銀行などの金融機関の融資は、「プロパー融資」と「保証付き融資」の2つに分けられます。自営業者が銀行から融資を受けようとする場合、どちらの方法を利用すればよいのでしょうか。金融機関に相談する前に、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。 この記事では、プロパー融資と保証付き融資の仕組みと違い、銀行融資が難しい場合の資金調達方法を紹介します。 プロパー融資とは プロパー融資とは、銀行などの金融機関が信用保証協会(第三者機関)の保証を付けずに行う融資のことです。 保証を付けずに直接融資を行うため、債務者の貸し倒れリスクは金融機関が負うことになります。万が一、借主が返済できなくなった場合は、金融機関は大きな損害を被ることになるので、融資審査は厳しい傾向にあります。 プロパー融資は、基本的に信用度の高い事業者しか利用できません。その分、好条件で融資を受けられる可能性があります。 保証付き融資とは 保証付き融資とは、銀行などの金融機関が信用保証協会の保証を利用して行う融資のことです。万が一、借主が返済できなくなった場合は、信用保証協会が金融機関に立て替え払いを行います。 プロパー融資とは異なり、金融機関は債務者の貸し倒れリスクを負わずに済みます。そのため、「事業の実績がない」「金融機関との取引歴が浅い」自営業者が融資申し込みをすると、保証付き融資を勧められるのが一般的です。 保証付き融資を利用する際、借主は所定の信用保証料を支払う必要があります。 出典)一般社団法人 全国信用保証協会「初めての融資と信用保証」 プロパー融資と保証付き融資の利用割合 日本政策金融公庫の「第222回 信用保証利用企業動向調査」によると、2024年7-9月期における保証利用状況は以下のとおりです。 保証を利用した企業の割合:54.6% 保証利用がない企業の割合:45.4% 「保証利用がない=プロパー融資」とすると、該当期間中に借り入れを実施した企業のうち、概算で全体の45%がプロパー融資を利用しており、この割合は2024年4-6月期よりもやや増加しています。 出典)日本政策金融公庫「第222回 信用保証利用企業動向調査結果の概要P.4」 プロパー融資と保証付き融資の違い プロパー融資と保証付き融資は、貸主である金融機関が債務者の貸し倒れリスクを負うかどうかが大きな違いです。 前述のとおり、プロパー融資は信用保証協会の保証を付けずに直接融資を行います。金融機関が債務者の貸し倒れリスクを負うため、融資審査は厳しい傾向にあります。「金融機関との取引歴が長い」「長期にわたって業績が安定している」など、金融機関からの信用度が高い事業者でなければ利用するのは難しいでしょう。 一方、保証付き融資は、万が一借主が返済できなくなっても信用保証協会が弁済してくれるため、金融機関としては融資がしやすくなります。このような特徴から、一般的にプロパー融資のほうが借りづらく、保証付き融資のほうが借りやすいといえます。 特に開業して間もない自営業者は金融機関との取引歴がなかったり、決算書で売上などの実績を示すことができなかったりするため、プロパー融資を受けるのは難しくなります。金融機関から融資を受けるなら、通常は保証付き融資となるでしょう。 保証付き融資も難しい場合は? 開業して間もない自営業者の場合、たとえ保証付き融資であっても断られてしまうかもしれません。「事業の実績がない」という理由で銀行から融資を受けるのが難しい場合、次のような方法であれば資金調達できる可能性があります。 政府系金融機関からの借り入れ 政府系金融機関の日本政策金融公庫では、新規開業資金の融資を行っています。新たに事業を始める人、または事業開始後概ね7年以内の人が対象です。適正な事業計画を策定し、その計画を遂行する能力が十分あると認められれば融資を受けられます。 新たに事業を始める人、または税務申告を2期終えていない人については、原則として無担保・無保証人で融資を受けられ、金利引き下げなどの優遇措置も用意されています。 ただし、融資審査があるため、審査結果によっては利用できないこともあります。まずは最寄りの日本政策金融公庫の支店に相談してみるといいでしょう。 出典)日本政策金融公庫「新規開業資金」 ビジネスローン ビジネスローンとは、主にノンバンクが取り扱っている事業者向けのローンです。無担保・無保証で申し込みできるローンもあるため、実績がない事業者でも利用しやすいでしょう。ただし、比較的金利は高く、少額しか借りられない傾向にあります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保に借り入れができる商品です。自宅などの不動産を所有している場合、実績がなくても融資を受けられる可能性があります。 ノンバンクのビジネスローンに比べて、まとまったお金を低金利で借りられるのがメリットです。金融機関によっては、家族名義の不動産を担保に融資を受けることも可能です。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も自宅に住み続けられるサービスです。 リースバックは金融機関などのローン商品とは異なり、不動産取引となるため、与信面よりも「不動産の価値」「家賃の支払能力」などが重視されるため、売却できる自宅があれば、事業の実績がなくても資金調達ができます。引っ越しが不要で、住環境を変える必要がないのもメリットです。 ただし、自宅の売却価格は市場価格より安くなるのが一般的です。また、売却後は毎月家賃を支払う必要があります。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ プロパー融資は好条件で借り入れができますが、金融機関が債務者の貸し倒れリスクを負うため、基本的に信用度の高い事業者しか利用できません。自営業者の場合は、保証付き融資のほうが利用しやすいといえます。 開業して間もない自営業者で、銀行の保証付き融資を利用するのが難しい場合は、政府系金融機関や不動産担保ローン、リースバックなどを検討しましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンで資金調達する場合、銀行とノンバンクのどちらを利用すべきか悩むかもしれません。ノンバンクとは、銀行のように預金業務を行わず、与信業務(融資)に特化した金融機関のことです。銀行...記事を読む
近年、環境問題や社会的課題の解決に貢献するために、「サステナビリティ・リンク・ローン」を利用して資金調達する企業が増えています。通常のローンとは何が違うのでしょうか。 この記事では、サステナビリティ・リンク・ローンの特徴とメリット・デメリットを解説します。 サステナビリティ・リンク・ローンとは サステナビリティ・リンク・ローンとは、借り手が野心的なサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)を達成することを奨励するローンです。 SPTsとは、環境問題や社会的課題の解決に向けたサステナビリティ活動に関する目標です。環境や社会にもたらすインパクトが大きく、定量的なものを事前に設定することが求められます。 SPTsの具体例は以下のとおりです。 温室効果ガス排出量の削減 再生可能エネルギーの生産量・使用量の増加 水消費量の削減、水のリサイクル率の改善 認証された持続可能な原材料・供給品の増加 天然資源投入量の増減、廃棄物処理におけるリサイクル率 ESG格付※の改善、ESG認証の達成 ※企業のESGへの取り組み状況や課題解決に向けた意欲、ビジネスに影響を及ぼしそうなリスクの度合いなどを分析・評価し、スコア化したもの 融資後に、借り手は年1回程度SPTsのレポーティングを行います。貸し手は、SPTsの達成状況に応じて融資条件を見直す仕組みになっています。 出典)環境省「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドラインサステナビリティ・リンク・ローン関係のポイント」 日本におけるローンの組成状況 環境省によると、日本におけるサステナビリティ・リンク・ローン組成額の推移は以下のとおりです。(2023年の値は2023年3月20日時点のものです。) 出典)グリーンファイナンスポータル「サステナビリティ・リンク・ローン発行データ 市場普及状況(国内・海外)」 日本では、2019年に初のサステナビリティ・リンク・ローンが組成されました。2021年以降は急速に普及が進み、2022年には融資額が6,500億円を超える規模まで拡大しています。 サステナビリティ・リンク・ローンの特徴 サステナビリティ・リンク・ローンには以下のような特徴があります。 SPTsの達成状況と融資条件が連動している 融資後のレポーティングを通じて透明性が確保される 調達資金の融資対象が特定のプロジェクトに限定されない 借り手のニーズに合わせた柔軟な商品設計が可能 サステナビリティ・リンク・ローンは成果報酬型のローンで、借り手のレポーティングによってSPTsの達成状況の透明性が確保される仕組みになっています。 サステナビリティ・リンク・ローンのメリット 借り手側のサステナビリティ・リンク・ローンのメリットは以下のとおりです。 サステナビリティ経営の強化につながる SPTsの達成状況と融資条件が連動するため、サステナビリティ経営を実行する強い動機となります。