フラット35の返済中に手元資金に余裕ができると、繰り上げ返済を検討するかもしれません。繰り上げ返済をすることで総返済額を抑えられますが、本当に繰り上げ返済をしていいのか迷うかもしれません。 この記事では、フラット35の繰り上げ返済をする前に確認したい3つのポイントを解説します。 そもそも住宅ローンの繰り上げ返済とは 住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に借入額の一部を返済する方法です。繰り上げ返済は全て元金に充てられるため、減少した分の元金に対する支払利息がなくなり、結果として住宅ローンの総返済額を抑えられます。 繰り上げ返済の方法は以下2つです。 期間短縮型:返済期間を短縮する方法 返済額軽減型:毎月の返済額を軽減する方法 総返済額を抑える効果がより高いのは期間短縮型です。どちらの方法を選択しても、繰り上げ返済の金額が大きく、繰り上げ返済をした時期が早いほど得られる効果は高くなります。 住宅ローンの総返済額を少しでも減らしたい場合は期間短縮型、毎月の返済額を減らしたい場合は返済額軽減型を選ぶと良いでしょう。 繰り上げ返済のメリット 繰り上げ返済のメリットは、住宅ローンの総返済額が安くなることです。繰り上げ返済の金額やタイミングによっては、総返済額が100万円以上安くなるような場合もあります。 繰り上げ返済を検討する場合は、インターネット上のシミュレーションを活用して総返済額がどれぐらい安くなるかを確認するといいでしょう。 繰り上げ返済のデメリット 繰り上げ返済をすると、手元資金が減少します。十分な手元資金を残さずに繰り上げ返済をすると、急にまとまったお金が必要になった際に手元資金が不足する恐れがあります。繰り上げ返済をする場合は、もしものときに備えてある程度の手元資金を確保しておきましょう。 フラット35の繰り上げ返済の特徴 民間の金融機関が提供する住宅ローンでは、繰り上げ返済時に手数料がかかることがありますが、フラット35は手数料がかかりません。ただし、フラット35を買取型ではなく保証型で利用している場合、金融機関によっては繰り上げ返済手数料がかかる場合もあります。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? フラット35の繰り上げ返済の流れ フラット35の繰り上げ返済をする場合、繰り上げ返済をしたい日の1か月前までに、金融機関に申し出が必要です。その後、必要な書類を金融機関が指定する期日までに提出することで、繰り上げ返済をすることができます。 また、住・MyNoteを利用して申し込むこともできます。あらかじめ住・MyNoteに登録しておく必要がありますが、一連の手続きをWeb上で完結させることができます。ただし、フラット35を保証型で利用している場合、住・MyNoteは利用できません。 いずれかの方法で申し込みが完了したら、予定していた繰り上げ返済日に必要な金額を送金すれば、繰り上げ返済が完了します。 フラット35の繰り上げ返済をする前に確認したい3つのポイント 繰り上げ返済をした方が良いと思うかどうかは、個人の考え方や状況によって異なります。上述のメリットとデメリットを踏まえたうえで、以下3つのポイントを確認し、繰り上げ返済をするかどうかを判断しましょう。 ポイント①:住宅ローン控除 住宅ローン控除とは、住宅ローン年末残高の0.7%を所得税(一部翌年の住民税)から最大13年間控除する制度です。この住宅ローン控除適用期間中に繰り上げ返済をすると、住宅ローン控除額が減少する場合があります。 では、住宅ローン控除が受けられる13年を過ぎた段階で繰り上げ返済をすれば良いのかというと、必ずしもそうとは限りません。以下は、4,000万円を35年固定金利で借り、「5年後に400万円分繰り上げ返済をする場合」と、同条件で「15年後に400万円分繰り上げ返済をする場合」を、シミュレーションした表です。 〇金利0.5%の住宅ローンに400万円分繰り上げ返済した場合※1 5年後 15年後 A.繰り上げ返済による利息軽減額 607,226円 384,534円 B.住宅ローン控除額※2 2,709,688円 2,966,799円 A+B 3,316,914円 3,351,333円 ※1 借り入れは1月、繰り上げ返済は12月に行うと仮定してシミュレーションしています。 ※2 各年12月時点の残高に0.7%を乗算した金額の総和を、住宅ローン控除額としています。 まず、金利が低い場合は、5年目(控除期間中)と15年後(控除期間終了後)にほとんど差がないことから、手元資金を残しておくという観点で、15年後に繰り上げ返済をした方が良いと言えるでしょう。 〇金利2.0%の住宅ローンに400万円分繰り上げ返済した場合※1 5年後 15年後 A.繰り上げ返済による利息軽減額 2,987,026円 1,766,093円 B.住宅ローン控除額※2 2,822,276円 3,095,609円 A+B 5,809,302円 4,861,702円 ※1 借り入れは1月、繰り上げ返済は12月に行うと仮定してシミュレーションしています。 ※2 各年12月時点の残高に0.7%を乗算した金額の総和を、住宅ローン控除額としています。 一方で、金利が高い場合は、15年後(控除期間終了後)よりも5年目(控除期間中)に繰り上げ返済をした方が有利なことが分かります。 このように、借入額は同じでも、住宅ローン金利によって控除期間中に繰り上げ返済をした方がいい場合と控除期間終了後にした方がいい場合があります。 金銭的にどちらが有効かを判断するためには、住宅ローン控除を考慮してシミュレーションを行うことが大切です。 また、繰り上げ返済手数料がいくらかかるか、所得税と住民税の合計額から控除をフル活用できるか、についても併せて確認しましょう。 ポイント②:団体信用生命保険 団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態になった場合に保険金が支払われ、住宅ローンが完済される仕組みです。 団信を生命保険として捉えると、一般的な生命保険と比較してかなり安い保険料で生命保険に加入できている、と解釈できます。また、万が一のことが起きた場合に、繰り上げ返済をしなかった分の手元資金を家族に残すことができます。 一方で、一般的な生命保険は、万が一の際に残された家族の生活資金のためなど、住宅ローンの返済以外の目的で加入することも考えられます。