住まいとお金の知恵袋

自宅売却

  • 自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説

    自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説

    持ち家に住んでいても、住み替えなどを理由に自宅の売却を検討することがあるでしょう。不動産を売却したことがないと、どのように手続きを進めればよいかわからないかもしれません。また、どうせ自宅を売るなら「少しでも高く売却したい」「損をしたくない」と思うのではないでしょうか。 自宅の売却で失敗を避けるには、手続きの流れや注意点を理解してから売却活動を始めることが大切です。今回は、自宅売却の流れや損をしないためのポイント、かかる費用・税金について詳しく解説します。 自宅を売却する2つの方法 自宅を売却する方法は、一般的に「買取」と「仲介」の2つに分けられます。 買取:不動産会社に直接買い取ってもらう方法 仲介:不動産会社に買い手を見つけてもらう方法 買取と仲介は特徴が異なるので、状況に合わせて自分に合った方法を選択する必要があります。まずは、買取と仲介それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。 買取のメリット・デメリット 買取は不動産会社が買主となるため、短期間で売却が可能です。購入希望者の内覧に対応する必要がなく、買主に対して生じる「契約不適合責任」も免責となるのが一般的です。なお、「契約不適合責任」とは、以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものです。2020年4月の民法改正に伴い、「契約不適合責任」として整理・追加がされています。 一方で、買取は仲介に比べると売却価格が低い傾向にあります。不動産会社は、付加価値をつけて再度販売することを前提に買取を行います。再販にかかる経費やリスクを考慮して買取価格を決定するため、市場価格よりも安くなります。 買取は早期に現金化できるので、住み替え先が決まっていて売却を急いでいる場合や、流通性が低く買い手が付きづらい物件などに向いています。 仲介のメリット・デメリット 仲介は、自宅を市場価格で売却できるのがメリットです。希望価格で購入してくれる買い手が見つかるまで売却活動ができるので、買い手が見つかれば相場より高い価格で売却することも可能です。 一方で、仲介は売却までに時間がかかる傾向にあります。不動産会社と媒介契約を締結し、主に個人の買い手を見つける必要があるため、買取に比べると売却までに時間がかかってしまいます。また、売買が成立した場合は仲介手数料の支払いが必要です。 自宅売却に時間をかけられる場合や、出来るだけ市場価格に近い価格で売却したい場合は、仲介が向いているでしょう。 自宅売却の流れ 自宅の売却は以下の流れで手続きを進めます。 査定を依頼して不動産会社を選ぶ 売却活動をする(仲介の場合) 売買契約を締結する 決済・引き渡しを行う 買取は不動産会社が買主となるため、2の売却活動は不要です。それぞれの項目について詳しく説明します。 査定を依頼して不動産会社を選ぶ 自宅を売却するときは、まず不動産会社に査定を依頼して、自宅がいくらで売れそうかを確認します。査定金額は不動産会社によって異なります。買取にせよ仲介にせよ、複数の会社に依頼して査定金額を比較することが大切です。 買取の場合は、買取価格が一番高い会社を選びましょう。基本的に提示された買取価格が変更されることはありません。 仲介の場合は、不動産会社と媒介契約を締結する必要があります。査定金額を確認した上で、以下の3種類から媒介契約を選びましょう。 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約 一般媒介契約は、複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。多くの購入希望者にアプローチできますが、物件情報のレインズ(不動産流通機構)への登録や売主に対する売却活動の報告は義務付けられていません。また、複数の不動産会社とやり取りするので手間がかかります。 専任媒介契約は、1つの不動産会社のみに仲介を依頼できる契約です。売主が自分で見つけた買い手と直接取引することも可能です。不動産会社は媒介契約締結後7営業日以内に物件をレインズに登録し、売主に対して2週間に1回以上売却活動の状況を報告する義務があります。 専属専任媒介契約も、1つの不動産会社のみに仲介を依頼できる契約です。ただし、売主は自分で見つけた買い手と直接取引はできません。レインズへの登録は媒介契約締結後5営業日以内、売主に対して1週間に1回以上の報告が義務付けられています。 専任媒介契約と専属専任媒介契約の契約期間は3ヵ月で、実務上は両者に大きな違いはありません。信頼できる会社を1社選定できる場合は、専属専任や専任媒介契約がおすすめです。1社に絞るのが難しく、複数の会社に依頼したい場合は一般媒介契約を検討しましょう。 売却活動をする(仲介の場合) 仲介の場合、買い手を見つけるための売却活動を行います。売却活動のほとんどは不動産会社に任せられます。ただし、住みながら売却活動する場合は、内覧に応じるなどの手間が発生します。 すべてを不動産会社任せにするのではなく、「いくらで売却したい」「いつまでに売却したい」といった希望をはっきり伝えることが大切です。後でトラブルにならないように、定期的に進捗状況を確認し、不明点や疑問点があればその都度解決しておきましょう。 売買契約を締結する 自宅の買い手が決まったら売買契約を締結します。売買契約時の主な必要書類は以下の通りです。 