また、SDGs(国連の持続可能な開発目標)達成への貢献やサステナビリティ活動をPRできるため、取引先や投資家からの評価が高まる可能性があります。 資金使途が特定のプロジェクトに限定されない サステナビリティ・リンク・ローンの資金使途は「一般事業目的」とされています。特定のプロジェクトに限定されないため、サステナビリティ活動以外の事業にも利用可能です。 好条件で資金調達できる可能性がある サステナビリティ・リンク・ローンは成果報酬型で、SPTsの達成状況に応じて融資条件が変動します。SPTsの活動に注力し、目標を達成することで、適用利率が下がる可能性があります。 サステナビリティ・リンク・ローンのデメリット 一方で、借り手側のサステナビリティ・リンク・ローンのデメリットは以下のとおりです。 外部評価の取得や目標達成などの手間がかかる SPTsの設定やレポーティングにあたり、第三者評価機関による外部レビューを取得しなくてはなりません。また、SPTsの達成にも取り組まなくてはならないため、一般的なローンよりも手間がかかります。 通常のローンよりコストがかかる可能性がある サステナビリティ・リンク・ローンは、レポーティングや外部レビュー取得の際に費用が発生します。SPTsを達成できなければ、通常のローンよりコストがかかる恐れがあります。 サステナビリティ・リンク・ローンの借入の流れ サステナビリティ・リンク・ローンは通常の借入手続きに加えて、独自の手続きが必要になります。具体的な流れは以下のとおりです。 借入準備(SPTsの設定、融資条件の決定、外部レビュー取得、レポーティング方法の検討など) 金融機関の審査・契約・融資実行 返済・情報開示(SPTs達成状況の測定・レポーティング、外部機関による検証) SPTsの達成状況に応じて融資条件を見直し 借入準備では、事業計画や必要書類の作成の他に、SPTsの設定や第三者評価機関によるレビュー取得などを行います。 融資後はSPTsの達成状況を定期的に測定し、金融機関にレポーティングをしなくてはなりません。金融機関は、SPTsの達成状況に応じて融資条件を見直し、借り手に通知します。 サステナビリティ・リンク・ローンの事例 ここでは、サステナビリティ・リンク・ローンの事例を2つ紹介します。 日本郵船(2019年11月) 2019年11月29日、三菱UFJ銀行をアレンジャーとするシンジケート団は日本郵船にローンを実施しました(日本初の組成)。SPTsは、CDP(環境戦略や温室効果ガスの排出量の開示を求めているプロジェクト)において高ランクを維持することです。 日本郵船は、毎年CDPスコア結果を三菱UFJ銀行にレポーティングします。一定のスコアが維持される限り、返済期限までCDPランクに起因した金利上昇はないことが条件となっています。 SBIエステートファイナンス(2023年1月) 2023年1月23日には、百十四銀行がSBIエステートファイナンスに対してローンを実施しました。同社は子会社である「SBI スマイル」とともに、高齢化社会においてもお客様が安心してご自宅に住み続けられること、豊かさが維持出来ることを目的としています。SPTsは、子会社のSBIスマイルがリースバック事業において取得する物件の件数および取得額です。 SBIエステートファイナンスは、債務の履行完了まで年1回SPTsの達成状況を所定の書式で確認します。SPTsの達成状況の達成状況に応じて、金利を引き下げる仕組みが設定されています。 出典)グリーンファイナンスポータル「サステナビリティ・リンク・ローン発行データ」 まとめ サステナビリティ・リンク・ローンは、SPTsの達成を通じて環境問題や社会的課題の解決に貢献できるのが特徴です。サステナビリティ経営の強化につながり、企業価値の向上や金利優遇などのインセンティブが期待できます。 ただし、通常のローンににはない手間やコストがかかるため、利用は慎重に判断しましょう。 出典) ・グリーンファイナンスポータル「サステナビリティ・リンク・ローンとは」 ・環境省「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライングリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ グリーンリフォームローンとは?利用条件やメリット、注意点を解説 グリーンリフォームローンは、一定の基準を満たす省エネリフォーム専用のローン商品です。リフォームによって自宅の省エネ性能を高めれば、より快適な生活を実現できます。高齢者向けの返済特例もあるため...記事を読む
グリーンリフォームローンは、一定の基準を満たす省エネリフォーム専用のローン商品です。リフォームによって自宅の省エネ性能を高めれば、より快適な生活を実現できます。高齢者向けの返済特例もあるため、条件を満たせば高齢の方でも利用可能です。 この記事では、グリーンリフォームローンの概要やメリットと注意点、利用の流れについて詳しく解説します。 グリーンリフォームローンとは? グリーンリフォームローンとは、自宅の省エネリフォームに利用できるローン商品です。住宅金融支援機構が、令和4年(2022年)10月から取り扱いを開始します。 国は脱炭素社会の実現に向けて、住宅の省エネルギー性能の向上に取り組んでいます。既存住宅については、省エネリフォームの推進が不可欠です。そこで、既存住宅の省エネ推進を資金面から支援するためにグリーンリフォームローンが創設されました。 ローンは2種類 グリーンリフォームローンでは、リフォームの内容に応じて以下の2種類のローンが用意されています。 ローンの種類リフォームの内容 グリーンリフォームローン・省エネ基準を満たす断熱改修・省エネ設備の設置 グリーンリフォームローンS・ZEH基準を満たす断熱改修 いずれも、一定の基準を満たす省エネリフォームに対する全期間固定金利の融資です。省エネ性能を著しく向上させるリフォームには「グリーンリフォームローンS」が適用され、金利が引き下げられます。 ZEH(ゼッチ)とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略語です。外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅を意味します。 出典)環境省「平成30年度のZEH(ゼッチ)関連事業(補助金)について」 利用条件 グリーンリフォームローンの利用条件は以下のとおりです。 対象住宅自ら居住する住宅、セカンドハウス、親族が居住するための住宅 対象リフォーム断熱改修工事、省エネ設備設置工事 融資額最大500万円(リフォーム工事費が上限) 返済期間10年以内(1年以上、1年単位) 金利タイプ全期間固定金利(申込時点の金利を適用) 担保・保証不要 融資手数料不要 団体生命信用生命保険利用可能 現場検査工事要件への適合を確認(現場検査手数料がかかる) 申込者の主な要件・借入申込時の年齢が満79歳未満(親子リレー返済を除く)・総返済負担率の基準を満たしていること 省エネリフォームと一緒に行うその他リフォーム(キッチンの改修、外壁塗装、間取り変更など)もローンの対象です。ただし、その他リフォームの融資額の上限は、省エネリフォームに係る工事費の金額までとなります。 たとえば、リフォーム費用の総額が500万円かかったとしても、その内訳として、省エネリフォームが200万円、その他のリフォームが300万円、という場合には、融資の上限は400万円となります。 リフォームが省エネ工事の要件を満たしていることを確認するため、工事着工前に、適合証明の申請や工事家各内容の確認が必要なほか、適合証明検査機関による現場検査が必要です。 また、すべての借入に対して、総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)の基準を満たしていることが要件となります。年収400万円未満は30%以下、年収400万円以下は35%以下が基準です。 グリーンリフォームローンのメリットと注意点 グリーンリフォームローンには、以下のようなメリットがあります。 無担保・無保証で利用できる 全期間固定金利で家計の収支計画を立てやすい 団体信用生命保険を利用できる 住宅の省エネ性能を高められる 担保や保証が不要で、融資手数料もかからないため、比較的利用しやすいローンといえるでしょう。全期間固定金利は、借り入れたときに設定された金利が、完済するまで変わらないため、長期的な家計の収支計画を立てやすいです。団体信用生命保険は、死亡などにより支払いができなくなった場合、借入残高がゼロになります。また、リフォームで住宅の省エネ性能を高めれば、断熱性能に優れた住宅で快適に暮らすことができ、脱炭素社会の実現にも貢献できます。 一方で、グリーンリフォームローンは、工事要件を満たさなくてはならないのが注意点です。適合証明検査機関の現場検査を受けて適合証明書を取得する必要があり、検査手数料もかかります。 グリーンリフォームローンを利用する際の流れ グリーンリフォームローンを利用する際は、以下の流れで手続きを行います。 借り入れの申込み 適合証明の申請・工事計画内容の確認 融資の決定・工事着工 工事完了・現場検査 適合証明書の交付・提出 融資契約・資金受取 リフォーム工事着工前に、借り入れの申込みや適合証明の申請、住宅金融支援機構による工事計画内容の確認が必要となるので、注意しましょう。 適合証明手続の必要書類 適合証明申請時には、適合証明申請書のほかに工事内容に応じて以下のような書類を準備します。 