加入する目的が異なるのであれば、そもそも両者を比較すること自体が適切でないとも考えられます。 団信も一般的な生命保険も、万が一に備えて併用も含めて検討すべきものです。また、実際に万が一のことが起きるかどうかは分からないため、どちらが正しいと結論付けるのは難しいでしょう。 ポイント③:資産運用 手元資金を繰り上げ返済に充てるのではなく、資産運用に回すという考え方もあります。手元資金を繰り上げ返済ではなく資産運用に回すことで、繰り上げ返済による利息軽減効果以上のリターンを得ようとする考え方です。2024年から新NISAも始まったため、積立投資を始めやすい環境になっているのも追い風です。 しかし、投資は必ずリターンを得られるとは限らず、損失になる恐れもあるので、どちらが正しいとはいえません。住宅ローン金利よりも高い利回りで運用できるなら、繰り上げ返済をしないで資産運用に回す方が有利です。しかし、住宅ローン金利が高いほど、それを上回るリターンを得るのは難しくなり、その分リスクも高くなるでしょう。 リスクを考慮したうえで資産運用によって更なるリターンを求めるか、確実に利息軽減効果を得られる繰り上げ返済を選ぶかは、個人のリスク許容度や考え方によって異なるでしょう。 繰り上げ返済をした方がいい人 ここまで「住宅ローン控除」「団信」「資産運用」の3つのポイントについて、金銭的な損得を見てきましたが、結局のところ、個人の考え方によって選択は異なります。 また、金銭的な損得以前に、「住宅ローンは借金なので残っていると心配だ。一刻も早く返済したい!」と思っている人は、損得よりも自分の意思を尊重し、繰り上げ返済をしてもいいでしょう。 まとめ 繰り上げ返済をした方がいいか、しない方がいいかは個人の考え方次第です。 金銭的な損得を重視するなら、「住宅ローン控除」「団信」「資産運用」の3つのポイントを確認し、しっかりとシミュレーションを行ったうえで判断することが大切です。一方で、金銭的な損得よりも「一刻も早く返済したい」という自分の意思を尊重して、繰り上げ返済をするのも間違いではありません。 ただし、病気やケガ、退職などで急にお金が必要になる恐れもあります。繰り上げ返済をする場合は無理をせず、ある程度の手元資金を残しておきましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンの借り換えはなぜ行った?実態調査から見えたこと 住宅ローンの返済を続けていると、毎月の返済を軽減できないかを考えることもあるでしょう。住宅ローンの借り換えを行うことで返済負担を減らせる可能性もありますが、タイミングを見誤ると、思ったより効...
フラット35子育てプラスとは、子育て世帯や若年夫婦世帯に向けた新たな金利引き下げ制度です。一定の要件を満たすと子供の人数などに応じて金利が引き下げられるため、住宅ローンの負担軽減が期待できます。 この記事では、フラット35子育てプラスの内容や金利引き下げの条件、注意点を解説します。 フラット35子育てプラスが導入された背景 フラット35子育てプラスは、子育て世帯が良質な住宅を取得できるように、金利負担を軽減することを目的とした住宅ローンの制度です。この制度は、少子化対策及び子育て支援の一環として2023年11月29日に成立した、令和5年度(2023年)補正予算において拡充されました。 なお本制度は、2024年2月13日以降の資金受取分から適用されています。 フラット35子育てプラスの概要 フラット35の子育てプラスの概要は以下のとおりです。 子どもの人数等に応じて金利を引き下げ 他の金利引き下げメニュー(フラット35S等)との併用が可能 他の金利引き下げメニューを含め、金利引き下げ幅の上限を年-1.0%に拡充(従来は年-0.5%が上限) 新設されたフラット35子育てプラスは、子育て世帯だけでなく若年夫婦世帯も支援対象に含まれます。本制度の子育て世帯とは、借入申込年度の4月1日において、子ども(胎児および孫を含む。孫の場合は同居が必要。)の年齢が18歳未満である世帯を指し、若年夫婦世帯とは、借入申込年度の4月1日において、夫婦(同性パートナーを含む)のいずれかが40歳未満である世帯を指します。 ただし、借入申込年度の4月1日で条件を満たしていない場合でも、資金実行時(金融機関が資金実行日、融資金利などを登録する手続日をいいます。)までに上記の要件を満たせば、本制度を利用することができます。詳細は申し込みをした金融機関に確認しましょう。 出典)フラット35「【フラット35】子育てプラスの利用要件」 フラット35子育てプラスの金利引き下げの条件 子育てプラスの金利引き下げメニューが加わった制度拡充では、新しいポイント制度も導入されています。 家族構成や住宅、エリアに応じてポイントが加算され、そのポイント合計数に応じて金利引き下げが適用される仕組みです。 図:金利引き下げの条件の考え方 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】子育てプラスA3チラシ」 ここでは、上図を参考に、フラット35子育て支援の金利引き下げの条件について確認していきましょう。 ①家族構成を確認 まずは、家族構成に応じて加算されるポイント数をチェックしましょう。 家族構成 加算ポイント数 若年夫婦世帯1ポイント 子ども1人1ポイント 子ども2人2ポイント 子ども3人3ポイント 子どもN人Nポイント 子どもの人数が多いほど加算ポイントが増える仕組みです。子どもがいない若年夫婦世帯には1ポイントが加算されます。 ②住宅を確認 住宅は「性能」と「管理・修繕」の2つについて、それぞれポイントが加算されます。 【性能】 住宅の技術基準レベル 加算ポイント数 フラット35s(ZEH) 3ポイント フラット35s(金利Aプラン) 2ポイント フラット35s(金利Bプラン) 1ポイント フラット35リノベ(金利Aプラン) 4ポイント フラット35リノベ(金利Bプラン) 2ポイント 省エネルギー性や耐震性など、フラット35Sの技術基準をクリアしている住宅の場合は、レベルに応じてポイントが加算されます。中古住宅を取得してリノベーションを実施し、フラット35リノベが適用される場合も同様です。 