自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説

更新日: / 公開日:2021.09.22

持ち家に住んでいても、住み替えなどを理由に自宅の売却を検討することがあるでしょう。不動産を売却したことがないと、どのように手続きを進めればよいかわからないかもしれません。また、どうせ自宅を売るなら「少しでも高く売却したい」「損をしたくない」と思うのではないでしょうか。

自宅の売却で失敗を避けるには、手続きの流れや注意点を理解してから売却活動を始めることが大切です。この記事では、自宅売却の流れや損をしないためのポイント、かかる費用・税金について詳しく解説します。

自宅を売却する2つの方法

自宅を売却する方法は、一般的に「買取」と「仲介」の2つに分けられます。

  • 買取:不動産会社に直接買い取ってもらう方法
  • 仲介:不動産会社に買い手を見つけてもらう方法

買取と仲介は特徴が異なるので、状況に合わせて自分に合った方法を選択する必要があります。まずは、買取と仲介それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。

買取のメリット・デメリット

買取は不動産会社が買主となるため、短期間で売却が可能です。購入希望者の内覧に対応する必要がなく、買主に対して生じる「契約不適合責任」も免責となるのが一般的です。なお、「契約不適合責任」とは、以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものです。2020年4月の民法改正に伴い、「契約不適合責任」として整理・追加がされています。

一方で、買取は仲介に比べると売却価格が低い傾向にあります。不動産会社は、付加価値をつけて再度販売することを前提に買取を行います。再販にかかる経費やリスクを考慮して買取価格を決定するため、市場価格よりも安くなります。

買取は早期に現金化できるので、住み替え先が決まっていて売却を急いでいる場合や、流通性が低く買い手が付きづらい物件などに向いています。

仲介のメリット・デメリット

仲介は、自宅を市場価格で売却できるのがメリットです。希望価格で購入してくれる買い手が見つかるまで売却活動ができるので、買い手が見つかれば相場より高い価格で売却することも可能です。

一方で、仲介は売却までに時間がかかる傾向にあります。不動産会社と媒介契約を締結し、主に個人の買い手を見つける必要があるため、買取に比べると売却までに時間がかかってしまいます。また、売買が成立した場合は仲介手数料の支払いが必要です。

自宅売却に時間をかけられる場合や、出来るだけ市場価格に近い価格で売却したい場合は、仲介が向いているでしょう。

自宅売却の流れ

自宅の売却は以下の流れで手続きを進めます。

  1. 査定を依頼して不動産会社を選ぶ
  2. 売却活動をする(仲介の場合)
  3. 売買契約を締結する
  4. 決済・引き渡しを行う

買取は不動産会社が買主となるため、2の売却活動は不要です。それぞれの項目について詳しく説明します。

査定を依頼して不動産会社を選ぶ

自宅を売却するときは、まず不動産会社に査定を依頼して、自宅がいくらで売れそうかを確認します。査定金額は不動産会社によって異なります。買取にせよ仲介にせよ、複数の会社に依頼して査定金額を比較することが大切です。

買取の場合は、買取価格が一番高い会社を選びましょう。基本的に提示された買取価格が変更されることはありません。

仲介の場合は、不動産会社と媒介契約を締結する必要があります。査定金額を確認した上で、以下の3種類から媒介契約を選びましょう。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

一般媒介契約は、複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。多くの購入希望者にアプローチできますが、物件情報のレインズ(不動産流通機構)への登録や売主に対する売却活動の報告は義務付けられていません。また、複数の不動産会社とやり取りするので手間がかかります。

専任媒介契約は、1つの不動産会社のみに仲介を依頼できる契約です。売主が自分で見つけた買い手と直接取引することも可能です。不動産会社は媒介契約締結後7営業日以内に物件をレインズに登録し、売主に対して2週間に1回以上売却活動の状況を報告する義務があります。