リフォーム工事後の設計図書、計算書、平面図 断熱材の性能がわかる仕様書 設置する設備の性能がわかる製品カタログ 工事完了報告時には、住宅改良工事完了報告書を提出します。なお、報告書には工事前、工事中、工事後の写真を撮影し、添付する必要があります。 満60歳以上の方は高齢者向け返済特例が利用可能 高齢者向け返済特例とは、申込者(連帯債務者を含む)が亡くなるまでの間は利息のみを支払う返済方法です。元金は申込者全員が亡くなったときに、相続人が自己資金で一括返済するか、担保物件(住宅および土地)の売却代金より返済する仕組みになっています。いわゆる「リ・バース60」と同じ商品性です。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 特例を利用した場合と利用しない場合の違い 高齢者向け返済特例を利用した場合と利用しない場合は以下のような違いがあります。 高齢者向け返済特例利用あり利用なし 担保必要不要 団体信用生命保険利用不可利用可 申し込み上限年齢制限なし満79歳未満 毎月の返済額利息のみ元金と利息 その他ノンリコース型- 高齢者向け返済特例は、毎月の支払いが利息のみなので、月々の返済額を抑えられます。また、ノンリコース型であるため、申込人が亡くなったときに担保物件の売却代金が残債務に満たなくても、相続人が残った債務を返済する必要がありません。相続人に負担を掛けずに済むので、高齢者でも利用しやすいでしょう。 一方で、高齢者向け返済特例を利用する場合は、担保が必要な点と団体信用生命保険が利用できません。担保が必要となる点や、返済総額が膨らむことを踏まえると、特例を利用しないと融資基準に当てはまらない人のための制度といえそうです。 まとめ グリーンリフォームローンは担保や保証が不要で、融資手数料もかからないのが魅力です。工事要件を満たす必要はありますが、省エネリフォームを考えているなら選択肢となります。ノンリコース型の高齢者向け返済特例もあるので、資金不足でリフォームをあきらめていた高齢者の方も利用を検討してみてはいかがでしょうか。 出典)住宅金融支援機構「グリーンリフォームローンの取扱いを開始」 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ リフォーム費用の相場と安く抑えるコツ 住み始めた頃は問題ないと感じていても、月日の経過に伴って住まいに不便さを感じる場面も出てきます。今後の生活を快適にするためには、リフォームを検討してみるのも選択肢の1つです。しかし、実際にリ...記事を読む
長く住み続ける予定でマイホームを購入しても、仕事や人間関係、環境の変化などを理由に「住み替えたい」と思うこともあるでしょう。しかし、住宅ローンが残っている状況では、新しい家に住み替えができるか不安を感じるのではないでしょうか。 住宅ローンが残っている場合、自宅の売却代金で残債を完済するのが基本です。ただし、自宅の売却代金で住宅ローンを完済できない場合は、「住み替えローン」を利用する方法もあります。 この記事では、住み替えローンの概要やメリット・デメリット、注意点について詳しく解説します。 住み替えローンとは? 住み替えローンとは、自宅の売却代金で住宅ローンを完済できない時に、残債を新居の購入代金と併せて借入する事ができるローンのことです。 自宅の資産価値よりも住宅ローン残高のほうが多い状態のことを「オーバーローン(貸出超過)」といいます。住み替えローンは、今の住宅ローンの返済資金と新たに購入する家の購入資金をまとめて借りることができるため、オーバーローン状態であっても利用できます。 「住み替えたいが自宅の売却代金で住宅ローンを返済しきれない」という場合は、住み替えローンを検討するといいでしょう。 住み替えローンを利用する際の流れ 住み替えローンの手続き自体は、通常の住宅ローンと大きな違いはありません。ただし、住み替えの際は「自宅の売却」と「新居の購入」の2つの取引が必要です。 自宅の売却活動では、不動産仲介業者に自宅の査定を依頼し、仲介により売却するのが一般的です。また、不動産会社と直接取引することで、より早期に売却できます。どちらも売却価格の合意後に売買契約を締結することになります。また、新居の購入活動では、不動産会社に物件を紹介してもらい、購入物件が決まったら売主と売買契約を締結します。 住み替えローンを利用するときは、自宅の売却(住宅ローンの完済)と新居の購入の決済は同じ日に行わなくてはなりません。自宅の売却と新居の購入はどちらから始めても構いませんが、なるべく平行して活動を進めて決済日を合わせる必要があります。 住み替えローンのメリット 住み替えローンのメリットは以下のとおりです。 住宅ローンの残債を完済できなくても住み替えができる 住み替えローンの最大のメリットは、自宅の売却代金で住宅ローン残債を完済できなくても住み替えができることです。 住宅ローンの残債が減るのを待つことなく、自分の好きなタイミングで住み替えができます。転勤や子どもの進学などでどうしても住み替えが必要な場合は、住み替えローンを利用するといいでしょう。 手元資金を使わずに済む 住み替えローンは、住宅ローン完済のために手元資金を使わずに済むのもメリットです。 手元資金で住宅ローンの残債を完済すれば借入はなくなりますが、大幅に手元資金が減ってしまう可能性があります。急にまとまったお金が必要になる可能性もあるので、もしものときに備えて「まとまったお金を残しておきたい」と考える人もいるでしょう。 住み替えローンを利用すれば、手元にお金を残しながら新居に住み替えができます。 住み替えローンのデメリット 一方で、住み替えローンには以下のデメリットもあります。 不動産の価格以上に借入金額が膨らむ 住み替えローンは、今の住宅ローンの返済資金と新居の購入資金をまとめて借りることになるため、借入金額が膨らんでしまいます。借入金額が増えれば、これまでよりも返済負担は大きくなるでしょう。 せっかく住み替えをしても、ローン返済が困難になれば新居を手放すことになりかねません。住み替えローンを利用する場合は、無理なく返済できるかを見極めることが大切です。 金融機関の審査が厳しい 住み替えローンは、住宅ローンに比べると金融機関の審査が厳しい傾向にあります。 不動産(新居)の評価額以上の金額を融資するオーバーローンであるため、返済能力や新居の担保価値を厳しく審査されます。そのため、勤務先や年収、ローン返済歴などによっては審査落ちの可能性もあります。 住み替えローンの注意点 住み替えローンは、自宅の売却と新居の購入を同時決済しなくてはなりません。そのため、不動産会社や金融機関と相談し、同じ日に決済できるように調整する必要があります。 新居の購入は物件や購入日を自分で選べるため、コントロールできる部分が多いといえますが、仲介で自宅の売却をしようとしても、買主が見つからないと手続きを進めることができないため、決済日の調整が難しいでしょう。 そのため、売却は購入のタイミングに併せて不動産会社に直接買い取りを依頼するなど、購入と同時に決済が出来るよう段取りをしておく必要があります。このように売却を仲介ではなく、不動産会社による直接買い取りにする場合には、価格が時価より下がりやすいので注意が必要です。 自宅売却で譲渡損失が生じても税制上の特例が使える 自宅の売却代金で住宅ローンを完済できない場合、譲渡損失(売却損)が発生する可能性が高いでしょう。マイホームの売却で譲渡損失が生じた場合は、「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が利用できます。 本特例は、マイホームを売却して譲渡損失が生じたときに、一定の要件を満たすとその譲渡損失をその年の他の所得(給与所得、事業所得など)から控除(損益通算)できる制度です。 また、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、最長3年間にわたって繰り越して各年の所得から控除できるため、所得税や住民税が軽減されます。特例が利用できるか判断できない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 出典)国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」 まとめ 住み替えローンは、今の住宅ローンの返済資金と新居の購入資金をまとめて借りることができるのがメリットです。ただし、借入金額が膨らむため、審査に通ったとしても毎月の収支を圧迫する恐れがあります。住み替えローンの利用は慎重に判断しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの流れや費用、利用できる税制上の特例を解説 ライフスタイルの変化などから、「住み替え」を検討することがあるかもしれません。しかし、住み替えたいと思っても、どのように住み替えを進めていいか、わからないことが多いかもしれません。また、住み...記事を読む