関連記事はこちらフラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 【管理・修繕(フラット35維持保全型)】 対象住宅 加算ポイント数 長期優良住宅 1ポイント 予備認定マンション ※1 1ポイント 管理計画認定マンション ※2 1ポイント 安心R住宅 ※2 1ポイント ホームインスペクション実施住宅 ※2 1ポイント 既存住宅売買瑕疵保険付保住宅 ※2 1ポイント ※1 新築マンションのみ ※2 中古住宅のみ 「新築戸建住宅」「新築マンション」「中古住宅」の取得について、フラット35維持保全型が適用される場合は、対象住宅の種類に応じてポイントが加算されます。 ③エリアを確認 住宅を取得するエリアが住宅金融支援機構と連携している場合は、フラット35地域連携型やフラット35地方移住支援型を利用できる場合があります。これらは、地方公共団体による補助金や移住支援金の交付とあわせて、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。 エリア 加算ポイント数 フラット35地域連携型(子育て支援) 2ポイント フラット35地域連携型(空き家対策) 2ポイント フラット35地域連携型(地域活性化) 1ポイント フラット35地方移住支援型 2ポイント 地方公共団体の支援があるエリアであれば、その内容に応じてポイントが加算されます。なお、住宅金融支援機構と連携しているエリアかどうかは、フラット35のホームページで確認することができます。(詳細はこちら) ④引き下げ幅を確認 最後に、「家族構成」「住宅」「エリア」の各項目で加算されたポイント数を合計しましょう。以下のように、合計ポイントに応じて金利引き下げが適用されます。なお、合計ポイントが5~8ポイントの場合は6~10年目、9~12ポイントの場合は11~15年目も金利が引き下げられます。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】子育てプラスA3チラシ」 総返済額の引き下げ額は、1ポイントだと約-40万円、5ポイントだと約-195万円、9ポイントだと約-375万円にもなります。自分が受けられる金利引き下げを確認したい人は、フラット35のホームページで確認できます。(詳細はこちら) フラット35子育てプラスの注意点 子育てには子どもの学費など、まとまったお金が必要となるライフイベントが発生します。固定金利で住宅ローンを組めば、毎月の返済額が固定されるため、資金計画を立てやすくなります。 一方で、固定金利型の住宅ローンは、変動金利に比べて適用金利が高い傾向にあります。適用要件を満たして金利が低くなるのであれば、フラット35子育てプラスの利用を検討しても良いのではないでしょうか。 ただし、金利引き下げはずっと続くわけではなく、5~15年の期間限定です。変動金利型やフラット35以外の固定金利型の住宅ローンと比較したうえで、本当に自分に合うかを判断する必要があるでしょう。 フラット35子育てプラスは後から申請できる? 既にフラット35を借りている人の中には、「自分も要件に当てはまっているが利用できないのか」と思われる人もいるかもしれません。 しかし、本制度はあくまで新規で借り入れるタイミングを基準に対象者を判断しているため、後から申請し、フラット35子育てプラスを利用することはできません。既に子育てプラスを利用していて、後から子供が増えた場合も同様です。 加えて、新たにフラット35に借り換える場合も、フラット35子育てプラスを利用することができません。子育てプラスを利用するために借り換えることはできないので注意しましょう。 なお、フラット35子育てプラスは利用できなくても、フラット35への借り換えによって、総返済額や月返済額を軽減できる可能性があります。詳細は以下の記事で解説しています。 関連記事はこちらフラット35への借り換えにメリットはある?目的別に判断基準を紹介 まとめ フラット35子育てプラスを利用することで、子どもの人数等に応じて金利引き下げの適用を受けることができます。ZEHや長期優良住宅といった質の高い住宅を取得する場合は、さらに金利が優遇されるかもしれません。 住宅取得を計画している子育て世帯は、2024年2月13日にスタートした「フラット35子育てプラス」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。フラット35には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、自宅購入でフラット35を利用する場...
フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。フラット35には「買取型」と「保証型」の2種類がありますが、自宅購入でフラット35を利用する場合、どちらを選べばよいのでしょうか。 この記事では、フラット35の買取型と保証型の仕組みと違い、選び方について解説します。 フラット35の買取型と保証型の仕組み フラット35の買取型と保証型は、利用者からは見えない仕組みの部分が異なります。まずは買取型と保証型の仕組みがどのように異なるのかを解説します。 買取型の仕組み フラット35の買取型とは、以下のような仕組みを活用して金融機関が提供している全期間固定金利の住宅ローンです。 〇買取型のイメージ図 ※編集部作成 買取型の場合、フラット35の利用者が金融機関から資金を受け取った後に、住宅金融支援機構が金融機関から債権を買い取ります。なお、債権者は金融機関ではなく住宅金融支援機構となるため、利用者が購入した自宅に抵当権を設定するのは、住宅金融支援機構となります。 買取型は、2023年12月21日時点で320機関もの金融機関に取り扱われており、一般的に用いられる「フラット35」は買取型を指していることが多いです。 保証型の仕組み フラット35の保証型も全期間固定金利の住宅ローンで、以下のような仕組みを活用しています。 〇保証型のイメージ図 ※編集部作成 保証型の場合、フラット35の利用者が金融機関から資金を受け取った後も、住宅金融支援機構が金融機関から債権を買い取りません。そのかわり、住宅金融支援機構が債権に住宅融資保険を付け、フラット35の利用者が正常に返済をできなくなった場合に金融機関に対して保険金を支払います。なお、債権者は金融機関であるため、利用者が購入した自宅に抵当権を設定するのは、金融機関となります。 