不動産売買契約書 収入印紙(契約書に貼付する印紙代) 本人確認書類 印鑑(実印) 印鑑証明書 登記済権利書(または登記識別情報) 固定資産税納税通知書 手付金の領収書 必要書類は不動産会社が提示してくれるので、確認して準備を進めましょう。 売買契約時には、通常、売買代金の一部(10%程度)を手付金として受け取ります。契約書に手付解除の定めがあれば、期限日までに買主は支払った手付金を放棄、売主は受け取った手付金の倍額を払うことで契約解除が可能です。 契約後にトラブルが発生しないように、あらかじめ契約解除の方法などについて確認しておくことが大切です。 決済・引き渡しを行う 売買契約後は、契約書で取り決めた決済日に残金が入金されます。自宅は決済日に合わせて買主に引き渡しを行います。 住宅ローンが残っている場合は、抵当権の抹消手続きも必要です。不動産会社を通じて司法書士に依頼しておくと、スムーズに手続きを進められます。 自宅売却にかかる期間 自宅の売却を決めてから売買が成立するまで、どれくらいの期間が必要なのでしょうか。仲介で売却する場合の標準的な期間は以下の通りです。 査定から媒介契約:2週間~1ヵ月程度 売却活動:1ヵ月~半年程度 売買契約から決済・引き渡し:1~2ヵ月程度 査定から引き渡しまで、3ヵ月~1年程度かかるのが一般的です。実際には、買主を見つけるまでの期間によって大きく変わってきます。人気のエリアや物件であれば、問い合わせも多く売却に苦労しないかもしれませんが、流通性の低いエリアや物件では1年以上売却にかかるでしょう。 一方で、買取は売却活動を行う必要がないので、抵当権が設定されていなければ数週間で売却できるケースもあります。 自宅売却で損をしないためのポイント 自宅の売却は取引金額が大きいので、手続きの進め方によって手元に残るお金が変わってきます。ここでは、自宅売却で損をしないためのポイントをお伝えします。 不動産の相場観を身に付ける 自宅売却で損をしないためには、いくらで売れそうか不動産の相場観を身に付けてから売却活動を始めることが大切です。インターネットや不動産会社のチラシなどで、住んでいる地域の同じような物件がいくらで売りに出されているかを確認しておきましょう。 不動産には相場があるので、「いくらで売りたいか」と「いくらで売れるか」は別問題です。希望売却価格と相場に「いつまでに売りたいか」という要素を組み合わせて、売出価格を慎重に判断する必要があります。 売出価格が高すぎると買い手が見つからず、安すぎると手元に残る金額が減ってしまいます。仲介を依頼する不動産会社を選ぶ段階で、あまりに高すぎる査定金額や、反対に・低すぎる査定金額を提示する会社は除外するといいでしょう。 不動産売却の仕組みを理解する 自宅を売却する前に、不動産売却の仕組みを理解することも必要です。取引ルールを理解しないまま売却活動を始めると、不動産会社からの提案や売買契約の内容が正しいか判断できません。有利な条件での売却が難しくなり、トラブルが発生するリスクも高まります。 特に確認しておきたいのが、不動産仲介におけるルールです。先程も触れたように、媒介契約は種類によって報告義務などが細かく定められています。 たとえば、一般媒介契約は複数の会社に仲介を依頼できますが、レインズへの登録や売主への報告は義務付けられていません。レインズは、不動産会社専用のネットワークシステムです。全国の物件情報が共有されているので、レインズに登録するほうが早期の売買成立につながります。また、不動産会社から定期的に報告をもらえるほうが手間はかからず、安心して売却活動を進められるでしょう。 媒介契約を選択する際には、流通性の高く人気のエリアの物件では一般媒介による売却とし、流通性が低く買い手が見つかりづらい物件では専任媒介を選択するといいかもしれません。媒介契約の選択に正解はありませんが、状況に合わせて自分にあった契約を選ぶことが大切です。 信頼できる会社を選ぶ 自宅売却で損をしないためには、不動産会社選びも重要なポイントです。さまざまな不動産会社が仲介に対応していますが、実績や強み、顧客への対応などは会社によって異なります。不動産会社を選ぶときは、以下のポイントを重視しましょう。 仲介におけるルールや報告義務を順守している 自分の相場感と査定金額が大きく離れていない 査定金額にしっかりとした根拠が示されている 疑問点や不明点を質問したときに丁寧に回答してくれる 不動産仲介の実績が豊富 インターネット上に悪い評判がない(少ない) 希望条件に近い形で売却できるように、複数の会社に査定を依頼して、信頼できる会社を見極めましょう。 自宅売却のための体制を整える 自宅を売却するときは、希望条件で売却できる体制を整えましょう。不動産は建物の外観だけでなく、部屋の状態も重要な要素です。部屋をきれいな状態に保ち、家具のレイアウトなども工夫すれば、内覧者によい印象を持ってもらえます。 また、売却を急ぐと売却価格が安くなりやすいので、余裕をもって売却活動を進めましょう。可能であれば、空室の状態で売却活動を行うほうが希望条件で売却しやすくなります。 自宅売却でかかる費用・税金 自宅の売却では、仲介手数料などの費用や税金がかかります。さらに、住宅ローンが残っている場合は、自宅の売却代金でローンを完済しなくてはなりません。 実際に手元に残るお金は売却価格とは異なるので、費用や税金も考慮して売却を進める必要があります。ここでは、自宅売却でかかる費用と税金について詳しく解説します。 仲介手数料 仲介手数料は、仲介での売買が成立したときに不動産会社に支払う手数料です。宅地建物取引業法により、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限額は以下のように決められています。 仲介手数料の上限額 契約金額(税別) 仲介手数料の上限額 200万円以下 契約金額×5%+消費税10% 200万円超 400万円以下 (契約金額×4%+2万円)+消費税10% 400万円超 (契約金額×3%+6万円)+消費税10% たとえば、自宅の売却価格が2,000万円の場合、仲介手数料は以下のように計算します。 (2,000万円×3%+6万円)+(2,000万円×3%+6万円)×10%=72.6万円 仲介手数料は、上限額いっぱいで請求されるのが一般的です。査定金額を確認した段階で、仲介手数料の概算金額を計算しておきましょう。 印紙税 不動産売買契約書は印紙税の課税文書であるため、税額分の収入印紙を貼付する必要があります。印紙税額は、以下のように契約金額によって異なります。 印紙税額 契約金額(税別) 印紙税額 軽減税額 100万円超500万円以下 2,000円 1,000円 500万円超1,000万円以下 1万円 5,000円 1,000万円超5,000万円以下 2万円 1万円 5,000万円超1億円以下 6万円 3万円 1億円超5億円以下 10万円 6万円 2022年3月31日までに作成される売買契約書の印紙税については、軽減税額が適用されます。売主分と買主分の2通の契約書を作成する場合は、それぞれ印紙税を負担します。 参考)国税庁「印紙税額一覧表(2021年5月現在)」 抵当権抹消に関する費用 売却する自宅に抵当権が残っている場合は、抹消手続きが必要です。抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。土地と建物にそれぞれ抵当権が設定されている場合、登録免許税額は2,000円となります。 抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合は別途報酬が発生するので、見積もりをとって費用を確認しましょう。 参考)法務局「登録免許税の計算」 固定資産税・都市計画税の精算 固定資産税・都市計画税は、1月1日現在で不動産を所有している人に課税される税金です。その年の途中で不動産を売却しても、1月1日現在の所有者に全額が請求されます。 売買契約日以降の固定資産税・都市計画税は買主の負担となるため、日割り計算をして売買契約時に精算するのが一般的です。売買契約を締結する前に、不動産会社に固定資産税・都市計画税の精算方法を確認しておきましょう。 譲渡所得税 譲渡所得税は、不動産の売却で利益(譲渡所得)が出た場合にかかる税金です。譲渡所得に一定の税率をかけて税額を計算します。譲渡所得を求める計算式は以下の通りです。 譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 譲渡価額は自宅の売却価格です。 取得費は、自宅を取得するためにかかった費用です。自宅の購入代金や仲介手数料などが含まれます。ただし、建物については減価償却費を控除した後の金額となります。取得費がわからない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費とみなすことが可能です。 譲渡費用は、自宅を売却するときに払う仲介手数料、建物の取り壊し費用などです。一定の要件を満たして税制特例が利用できる場合は、特別控除額として譲渡所得から一定額を控除できます。 譲渡所得が求められたら、一定の税率をかけて税額を計算します。譲渡所得税の税率は、自宅の所有期間に応じて以下のように異なります。 譲渡所得税額 区分 所得税 復興特別所得税 住民税 税率合計 長期譲渡所得 15% 0.315% 5% 20.315% 短期譲渡所得 35% 0.63% 9% 39.63% 自宅を売却した年の1月1日現在で所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。 参考)国税庁「土地や建物を売ったとき」 自宅売却で利用できる税制特例 自宅(マイホーム)を売却して譲渡所得が生じた場合は、「3,000万円の特別控除の特例」が利用できます。所有期間に関わらず、一定の要件を満たす場合は譲渡所得から最高3,000万円が控除できるため、譲渡所得税の節税になります。 このほかに、「軽減税率の特例」「買換え(交換)の特例」といった税制特例も用意されています。 税制特例を利用するには、必要書類を添付した上で確定申告書の提出が必要です。税制特例は併用できないものあり、どれを利用するのが有利かは状況によって異なります。自分で判断できない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 参考)国税庁「土地や建物を売ったとき」 住宅ローンが残っている自宅を売却する際の注意点 住宅ローンが残っている自宅を売却するには、ローンを完済し抵当権を抹消する必要があります。一般的には、自宅の売却代金が残債を上回っている場合は、売却代金を返済原資としてローンを完済できるので、問題なく売却ができます。一方で、自宅の売却代金が残債を下回っている場合は、自己資金で補填したり、住み替えローンを利用する必要があります。売却後もローンが残っている場合、金融機関が抵当権の抹消に同意してくれないためです。 住宅ローンが残っている自宅を売却する際は、事前に住宅ローンの残債と自宅の売却価格を把握し、ローンを完済できるかを確認したうえで売却活動を行うとよいでしょう。 まとめ 自宅を売りたいと思ったら、まずは自宅売却の流れや相場感、不動産の取引ルール、費用などを理解することが大切です。その後は複数の不動産会社に自宅の査定を依頼し、信頼できる会社を見極めることがポイントとなります。自宅売却を成功させるために、しっかりと準備を整えてから売却活動を始めましょう。 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...記事を読む 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

