「住宅ローン」の記事一覧

  • フラット35への借り換えにメリットはある?目的別に判断基準を紹介

    全期間固定金利型住宅ローンのフラット35は新規借り入れだけでなく、借り換えとしても利用することができます。フラット35への借り換えを検討する場合は、目的を明確にしたうえでメリットがあるかを見極めることが大切です。 この記事では、フラット35への借り換えの効果や判断基準を目的別に紹介します。 住宅ローンを借り換える目的 まず、住宅ローンを借り換える目的を整理すると、以下3つの目的が考えられます。 総返済額を軽減する 月々の返済額を軽減する 金利上昇リスクを回避する 総返済額や月々の返済額を減らすためには、現在借りている住宅ローンよりも低金利の商品に借り換えたり、返済期間を変更したりする方法があります。また、金利上昇リスクを避けるためには、固定金利に変更することが有効です。 それぞれの方法と特徴について見ていきましょう。 ①総返済額を減らしたい場合 総返済額を減らすために、住宅ローンの借り換えを検討する人は多いでしょう。ここでは、現在借りている住宅ローンの金利タイプ別に、フラット35へ借り換えたときに想定される事例を紹介します。 変動金利型からフラット35への借り換え 昨今の変動金利型住宅ローンは金利が低い傾向にあるため、借入期間の短い人がフラット35へ借り換えると、基本的に金利は上がります。銀行の変動金利型は1%を下回る商品もありますが、2024年6月現在のフラット35の最低金利は1.850%です。 そのため、金利が下がるような事例は借入が20年以上前の人など、一部の人に限られるかもしれません。 出典) ・【フラット35】金利情報 ・【フラット35】借入金利の推移 また、借り換えをするとき、借入先の金融機関によって、繰上げ返済手数料が求められます。さらに、借り換え後の適用金利が上がるとなれば、総返済額を減らす目的で、フラット35へ借り換えるメリットはないでしょう。 全期間固定金利型からフラット35への借り換え 全期間固定金利型からフラット35への借り換えは、金利タイプが同じであるため、金利を比較しやすいのが特徴です。借り換えによって金利が下がれば、基本的に総返済額を減らすことができます。 ただし、金利が低いローンへ借り換えればよいとは限りません。借り換えには繰上げ返済手数料などがかかります。借り換えによる総返済額の減少額が手数料より大きくならないと、経済的なメリットはありません。 手数料を加味したうえで総返済額が減るかシミュレーションを行い、借り換えの判断を行いましょう。 当初固定金利型からフラット35への借り換え 当初固定金利型では、固定金利期間が終了した後も固定金利期間を継続できる商品もあるため、「変動型に切り替える」「固定金利を継続する」「他の金融機関に借り換える」という3つの選択肢が生まれます。 また、固定金利期間が終わった後の優遇金利が小さくなる商品もあるため、このタイミングでフラット35へ借り換えると総返済額を減らせるかもしれません。 ②毎月の返済額を減らしたい フラット35への借り換えは、毎月の返済額を減らしたい場合にも有効です。金利は下がらなくても、借り換えによって現在より返済期間を長くすれば、毎月の返済額を減らすことができます。 手数料や返済期間の延長によって総返済額が増えることを理解したうえで、それでも毎月の返済額を減らしたいのであれば選択肢となるでしょう。 ただし、フラット35への借り換えが最適とは限りません。他の商品とも比較検討したうえで、借り換え先を判断する必要があります。フラット35へ借り換える場合、年齢や現在の住宅ローンの残返済期間によっては、返済期間を長くして毎月の返済額を減らすことができない場合もあるので注意が必要です。 参考)住宅金融支援機構「借換融資のご利用条件(借入期間)」 ③金利を固定化したい 金利上昇リスクへの対策として、金利を固定化するためにフラット35への借り換えを検討する人もいるでしょう。当てはまるのは、次の2つのケースです。 現在の住宅ローンが変動金利型の場合 当初固定金利型で、固定金利期間終了後は変動金利型に切り替わる場合 借り換え時の条件によって総返済額が増えたとしても、変動金利型を続けることに不安があるなら選択肢となります。住宅ローンの残返済期間が長ければ、将来の不確実性が高くなり、金利を固定化する効果は高くなるという見方ができます。 フラット35への借り換えパターン フラット35へ借り換える場合、一般的なフラット35(買取型)を利用する以外にも以下のような選択肢があります。 ①フラット20 フラット20とは、フラット35のうち借入期間が15年以上20年以下のものです。フラット35に比べて適用金利が低いのがメリットです。2024年6月現在のフラット35の最低金利は1.850%ですが、フラット20は1.460%となっています。 ある程度返済が進んでおり、残返済期間が短い人はフラット20への借り換えが向いているでしょう。 出典)フラット35「金利情報」 ②フラット35保証型 フラット35は、買取型と保証型の2種類があります。 保証型への借り換えを使えば、買取型よりも適用金利を下げることができるかもしれません。例えば、買取型と保証型を両方取り扱っている金融機関(SBIアルヒなど)であれば、保証型を利用するほうが金利面で有利といえます。 2024年6月実行金利 商品名 借入期間 金利 保証型 ARUHI スーパーフラット(団信加入) 15年~35年 年1.840% 買取型 ARUHI フラット35(団信加入) 21年~35年 年1.850% 出典)ARUHI「住宅ローン金利一覧」 ただし、最も良い条件での比較であれば大幅に有利にはならないかもしれません。借り換えの融資条件については、保証型の取扱金融機関に確認しましょう。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? その他の選択肢 リ・バース60への借り換えという選択肢 借り換え時の年齢や目的によっては、リ・バース60も選択肢になるかもしれません。リ・バース60とは、満60歳以上の人向けの住宅ローンです。 一般的な住宅ローンとは異なり、毎月の支払いが利息のみで、元金は債務者が亡くなったときに一括返済する仕組みです。 毎月の返済額が小さくなるうえに、借入時や完済時の年齢を心配しなくていいのがメリットです。自宅の売却によって借入金を完済する場合、相続で残すことはできませんが、ノンリコース型を選択すれば担保不動産の売却だけで元金を一括返済できなかったとしても、債務が残らないため安心です。 60歳以上の人が住宅ローンの借り換えを検討するなら、リ・バース60も選択肢となるでしょう。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 繰上げ返済するかどうかも併せて検討する 総返済額を減らすことが目的であれば、繰上げ返済も有効な手段です。手元資金に余裕があるなら、手数料を支払って借り換えるより、繰上げ返済をした方が経済的なメリットを得られる可能性があります。借り換えと併せて検討するといいでしょう。 手元に余裕資金がない場合は、繰上げ返済の選択肢はなくなります。フラット35への借り換えでは、かかる手数料も元金に含めて借り換えが可能です。手元資金がなくても借り換えができるため、手数料分だけ元金が増えることを加味しても総返済額が減るなら検討の余地があるでしょう。 出典)フラット35「借換えの場合、融資手数料などの諸費用を借入額に含めることができますか。」 まとめ フラット35への借り換えが有効かどうかは、現在の住宅ローンの返済状況や借り換えの目的によって異なります。まずは、現在の住宅ローンの金利や借入残高、残りの返済期間などを整理し、目的を明確にしましょう。 不利な条件で借り換えを行わないように事前にシミュレーションを行い、フラット35へ借り換えるメリットがあるかどうかを判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの借り換えはなぜ行った?実態調査から見えたこと 住宅ローンの返済を続けていると、毎月の返済を軽減できないかを考えることもあるでしょう。住宅ローンの借り換えを行うことで返済負担を減らせる可能性もありますが、タイミングを見誤ると、思ったより効...記事を読む

  • フラット35を利用するために必要な適合証明書とは?