保証型は、2023年12月21日時点でわずか11機関の金融機関にしか取り扱われておらず、現在も受付を行っているのはわずか8機関です。 フラット35の買取型と保証型の違いを比較 買取型は金利や手数料は金融機関ごとに異なりますが、その他の商品性は原則として同様です。一方で保証型は、金利や手数料以外の商品性も金融機関によって異なります。 この記事では、実際に保証型を提供している8機関の2024年2月時点での条件を調査し、買取型と保証型の商品性の違いを比較しました。 保証型の方が金利は低いが、その差は小さい 一般的に保証型は融資率が低いほど金利が低くなる商品設計であるため、条件を満たせば買取型よりも保証型の方が低金利で借りられるとされています。 住宅金融支援機構が公表しているデータによると、団信ありの買取型の金利*は、融資率が9割以下の場合、年1.82%~年3.47%です。一方で、保証型の金利は、融資率が9割以下の場合、1.73%~1.81%でした。よって、融資率が9割以下の場合、買取型よりも保証型の方が低金利で借りられるものの、金融機関によっては買取型と保証型でほとんど金利差がない場合もあることが読み取れます。 例えば5,000万円を35年間固定金利1.55%で借りた場合、金利が0.05%低くなると総返済額が約51万円程度安くなります。それに対して、5,000万円の借入に対してかかる融資手数料が1%低くなると、かかる手数料が50万円安くなります。つまり、この例でいうと融資手数料に1%差がある場合、大体0.05%以上の金利差がなければ、保証型を選択するメリットは薄いといえます。 ただし、保証型を提供するすべての金融機関で、融資率を8割まで抑えるとさらに金利が低くなり、2024年2月時点の金利だと1.7%前後の金利で借りることができるようになります。8割以下まで融資率を引き下げることができれば、金利差の面で保証型を選択するメリットがあるといえます。 ※融資実行日が2024年2月であった、融資期間が21~35年の買取型の平均金利 出典)【フラット35】金利情報 保証型は融資手数料が高い 買取型も保証型も、提供する金融機関によって融資手数料の設定が異なります。 実際に買取型の融資手数料をいくつか調査したところ、融資手数料が数万円台の定額型の商品や、1%台の定率型の商品もありました。それに対して保証型の融資手数料は、財形住宅金融のみ1.1%と低いものの、多くが2%を超える定率型であり、融資手数料が高めの設定であることが分かります。 保証型のうち3機関は返済手数料がかかる 買取型の繰上返済手数料は一部繰上返済でも一括返済でも無料です。 上表のとおり、一部繰上返済については一部繰上方法の指定はあるものの、原則無料であることが読み取れます。一方で、一括返済においては3機関が手数料を取っていることが分かりました。 ただし、返済手数料の差は数万円単位であり、金利や融資手数料を重視した方がかかる費用の総額を効果的に抑えられるでしょう。もちろん無料である方がいいことは言うまでもないですが、必要以上に重視しすぎないことも大切です。 保証型は団信の特約が豊富 買取型の場合、新機構団体信用生命保険(以下、新機構団信)に加入することになりますが、保証型は金融機関独自の団信に加入することになります。 買取型の場合、新機構団信付きのフラット35の借入金利に+0.24%を上乗せすることで、「新3大疾病付機構団信」を利用することができます。この新3大疾病付機構団信は、3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)に加えて、要介護2~4の状態になった場合も保障されるのが特長です。 上表のとおり、8大疾病や生活習慣病、全疾病といったより保障範囲の広い特約や、ワイド団信を取り扱っているところもあります。また、新3大疾病付機構団信より低い上乗せ金額で、がんのみとすることもでき、買取型より保証型の方が団信において様々な選択肢があるといえます。 保証型のうち5機関は審査の条件が厳しい 買取型は年収400万円未満なら返済比率を30%以内、400万円以上なら35%以内という条件を満たさなければ利用できません。この基準が保証型でも同様に適用されているか調査したところ、8機関中5機関が返済比率の条件を買取型より厳しく設定していました。 具体的には、融資率が8割超9割以内の場合のみ、一律で返済比率を20%以内とする条件です。このように、多くの保証型が返済比率の審査基準を買取型よりも厳しく設定しており、融資率が8割超9割以内で保証型を検討する場合は注意が必要です。 保証型の商品性 保証型の商品性は、下表のとおりです。なお、表中で特に特徴的な部分は赤字で記載しています。 〇保証型商品の比較 ※編集部調査(2024年2月時点) 注意点として、日本住宅ローンと財形住宅金融が提供しているフラット35保証型は、それぞれ借りられる人に以下のような制限があります。この2機関のフラット35保証型を検討する場合は注意が必要です。 日本住宅ローン 日本住宅ローンと提携しているハウスメーカーで住宅を建築、購入する人。 財形住宅金融 勤務先が財形住宅金融に出資している人。もしくは公務員、公的団体に勤めている人。 保証型が向いている人の特徴 融資率を8割以下まで抑えて金利を低くできる人 上述のとおり、融資率9割程度であれば、買取型を選んでも保証型とほとんど金利が変わらず、手数料は買取型の方が割安であることから、最終的な負担金額はそこまで変わらない場合も考えられます。一方で、融資率が8割以下となれば、買取型と比較して保証型の金利が十分低くなるため、保証型が向いているといえます。 団信の特約を自分の希望どおりに選択したい人 フラット35の保証型が向いている人は、団信の特約を自分の希望どおりに選択したい人と言えるでしょう。例えば、団信を付けたかったにもかかわらず審査で落ちてしまい、買取型だと団信なしで借りざるを得ない人でも、特定の金融機関が提供するフラット35の保証型を利用すれば、ワイド団信を付帯できる可能性があります。他にも、もう少し上乗せ額を小さくしてがんだけを保障したい人や、逆にもっと上乗せ額を大きくしてでも保障範囲を広げたい人なども同様です。このように、自身の希望に合致する団信を提供している金融機関がある場合も、保証型が向いているといえます。 まとめ フラット35の買取型と保証型を実際に商品性を比較したことで、融資率を8割まで抑えられる場合は保証型が有利なものの、融資率が9割の場合は買取型と保証型の金利差がかなり縮まっていることが分かりました。 一方で、保証型は団信の特約が豊富なため、たとえ金利面ではそこまで差がなかったとしても、保証型を選択肢に入れて考慮するといいでしょう。自宅購入でフラット35を利用する場合は、多くの金融機関が取り扱っている買取型だけでなく、保証型にも目を向けてみてはいかがでしょうか。 なお、この記事で紹介した条件等は2024年2月に調査した時点のものであり、最新のものとは異なる場合があります。実際に保証型のご利用を検討される際は、金融機関に条件等をしっかりと確認したうえで手続きを進めて下さい。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが...
