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「住宅ローン」の記事一覧

  • 外構工事費用は住宅ローンに組み込める?仕組みと注意点を解説

    外構工事費用は住宅ローンに組み込める?仕組みと注意点を解説

    新築住宅の購入にあわせて、門扉や塀、駐車場などの外構工事を検討する方は少なくありません。ところが、外構工事費用は数十万円〜数百万円と高額になることもあり、「住宅ローンに組み込めるのか?」と悩む人も多いのではないでしょうか。 この記事では、外構工事費用を住宅ローンに含めるための条件や注意点、リフォームローンとの違いまでわかりやすく解説します。 外構工事とは 外構工事とは、住宅の建物本体以外に施す工事のことで、一般的には「エクステリア工事」とも呼ばれます。門扉や塀、駐車場、玄関アプローチなど、住まいの外回りを整える工事が対象となり、住宅の機能性・安全性・美観を高める重要な役割を担います。 代表的な外構工事には、以下のようなものがあります。 駐車場の舗装やカーポートの設置 門扉・塀・フェンスの設置 玄関アプローチの整備 ウッドデッキや庭の造園 外構工事費用は、工事の内容や範囲、デザイン、使用する素材などに応じて変動します。費用を正確に把握するには、複数の業者から見積もりをとることが重要です。 特に新築住宅の場合、外構工事の検討タイミングによって予算や工事がスムーズに進むかが左右されます。物件の引き渡し直前では打ち合わせの時間が限られるため、建物工事の着工前後に外構も含めて早めに相談することが理想的です。これにより、予算の確保や工事スケジュールの調整がしやすくなり、後々のトラブルも防ぎやすくなります。 外構工事費用は住宅ローンに組み込める? 外構工事費用を住宅ローンに組み込めるかどうかは、依頼方法と金融機関の取り扱い方針によって異なります。以下の2つの観点から確認しておきましょう。 依頼先による違い 外構工事の依頼方法には、主に以下の2つがあります。 住宅建築と外構工事を工務店やハウスメーカーに一括して依頼する方法 外構工事のみを別の専門業者に依頼する方法 一括依頼の場合は、外構工事費用も住宅ローンに含めることが可能なケースが多く、外構工事にかかる具体的な内容や費用が契約書等に明記されていれば金融機関も対応しやすくなります。 一方、外構工事を別の専門業者に依頼する場合は、住宅ローンに組み込めないことが一般的です。その場合は、リフォームローンやフリーローンなど、別の資金調達手段を検討する必要があります。 金融機関による取り扱いの違い 外構工事費用を住宅ローンに組み込めるかどうかは、金融機関の審査基準や契約書類等の内容によって異なります。 例えば、以下のような条件を満たすと、住宅ローンに外構工事費用を組み込める可能性があります。 請負契約書・売買契約書・注文書などに外構工事費用が明記されていること 物件の引き渡しまでに外構工事が完了していること 住宅購入資金と同時に外構工事費用を支払うこと これらの条件を満たす場合、金融機関に契約書類の原本を提示し、写しを提出することで、外構工事費用も住宅ローンの対象として認められることがあります。 出典)フラット35「対象となる住宅の建設費・購入価額とはどのようなものですか?」 外構工事費用を住宅ローンに組み込む際の注意点 外構工事費用を住宅ローンに組み込むことを検討する際は、返済負担、税制優遇、業者選定の自由度など、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。 返済負担に問題がないか 外構工事費用を住宅ローンに含めると、当然ながら借入総額が増加します。これにより、月々の返済額や総返済額がどれくらい増えるのかを事前に試算し、家計への影響を確認しておくことが重要です。 目安として、住宅ローンの返済比率(年収に対する年間返済額の割合)は20%以内に抑えられているか確認しましょう。国土交通省の調査によると、注文住宅の平均返済比率は18.4%です。 将来的な教育費や老後資金などの支出も踏まえ、無理のない返済計画を立てましょう。 出典)国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査p.53」 住宅ローン控除の対象になるか 原則として、外構工事は住宅の取得費用には含まれないため、住宅ローン控除の対象外です。ただし、以下の条件を満たす場合は控除対象となる可能性があります。 外構工事費用が建物の建築費用の10%未満であること 住宅本体と外構工事を同一の事業者に一括して依頼していること(外構工事費用を住宅ローンに組み込んでいること) なお、リフォームローンで外構工事費用を支払った場合は、控除の対象にはなりません。控除の有無によって税負担が大きく変わる可能性があるため、事前に確認しておくことが大切です。 出典)国税庁「門や塀等の取得対価の額」 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 施工のこだわりが満たされるか 住宅ローンに外構工事費用を組み込むには、基本的に住宅建築工事と外構工事を一括で依頼する必要があります。そのため、外構工事を自分で選んだ専門業者に依頼したい場合は、住宅ローンに含めるのが難しくなることがあります。 一括依頼には、スケジュール調整がしやすく、工事がスムーズに進むというメリットもありますが、依頼先の選択肢が限られることで、価格や品質の比較がしづらくなるリスクもあります。 自分にとって最適な方法を選ぶためには、外構工事の自由度と利便性のバランスをよく検討することが重要です。 外構工事における住宅ローンとリフォームローンの比較 外構工事費用の資金調達方法としては、住宅ローンに組み込む方法のほか、住宅ローンとは別にリフォームローンを利用する方法があります。どちらを選ぶかは、依頼先の専門業者の種類や金融機関の取扱方針、工事のタイミングなどによって異なります。 前述のとおり、住宅ローンは、建物の建築費用とあわせて外構工事費用を一括で借り入れる際に利用されるもので、一定の条件を満たせば外構工事費用も組み込むことが可能です。一方、住宅ローンに外構工事費用を組み込めない場合は、リフォームローンを別途利用することで資金を確保することができます。 以下の表で、住宅ローンとリフォームローンの主な違いを比較してみましょう。 住宅ローン リフォームローン 金利 低め 高め 住宅ローン控除 原則対象外(例外あり) 対象外 業者の自由度 低い 高い ※筆者作成 なお、住宅取得に関連するローンとして「諸費用ローン」があります。これは、住宅ローンに組み込めない事務手数料や登記費用などの借り入れに利用されますが、外構工事費用は基本的に対象外です。 また、資金使途に制限のない「フリーローン」を利用する方法もあります。こちらは外構工事費用にも使えますが、住宅ローンやリフォームローンに比べて金利が高めに設定されているため、慎重な検討が必要です。 まとめ 外構工事費用は、住宅ローンに組み込めるケースと組み込めないケースがあります。建築工事と外構工事を一括で依頼し、契約書類等で金額が確認できる場合は、住宅ローンに含められる可能性があります。一方、別の専門業者に依頼する場合は、リフォームローンなどの利用が必要です。 それぞれのローンには、金利や控除の対象、業者選定の自由度などに違いがあるため、返済負担や将来の支出も含めて慎重に検討しましょう。外構工事の内容や費用は早めに計画し、資金調達方法を含めて、自分に合った選択をすることが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 手取り30万円で月10万円返済はきつい?住宅ローンの適正額とは 手取り30万円で住宅ローンを月10万円返済するのは、果たして現実的なのでしょうか? この記事では、返済負担率という指標から、無理なく返済できる借入額の目安(=適正額)を具体的にシミュレーショ...

