2026年2月の【フラット35】金利は2.26% に決定しました(更新日:2026年2月2日)。 【フラット35】2026年1月金利予想の結果と検証 2026年1月の金利は2.08%に決定 2026年1月の【フラット35】金利は2.08%に決定し、12月下旬での予想(1.99%~2.04%)を上回る結果となりました。 背景には、1月は新発10年国債利回りが0.15ポイント上昇し、機構債の表面利率も0.15ポイント上昇したことがあります。これに対し、【フラット35】の上昇はある程度抑えられましたが、予想レンジを超える上げ幅となりました。 なお、【フラット35】の金利は、以下の簡易式で説明できます。 ・予測ロジック(簡易式) 予測金利 ≒新発10年国債利回り + ローンチスプレッド – 調整幅(機構裁量) 金利上昇が抑えられた要因(拡大する逆ザヤ) 予想以上に金利が上昇したとはいえ、市場金利の上昇幅に比べれば【フラット35】の上昇は抑制されています。これを支えているのは、過去連続8か月にわたって【フラット35】が機構債の表面利率を下回っている、いわゆる「逆ザヤ」現象です。 昨年6月に初めて0.05ポイントの逆ザヤを目の当たりにしたときは驚いたものですが、今年の1月ではその幅が0.37ポイントまで拡大しています。現在は住宅金融支援機構が利益を犠牲にして、どこまでこの「逆ザヤ」を容認して金利を抑え込むかが予想の核となっています。 逆ザヤの推移(機構債 vs フラット35) 年月 機構債表面利率(機構債発表日) フラット35金利 金利差(逆ザヤ) 2025年6月1.94%(5月22日)1.89%-0.05ポイント 2025年7月1.88%(6月20日)1.84%-0.04ポイント 2025年8月2.02%(7月18日)1.87%-0.15ポイント 2025年9月2.08%(8月21日)1.89%-0.19ポイント 2025年10月2.12%(9月19日)1.89%-0.23ポイント 2025年11月2.15%(10月17日)1.90%-0.25ポイント 2025年12月2.30%(11月20日)1.97%-0.33ポイント 2026年1月2.45%(12月17日)2.08%-0.37ポイント ※出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※筆者作成 【フラット35】2026年2月金利予想 1月22日・23日の日銀会合では政策金利据え置きが決定されましたが、植田総裁は最近の新発10年国債利回りの動向について「かなり速いスピードで上昇している」との認識を示しました。 実際、2026年2月に向けての市場動向を見ると、新発10年国債利回りは1.94%から2.27%へ、0.33ポイントの大幅上昇となりました。これに伴い、機構債の表面利率も2.45%から2.78%へと、同じく0.33ポイント上昇しています。市場金利通りに計算すれば、2月の【フラット35】は2.40%を超えてくる水準です。しかし、今回は急激な変動を避けるための政策的配慮が働き、上昇幅は一定程度抑えられると見込みます。 これまでの機構債の表面利率や新発10年国債利回りの推移を踏まえた、【フラット35】の金利予想は以下のとおりです。 【フラット35】金利推移と2026年2月予想 2025年11月 2025年12月 2026年1月 2026年2月千日太郎の予想 【フラット35】の金利(※) 1.90% 1.97% 2.08% 2.18%~2.28%※2/2発表の金利は2.26%でした ※出典)住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」 シナリオ①:2.18%「激変緩和」 下限の2.18%は、機構による「激変緩和措置」が最大限に発揮されるシナリオです。10年国債利回りの急上昇に対し、その上昇分をそのまま住宅ローン金利に転嫁すれば、住宅市場への悪影響は避けられません。 日銀総裁も金利上昇スピードをけん制している局面であり、住宅金融支援機構がさらに逆ザヤ幅を拡大させてでも、金利上昇を0.1%程度に抑え込む(2.08%→2.18%)という読みです。 シナリオ②:2.28%「上昇圧力の反映」 上限の2.28%は、市場金利の上昇圧力を一定程度反映せざるを得ないシナリオです。 2月機構債が決まった時点の新発10年国債利回りは2.27%まで上昇しています。 これまで【フラット35】の金利が新発10年国債利回りを下回ったことはありません。そのため、いくら政策的に金利を抑えるとしても、この「新発10年国債利回り(2.27%)」よりは低くできないのではないか?という読みです。 機構債の表面利率・新発10年国債利回り・ローンチスプレッドの推移 主要データ(2026年1月22日時点) 機構債発表日 2025年10月17日 2025年11月20日 2025年12月17日 2026年1月22日 機構債の表面利率(※1) 2.15% 2.30% 2.45% 2.78% 新発10年国債利回り(※2) 1.64% 1.79% 1.94% 2.27% ローンチスプレッド(※1) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) ※1 出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※2 10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。 まとめ 昨年の利上げをきっかけに新発10年国債利回りは大幅に上昇し、さらに解散総選挙後の積極財政による国債増発を警戒した金利上昇に拍車がかかっています。 日銀は1月会合で金利を据え置きましたが、植田総裁は今後も利上げ路線を継続する意向を示しており、住宅ローンの変動金利も固定金利も上昇基調が続く公算が大きいと言えます。 民間銀行は住宅ローンの金利を上げざるを得ない中、【フラット35】については独自の緩和措置により、急激な上昇はある程度抑えられるとみていますが、早めの資金計画や仮審査の申し込みなど、金利上昇リスクへの備えを進めておくことをお勧めします。 ※この記事は2026年1月22日時点の公開情報に基づき、筆者の個人的な見解として執筆したものです。将来の金利動向を保証するものではありません。最終的な借り入れや投資の判断は、ご自身の責任において行ってください。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 千日太郎(Sennichi Taro) 公認会計士としての専門知識を活かし、YouTubeなどを通じて住宅ローンの仕組みや金利動向についての情報を発信。住宅購入を検討する人に向けた実務的な内容を中心に、金融に関する知識をわかりやすく解説している。 著書『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』では、住宅ローンの選び方や返済計画に関する基本的な考え方を丁寧に紹介しており、実用的な入門書として一定の評価を得ている。 住宅ローンに関する独自の視点や分析は、利用者や一部の業界関係者からも注目されており、継続的に情報提供を行っている点が特徴。
住宅ローンを組んだ後に、転職や独立、あるいは勤務先の倒産などで退職の機会が訪れることは誰にでも起こり得ます。そんなとき、「退職したことを銀行に連絡すべきか」「もし連絡したら、一括返済を求められるのではないか」という不安に思うかもしれません。 結論から申し上げると、退職したことだけを理由に、住宅ローンの一括返済を求められたり、契約を解除されたりすることはありません。 ただし、金融機関への報告義務や、退職後に見落としがちなリスクについては正しく理解しておく必要があります。 この記事では、住宅ローン返済中に退職した場合の金融機関への連絡の要否、退職後のリスク、そして万が一返済が厳しくなった際の具体的な解決策を解説します。 住宅ローン返済中の退職・転職、金融機関への連絡は「必須」 住宅ローン返済中に退職や転職をした場合、金融機関への連絡は「必須」です。 住宅ローンの契約時、多くの方が目にする「金銭消費貸借契約証書(または契約約款など)」には、氏名・住所・勤務先などに変更があった際には速やかに届け出る旨の条項が記載されています。退職・転職はこれに該当するため、報告は契約上の義務となります。 なぜ金融機関への報告が必要なのか 金融機関は、債務者(借り手)の返済能力を常に把握しておく必要があります。退職して収入が途切れたり、転職して給与水準が変わったりすることは、返済の継続性に影響を与える重要な変化だからです。 「連絡すると何かペナルティがあるのでは?」と不安になるかもしれませんが、返済を遅延なく続けられるのであれば、報告を理由に金利が引き上げられたり、一括返済を迫られたりすることはまずありません。 連絡を怠った場合のリスク もし報告をせずに、後から金融機関に退職や転職が発覚した場合、以下のようなリスクが生じます。 信頼関係の悪化 万が一、将来的に返済の相談(返済期間の延長など)が必要になった際、「不誠実な利用者」とみなされ、柔軟な対応を受けにくくなる可能性があります。 緊急時の連絡不通 返済遅延などの緊急時に、自宅や携帯電話で連絡がつかない場合、登録された勤務先に連絡が入ることがあります。その際に退職しており連絡が取れないと、所在不明とみなされ、銀行の不信感を招く原因になります。 後のトラブルを避けるためにも、退職や転職先が決まり次第、速やかに手続きを行うのが安心です。 退職しても一括返済を求められない2つの理由 住宅ローン契約中に退職しても、即座に一括返済を求められないのには、明確な理由があります。 物件(不動産)という「担保」があるから 住宅ローンは、購入した物件を「担保」として金融機関が資金を貸し出す仕組みです。万が一返済が滞った場合でも、金融機関はその物件に設定された抵当権により、優先的に資金を回収することができます。 そのため、借り手が退職したこと自体よりも、「担保価値がある状態で、毎月の返済が滞りなく行われているか」が重視されます。 返済能力の判定は「総合的」に行われるから 勤務先や年収などの審査時の属性は重要ですが、一度融資が実行された後は、契約者が「返済を続けている実績」そのものが強い信用となります。 一時的に退職しても、十分な貯蓄があったり、すぐに次の職が決まっていたりして返済が継続できるのであれば、金融機関があえて契約を打ち切るメリットは少ないのです。 【ケース別】退職が住宅ローンに与える影響と注意点 退職の理由によって、その後の返済計画で注意すべきポイントが異なります。 転職の場合:収入の増減に合わせた調整 転職で年収が上がる場合は、これまで通り返済を続ければ問題ありません。一方、年収が下がる場合は、返済比率(年収に対する年間返済額の割合)が高まり、家計を圧迫するリスクがあります。 資金に余裕があるなら「返済額軽減型」の繰上返済を行い、毎月の負担を減らすのも一つの手です。 独立・起業の場合:数年間の「信用力低下」を覚悟する 独立直後は、会社員時代に比べて収入が不安定とみなされ、金融機関からの信用力が一時的に低下します。 特に注意したいのが、独立後しばらくは他のローンへの借り換えや追加融資が極めて難しくなる点です。 独立を考えている場合は、会社員という「信用」があるうちに、現在のローンの条件見直しや借り換えを検討しておくとよいでしょう。 定年退職の場合:退職金の使い道は慎重に 定年退職後は、給与収入がなくなるため、退職金で一括完済を目指す方が多いでしょう。しかし、手元資金をすべて完済に充ててしまうと、その後の老後資金や急な医療費が不足する恐れがあります。 完済するか、あえてローンを残して手元に現金を置くか、ライフプランに基づいた慎重な判断が求められます。 返済が厳しくなったときの3つの解決策 退職によって予定していた収入が得られず、返済が苦しくなったとしても、決して放置してはいけません。早めに対処すれば、自宅を手放さずに済む可能性も十分にあります。 金融機関に返済条件の変更を相談する まずは、現在ローンを借りている金融機関の窓口に相談しましょう。