自宅を購入する際、「フラット35」を検討する人もいるでしょう。フラット35は一般的な住宅ローンにはないメリットがある一方で、デメリットもあるため、商品を調べていく中で「やめたほうがいい」や「やばい」といった記事を見ることもあるかもしれません。 この記事では、「フラット35はやめたほうがいい」と言われる主な理由を紹介します。 やめたほうがいいと言われる理由①:金利 そもそもフラット35とは、全期間固定金利の住宅ローンで、住宅金融支援機構と提携している民間の金融機関が提供しています。名称に“35”とあるとおり、最長35年間の固定金利で住宅ローンを借りることができます。 固定金利型であるため、借り入れ時に返済終了までの借入金利と返済額が確定し、長期の返済計画を立てやすいのが特徴です。ただし、変動金利型の住宅ローンに比べると金利は高い傾向にあります。 2025年7月現在、フラット35(新機構団信付き:借入期間21年以上)の金利状況は下表のとおりです。 融資率* 金利の範囲 最も多い金利 9割以下 年1.840%~年3.970% 年1.840% 9割超 年1.950%~年4.080% 年1.950% ※融資率とは、住宅の建設費または購入価額に対するフラット35の借入額の割合を指す。 出典)住宅金融支援機構「フラット35(金利情報)」 金融機関や融資条件によって異なりますが、フラット35の金利は年2%程度となっています。 それに対して2025年7月現在、一般的な銀行が提供している変動金利型の住宅ローンは、優遇金利の適用を加味すると0.6%前後です。変動金利型の住宅ローンと比較すると、フラット35の金利は相対的に高く感じられるため、「やめたほうがいい」と言われます。 やめたほうがいいと言われる理由②:頭金 フラット35は、総返済負担率などの利用条件を満たしていれば、頭金なしでも住宅の建設費または購入価額まで借りられます。しかし、上述のとおり、融資率が9割を超えると金利が高くなるため、少しでも低い金利で借りるには、頭金を1割以上準備しなくてはなりません。 仮に住宅の購入価額が5,000万円とすると、頭金として500万円以上を用意する必要があります。頭金を用意するのが難しい世帯は、融資率9割以下より高い金利が適用されてしまうため、不利になります。 それに対して、銀行の住宅ローンの場合、融資率が100%でも最優遇金利が使えることもあり、金利を下げるためには頭金が必要という点で「やめたほうがいい」と言われます。 関連記事はこちらフラット35は頭金・自己資金なしで組める? やめたほうがいいと言われる理由③:物件の審査基準 フラット35を借りるには、借入対象となる物件の審査基準を満たす必要があります。具体的には、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たしているかを確認するために、物件検査を受けて「適合証明書」を取得しなくてはなりません。主な基準項目とその概要は下表のとおりです。 【例:新築住宅の場合の技術基準】 主な基準項目 概要 接道 原則として一般の道に2m以上接すること 住宅の規模 一戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上 住宅の規格 原則として2以上の居住室、炊事室、便所及び浴室の設置 断熱構造 断熱等性能等級4以上、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上など 住宅の構造 耐火構造もしくは準耐火構造であることなど 収入などの利用条件を満たしていても、物件がフラット35の基準を満たしていないと借りられない点に注意が必要です。なお、金融機関によって異なりますが、物件検査を受ける際に数万円程度の手数料がかかることもあります。 それに対して、銀行の住宅ローンの場合、適合証明書が必須の要件ではなく、取得にかかる手続きや費用の面で「やめたほうがいい」と言われます。 関連記事はこちらフラット35を利用するために必要な適合証明書とは? フラット35は本当にやめたほうがいいのか? フラット35は「やめたほうがいい」と言われることがある一方で、次のようなメリットもあります。 全期間固定金利で返済額が一定のため返済計画を立てやすい 団体信用生命保険(団信)への加入が必須ではない 保証料や繰上返済手数料が無料 フラット35は全期間固定金利であるため、借り入れ後の市場金利の影響を受けません。そのため、借入期間中に「金利が上がったらどうするか」を考える必要がなく、借入時の返済計画を立てやすいのがメリットです。 なお、一般的な住宅ローンの場合でも、全期間固定金利の商品はありますが、適用金利は担保物件や与信によって決定されます。そのため、申込人の与信次第では、銀行の住宅ローンが必ずしもフラット35よりも有利とは限らず、そもそも取扱可否すら変わることもあります。 また、一般的な住宅ローンの場合は、団信の加入が融資条件となることがほとんどです。フラット35は団信加入が必須ではないため、健康面で団信加入が難しい人でも利用できる点はメリットといえるでしょう。 さらに、一般的な住宅ローンは金融機関によって、保証料や繰上返済手数料がかかることもありますが、フラット35なら無料です。繰上返済による早期完済を計画している人にとって、繰上返済手数料がかからないのは大きなメリットといえます。 結局のところ、フラット35をやめたほうがいいかは、申込人の与信やそもそも住宅ローンで何を重視するかによって異なります。メリットとデメリットを比較して、自分に適した住宅ローン商品を選ぶと良いでしょう。 