近年、まとまった老後資金を確保する手段として「リースバック」や「リバースモーゲージ」が注目されています。もし、まとまった老後資金の確保を目的として利用を検討する場合には、リースバックとリバースモーゲージの違いをしっかりと理解しておくことが大切です。 この記事では、リースバックとリバースモーゲージの違いと、どちらが自分に向いているかを判断する基準について解説します。 リースバックとリバースモーゲージの概要 リースバックの概要 リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結して毎月家賃を払うことで、売却後も同じ家に住み続けられます。 リースバックは不動産取引であるため、基本的に年齢制限や年収基準、家族の同居制限はありません。また、賃借権は相続されるので、契約者にもしものことがあっても配偶者は住み続けられます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リバースモーゲージの概要 リバースモーゲージとは、自宅を担保に借り入れができる高齢者向けのローン商品です。毎月の支払いは利息のみで、債務者の死亡後に相続人が自宅の売却もしくは現金一括で元本を返済します。一般的なローンとは異なり、毎月の支払いは利息のみなので、月々の返済額を抑えられるのがメリットです。 ただし、元金は据え置きなので、長生きするほど利息負担が増えるリスクがあります。また、自宅の売却代金よりローン残債の方が多かった場合、残った債務が相続人に引き継がれることがあります。 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説 リースバックとリバースモーゲージの共通点と違い リースバックとリバースモーゲージの共通点 まず、リースバックとリバースモーゲージの共通点は以下のとおりです。 不動産を活用した資金調達方法 不動産を売却する商品・サービス リースバックとリバースモーゲージは、自宅を活用して資金調達できるのは同じです。タイミングは異なりますが、どちらも最終的には自宅を売却するため、相続後に不動産が残らないのも共通点です。 リースバックとリバースモーゲージの違い リースバックとリバースモーゲージは不動産を活用して資金を調達できるという点から似ていると感じるかもしれませんが、リースバックは不動産売買+賃貸借契約、リバースモーゲージは不動産担保融資であり、その特徴や仕組みは大きく異なります。 具体的には、以下のような違いがあります。 所有権移転のタイミング 資金の受け取り方(売却と融資) 月々の支払い(家賃と利息) リースバックは、自宅を売却して賃貸に切り替えた時点で所有権は運営会社に移転します。それに対して、リバースモーゲージは債務者の死亡後、自宅を売却して元本を返済する仕組みなので、債務者が生きている間は自宅の所有権は移転しません。 また、リースバックは売却資金を受け取り、その後は毎月家賃を払うのに対し、リバースモーゲージは融資金を受け取り、毎月利息を払う点も異なります。 リバースモーゲージと比較したリースバックのメリット リバースモーゲージと比較したリースバックのメリットは以下の4つです。 誰でも利用できる リースバックは不動産売却なので、基本的に与信面で断られることはありません。また、年齢制限や年収基準がないので、持ち家があれば高齢者でも利用しやすいでしょう。 一方で、リバースモーゲージは自宅を担保とした融資であるため、金融審査があります。年齢制限や年収基準が設定されていることが多く、一定の収入がないと与信面で否決される可能性があります。 ローンを完済できる リースバックは不動産売却なので、住宅ローンが残っていても売却資金で完済できます。ただし、売却資金が住宅ローンの残債を上回る必要がある点には注意が必要です。 一方で、リバースモーゲージは融資なので、ローンが残っている状態がずっと続きます。毎月の支払いは利息のみですが、市場金利が上昇すれば、毎月の返済額が増えて支払いが困難になる可能性があります。 相続対策になる リースバックは自宅を売却して現金化するため、相続時に財産分与しやすいのがメリットです。特に複数の相続人がいる場合、自宅をどのように分けるかを考える必要がないので、相続問題を回避しやすくなります。 一方で、リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みですが、売却資金がローン残債より少ない場合、残った債務は相続人に引き継がれます(リコース型の場合)。ノンリコース型なら債務が残っても相続人に返済義務は生じませんが、リコース型に比べて適用金利が高い傾向にあります。 持ち家の所有リスクを移転できる リースバックで自宅を売却すれば、持ち家の所有リスクを移転できます。そのため、自宅の維持管理のためのメンテナンスコストが不要である点や、突発的な地震や台風といった自然災害で住居に被害が出ても、修繕費用は運営会社が負担してくれるので安心です。 一方で、リバースモーゲージは、資金調達後も持ち家であることに変わりはないので、メンテナンスコストや建物に被害が出たときの修繕費用は自身で負担しなくてはなりません。住まいに関する資金も借り入れする事ができますが、借入金が膨らんでしまう点には注意が必要です。 リバースモーゲージと比較したリースバックのデメリット 一方で、リバースモーゲージと比較したリースバックのデメリットは以下の2つです。この2つのデメリットを考慮したうえで、どちらがいいかを判断しましょう。 所有権を手放すことになる リースバックを利用する場合は自宅を売却するので、所有権を手放すことになります。所有権を手放せばその家は自分のものではなくなり、自由にリフォームを行うこともできなくなります。 一方で、リバースモーゲージは資金調達後も持ち家であることに変わりはないので、自由にリフォームを行うことができます。 自宅を相場より安い金額で売却してしまう リースバックを利用した場合、自宅の売却価格は相場の7割程度となってしまいます。そのため、売却価格にだけ着目すると、リースバックは取引時点で損失を確定することになります。 一方で、リバースモーゲージの場合、リバースモーゲージを利用することが自宅の売却価格に影響を及ぼすことはありません。ただし、最終的に自宅を売却するまでに価値が下がり、結果的に損失が出る場合もあるので注意しましょう。 まとめ リースバックとリバースモーゲージを比較すると、利用しやすさや相続対策、所有リスクを移転できる点などはリースバックの方が優れています。しかし、自身の状況によっては必ずしもリースバックがいいとも限りません。 リースバックとリバースモーゲージのどちらを利用すべきか悩んでいる場合は、専門家や金融機関に相談するのも有効です。両者の違いを十分に理解したうえでどちらを利用すべきかを判断しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックと不動産担保ローンの違いとは リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適...記事を読む
リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資を受けられる高齢者向けのローン商品です。高齢化によって老後の期間が長くなっていることから、老後資金を作る方法のひとつとして注目されています。 リバースモーゲージは同じ家に住み続けながら老後資金を準備できますが、デメリットもあるため、仕組みを理解したうえで利用することが大切です。この記事ではリバースモーゲージの特徴やメリット・デメリット等について解説します。 リバースモーゲージとは リバースモーゲージは、自宅を担保にした不動産担保ローンの一種で、毎月の支払いは利子のみ、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みです。自宅に住み続けながら資金調達できるので、老後資金対策として検討する人が増えています。 リバースモーゲージを利用するためには、年齢や年収、家族の同居、資金使途などに一定の制限があります。債務者に配偶者が居り、債務者が先に亡くなってしまった場合でも、自宅をすぐに売却しなければならないわけではなく、配偶者は契約を引き継ぐことで、債務者が死亡した後も引き続き自宅に住むことができます。 リバースモーゲージの仕組み リバースモーゲージの仕組みは以下のとおりです。 リバースモーゲージはこんな方におすすめ リバースモーゲージは、老後資金に不安のある方で、特に下記のような方におすすめです。 住宅ローンの返済が辛い方 生活資金や余暇を楽しむための資金が必要な方 リフォーム資金が必要な方 老人ホームの入居費用が必要な方 相続人がいない、もしくは相続人に不動産を残す予定の無い方 なお、自身の状況や使途によっては、リ・バース60やリースバックの方が適している場合もあります。 リバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」とは リ・バース60は、住宅金融支援機構が提供するリバースモーゲージ型住宅ローンです。リバースモーゲージが生活費や医療費など幅広い使途に対応するのに対し、リ・バース60は、リバースモーゲージの仕組みを活用しつつ、住宅購入やリフォームなど特定の用途に資金使途を限定している点が特徴です。 さらに、リ・バース60では契約者が亡くなった後に相続人が元金を一括返済することで、自宅を相続することが可能です。この仕組みにより、自宅を担保に資金を調達しつつ、将来的に家族に住まいを残す選択肢も確保できます。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 そのため、状況に応じてリバースモーゲージだけではなく、リ・バース60やリースバックも検討すると良いでしょう。