    マイホームを建築・購入する際に、全期間固定型住宅ローンのフラット35を利用するには「適合証明書」の取得が必要です。適合証明書とはどのような書類で、どうすれば取得できるのでしょうか。 この記事では、フラット35の契約時に必要な適合証明書の概要と物件検査の流れ、注意点について解説します。 フラット35の適合証明書とは 実は、「適合証明書」という名称の書類は2種類あります。一つは、今回解説するフラット35の適合証明書で、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合した住宅であることを証明する書類です。もう一つは、都市計画法の許可が不要である特定の建築行為であることや、開発許可済地における建築行為の際に、建築計画が開発許可の内容に適合していることなどを証明する書面です。 フラット35を契約する際は、取扱金融機関へ住宅金融支援機構が定める適合証明書を提出しなくてはなりません。第三者である適合証明検査機関、または適合証明技術者(適合証明技術者は中古住宅・借り換え対象の住宅のみ)による物件検査の結果、技術基準を満たしていれば適合証明書が発行される仕組みです。 出典)【フラット35】新築住宅の物件検査 適合証明書発行業者の一覧はこちらをご確認ください。 参考)住宅金融支援機構「適合証明機関一覧」 フラット35の適合証明書発行のための物件検査 フラット35の適合証明書を取得するために受ける物件検査は、新築住宅と中古住宅で手続きが異なります。 新築住宅の場合 新築住宅の物件検査の一般的な流れは以下のとおりです。 sup { font-size: 0.65em; vertical-align: super; } 設計検査 中間現場検査※ 竣工現場検査 適合証明書の交付  ※中間現場検査は一戸建てのみ 設計検査では、設計図面や仕様書などの書類をもとに、フラット35の技術基準を満たしているかを確認されます。新築戸建て住宅の場合、現場検査は2回です。1回目の中間現場検査は屋根工事が完了した時点以降に、2回目の竣工現場検査はすべての工事が完了した時点で行われます。 いずれも、目視できる範囲で技術基準に適合しているかをチェックされます。なお、新築マンションの場合は、中間現場検査の実施がありません。これらの検査に合格すると、適合証明書が交付されます。 また、新築住宅では、建築基準法に基づく検査済証が交付されていることも確認項目です。検査済証は、建物が完成した後に行われる検査後に発行されるもので検査済証の再発行はできないので注意しましょう。 出典) ・【フラット35】新築住宅の物件検査 ・【フラット35】技術基準・検査ガイドブック ・座間市「1 建築確認済証と検査済証について」 中古住宅の場合 中古住宅の物件検査は次の2つです。 書類審査 現地調査 書類審査では、設計図面や登記事項証明書などをもとに、フラット35の技術基準を満たしているかを確認されます。現地調査では、住宅の現状が技術基準に適合しているかを目視等で確認されます。 書類審査と現地調査に合格すれば、適合証明書が交付される仕組みです。 出典)【フラット35】中古住宅の物件検査の概要 なお、以下2つのいずれかに該当する中古住宅の場合、物件検査の省略できます。 1.中古マンションらくらくフラット35 フラット35の技術基準に適合していることを、あらかじめ確認した中古マンションです。物件情報検索サイト「中古マンションらくらくフラット35」を利用すれば、該当するマンションを検索できます。 2.一定の要件を満たす中古住宅 下表の1~4の中古住宅については、それぞれ対応する「【フラット35】中古住宅に関する確認書」を取扱金融機関に提出することで、物件検査を省略できます。また、下表の右欄に示す【フラット35】S及び【フラット35】維持保全型を利用できます。 ※住宅金融支援機構と協定を締結した団体が運営する中古住宅の登録制度の対象となる住宅 対象となる中古住宅 利用できる【フラット35】S 及び【フラット35】維持保全型 1 築年数が20年以内の中古住宅で、 長期優良住宅の認定を受けている住宅 ・【フラット35】S(金利Aプラン) ・【フラット35】維持保全型 2 安心R住宅である中古住宅で、 新築時に【フラット35】を利用している住宅※1 ・【フラット35】S(金利Bプラン) ・【フラット35】維持保全型 3 築年数が10年以内の中古住宅で、 新築時に【フラット35】を利用している住宅※1 ・【フラット35】S(金利Bプラン) 4 団体登録住宅※2である中古住宅で、当該団体があらかじめ 【フラット35】の基準に適合することを確認した住宅 ・【フラット35】S(ZEH・金利Aプラン・金利Bプラン) ・【フラット35】維持保全型 (注)基準に適合する場合のみ ※1 新築時のフラット35の融資が【フラット35(保証型)】であった場合、この確認書を利用して借入申込みができる金融機関は売主が新築時にフラット35(保証型)を利用した金融機関に限られます。 ※2 団体登録住宅とは、機構と協定を締結した団体が運営する中古住宅の登録制度の対象となる住宅です。 なお、上記の要件を満たす中古住宅は、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる「フラット35S」及び【フラット35】維持保全型を利用できます(金利引下げメニューは住宅によって異なる)。 関連記事はこちらフラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 フラット35の技術基準となる項目 フラット35では、新築住宅と中古住宅でそれぞれ技術基準が定められています。 新築住宅の基準項目 新築住宅の基準項目とその概要は以下のとおりです。 一戸建て住宅など(※1) マンション 接道 原則として一般の道に2m以上接すること。 住宅の規模(※2) 70㎡以上 30㎡以上 住宅の規格 原則として2以上の居住室(家具等で仕切れる場合でも可)、炊事室、便所及び浴室の設置 併用住宅の床面積 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上 戸建型式など 木造の住宅(※3)は一戸建てまたは連続建てのみ 断熱構造(※4) 次のいずれかに該当すること。 (1)断熱等性能等級4以上、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上 (2)建築物エネルギー消費性能基準(別途、結露防止措置の基準あり) 住宅の構造 耐火構造もしくは準耐火構造(※5)であることまたは耐久性基準(※6)に適合すること。 配管設備の点検 点検口などの設置 共用配管を構造耐力上主要な壁の内部に設置しないこと。 区画 住宅相互間等を1時間準耐火構造などの界床・界壁で区画 床の遮音構造 - 界床を厚さ15cm以上(RC造の場合) 維持管理基準 管理規約 - 管理規約が定められていること。 維持管理基準 長期修繕計画 - 計画期間20年以上 ※1. 一戸建て住宅等には、連続建て住宅及び重ね建て住宅を含みます。 ※2. 住宅の規模とは、住宅部分の床面積をいい、車庫や共用部分(マンションの場合)の面積を除きます。 ※3. 木造の住宅とは、耐火構造の住宅及び準耐火構造(※5)の住宅以外の住宅をいいます。 ※4. 2023年4月1日以降に設計検査の申請を行う住宅であっても、建築確認検査を受けた日(建築確認検査不要な住宅は着工日)が2023年3月31日以前の場合は、従前の基準(断熱等性能等級2相当)を適用できます。 ※5. 準耐火構造には、省令準耐火構造を含みます。 ※6. 耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔等に関する基準です。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】新築住宅の技術基準の概要」 後述する中古住宅にはありませんが、新築住宅では断熱構造や配管設備の点検、区画などが基準項目に含まれています。 中古住宅の基準項目 中古住宅の基準項目とその概要は以下のとおりです。 一戸建て住宅など(※1) マンション(※2) 接道 原則として一般の道に2m以上接すること。 住宅の規模(※3) 70㎡以上(共同建ての住宅は30㎡以上(※4)) 30㎡以上(※4) 住宅の規格 原則として2以上の居住室(家具等で仕切れる場合でも可)ならびに炊事室、便所及び浴室の設置 併用住宅の床面積 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上 戸建型式等 木造の住宅(※5)は一戸建てまたは連続建てに限る 住宅の構造 耐火構造、準耐火構造(※6)または耐久性基準(※7)に適合 住宅の耐震性 建築確認日が昭和56年6月1日以後(※8)であること (建築確認日が昭和56年5月31日以前の場合(※9)は、耐震評価基準などに適合) 劣化状況 土台、床組等に腐朽や蟻害がないこと等 外壁、柱等に鉄筋の露出がないこと等 維持管理基準 管理規約 - 管理規約が定められていること。 維持管理基準 長期修繕計画 - 計画期間20年以上 ※1. 一戸建て住宅等には、連続建て住宅、重ね建て住宅及び地上2階以下の共同建ての住宅を含みます。 ※2. マンションとは、地上3階以上の共同建ての住宅をいいます。 ※3. 住宅の規模とは、住宅部分の床面積をいい、車庫やバルコニー等は含みません。 ※4. 共同建ての住宅の場合は、建物の登記事項証明書による確認においては、28.31㎡以上あれば構いません。 ※5. 木造の住宅とは、耐火構造の住宅及び準耐火構造(※6)の住宅以外の住宅をいいます。 ※6. 準耐火構造には、省令準耐火構造を含みます。 ※7. 耐久性基準とは、基礎の高さ、床下換気孔等に関する基準です。 ※8. 建築確認日が確認できない場合は、新築年月日(表示登記における新築時期)が昭和58年4月1日以後とします。 ※9. 建築確認日が確認できない場合は、新築年月日(表示登記における新築時期)が昭和58年3月31日以前とします。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】中古住宅の技術基準の概要」 中古住宅は過去に人が居住したことがあるため、住宅の耐震性や劣化状況が基準項目に含まれています。 フラット35の適合証明書のメリットや注意点 適合証明書のメリット フラット35を利用するために、わざわざ物件検査を受けて適合証明書を取得しなくてはならないことを面倒だと思うかもしれません。しかし、第三者の物件検査を受けて合格し、所定の技術基準をクリアしていることが証明されれば、住宅を取得するうえで安心感につながります。 今後長い間マイホームに住むことを考えると、手間や費用をかけるだけの価値はあるのではないでしょうか。 適合証明書の注意点 適合証明書の発行にかかる費用と有効期限 フラット35の適合証明書の発行にかかる物件検査費用や発行までにかかる時間は、依頼した会社によって異なります。適合証明書がないと契約ができないため、スケジュールに余裕をもって物件検査の申請を行うことが大切です。 適合証明書の有効期限 フラット35の適合証明書には有効期限があります。新築住宅は、竣工から2年以内に借入れの申し込みをする必要があるため、適合証明書も竣工から2年以内に借入れの申し込みを行った場合のみ有効です。 中古住宅の場合、適合証明書の有効期限は以下のとおりです。 一戸建て:現地調査実施日から1年間 マンション(竣工から5年超):現地調査実施日から3年間 マンション(竣工から5年以内):現地調査実施日から5年間 また、物件検査が不合格で、適合証明書を発行できなくても費用はかかる点にも注意しましょう。 まとめ フラット35を利用するには、物件検査を受けて適合証明書を取得する必要があります。費用はかかりますが、第三者の物件検査を受けて合格し、所定の技術基準を満たしていることが証明されれば、住宅を取得するうえで安心感につながります。 物件検査の依頼先がわからない場合は、不動産会社や建築会社などの専門家に相談しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35の審査基準を徹底解説! フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利が確定するため、返済計画を立てやすく、金利変動リスクへの備えとなります。ただし、フラット3...記事を読む