Appendix:フラット35の様々な選択肢 フラット35をやめたほうがいいかを判断するにあたり、一言でフラット35と言っても「買取型」と「保証型」の2種類があることと、フラット35にはさまざまな金利引き下げメニューがあることの2点を知っておくことが大切です。 フラット35の「買取型」と「保証型」 世間一般で「フラット35」と言われる商品は、「買取型」を指していることが多いです。これは、「買取型」を扱う金融機関が300社を超えるのに対し、「保証型」を扱う金融機関はわずか8機関(2025年7月時点)しかないからです。 「保証型」のフラット35は、取扱金融機関ごとに商品性が異なることが特長で、頭金をより多く用意することで、「買取型」よりも金利が低く抑えられる場合や、団信が「買取型」よりも充実している場合があります。詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひご確認ください。 関連記事はこちらフラット35の買取型・保証型の違いを徹底比較!どっちがいい? フラット35の金利引き下げメニュー フラット35は、子育て支援や環境保全、地方創生といった観点で、条件を満たす利用者に対して一定の期間金利引き下げを行うというメニューがあります。 例えば、子供が2人いる家庭で、環境にやさしい「ZEH」の住宅を購入する場合、最初の5年間は1%、6年目~10年目も0.25%もの金利引き下げを受けることができます。こちらも詳細は以下の記事で解説しているので、自分がどの程度金利引き下げを受けられるかも考慮したうえで、返済シミュレーションを行うことをお勧めします。 関連記事はこちらフラット35の金利引き下げメニューについて詳しく解説 まとめ フラット35は、「借入時の金利が比較的高い」「頭金を1割以上入れないと金利が高くなる」などの理由でやめたほうがいいと言われることがあります。一方で、「毎月の返済額がずっと変わらない」「保証料や繰上返済手数料が無料」といったメリットもあります。 フラット35を検討する場合は、メリットとデメリットをしっかりと比較して自分に向いているかを見極めましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが...
「フラット35の審査は甘い」と言われることがありますが、本当にそうなのでしょうか?実際には、申込者や住宅に関する明確な基準が設けられており、事前に確認することが可能です。 この記事では、申込者と住宅それぞれの審査基準をわかりやすく解説し、審査通過のポイントや注意点を具体的に紹介します。事前に基準を確認することで、安心して申し込みを進めることができます。 フラット35の審査基準①:申込者に求められる条件 フラット35の審査では、申込者の「年齢」「収入」「信用情報」などが重要な判断材料になります。 以下の5つの項目について、具体的な条件を見ていきましょう。 年齢 国籍 収入 信用情報 資金使途 年齢 フラット35では、申込時点で満70歳未満の人が対象となります。これは、返済期間中の年齢を考慮した基準であり、安定した返済計画を立てるための条件のひとつです。 ただし、親子リレー返済を利用する場合には、満70歳以上の人でも申し込みが可能です。親子リレー返済の仕組みや申込時の注意点については、以下の記事で詳しく解説しているので、該当する人は参考にしてみてください。 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 国籍 フラット35では、日本国籍であることが基本条件となります。これは制度の対象を国内居住者向けとすることを前提としているためです。 ただし、外国籍の人でも、永住許可を受けている人や特別永住者であれば申し込みが可能です。外国籍の人の申込条件や必要な手続きについては、以下の記事で詳しく解説しているので、該当する人は参考にしてみてください。 関連記事はこちらフラット35は外国人でも利用できる?住宅ローンの申込要件を解説 収入状況 フラット35では、申込者の年収に応じて「総返済負担率」の基準が設けられています。これは、住宅ローンに加え、自動車ローンやカードローンなども含めた年間の返済額が、年収に対してどの程度の割合になるかを示す指標です。 具体的には、年収400万円未満の場合は総返済負担率30%以下、年収400万円以上の場合は35%以下が目安となります。年収は原則として申込年度の前年の収入で判断され、会社員は給与収入、自営業者は事業所得などの合計額が対象です。一定の条件を満たせば、親や配偶者との収入合算も可能です。 また、太陽光発電設備を設置する住宅の場合、売電収入を年収に加算できるケースもあります。ただし、加算額には発電出力(kW数)に応じた上限があるため、事前に確認しておくと安心です。 信用情報 フラット35の審査では、信用情報の内容が重要な判断材料となります。過去の延滞履歴などがある場合、フラット35の審査に影響する場合があります。これは、過去の金融取引における支払い状況や債務履歴をもとに、安定した返済が可能かどうかを見極めるための重要な審査項目です。 具体的には、税金の滞納や他のローンの延滞履歴などが記録されている場合、審査に通過しにくくなることがあります。信用情報に不安がある人は、事前に内容を確認しておくと安心です。 資金使途 フラット35の融資は、申込者本人またはその親族が実際に居住する住宅の取得に限定されています。対象となるのは、新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入などで、自己居住を前提とした利用が条件です。 そのため、第三者に賃貸する目的の物件や、投資用不動産の取得には利用できません。あくまで「マイホームのための住宅ローン」である点に注意が必要です。 フラット35の審査基準②:住宅に求められる条件 フラット35では、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅が融資対象となります。基準を満たしていることを証明するためには、物件検査を受けて「適合証明書」を取得する必要があります。なお、取得する住宅が新築か中古かによって、適用される基準が異なります。 新築住宅の場合 新築住宅に求められる主な基準は下表のとおりです。 