「条件変更(リスケジュール)」が認められれば、一定期間は利息のみの支払いにしたり、返済期間を延長して月々の支払額を減らしたりできる場合があります。 相談時には、「なぜ現在の返済が困難になっているのか(退職の経緯や家計の状況)」に加えて、「いつまでに再就職し、いくらであれば無理なく払い続けられるのか(今後の収支見通し)」を明確に伝えましょう。 他のローンへの借り換えや一時的な追加ローンの利用を検討する 現在のローンよりも低金利な住宅ローンへ借り換えることができれば、毎月の返済額を軽減できる可能性があります。ただし、銀行の住宅ローン審査では「勤続年数」や「安定した収入」が厳しくチェックされるため、退職・転職直後は審査に通りにくいという現実があります。 もし、転職後に年収が下がった、あるいは独立して銀行の住宅ローンが組めない状況になった場合に、資金繰りを改善したいのであれば、短期間のつなぎ資金の借り入れや、複数のローンを一本化する借り換えとして「不動産担保ローン」も選択肢の一つとして検討できます。 住宅ローンに比べると金利は高くなる傾向があり、返済期間によっては総返済額が増える場合があります。 しかし、与信だけでなく不動産の価値を加味して審査が行われるため、銀行で断られた場合でも、生活を立て直す手段として活用できる場合があります。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 売却やリースバックで住居費を見直す 返済の目途が立たない場合には、これ以上の借入を増やすのではなく、家を手放してローンを整理するという選択肢もあります。 不動産仲介による売却・任意売却 家を売却した代金でローンを完済する方法です。売却価格がローン残高を下回る場合でも、金融機関の同意を得て「任意売却」を行えば、競売よりも高い価格で売却できる可能性があり、結果として残債を抑えて、より有利な条件で再出発できることがあります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 リースバック 「家を売却してローンを完済したいが、引越しはしたくない」という場合に有効な手段です。自宅をリースバック運営会社に売却し、その後は賃貸として同じ家に住み続けることができます。まとまった売却代金を手にしながら、住環境を変えずに生活を立て直せるのが大きなメリットです。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 融資実行前の退職は要注意 ここまで「返済中の退職」について解説してきましたが、最も注意しなければならないのが、「住宅ローンの本審査に通過した後、融資が実行される(家のお金が振り込まれる)までの退職」です。 なぜ融資が取り消されるのか 住宅ローンの審査は、あくまで「現在の勤務先で、現在の年収が継続すること」を前提に行われています。融資実行前に退職してしまうと、審査の前提条件が崩れたとみなされ、再審査が必要になります。 特に、転職直後で試用期間中であったり、独立直後で収入実績がなかったりする場合、返済能力が不安定と判断され、結果的に「否決(融資不可)」となるケースが少なくありません。 やむを得ず退職・転職する場合 どうしても融資実行前に環境が変わる場合は、隠さずに早めに金融機関へ相談しましょう。事後報告になると「虚偽の申告」とみなされ、契約解除となるリスクもありますが、事前に相談することで、転職先の条件(同業種でのキャリアアップなど)によっては再審査に通る可能性もあります。 関連記事はこちら住宅ローンの本審査後に転職したらどうなる?リスクと注意点、対処法を紹介 まとめ 住宅ローンの返済中に退職・転職しても、毎月の返済が滞りなく行われていれば、即座に一括返済を求められたり家を追い出されたりすることはありません。ただし、金融機関への報告は契約上の義務であり、将来の信頼関係にも関わるため、速やかに届け出ることが大切です。 退職によって返済が厳しくなりそうなときは、以下の3つのステップを検討してください。 金融機関への相談 返済期間の延長などの条件変更(リスケジュール)を相談する。 借り換えや追加ローンの検討 低金利な住宅ローンへの借り換えや、不動産担保ローン(一本化など)を活用して、毎月の返済額や資金繰りを改善する。 家を売却して住居費を見直す 任意売却やリースバックなどの方法を用いて家を売却し、売却代金でローンを完済して生活を再建する。 退職は人生の大きな転機です。住まいの不安を1人で抱え込まず、早めに専門家や金融機関へ相談することが、無理のない返済と安定した生活を守るための第一歩となります。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンを滞納したらどうなる?対処法も併せて解説 収入の減少や、まとまった支出の発生で、住宅ローンが払えなくなってしまう人もいるでしょう。住宅ローンを滞納すると、自宅が競売にかけられる恐れがあります。住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、なる...
海外送金を利用する際に多くの人が気になるのは、「送金してから着金までどれくらい時間がかかるのか?」という点です。 銀行・ネット銀行・資金移動業者など、利用するサービスによって海外送金のスピードは大きく異なり、場合によっては数日以上かかることもあります。さらに、着金が遅れると為替レートの変動によって受取額が減るリスクも発生します。 この記事では、海外送金の着金日数の目安をサービス別に比較し、できるだけ速く着金させるための3つの方法や、遅延が起きる仕組みについて詳しく解説します。 海外送金の基本的な仕組みや手数料、安全性については、以下の記事で詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください。 関連記事はこちら海外送金とは?初心者にもわかる仕組み・手数料・安全な方法まとめ 海外送金の着金日数の目安と遅延リスク 海外送金にかかる日数は、利用する金融機関や送金方法によって異なります。