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リバースモーゲージのメリット リバースモーゲージのメリットは以下2つです。 自宅に住み続けながら資金を調達できる 自宅を活用して資金調達する場合、まずは売却を検討するのではないでしょうか。自宅を売却すればまとまった資金が手に入るかもしれませんが、売却後は別の住居を確保しなくてはなりません。しかし、高齢で賃貸住宅の契約が難しいことや、慣れ親しんだ自宅に住み続けたいなどの理由から、引っ越しを避けたい方は多いでしょう。リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けられるので、自宅に住み続けながら老後資金を準備できます。 毎月の支払いが利子のみで返済負担が少ない リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済する仕組みになっています。元金の返済は死亡時まで猶予され、毎月の支払いは利子だけで済むので、返済負担が少ないのがメリットです。リバースモーゲージを利用すれば、月々の収入がそれほど多くない方でも家計のやりくりが楽になります。 リバースモーゲージのデメリット リバースモーゲージには先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。 融資条件が厳しい リバースモーゲージは、融資条件が厳しいのがデメリットのひとつです。資金使途が限定されていることがほとんどですし、対象不動産については対象地域が狭く、首都圏を中心とする大都市の物件に限定されることが多くなっています。また、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済するという仕組みのため、推定相続人の同意が必要です。リバースモーゲージを検討する場合は、融資条件を満たすかどうかを確認すると同時に、推定相続人の同意が取れるか確認しましょう。 元金が減らない メリットのところで記載しましたが、リバースモーゲージでは返済が利子だけで済むので、毎月の返済を抑えることが出来ます。しかし、これは裏を返せば借入の増加や、返済期間が長期化するほど返済負担が多くなっていきます。また、返済が難しくなっても限度額の範囲であれば追加融資を受けられますが、借入のたびに元金は膨らむこととなるので注意が必要です。 不動産評価の下落リスク リバースモーゲージの融資金額は、担保評価額の半分程度までが一般的です。担保評価額は毎年見直されるため、急な地価下落などで担保評価額が下がる可能性もあります。この担保評価額の見直しによっては、既に借入をしている元金が融資限度額を超えてしまい、返済を求められることもあるので注意が必要です。 金利変動リスク リバースモーゲージは変動金利のため、金利変動リスクがあります。借入中に適用金利が上昇すると、毎月の利子支払額が増えてしまうかもしれません。そのため、リバースモーゲージを利用する場合は、金利上昇に備えて余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。 リバースモーゲージ以外に老後資金を作る方法 リバースモーゲージは上記のようなメリットやデメリットがあるので、条件によっては、自宅に住み続けながら老後資金を作るほかの方法として「不動産担保ローン」と「リースバック」の方が適している可能性があります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保に融資を受けるローンです。不動産を担保とする点では、リバースモーゲージと仕組みは同じです。不動産担保ローンはリバースモーゲージとは異なり、返済方式が元利均等返済となっており、不動産売却による完済ではなく、返済による完済を前提にしています。そのため、相続で子供に不動産を残したい場合など、将来的に不動産売却をするつもりがないケースでは、リバースモーゲージよりも不動産担保ローンの方が適しているといえるでしょう。 一方で、不動産担保ローンでは、ローン完済時の年齢制限がありますので、利用を検討する場合には、金融機関ごとの融資条件を確認しましょう。 関連記事はこちら【FP解説】不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いとは? リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却後、その会社と賃貸借契約を締結することで自宅に住み続けられるサービスです。リバースモーゲージとリースバックはよく比較されますが、その仕組みは大きく異なります。リバースモーゲージが自宅を担保に融資を受けるのに対し、リースバックは自宅の売却によって資金調達したうえで賃貸として住み続けます。 リースバックの売却価額は市場価額より低くなりますが、「年齢制限や年収基準なし」「資金使途は原則自由」など、融資条件の面でリバースモーゲージのデメリットを解消できます。ただし、売却後も自宅にずっと住み続けられるかどうかは、賃貸借契約がポイントとなります。賃貸契約期間が定められている「定期借家契約」の場合、再契約できずに引っ越しが必要になる可能性があるので契約内容には注意が必要です。 関連記事はこちらリースバックとリバースモーゲージの違いとは リバースモーゲージのよくあるご質問 リバースモーゲージのよくあるご質問は以下のとおりです。 リバースモーゲージではどのくらいの金額を借り入れすることができますか? リバースモーゲージで借り入れすることができる金額は、提供する金融機関などによって異なります。一般的には、担保評価額の50%程度を上限としている場合が多いようです。 リバースモーゲージには年齢制限はありますか? リバースモーゲージの利用が可能な年齢は、50歳~80歳です。年齢制限は、各金融機関などによって異なりますので、利用を検討している場合は事前に確認することをおすすめします。 リバースモーゲージの金利はいくらですか? リバースモーゲージの金利は、約3.0%~5.0%です。一般的に、カードローンや不動産担保ローンより低金利で借り入れができる一方、住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。 住宅ローンが残っている不動産を担保にすることはできますか? 担保とする不動産に住宅ローンが残っている場合であっても、融資を受けられる可能性があります。ただし、借入資金によって既存の住宅ローンを返済することが条件となります。残債が一定金額減っている状態であれば、リバースモーゲージで住宅ローンの借り換えを行うことができ、借り換えによって毎月の支払いが利息のみとなるので、返済負担を軽減できます。 マンションを担保に融資を受けることはできますか? マンションを担保にする場合、対象となる物件に条件があり、立地が悪いマンションや築年数の古いマンションは対象外になることが多いようです。また、金融機関によってはマンションを対象外としている場合もあります。マンションを担保にリバースモーゲージの利用を検討している場合は、事前に問い合わせをしてみましょう。 生活保護を受けているが、融資を受けることはできますか? 生活保護を受けている場合、一般的に融資を断られる可能性が高いです。しかし、収入等の一定の条件を満たすことで融資を受けられる可能性もあります。条件は金融機関によって異なるため、問い合わせをしてみましょう。 ※下記金融機関の融資条件を参考に回答作成 ・三菱UFJ銀行 リバース・モーゲージ型 住宅関連ローン ・三井住友信託銀行 不動産活用ローン(リバースモーゲージ) ・東京スター銀行 リバースモーゲージ「充実人生」 ・神奈川銀行 かなぎんリバースモーゲージローン ・愛媛銀行 シニア層向けローン(住宅担保)~リバースモーゲージ~ まとめ ここまで紹介したように、自宅を活用して老後資金を作るには、リバースモーゲージの他に不動産担保ローン、リースバックといった方法があります。ご自身の状況によって最善の選択肢は変わってくるので、それぞれの仕組みやメリット・デメリットを理解したうえで計画的に資金調達をしましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージではどのくらいの金額を借り入れすることができますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "リバースモーゲージで借り入れすることができる金額は、提供する金融機関などによって異なります。一般的には、担保評価額の50%程度を上限としている場合が多いようです。" } }, { "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージには年齢制限はありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リバースモーゲージの利用が可能な年齢は、50歳~80歳です。年齢制限は、各金融機関などによって異なりますので、利用を検討している場合は事前に確認することをおすすめします。" } }, { "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージの金利はいくらですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リバースモーゲージの金利は、約3.0%~5.0%です。