    2025.11.05住宅ローン自宅購入
  • 【年収1,400万円】住宅ローンの借入目安と返済シミュレーション

    【年収1,400万円】住宅ローンの借入目安と返済シミュレーション

    住宅ローンを考えるとき、「最大でいくら借りられるか」ではなく、「将来も安心して返済できるか」が大切なポイントです。この記事では、年収1,400万円の方に向けて、借入可能額や月々の返済額のシミュレーションを具体的にご紹介します。 この記事は関連記事の「年収別・住宅ローンの借入適正額早見表」の中でも、年収1,400万円の方向けの解説記事です。「年収別・住宅ローンの借入適正額早見表」では、他の年収層の目安も確認できますので、併せてご覧ください。 関連記事はこちら【早見表】年収別・住宅ローンの借入適正額 年収1,400万円の返済負担率別にみる借入可能額と家計への影響 年収1,400万円の方が住宅ローンを検討する際、借入額は「返済負担率」によって大きく変わります。ここでは、返済負担率15%〜35%までの借入可能額の目安をシミュレーションします。 【条件】 返済期間:35年 適用金利:1.0% 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし) 返済負担率 年間返済額 借入可能額の目安 15% 210万円 約6,199万円 20% 280万円 約8,265万円 25% 350万円 約1億332万円 30% 420万円 約1億2,398万円 35% 490万円 約1億4,465万円 出典)住宅保証機構株式会社「住宅ローンシミュレーション」をもとに筆者作成 ※本試算は、住宅保証機構株式会社の「住宅ローンシミュレーション」をもとに算出した参考値です。実際の借入可能額は、金融機関の審査基準や個々の状況などによって異なります。 返済負担率が高くなるほど借入可能額は増えますが、将来の支出やライフプランを踏まえた慎重な資金計画が重要です。無理のない返済額を見極めるためにも、複数のシミュレーションを行い、家計への影響を具体的に把握しておきましょう。 年収倍率から見る年収1,400万円の購入価格の目安 住宅購入の予算を考える際に参考になる指標のひとつが「年収倍率」です。これは、住宅購入にかかる所要資金を世帯年収で除した数値で、住宅金融支援機構の調査によると、フラット35利用者の年収倍率は、住宅の種類によって平均的な倍率が異なります。 住宅金融支援機構の調査データを基に年収1,400万円の場合を算出すると、各住宅の種類ごとに、過去の購入実績に基づく「平均的な購入価格」は以下のようになります。 住宅の種類 年収倍率 平均的な購入価格(年収×年収倍率) 土地付注文住宅 7.5倍 1億500万円 マンション 7.0倍 9,800万円 注文住宅 6.9倍 9,660万円 建売住宅 6.7倍 9,380万円 中古マンション 5.5倍 7,700万円 中古戸建 5.3倍 7,420万円 出典)住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査(年収倍率(融資区分別)の推移)p.12」をもとに筆者作成 ただし、年収倍率は住宅購入の予算を考える際に参考になる指標のひとつであり、実際に無理なく返済できる金額とは異なります。資金計画を立てる際には、返済負担率や将来の支出も踏まえたシミュレーションを併せて行うことが重要です。 頭金1,500万円で購入した場合の返済額シミュレーション 年収1,400万円の方であれば、土地付き注文住宅やマンションなど、比較的高額な物件も現実的な選択肢になります。実際、首都圏では新築マンションの平均価格が9,000万円を超えていますが、十分に手が届く水準です。 ここでは、頭金1,500万円を用意した場合に、物件価格ごとにどれくらいの借入額と月々の返済額になるのかを試算します。家計への影響をイメージするための参考にしてください。 【条件】 返済期間:35年 適用金利:1.0% 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし) 物件価格 借入額 月々の返済額 総返済額 8,000万円 6,500万円 183,485円 77,063,810円 9,500万円 8,000万円 225,828円 94,847,799円 1億1,000万円 9,500万円 268,171円 112,631,772円 出典)住宅保証機構株式会社「住宅ローンシミュレーション」をもとに筆者作成 変動金利と固定金利で月々の返済額はどう変わる? 住宅ローンの金利タイプは、月々の返済額に大きく影響します。たとえば、変動金利は初期の返済額を抑えられる一方で、将来的に金利が上がると返済額も増えるリスクがあります。一方、固定金利は金利が一定のため、返済額が変わらず、長期的な資金計画を立てやすいのが特徴です。 将来の収入や支出の見通しを踏まえて、無理のない返済ができる金利タイプを選びましょう。 以下は、仮に変動金利型の当初の金利を0.5%、固定金利型の金利を1.5%とした場合の月々の返済額をシミュレーションしたものです。 【条件】 借入額:6,500万円 返済期間:35年 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし) 金利タイプ 金利 月々の返済額 変動金利型 0.5% 168,730円 固定金利型 1.5% 199,019円 出典)住宅保証機構株式会社「住宅ローンシミュレーション」をもとに筆者作成 関連記事はこちら住宅ローンは変動から固定に借り換えるべき?金利上昇時の判断ポイントを解説 500万円の繰り上げ返済でどれだけの差が出る? 繰上返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方法があります。どちらも住宅ローンの元金を前倒しで返済することで利息負担を軽減できますが、目的や効果が異なります。 特長 期間短縮型 返済額軽減型 返済期間 短縮される 変わらない 月々の返済額 変わらない 減少する イメージ図(例) ※筆者作成 関連記事はこちらフラット35の繰り上げ返済をする前に確認したい3つのポイント 以下の表は、5年後に500万円を繰上返済したとき、実際にどれくらいの差が出るのか、シミュレーションしたものです。 【条件】 借入額:6,500万円 適用金利:1.0% 返済期間:35年 返済方法:元利均等返済(ボーナス払いなし) 通常返済 繰上返済 期間短縮型 返済額軽減型 月々の返済額 183,485円 183,485円 167,403円(軽減額16,082円) 返済期間 35年 約32年(約3年短縮) 35年 総返済額 77,063,810円 75,424,465円 76,274,287円 利息軽減額 ー 1,639,345円 789,523円 出典)住宅保証機構株式会社「住宅ローンシミュレーション」をもとに筆者作成 繰上返済は、家計に余裕があるときに活用することで、将来の負担を軽くする有効な手段です。ライフプランや資金の流動性を踏まえ、無理のない範囲で計画的に進めましょう。 まとめ 年収1,400万円の方は、比較的高額な物件も選択肢に入るため、住宅購入の幅が広がります。しかし、借入額や返済額は慎重に検討することが重要です。返済負担率や年収倍率、金利タイプの違いによって、月々の返済額は大きく変わります。 また、繰上返済の活用によって、返済期間を短縮したり毎月の返済額を減らしたりすることも可能です。住宅ローンは長期にわたる支出だからこそ、ライフプランや将来の支出も見据えた資金計画が欠かせません。 複数のシミュレーションを行い、「無理なく返せるか」を軸に、納得のいく住宅購入を目指しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35で住宅ローンを組みたいときはどこに相談する?選び方と注意点を解説 住宅ローンの選択肢として人気の高い「フラット35」。その魅力は長期固定金利で、将来の金利変動リスクを避けられる点にあります。しかし、具体的にどの金融機関や相談先を選べば良いのか、迷う方も多い...

    2025.10.31住宅ローン
  • 住宅ローンの事務手数料はいつ支払う?支払時期や負担を軽減する方法を解説

    住宅ローンの事務手数料はいつ支払う?支払時期や負担を軽減する方法を解説

    住宅ローンを検討していると、「事務手数料はいつ支払うのか?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。実際、事務手数料は数十万~数百万円にのぼることもあり、支払時期や金額を把握しておくことは、資金計画を立てるうえで非常に重要です。 この記事では、住宅ローンの事務手数料の支払時期や負担を軽減する具体的な方法について、わかりやすく解説します。 住宅ローンの事務手数料とは 住宅ローンの事務手数料とは、ローン契約時に金融機関に支払う手数料のことです。「融資手数料」や「事務取扱手数料」と呼ばれることもあり、金融機関によって名称が異なります。 この手数料は、住宅ローンの審査や契約手続きなどにかかる事務コストをカバーするためのもので、借入金額や契約内容によって金額が異なります。 事務手数料には、主に以下の2種類があります。 定額型 借入金額にかかわらず、一定額の手数料を支払う方式 定率型 借入金額に対して、一定の割合で手数料が決まる方式 関連記事はこちら住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いとは? 事務手数料と保証料との違い 事務手数料とは別に、「保証料」が必要になる場合もあります。保証料は、借主が万が一返済できなくなった場合に、保証会社が代わりに返済を行うための費用です。 保証料の支払方法には、以下の2種類があります。 一括前払い方式(外枠方式) 住宅ローンの借入時に、保証料をまとめて支払う方式 金利上乗せ方式(内枠方式) 金利に一定割合の保証料を上乗せし、毎月の返済に含めて支払う方式 金融機関によっては、保証料が不要な場合もあれば、事務手数料と保証料の両方が必要な場合もあります。そのため、事務手数料と保証料の合計額を確認し、総額の費用として比較検討することが大切です。 関連記事はこちら住宅ローンの保証会社とは?役割や種類、利用時の注意点を解説 住宅ローンの事務手数料の支払時期と支払方法 支払時期 住宅ローンの事務手数料は、融資実行時に一括で支払うのが一般的です。この手数料は、融資を受けるための事務手続きにかかる費用であり、毎月のローン返済に含まれるものではありません。そのため、契約時点でまとまった金額を準備しておく必要があります。 支払方法の違い 事務手数料の支払方法は金融機関によって異なり、主に次の2つのパターンがあります。 借入金額から事務手数料を差し引いた金額が、振り込まれる方式 借入金額が全額振り込まれた後、事務手数料が引き落とされる方式 例えば、借入金額が3,000万円で事務手数料が66万円の場合、前者の方式では、実際に振り込まれる金額は2,934万円となります。対して、後者の方式では、一時的に3,000万円が振り込まれますが、すぐに手数料分の金額が引き落とされます。 どちらの方式になるかは金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。 出典)フラット35「融資金は、融資手数料等の諸経費が差し引かれて交付されるのですか?」 住宅ローンの事務手数料が支払えない場合の対処法 住宅ローンの事務手数料が高額になり、一括で支払うのが難しい場合は、以下のような方法を検討しましょう。 住宅ローンに組み込む 金融機関によっては、事務手数料をはじめとする諸費用(保証料、登記関連費用など)も含めて借り入れが可能です。この方法を選べば、契約時にまとまった金額を用意する必要がなくなります。ただし、借入金額の増加によって、総返済額が増加する点に注意しましょう。 諸費用ローンを組む 諸費用ローンとは、住宅ローンとは別に、登記費用や事務手数料など、住宅購入時に発生する諸費用をカバーするためのローンです。一般的に、住宅ローンよりも金利が高めに設定されています。そのため、検討する際は金利や返済期間を比較し、本当に必要かどうかも踏まえて検討することが大切です。 住宅ローンの事務手数料の負担を軽減する3つの方法 住宅ローンの事務手数料は、借入金額や契約内容によって高額になることがあります。少しでも負担を軽減するためには、以下の3つのポイントを押さえておくと安心です。 借入金額を抑える 手数料タイプが定率型の場合、借入金額に応じて事務手数料が決まります。そのため、借入金額を抑えることで、事務手数料の負担軽減につながります。以下は、事務手数料率2.2%とした場合のシミュレーションです。 【手数料率(2.2%)の場合】 借入金額 事務手数料 2,000万円 440,000円 2,500万円 550,000円 3,000万円 660,000円 ※筆者作成 上表のように、借入金額を500万円減らすと、11万円の手数料軽減につながります。また、借入金額を抑えることで利息の支払いも減るため、総返済額の軽減にも効果があります。 手数料が有利になる支払方式を選ぶ 金融機関によっては、定額型と定率型のどちらかを選べる場合があります。借入金額が多い場合は、定額型の方が割安になることもあるため、事前に比較しておきましょう。 例えば、借入金額が3,000万円で定率型の手数料率が2.2%の場合、事務手数料は66万円です。一方、定額型では手数料が一定(例:33万円など)であるため、借入金額が多いほど有利になる可能性があります。 ただし、定額型を選ぶと別途保証料が必要になるケースがあるほか、借入金利が定率型よりも高めに設定される傾向があります。そのため、事務手数料だけでなく、保証料を含めた総費用で比較することが重要です。 複数の金融機関を比較検討する 住宅ローンの事務手数料や保証料の設定は、金融機関によって大きく異なります。同じ借入金額でも、手数料の差で数万円〜十万円以上の違いが出ることもあります。 事務手数料だけでなく、保証料・金利・その他の諸費用も含めて、トータルコストで比較検討することが、負担を軽減するためのポイントです。比較サイトや金融機関の公式ページを活用し、複数社の条件を確認してから申し込むようにしましょう。 まとめ 住宅ローンの事務手数料は、融資実行時に一括で支払うのが一般的です。金額は数十万~数百万円にのぼることもあり、支払方法やタイミングを事前に把握しておくことで、資金計画に余裕が生まれます。 一括での支払いが難しい場合は、事務手数料を住宅ローンに組み込む、または諸費用ローンを利用するなどの対処法もあります。また、借入金額を抑える、支払方式を選ぶ、複数の金融機関を比較するなどの工夫によって、負担を軽減することも可能です。 事務手数料は金融機関によって条件が異なります。保証料などの諸費用も含めて総費用で比較検討し、自分にとって最適な住宅ローンを選びましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 マイホームの購入予算はどう決める?頭金や住宅ローンの考え方 マイホームは高額の買い物であるため、あらかじめ予算を決めておく必要があります。資金計画を立てずに購入し、住宅ローンの返済が滞るようなことがあれば、最悪の場合はマイホームを手放すことになるかも...