  • 親が住むための住宅ローンの種類と特徴、注意点を解説

    高齢になると、一般的に収入や年齢の関係で住宅ローンを組むのが難しくなります。しかし、老後は持ち家の老朽化やライフスタイルの変化などで、建て替えや住み替えのニーズが高まる時期でもあります。そのような時に、親に代わって子どもが住宅ローンを組める可能性があります。 この記事では、親が住むために組める住宅ローンの種類と特徴、注意点について解説します。 親が住むための住宅ローンの種類 親が住む家を購入する際に、子どもが組める住宅ローンとして、次の2つのローンが考えられます。 親族居住用住宅ローン セカンドハウスローン 親族居住用住宅ローンは、申込者の両親や子、孫などの親族が住むための住宅を建築・購入する際に利用できるローンです。申込者本人が居住する必要はありません。 セカンドハウスローンは、現在の自宅の他に、自分で利用するための住宅を取得する際に利用できるローンです。転勤時の仮住まい、週末に過ごすための別荘・別宅などの購入に利用できます。 どちらも住宅金融支援機構の提供するフラット35で取り扱っており、提携金融機関を通じて申込みができます。次の見出し以降では、フラット35における親族居住用住宅ローンとセカンドハウスローンのそれぞれの特徴と注意点を説明していきます。 親族居住用住宅ローンの特徴 まずは、親族居住用住宅ローンの特徴を確認していきましょう。 住宅ローンの借り入れがあっても利用可能 一般的な住宅ローンは、申込者本人が住む家の購入資金が融資対象です。すでに住宅ローンの借り入れがある場合、原則として2軒目の家の購入について住宅ローンを組むことはできません。しかし、親族居住用住宅ローンなら、住宅ローンの返済中でも親が住む家の購入が目的であれば利用できます。 出典)フラット35「Q 申込人が居住するための住宅と親族が居住するための住宅の両方について、同時に借入れの対象になりますか?」 同居・別居は不問 親族居住用住宅ローンを利用する場合、親との同居・別居は問われません。親と同居することも、別々に住むことも可能です。 収入合算が可能 親族居住用住宅ローンは、申込者の収入と、購入する家に入居する親の収入を合算して審査を受けられます。収入合算を行うことで、申込者単独で契約するよりも借入額を増やすことができます。 フラット35の場合、次のすべての要件にあてはまる人(1名)との収入合算が可能です。 申込時の年齢が70歳未満の人 連帯債務者となることができる人 申込者と同居する人(申込者の親、子、配偶者など)、または融資対象住宅に入居する人 収入合算は、申込者単独では借入希望額に満たない場合に有効といえるでしょう。 住宅ローン控除は受けられない sup { font-size: 0.65em; vertical-align: super; } 住宅ローンを組んで住宅を建築・購入する場合、通常は住宅ローン控除が適用されます。※1しかし、親族居住用住宅ローンでは、原則として住宅ローン控除を受けられません。 住宅ローン控除は、住宅取得者の金利負担の軽減を図ることが目的のため、申込者が住まない住宅は控除の対象外となります。 ただし、融資対象住宅に居住する人が連帯債務者になる場合、その連帯債務者は住宅ローン控除を受けられます。例えば、子どもが親のために融資を受けて家を購入した際、親が連帯債務者になっている場合は、親が組んだ住宅ローンは住宅ローン控除の対象となります。 ※1 2024年、2025年に新築住宅に入居する場合、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅で、住宅ローン減税を受けるには省エネ基準に適合する必要があります。 出典) ・国土交通省「住宅ローン減税」 ・フラット35「親族居住用住宅のお申込みについて」 セカンドハウスローンの特徴 次に、セカンドハウスローンの特徴を説明します。 すでに自宅を所有している人が利用可能 セカンドハウスローンは、すでに自宅を所有している人が利用できる住宅ローンです。別荘など2軒目の住宅取得を目的としているため、自宅を所有していない人が、親が住む家を購入するためにセカンドハウスローンを利用することはできません。 返済比率などの条件からハードルが高い セカンドハウスローンは、通常の住宅ローンに比べると審査が厳しい傾向にあります。すでに自宅を所有しており、住宅ローンの返済中に申し込むケースが多いため、返済比率などの条件から審査基準が高くなりやすいからだと考えられます。 フラット35の場合、すべての借り入れについて総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)について次の基準を満たす必要があります。          年収400万円未満 年収400万円以上 総返済負担率の基準30%以下35%以下 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」 仮に融資を受けられたとしても、住宅ローンにセカンドハウスローンの支払いが上乗せされるため、返済負担が大きくなりすぎないように注意しましょう。 金利は一般的な住宅ローンよりも高い セカンドハウスローンの金利は、一般的な住宅ローンより高めに設定されています。住宅ローンの借り入れがある状態で利用すると、さらに返済額が増えるため貸し倒れリスクが高まることも影響していると考えられます。 住宅ローン控除は受けられない 親族居住用住宅ローンと同様に、セカンドハウスローンも住宅ローン控除の適用対象外です。比較的金利が高いことに加えて、住宅ローン控除を受けられないため、想定以上に返済負担が大きくなる恐れがあります。 住宅ローンを返済中にセカンドハウスローンを組む場合は、住宅ローン控除を受けられないことを前提に返済計画を立てることが大切です。 出典)フラット35「セカンドハウスのお申込みについて」 まとめ 親が住む家の住宅ローンを組む場合は、「親族居住用住宅ローン」と「セカンドハウスローン」の2つが選択肢となります。 どちらも住宅ローンの返済中でも利用が可能です。ただし、返済負担が大きくなることに加えて住宅ローン控除を受けられないため、無理のない返済計画を立てることが大切です。利用を検討する場合は、両者の違いを理解したうえで取扱金融機関に相談してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 親子リレーローンは、親子二世代にわたって返済する仕組みの住宅ローン商品です。親子リレーローンを利用することで、単独でローンを組むより借入金額を増やせる可能性があります。一方で、親子リレーロー...記事を読む