専属専任媒介契約も、1つの不動産会社のみに仲介を依頼できる契約です。ただし、売主は自分で見つけた買い手と直接取引はできません。レインズへの登録は媒介契約締結後5営業日以内、売主に対して1週間に1回以上の報告が義務付けられています。

専任媒介契約と専属専任媒介契約の契約期間は3ヵ月で、実務上は両者に大きな違いはありません。信頼できる会社を1社選定できる場合は、専属専任や専任媒介契約がおすすめです。1社に絞るのが難しく、複数の会社に依頼したい場合は一般媒介契約を検討しましょう。

売却活動をする(仲介の場合)

仲介の場合、買い手を見つけるための売却活動を行います。売却活動のほとんどは不動産会社に任せられます。ただし、住みながら売却活動する場合は、内覧に応じるなどの手間が発生します。

すべてを不動産会社任せにするのではなく、「いくらで売却したい」「いつまでに売却したい」といった希望をはっきり伝えることが大切です。後でトラブルにならないように、定期的に進捗状況を確認し、不明点や疑問点があればその都度解決しておきましょう。

売買契約を締結する

自宅の買い手が決まったら売買契約を締結します。売買契約時の主な必要書類は以下のとおりです。

  • 不動産売買契約書
  • 収入印紙(契約書に貼付する印紙代)
  • 本人確認書類
  • 印鑑(実印)
  • 印鑑証明書
  • 登記済権利書(または登記識別情報)
  • 固定資産税納税通知書
  • 手付金の領収書

必要書類は不動産会社が提示してくれるので、確認して準備を進めましょう。

売買契約時には、通常、売買代金の一部(10%程度)を手付金として受け取ります。契約書に手付解除の定めがあれば、期限日までに買主は支払った手付金を放棄、売主は受け取った手付金の倍額を払うことで契約解除が可能です。

契約後にトラブルが発生しないように、あらかじめ契約解除の方法などについて確認しておくことが大切です。

決済・引き渡しを行う

売買契約後は、契約書で取り決めた決済日に残金が入金されます。自宅は決済日に合わせて買主に引き渡しを行います。

住宅ローンが残っている場合は、抵当権の抹消手続きも必要です。不動産会社を通じて司法書士に依頼しておくと、スムーズに手続きを進められます。

自宅売却にかかる期間

自宅の売却を決めてから売買が成立するまで、どれくらいの期間が必要なのでしょうか。仲介で売却する場合の標準的な期間は以下のとおりです。

  • 査定から媒介契約:2週間~1ヵ月程度
  • 売却活動:1ヵ月~半年程度
  • 売買契約から決済・引き渡し:1~2ヵ月程度

査定から引き渡しまで、3ヵ月~1年程度かかるのが一般的です。実際には、買主を見つけるまでの期間によって大きく変わってきます。人気のエリアや物件であれば、問い合わせも多く売却に苦労しないかもしれませんが、流通性の低いエリアや物件では1年以上売却にかかるでしょう。

一方で、買取は売却活動を行う必要がないので、抵当権が設定されていなければ数週間で売却できるケースもあります。

自宅売却で損をしないためのポイント

自宅の売却は取引金額が大きいので、手続きの進め方によって手元に残るお金が変わってきます。ここでは、自宅売却で損をしないためのポイントをお伝えします。

不動産の相場観を身に付ける

自宅売却で損をしないためには、いくらで売れそうか不動産の相場観を身に付けてから売却活動を始めることが大切です。インターネットや不動産会社のチラシなどで、住んでいる地域の同じような物件がいくらで売りに出されているかを確認しておきましょう。

不動産には相場があるので、「いくらで売りたいか」と「いくらで売れるか」は別問題です。希望売却価格と相場に「いつまでに売りたいか」という要素を組み合わせて、売出価格を慎重に判断する必要があります。

売出価格が高すぎると買い手が見つからず、安すぎると手元に残る金額が減ってしまいます。仲介を依頼する不動産会社を選ぶ段階で、あまりに高すぎる査定金額や、反対に・低すぎる査定金額を提示する会社は除外するといいでしょう。