一般的に、カードローンや不動産担保ローンより低金利で借り入れができる一方、住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。" } }, { "@type": "Question", "name": "住宅ローンが残っている不動産を担保にすることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"担保とする不動産に住宅ローンが残っている場合であっても、融資を受けられる可能性があります。ただし、借入資金によって既存の住宅ローンを返済することが条件となります。残債が一定金額減っている状態であれば、リバースモーゲージで住宅ローンの借り換えを行うことができ、借り換えによって毎月の支払いが利息のみとなるので、返済負担を軽減できます。" } }, { "@type": "Question", "name": "マンションを担保に融資を受けることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"マンションを担保にする場合、対象となる物件に条件があり、立地が悪いマンションや築年数の古いマンションは対象外になることが多いようです。また、金融機関によってはマンションを対象外としている場合もあります。マンションを担保にリバースモーゲージの利用を検討している場合は、事前に問い合わせをしてみましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "生活保護を受けているが、融資を受けることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"生活保護を受けている場合、一般的に融資を断られる可能性が高いです。しかし、収入等の一定の条件を満たすことで融資を受けられる可能性もあります。条件は金融機関によって異なるため、問い合わせをしてみましょう。" }} ] } 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...記事を読む リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け...記事を読む
不動産担保ローンを提供している金融機関の中には、即日融資に対応しているところもあります。持ち家の人で至急まとまった資金が必要になれば、不動産担保ローンで即日融資を受けることを考えるかもしれません。しかし、不動産担保ローンは即日融資を受けるのがそもそも難しく、受ける場合にも注意すべき点があります。 この記事では、不動産担保ローンの即日融資について解説します。 不動産担保ローンで即日融資を受けるのが難しい理由 不動産担保ローンで即日融資を受けるのが難しい理由は、主に担保不動産を評価するための時間が必要だからです。戸建てなどの個別要因の高い担保不動産の場合、正確に評価をするには、現地調査や役所調査などに数日かかります。 また、物件や与信の審査にあたって、さまざまな書類を準備しなければならないため、即日融資は難しいです。これらのことから即日融資を受けるためには、査定が比較的しやすい流通性の高いマンションであり、かつ必要書類を不備なく揃えておくなど、金融機関側の審査が円滑に進むように準備しなければなりません。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 不動産担保ローンで即日融資を受ける際の注意点 不動産担保ローンで即日融資を受ける場合は、以下の点に注意しておきましょう。 担保不動産の価値が過小評価される場合がある 上述のとおり、担保不動産の価値を正確に審査するには、時間を要します。そのため、即日融資に対応するには、担保不動産を保守的に評価せざるを得なくなり、金利や融資可能額などの条件面で不利になる恐れがあります。 対応金融機関が少ない 不動産担保ローンで即日融資に対応している金融機関の数は多くありません。本来、不動産担保ローンで資金調達をする場合、複数の金融機関に相談して提案された内容を比較、検討したうえで、信頼性の高い金融機関でローンを借りることが大切です。しかし、対応できる金融機関が少ない上、検討期間も短いため比較することが困難です。 また、そもそも貸金業者として行政に登録されている金融機関であるかを確認することも大切です。行政に登録されていない、いわゆるヤミ金からは絶対に融資を受けてはいけません。行政に登録されているかどうかは、金融庁が提供している「登録貸金業者情報検索入力ページ」から確認できます。 融資条件を冷静に判断する たとえ至急まとまった資金が必要な状況だとしても、金融機関から提示された金利や手数料の条件をすぐ鵜呑みにして、そのまま融資を受けないようにしましょう。 無理なく返済を続けるのが難しいにもかかわらず融資を受けてしまうと、後々生活が苦しくなってしまいます。また、不動産担保ローンの返済が滞ってしまうと、最悪の場合担保不動産を手放さなければならなくなります。 そうならないためにも、提示された金利や手数料と自分の収入を比較し、無理なく返済を続けられることを確認のうえ、即日融資を受けるようにしましょう。 カードローンをつなぎとして利用するという選択肢 もし不動産担保ローンで即日融資を狙うなら、カードローンをつなぎとして利用し、後から不動産担保ローンに借り換えるのも選択肢のひとつです。 まずはカードローンを借りた方がいい3つの理由 ここでは、不動産担保ローンで即日融資を狙うときに、まずはつなぎとしてカードローンを借りた方がいい理由を3つ紹介します。 カードローンであれば、即日融資を受けられる 上述のとおり、不動産担保ローンは、担保不動産を評価するための時間が必要です。一方で、無担保で借りられるカードローンなら審査は早く、即日融資も可能です。カードローンを利用すれば、不動産担保ローンの融資実行までに必要な資金をすぐに準備できます。 カードローンは融資事務手数料・繰上返済手数料がかからない カードローンは金利が高く、返済額に占める利息の割合が大きいため、長期の借り入れには向きません。しかし、カードローンは融資事務手数料や繰り上げ返済手数料がかからないので、短期間の利用には適しています。 不動産担保ローンを検討する猶予がうまれる 即日融資可能な不動産担保ローンだと、提供している金融機関も少なく、検討時間も短くなります。ひとまず、カードローンを利用することで、即日融資に対応していなくとも、良い条件を提示してくれる金融機関が見つかるかもしれません。 カードローンを借りると審査が不利になる? カードローンを借りると、不動産担保ローンの審査が不利になるか気になるのではないでしょうか。しかし、カードローンを借りたからといって、審査が不利になることはほとんどありません。 ただし、カードローンを利用した理由について、金融機関にしっかりと説明する必要があります。不動産担保ローンの相談をするときに、カードローンを借りた経緯や必要性について説明できるように準備しておきましょう。また、基本的には不動産担保ローンの借り入れと同時にカードローンの返済を求められます。 カードローンをつなぎとして利用する場合の注意点 カードローンをつなぎとして利用する場合は、融資額に注意しましょう。不動産担保ローンの融資限度額以上をカードローンで借りると、カードローンから不動産担保ローンへの借り換えができなくなるからです。 不動産担保ローンでは、担保不動産の市場販売価格の6割~8割程度が、融資額の上限の目途になります。たとえば、担保とする不動産の市場販売価格が2,000万円であれば、1,200万円~1,600万円が融資額の上限です。 ただし、実際の融資額は担保不動産だけでなく、債務者の属性も含めて総合的に審査したうえで決定されます。そのため、カードローンの借り入れは、保守的にみて不動産の市場販売価格の5割ぐらいまで(先程の例なら1,000万円まで)に抑えた方がよいでしょう。 まとめ 不動産担保ローンは不動産の担保評価に時間がかかるため、基本的に即日融資は難しいです。無理をして即日融資を受けようとすると、思わぬリスクを抱えることもあります。まとまった資金が急に必要になった場合、まずはつなぎとしてカードローンを利用し、その後に不動産担保ローンへ借り換えるといった資金調達も検討してみましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンへの借り換えを分かりやすく解説 現在、銀行などの金融機関から借りているローンについて、「毎月の返済額を減らしたい」「資金繰りが厳しい」といった悩みをかかえていないでしょうか。このような悩みがある場合、不動産担保ローンへの借...記事を読む