  • ペアローンは離婚したらどうなる?よくある問題と対処法を紹介

    住宅を購入する際にペアローンを組むことで、夫婦のどちらか一方が単独で住宅ローンを組むより借入額を増やせるなどのメリットがあります。しかし、ペアローンを組んだ夫婦が離婚する場合、自宅の扱いや住宅ローンの返済をどうするのかを決めなければなりません。 この記事では、ペアローンを組んだ夫婦が離婚する場合の問題点と対処法を詳しく解説します。 そもそもペアローンとは? ペアローンとは、一定の収入がある同居親族と一緒にそれぞれが主たる債務者として、同一物件の購入を目的に住宅ローンを組む方法です。夫婦の場合、夫と妻がそれぞれ住宅ローンを組み、それぞれが相手の連帯保証人となります。 2人の借入額を合わせることによって、夫婦のどちらか一方が単独で住宅ローンを組むより高額の住宅を購入できます。その他にも以下のようなメリットがあります。 夫婦の双方に住宅ローン控除が適用される 夫婦がそれぞれ異なる条件で住宅ローンを組める(固定金利と変動金利を分けるなど) 一方で、ペアローンには以下のようなデメリットもあります。 住宅ローンを2つ組むので諸費用も2倍になる 夫婦のどちらかの収入が減少すると返済が苦しくなる なお、ペアローンと似た方法として、夫婦の収入を合算した金額をもとに住宅ローンを借り入れる「収入合算」という方法があります。こちらは、夫婦のどちらか一方が連帯保証人となって1つの住宅ローンを組む点で異なります。 ペアローンを組んだのに離婚することになったら? ペアローンを組んだ夫婦が離婚する場合、何もしなければ、それぞれが今までどおり返済を続けることになります。しかし、今後の2人の生活を考えると、以下の2点について検討したほうがいいでしょう。 自宅をどうするか 債務をどうするか まずは、離婚後はどちらも自宅に住まないのか、あるいはどちらか一方が住み続けるのかを話し合って決めましょう。そのうえで、状況に応じて債務をどうするか考える必要があります。 自宅にどちらも住まない場合の対処法 離婚後、自宅にどちらも住まない場合は、「売却する」「賃貸に出す」の2つの選択肢が考えられます。どちらを選ぶ場合も、双方の合意が必要です。 自宅を売却する場合 自宅を売却する場合は、売却代金で2人の債務を返済することになります。売却価格が債務を上回る「アンダーローン」であれば、売却代金で2人の債務を完済できます。完済後に残った売却益については、話し合って適切に分ければきれいに精算できるでしょう。   しかし、売却価格が債務を下回る「オーバーローン」の場合、売却代金でローンを完済することができません。この場合だと、そもそも債権者である金融機関に自宅売却の承諾を得られない恐れがあります。また、もし自宅を売却できたとしても、引き続き返済を続けなければなりません。 自宅を賃貸に出す場合 離婚後に住宅を賃貸に出す場合は、賃料収入などで引き続きローンを返済していくことになります。 ただし、住宅ローンは資金使途が住宅購入や借り換えに限られるため、賃貸用不動産に対応している事業用ローンへの借り換えが必要です。一般的に事業用ローンは住宅ローンより金利が高く、住宅ローン控除の適用外となります。 離婚後も不動産を共有したまま賃貸に出す場合、退去時の入居者募集や住宅の修繕はどうするかなど、協力して賃貸経営をしなければなりません。良好な関係を維持できず、定期的にコミュニケーションがとれない場合は難しいでしょう。 賃貸に出す場合は、夫婦の一方が賃貸用不動産も借りられるローン(単独債務)に借り換えるのが現実的といえます。 自宅にどちらかが住み続ける場合の対処法 離婚後に夫婦のどちらかが自宅に住み続ける場合は、「引き続き双方で返済を続ける」「一方が債務を引き受ける」の2つの選択肢があります。 引き続き双方で返済を続ける場合は、一方が住まない家のためにローンを払い続けることになります。出ていく側が、子どもの養育費や慰謝料の代わりにローン返済を続ける場合もあるでしょう。 しかし、基本的には住み続ける側が出ていく側の債務を引き受け、返済を続けるのが自然な流れといえます。ただし、「一方が債務を引き受けても滞りなく返済が行われる」と判断されなければ、金融機関の承諾は得られません。状況によっては、金融機関から断られる恐れもあります。 まずは金融機関と相談する必要がありますが、必ず許可されるとは限らないことを理解しておきましょう。 リースバックという選択肢 ペアローンを組んだのに離婚する場合、夫婦の一方は「自宅に住み続けたい」、もう一方は「住んでいない家の住宅ローンをなくしたい」という要望もあるでしょう。住み続けたい側が出ていく側の債務を引き受けるのが難しいときは、リースバックで問題が解消できる可能性があります。 リースバックを利用すれば、自宅を売った売却代金でペアローンを完済しつつ、住み続けたい側がリースバック運営会社と賃貸借契約を結んでその家に住み続けることが可能です。 ただし、リースバックもアンダーローンにならないと、サービスを利用できません。売却価格はリースバック運営会社によって異なるので、利用を検討する場合は、仮査定を依頼するといいでしょう。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ ペアローンを組んだ夫婦が離婚する場合、何も対応しなければ、どちらもそのまま返済を続けなくてはなりません。まずはどちらも自宅に住まないのか、どちらか一方が住み続けるのかを決めたうえで、債務について検討することが大切です。 住み続けたい側が一方の債務を引き受けるのが難しい場合は、リースバックで問題を解消できないか検討してみましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 リースバックを検討するにあたり、どのように契約が進んでいくのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックの契約が終わってから後悔することが無いように、契約がどのような流れで進み、何...記事を読む

  • 住宅ローンの5年ルールと125%ルールとは?メリット・デメリットを解説

    住宅ローンを変動金利型で組んだ場合、金利が上昇し、返済額が増えるのではないか、と不安に感じるかもしれません。 しかし、多くの金融機関では、金利が上昇しても急に返済額が変わらない「5年ルール」や「125%ルール」が採用されています。住宅ローンを変動金利型で組む場合は、これらのルールや仕組みを理解しておくことが重要です。 この記事では、住宅ローンの5年ルール、125%ルールの概要やメリットとデメリットについて詳しく解説します。 5年ルールとは? 5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は住宅ローンの返済額が変わらない措置です。住宅ローンの変動金利型は、通常半年ごとに適用金利が見直されるので、5年ルールがなければ、金利が変動するたびに半年単位で毎月の返済額が変わります。しかし、5年ルールによって、返済額が変更されるのは借り入れから6年目、11年目、16年目、のように5年ごととなります。 仮に変動金利の上昇が起こったとしても、返済額が急に増えないことが5年ルールのメリットといえるでしょう。5年間は毎月の返済額が一定のため、急に返済額が増えて家計が苦しくなることを避けられます。 一方で、5年ルールは、返済額が変わらなくても毎月の返済額に占める元金と利息の内訳が見直されています。つまり、金利が上昇すると返済額に占める利息の割合が増え、元金が減るペースが遅くなってしまうのがデメリットです。 加えて、金利が大幅に上昇すると、利息が毎月の返済額を上回って「未払利息」が発生する恐れもあります。もし未払利息が発生した場合、通常の返済とは別に支払いをしない限り、最終返済日まで繰り越しとなります。気づかないうちに未払利息が増加し、元金の返済が全く進まなくなるので注意が必要です。 出典)一般社団法人全国銀行協会「未払い利息が発生する仕組み」 未払い利息の計算方法は、金融機関によって異なるので、自身が組んでいる住宅ローンでは、どのように計算されるのか確認しておきましょう。 125%ルールとは? 125%ルールとは、金利が上昇しても返済額が125%を超えて増加しないようにする措置です。5年ルールによって5年ごとに返済額が増えるときは、それまでの返済額の1.25倍が上限となります。なお、金利が下がったときは、下限なく返済額は減ります。 125%のルールのメリットは、5年ルールでは防げない返済額の大幅な負担増を回避できることです。ただし、返済額が1.25倍に増えるのは金利が大きく上昇した場合に限られます。たとえば、借入額5,000万円、金利0.5%、借入期間35年で元利均等返済の条件で毎月の返済額が1.25倍に増える事例を考えてみましょう。 上述の条件で毎月の返済額をシミュレーションすると、毎月の返済額は129,792円となります。この返済額に125%ルールが適用されるとき、毎月の返済額は162,240円です。実際に金利が変動する場合を考えると、計算が複雑であるため、返済開始時の金利が何%のときに、この返済額になるかを考えてみましょう。 借入額5,000万円、借入期間35年、毎月の返済額は162,240円でシミュレーションすると、適用金利は1.867%となります。この結果からわかるように、125%ルールは金利が大幅に増加しないと適用されず、昨今の市中金利からは考えにくいほど大きな変動がないと、125%には当たらないことがわかります。 5年ルールや125%ルールの注意点 5年ルールと125%ルールは金利変動リスク対策ではない 5年ルールと125%ルールがあれば、金利が上昇しても返済額が急に増えることはありません。しかし、実際は利息の支払いが免除されるわけではなく、支払いが先送りされているだけです。 もし「5年ルールや125%ルールがあるから金利が上昇しても大丈夫」と考えているのであれば、それは誤りです。住宅ローンの金利変動リスクを完全に排除したい場合は、固定金利型で借り入れたほうが良いでしょう。 なお、住宅ローンの固定期間選択型は、固定期間が終了して変動金利へ切り替わっても、一般的には5年ルールや125%ルールは適用されないので注意が必要です。加えて、固定期間終了時点の金利で返済額が再計算されるため、金利が上昇すると返済額が大幅に増える恐れがあります。 5年ルールや125%ルールを採用していない金融機関もある 金融機関によっては5年ルールや125%ルールを採用していない場合もあります。その場合、通常は半年ごとに金利が見直され、その都度返済額が変わります。この場合は金利が大幅に上昇しても利息を先送りせずに支払うため、返済期間の終盤で未払利息の負担が生じることはありません。 5年ルールと125%ルールは一時的な家計の負担軽減にはつながりますが、利払いの支払いを先送りにしているだけに過ぎないということを念頭に置いておく必要があります。 まとめ 住宅ローンの変動金利型は、多くの金融機関で5年ルールと125%ルールが採用されているため、金利が大幅に上昇しても急に返済額が増えることはありません。 ただし、あくまでも利息の支払いが先送りされるだけで、返済総額が減るわけではないので注意が必要です。むしろ未払利息が発生し、返済期間の終盤で大きな負担が生じる恐れがあります。 住宅ローンを変動金利型で組む場合は、予め金利が上昇した場合の返済額を試算し、家計への負担を考慮しながら、その他の条件についても比較検討することが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンを比較する5つのポイント マイホームは、住宅ローンを利用して購入するのが一般的です。さまざまな金融機関が住宅ローンを扱っているので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 自分に合った住宅ローンを選ぶ...記事を読む