    2025.10.29住宅ローン
  • 住宅ローンは30年と35年どちらにすべき?返済額や完済年齢から比較

    住宅ローンは30年と35年どちらにすべき?返済額や完済年齢から比較

    住宅ローンを検討する際、「30年」と「35年」のどちらの返済期間を選ぶべきか迷う方は多いのではないでしょうか。毎月の返済額や総返済額、完済時の年齢などを比較し、自分のライフプランに合った期間を選ぶことが大切です。 この記事では、30年ローンと35年ローンの違いをわかりやすく解説し、選び方のポイントを具体的にご紹介します。 返済期間35年で住宅ローンを組む人が多い 住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、返済期間「30年超~35年以内」を選ぶ人が全体の45.8%と最も多く、次に多い「35年超~40年以内」でも18.4%にとどまっています。一方、「25年超~30年以内」は8.5%と少数派であり、35年ローンを選ぶ人が圧倒的に多いことがわかります。 これはあくまで「年数の範囲」での集計ですが、30年よりも長い返済期間を選ぶ傾向が強いことは明らかです。 返済期間 割合 10年以内 3.6% 10年超~15年以内 3.7% 15年超~20年以内 6.3% 20年超~25年以内 6.6% 25年超~30年以内 8.5% 30年超~35年以内 45.8% 35年超~40年以内 18.4% 40年超~50年以内 7.1% 出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査 p.5」 住宅の種類ごとの返済期間の傾向 国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、住宅の種類によって平均返済期間に差があることがわかります。 住宅の種類 平均返済期間 注文住宅(建築) 33.9年 注文住宅(土地) 35.6年 分譲戸建住宅 30.9年 分譲集合住宅 28.2年 既存(中古)戸建住宅 25.5年 既存(中古)集合住宅 27.7年 リフォーム住宅 12.3年 出典)国土交通省「住宅市場動向調査 p.53」 注文住宅は土地の購入が先行し、建築費が高額になりやすいため、返済期間が長くなる傾向があります。一方で、リフォーム住宅を含む中古住宅は購入費用を抑えられるため、短期間での返済が多いようです。 住宅ローンの返済額は30年と35年でどう変わる? 借入金額4,000万円と6,000万円のケースで、「元利均等返済、ボーナス払いなし」の条件で返済シミュレーションを行うと、以下のようになります。 毎月の返済額 毎月の返済額がどれくらい変化するか確認しましょう。 借入金額4,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし) 適用金利 30年ローン(月額) 35年ローン(月額) 月額差 0.5% 119,675円 103,834円 ▲15,841円 1.0% 128,655円 112,914円 ▲15,741円 1.5% 138,048円 122,473円 ▲15,575円 2.0% 147,847円 132,505円 ▲15,342円 借入金額6,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし) 適用金利 30年ローン(月額) 35年ローン(月額) 月額差 0.5% 179,513円 155,751円 ▲23,762円 1.0% 192,983円 169,371円 ▲23,612円 1.5% 207,072円 183,710円 ▲23,362円 2.0% 221,771円 198,757円 ▲23,014円 出典)住宅保証機構株式会社「返済額の試算」をもとに筆者作成。 返済期間を30年から35年に延ばすと、月々の返済額は軽減されます。借入金額が4,000万円の場合15,000円強、6,000万円の場合23,000円強と、借り入れが大きいほど月々の差額も増え、家計の負担を抑える効果があります。 総返済額 次に同様の条件で総返済額がどれくらい変化するかを確認しましょう。 借入金額4,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし) 適用金利 30年ローン(総返済額) 35年ローン(総返済額) 総返済額差 0.5% 43,083,107円 43,610,126円 +527,019円 1.0% 46,315,920円 47,423,753円 +1,107,833円 1.5% 49,697,092円 51,438,816円 +1,741,724円 2.0% 53,225,058円 55,651,862円 +2,426,804円 借入金額6,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし) 適用金利 30年ローン(総返済額) 35年ローン(総返済額) 総返済額差 0.5% 64,624,757円 65,415,305円 +790,548円 1.0% 69,473,978円 71,135,774円 +1,661,796円 1.5% 74,545,747円 77,158,299円 +2,612,552円 2.0% 79,837,661円 83,478,019円 +3,640,358円 出典)住宅保証機構株式会社「返済額の試算」をもとに筆者作成。 借入金額4,000万円では、金利2.0%の場合で約240万円、6,000万円では約364万円の差が生じます。借入金額の差も当然ながら、金利が高いほど差額は顕著に大きくなります。 このように長期にわたる住宅ローンでは、「毎月の返済額の減少」と「総返済額の増加」のバランスをどう取るかが重要になります。 住宅ローンの返済期間を決める4つのチェックポイント 住宅ローンの返済期間は、月々の支払いだけでなく、将来のライフプランにも大きく影響します。以下の4つの視点から、自分に合った返済期間を見極めましょう。 1. 完済時年齢 金融機関で設定されている住宅ローンの年齢制限(完済時年齢)は、75~80歳が一般的です。定年(65歳)までに完済したい場合は、現在の年齢から逆算して返済期間を設定するのがポイントです。たとえば、現在30歳なら35年ローン、35歳なら30年ローンを組むことで、定年までに完済可能です。 なお、35歳で35年ローンを組んだとしても、計画的に繰り上げ返済を活用することで、定年時に住宅ローンを完済するプランを立ててもいいでしょう。 2. 毎月の返済額と金利タイプ 返済期間が長くなるほど、毎月の返済額は少なくなります。ただし、長期のローンでは金利変動の影響を受けやすくなるため、金利タイプの選択が重要です。フラット35などの全期間固定金利なら毎月の返済額が固定され、変動金利なら金利次第で返済額が変動するため、将来的なリスクを抱えます。 関連記事はこちら住宅ローンは変動から固定に借り換えるべき?金利上昇時の判断ポイントを解説 3. 総返済額 同じ借入金額でも、返済期間が長くなるほど利息の支払いが増え、総返済額が高くなります。金利や借入金額によっては、30年と35年で数百万円の差が生じることもあるため、慎重な比較が必要です。 4. 収入の安定性とライフイベントとのバランス 長期にわたる住宅ローンでは、安定した収入が欠かせません。以下のようなライフイベントも踏まえて、無理のない返済期間を設定しましょう。 ・転職・独立・退職などの収入変化 ・教育費・車の買い替え・老後資金などの支出 ・将来の資産形成や貯蓄とのバランス 返済期間を長めに設定することで、毎月の負担を軽減し、他の支出に余裕を持たせる選択も可能です。 住宅ローンの返済期間は後から変更できる? 住宅ローンの返済期間は、契約時に決定するのが基本です。しかし、ライフスタイルや収入状況の変化に応じて、借入後でも返済期間を調整できるケースがあります。ここでは、主な2つの方法をご紹介します。 返済期間を延長する方法 収入の減少や支出の増加などで返済が厳しくなった場合、返済期間の延長を相談できる金融機関もあります。たとえば、【フラット35】では、返済中の金融機関にて返済期間の延長に関する相談を受け付けています。事前に制度の有無や条件を確認しておくことで、万が一のときにも安心です。 出典)【フラット35】「月々の返済でお困りになったときは」 繰り上げ返済で期間を短縮する方法 手元資金に余裕がある場合は、繰り上げ返済によって返済期間を短縮することが可能です。繰り上げ返済には、以下の2つのタイプがあります。 期間短縮型 返済期間を短くすることで、利息の支払いを減らす効果が大きいタイプです。総返済額を減らしたい人に向いています。 返済額軽減型 返済期間はそのままで、毎月の返済額を減らすタイプです。月々の負担を軽くしたい人に向いています。 まとめ 住宅ローンの返済期間は、30年と35年で毎月の返済額や総返済額に大きな違いが生じます。どちらを選ぶべきか迷ったときは、金利や借入金額によるシミュレーションをしながら、収入の安定性や将来のライフイベントも踏まえて判断することが大切です。 また、返済期間は契約後でも延長や繰り上げ返済によって調整できる場合があるため、柔軟な選択肢があることも知っておきましょう。自分のライフプランに合った返済期間を選ぶことが、安心して住宅ローンを返済していく第一歩です。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35は頭金・自己資金なしで組める? フラット35は、最長35年間の全期間固定金利の住宅ローンです。マイホーム購入でフラット35を検討する際に、「頭金なしでローンを組めるのか」という疑問を持つ人もいるでしょう。この記事では、頭金...