  • 任意売却にリースバックを利用するメリットや注意点を解説

    任意売却にリースバックを利用するメリットや注意点を解説

    住宅ローンの返済が困難となって自宅を売却せざるを得なくなった場合、任意売却をすれば競売は回避できます。任意売却なら自分の意志で不動産を売却でき、市場価格に近い値段で売却できる可能性もありますが、売却後に住む家を探さなくてはなりません。 自宅を手放したくない場合は、リースバック運営会社に自宅を売却することで、そのまま同じ家に住み続けることが可能です。そこで今回は、任意売却にリースバックを利用するメリットや注意点について解説します。 任意売却とは リースバックの概要についてはこちら 任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者・債務者の間で合意し、担保不動産を売却することです。競売は裁判所を通じて強制的に売却されてしまうのに対して、任意売却は債務者が自分の意志で不動産を売却する点が異なります。 担保不動産を売却する場合、通常は売却時に債務を一括返済して抵当権を抹消する必要があります。任意売却の場合、担保不動産を売却しても住宅ローンを全額返済できない時には、金融機関に抵当権抹消の承諾を得た上で売却することになります。任意売却後に残った債務の返済については、金融機関と話し合って返済方法や返済額の取り決めを行います。 任意売却では通常の不動産売買と同じ方法で売却できるので、「経済的な事情を知られずに売却できる」「市場価格に近い値段で売却できる」といったメリットがあります。 任意売却にリースバックを利用するメリット リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。任意売却にリースバックを利用するメリットは以下の通りです。 売却後も自宅に住める 通常の不動産売却の場合は、売却後に自宅を手放すことになります。別に住む家を見つけて引っ越しが必要になるため、手続きに手間がかかり、引っ越し費用も用意しなくてはなりません。 一方で、リースバックであれば、売却後も慣れ親しんだ自宅に住み続けることができます。引っ越しも不要のため、経済的にも利点があると言えるでしょう。 将来的に買戻しができる リースバックで売却した不動産は、将来的に買戻しができます。多くのリースバック運営会社では、買戻しができる期間が定められています。任意売却後に仕事や経済状況が安定すれば、買い戻して再び自宅を所有することも可能です。 任意売却にリースバックを利用する注意点 任意売却にリースバックを利用する場合は、以下の点に注意が必要です。 売却価格が債権額を上回る必要がある 通常、リースバックの売却価格は単独で決まるものではなく、家賃とのバランスによって決まります。売却価格が安くなれば家賃も安くなる関係にあるため、通常はリースバック運営会社との調整が可能です。 しかし、任意売却では担保不動産を売却することで債務を返済しなければならないため、家賃を安くするために価格を下げようと思っても、金融機関(債権者)に認められなければ、リースバック運営会社が提示する売却価格で利用できるとは限りません。 売却価格が安くなる可能性がある リースバックでは、不動産の売却価格が市場価格の7割程度となるのが一般的です。そのため、仲介による不動産売却よりも売却価格が安くなる可能性があります。また、リースバック運営会社は数が限られるため、通常の不動産買取業者への売却よりも価格が安くなる可能性もあります。 自宅に住み続けることにこだわりがなければ、仲介で売却するほうが債務を減らすことができるかもしれません。 リースバック以外の選択肢は? 住宅ローンの返済が困難となった自宅の所有権を手放したくない場合は、「親族間売買」という方法もあります。親族間売買とは、親子などの親族間で不動産を売買することです。 具体例として、親が住宅ローンを返済するのが難しくなったときに、そのまま住み続けるために親から子に自宅を売却するケースが挙げられます。 親族間売買の注意点は、売買価格と実勢価格の乖離が大きいと贈与とみなされて贈与税が発生する可能性があることです。また、親族間売買は通常の不動産売買と同じ税金が発生し、譲渡益が生じる場合は所得税・住民税が課税されます。 また、親族間売買は金融機関の審査が厳しいので、住宅ローンを組むのは難しいでしょう。ただし、不動産は高額であるため、購入資金を全額自己資金でまかなうのは現実的ではありません。不動産担保ローンであれば、親族間売買でも利用できる可能性があります。 不動産担保ローンは住宅ローンよりも金利はやや高くなりますが、まとまった資金を長期間借りることができるので、選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。 リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら リースバックの仮査定を申込む 想定売買価格と家賃を最短即日で回答致します※SBIスマイルのwebサイトへ遷移します リースバックとは?仕組みを解説 リースバックとは、自宅を売却することで、まとまった資金を手に入れることができる資金調達方法で、売却後も同じ家にそのまま住み続けることができます。ただし、リースバックにはデメリットもあるので、...記事を読む 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、不動産を担保にすることで、お金を借りることができる商品です。不動産を担保にするため、まとまった金額を低金利で借り入れることが可能です。一方で、万が一返済不能になった場合...記事を読む 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