不動産売却の仕組みを理解する

自宅を売却する前に、不動産売却の仕組みを理解することも必要です。取引ルールを理解しないまま売却活動を始めると、不動産会社からの提案や売買契約の内容が正しいか判断できません。有利な条件での売却が難しくなり、トラブルが発生するリスクも高まります。

特に確認しておきたいのが、不動産仲介におけるルールです。先程も触れたように、媒介契約は種類によって報告義務などが細かく定められています。

たとえば、一般媒介契約は複数の会社に仲介を依頼できますが、レインズへの登録や売主への報告は義務付けられていません。レインズは、不動産会社専用のネットワークシステムです。全国の物件情報が共有されているので、レインズに登録するほうが早期の売買成立につながります。また、不動産会社から定期的に報告をもらえるほうが手間はかからず、安心して売却活動を進められるでしょう。

媒介契約を選択する際には、流通性の高く人気のエリアの物件では一般媒介による売却とし、流通性が低く買い手が見つかりづらい物件では専任媒介を選択するといいかもしれません。媒介契約の選択に正解はありませんが、状況に合わせて自分にあった契約を選ぶことが大切です。

信頼できる会社を選ぶ

自宅売却で損をしないためには、不動産会社選びも重要なポイントです。さまざまな不動産会社が仲介に対応していますが、実績や強み、顧客への対応などは会社によって異なります。不動産会社を選ぶときは、以下のポイントを重視しましょう。

  • 仲介におけるルールや報告義務を順守している
  • 自分の相場感と査定金額が大きく離れていない
  • 査定金額にしっかりとした根拠が示されている
  • 疑問点や不明点を質問したときに丁寧に回答してくれる
  • 不動産仲介の実績が豊富
  • インターネット上に悪い評判がない(少ない)

希望条件に近い形で売却できるように、複数の会社に査定を依頼して、信頼できる会社を見極めましょう。

自宅売却のための体制を整える

自宅を売却するときは、希望条件で売却できる体制を整えましょう。不動産は建物の外観だけでなく、部屋の状態も重要な要素です。部屋をきれいな状態に保ち、家具のレイアウトなども工夫すれば、内覧者によい印象を持ってもらえます。

また、売却を急ぐと売却価格が安くなりやすいので、余裕をもって売却活動を進めましょう。可能であれば、空室の状態で売却活動を行うほうが希望条件で売却しやすくなります。

自宅売却でかかる費用・税金

自宅の売却では、仲介手数料などの費用や税金がかかります。さらに、住宅ローンが残っている場合は、自宅の売却代金でローンを完済しなくてはなりません。

実際に手元に残るお金は売却価格とは異なるので、費用や税金も考慮して売却を進める必要があります。ここでは、自宅売却でかかる費用と税金について詳しく解説します。

仲介手数料

仲介手数料は、仲介での売買が成立したときに不動産会社に支払う手数料です。宅地建物取引業法により、不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限額は以下のように決められています。

仲介手数料の上限額

契約金額(税別)仲介手数料の上限額
200万円以下(契約金額×5%)+消費税10%
200万円超 400万円以下(契約金額×4%+2万円)+消費税10%
400万円超(契約金額×3%+6万円)+消費税10%

たとえば、自宅の売却価格が2,000万円の場合、仲介手数料は以下のように計算します。

(2,000万円×3%+6万円)+(2,000万円×3%+6万円)×10%=72.6万円

仲介手数料は、上限額いっぱいで請求されるのが一般的です。査定金額を確認した段階で、仲介手数料の概算金額を計算しておきましょう。

印紙税

不動産売買契約書は印紙税の課税文書であるため、税額分の収入印紙を貼付する必要があります。印紙税額は、以下のように契約金額によって異なります。

印紙税額

契約金額(税別)印紙税額軽減税額
100万円超500万円以下2,000円1,000円
500万円超1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超1億円以下6万円3万円
1億円超5億円以下10万円6万円