ここでは、一般的な銀行送金の目安と、遅延が発生する主な要因を整理します。 銀行の海外送金に必要な日数 銀行窓口やインターネットバンキングを利用した場合、着金までの目安は送金日から 1営業日~6営業日程度です。ただし、これは順調に進んだ場合の目安であり、次のような要因でさらに時間がかかることがあります。 【着金が遅延する要因】 SWIFTでの送金で中継銀行を経由する場合 SWIFTネットワークを利用する送金では、送金元と受取先の間に中継銀行(コルレス銀行)が入る場合があります。経由する銀行が多いほど各銀行での確認や処理が追加されるため、時間がかかる傾向があります。 送金元や送金先銀行などで土日祝日を挟む場合 日本だけでなく、中継国や受取国の休日も影響します。 送金先銀行のシステム処理に時間がかかる場合 現地の銀行システムや事務処理のスピードに依存します。 マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策に基づく確認 送金目的や資金の出所確認に時間がかかることがあります。 関連記事はこちら海外送金の方法はどれが最適?銀行・ネット銀行・資金移動業者の違いと選び方 送金が遅れることによるリスク(為替変動) 送金の遅れは、単に「相手にお金が届かない」という不便さだけでなく、為替変動による損失リスクにも直結します。 為替レートは24時間変動しています。そのため、送金に時間がかかるほど、為替変動の影響を受けやすくなり、その間の円安・円高の動きによっては、受け取れる金額が想定よりも減ってしまう可能性があります。 リスクを回避・軽減するためのポイント こうしたトラブルや損失を防ぐため、以下のポイントを意識し手続きを行いましょう。 為替リスクの回避 送金手続き時点で為替レートが確定するサービス(外貨建て送金や一部の資金移動業者など)を利用することで、送金中のレート変動による受取額の減少を防ぐことができます。 余裕を持ったスケジュール 着金期限(支払期限など)が決まっている場合は、遅延の可能性を考慮し、余裕を持って送金手続きを行うことが重要です。 スピーディな送金手段の検討 「どうしても急ぎで資金を届けたい」という場合は、銀行送金にこだわらず、即日着金に対応した「資金移動業者」の利用を検討するのも有効な手段です。 海外送金のスピード比較|メガバンク・ネット銀行・資金移動業者 できるだけ速やかに海外へ送金したい場合は、サービスごとの着金スピードを把握しておくことが重要です。ここでは、メガバンク・ネット銀行・資金移動業者の送金日数の目安を比較します。 メガバンクの海外送金にかかる日数 メガバンクは信頼性が高い一方、SWIFTネットワークを利用するため、着金までに時間がかかる傾向があります。 金融機関名 送金スピード(着金日) 三井住友銀行 未記載 三菱UFJ銀行 未記載 みずほ銀行 約1週間(受取金融機関の状況による) ※送金国、通貨、経由する中継銀行の数等によって、さらに日数がかかる場合があります。 ※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は各銀行の公式情報をご確認ください。 出典) ・三井住友銀行「海外への送金・海外からの送金・外貨建て送金」 ・MUFG「外国送金」 ・みずほ銀行「外国への送金・受け取り」 ネット銀行の海外送金にかかる日数 ネット銀行はオンラインで手続きできる利便性がありますが、送金スキームはメガバンクと同様にSWIFTを利用するケースが多く、即時での着金は一般的に難しいといえます。 金融機関名 送金スピード(着金日) 楽天銀行 送金日から1営業日~5営業日程度 ソニー銀行 送金実行から3営業日~4営業日以上 住信SBIネット銀行(法人) SWIFT発信日からおおむね1日~3日程度 ※送金国、通貨、経由する中継銀行の数等によって、さらに日数がかかる場合があります。 ※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は各銀行の公式情報をご確認ください。 出典) ・楽天銀行「海外送金」 ・ソニー銀行「ソニー銀行からの外貨送金」 ・住信SBIネット銀行「法人のお客さま 外貨送金・外貨受取サービス」 資金移動業者の海外送金にかかる日数 資金移動業者は、銀行とは異なる独自の送金網を持っています。事前に主要な国や地域の銀行口座に資金をプールしておくことで、利用者から依頼があった際に、国境を越えて資金を移動させることなく、現地の口座から受取人へ直接振り込む仕組みをとっています。 これにより、SWIFT送金で発生するような「中継銀行を経由する時間」を省くことができ、銀行送金よりも早く送金できるのが特徴です。 金融機関名 送金スピード(着金日) Wise(ワイズ) 送金手続きから最短即日~最長5日 Revolut(レボリュート) 送金手続きから最短即日~最長2営業日 PayPal(ペイパル) 即時振替:数分(最長30分)標準振替:約3~6営業日 SBIレミット 送金方法、着金方法、送金先国により変化 ■現金受取の場合 最短:10分/通常:1~3時間程度 ■銀行口座の場合 最短:10分/通常:1~2営業日 ※資金移動業者は、1回あたりの送金上限額(例:100万円など)が設けられている場合があるため、高額送金の際は事前の確認が必要です。 ※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は各事業者の公式情報をご確認ください。 出典) ・wise「公式サイト」 ・Revolut「公式サイト」 ・PayPal「公式サイト」 ・SBIレミット「公式サイト」 海外送金を速くするための3つの方法 少しでも早く相手に資金を届けたい場合、利用者側で意識できるポイントがあります。ここでは、着金スピードを短縮するための3つの方法を紹介します。 週の始めに送金する理由 金融機関の営業日は基本的に平日です。金曜日に送金手続きを行うと、土日を挟むため着金は翌週以降となり、タイムロスが発生します。