  • フラット35の子育て支援

    フラット35の子育て支援とは?金利引き下げの条件や注意点を解説

    全期間固定金利型の住宅ローン「フラット35」において、2024年2月13日から子育て世帯を支援する「子育てプラス」がスタートしました。一定の要件を満たすと、子どもの人数などに応じて金利が引き下げられるため、住宅ローン金利の負担軽減が期待できます。   この記事では、フラット35の子育て支援の内容と金利引き下げの条件、注意点を解説します。 フラット35に子育て支援が導入される背景 フラット35の子育て支援の導入は、子育て世帯が良質な住宅を取得する際の金利負担を軽減することが目的です。少子化対策の推進施策の一環として、2023年11月29日に成立した、令和5年(2023年)度補正予算における制度拡充となります。 具体的には、フラット35の金利引き下げ制度に、子育てに関するメニューとして「フラット35子育てプラス」が新設されます。子育てプラスは、2024年2月13日以降の資金受取分から適用されています。 フラット35の子育て支援の概要 フラット35の子育て支援の概要は以下のとおりです。 子どもの人数等に応じて金利を引き下げ 他の金利引き下げメニュー(フラット35S等)との併用が可能 他の金利引き下げメニューを含め、金利引き下げ幅の上限を年-1.0%に拡充(従来は年-0.5%が上限) 新設された子育てプラスは、子育て世帯だけでなく若年夫婦世帯も支援対象に含まれます。子育て世帯とは、借入申込年度の4月1日において、子ども(胎児および孫を含む。孫の場合は同居が必要。)の年齢が18歳未満である世帯です。 若年夫婦世帯とは、借入申込年度の4月1日において、夫婦(同性パートナーを含む)のいずれかが40歳未満である世帯を指します。 フラット35の子育て支援の金利引き下げの条件 今回の制度拡充では、子育てプラスが金利引き下げメニューに加わったと同時に、新しいポイント制度も導入されています。 家族構成や住宅、エリアに応じてポイントが加算され、そのポイント合計数に応じて金利引き下げが適用される仕組みです。 図:金利引き下げの条件の考え方 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】子育てプラスA3チラシ」 ここでは、上図を参考に、フラット35子育て支援の金利引き下げの条件について確認していきましょう。 ①家族構成を確認 まずは、家族構成に応じて加算されるポイント数をチェックしましょう。 家族構成 加算ポイント数 若年夫婦世帯1ポイント 子ども1人1ポイント 子ども2人2ポイント 子ども3人3ポイント 子どもN人Nポイント 子どもの人数が多いほど加算ポイントが増える仕組みです。子どもがいない若年夫婦世帯には1ポイントが加算されます。 ②住宅を確認 住宅は「性能」と「管理・修繕」の2つについて、それぞれポイントが加算されます。 【性能】 住宅の技術基準レベル 加算ポイント数 フラット35s(ZEH) 3ポイント フラット35s(金利Aプラン) 2ポイント フラット35s(金利Bプラン) 1ポイント フラット35リノベ(金利Aプラン) 4ポイント フラット35リノベ(金利Bプラン) 2ポイント 省エネルギー性や耐震性など、フラット35Sの技術基準をクリアしている住宅の場合は、レベルに応じてポイントが加算されます。中古住宅を取得してリノベーションを実施し、フラット35リノベが適用される場合も同様です。 関連記事はこちらフラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 【管理・修繕(フラット35維持保全型)】 対象住宅 加算ポイント数 長期優良住宅 1ポイント 予備認定マンション ※1 1ポイント 管理計画認定マンション ※2 1ポイント 安心R住宅 ※2 1ポイント ホームインスペクション実施住宅 ※2 1ポイント 既存住宅売買瑕疵保険付保住宅 ※2 1ポイント ※1 新築マンションのみ ※2 中古住宅のみ 「新築戸建住宅」「新築マンション」「中古住宅」の取得について、フラット35維持保全型が適用される場合は、対象住宅の種類に応じてポイントが加算されます。 ③エリアを確認 住宅を取得するエリアが住宅金融支援機構と連携している場合は、フラット35地域連携型やフラット35地方移住支援型を利用できる場合があります。これらは、地方公共団体による補助金や移住支援金の交付とあわせて、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。 エリア 加算ポイント数 フラット35地域連携型(子育て支援) 2ポイント フラット35地域連携型(空き家対策) 2ポイント フラット35地域連携型(地域活性化) 1ポイント フラット35地方移住支援型 2ポイント 地方公共団体の支援があるエリアであれば、その内容に応じてポイントが加算されます。なお、住宅金融支援機構と連携しているエリアかどうかは、フラット35のホームページで確認することができます。(詳細はこちら) ④引き下げ幅を確認 最後に、「家族構成」「住宅」「エリア」の各項目で加算されたポイント数を合計しましょう。以下のように、合計ポイントに応じて金利引き下げが適用されます。なお、合計ポイントが5~8ポイントの場合は6~10年目、9~12ポイントの場合は11~15年目も金利が引き下げられます。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】子育てプラスA3チラシ」 総返済額の引き下げ額は、1ポイントだと約-40万円、5ポイントだと約-195万円、9ポイントだと約-375万円にもなります。自分が受けられる金利引き下げを確認したい人は、フラット35のホームページで確認できます。(詳細はこちら) フラット35の子育て支援の注意点 子育てには子どもの学費など、まとまったお金が必要となるライフイベントが発生します。固定金利で住宅ローンを組めば、毎月の返済額が固定されるため、資金計画を立てやすくなるでしょう。 ただし、固定金利型の住宅ローンは、変動金利に比べて適用金利が高い傾向にあります。適用要件を満たして金利が低くなるのであれば、フラット35の子育て支援の利用を検討してもいいのではないでしょうか。 ただし、金利引き下げはずっと続くわけではなく、5~15年の期間限定です。変動金利型やフラット35以外の固定金利型の住宅ローンと比較したうえで、本当に自分に合うかを判断する必要があるでしょう。 まとめ フラット35の子育て支援では、子どもの人数等に応じて金利引き下げが適用されます。ZEHや長期優良住宅といった質の高い住宅を取得する場合は、さらに金利が優遇されるかもしれません。 住宅取得を計画している子育て世帯は、2024年2月13日にスタートした「フラット35子育てプラス」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスでは、フラット35を取り扱っています。まずはお気軽にご相談ください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。フラット35には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、自宅購入でフラット35を利用する場...記事を読む

  • フラット35の買取型と保証型

    フラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい?

    フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。フラット35には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、自宅購入でフラット35を利用する場合、どちらを選べばよいのでしょうか。 この記事では、フラット35の買取型と保証型の仕組みと違い、選び方について解説します。 フラット35の買取型と保証型の仕組み フラット35の買取型と保証型は、利用者からは見えない仕組みの部分が異なります。まずは買取型と保証型の仕組みがどのように異なるのかを解説します。 買取型の仕組み フラット35の買取型とは、以下のような仕組みを活用して金融機関が提供している全期間固定金利の住宅ローンです。 〇買取型のイメージ図 ※編集部作成 買取型の場合、フラット35の利用者が金融機関から資金を受け取った後に、住宅金融支援機構が金融機関から債権を買い取ります。なお、債権者は金融機関ではなく住宅金融支援機構となるため、利用者が購入した自宅に抵当権を設定するのは、住宅金融支援機構となります。 買取型は、2023年12月21日時点で320機関もの金融機関に取り扱われており、一般的に用いられる「フラット35」は買取型を指していることが多いです。 保証型の仕組み フラット35の保証型も全期間固定金利の住宅ローンで、以下のような仕組みを活用しています。 〇保証型のイメージ図 ※編集部作成 保証型の場合、フラット35の利用者が金融機関から資金を受け取った後も、住宅金融支援機構が金融機関から債権を買い取りません。そのかわり、住宅金融支援機構が債権に住宅融資保険を付け、フラット35の利用者が正常に返済をできなくなった場合に金融機関に対して保険金を支払います。なお、債権者は金融機関であるため、利用者が購入した自宅に抵当権を設定するのは、金融機関となります。 保証型は、2023年12月21日時点でわずか11機関の金融機関にしか取り扱われておらず、現在も受付を行っているのはわずか8機関です。 フラット35の買取型と保証型の違いを比較 買取型は金利や手数料は金融機関ごとに異なりますが、その他の商品性は原則として同様です。一方で保証型は、金利や手数料以外の商品性も金融機関によって異なります。 この記事では、実際に保証型を提供している8機関の2024年2月時点での条件を調査し、買取型と保証型の商品性の違いを比較しました。 保証型の方が金利は低いが、その差は小さい 一般的に保証型は融資率が低いほど金利が低くなる商品設計であるため、条件を満たせば買取型よりも保証型の方が低金利で借りられるとされています。 住宅金融支援機構が公表しているデータによると、団信ありの買取型の金利*は、融資率が9割以下の場合、年1.82%~年3.47%です。一方で、保証型の金利は、融資率が9割以下の場合、1.73%~1.81%でした。よって、融資率が9割以下の場合、買取型よりも保証型の方が低金利で借りられるものの、金融機関によっては買取型と保証型でほとんど金利差がない場合もあることが読み取れます。 例えば5,000万円を35年間固定金利1.55%で借りた場合、金利が0.05%低くなると総返済額が約51万円程度安くなります。それに対して、5,000万円の借入に対してかかる融資手数料が1%低くなると、かかる手数料が50万円安くなります。つまり、この例でいうと融資手数料に1%差がある場合、大体0.05%以上の金利差がなければ、保証型を選択するメリットは薄いといえます。 ただし、保証型を提供するすべての金融機関で、融資率を8割まで抑えるとさらに金利が低くなり、2024年2月時点の金利だと1.7%前後の金利で借りることができるようになります。8割以下まで融資率を引き下げることができれば、金利差の面で保証型を選択するメリットがあるといえます。 ※融資実行日が2024年2月であった、融資期間が21~35年の買取型の平均金利 出典)【フラット35】金利情報 保証型は融資手数料が高い 買取型も保証型も、提供する金融機関によって融資手数料の設定が異なります。 実際に買取型の融資手数料をいくつか調査したところ、融資手数料が数万円台の定額型の商品や、1%台の定率型の商品もありました。それに対して保証型の融資手数料は、財形住宅金融のみ1.1%と低いものの、多くが2%を超える定率型であり、融資手数料が高めの設定であることが分かります。 保証型のうち3機関は返済手数料がかかる 買取型の繰上返済手数料は一部繰上返済でも一括返済でも無料です。 上表のとおり、一部繰上返済については一部繰上方法の指定はあるものの、原則無料であることが読み取れます。一方で、一括返済においては3機関が手数料を取っていることが分かりました。 ただし、返済手数料の差は数万円単位であり、金利や融資手数料を重視した方がかかる費用の総額を効果的に抑えられるでしょう。もちろん無料である方がいいことは言うまでもないですが、必要以上に重視しすぎないことも大切です。 保証型は団信の特約が豊富 買取型の場合、新機構団体信用生命保険(以下、新機構団信)に加入することになりますが、保証型は金融機関独自の団信に加入することになります。 買取型の場合、新機構団信付きのフラット35の借入金利に+0.24%を上乗せすることで、「新3大疾病付機構団信」を利用することができます。この新3大疾病付機構団信は、3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)に加えて、要介護2~4の状態になった場合も保障されるのが特長です。 上表のとおり、8大疾病や生活習慣病、全疾病といったより保障範囲の広い特約や、ワイド団信を取り扱っているところもあります。また、新3大疾病付機構団信より低い上乗せ金額で、がんのみとすることもでき、買取型より保証型の方が団信において様々な選択肢があるといえます。 保証型のうち5機関は審査の条件が厳しい 買取型は年収400万円未満なら返済比率を30%以内、400万円以上なら35%以内という条件を満たさなければ利用できません。この基準が保証型でも同様に適用されているか調査したところ、8機関中5機関が返済比率の条件を買取型より厳しく設定していました。 具体的には、融資率が8割超9割以内の場合のみ、一律で返済比率を20%以内とする条件です。このように、多くの保証型が返済比率の審査基準を買取型よりも厳しく設定しており、融資率が8割超9割以内で保証型を検討する場合は注意が必要です。 保証型の商品性 保証型の商品性は、下表のとおりです。なお、表中で特に特徴的な部分は赤字で記載しています。 〇保証型商品の比較 ※編集部調査(2024年2月時点) 注意点として、日本住宅ローンと財形住宅金融が提供しているフラット35保証型は、それぞれ借りられる人に以下のような制限があります。この2機関のフラット35保証型を検討する場合は注意が必要です。 日本住宅ローン 日本住宅ローンと提携しているハウスメーカーで住宅を建築、購入する人。 財形住宅金融 勤務先が財形住宅金融に出資している人。もしくは公務員、公的団体に勤めている人。 保証型が向いている人の特徴 融資率を8割以下まで抑えて金利を低くできる人 上述のとおり、融資率9割程度であれば、買取型を選んでも保証型とほとんど金利が変わらず、手数料は買取型の方が割安であることから、最終的な負担金額はそこまで変わらない場合も考えられます。一方で、融資率が8割以下となれば、買取型と比較して保証型の金利が十分低くなるため、保証型が向いているといえます。 団信の特約を自分の希望どおりに選択したい人 フラット35の保証型が向いている人は、団信の特約を自分の希望どおりに選択したい人と言えるでしょう。例えば、団信を付けたかったにもかかわらず審査で落ちてしまい、買取型だと団信なしで借りざるを得ない人でも、SBIアルヒやオリックス・クレジットの保証型を利用すれば、ワイド団信を付帯できる可能性があります。他にも、もう少し上乗せ額を小さくしてがんだけを保障したい人や、逆にもっと上乗せ額を大きくしてでも保障範囲を広げたい人なども同様です。このように、自身の希望に合致する団信を提供している金融機関がある場合も、保証型が向いているといえます。 まとめ フラット35の買取型と保証型を実際に商品性を比較したことで、融資率を8割まで抑えられる場合は保証型が有利なものの、融資率が9割の場合は買取型と保証型の金利差がかなり縮まっていることが分かりました。 一方で、保証型は団信の特約が豊富なため、たとえ金利面ではそこまで差がなかったとしても、保証型を選択肢に入れて考慮するといいでしょう。自宅購入でフラット35を利用する場合は、多くの金融機関が取り扱っている買取型だけでなく、保証型にも目を向けてみてはいかがでしょうか。 なお、この記事で紹介した条件等は2024年2月に調査した時点のものであり、最新のものとは異なる場合があります。実際に保証型のご利用を検討される際は、金融機関に条件等をしっかりと確認したうえで手続きを進めて下さい。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスでは、フラット35を取り扱っています。まずはお気軽にご相談ください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが...記事を読む

  • フラット35やめたほうがいい

    「フラット35はやめたほうがいい」と言われる理由とは?

