更新日: / 公開日:2019.10.01
不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高があったとしても借り入れできる人とできない人の差が何かを解説します。
まずは、不動産担保ローンの借入可能額がどのように計算されるのかを紹介します。
不動産は購入時点で、その購入額と評価額は10%以上乖離するともいわれています。たとえば、5,000万円の物件を購入したとすると、購入した直後であってもその評価額は4,500万円程度とみなされてしまうのです。つまり、物件を購入してすぐの住宅ローンの残高は、頭金を多めに支払っていない限り、不動産評価額より大きくなります。
また、不動産担保ローンの借入可能額は不動産評価額の60%~80%程度とされています。それはなぜでしょうか。例えば、金利1%で返済期間が35年の住宅ローンの場合、借り入れ当初の住宅ローン残高が30%減るのは約12年程度必要です。
万が一融資の返済が滞り、金融機関が担保不動産を現金化できなければ、その間に不動産価格が減少してしまうという恐れもあるのです。不動産担保ローンでは、このようなリスクに備えるために、あらかじめ融資限度額を不動産評価額の60%~80%に設定しています。
住宅ローンの残高が残っている場合、住宅ローンを融資している金融機関が第一抵当権を設定しています。万が一お金を返せなくなった時に、金融機関はその抵当権を行使することで、担保としている不動産を売却し融資の残額を回収します。
住宅ローンの返済が進んでいて、住宅ローンの残高を上回る借入可能額があり、第二抵当権を設定する担保余力があれば、不動産担保ローンとして新たに借り入れができます。ただし、不動産担保ローンでは不動産の評価と信用力の大きく分けて二つの審査対象があるため、必ずしも借入可能額まで借り入れできるわけではないことは理解しておきましょう。
住宅ローンの残高があっても借り入れできる人の例は下記のような人です。
頭金を入れて物件を購入した場合、その金額が大きければ住宅ローンの残高が不動産担保ローンの借入可能額に比べて少なくなる可能性があります。たとえば、5,000万円の物件を購入する際に、2,500万円を頭金として支払えば、住宅購入時点で住宅ローンの残高は2,500万円です。不動産購入直後の不動産評価額を90%の4,500万円、借入可能額を不動産評価額の80%とすると3,600万円となり、住宅ローンの残高2,500万円を差し引いた1,100万円分の担保余力が生まれます。
この担保余力は、万が一返済できなくなり住宅ローンの第一抵当権を行使された後でも現金が残るので、この範囲であれば金融機関としても安心して融資することができます。
このように頭金を入れて物件を購入すると、借入可能額に比べて住宅ローンの残高が減っているので、不動産担保ローンを借り入れできる可能性が高まります。
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に借入金を返済することをいいます。住宅ローンの繰り上げ返済をすることで、支払利息の減少や、返済期間の短縮などのメリットがあります。
住宅購入直後は、実際の購入代金が不動産評価額を上回り、担保余力がなかったとしても、住宅ローンを繰り上げ返済することにより、住宅ローンの残高が借入可能額を下回るようになれば、不動産担保ローンを借り入れできるようになります。
最近ではリーマンショックの後に不動産価格が大きく下落しました。このような時期に割安な価格で不動産を購入していれば、景気の回復に伴い不動産価格が上昇したときに、不動産評価額が購入時に比べて高くなることもあります。借入可能額と住宅ローンの残高の差額が担保余力となり、十分な余力があれば不動産担保ローンを借り入れできます。また、価格が大き上昇していれば、購入時の不動産価格を超えて借り入れできる場合もあります。
金利1%の35年の住宅ローンであった場合、当初残高が30%減るのは約12年程度必要でしたが、返済期間を20年に設定していた場合は7年程度で減ります。同じ金額を借り入れたとしても、毎月の元本返済額の違いにより、残高の減り方が異なります。このように、住宅ローンで同じ金額を借り入れたとしても、返済期間が短く、残高の減りが早ければ、不動産評価を住宅ローンの残高が早い段階で下回り、不動産担保ローンを借り入れられる可能性があります。
住宅ローンの残高があったとしても、不動産担保ローンを借り入れできる例を紹介してきました。住宅ローンの残高や不動産評価次第で不動産担保ローンを新たに借り入れできる可能性があります。住宅ローンの残高があったとしても資金不足で困っているなら、一度相談してみてはいかがでしょうか。
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