スムーズな処理を狙うなら、月曜日や火曜日など週の初めに手続きすることでスピード短縮につながる可能性が高まります。 また、海外送金は時差や現地の休日の影響も受けます。送金先の国の祝日も事前に確認しておきましょう。 カットオフタイムに注意する 各金融機関には「カットオフタイム(当日取組受付時限)」が設定されています。これは、その日の処理として受け付ける締め切り時間のことです。この時間を過ぎると、受付は完了しても実際の送金処理は翌営業日に回されます。 例:三井住友銀行の場合、海外送金(外貨建送金)の当日取組受付時限は14時まで(※本記事執筆時点) 日数を短縮したい場合は、午前中の早い時間に手続きを済ませることをおすすめします。 銀行口座を介さない即日着金の方法(ウォレット・現金受取) SWIFTネットワークを利用する銀行送金はどうしても日数がかかりますが、銀行口座を介さないサービスを利用することで、数分~数時間での着金(受け取り)が可能になります。 主な方法として、以下の2つが挙げられます。 ウォレット受取(アカウント間送金) PayPalやWise、Revolutなどの資金移動業者が提供するサービスです。送金人と受取人の双方が同じサービスのアカウントを持っていれば、銀行を介さずに即座に資金移動が完了します。 現金受取(キャッシュピックアップ) 資金移動業者が提携する現地の店舗(取扱店)窓口で、受取人が現金を直接受け取る方法です。銀行口座を持たない相手にも送ることができ、手続き完了から最短数十分程度で受け取れます。 利用時の注意点 これらの方法は非常にスピーディですが、銀行送金に比べて「1回あたりの送金限度額」が低く設定されていることが一般的です。また、現金受取の場合は、多額の現金を店舗から持ち運ぶ際の盗難リスクなども考慮する必要があります。 そのため、少額の仕送りや緊急時の送金など、用途に合わせて使い分けることも一つの方法といえます。 海外送金が遅れているときに確認すべきこと 海外送金は国内送金と異なり、プロセスが複雑で見えにくいため、不安になることも多いでしょう。しかし、「なぜ遅れているのか」の理由や確認すべきポイントを押さえておくことで、目安の日数を超えた場合でも落ち着いて対応できます 。 遅延の原因を確認するポイント 目安の日数を過ぎても着金しない場合、単なる遅れではなく、何らかのトラブルで手続きがストップしている可能性があります。主な原因は以下のとおりです。 厳格なコンプライアンス審査(AML/CFT) マネー・ローンダリング対策やテロ資金供与防止の観点から、送金内容について詳細な審査が行われているケースです。「資金の出所」や「送金目的」を証明する追加資料の提出を求められ、回答するまで送金が保留されている可能性があります。 受取人情報などの入力ミス 受取人の名前(スペル)、口座番号、SWIFTコードなどに誤りがあると、着金できずに資金が銀行間で滞留したり、送金元へ返金(組戻し)されたりする原因になります 。 書類の不備・不足 提出した本人確認書類の有効期限切れや、インボイス(請求書)などの必須書類が不足しており、手続き自体が完了していないケースです。 着金までの目安日数を把握する方法 送金時に正確な着金日数を把握するのは難しいですが、次の点を踏まえておおよその目安をつけることは可能です。 金融機関の「目安日数」を確認する 各サービスの公式サイト等に記載されている標準的な所要日数を確認しましょう。 各国の休日を考慮する 日本だけでなく、送金先の国や、通貨の中心市場(米ドルなら米国など)が祝日の場合は、処理が翌営業日に持ち越されます。 なお、目安の日数を大幅に超える場合は、何かしらのトラブルが発生している場合があります。万が一に備え、利用した金融機関(送金サービス)のカスタマーサポートや、受取銀行の連絡先を事前に控えておくと安心です。 送金が失敗した場合の対応と組戻しの注意点 受取人情報の誤り(口座番号違い、スペルミス)などで送金が完了しなかった場合、資金は送金元の口座へ返金されます。これを「組戻し」といいます。 【組戻しの注意点】 手数料がかかる 返金手続き自体に、数千円程度の手数料がかかることが一般的です。 為替差損のリスク 外貨両替を伴う送金の場合、送金時と返金時で為替レートが異なるため、手元に戻ってくる金額が送金時より減ってしまう(元本割れする)可能性があります。 こうしたトラブルを防ぐため、送金前には以下の項目を入念にチェックしましょう。 送金前に確認すべき項目 確認項目 注意点 受取人情報 氏名、電話番号、住所(米国は州名、中国は省名を含む) 受取銀行情報 SWIFTコード、銀行名、支店名、口座番号 送金目的 具体的に英語で記載(例:Living expenses, Tuition fees) まとめ 海外送金の着金スピードは、利用するサービス(銀行・ネット銀行・資金移動業者)と送金のタイミングによって大きく変わります。 送金が遅れると、その間の為替レートが変動し、受取額が減ってしまうリスクも高まります。為替リスクの回避のためには、送金手続き時点で為替レートが確定するサービスを利用すること、また、少しでも着金を早めるためには、「週の初めに送金する」「カットオフタイムに注意する」といった工夫や、急ぎの場合には「ウォレット受取」や「現金受取」を活用するといった手段が有効です。 正しい知識と対策をもって、賢く安全に海外送金を利用しましょう。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。 ※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