    自宅を購入する際、「フラット35」を検討する人もいるでしょう。フラット35は一般的な住宅ローンにはないメリットがある一方で、デメリットもあるため、商品を調べていく中で「やめたほうがいい」などの記事を見ることもあるかもしれません。 この記事では、「フラット35はやめたほうがいい」と言われる理由を紹介します。 やめたほうがいいと言われる理由①:金利 そもそもフラット35とは、全期間固定金利の住宅ローンで、住宅金融支援機構と提携している民間の金融機関が提供しています。名称の通り、最長35年間の固定金利での借りられます。 借り入れ時に返済終了までの借入金利と返済額が確定するため、長期の返済プランを立てやすいのが特徴です。ただし、変動金利型の住宅ローンに比べると金利は高い傾向にあります。 2024年2月現在、フラット35(新機構団信付き:借入期間21年以上)の金利状況は下表のとおりです。 融資率* 金利の範囲 最も多い金利 9割以下 年1.820%~年3.470% 年1.820% 9割超 年1.960%~年3.610% 年1.960% ※融資率とは、住宅の建設費または購入価額に対するフラット35の借入額の割合を指す 出典)住宅金融支援機構「フラット35(金利情報)」 金融機関や融資条件によって異なりますが、フラット35の金利は年2%程度となっています。 それに対して2024年2月現在、銀行が提供している変動金利型の住宅ローンは、優遇金利の適用を加味すると0.3%台で提供している金融機関があります。また、全期間固定金利型の住宅ローンでも1.5%前後で提供している金融機関があります。 これらの点から、フラット35は銀行が提供する変動金利型や全期間固定金利型の住宅ローンよりも金利が高く「やめたほうがいい」と言われています。 やめたほうがいいと言われる理由②:頭金 フラット35は、総返済負担率などの利用条件を満たしていれば、頭金なしでも住宅の建設費または購入価額まで借りられます。しかし、上述のとおり、融資率が9割を超えると金利が高くなるため、少しでも低い金利で借りるには、頭金を1割以上準備しなくてはなりません。 仮に住宅の購入価額が5,000万円とすると、頭金として500万円以上を用意する必要があります。頭金を用意するのが難しい世帯は、融資率9割以下より高い金利が適用されてしまうため、不利になります。 それに対して、銀行の住宅ローンの場合、融資率が100%でも最優遇金利が使えることもあり、金利を下げるためには頭金が必要という点で「やめたほうがいい」と言われています。 やめたほうがいいと言われる理由③:物件の条件 フラット35で融資を受けるには、借入対象となる物件の条件を満たす必要があります。具体的には、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たしているかを確認するために、物件検査を受けて「適合証明書」を取得しなくてはなりません。 【例:新築住宅の場合の技術基準】 主な基準項目 概要 接道 原則として一般の道に2m以上接すること 住宅の規模 一戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上 住宅の規格 原則として2以上の居住室、炊事室、便所及び浴室の設置 断熱構造 断熱等性能等級4以上、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上など 住宅の構造 耐火構造もしくは準耐火構造であることなど 収入などの利用条件を満たしていても、物件がフラット35の基準をクリアしていないと住宅ローンを組めない点に注意が必要です。なお、金融機関によって異なりますが、物件検査を受ける際に数万円程度の手数料がかかることもあります。 それに対して、銀行の住宅ローンの場合、適合証明書が必須の要件ではなく、取得にかかる手続きや費用の面で「やめたほうがいい」と言われています。 フラット35は本当にやめたほうがいいのか? フラット35は「やめたほうがいい」と言われることがある一方で、次のようなメリットもあります。 全期間固定金利で返済額が一定のため家計管理がしやすい 団体信用生命保険(団信)への加入が必須ではない 保証料や繰上返済手数料が無料 一般的な住宅ローンの場合でも、全期間固定金利の商品はありますが、適用金利は担保物件や与信によって決定されます。そのため、申込人の与信次第では、銀行の住宅ローンが必ずしもフラット35よりも有利とは限らず、そもそも取り扱いの可否すら変わることもあります。 また、一般的な住宅ローンの場合は、団信の加入が融資条件となることがほとんどです。フラット35は団信加入が必須ではないため、健康面で団信加入が難しい人でも利用できる点はメリットともいえるでしょう。 さらに、一般的な住宅ローンは金融機関によって、保証料や繰上返済手数料がかかることもありますが、フラット35なら無料です。繰上返済による早期完済を計画している人にとって、繰上返済手数料がかからないのは大きなメリットといえます。 結局のところ、フラット35をやめたほうがいいかは、申込人の与信やそもそも住宅ローンで何を重視するかによって異なります。メリットとデメリットを比較して、自分に適した商品を選ぶと良いでしょう。 まとめ フラット35は、「借入時の金利が比較的高い」「頭金を1割以上入れないと金利が高くなる」などの理由でやめたほうがいいと言われることがあります。しかし、「毎月の返済額がずっと変わらない」「保証料や繰上返済手数料が無料」といったメリットもあります。 フラット35を検討する場合は、メリットとデメリットをしっかりと比較して自分に向いているかを見極めましょう。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスでは、フラット35を取り扱っています。まずはお気軽にご相談ください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが...記事を読む

  • フラット35の審査基準

    フラット35の審査基準を徹底解説!

    フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利が確定するため、返済計画を立てやすく、金利変動リスクへの備えとなります。ただし、フラット35の審査基準は民間の住宅ローンとは異なります。 この記事では、フラット35の審査基準を、申込人に関する基準と住宅に関する基準に分けて解説します。 【フラット35】の審査基準:申込人に関する基準 フラット35の審査では、申込人の年齢や国籍、収入状況、信用情報などが確認されます。 年齢 フラット35は、申し込み時の年齢が満70歳未満の人が対象です。ただし、親子リレー返済を利用する場合は、満70歳以上でも申し込みできます。 親子リレー返済とは? 親子リレー返済とは、申込者本人とその後継者が2世代で住宅ローンを返済していく制度です。以下3つの要件をすべて満たす人を後継者とすれば、申込者本人の年齢が70歳以上でも申し込みできます。親子リレー返済の後継者の要件は以下のとおりです。 申込者本人の子・孫など(申込者本人の直系卑属)またはその配偶者で定期的収入のある人 申込時の年齢が満70歳未満の人 連帯債務者になる人 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 国籍 フラット35は、日本国籍であることも申込要件です。外国籍の場合、永住許可を受けている人か特別永住者の人であれば申し込みできます。 収入状況 収入状況については、年収に応じて総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)の基準が定められています。 年収400万円未満の場合:総返済負担率30%以下 年収400万円以上の場合:総返済負担率35%以下 年収は、原則として申込年度の前年の収入で確認されます。会社員は給与収入金額、自営業者などは所得金額(事業所得、不動産所得などの合計額)をもとに判断します。一定の要件を満たす場合は、申込者本人の親や子、配偶者との収入合算も可能です。 総返済負担率は、フラット35以外の住宅ローンや自動車ローン、カードローンなどの返済額も含めて計算します。 太陽光発電の売電収入を年収に合算できる 融資対象住宅に太陽光発電設備を設置する場合、一定の要件を満たすと、その設備から得られる売電収入を年収に加算できます。新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入に併せてリフォーム工事を行う場合の融資が対象です。 年収に加算できる金額は、発電出力(kw数)に応じて上限額が設けられています。 信用情報 フラット35では、申込者の返済能力を判断するために信用情報が確認されます。具体的には、税金や他のローンの滞納などがないかを見られます。ローンの滞納歴などが信用情報に記録されていると、審査に通過しにくくなる恐れがあります。 資金使途 フラット35の資金使途は、申込者本人またはその親族が居住する新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入に限定されます。第三者に賃貸するなど、投資用物件の取得資金には利用できません。 【フラット35】の審査基準:住宅に関する基準 フラット35は、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅が対象です。基準を満たしていることを証明するため、物件検査をして適合証明書を取得しなくてはなりません。取得する住宅が新築か中古かで技術基準は変わります。 新築の場合 新築住宅の主な基準項目は以下のとおりです。 戸建て マンション 接道 原則として一般の道に2m以上接すること 住宅の規模 70㎡以上 30㎡以上 住宅の企画 原則として2以上の居住室、炊事室、便所および浴室の設置 併用住宅の床面積 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上 戸建型式など 木造の住宅は戸建てまたは連続建てのみ 住宅の構造 耐火構造、準耐火構造または耐久性基準に適合すること その他に、断熱構造や配管設備などの基準もあります。マンションについては、管理規約や長期修繕計画も基準項目です。新築住宅の物件検査は、以下の流れで行われます。 設計検査(工事前に設計図などを確認) 中間現場検査(工事途中に目視で確認) 竣工現場検査(工事完了後に検査済証が交付されていることを確認) 合格後、適合証明書の交付 中古の場合 中古住宅の基準項目は、上記の新築住宅と大きな差はありません。ただし、住宅の耐震性や劣化状況などが確認されます。例えば、住宅の耐震性は建築確認日が昭和56年6月1日以後であることが要件です。建築確認日が昭和56年5月31日以前の場合は、耐震評価基準に適合している必要があります。 中古住宅の物件検査では、書類審査と現地調査が行われ、合格すると適合証明書が交付されます。新築時に適合証明書を取得していても、原則として中古住宅の適合証明書の取得が必要です。 フラット35の審査が緩いと言われる理由 フラット35は「審査が緩い」と言われることがあります。その理由は、フラット35の審査では、民間の住宅ローンとは異なる審査基準が用いられるためです。主に以下3つの理由が考えられます。 審査金利が適用金利と同じ 民間の住宅ローンの審査でも、フラット35の審査でも、返済負担率が重視されます。返済負担率の計算に用いる金利は審査金利と呼ばれますが、民間の住宅ローン(変動金利型)の場合、融資後の金利上昇を考慮して、3%以上の金利が用いられます。 一方で、フラット35の場合は返済負担率の計算にも、適用金利と同じ金利が用いられます。2024年4月時点のフラット35金利は、低いところで2%前後であるため、民間の住宅ローンより返済負担率が低く計算されます。 職種を重視されない 民間の住宅ローンでは、申込者の職種は重要視されます。住宅金融支援機構によると、住宅ローンを提供する金融機関の46.8%が「職種、勤務先、雇用形態は、審査項目として重要度が増している」と回答しています。 一方で、フラット35が公表している審査基準には、職種についての記載はありません。他の基準を満たせば、原則どんな職種でも審査に影響しないでしょう。 出典)住宅金融支援機構「2023年度 住宅ローン貸出動向調査」 団体信用生命保険の加入が任意 民間の住宅ローンの多くは、団体信用生命保険(団信)の加入が申込要件となっています。仮に収入等の条件を満たしていたとしても、健康状態が原因で団信に加入できず、審査に落ちてしまう恐れもあります。 一方で、フラット35は団信加入が任意であり、団信に加入できないことで審査に落ちる心配がありません。ただし、団信に加入しないのであれば、もしものときにローン返済をどうするかを検討しておく必要があります。 まとめ フラット35の審査基準は、主に「申込人」と「住宅」の2つに分けられます。「審査が緩い」と言われることもありますが、基準を満たさないと融資を受けられません。審査基準はフラット35のホームページで公表されているので、事前に確認しておきましょう。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスでは、フラット35を取り扱っています。まずはお気軽にご相談ください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 フラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 近年、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利が上がっています。「今後金利がますます上昇するのでは?」と不安になり、全期間固定金利であるフラット35を利用したい一方で、既にフラット3...記事を読む