  • 担保不動産競売までの流れと心得(4)――「競売」の実態と今後の動向

    担保不動産競売までの流れと心得(4)――「競売」の実態と今後の動向

    以前に比べ、競売される不動産に対する注目度は上がっています。不動産業者だけではなく、一般の個人が競売に参加するケースも珍しくなくなりました。この背景には、市場価格よりも割安な価格で不動産物件を入手できる可能性がある、といった見方が広がっていることが挙げられます。 そのため、不動産担保ローンを借入れて返済が行き詰った場合、担保不動産は競売ではなく、市場価格に近い価格で売れる任意売却で売る方が良い、といった見方も浸透していったと思われます。果たして、そうした見方は本当に正しいのでしょうか。改めて、最近の競売の動向をチェックしてみましょう。 競売の落札価格は安くはない!? (3)でお話ししたように、競売にかけられる不動産の基準となる価格「売却基準価額」は、市場価格の7~8割程度に設定されます。物件の中身や地域によってもバラつきがありますが、最近は7割程度に設定されるケースが増えているようです。さらに、最低落札価格は、売却基準価額から2割割安に設定されます。こうした事実から、競売物件は安く買える、という見方が出てきました。 実際、バブル崩壊以降の地価の下落が続いた時期は、市場価格に比べてかなり割安な価格で落札されたケースも発生していました。しかし、国内景気が回復し、不動産市場が持ち直すにつれて、落札価格の水準も上昇していったのです。 興味深いデータがあります。全国競売評価ネットワークという機関が、競売情報を公表している「不動産競売物件情報サイト」のデータを分析したものです。この全国競売評価ネットワークの分析によると、平成28年度に全国の裁判所で行われた不動産競売における平均落札価格は、市場価格の95・4%だったそうです。東京地裁が管轄する東京エリアの不動産競売に至っては、市場価格を超える111・6%でした。 なお、発表されている最新データは平成28年度分で、この年だけが落札が好調だったわけではありません。過去のデータをさかのぼってみると、全国ベースでは平成23年度以降、平均落札価格は市場価格の90%を超えていました。東京エリアをみると、平成22年度以降は100%を超えているのです。こうしたデータを見る限り、「不動産を競売で売却すると市場価格よりかなり安くなる」というのは、少なくとも、ここ数年の現状には当てはまらない、といえるでしょう。 任意売却をする場合、通常の不動産取引とはそれほど変わらないため、売買をする不動産業者には仲介手数料を支払うことになります。加えて、任意売却を行なう専門業者への手数料も発生します。そうした点を考慮すると、競売と任意売却のどちらが有利であるということは、一概にはいえないと考えられます。 競売件数は減少傾向だが、今後は増加の可能性も 担保不動産の競売件数は減少傾向にあります。それは、『司法統計』をみると一目瞭然です。司法統計とは、裁判所が取り扱った事件に関する統計で、最高裁判所の事務総局が取りまとめて公表しています。その中に、「不動産等を目的とする担保権の実行としての競売等」という項目があり、これが担保不動産の競売件数に該当します。 裁判所のホームページでは、平成12年度からのデータが閲覧できますが、平成12年度には全国で8万2879件ありました。それが、ほぼ右肩下がりで減少傾向となり、最新の平成28年度では1万8568件になっています。競売件数は、この間、4分の1以下にまで減ったことになります。 減少傾向にある要因はいろいろと指摘されています。中でも、強い影響を与えているとされているのが、「中小企業金融円滑化法」(通称「モラトリアム法」)の施行です。リーマン・ショック後の2009年12月に、中小企業を救済し、連鎖倒産を防ぐためにつくられた法律です。内容は、中小企業に融資している金融機関に対して、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などを促して、中小企業の資金繰りに関する負担を軽くする、というものです。 そして、このモラトリアム法によって、金融機関の中小企業への融資の態度が大きく変化したといわれています。不動産を担保として融資をしている場合、貸出先の中小企業の返済が滞ってきたといったケースでも、すぐに担保不動産を競売にかけることはせず、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などに、柔軟に応じるようになったとされます。 モラトリアム法自体は、2013年3月末で終了しましたが、実は、その後も金融庁は、金融機関に対して〝任意〟で中小企業への融資スタンスについて報告を求めてきた、という経緯があります。そのため、モラトリアム法の実質的な効力は継続してきました。 しかし、金融庁は、その金融機関からの任意の報告についても、平成30年度(2019年3月末)を最後としたのです。その結果、これまで金融機関が正常な債権として扱ってきた融資の案件であっても、不良債権の扱いにされるケースが発生しているとされています。もしかすると、これまで減少傾向をたどってきた担保不動産の競売は、2019年以降、増加に転じるかもしれません。これが、今後の競売の落札価格にどんな影響を与えるのかは不透明ですが、注視していきたいと思います。 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる場合もあります。しかし、すべてのケースで借り入れできる訳ではありません。住宅ローンの残高があっても...記事を読む 不動産担保ローンの専門家に 相談する ご融資に関するお問合せフォームへ ▼シリーズ「担保不動産競売までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

    2019.06.04自宅売却
  • 担保不動産競売までの流れと心得(3)――競売を回避する「任意売却」とは?

    担保不動産競売までの流れと心得(3)――競売を回避する「任意売却」とは?