    2025.10.22住宅ローン
  • 【フラット35】11月金利予想|公認会計士・千日太郎が10月17日の機構債から分析!

    【フラット35】11月金利は1.90%に決定|千日太郎の予測と機構債分析!

    こんにちは、公認会計士の千日太郎です。2025年10月、自民党の新総裁に利上げ慎重派とされる高市早苗氏が選ばれ、衆議院本会議で第104代内閣総理大臣に正式に指名されました。日本維新の会との連立により過半数を確保し、憲政史上初の女性首相として高市内閣が発足しています。 高市政権の経済・金融政策は、財政出動と持続的な賃上げを重視するスタンスであり、住宅ローン金利にも影響を与える可能性があります。 この記事では、【フラット35】の11月金利予測を中心に、新発10年国債と機構債の金利推移、2つの予測シナリオとその根拠について、わかりやすく解説していきます。 2025年11月の【フラット35】金利は 1.90% に決定しました(更新日:2025年11月4日)。 【フラット35】11月金利予想 高市氏が新総裁に選ばれた直後は「高市トレード」で株価は高騰、新発10年国債利回りも一時は1.7%を超える勢いでしたが、10月中旬頃には、利回りは以前の水準に戻りました。 新発10年国債利回りについては、住宅ローンの固定金利に影響を与え、住宅金融支援機構が【フラット35】の資金調達方法としている機構債の表面利率にも影響してきます。 では早速、これまでの機構債の表面利率や新発10年国債利回りの推移と【フラット35】の金利予想です。 10月の金利予想と実態 10月の金利予想では、機構債の表面利率は0.04ポイント上昇したものの、新発10年国債利回りが横ばいであったため、【フラット35】の上昇は抑えられて、1.89%~1.93%の間と予想しました。結果、【フラット35】の金利は予想レンジの下限である1.89%に落ち着きました。 11月の新発10年国債利回りは0.03ポイント上昇し、ローンチスプレッドは横ばいで機構債の表面利率は0.03ポイント上昇しています。前月同様に【フラット35】の金利上昇は抑えられることを見込んで、1.89%~1.92%と予想します。 主要データ(2025年10月17日時点) 機構債発表日 2025年7月18日 2025年8月21日 2025年9月19日 2025年10月17日 機構債の表面利率(※1) 2.02% 2.08% 2.12% 2.15% 新発10年国債利回り(※2) 1.55% 1.61% 1.61% 1.64% ローンチスプレッド(※1) 47bps(0.47%) 47bps(0.47%) 51bps(0.51%) 51bps(0.51%) ※1 出典)住宅金融支援機構「既発債情報」 ※2 新発10年国債利回りは便宜上、機構債の表面利率からローンチスプレッドを差し引いた数値としています。 8月 9月 10月 11月 【フラット35】の金利(※3) 1.87% 1.89% 1.89% 1.89%~1.92%※11/1発表の金利は1.90%でした ※3 出典)住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」 なお、この予測ロジックは以下のとおりです。詳細は後述します。 ・予測ロジック(簡易式) 予測金利 ≒新発10年国債利回り + ローンチスプレッド – 調整幅(機構裁量) 新発10年国債利回りと機構債の金利推移 10月の新発10年国債利回りは、1.61%から1.64%へ0.03ポイント上昇し、機構債の表面利率も2.12%から2.15%へ0.03ポイント上昇しました。 ローンチスプレッドとは? 新発10年国債利回りと機構債の表面利率の差は“ローンチスプレッド”といわれます。このローンチスプレッドは、拡大傾向にありました。これは、住宅ローン利用者にとって、新発10年国債利回りが上昇した際に、住宅ローン金利の上昇幅がより大きくなることを意味します。 2025年7月から10月までのローンチスプレッドの動き 2025年7月 :0.47%(前月より+0.02ポイント) 2025年8月 :0.47%(前月と横ばい) 2025年9月 :0.51%(前月より+0.04ポイント) 2025年10月:0.51%(前月と横ばい) 7月から8月にかけては、横ばいで推移しましたが、9月には0.04ポイント拡大し、10月は再び横ばいとなりました。これは、投資家の長期金利の先高観が強まっていることを意味します。 機構債と【フラット35】の金利推移 機構債の表面利率は2.12%から2.15%へ0.03ポイント上昇しました。これに対して、千日太郎の【フラット35】金利予想は、1.89%から1.92%とし、横ばいから0.03ポイントの上昇に抑えられるというものです。 なぜ金利が抑えられるのか? この予想は、過去5か月にわたって【フラット35】が機構債の表面利率を下回っていることにあります。これは、住宅金融支援機構が収益性を問わず、低金利政策を維持していることを意味します。 【フラット35】(買取型)の仕組みをおさらい 【フラット35】(買取型)は、住宅金融支援機構が機関投資家に「機構債」という債券を販売して資金を集め、その資金で住宅ローンを提供する仕組みです(詳細は後述)。簡単に言えば、機構債の表面利率は「仕入れ値」、【フラット35】の金利は「販売価格」にあたります。 2025年6月から10月まで異例のマイナス収支が続く 対象月 機構債(前月) 【フラット35】金利 金利差 6月1.94%1.89%-0.05ポイント 7月1.88%1.84%-0.04ポイント 8月2.02%1.87%-0.15ポイント 9月2.08%1.89%-0.19ポイント 10月2.12%1.89%-0.23ポイント(過去最大) 上記は直近5か月の動きです。5月の機構債の表面利率は、【フラット35】の金利に対して、0.05%マイナスです。これは、住宅金融支援機構が1.94%で資金を仕入れて、1.89%の金利の住宅ローンとしてわたしたちに提供していることを意味します。 続いて、7月は0.04ポイントの差でしたが、8月は0.15ポイントにマイナス幅が一気に拡大し、さらに9月は0.19ポイント、10月は過去最大の0.23%までマイナス幅が拡大しました。つまり5か月連続で異例のマイナス収支が続いているだけでなく、その幅も拡大傾向にあるのです。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? 住宅金融支援機構がどこまで金利を抑えるか?2つの予想シナリオ 千日太郎の予想としては11月も収支がマイナスの状態が続くと見ています。そのため、金利の予想レンジを1.89%~1.92%とし、以下2つの予想シナリオを想定しています。 シナリオ①:1.89%「激変緩和」 10月は新発10年国債利回りが上昇していないにもかかわらず、機構債の表面利率が上昇しています。その上昇をあえて住宅ローンの金利に反映させないというシナリオです。 シナリオ②:1.93%「マイナス幅の限度」 9月の機構債の表面利率と10月の【フラット35】の金利差は、前述のとおり0.23ポイントでした。10月の機構債の表面利率が2.15%なので、仮にマイナス幅を0.23ポイントとすると11月の【フラット35】の金利は1.92%になるというシナリオです。 【フラット35】の金利が抑えられるのはいつまで? 【フラット35】の金利抑制は、日銀がマイナス金利政策を解除した2024年3月以降も続いていました。しかし、機構債の利率を下回る水準をつけたのは2025年6月が初めてです。 この背景には、住宅金融支援機構は非営利の独立行政法人であり、国の政策的役割を担っているという特性があります。しかし、営利を目的としていない住宅金融支援機構といえども、このような状態を永続的に続けられるものではありません。 政局は流動的ですが、高市氏も玉木氏も財政重視の立場をとっているため、今後も住宅金融支援機構がコストを上回る水準で【フラット35】を提供し続けることを期待しています。 【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み 住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。 出典)フラット35「Qフラット35のしくみを教えてください。」 この機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を安全資産という考えで購入するので、その表面利率は新発10年国債利回りに連動する傾向があります。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 千日太郎(Sennichi Taro) 公認会計士としての専門知識を活かし、YouTubeなどを通じて住宅ローンの仕組みや金利動向についての情報を発信。住宅購入を検討する人に向けた実務的な内容を中心に、金融に関する知識をわかりやすく解説している。 著書『住宅ローンで「絶対に損したくない人」が読む本』では、住宅ローンの選び方や返済計画に関する基本的な考え方を丁寧に紹介しており、実用的な入門書として一定の評価を得ている。 住宅ローンに関する独自の視点や分析は、利用者や一部の業界関係者からも注目されており、継続的に情報提供を行っている点が特徴。