  • フラット35Sとは

    フラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説

    近年、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利が上がっています。「今後金利がますます上昇するのでは?」と不安になり、全期間固定金利であるフラット35を利用したい一方で、既にフラット35の金利を高く感じており、どうするべきか迷っている人もいるかもしれません。 そういった方に知っていただきたいのが、「フラット35S」という制度です。一定の条件を満たし、この制度を利用することで、フラット35の金利を一定期間下げることができます。この記事では、フラット35Sの種類や金利、利用の条件について解説します。 フラット35Sとは フラット35Sとは、フラット35の申込者が長期優良住宅など、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。新築住宅だけでなく、中古住宅も対象です。 住宅の基準は通常のフラット35より厳しく設定されますが、基準を満たせば金利が下がるため、返済負担の軽減が期待できます。フラット35Sは、住宅の技術基準の高い順から、「フラット35S(ZEH)」、「フラット35S(金利Aプラン)」、「フラット35S(金利Bプラン)」の3種類があります。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】S」 フラット35Sの金利の引下げ幅と期間 フラット35Sの金利の引下げ幅と引下げ期間は、プランによって異なります。 フラット35S(ZEH)は、当初5年間は年-0.5%、6年目から10年目までは年-0.25%の引下げとなります。対してフラット35S(金利Aプラン)は当初10年間、フラット35S(金利Bプラン)は当初5年間、それぞれ年-0.25%の引下げとなります。 なお、どのプランでも金利引下げ期間が終了したら、通常のフラット35の金利に戻ります。 フラット35Sの返済シミュレーション フラット35Sによって、返済負担はどのくらい軽減されるのでしょうか。 下表は、借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入金利年1.80%、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしの場合の返済シミュレーションをまとめたものです。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】S」 通常のフラット35と比較した総返済額の負担軽減効果は、フラット35S(ZEH)で約114万円、フラット35S(金利Aプラン)で約74万円、フラット35S(金利Bプラン)で約40万円となります。より住宅の技術基準が厳しいプランほど、総返済額の負担軽減効果も高くなります。 フラット35Sの対象となる住宅の技術基準 フラット35Sを利用するには、フラット35の技術基準に加えて、プランごとに定められた追加基準を満たす必要があります。ここでは、フラット35Sの対象住宅の主な技術基準を紹介します。 ①フラット35S(ZEH) フラット35S(ZEH)では、「断熱性能」と「一次エネルギー消費量」の基準が設定されています。断熱性能は地域の区分、一次エネルギー消費量はZEH住宅の種類(区分)に応じた基準値を満たすことが要件です。 その他にも、戸建てと戸建て以外(マンションなど)で、それぞれ適用条件が詳細に定められています。 出典)【フラット35】S(ZEH)に関する基準 ②フラット35S(金利Aプラン) フラット35S(金利Aプラン)は、以下1~5のうち、いずれか1つ以上の基準を満たす新築住宅が対象です。 断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅 耐震等級3の住宅 免震建築物 高齢者等配慮対策等級4以上の住宅 長期優良住宅 中古住宅については、基準が異なります。詳しくは取扱金融機関にご確認ください。 出典)【フラット35】Sの対象となる住宅 ③フラット35S(金利Bプラン) フラット35S(金利Bプラン)は、以下1~5のうち、いずれか1つ以上の基準を満たす新築住宅が対象です。 断熱等性能等級4以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅 断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級4または等級5の住宅 耐震等級2以上の住宅 高齢者等配慮対策等級3以上の住宅 劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅 金利Aプランと同じく、中古住宅は基準が異なります。詳細は取扱金融機関にご確認ください。 出典)【フラット35】Sの対象となる住宅 フラット35Sの注意点 フラット35Sは金利引下げの特典を受けられますが、以下の点に注意が必要です。 予算金額次第で利用できない場合がある フラット35Sは予算が決まっており、全体の実行額が予算額に達する見込みとなった時点で受付が終了します。受付終了日は、終了する3週間前までにフラット35のホームページにて掲載されます。利用を検討している場合は、定期的に確認しておきましょう。 フラット35であれば必ず併用できるわけではない フラット35には、いくつか商品ラインナップがあります。そのうち、「フラット35(リノベ)※」はフラット35Sと併用できません。また、資金使途が借り換えの場合も利用できないので注意しましょう。 ※フラット35(リノベ)とは、中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを実施すると、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度 借入期間中ずっと金利が下がるわけではない フラット35Sの金利引下げ期間は当初5~10年間です。金利引下げ期間が終了すると金利は元に戻り、その後は返済負担が大きくなります。金利が元に戻ったときに、返済が厳しくならないかを考えておく必要があります。 フラット35Sを利用すべき? フラット35を利用することが決まっている場合は、検討すべきでしょう。総返済額が減るため、一定期間金利を下げられるのは大きなメリットといえます。 ただし、フラット35Sを利用して金利を一定期間下げられたとしても、民間の金融機関の住宅ローンを固定金利で借りたほうが、総返済額が少なく済むことも考えられます。他の住宅ローンと総返済額などを比較したうえで、フラット35Sを利用するか判断することが大切です。 まとめ 一定の省エネルギー性や耐震性などを備えた住宅を購入する場合は、フラット35Sを利用することで金利が下がるかもしれません。固定金利で住宅ローンを組む場合は、銀行などのローンと比較したうえで、フラット35Sを検討してみてはいかがでしょうか。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスでは、フラット35を取り扱っています。まずはお気軽にご相談ください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが...記事を読む