「買取再販ローン」という言葉を聞いたことはないでしょうか。買取再販ローンは不動産担保ローンのひとつで、利用者が特定の不動産事業者に限定されているのが特徴です。特定の要件を満たす不動産事業者であれば、通常の不動産担保ローンより買取再販ローンを利用するほうが、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。この記事では、買取再販ローンの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。 買取再販ローンとは 買取再販ローンとは、住宅買取再販(中古住宅を買い取ってリフォーム後に再販)を行う不動産事業者(買取再販事業者)向けの不動産担保ローンです。不動産事業者が中古住宅を買い取る際に、その住宅を担保にすることで、住宅の買取資金とリフォーム資金の一括融資が受けられます。買取再販ローンを利用することで、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて資金調達できます。 買取再販ローンの仕組み 住宅買取再販の一般的な流れは以下のとおりです。 1. 買取再販事業者は中古住宅を買い取る 2. 金融機関は買取再販事業者に住宅取得資金とリフォーム資金を融資 3. 金融機関は住宅金融支援機構と住宅融資保険契約を締結 4. 買取再販事業者は買い取った中古住宅をリフォームして売却(ローン返済) ※1~3は同時進行 住宅ローンの「フラット35」を提供している住宅金融支援機構では、中古住宅の流通およびリフォーム市場の活性化に取り組んでいます。その取り組みの一環として、平成28年度から買取再販事業者向けのローンを、住宅融資保険の付保対象に追加しました。 住宅融資保険とは、民間金融機関のローンについて、ローン利用者から返済が予定どおり行われず、債務不履行となった場合に、住宅金融支援機構が民間金融機関の損害を補填する保険のことです。買取再販ローンが住宅融資保険の対象になったことで、民間金融機関は買取再販を行う不動産事業者に対して融資しやすくなりました。買取再販ローンを利用すれば、不動産事業者は、買取再販に必要な資金をまとめて調達することが可能です。また、買取再販事業者が中古住宅をリフォームして売却する際に、住宅購入者がフラット35を利用する場合は、住宅の性能が一定の要件に該当する場合は金利引き下げが適用されます。 買取再販ローンのメリット 買取再販ローンのメリットは以下2つです。 ● 魅力的な金利で融資を受けられる ● 買取再販に必要な資金が一括融資される 買取再販ローンは、魅力的な金利で融資を受けられます。金融機関によって適用金利は異なりますが、年率2%前後の金利が適用されることが多いです。一般的な不動産担保ローンに比べて低金利で資金調達できるので、返済時の金利負担を軽減できます。 また、買取再販ローンでは、買取再販に必要な資金が一括融資されるのもメリットのひとつです。買取再販ローンを利用すれば、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて調達できます。事務取扱手数料などは準備しなくてはなりませんが、必要資金のほとんどを融資でまかなうことができます。 買取再販ローンのデメリット 買取再販ローンは金利が比較的低く、必要資金が一括融資される一方で、以下のようなデメリットもあります。 ● 融資実行までに時間がかかる ● 利用者が特定の不動産事業者に限定される 買取再販ローンは、融資実行までに時間がかかります。買取再販ローンでは金融機関の審査に加えて、住宅金融支援機構の審査も追加されます。必要書類をすべて準備してから最短でも10営業日程度はかかるので、スケジュールに余裕をもって手続きをすることが大切です。 買取再販ローンは、利用者が特定の不動産事業者に限定されるのもデメリットです。買取再販ローンの対象になるには、「住宅関連事業の業歴が法人で1年以上」「宅地建物取引業免許の所有」といった条件を満たさなくてはなりません。また、融資金額や担保物件の要件についても、通常の不動産担保ローンに比べて細かく設定されています。たとえば、融資金額については、1事業者あたりの上限額が設定されており、他の金融機関で住宅融資保険付の借入残高がある場合は、その残高も合わせて融資金額が設定されます。また、担保物件については「リフォームが必要な中古住宅」「リフォーム工事後において新耐震基準を満たす」「住宅融資保険の付保承認が必要」といった要件があります。これらの条件・要件を満たさないと、買取再販ローンは利用できません。 まとめ 買取再販ローンは、融資実行まで時間がかかるデメリットがあります。また、利用者が特定の不動産事業者に限定されるので、特定の要件を満たさなければローンを利用することはできません。しかし、これらのデメリットを考慮しても、低金利で中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用をまとめて調達できるのは大きな魅力です。不動産事業を営んでいて、買取再販ローンの要件をクリアできる可能性があるなら、まずは金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 物件の仕入れは資金確保とネットワークが重要?! ーー不動産事業者インタビューvol.1(1) ひとくちに不動産業といっても、さまざまな事業分野があります。その中でも、不動産の物件の仕入れというのは、もっとも基本的かつ重要な業務といえるでしょう。どうすれば優良な物件を入手することができ...記事を読む
不動産担保ローンとカードローンは、資金が必要な際に利用できるローンという点では同じですが、特徴やメリット、デメリットは異なります。それぞれの違いを理解し、不動産担保ローンとカードローンを適切に使い分けることが大切です。 この記事では、不動産担保ローンとカードローンの違いについて解説します。なお、カードローンには不動産担保ローンのカード型もありますが、この記事でのカードローンは一般的な無担保カードローンと定義します。 不動産担保ローンとカードローンの概要 不動産担保ローンの概要 不動産担保ローンとは、不動産を担保に資金を借りる有担保ローンです。資金使途は原則自由であり、様々な用途で利用することができます。詳しくは、以下の記事で解説しています。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 カードローンの概要 カードローンとは、利用限度額の範囲なら、銀行やコンビニのATMやインターネットを利用して、何度でも自由に借入や返済ができる無担保ローンのことです。銀行や消費者金融が提供しており、入会金や年会費は必要ありません。資金の利用目的は原則自由で、旅行やレジャー、冠婚葬祭、美容代など、さまざまな用途に利用できます。 ただし、サービスによっては、事業性資金には利用できないこともあります。契約できる年齢には制限があり、20歳以上の方が対象です。また、高齢者の年齢制限は、60代後半までが上限となることがほとんどです。カードローンの中には、初めて利用する方を対象に無利息期間を設定しているサービスもあります。 カードローンのメリット カードローンを利用するメリットとして、以下のものが挙げられます。 審査が早い カードローンは審査が早く、短時間で資金調達が可能です。カードローンは無担保なので、担保について審査する時間を省略できるからです。中には「最短30分で審査結果を回答できる」とうたっているカードローンもあります。申し込みはインターネットで完結するので、店舗に訪問して手続きする必要もありません。 保証人不要 ローンを利用する場合は、保証人が必要なケースもあります。家族や友人に保証人をお願いすることを心苦しいと感じる方は多いのではないでしょうか。また、保証人が思うように見つからないと、保証人を探すのに大変な労力がかかります。カードローンは保証人不要で利用でき、限度額の範囲内であれば何度でも自由に借入や返済が可能です。 ATMやインターネットで借入・返済できる ATMやインターネットで借入や返済できるのも、カードローンのメリットのひとつです。急にお金が必要になった場合でも、近くの銀行やコンビニATMですぐに借りることができます。時間帯によっては、ATM手数料0円で利用可能です。また、スマホやパソコンから手続きすれば、登録口座に振込してもらえます。 カードローンのデメリット カードローンは先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。 金利が高い カードローンの金利は一般的に4%~15%で、さらに高い金利が適用されることもあります。カードローンは担保という保証がないため、利用者が返済できなくなった場合のリスクに備えて金利は高めに設定されています。借入金利が高いと利息の負担額が大きくなり、返済総額が増えてしまいます。 返済期間が長期化しやすい カードローンは、返済期間が長期化しやすいのもデメリットです。ほとんどのカードローンは、「定額(定率)リボルビング方式」と呼ばれる返済方式を採用しており、借入残高に応じて決めた固定金額または借入残高の一定割合を毎月返済していきます。リボルビング方式は、毎月の返済額は少額で済みますが、返済額に占める利息の割合が大きいのが特徴です。元本の返済がなかなか進まないため、返済期間が長期化しやすくなります。 不動産担保ローンとカードローンの違い カードローンと比較した不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンは、カードローンよりも低金利で借入できます。カードローン金利は一般的に4%~15%ですが、不動産担保ローンは一般的に2%~10%程度です。 また、カードローンの限度額は最大1,000万円程度ですが、不動産担保ローンなら、担保とする不動産の価値によっては1億円以上の資金を借りることも可能です。