    ローンの返済を滞納し、担保としている不動産を手放すことになったとしても、それでローンが完済されるわけではありません。競売での売却価格がローンの残額を下回った場合、不足する金額を支払わなければならないからです。今回は、競売後の流れと、ローンの債務を清算するための競売以外の選択肢である「任意売却」について、お話しします。 競売でローンが完済できるわけではない 金融機関はローンの返済をしてもらうために、担保としている不動産を競売によって売却するわけですが、不動産の売却代金がローンの残高に不足していることがあります。この残っている債務(「残債」といいます)を返済するのは、ローンを借入れた債務者に変わりはありません。つまり、ローンを滞納して返済が不能となった場合、担保不動産を競売にかければ解決する、ということではないのです。 競売で返済ができなかった残債については、引き続き、債権者に返済をすることになります。このときの債権者は、ローンを融資した金融機関や途中で「代位弁済」をした保証会社となりますが、債権管理回収を専門に行う「サービサー」という業者になることもあります。サービサーは、競売後、それまでの債権者から債権を譲渡され、債務者からの債権回収を行ないます。 このように、債権者は変わる可能性はありますが、債務者の残債に対する返済義務はそのままです。実際の返済方法については、債権者との交渉になりますが、分割払いとなるケースが多いようです。 競売価格は市場価格の約7~8割に設定される では、なぜ競売で売却した不動産の代金が、ローンの残債に不足するのでしょうか。その原因は、競売価格(正式には「売却基準価額」)にあるとされています。(2)でも説明していますが、競売にかけられた物件については、不動産の状態をチェックする現況調査などを経て、不動産鑑定士によって競売価格が決められます。一般的に、この競売価格は、市場価格の7~8割程度に設定されます。 市場価格より2~3割ほど割安に価格が設定される理由は、競売物件には買主にとってさまざまなリスクが存在するからです。例えば、落札後、建物の構造に欠陥が見つかった場合、修繕費などは買主が負担します。また、前の所有者がスムーズに退去をしてくれなかった場合は、買主が必要な交渉や手続きをしなければなりません。こうしたリスクを考慮して、競売価格は市場価格よりも低く設定されるのです。 さらに、競売には、「買受可能価額」という最低落札価格が設定されています。この買受可能価額は競売価格よりもさらに2割割安に設定されています。そのため、仮に競売価格が市場価格の7割の水準に設定されており、買受可能価額で落札されてしまった場合は、市場価格の56%の価格で売却されてしまうことになります。 また、これは見過ごされやすい費用ですが、ローンの延滞が始まってから競売で売却されるまでの間、延滞分の遅延損害金や罰則金が発生します。金融機関にもよりますが、遅延損害金は年率20%近くに設定しているところも多く、延滞から競売による売却までおよそ1年半かかるとすると、毎月の支払額によってはかなりの金額に上ります。こうした費用が重なるため、売却代金が残債に不足するケースが多くなります。 「任意売却」でも一括返済は難しい 競売によって不動産が市場価格よりも安く売却されてしまうことを防ぐ手段が、「任意売却」です。不動産が競売にかけられる前に、債務者が自分の意志で不動産を売却することから任意売却と呼ばれています。 任意売却の最大のメリットは、基本的には通常の不動産取引と同じような売買が可能なので、市場価格に近い価格で売却できる可能性があることです。また、裁判所による担保不動産への「差押え」が行われる前に売却できれば、不動産の登記簿に「差押え」が記載されることもありません。 但し、任意売却をするには、債権者である金融機関の同意が前提となります。そのため、任意売却を行なう専門の業者に金融機関との交渉を依頼することになります。そこで合意が得られれば、任意売却の手続きに入ることができます。 任意売却は、競売の入札が始まっている状態でも可能です。しかし、そもそも不動産の売却には時間がかかるため、任意売却を選択するのであれば、早い段階から専門の業者に依頼することがポイントになるでしょう。 また、任意売却は、あくまでも「市場価格に近い価格で売却できる可能性がある」というに過ぎません。任意売却が行われても、ローンの残債が残ることはよくあります。残債の返済は、債務者が分割払いなどで行います。その点は、競売による売却と変わりません。 担保不動産競売までの流れと心得(4)――「競売」の実態と今後の動向 以前に比べ、競売される不動産に対する注目度は上がっています。不動産業者だけではなく、一般の個人が競売に参加するケースも珍しくなくなりました。この背景には、市場価格よりも割安な価格で不動産物件...記事を読む 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる場合もあります。しかし、すべてのケースで借り入れできる訳ではありません。住宅ローンの残高があっても...記事を読む ▼シリーズ「担保不動産競売までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

