住宅ローン返済中でも不動産担保ローンは使える?借り入れ可能な人の条件

更新日: / 公開日:2019.10.01

「まだ住宅ローンが残っているけど、家を担保にしてお金は借りられるのかな…」そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。実は、住宅ローン返済中でも条件を満たせば不動産担保ローンを利用できる可能性があります。

この記事では、住宅ローンの残債がある状態で不動産担保ローンを借りられる人の特徴や借入可能額の仕組み、審査のポイントをわかりやすく解説します。

不動産担保ローンの借入可能額は「不動産評価額」と「住宅ローン残高」で決まる

不動産担保ローンを検討する際、まず知っておきたいのが「いくらまで借りられるのか」という点です。借入可能額は、担保にする不動産の評価額と、すでに残っている住宅ローンの残高によって大きく左右されます。

不動産の購入価格と評価額にはギャップがある

不動産は購入した瞬間から、評価額が購入価格よりも低く見積もられることが一般的です。たとえば5,000万円で購入した物件でも、金融機関が評価する担保価値は4,500万円程度とされるケースがあります。

つまり、購入直後の住宅ローン残高は、不動産評価額を上回っている可能性が高いのです。そのため、住宅ローンを組んだばかりのタイミングでは、不動産担保ローンを借りるのが難しいこともあります。

借入可能額は評価額の60〜80%が目安

不動産担保ローンの借入可能額は、一般的に不動産評価額の60%〜80%の範囲で設定されます。これは、万が一返済が滞った場合に備えて、金融機関がリスクヘッジを行っているためです。

たとえば不動産評価額4,500万円の物件なら、借入可能額は2,700万円〜3,600万円程度が目安となります。住宅ローンの残高がこの範囲を下回っていれば、追加で借りられる可能性が出てきます。

なお、この割合は金融機関や物件の種類(戸建て・マンション・土地など)によっても異なるため、事前に確認しておくと安心です。

住宅ローンが残っている場合は「第二抵当権」がカギ

住宅ローンが残っている不動産には、すでに第一抵当権が設定されています。この状態で不動産担保ローンを借りるには、住宅ローンの残高を差し引いた「担保余力」が必要です。この担保余力とは、「評価額の中で、すでに設定されている住宅ローン残高を差し引いた残りの価値」のことを指します。

たとえば、評価額3,600万円の物件に対して住宅ローン残高が2,000万円であれば、差額の1,600万円が担保余力となります。この担保余力をもとに、第二抵当権を設定して不動産担保ローンを組むことが可能です。

なお、金融機関によっては、担保余力があったとしても第二抵当権であるという理由で取り扱いができないこともあります。詳細は各金融機関に問い合わせてみるといいでしょう。

借入可能額があっても、審査次第で借りられないこともある

注意したいのは、評価額や担保余力が十分にあっても、必ずしもその金額を借りられるわけではないという点です。不動産担保ローンでは、以下の2つの審査が行われます。

  • 不動産の担保価値(評価額・抵当権の状況)
  • 申込者の信用力(年収・返済比率・信用情報など)

借入可能額はあくまで不動産評価から見た融資額の上限であり、実際の融資額は与信も含めた審査結果によって総合的に決まることを理解しておきましょう。審査に通るかどうかは個別の状況によって異なるため、まずは事前相談や仮審査を受けてみるのがおすすめです。

住宅ローンが残っていても不動産担保ローンを借りられる人の特徴

住宅ローンが残っていても、不動産担保ローンを利用できる可能性はあります。以下のような条件に当てはまる人は、借り入れがしやすい傾向があります。

頭金を多く支払って不動産を購入した人

頭金を多く支払って不動産を購入した場合、住宅ローンの残高が少なくなるため、担保余力が生まれやすくなります。

たとえば、5,000万円の物件を購入する際に、2,500万円の頭金を支払ったとします。この場合、住宅ローンの残高は2,500万円です。物件の評価額が購入価格の90%(4,500万円)とされ、さらにその80%までが借入可能額とすると、借りられる上限は3,600万円になります。

この借入可能額(3,600万円)から住宅ローン残高(2,500万円)を差し引いた1,100万円が「担保余力」となり、その範囲内で不動産担保ローンを利用できる可能性がある、というわけです。

繰り上げ返済をしている人

繰り上げ返済により住宅ローンの残高が早く減れば、担保余力が生まれやすくなります。購入当初は担保余力がなくても、繰り上げ返済によって残高が借入可能額を下回れば、不動産担保ローンを利用できる可能性が高まります。

不動産価格が安い時期に購入した人

不動産価格が下落していた時期に購入した物件は、後に価格が上昇すれば評価額が購入価格を上回ることがあります。評価額が上がれば担保余力が生まれ、不動産担保ローンを利用できる可能性が高まります。

返済期間が短く、残高の減りが早い人

返済期間が短い住宅ローンは、元本の減りが早く、残高が早期に減少します。たとえば、20年ローンであれば35年ローンより2倍近いスピードで残高が減るため、不動産評価額が住宅ローン残高を上回るタイミングが早くなり、不動産担保ローンを利用できる可能性が高まります。

まとめ

住宅ローンが残っていても、不動産担保ローンを利用できる可能性は十分にあります。 ポイントは、不動産の評価額と住宅ローン残高のバランス、そして担保余力があるかどうかです。

特に以下のようなケースでは、借り入れがしやすくなります。

  • 頭金を多く入れて購入した場合
  • 繰り上げ返済で残高を減らしている場合
  • 不動産価格が上昇している場合
  • 返済期間が短く、残高の減りが早い場合

不動産担保ローンは、資金調達の選択肢として有効ですが、審査には不動産の価値だけでなく、申込者の信用力も見られます。自分は借りられるのか?と感じた方は、まずは金融機関に相談し、仮審査をしてみるといいでしょう。

ご所有の不動産を担保にいくらまで
融資可能かをご回答いたします。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。