さらに不動産担保ローンは返済期間を10年~30年と長期に設定することができ、カードローンに比べて長期間の借入がしやすいメリットもあります。 カードローンと比較した不動産担保ローンのデメリット 不動産担保ローンは、担保となる不動産の価値を評価する必要があるため、融資に時間がかかります。カードローンのように短時間で審査終了、即日融資というわけにはいきません。 また、カードローンは通常、手数料は発生しませんが、不動産担保ローンでは事務手数料、不動産鑑定費用、抵当権の登記費用などがかかります。借りたお金を返済できなくなると、担保にした不動産を処分されてしまうのもデメリットです。 不動産担保ローンとカードローンをどう使い分ける? 不動産担保ローンを検討した方がいい場合 担保にできる不動産を保有していることが前提ですが、まとまった資金を低金利で調達したい場合は不動産担保ローンを検討するといいでしょう。カードローンと比較して金利が低く、返済期間を長く設定できるため、月々の返済額も安く済みます。事業の運転資金や開業資金など、まとまったお金を借りて長期に渡って返済していきたい場合は、不動産担保ローンが向いているといえます。 カードローンを検討した方がいい場合 カードローンは急に資金が必要な場合や必要な金額が少額な場合は、即日融資が可能で借入時の手数料がかからないカードローンを検討するといいでしょう。ただし、不動産担保ローンと比較して高金利なので、返済が長期化しないように注意が必要です。医療費や冠婚葬祭費用など、急に必要となった費用を一時的に借りて短期間で返済する場合は、カードローンが向いているといえます。 まとめ カードローンは気軽に利用できますが、金利が高いので、長期間にわたって利用すると利息の負担額が大きくなってしまいます。カードローンはどうしても資金が必要なときに短期間だけ利用し、なるべく早く返済することを心掛けましょう。 一方で、担保にできる不動産を保有している人がまとまった資金を低金利で調達したい場合は、不動産担保ローンがおすすめです。不動産担保ローンとカードローンそれぞれのメリットとデメリットを比較し、ご自身の状況に合わせてどちらを利用するか判断しましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【不動産担保ローンの即日融資】できるだけ早く資金調達するには? 不動産担保ローンを提供している金融機関の中には、即日融資に対応しているところもあります。持ち家の人で至急まとまった資金が必要になれば、不動産担保ローンで即日融資を受けることを考えるかもしれま...記事を読む
「預貯金が十分にはなく、まとまったお金が用意できない」といった悩みを持つことがあるかもしれません。そんな時、持ち家であれば、不動産を活かしてお金を捻出できないか?と思う人もいるのではないでしょうか?例えば、親の介護施設などの費用を捻出する際に、実家の資産価値を活かせないか相談にくる人もいます。 この記事では、1人暮らしの親の介護に関わる費用に悩む62歳男性の事例をご紹介します。 [ ご相談者 Hさん ] 62歳男性 会社員(配偶者あり) 子は独立 1人暮らしの母親(88歳)の足腰が弱くなり、車椅子が必要になったことで(要介護3)、介護施設の入居を考えている。 Hさんには弟がいるが、海外にいるので介護面でほとんど協力は得られない。 (1)リバースモーゲージの特徴と注意点 Hさん: 先日、母が米寿を迎えたのですが、最近足腰が弱まっていたからか転倒し、車椅子が必要になってしまいました。実家は昔ながらの二階建ての一軒家でバリアフリーではなく、介護施設の方が安心かと探しています。ただ、両親も自分も、自由に使える現預金があまり手元にないので、その費用をどう捻出しようかと考えています。調べていたら「リバースモーゲージ」を知ったのですが、どうなんでしょうか? FP吹田:リバースモーゲージは、自宅を担保にして融資を受けられる商品です。資金使途は生活費などにも利用でき、介護施設の入居費用にも使えますね。Hさんのケースであれば、お母様所有のご実家を担保に年金形式でお金を借りられます。ちなみに、リバースモーゲージを考えられた理由はなぜでしょうか? Hさん: 家を売るような話は、到底母に言えないですし、まずは今の住まいを維持した状態で、資金を捻出できる方法はないかと調べていたからです。 FP吹田:なるほど。リバースモーゲージは、ご実家を担保にはしますが、所有権を手放すわけではないので、今回のケースでは選択肢の一つになりそうですね。なお、年金形式で融資を受けられる目安は、担保評価額の約半分程度までが一般的と言われています。 Hさん: え?担保評価額の半分程度なのですか?もっと多いかと思ってました。 FP吹田:リバースモーゲージは、そもそも高齢者向けの商品である上に、死ぬまで利息のみの返済で長期間の融資になるので、評価目一杯の融資は難しく、担保評価に対して保守的にならざるを得ません。しかも、担保評価額は毎年見直されるので、評価額の減少で利用可能額が下がることもあり得ます。その場合、利用可能額を超えてしまった分は一括返済となるので注意が必要です。 Hさん: なるほど。うちは一戸建てとはいえ、そんなに評価額は高くないかもしれないですね。弟は海外にいるので、あまり相談できないですし。 FP吹田:推定相続人はHさんと弟さんのお2人ですか?というのも、リバースモーゲージは、ご実家の所有者であるお母様がお亡くなりになられた後に、売却して一括返済するというのが一般的なので、相続人全員の同意も必要になるのです。 Hさん: そうでしたか。母に万一の際の相続人は僕たち兄弟2人です。リバースモーゲージは、毎月の負担が利息だけと知っていいなと思ったのですが、実際は、借入可能額や相続人同意の件など、ちょっと厳しいかもしれません。他に売却せずにできる方法は何があるでしょうか? (2)不動産担保ローンの特徴とデメリットの解消法 FP吹田:不動産を担保に融資を受けるという点で、共通している不動産担保ローンという選択肢もあります。リバースモーゲージと不動産担保ローンの特徴を一覧にしたので、こちらを見てみましょう。 不動産担保ローンとリバースモーゲージの主な特徴 不動産担保ローンリバースモーゲージ 仕組み一括借入れと返済融資上限枠内の分割借入れ(年金形式) 担保不動産不動産 借入可能目安物件の評価額の6割~8割程度物件の評価額(毎年見直し)の5割程度 所有権の変更なしなし 最終形返済できれば、不動産はそのまま。返済できない場合は、担保不動産を売却。死亡時に不動産を売却して元本一括返済(一部例外あり) 月々の負担元本と利息毎月利息分のみ負担 金利変動金利、固定金利変動金利が多い 相続人の同意不要必要 年齢・所得・資金使途の制限少ないある(高齢者向け) Hさん: 不動産担保ローンだと、担保物件の評価額の6割~8割程度までみてもらえるのですね。 FP吹田:はい、個別事情による部分もありますが、一般的には6割~8割程度と言われており、担保物件についても一戸建てのみでなく、マンションや借地権付建物含め、利用できる対象も幅広いと言えます。 Hさん: なるほど。毎月の返済は、元本と利息ですよね。そこがちょっと不安だったりします。 FP吹田:確かに、毎月の返済が重荷になることを心配される方も多いでしょう。その場合の対策として、返済期間が最長で25年程度まで可能なところを利用し、例えば、お母様の寿命を全うできるような期間にすれば、最後に売却して清算ということもしやすいのではないでしょうか? Hさん: なるほど。期間を長めに設計してもらうのですね。入居金が1,000万円くらいとして、仮に1,300万円くらい借りるとどの程度の負担になるのでしょうか? FP吹田:そうですね、金利4%、返済期間25年の元利均等返済方式で計算すると、毎月約6.8万円(初回の内訳は利息分が約4.33万円、元本返済分が約2.52万円)になります。元利均等返済方式なので、徐々に利息の割合が減っていき、元金と同等になるのが7~8年経過(93回目)のようです。 Hさん: そうか、はじめのうちは金利負担の割合が大きいから、仮にリバースモーゲージで利息のみ返済の場合と比べても、2倍に膨らむわけではないのですね。あとは、返済負担を考慮して余裕をもって借入金額を設計してもらえたら有難いですね。母もどこまで長生きするかわかりませんが、この方法なら、海外の弟には手続きなど煩わせることなくできるので、検討してみます。もちろん、弟に一報は入れておきますが。 FP吹田:そうですね。不動産担保ローンは、資金使途も介護などにとどまらず、事業資金、生活資金など幅広く利用できるので、柔軟性は高いといえます。最後にリバースモーゲージと不動産担保ローンそれぞれのメリットとデメリットを整理しておきますので、ご参考ください。 まとめ リバースモーゲージの主なメリット・デメリットは? <メリット> ・高齢でも借りられる ・毎月の返済負担が小さい <デメリット> ・担保評価額の5割程度が借入可能額の上限 ・生きている限り返済が終わらない ・手続きに相続人全員の同意が必要 不動産担保ローンの主なメリット・デメリットは? <メリット> ・年齢や所得制限があまりない ・担保評価額の6割~8割程度が借入可能額の上限 ・相続人の同意は必要ない <デメリット> ・完済時年齢が設定されている ・毎月の返済負担が大きい 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...記事を読む