2020.08.26

リバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説

公開日:2020.08.26

リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資を受けられる高齢者向けのローン商品です。高齢化によって老後の期間が長くなっていることから、老後資金を作る方法のひとつとして注目されています。リバースモーゲージは同じ家に住み続けながら老後資金を準備できますが、デメリットもあるため、仕組みを理解したうえで利用することが大切です。この記事ではリバースモーゲージの特徴やメリット・デメリット等について解説します。

リバースモーゲージとは

リバースモーゲージは、自宅を担保に老後資金の融資を受けますが、毎月の支払いは利子のみで、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みです。自宅に住み続けながら資金調達できるので、老後資金対策として検討する方が増えています。リバースモーゲージを利用するためには、年齢や年収、家族の同居、資金使途などに一定の制限があります。債務者に配偶者が居り、債務者が先に亡くなってしまった場合でも、自宅をすぐに売却しなければならないわけではなく、配偶者は契約を引き継ぐことで、債務者が死亡した後も引き続き自宅に住むことができます。

リバースモーゲージの仕組み

リバースモーゲージの仕組みは以下のとおりです。

リバースモーゲージの仕組み

リバースモーゲージはこんな方におすすめ

リバースモーゲージは、老後資金に不安のある方で、特に下記のような方におすすめです。

  • 住宅ローンの返済が辛い方
  • 生活資金や余暇を楽しむための資金が必要な方
  • リフォーム資金が必要な方
  • 老人ホームの入居費用が必要な方
  • 相続人がいない、もしくは相続人に不動産を残す予定の無い方

なお、ご自身の状況や資金使途によっては、リースバックやリ・バース60の方が適している場合もあります。例えば、住宅ローンの借り換えをお考えであれば、リ・バース60の方が資金使途が限定されるため、一般的に金利は低く設定されています。そのため、リバースモーゲージ一つに絞るのではなく、リースバックやリ・バース60も検討することをおすすめします。詳しくは、以下のコラムをご覧ください。


リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージのメリットは以下2つです。

自宅に住み続けながら資金を調達できる

自宅を活用して資金調達する場合、まずは売却を検討するのではないでしょうか。自宅を売却すればまとまった資金が手に入るかもしれませんが、売却後は別の住居を確保しなくてはなりません。しかし、高齢で賃貸住宅の契約が難しいことや、慣れ親しんだ自宅に住み続けたいなどの理由から、引っ越しを避けたい方は多いでしょう。リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けられるので、自宅に住み続けながら老後資金を準備できます。

毎月の支払いが利子のみで返済負担が少ない

リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済する仕組みになっています。元金の返済は死亡時まで猶予され、毎月の支払いは利子だけで済むので、返済負担が少ないのがメリットです。リバースモーゲージを利用すれば、月々の収入がそれほど多くない方でも家計のやりくりが楽になります。

リバースモーゲージのデメリット

リバースモーゲージには先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

融資条件が厳しい

リバースモーゲージは、融資条件が厳しいのがデメリットのひとつです。資金使途が限定されていることがほとんどですし、対象不動産については対象地域が狭く、首都圏を中心とする大都市の物件に限定されることが多くなっています。また、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済するという仕組みのため、推定相続人の同意が必要です。リバースモーゲージを検討する場合は、融資条件を満たすかどうかを確認すると同時に、推定相続人の同意が取れるか確認しましょう。

元金が減らない

メリットのところで記載しましたが、リバースモーゲージでは返済が利子だけで済むので、毎月の返済を抑えることが出来ます。しかし、これは裏を返せば借入の増加や、返済期間が長期化するほど返済負担が多くなっていきます。また、返済が難しくなっても限度額の範囲であれば追加融資を受けられますが、借入のたびに元金は膨らむこととなるので注意が必要です。

不動産評価の下落リスク

リバースモーゲージの融資金額は、担保評価額の半分程度までが一般的です。担保評価額は毎年見直されるため、急な地価下落などで担保評価額が下がる可能性もあります。この担保評価額の見直しによっては、既に借入をしている元金が融資限度額を超えてしまい、返済を求められることもあるので注意が必要です。

金利変動リスク

リバースモーゲージは変動金利のため、金利変動リスクがあります。借入中に適用金利が上昇すると、毎月の利子支払額が増えてしまうかもしれません。そのため、リバースモーゲージを利用する場合は、金利上昇に備えて余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。