    2025.10.21フラット35住宅ローン
  • 【早見表】年収別・住宅ローンの借入適正額

    【早見表】年収別・住宅ローンの借入適正額

    住宅ローンを検討する際、「自分の年収でいくら借りられるのか」と気になる方は多いのではないでしょうか。この記事では、年収400万円〜1,800万円の世帯を対象に、住宅ローンの無理なく返済できる「借入適正額」の目安を早見表でわかりやすく紹介します。 また、将来の生活も見据えた住宅購入の注意点についても解説しています。年収別の詳細ページへのリンクも掲載しているので、ご自身の状況に合った情報をすぐに確認できます。 住宅ローンの「借入適正額」を判断する2つの指標 住宅ローンを検討する際、「いくら借りられるか」だけでなく、「無理なく返済できるか」も重要なポイントです。その判断には、以下の2つの指標が役立ちます。 年収倍率 年収倍率とは、住宅購入に必要な金額が世帯年収の何倍にあたるかを示す指標です。住宅金融支援機構の調査によると、フラット35利用者の年収倍率は、住宅の種類によって以下のように分布しています。 住宅の種類 年収倍率 土地付注文住宅 7.5倍 マンション 7.0倍 注文住宅 6.9倍 建売住宅 6.7倍 中古マンション 5.5倍 中古戸建 5.3倍 出典)住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査(年収倍率(融資区分別)の推移)p.12」 住宅金融支援機構の統計によれば、上図のように住宅の種類によって年収倍率は大きく異なります。ただし、この年収倍率は「購入可能な金額の目安」を示すものであり、必ずしも「無理なく返済できる金額」とは限りません。 また、今回のデータは住宅金融支援機構の調査結果に基づく【フラット35】に限ったものであるため、あくまで参考値として活用し、個別の資金計画を立てることが大切です。 総返済負担率 総返済負担率とは、年収に対して、住宅ローンを含むすべての借り入れの年間返済額が占める割合です。この借り入れには、自動車ローンや教育ローンなども加味して計算されます。この総返済負担率は借り入れの際の審査基準にも利用され、住宅金融支援機構の「フラット35」では、以下のような基準が設けられています。 年収400万円未満:総返済負担率30%以下 年収400万円以上:総返済負担率35%以下 上記の数値はあくまで基準を満たすかどうかのラインで、「住宅ローン利用者調査(2025年4月)」によると、実際には「15%超~20%以内」の利用者が最も多く、全体の24.3%を占めています。 返済負担率が低いほど、教育費や老後資金など将来の支出にも余裕を持てます。「いくら借りられるか」ではなく「無理なく返済できる金額」を意識することが、後悔しない住宅購入につながります。 出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(返済負担率)p.7」 【早見表】年収別の「借入適正額」 ここでは、総返済負担率20%を前提とした「借入適正額」を年収別に比較します。借入適正額は、以下の条件でシミュレーションしています。 総返済負担率:20% 返済期間  :35年間 返済期間  :35年間 適用金利  :1% 返済方法  :元利均等返済(ボーナス払いなし) 年収 借入適正額 詳細ページ 400万円 約2,361万円 ー 600万円 約3,542万円 ー 800万円 約4,723万円 ー 1,000万円 約5,904万円 ー 1,100万円 約6,494万円 詳細はこちら 1,400万円 約8,265万円 詳細はこちら 1,600万円 約9,446万円 ー 1,800万円 約10,627万円 詳細はこちら ※【住宅保証機構株式会社】ローンシミュレーションをもとに筆者作成。 ※詳細情報は順次公開予定です。公開後、リンクからご覧いただけます。 自宅購入で後悔しないための4つのポイント 住宅ローンの返済だけでなく、購入後の生活も見据えた資金計画が大切です。ここでは、無理のない住宅購入を実現するために、特に重要な4つのポイントをご紹介します。 自己資金をできるだけ多めに準備する 国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査」によると、住宅を初めて購入する方(一次取得者)の自己資金比率は、平均で20〜40%程度です。物件価格の2割以上の自己資金を準備できれば、借り入れを抑えられ、毎月の返済負担も軽減できます。 出典)国土交通省「令和5年度 住宅調査報告書(一次取得・二次取得別の購入資金)p.50」 金利タイプは将来の安定性も考慮する 近年、日銀の政策金利引き上げを受けて、住宅ローンで全期間固定金利を選ぶ人が増えています。2024年10月の調査では28.0%、2025年4月では30.7%と上昇傾向がみられます。一方、変動金利は借入時の金利が低く魅力的ですが、将来的な金利上昇によって返済額が増えるリスクもあります。 出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査(2025年4月調査)p.15」 住宅ローン控除の活用も視野に入れる 住宅ローン控除(住宅ローン減税ともいいます)とは、住宅ローンを利用して住宅の新築、取得または増改築等をした場合に利用できる、所得税額等を控除する制度です。住宅ローン控除を利用する場合、自身の状況に合わせてどういった条件でどのような控除が受けられるかを把握しておくことが大切です。 また、夫婦ともに安定した収入がある場合は、ペアローンを利用することで、借入可能額が増えるだけでなく、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるメリットもあります。控除額が増えることで、実質的な返済負担を軽減できる可能性があります。 ただし、諸費用が2本分かかる点や、離婚・収入変動などのリスクもあるため、慎重な検討が必要です。 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 諸費用も考慮する 住宅購入には、物件価格以外にも多くの費用がかかります。仲介手数料、登記費用、火災・地震保険料、固定資産税、修繕費など、維持費や初期費用も見逃せません。住宅ローン契約前に、諸費用の総額をしっかり把握しておきましょう。 まとめ 住宅ローンは、単に「いくら借りられるか」ではなく、「無理なく返済できるか」を基準に考えることが大切です。年収倍率や総返済負担率といった指標を参考にしながら、将来のライフイベントや収入の変化も見据えた資金計画を立てましょう。 特に、総返済負担率を20%以内に抑えることで、教育費や老後資金など、将来の家計への影響を抑えることができます。また、自己資金の準備、金利タイプの選択、住宅ローン控除の活用、諸費用の把握など、購入前に確認すべきポイントも多岐にわたります。 「この金額なら無理なく返済できる」と思えるラインを見極めることが、後悔しない住宅購入への第一歩です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35で5,000万円借りるとどうなる?金利別返済シミュレーション 「5,000万円の家を買いたいけれど、自分の年収で本当に買えるのか」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。 この記事では、フラット35を利用して5,000万円の家を購入する際の金利...