地震による被害に備えるため、建物だけでなく家財補償も重要です。しかし、地震保険で家財がどこまで守られるのか、補償範囲や保険金額の仕組みを正しく理解していないと、「保険金が支払われない」という事態になりかねません。 この記事では、地震保険で「実際にいくら保険金が支払われるのか(査定基準)」や、「テレビが1台壊れただけでも補償対象になるのか」といった、よくある疑問について解説します。地震保険の基本的な仕組みや火災保険との違いについては、以下の記事をご参考にしてください。 関連記事はこちら地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 地震保険で家財は補償される?基本の仕組みと補償範囲 地震保険は単独では契約できず、必ず火災保険とセットで加入する仕組みです。契約の形は次の3パターンから選べます。 建物のみ :建物だけを補償 家財のみ :家財だけを補償 建物+家財:建物・家財を補償 ここで注意したいのは、建物の地震保険に加入していても家財は自動的に補償されないという点です。まずは、どのようなものが「家財」として補償対象になるのか確認しましょう。 地震保険で補償される家財の具体例 地震保険で補償される家財は、居住用建物に収容されている生活用動産(普段の生活に使う動かせるもの)です。具体的には次のようなものが対象になります。 家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコンなど) 家具(ベッド、ソファ、タンス、食器棚など) 衣類・寝具 食器・調理器具 これらは日常生活に欠かせない「動かせるもの」です。逆に、キッチンや浴槽、備え付けのクローゼットなどの動かせない設備は「建物」の一部として扱われ、家財補償の対象外となります。 地震保険で補償されない家財と対象外になる理由 地震保険で補償されない家財には、次のようなものがあります。 自動車・バイク(総排気量125cc以下の原動機付自転車を除く) 現金や通貨類(小切手、株券、商品券など) 印紙・切手 高額な貴金属・宝石・骨とう品(1個または1組で30万円超) データやソフトウエア(パソコン内部のデータなど) これらが対象外となる理由は、価値の評価が難しいことや、地震による損害の確認が困難なためです。 特に注意が必要なのは「自動車」です。通常の自動車保険(車両保険)でも、地震・噴火・津波による損害は原則として補償されません。車を守るには、自動車保険に「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」などの特約を付帯する必要があります。 地震保険の家財補償はいくら?損害認定の仕組み 「家財が壊れたら修理代が出る」と思っている方もいるかもしれませんが、地震保険は実損払い(修理費の支払い)ではありません。保険金は、損害の程度に応じて定められた割合で支払われる仕組みです。 地震保険で補償される家財の支払基準 地震保険では、保険の対象である家財全体の時価に対する損害額の割合に応じて、次の4段階で認定されます。 損害の程度 認定基準(家財全体の時価に対する損害額) 支払われる保険金 全損 80%以上 地震保険金額の100%(時価額が限度) 大半損 60%~80%未満 地震保険金額の60%(時価額の60%が限度) 小半損 30%~60%未満 地震保険金額の30%(時価額の30%が限度) 一部損 10%~30%未満 地震保険金額の5%(時価額の5%が限度) ※平成29年1月1日以降保険始期の地震保険契約の場合 出典)財務省「地震保険制度の概要」をもとに筆者作成 重要なのは、「家財全体の中でどれくらいの割合が被害を受けたか」で判断されるという点です。食器や家具、家電などをカテゴリーごとに分類し、それぞれの被害状況をポイント化して算出します。 「1点だけ壊れた」では保険金が出ない理由と仕組み 地震保険は損害割合で認定されるため、家財の場合は1つだけ壊れても基準に達しない場合があります。例えば、地震により数十万円する大型テレビが壊れても、他の家財が無事なら損害割合が10%未満となり、「一部損」にも該当せず保険金は支払われません。「1点壊れたら補償される」という誤解に注意しましょう。 保険金が支払われないその他のケースと注意点 損害認定の基準以外にも、次のようなケースでは補償対象外となります。 地震発生日の翌日から10日経過後に生じた損害 時間が経過すると、地震との因果関係の証明が難しくなるためです。 紛失や盗難による損害 地震の混乱に乗じた盗難や、避難中の紛失は補償されません。 家財にも地震保険は必要?加入判断のポイント 建物への地震保険だけでなく、家財も補償対象にすべきかどうかは、次のポイントで判断しましょう。 生活再建に必要な自己資金を備えているか 被災後の生活では、避難費用や仮住まいの確保に加え、冷蔵庫や洗濯機、衣類などの買い直しに数十万円~百万円単位の出費が発生することもあります。これらの費用を貯蓄で賄えない場合は、家財を対象とした地震保険加入を検討しましょう。 高額な家財を所有しているか 大型家電や高級家具など、生活を構成する家財の総額が高い世帯ほど、被災時の経済的ダメージは大きくなります。家財の評価額(時価)を試算し、失った場合のインパクトを把握することが重要です。 地震保険に加入したらいくら受け取れるか 地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲で設定されます(家財の上限は1,000万円)。例えば、家財の再調達価額が1,000万円の場合、火災・地震保険金額は以下のようになります。 火災保険金額:1,000万円 地震保険金額:最大500万円(50%設定の場合) つまり、地震保険だけでは生活を完全に元通りにすることはできません。地震などが起きた場合に「全額は出ないが、当面の生活再建費として数百万円が下りれば助かるかどうか」という視点で判断しましょう。 関連記事はこちら家財保険とは?補償内容と必要性を解説 まとめ 地震保険の家財補償は、被災後の生活を立て直すための重要な資金源になります。しかし、「自動車や現金は対象外」「1点だけ壊れても保険金が出ない場合がある」など、仕組みを正しく理解していないと期待した補償が受けられないこともあります。 加入を検討する際は、次の3つの視点で判断しましょう。 自己資金で生活再建が可能か 高額な家財を所有しているか 保険金額の上限を把握したうえで、生活再建にその資金が必要か 地震保険だけで「元通りの生活」を完全に取り戻すことはできませんが、数百万円の補償があることで生活再建の負担を大きく減らせる可能性があります。ご自身の家財の量や貯蓄額を確認し、必要な備えを検討してみてください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...