    2019.05.21自宅売却
  • 担保不動産競売までの流れと心得(2)――法的手続き開始から所有権の移転まで

    担保不動産競売までの流れと心得(2)――法的手続き開始から所有権の移転まで

    前回は、ローンの支払いが滞納してから、金融機関から、「法的手続きを開始する」という内容を通知する催告書が届くまででした。そして、その段階で、すでに手続きが始まっている可能性が高いことを述べました。今回は、それ以降、裁判所による競売にかけられるまでです。 「期限の利益喪失」後は、裁判所の競売手続きに移行する ローンの延滞によって、前回説明をした、債務者の「期限の利益」が喪失された後は、何もしなければ、担保となっている不動産は競売にかけられることになります。したがって、不動産を売却されたくないのであれば、この通知が来る前に、一括返済をするなど、何らかの対応をとる必要があります。 さらに、金融機関によっては、「代位弁済」の通知が来ることがあります。「代位弁済」(だいいべんさい)とは、滞納をしている債務者に代わって、保証会社がローンの残高を金融機関に対して一括返済することです。代位弁済が行われた後は、債務者は金融機関から保証会社に代わります。そのため、「代位弁済」の通知は保証会社から送られてきます。すでに「期限の利益」は喪失しているため、保証会社が債務者になっても、一括返済が必要であることは同じ。「期限の利益喪失」の通知の後に届くことになります。 ここで注意すべき点は、融資をする金融機関がすべて保証会社を利用しているとは限らないということです。銀行は保証会社を利用しているケースがほとんどですが、銀行以外は、保証会社を利用していないことも少なくないのです。当然、保証会社を利用していなければ、代位弁済の通知が送られてくることはなく、債権者は変わりません。 裁判所からの最初の通知は「差押え」 「期限の利益」が喪失され、放置をしておくと、裁判所から「差押え」(さしおさえ)の通知が届きます。金融機関あるいは保証会社といった債権者が、裁判所に担保としている不動産の競売の申し立てをすると、今度は裁判所から債務者に、裁判所が不動産を「差押え」したことを知らせるのです。 差押えは、債権者がローンの返済を受ける権利を守るために、不動産の所有者が勝手に売却することができないようにする措置といえます。裁判所が差押えをした事実は、不動産の登記簿謄本に登記されます。差押えの記録がある不動産は売買できません。また、この段階に入ると、債権者の同意なしに競売を回避することもできなくなります。ただし、ローンの一括返済をすれば差押えを解除することは可能です。 裁判所の差押えの後は、同じく裁判所から「担保不動産競売開始決定通知」が送られてきます。債権者が申し立てていた不動産の競売を、裁判所が正式に受理したことを知らせる書類です。この通知が届いた後は、競売に向けての具体的な手続きが開始されます。 通知後、1~2か月程度で裁判所の執行官による現況調査が行われます。現況調査とは、実際の不動産の状態をチェックすることで、登記簿に記載されている情報があっているか、周辺の状況はどうか、誰が住んでいるのかといったことを確認する作業です。外観や室内の写真撮影や住人への聞き取りなどが行われます。 この現況調査は、法的な執行力があるため、拒否することはできません。もし、室内の調査を拒めば、執行官が鍵を壊して建物の中に入ることが認められています。裁判所は、こうした現況調査の結果や、不動産鑑定士による価格の査定を参考にして、競売にかける不動産の基準価格を決めることになります。 競売のスケジュールが決まり不動産からの退去が近づく 現況調査から3~6か月くらい経過すると、いよいよ裁判所から「競売の期間入札」が決定したという通知が来ます。担保となっている不動産の競売に関する日程が記載された書類です。 以下、大体の競売の流れは、まず対象となる不動産の物件情報が開示される「閲覧開始日」が設定されます。そこから数週間以内に入札が開始されます。入札の終了までは最長1か月以内となっており、入札終了後、1~2週間程度で入札の結果が公表されます。そして、裁判所は、対象となる不動産に最も高い価格を付けた人(「最高価買受人」といいます)に不動産の売却を行うことになります。 入札の結果が出た後は、2か月程度で最高価買受人による代金の納付が行われます。代金の納付が行われた段階で、不動産は落札者の所有となりますので、登記簿上の所有権は移転され、その不動産に居住している人がいれば退去しなければなりません。以上が、担保不動産が売却されるまでの流れとなります。 なお、競売にかけられて、所有権が移転するまでの間、差押えや現況調査があっても、その不動産に住み続けることは可能です。しかし、「期限の利益」を喪失した後は、ローンの残高を一括返済する以外に、不動産の売却を回避する方法はありません。したがって、不動産を所有し続けたいのであれば、現実的には、「期限の利益」を喪失する前までの間に、何らかの対応をとる必要がありますが、それは非常に短い期間となります。売却されるまで猶予がある、と考えることは禁物なのです。 担保不動産競売までの流れと心得(3)――競売を回避する「任意売却」とは? ローンの返済を滞納し、担保としている不動産を手放すことになったとしても、それでローンが完済されるわけではありません。競売での売却価格がローンの残額を下回った場合、不足する金額を支払わなければ...記事を読む 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる場合もあります。しかし、すべてのケースで借り入れできる訳ではありません。住宅ローンの残高があっても...記事を読む ▼シリーズ「担保不動産競売までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