2022年3月31日までに作成される売買契約書の印紙税については、軽減税額が適用されます。売主分と買主分の2通の契約書を作成する場合は、それぞれ印紙税を負担します。

出典)国税庁「印紙税額一覧表(2021年5月現在)」

抵当権抹消に関する費用

売却する自宅に抵当権が残っている場合は、抹消手続きが必要です。抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。土地と建物にそれぞれ抵当権が設定されている場合、登録免許税額は2,000円となります。

抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合は別途報酬が発生するので、見積もりをとって費用を確認しましょう。

出典)法務局「登録免許税の計算」

固定資産税・都市計画税の精算

固定資産税・都市計画税は、1月1日現在で不動産を所有している人に課税される税金です。その年の途中で不動産を売却しても、1月1日現在の所有者に全額が請求されます。

売買契約日以降の固定資産税・都市計画税は買主の負担となるため、日割り計算をして売買契約時に精算するのが一般的です。売買契約を締結する前に、不動産会社に固定資産税・都市計画税の精算方法を確認しておきましょう。

譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産の売却で利益(譲渡所得)が出た場合にかかる税金です。譲渡所得に一定の税率をかけて税額を計算します。譲渡所得を求める計算式は以下のとおりです。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

譲渡価額は自宅の売却価格です。

取得費は、自宅を取得するためにかかった費用です。自宅の購入代金や仲介手数料などが含まれます。ただし、建物については減価償却費を控除した後の金額となります。取得費がわからない場合は、譲渡価額の5%相当額を取得費とみなすことが可能です。

譲渡費用は、自宅を売却するときに払う仲介手数料、建物の取り壊し費用などです。一定の要件を満たして税制特例が利用できる場合は、特別控除額として譲渡所得から一定額を控除できます。

譲渡所得が求められたら、一定の税率をかけて税額を計算します。譲渡所得税の税率は、自宅の所有期間に応じて以下のように異なります。

譲渡所得税額

区分所得税復興特別所得税住民税税率合計
長期譲渡所得15%0.315%5%20.315%
短期譲渡所得35%0.63%9%39.63%

自宅を売却した年の1月1日現在で所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。

出典)国税庁「土地や建物を売ったとき」

自宅売却で利用できる税制特例

自宅(マイホーム)を売却して譲渡所得が生じた場合は、「3,000万円の特別控除の特例」が利用できます。所有期間に関わらず、一定の要件を満たす場合は譲渡所得から最高3,000万円が控除できるため、譲渡所得税の節税になります。

このほかに、「軽減税率の特例」「買換え(交換)の特例」といった税制特例も用意されています。

税制特例を利用するには、必要書類を添付した上で確定申告書の提出が必要です。税制特例は併用できないものあり、どれを利用するのが有利かは状況によって異なります。自分で判断できない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

出典)国税庁「土地や建物を売ったとき」

住宅ローンが残っている自宅を売却する際の注意点

住宅ローンが残っている自宅を売却するには、ローンを完済し抵当権を抹消する必要があります。一般的には、自宅の売却代金が残債を上回っている場合は、売却代金を返済原資としてローンを完済できるので、問題なく売却ができます。一方で、自宅の売却代金が残債を下回っている場合は、自己資金で補填したり、住み替えローンを利用する必要があります。売却後もローンが残っている場合、金融機関が抵当権の抹消に同意してくれないためです。

住宅ローンが残っている自宅を売却する際は、事前に住宅ローンの残債と自宅の売却価格を把握し、ローンを完済できるかを確認したうえで売却活動を行うとよいでしょう。

まとめ

自宅を売りたいと思ったら、まずは自宅売却の流れや相場感、不動産の取引ルール、費用などを理解することが大切です。その後は複数の不動産会社に自宅の査定を依頼し、信頼できる会社を見極めることがポイントとなります。自宅売却を成功させるために、しっかりと準備を整えてから売却活動を始めましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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