海外送金をする際に気になるのが「いくらまで送れるのか」「税金はかかるのか」という点です。送金額が大きくなると、外為法や金融機関のルールに加えて、贈与税や所得税などの税制上の対応が必要になる場合があります。また、税務署から問い合わせを受けるケースもあるため、正しい知識を持って準備しておくことが重要です。 この記事では、海外送金の限度額や税金の仕組み、非課税となる条件、税務署への対応方法までわかりやすく解説します。さらに、海外送金の基本から仕組み、手数料、各サービスの比較まで網羅した記事もあわせて参考にしてください。 関連記事はこちら海外送金とは?初心者にもわかる仕組み・手数料・安全な方法まとめ 海外送金の限度額とは? 海外送金を行う際には、送金できる金額に制限があります。これは、外為法や金融機関が定めるルールによって決まっており、送金目的や利用するサービスによっても異なります。これらの制限は、マネー・ローンダリング防止やテロ資金供与防止、税務調査の円滑化を目的としています。 海外送金はいくらまで送れる?外為法と金融機関のルール 日本では、海外送金に関して外為法(外国為替及び外国貿易法)が適用されます。外為法第55条では、日本から海外の銀行口座に送金する場合、送金額が3,000万円を超えると、日本銀行(財務大臣)への事後報告が必要と定められています。これは、国が国際収支を正確に把握するための統計上の手続きであり、送金自体が制限されるわけではありません。 さらに、金融機関や送金サービス事業者は、マネー・ローンダリング防止や不正取引防止の観点から、独自に送金限度額を設定しています。例えば、ネット銀行や資金移動業者では、1回あたり数百万円までとするケースが多く、銀行窓口ではより高額の送金が可能な場合もあります。 出典) ・e-gov 法令検索「外国為替及び外国貿易法」 ・金融庁「金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について」 送金目的別の限度額の違い(仕送り・投資・法人送金) 送金目的によっても限度額は変わります。一般的な仕送りや留学費用の場合、金融機関が設定する上限額の範囲内であれば問題ありません。しかし、投資や法人送金など高額な資金移動を伴う場合は、追加の本人確認や契約書の提出が求められることがあります。 また、制裁対象国への送金や、特定の取引に該当する場合は、送金自体が制限されるケースもあるため、事前に金融機関へ確認することが重要です。 高額送金時の注意点と報告義務(税務署通知・審査) 高額送金を行う場合、外為法による報告義務だけでなく、税務署への通知にも注意が必要です。100万円を超える海外送金については、金融機関から税務署へ「国外送金等調書」が提出される仕組みになっています。そのため、送金後に税務署から問い合わせが来ることもあります。 さらに、金融機関は高額送金に対して独自の審査を行うため、送金目的や資金の出所を証明する書類が必要になる場合があります。スムーズな送金のためには、事前に金融機関へ確認し、必要書類を準備しておくことが安心です。 海外送金と税金の関係 海外送金そのものに税金がかかるわけではありません。しかし、送金の目的や金額によっては、贈与税や所得税などの課税対象になる場合があります。ここでは、一般情報として、どのようなケースで税金が発生するのか、また非課税となるのかについて解説します。 海外送金にかかる贈与税(非課税となるケースと必要な手続き) 海外に住む家族への送金であっても、原則として個人から贈与として財産を受け取る場合には贈与税の対象となります。ただし、生活費や教育費など特定の目的であれば非課税となる特例があります。ここでは基本的な課税ルールと、非課税措置を正しく受けるためのポイントを解説します。 出典) ・国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」 ・国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」 贈与税の基本(年間110万円の基礎控除) 贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から、基礎控除額110万円を差し引いた残額に対して課税されます。 例えば、年間で200万円を送金した場合、基礎控除額を超えた「90万円」が課税対象となります。 生活費・教育費が非課税となる条件 親子や夫婦などの扶養義務者から送られる「生活費や教育費」は、贈与税の課税対象にはなりません。国税庁の規定では、非課税となる「生活費」や「教育費」について、以下のように定められています。 生活費 その人(受贈者)が通常の日常生活を営むのに必要な費用(治療費、養育費など) 教育費 その人(受贈者)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費など 預金や投資への流用は課税対象となる点に注意 名目が「生活費」であっても、使い切れずに余った資金を「預金(貯蓄)」したり、株式や不動産の購入資金に充てたりした場合は、非課税の対象外(贈与)となります。非課税措置はあくまで「生活や教育のために消費した資金」に限られます。 海外への報酬・使用料支払い時に源泉徴収が必要なケース 居住者(日本の個人や法人)が、海外に住む人(非居住者)や外国法人に対して、日本国内で行った業務への報酬や、工業所有権等の使用料などを支払う場合、支払う側で所得税等の源泉徴収が必要となることがあります。 本来、税金を納めるのは「報酬を受け取る側(海外の相手)」ですが、日本の税法上、海外にいる相手から税金を徴収するのは困難です。