戸建て マンション 接道 原則として一般の道に2m以上接すること 住宅の規模 70㎡以上 30㎡以上 住宅の企画 原則として2以上の居住室、炊事室、便所および浴室の設置 併用住宅の床面積 併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上 戸建型式など 木造の住宅は戸建てまたは連続建てのみ 住宅の構造 耐火構造、準耐火構造または耐久性基準に適合すること このほかにも、断熱性能や配管設備などの技術基準が定められています。マンションの場合は、管理規約や長期修繕計画の有無も審査対象となります。 新築住宅の物件検査は、以下の流れで進みます。 設計検査(工事前に設計図などを確認) 中間現場検査(工事途中に目視で確認) 工事完了後の現場検査(工事完了後に検査済証が交付されていることを確認) 合格後、適合証明書の交付 中古住宅の場合 中古住宅に求められる基準は、新築住宅と大きくは変わりません。ただし、耐震性や劣化状況など、建物の状態に関する項目が重視されます。 特に耐震性については、建築確認日が昭和56年6月1日以降であることが原則です。それ以前に建築された住宅の場合は、耐震評価基準に適合していることが求められます。 中古住宅の物件検査では、書類審査と現地調査が行われ、基準を満たしていれば適合証明書が交付されます。なお、新築時に適合証明書を取得していた場合でも、原則として中古住宅として再度取得する必要があります。 詳しい取得方法や注意点については、以下の記事も参考にしてみてください。 関連記事はこちらフラット35を利用するために必要な適合証明書とは? フラット35の審査はなぜ「緩い」「甘い」と言われるのか フラット35について調べていると、「審査が緩い」「審査が甘い」といった声を目にすることがあります。こうした印象を持たれる背景には、民間の住宅ローンとは異なる審査基準が採用されている点が関係しています。 ここでは、フラット35の審査が「緩い」「甘い」と言われる主な理由を3つに分けて解説します。 審査金利が適用金利と同じ 住宅ローンの審査では、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が重要視されます。この返済負担率を計算する際に使われる金利は「審査金利」と呼ばれます。 民間の住宅ローン(特に変動金利型)では、将来的な金利上昇を見越して、3%以上の審査金利が設定されることが一般的です。一方、フラット35では、実際の適用金利(2025年8月時点で約2%)がそのまま審査金利として使われるため、返済負担率が低く計算され、結果として審査に通りやすくなる傾向があります。 職種を重視されない 民間の住宅ローンでは、申込者の職種や勤務先、雇用形態が審査項目として重視されるケースが多くあります。実際、住宅金融支援機構の調査によると、金融機関の約46.3%が「職種等の重要度が増している」と回答しています。 しかし、フラット35の審査基準には職種に関する記載がなく、他の条件を満たしていれば、原則として職種による制限はありません。これにより、職種に関係なく幅広い人が申し込みやすい制度となっています。 出典)住宅金融支援機構「2024年度 住宅ローン貸出動向調査」 団体信用生命保険の加入が任意 多くの民間住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)への加入が申込要件となっており、健康状態によっては審査に通らないケースもあります。 一方、フラット35では団信の加入が任意となっており、健康上の理由で団信に加入できない場合でも、ローンの審査に影響しません。ただし、団信に加入しない場合は、万が一の際の返済方法について事前にしっかりと検討しておく必要があります。 フラット35の本審査に落ちる人の特徴と対策 フラット35の審査基準は明確に公表されていますが、基準を満たしていない場合は本審査で落ちてしまうことがあります。以下のような特徴に当てはまる人は、審査通過が難しくなる傾向があります。 勤続年数が短い フラット35以外に借り入れがある 自己資金が少ない 物件の担保評価が低い ただし、これらの項目に該当するからといって、必ずしも審査に落ちるとは限りません。ご自身の状況を改めて確認し、改善できる点があれば事前に対策を講じることで、審査通過の可能性を高めることができます。 なお、フラット35の本審査に落ちた場合の対応策や、再申し込みに向けた準備については、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。 関連記事はこちらフラット35の本審査はどんな人が落ちやすい?落ちた場合の対策も紹介 フラット35の審査に関するよくある質問(FAQ) ここまで、フラット35の審査基準について詳しく解説してきました。ここでは、よくある疑問をQ&A形式でまとめています。 フラット35の審査は金融機関によって違いがありますか? フラット35の審査基準は住宅金融支援機構によって明確に定められており、基本的にはどの金融機関でも同じ基準で審査されます。ただし、事前審査は各金融機関が行うため、対応のスピードや実績、サポート体制などに違いがある場合もあります。申込先を選ぶ際は、信頼性や実績を確認するのがおすすめです。 関連記事はこちらフラット35で住宅ローンを組みたいときはどこに相談する?選び方と注意点を解説 フラット35の借入申込から融資までの流れは? フラット35の申し込みには、注文住宅の建設、新築住宅の購入、中古住宅の購入といった複数のケースがあります。ここでは、注文住宅の建設を例に、借入申込から融資実行までの一般的な流れをご紹介します。 <住宅を建設する場合の手続きの流れ> 借入申込・団信加入の申込 設計検査の申請・合格 着工 中間現場検査の申請・合格 工事完了 工事完了後の現場検査の申請・合格(適合証明申請・適合証明書の交付) 借入のご契約・資金の受取り・登記・抵当権の設定・火災保険への加入 入居 ※工事期間や引き渡し日程などは、工務店や売主に事前確認しておきましょう。 出典)フラット35「借入申込みから資金の受取りまで、期間はどれくらいかかりますか。Q&A番号:367」 総返済負担率はどのように計算されますか? フラット35では、申込者の年収に対する年間返済額の割合を示す「総返済負担率」が審査項目のひとつです。以下の計算式をもとに算定されます。 総返済負担率に含まれる借入れの種類 1.