リバースモーゲージ以外に老後資金を作る方法

リバースモーゲージは上記のようなメリットやデメリットがあるので、条件によっては、自宅に住み続けながら老後資金を作るほかの方法として「不動産担保ローン」と「リースバック」の方が適している可能性があります。

不動産担保ローン

不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保に融資を受けるローンです。不動産を担保とする点では、リバースモーゲージと仕組みは同じです。不動産担保ローンはリバースモーゲージとは異なり、返済方式が元利均等返済となっており、不動産売却による完済ではなく、返済による完済を前提にしています。そのため、相続で子供に不動産を残したい場合など、将来的に不動産売却をするつもりがないケースでは、リバースモーゲージよりも不動産担保ローンの方が適しているといえるでしょう。

一方で、不動産担保ローンでは、ローン完済時の年齢制限がありますので、利用を検討する場合には、金融機関ごとの融資条件を確認しましょう。

リースバック

リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却後、その会社と賃貸借契約を締結することで自宅に住み続けられるサービスです。リバースモーゲージとリースバックはよく比較されますが、その仕組みは大きく異なります。リバースモーゲージが自宅を担保に融資を受けるのに対し、リースバックは自宅の売却によって資金調達したうえで賃貸として住み続けます。

リースバックの売却価額は市場価額より低くなりますが、「年齢制限や年収基準なし」「資金使途は原則自由」など、融資条件の面でリバースモーゲージのデメリットを解消できます。ただし、売却後も自宅にずっと住み続けられるかどうかは、賃貸借契約がポイントとなります。賃貸契約期間が定められている「定期借家契約」の場合、再契約できずに引っ越しが必要になる可能性があるので契約内容には注意が必要です。

リバースモーゲージのよくあるご質問

リバースモーゲージのよくあるご質問は以下のとおりです。

リバースモーゲージではどのくらいの金額を借り入れすることができますか?

リバースモーゲージで借り入れすることができる金額は、提供する金融機関などによって異なります。一般的には、担保評価額の50%程度を上限としている場合が多いようです。

リバースモーゲージには年齢制限はありますか?

リバースモーゲージの利用が可能な年齢は、50歳~80歳です。年齢制限は、各金融機関などによって異なりますので、利用を検討している場合は事前に確認することをおすすめします。

リバースモーゲージの金利はいくらですか?

リバースモーゲージの金利は、約3.0%~5.0%です。一般的に、カードローンや不動産担保ローンより低金利で借り入れができる一方、住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。

住宅ローンが残っている不動産を担保にすることはできますか?

担保とする不動産に住宅ローンが残っている場合であっても、融資を受けられる可能性があります。ただし、借入資金によって既存の住宅ローンを返済することが条件となります。残債が一定金額減っている状態であれば、リバースモーゲージで住宅ローンの借り換えを行うことができ、借り換えによって毎月の支払いが利息のみとなるので、返済負担を軽減できます。

マンションを担保に融資を受けることはできますか?

マンションを担保にする場合、対象となる物件に条件があり、立地が悪いマンションや築年数の古いマンションは対象外になることが多いようです。また、金融機関によってはマンションを対象外としている場合もあります。マンションを担保にリバースモーゲージの利用を検討している場合は、事前に問い合わせをしてみましょう。

生活保護を受けているが、融資を受けることはできますか?

生活保護を受けている場合、一般的に融資を断られる可能性が高いです。しかし、収入等の一定の条件を満たすことで融資を受けられる可能性もあります。条件は金融機関によって異なるため、問い合わせをしてみましょう。

※下記金融機関の融資条件を参考に回答作成
三菱UFJ銀行 リバース・モーゲージ型 住宅関連ローン
三井住友信託銀行 不動産活用ローン(リバースモーゲージ)
東京スター銀行 リバースモーゲージ「充実人生」
神奈川銀行 かなぎんリバースモーゲージローン
愛媛銀行 シニア層向けローン(住宅担保)~リバースモーゲージ~

まとめ

ここまで紹介したように、自宅を活用して老後資金を作るには、リバースモーゲージの他に不動産担保ローン、リースバックといった方法があります。ご自身の状況によって最善の選択肢は変わってくるので、それぞれの仕組みやメリット・デメリットを理解したうえで計画的に資金調達をしましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。


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