    2025.10.15住宅ローン自宅購入
  • 旧耐震でも住宅ローンを組むための対策や購入前の確認ポイントを解説

    旧耐震でも住宅ローンを組むための対策や購入前の確認ポイントを解説

    旧耐震の物件は、価格の安さや立地の良さなどから一定の需要がある一方で、住宅ローンの審査では不利になることもあります。「審査に通らない」「希望額の融資が受けられない」といったケースの背景には、金融機関が耐震性や担保評価を重視している点が挙げられます。 この記事では、旧耐震物件でも住宅ローンを利用するための対策や、購入前に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。 旧耐震でも住宅ローンは組める? 旧耐震の物件でも、一定の条件を満たせば住宅ローンを組める可能性があります。例えば、耐震診断を実施し、必要に応じて補強工事を行ったうえで、「耐震基準適合証明書」を取得すれば、住宅金融支援機構の【フラット35】などのローン商品が利用可能になるケースがあります。 関連記事はこちらフラット35の審査基準を徹底解説!本当に審査が甘い? 旧耐震の物件が住宅ローン審査で不利な理由 そもそも旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用されていた耐震設計の基準です。この基準では、震度5程度の地震に耐える構造が求められていましたが、現在の「新耐震基準」と比べると安全性が劣るとされています。 そのため、金融機関は旧耐震物件に対して以下のような懸念を持つことがあります。 倒壊リスクの高さ 修繕コストの増加 資産価値の低下 流通性の低さ(売却・賃貸のしづらさ) これらの要因が重なることで、担保評価が低くなり、住宅ローン審査に通りづらくなることがあります。 関連記事はこちら旧耐震基準とは?新耐震基準との違いやリスク、確認方法を解説 旧耐震の物件でも住宅ローンを組むための対策 旧耐震の物件でも、適切な準備と対策を行うことで住宅ローンの審査に通る可能性があります。以下のポイントを意識して、事前に情報を整理しておきましょう。 耐震診断・補強工事の実施と「耐震基準適合証明書」の取得 まずは、物件の耐震性を確認するために「耐震診断」を実施しましょう。診断の結果に応じて補強工事を行い、「耐震基準適合証明書」を取得することで、【フラット35】などの住宅ローン商品が利用可能になるケースがあります。 この証明書には以下のようなメリットがあります。 【フラット35】の技術基準を満たす 地震保険料の割引 住宅ローン控除などの税制優遇 取得には費用と手続きが必要ですが、将来的な安心感や資産価値の維持にもつながるため、早めの検討がおすすめです。 関連記事はこちらフラット35を利用するために必要な適合証明書とは? 修繕履歴や管理状態を確認 マンションの旧耐震物件では、建物全体の管理状況が審査に影響します。以下のような資料があると、金融機関からの評価が高まりやすくなります。 過去の修繕履歴(大規模修繕の実施状況など) 長期修繕計画の有無 修繕積立金の残高 管理組合の活動記録 これらの資料を確認し、修繕の実績がある、長期修繕計画が策定されている、修繕積立金の残高が十分であるなど、管理状況が良好であれば、物件の維持管理が適切に行われている証拠となり、資産価値の安定性を示す材料になります。 リノベーション計画を事前に提示 購入後にリノベーションを予定している場合は、設計図や見積書などの資料を事前に準備しておきましょう。特に耐震補強を含む工事であれば、「安全性向上の意思がある」と金融機関に示すことができ、担保評価の向上につながる可能性があります。 また、リフォーム一体型ローンを利用する際にも、具体的な工事内容と費用が明記された資料が必要です。 頭金の準備 旧耐震物件は担保評価が低くなりやすく、審査で「担保割れ」と判断されると希望額の融資が受けられないことがあります。こうした場合でも、頭金を多めに用意することで金融機関のリスクを軽減でき、審査通過の可能性が高まります。 さらに、借入額が少なくなることで、金利優遇を受けやすくなったり、月々の返済負担を抑えられたりするメリットもあります。 複数の金融機関に相談 住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なります。特に地方銀行や信用金庫などは、地域性や物件の特性を考慮して柔軟に対応してくれる場合もあります。ある金融機関で断られたとしても、他の金融機関では通る可能性もあるため、複数の金融機関に相談することが重要です。 旧耐震の物件を購入前に確認すべきポイント 旧耐震の物件を購入する際は、将来的な資産価値や安全性を見据えて、以下のポイントを事前にしっかり確認しておきましょう。 耐震診断の有無と結果 物件が過去に耐震診断を受けているか、またその結果はどうだったかを確認しましょう。診断結果が「問題なし」または「補強済み」であれば、住宅ローン審査や地震保険の加入にも有利に働きます。 補強工事の実施状況 耐震診断の結果に基づいて、補強工事が行われているかどうかも重要です。工事が完了している場合は、「耐震基準適合証明書」の取得が可能となり、【フラット35】などのローン商品が利用しやすくなります。 周辺環境と流通性(駅近・再開発予定など) 物件の立地や周辺環境も、資産価値を左右する重要な要素です。以下の点をチェックしましょう。 駅や商業施設へのアクセス 再開発の予定や地域の将来性 周辺の治安や生活利便性 流通性が高いエリアであれば、将来的な売却や賃貸もスムーズに進められる可能性があります。 管理状態(マンションの場合) 前述のとおり、マンションの場合は、建物全体の管理状況が資産価値やローン審査に大きく影響します。以下のような資料があるかを確認しましょう。 大規模修繕の履歴 長期修繕計画の有無 修繕積立金の残高 管理組合の活動状況 まとめ 旧耐震物件でも、適切な対策を講じることで住宅ローンの利用は十分可能です。特に【フラット35】では、「耐震基準適合証明書」の取得によって技術基準を満たすことができ、税制優遇や地震保険料の割引などのメリットも受けられます。 また、物件の管理状態や周辺環境、補強工事の有無などを事前に確認し、必要な資料を整えておくことで、金融機関からの評価を高めることができます。旧耐震だからといって、住宅ローンの利用を諦める必要はありません。 購入前には、耐震性・資産価値・流通性などを総合的に判断し、安心して住まい選びができるよう、しっかりと準備を進めましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 ブラックリストでも住宅ローンは組める?審査のポイントを解説 過去に延滞や債務整理をした経験があると、個人信用情報に「事故情報(異動情報)」が記録され、こうした情報が登録されている状態は、一般的に「ブラックリストに載っている」と表現されます。過去にこの...

    2025.10.10フラット35住宅ローン
  • 住宅ローンの本審査は複数の金融機関に申し込める?メリット・デメリットを解説

    住宅ローンの本審査は複数の金融機関に申し込める?メリット・デメリットを解説

    住宅ローンの審査に申し込んでも、必ずしもその金融機関で借りられるとは限りません。「1社だけの申し込みでは不安…」と感じる人もいるでしょう。実は、住宅ローンの本審査は複数の金融機関に申し込むことが可能です。 この記事では、住宅ローンの本審査を複数の金融機関に申し込むメリット・デメリットや注意点を詳しく解説します。 住宅ローンの本審査とは 住宅ローンの本審査とは、金融機関に住宅ローンを正式に申し込むことで行われる最終的な審査です。この本審査に通過すれば、住宅ローンを契約して実際に融資を受けられます。 住宅ローン審査の一般的な流れは以下のとおりです。 事前審査の申し込み 事前審査 本申込(正式申し込み) 本審査 契約締結 融資実行 住宅ローン審査は、一般的に事前審査と本審査の2回に分けられます。まずは申込者が申告した年収、借入希望額などの情報をもとに事前審査が行われます。事前審査に通過した後は、本審査として、より厳密に申込者の返済能力が判断されます。本審査に通過すると金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、物件引き渡し日に融資実行となります。 関連記事はこちら住宅ローン本審査はなぜ遅れる?期間の目安と対処法 事前審査と本審査の違い 事前審査は、本審査の前に行われる簡易的な審査です。金融機関が正式に融資を決定するまでには時間がかかりますが、申込者は借り入れの見込みが立たないと住宅購入を進められません。審査結果を待っている間に、希望物件が他の人に購入されてしまう恐れもあります。このような事情から、申込者が住宅ローンを組める見通しや借入可能額を把握できるよう、事前審査が設けられています。 一方、本審査では、詳細な書類・情報を用いて金融機関や保証会社が申込者の返済能力や物件の担保価値をより厳密に審査します。そのため、事前審査に通過しても、本審査の結果次第では借り入れができない場合もあります。 住宅ローンの本審査は複数の金融機関に申し込める 住宅ローンの本審査は、複数の金融機関に申し込むことができます。複数申し込むことで、より良い条件を比較・検討することができます。 事前審査と本審査通過後のキャンセルは可能 住宅ローンは事前審査や本審査に通過していても、金融機関と金銭消費貸借契約を締結する前であれば、原則として手数料不要でキャンセルが可能です。ただし、金融機関によっては手数料が発生する場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。 複数の金融機関の本審査に通過した場合は、希望する住宅ローン以外はキャンセルしても差し支えありませんが、金融機関への丁寧な連絡と配慮が重要です。できるだけ早く金融機関に断りの連絡を入れるようにしましょう。 なお、金銭消費貸借契約を締結した後でも、融資実行前であればキャンセルできる場合があります。ただし、住宅ローンの事務手数料や調査手数料などの費用負担が発生する場合があります。そのため、金融機関にも負担をかけることになるため、やむを得ない事情がない限り避けたほうがよいでしょう。 住宅ローンの本審査を複数申し込むメリット 複数の金融機関に住宅ローンの本審査を申し込むことには、次のようなメリットがあります。 審査落ちのリスクを軽減できる 住宅ローンの本審査では申込者の返済能力を厳密に確認するため、審査に通過できるとは限りません。特に自営業者や転職して間もない人、既存借り入れがある人は慎重な対応が求められます。 複数の金融機関に申し込んでおけば、万が一、1社で否決されても他で承認される可能性があるため、審査落ちのリスクの軽減につながります。 関連記事はこちら住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 より良い条件で契約できる可能性がある 住宅ローンは、金融機関ごとに金利水準や手数料、団体信用生命保険の特約条件などが異なります。複数の金融機関から融資承認を得ておけば、条件を比較してより有利な住宅ローンを選ぶことができます。 住宅ローンの本審査を複数申し込むデメリット 複数の金融機関に住宅ローンの本審査を申し込むことで、次のようなデメリットもあります。 審査結果に影響が出る可能性がある 住宅ローンの審査では、金融機関が申込者の返済能力を確認するために、信用情報機関へ照会を行います。たとえば、信用情報機関の株式会社シー・アイ・シーでは、申込情報を照会日から6か月間保有しています。この期間中に複数の金融機関へ申し込むと、各金融機関は申込者が他社にも申し込んでいることを把握できます。 申込情報に審査の可否は記載されませんが、同時期に多くの金融機関に住宅ローンの申し込みを行うと、「何か審査に通過できない理由があるのではないか」と疑念を持たれる場合もあります。複数の金融機関に申し込むこと自体に問題はありませんが、2~3社に絞るのが無難といえます。 本審査への対応に時間と手間がかかる 本審査を受ける際は、収入証明書類や物件関連書類など、さまざまな必要書類を準備して提出しなくてはなりません。複数の金融機関に申し込みをすると、多くの書類を準備する必要があるため、対応に時間と手間がかかることになります。 まとめ 住宅ローンの本審査は複数の金融機関に申し込むことが可能です。審査落ちのリスク軽減やより良い条件での契約につながる一方で、対応に時間や手間がかかるなどのデメリットもあります。メリット・デメリットを比較したうえで、複数の金融機関に本審査の申し込みをするか検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンの本審査後に転職したらどうなる?リスクと注意点、対処法を紹介 住宅ローンの本審査に通過した後、融資が実行される前に転職した場合、どのような影響があるのでしょうか。融資実行前の転職にはリスクがあり、思わぬトラブルを招くことがあります。 この記事では、住宅...