    2019.05.14自宅売却
  • 担保不動産競売までの流れと心得(1)――「金銭消費貸借契約証書」の重要性

    担保不動産競売までの流れと心得(1)――「金銭消費貸借契約証書」の重要性

    金融機関から借入れた不動産担保ローンの返済が困難になってしまうと、担保として提供している不動産は金融機関によって売却されることになります。これは、不動産担保ローンを借入れるときの〝常識〟ですが、売却されることになった場合、実際にどんな手続きが発生するのかは、それほど知られてはいません。万が一、返済が困難になったときはもちろん、きちんと返済が終了したときにも関わる手続きが含まれていますので、4回にわたってお話しをしていきます。 不動産を担保にする権利「抵当権」 まず、不動産が担保にされたときの権利関係について、確認をしたいと思います。不動産担保ローンを融資するとき、金融機関は貸出先の不動産を担保にしますが、具体的には、「抵当権」を設定することになります。このとき、融資をする金融機関は「債権者」となり「抵当権者」になります。一方、融資を受ける方は、「債務者」となり「抵当権設定者」と呼ばれます。 抵当権は、債務者である金融機関が、担保とする不動産の登記簿謄本に登記することで完了します。登記されると、債務者がローンの返済が不可能になり(=「債務不履行」と呼ばれます)、裁判所が実施する「競売」(けいばい)などで不動産が売却された場合、優先して債務の返済を受けることができます。不動産を競売にかけることは「抵当権の実行」と呼ばれます。 なお、ローンを完済すれば抵当権を外すことができます。したがって、ローン返済期間の途中であっても、残りの借入額と利息をすべて繰り上げ返済してしまえば、抵当権を外せることになります。何らかの理由で、返済の途中で不動産を売却することになった場合は、まず完済をしてから売却します。抵当権が設定されている不動産には、基本的には買い手はつかないからです。抵当権が残ったままだと、不動産の前の所有者が債務不履行に陥ったときには、抵当権が実行されてしまいます。 また、ローンの返済が終わったとき、抵当権は自動的に抹消される、ということはありません。登記簿に記載されている抵当権は、抹消の手続きを行わない限り残ります。ローンを完済すれば、たとえ抵当権が記載されていても、金融機関の担保からは外れるのですが、抵当権が残っていると、その不動産を売却するときにスムーズにいかないケースが出てきます。したがって、完済したときには自分で手続きを行なう必要があります(費用を支払って、司法書士に代行してもらうことも少なくありません)。 「催告書」は法的手続きの通知書 では、ローンの返済が滞納した後の流れを追っていきましょう(以下は一般的に想定されるパターンで、すべての金融機関が該当するわけではありません)。 返済日に銀行口座からの引き落としができなかった場合、金融機関は、返済日の翌日に問い合わせの電話をしてくるはずです。問い合わせの内容は、支払いができなかった理由と、いつ頃に支払いができるのかという2つに集約されます。そして、金融機関としては、この段階で、融資先が債務不履行になっている可能性を視野に入れるようになります。 電話での問い合わせ以外に、支払いを催促する「督促状」(とくそくじょう)が郵送されてきます。この督促状は、返済を求める請求書にもなっており、「このまま滞納が続くとローンの残高と支払いの遅延損害金を一括返済してもらうことになる」といったことも記載されています。 請求書が届いた後も滞納が続き、返済の予定などを示さなかった場合は、「催告書」(さいこくしょ)が郵送されてきます。督促状との違いは、催告書は請求書ではなく、通知書であることです。何を通知するのかというと、「このまま滞納が続くと法的措置をとることになる」といった内容です。この法的措置とは抵当権の実行、つまり担保不動産の売却になります。 催告書は「内容証明郵便」で郵送されることがほとんどです。内容証明郵便とは、郵便局が「確実に郵送しました」という配達の記録を証明してくれるものです。催告書は、裁判所で不動産を競売にかけるときに必要な書類であることから、内容証明郵便を使うわけです。したがって、催告書が郵送されてきたら、すでに金融機関は法的な手続きを開始した可能性が高いと予想されます。 さらに、催告書が届いた場合、ローンの支払いの遅延などの情報を管理する「個人信用情報機関」は、目安として3か月以上の返済の遅延がある人を〝ブラックリスト〟に入れると考えられるため、その前に通知をすることになります。ただし、督促状や催告書が郵送された段階で、個人の信用情報には記録が残されていると考えたほうがいいでしょう。 「金銭消費貸借契約証書」の内容を確認しておくことが大事 たまに、ローンの契約を〝軽く〟考えてしまう人がいます。何の根拠もなく、「1回くらいの延滞であれば許されるだろう」といった思い込みなどです。しかし、多くの金融機関で、ローンの契約時に交わす「金銭消費貸借契約証書」に、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載しています。 「期限の利益」とは聞き慣れない言葉ですが、「ローンを分割払いで返済できる」ということで契約書に記載されます。この「期限の利益」を喪失してしまうと、ローンを借りた債務者は分割払いで返済できるという権利を失うため、残高と利息分を一括して支払わなければなりません。つまり、この通知が来た段階で、債務者は滞納分の支払いだけでは済まず、一括返済しか選択肢がないことになります。そもそも、毎月の返済が困難となり滞納をするわけですから、一括返済はほぼ不可能といえるでしょう。 もし、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載されていれば、契約書上の返済期日を過ぎてしまうと、金融機関から、いつ法的措置を取られたとしてもおかしくはないのです。「契約書なんてどれも同じだろう」とは考えず、金銭消費貸借契約証書の内容はきちんと理解しておくことが大切なのです。 担保不動産競売までの流れと心得(2)――法的手続き開始から所有権の移転まで 前回は、ローンの支払いが滞納してから、金融機関から、「法的手続きを開始する」という内容を通知する催告書が届くまででした。そして、その段階で、すでに手続きが始まっている可能性が高いことを述べま...記事を読む ▼シリーズ「担保不動産競売までの流れと心得」の記事一覧 ・第1回:「金銭消費貸借契約証書」の重要性 ・第2回:法的手続き開始から所有権の移転まで ・第3回:競売を回避する「任意売却」とは? ・第4回:「競売」の実態と今後の動向 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

    2019.05.07自宅売却
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