そのため、「支払う側(日本国内の送金者)」が、支払金額からあらかじめ税金を差し引いて(源泉徴収して)、代わりに日本の税務署へ納付する義務が課されています。 具体的には、相手に対して「税金分を差し引いた金額」を送金し、差し引いた税金は支払った月の翌月10日(場合によっては翌月末日)までに税務署へ納付します。 ただし、すべての送金が課税対象ではなく、「国内源泉所得(日本国内で行った業務への報酬や、日本からの不動産賃貸料など)」に該当する場合に限られます。 出典) ・国税庁「非居住者等に対する源泉徴収のしくみ」 ・国税庁「No.2878 国内源泉所得の範囲」 税務署への対応と必要書類 海外送金を行った後、税務署から問い合わせが来るケースがあります。特に高額送金や贈与税・所得税の対象となる場合は、申告や書類提出が必要です。この章では、税務署への対応方法と必要書類、税務調査への備え方を解説します。 税務署への申告が必要なケースと罰則 海外送金で贈与税や所得税の課税対象となる場合、申告期限までに適切な手続きを行う必要があります。贈与税の場合、贈与を受けた人が翌年の2月1日から3月15日までに申告・納税を行います。 申告を怠った場合には、本来の税金に加え、以下の罰則(付帯税)が課される可能性があります。 延滞税(利息相当分) 法定納期限の翌日から完納する日までの日数に応じて課されます。 なお、納期限の翌日から2か月を経過する日以後は、それまでの期間に比べて高い割合の税率が適用されます。 加算税 申告漏れや無申告に対して課されます(過少申告加算税、無申告加算税など)。 重加算税 事実を隠ぺい・仮装するなど悪質な場合、上記の加算税に代わって35%~40%の(過去に無申告加算税が課されたことがある場合などは最大50%)の高い税率が適用されます。 不安な場合は、税務署や税理士に早めに相談することが重要です。 出典) ・国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」 ・国税庁「延滞税の計算方法」 ・国税庁「無申告事案における重加算税の賦課要件」 必要書類の一覧 税務署に申告や説明を行う際には、送金目的や送金の事実を示す書類を準備しておくと安心です。代表的な書類は以下のとおりです。 戸籍謄本(家族関係の証明) 送金明細書・通帳 契約書(投資や法人送金の場合) 領収書や請求書(教育費・生活費など) 送金依頼書の控え これらの書類を保管しておくことで、税務署からの問い合わせにもスムーズに対応できます。 税務調査への備え方 海外送金額が100万円を超える場合、金融機関から税務署に「国外送金等調書」が提出されるため、税務署から問い合わせが来る可能性があります。100万円以下であっても、税務署が必要と判断すれば調査が行われることがあります。 こうした税務調査に備えるためには、いくつかの準備をしておくことが望ましいです。まず、送金目的や金額を証明できる書類を整理し、保管しておくことが重要です。次に、疑問点や不安がある場合は、税務署や税理士に早めに相談しておくと安心です。さらに、国税庁が設けている相談窓口を活用することで、正しい情報を得ることができます。 事前にこうした準備を進めておけば、税務署から問い合わせや調査があった際にも、落ち着いて対応できるでしょう。 海外送金における税金のよくある誤解と注意点 海外送金に関しては、税金の取り扱いについて誤解されやすいポイントがあります。ここでは、特に多い3つの誤解と注意点を整理します。 「仕送りは非課税」は本当? 上記「海外送金と税金の関係」でも述べたように、海外に住む家族への仕送りは、生活費や教育費に充てられるものであれば、贈与税の課税対象にはなりません。しかし、すべての仕送りが無条件で非課税になるわけではありません。通常の日常生活に必要と認められる範囲を超える高額な送金や貯蓄目的の送金は、贈与税の対象となる可能性があります。 非課税であることを証明するために、用途を裏付ける証拠(領収書・振込明細・契約書など)を保管して備えておくと安心です。 「海外送金=脱税」ではない? 海外送金を行うことや受け取ること自体は脱税ではありません。ただし、課税対象となるにもかかわらず申告を怠った場合は、脱税と見なされることがあります。具体的には、所得の隠蔽や贈与税の無申告、相続税の申告漏れなどが該当します。 正しい知識を持ち、必要な書類を準備し、期限内に申告を行えば問題ありません。不安な場合は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。 税務署から問い合わせが来たらどうする? 税務署から問い合わせがあった場合、慌てる必要はありません。送金目的や送金額を証明できる書類を準備しておけば、冷静に対応できます。必要な場合は、税務署の指示に従って申告を行い、期限内に納税を済ませましょう。 事前に準備をしておくことで、税務署からの問い合わせや調査にもスムーズに対応できます。 まとめ 海外送金には、外為法や金融機関のルールによる限度額があり、さらに送金目的や金額によっては贈与税や所得税が課税される場合があります。特に高額送金や法人送金では、税務署への申告や必要書類の準備が欠かせません。 扶養義務者からの仕送りや教育費など通常の日常生活に必要と認められる範囲の送金であれば非課税となりますが、証明書類をきちんと保管しておくことが安心につながります。税務署から問い合わせがあった場合も、慌てずに対応できるよう準備しておきましょう。 不安な場合は、国税庁の相談窓口や税理士に早めに相談することをおすすめします。正しい知識と準備があれば、海外送金は安全に行えます。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 安心・便利な海外送金ならSBIレミット SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。 ※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。