    2025.10.08住宅ローン自宅購入
  • 手取り30万円で月10万円の返済はきつい?住宅ローンの適正額とは

    手取り30万円で月10万円返済はきつい?住宅ローンの適正額とは

    手取り30万円で住宅ローンを月10万円返済するのは、果たして現実的なのでしょうか? この記事では、返済負担率という指標から、無理なく返済できる借入額の目安(=適正額)を具体的にシミュレーションします。さらに、将来の家計に負担をかけないためにも、住宅ローンを組む際の注意点についてわかりやすく解説します。 手取り30万円で月10万円の返済はきつい? 手取り30万円で住宅ローンを月10万円返済することは、数字だけみると可能に思えるかもしれません。しかし、実際には生活費や教育費、将来の支出も含めて考える必要があります。 住宅ローンの適正額を見極めるには、税金や社会保険料を差し引く前の額面年収を把握することが重要です。なお、額面年収とは、税金や社会保険料などを差し引く前の会社からの支給額を指します。 手取り30万円の額面年収はどれくらい? 一般的に、給与の手取り額は額面の75~85%程度です。仮に手取りが額面の80%だとすると、月の手取りが30万円の人の額面年収は以下のように計算できます。 手取り年収:360万円(30万円×12ヵ月) 額面年収 :450万円(360万円÷80%) ※ボーナスは考慮外 この結果から、手取り30万円の場合、額面年収は450万円程度と推定されます。実際の額面金額はボーナスや扶養家族の有無、税金の各種控除などによって異なるため、あくまで参考値としてください。 返済負担率は26.7%|年収450万円・月10万円返済の場合 返済負担率とは、年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合です。なお、この時の「年収」とは一般的に額面年収を指します。そのため、年収450万円の人が住宅ローンを月10万円返済する場合、返済負担率は以下のように計算できます。 年間返済額:120万円(10万円×12ヵ月) 額面年収 :450万円 返済負担率:120万円÷450万円=26.7% 住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者調査(2025年4月)」によると、返済負担率が「15%超~20%以内」の利用者が最も多く、全体の24.3%を占めています。 国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査」においても、世帯年収に占める返済負担率は、注文住宅で最も高く18.4%、最も低いのはリフォーム住宅で12.7%です。 物件種別 返済負担率 注文住宅 18.4% 分譲戸建住宅 17.6% 分譲集合住宅 16.1% 既存(中古)戸建住宅 16.3% 既存(中古)集合住宅 17.8% リフォーム住宅 12.7% ※国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査(令和7年6月)p.53」をもとに筆者作成 各調査データを踏まえると、手取り30万円で住宅ローンを月10万円返済するケースは、平均的な返済負担率よりも高い水準といえるでしょう。 住宅ローン以外の教育費や生活費などの支出が増えると、家計は圧迫されて返済が難しくなることもあります。安心して返済を続けるためには、返済負担率を20%以内に抑えるのが望ましいでしょう。 たとえば、手取り30万円(額面年収:450万円)の場合、返済負担率を20%とすると、月の返済額は7.5万円(年間返済額:90万円)が目安となります。 出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査(返済負担率)p.7」 手取り30万円の住宅ローンの適正額 手取り30万円の場合、住宅ローンを無理なく返済するためには、どのくらいの借り入れが適正なのでしょうか?金利別に住宅ローンの適正額をシミュレーションしてみましょう。 今回のシミュレーションでは、以下の条件をもとに計算しています。 【シミュレーション条件】 月の返済額が10万円(返済負担率26.7%)と7.5万円(返済負担率20%) 返済期間:35年 返済方法:元利均等返済、ボーナス払いなし 【手取り30万円の住宅ローン適正額の目安(概算)】 適用金利 月10万円返済(返済負担率26.7%) 月7.5万円返済(返済負担率20%) 0.5% 3,852万円 2,889万円 1.0% 3,542万円 2,656万円 1.5% 3,266万円 2,449万円 2.0% 3,018万円 2,264万円 ※【フラット35】ローンシミュレーションをもとに筆者作成。 返済負担率を20%以内に抑える場合、住宅ローンの借入金額は2,000万円台が目安となります。ただ、適用金利に応じて、適正額の目安が変動する点に注意が必要です。 住宅ローンを組む際の注意点 手取り30万円で住宅ローンを組む際は、以下のポイントを意識しましょう。 総返済負担率を20%以内に抑える 住宅ローンを無理なく返済するには、返済負担率を20%以内に抑えるのが理想といえます。住宅ローンだけでなく、自動車ローンや教育ローンといった他の借り入れも合算して考えましょう。 物件価格の2割以上の自己資金を準備する 自己資金を十分に確保することで、借入比率を抑え、返済負担を軽減できます。実際、国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査」によると、住宅を初めて購入する一次取得者の自己資本比率は22.0%~34.6%程度が一般的です。 物件価格の2~3割程度を目安に、自己資金を多めに準備するとよいでしょう。ただし、頭金を多く入れすぎると、急な出費に対応できなくなる恐れがあるため、当面の生活費や緊急資金は確保しておきましょう。 出典)国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査(令和7年6月)p.48」 諸費用やローン返済以外の支出も考慮に入れる 住宅購入では登記費用や仲介手数料、火災・地震保険料、引越し費用などの諸費用が発生し、購入後は固定資産税などの維持費もかかります。また、教育費や老後資金などの準備も進める必要があります。住宅ローン返済だけでなく、諸費用やその他の支出も考慮して無理のない返済計画を立てましょう。 まとめ 手取り30万円で住宅ローンを月10万円返済する場合、返済負担率は26.7%となり、一般的な目安である20%を上回ります。この水準では、家計に余裕がないと返済が厳しくなる場合があるため、慎重な資金計画が必要です。 住宅ローンは長期にわたる支出となるため、将来のライフイベントや収支の変化も見据えたうえで、無理のない借入額を設定することが大切です。この記事で紹介した返済負担率やシミュレーションを参考に、安心して返済を続けられる住宅ローン計画を立てましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35で住宅ローンを組みたいときはどこに相談する?選び方と注意点を解説 住宅ローンの選択肢として人気の高い「フラット35」。その魅力は長期固定金利で、将来の金利変動リスクを避けられる点にあります。しかし、具体的にどの金融機関や相談先を選べば良いのか、迷う方も多い...

    2025.10.01ローン返済住宅ローン
  • 住宅ローンの名義変更|離婚・相続・収入減少時の対応と注意点

    住宅ローンの名義変更|離婚・相続・収入減少時の対応と注意点

    住宅ローンの名義変更は、離婚や相続、収入の変化など、人生の転機に直面したときに検討される重要な手続きです。名義変更は単なる書類の差し替えではなく、金融機関の審査や税務上の影響も伴うため、慎重な対応が求められます。 この記事では、名義変更の基本的な考え方から、ケース別の対応方法や代替手段、注意点までをわかりやすく解説します。 住宅ローンの名義変更が原則NGな理由とその例外 住宅ローンは、契約者の信用情報や返済能力をもとに金融機関が融資を行う仕組みです。そのため、名義変更(契約者の変更)は原則として認められていません。名義変更によって審査の前提が崩れるため、金融機関は慎重な姿勢を取ります。 ただし、以下のようなやむを得ない事情がある場合には、例外的に名義変更が認められることもあります。 離婚によって住宅の所有者や居住者が変わるケース 相続によって住宅の所有権が移転するケース 収入減少により返済が困難となり、家族に引き継ぐケース これらの例外について、具体的なケースごとの対応方法を詳しく見ていきましょう。 ケース別|住宅ローンの名義変更対応方法と注意点 住宅ローンの名義変更が必要になる状況は、人生のさまざまな転機に伴って発生します。ここでは、代表的な3つのケースについて、それぞれの対応方法と注意点を詳しく解説します。 離婚時の住宅ローンの名義変更 離婚により夫婦の生活が分かれると、住宅の所有者や居住者が変わることがあります。特に、ペアローンを利用していた場合は、どちらが住宅を引き継ぐか、ローンの返済をどうするかが大きな課題となります。 たとえば、夫名義の住宅に妻が住み続ける場合、妻が住宅を買い取る形で、夫から妻への名義変更を行い、新たに住宅ローンを契約する必要があります。この際、金融機関による審査が行われ、収入や信用情報、物件の担保評価などが確認されます。 また、離婚協議書や財産分与の内容が審査に影響することもあるため、事前に専門家へ相談し、必要書類を整えておくことが重要です。 関連記事はこちらペアローンは離婚したらどうなる?よくある問題と対処法を紹介 相続時の住宅ローンの名義変更 住宅ローンの契約者が亡くなった場合、相続人が住宅ローンを引き継ぐことになります。このとき、団体信用生命保険(団信)の加入状況によって対応が大きく異なります。 団信に加入している場合 保険金によって住宅ローンが完済されるため、相続人に返済義務は発生しません。 団信に未加入の場合 残債は相続人が引き継ぐ必要があり、住宅ローンの継続か売却かを判断する必要があります。 住宅ローンを引き継ぐ場合には、金融機関の審査が必要となり、相続人の収入や信用情報、物件の担保評価などが確認されます。また、遺産分割協議書などの提出も求められるため、相続発生後は早めに対応を始めることが望ましいです。 関連記事はこちら住宅ローンの団体信用生命保険とは?保障内容や特約を解説 収入減少時の住宅ローンの名義変更 病気や退職などにより収入が減少し、住宅ローンの返済が困難になるケースでは、家族への名義変更を検討することがあります。たとえば、親の収入が減った場合に、子が住宅ローンを引き継ぐ形で名義変更を行うケースです。 この場合、子が新たに住宅ローンを契約し、既存のローンを一括返済する「借り換え」が一般的な方法となります。借り換えには金融機関の審査があり、収入や信用情報、物件の担保評価などが確認されます。 また、借り換えによって名義変更が実現する場合でも、贈与税や登記費用などの負担が発生することがあるため、税理士や司法書士への相談をおすすめします。 関連記事はこちら住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点 住宅ローンの名義変更手続きと必要書類 住宅ローンの名義変更を進めるには、金融機関との調整や必要書類の準備、スケジュール管理が欠かせません。ここでは、手続きの流れと注意点を3つのステップに分けて解説します。 金融機関への事前相談 名義変更は、金融機関の承諾がなければ進めることができません。まずは、現在のローンを契約している金融機関に相談し、名義変更が可能かどうかを確認しましょう。金融機関によっては、名義変更そのものを認めていない場合もあります。その場合は、「借り換え」や「親子間売買」などの代替手段を提案されることもあります。 相談時には、以下のような情報を整理しておくとスムーズです。 名義変更の理由(離婚、相続、収入減少など) 新たに名義人となる予定の方の収入状況や勤務先 住宅の担保評価や残債額 また、手続きにかかる期間や必要書類、審査の流れについても事前に確認しておくと、後の準備がしやすくなります。 必要書類とスケジュール管理 名義変更には、状況に応じてさまざまな書類が必要になります。以下は主な例です。 【主な必要書類】 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) 収入証明書(源泉徴収票、給与明細、課税証明書など) 登記事項証明書(不動産の登記内容を確認する書類) 離婚協議書または遺産分割協議書(該当する場合) 住宅ローンの契約書や返済予定表 これらの書類は、提出時期や有効期限が決まっていることもあるため、スケジュール管理が非常に重要です。特に、相続や離婚などで複数の関係者が関わる場合は、書類の取り寄せや署名・押印に時間がかかることもあります。 余裕を持ったスケジュールを立て、必要に応じてチェックリストを作成しておくと安心です。 専門家への相談 名義変更には、税務や登記などの専門的な知識が求められる場面もあります。以下のような専門家に相談することで、手続きをより確実に、スムーズに進めることができます。 税理士 名義変更が贈与とみなされる場合の贈与税のリスクや、節税対策についてアドバイスを受けられます。 司法書士 不動産の登記変更手続きや、必要書類の確認・作成を代行してもらえます。 ファイナンシャルプランナー(FP) 家計全体の見直しや、ローン返済計画の再設計をサポートしてくれます。 専門家の力を借りることで、手続きの正確性と安心感が大きく高まります。特に初めて名義変更を行う方や、複雑な事情がある場合は、早めの相談をおすすめします。 住宅ローンの名義変更が難しい場合の代替手段 住宅ローンの名義変更は、金融機関の審査や契約条件によっては認められないケースもあります。そんなときは、名義変更に代わる方法を検討することで、実質的に同様の効果を得られる可能性があります。 ここでは、代替手段として「親子間売買」と「リースバック」の概要をご紹介します。 親子間売買の活用 親子間売買とは、親と子の間で不動産売買契約を結び、子が住宅を購入することで名義を変更する方法です。名義変更が難しい場合でも、所有権の移転を通じて実質的な名義変更が可能になります。 ただし、税務や住宅ローン審査の面で注意が必要です。詳しくは以下の記事で、メリット・デメリットや手続きの流れを解説しています。 関連記事はこちら不動産の親子間売買は難しい?デメリットと手続きについて解説 リースバックの活用 リースバックは、住宅を売却した後も同じ家に住み続けられる仕組みです。住宅ローンの返済が難しい場合や、名義整理をしたい場合に柔軟な選択肢となります。 契約内容や買い戻しの条件など、事前に確認すべきポイントがあります。詳しくは以下の記事で、仕組みやメリット・注意点を解説しています。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 住宅ローンの名義変更に関するよくある質問(FAQ) ここでは、住宅ローンの名義変更に関するよくある質問をまとめ、わかりやすくお答えします。本文では触れきれなかった細かなポイントも補足していますので、ぜひ参考にしてください。 Q. 名義変更をすると住宅ローンの金利は変わりますか? A. 名義変更そのものでは金利が変わることはありませんが、借り換えを伴う場合は新たな契約条件となるため、金利が変動する可能性があります。借り換え先の金融機関や契約内容によっては、金利が上がることも下がることもあるため、事前に比較検討が必要です。 Q. 名義変更後に住宅ローン控除は引き継げますか? A. 原則として、住宅ローン控除は契約者本人に適用されるため、名義変更後に新たな契約者が控除を受けるには、一定の条件を満たす必要があります。たとえば、居住要件や所得要件、登記名義との一致などが求められます。税務署や税理士に確認することをおすすめします。 Q. 名義変更後、団信はどうなりますか? A. 名義変更により住宅ローン契約が新しくなる場合、団信も新たに契約し直す必要があります。既存の団信は前契約者に紐づいているため、引き継ぎはできません。新契約者の健康状態によっては、団信に加入できないケースもあるため、事前の確認が重要です。 Q. 名義変更をせずに住宅を共有名義にすることはできますか? A. 可能ですが、住宅ローン契約との整合性が必要です。共有名義にする場合は、登記上の持分割合やローンの返済責任が明確である必要があります。金融機関によっては、共有名義に対してペアローンや連帯債務型の契約を求めることもあります。 まとめ 住宅ローンの名義変更は、離婚や相続、収入減少といった人生の節目に直面したときに検討される重要な手続きです。原則として金融機関の承諾が必要であり、審査や税務面での確認も伴うため、安易に進めることはできません。 しかし、状況に応じて名義変更が認められるケースもあり、借り換えや親子間売買、リースバックなどの代替手段を活用することで、実質的な名義変更が可能になる場合もあります。 手続きを進める際は、金融機関への事前相談や必要書類の準備を丁寧に行い、税理士・司法書士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家の力を借りることで、安心して対応することができます。 名義変更は、住まいや家族の将来に関わる大切な選択です。焦らず、正しい情報と適切なサポートをもとに、最善の方法を見つけていきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 財産分与とは?対象となる財産や算定方法、注意点を解説 もし離婚をすることになった場合、財産分与をすることになるでしょう。円満に離婚を進めるためにも、財産分与の制度内容を知っておくことが大切です。 この記事では、財産分与の概要や対象となる財産、注...

    2025.09.12住宅ローン
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