住宅取得に伴う借入れ フラット35をはじめとする住宅ローン全般が含まれます。 2.住宅取得以外の借入れ 自動車ローン、教育ローン、カードローンなどが該当します。カードローンには、キャッシングや分割払い、リボ払いも含まれます。賃貸用住宅関連のローンも一部対象となりますが、賃貸用アパートローン(共同住宅や寄宿舎が対象)は除外されます。 3.現在返済中の住宅ローン 売却予定の住宅ローンは、売却予定額で完済が見込める場合に限り、総返済負担率の計算から除外可能です。売却額が返済残高に満たない場合でも、不足額を手持ち資金や新たな借入金で補えることが確認できる場合は除外できます。 収入合算について 収入合算は可能ですが、ペアローンの場合はそれぞれ個別に総返済負担率を計算する必要があります。詳細は以下のリンクをご確認ください。 出典) ・フラット35「収入を合算して申込みできますか。また、その場合に条件はありますか。Q&A番号:376」 ・フラット35「総返済負担率はどのように算定すればよいですか。Q&A番号:3222」 適合証明(物件検査)の申請方法は? 適合証明の申請は、住宅金融支援機構と協定を結んでいる指定確認検査機関または登録住宅性能評価機関が行います。申請費用は申込者の負担となります。 ハウスメーカーや不動産仲介業者から住宅を購入する場合は、業者側が申請の段取りを組んでくれるケースが多いため、事前に確認しておくと安心です。 出典) ・フラット35「適合証明のお問い合わせ窓口」 ・フラット35「適合証明(物件検査)の申請はどこに行うのですか。Q&A番号:512」 フラット35Sの対象かどうかはどう確認すればいいですか? フラット35Sの対象となるかどうかは、売主や工事請負業者、販売代理業者などに確認するのが確実です。 申込時点では、フラット35Sの技術基準を満たしていることを証明する書類の提出は不要ですが、資金実行前までに、フラット35Sの基準を満たすことが確認できる適合証明書を金融機関に提出する必要があります。 出典)フラット35「住宅が【フラット35】Sの対象かどうかの確認はどのように行えばいいのですか。Q&A番号:403」 まとめ:事前確認で安心して申し込みを フラット35の審査では、「申込者の条件」と「住宅の基準」の両方を満たす必要があります。事前に審査基準を確認しておくことで、自分の状況に足りない点を把握し、必要な対策を講じることができます。こうした準備をしておくことで、審査通過の可能性を高めることができ、安心して申し込みに進めるでしょう。 一方で、「フラット35の審査は甘い」と言われる背景には、民間ローンとの審査方法の違いがあります。審査に不安がある人は、公式情報や専門スタッフの相談を活用しながら、事前にしっかりと準備を進めることが大切です。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 近年、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利が上がっています。「今後金利がますます上昇するのでは?」と不安になり、全期間固定金利であるフラット35を利用したい一方で、既にフラット3... { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [ { "@type": "Question", "name": "フラット35の審査は金融機関によって違いがありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "フラット35の審査基準は住宅金融支援機構によって明確に定められており、基本的にはどの金融機関でも同じ基準で審査されます。ただし、事前審査は各金融機関が行うため、対応のスピードや実績、サポート体制などに違いがある場合もあります。申込先を選ぶ際は、信頼性や実績を確認するのがおすすめです。" } }, { "@type": "Question", "name": "フラット35の借入申込から融資までの流れは?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "フラット35の申し込みには、注文住宅の建設、新築住宅の購入、中古住宅の購入といった複数のケースがあります。ここでは、注文住宅の建設を例に、借入申込から融資実行までの一般的な流れをご紹介します。住宅を建設する場合の手続きの流れ:1.借入申込・団信加入の申込 2.設計検査の申請・合格 3.着工 4.中間現場検査の申請・合格 5.工事完了 6.工事完了後の現場検査の申請・合格(適合証明申請・適合証明書の交付) 7.借入のご契約・資金の受取り・登記・抵当権の設定・火災保険への加入 8.入居 ※工事期間や引き渡し日程などは、工務店や売主に事前確認しておきましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "総返済負担率はどのように計算されますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "フラット35では、申込者の年収に対する年間返済額の割合を示す「総返済負担率」が審査項目のひとつです。以下の計算式をもとに算定されます。総返済負担率に含まれる借入れの種類:1. 住宅取得に伴う借入れ 2. 住宅取得以外の借入れ 3. 現在返済中の住宅ローン。収入合算は可能ですが、ペアローンの場合はそれぞれ個別に総返済負担率を計算する必要があります。" } }, { "@type": "Question", "name": "適合証明(物件検査)の申請方法は?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "適合証明の申請は、住宅金融支援機構と協定を結んでいる指定確認検査機関または登録住宅性能評価機関が行います。申請費用は申込者の負担となります。ハウスメーカーや不動産仲介業者から住宅を購入する場合は、業者側が申請の段取りを組んでくれるケースが多いため、事前に確認しておくと安心です。" } }, { "@type": "Question", "name": "フラット35Sの対象かどうかはどう確認すればいいですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "フラット35Sの対象となるかどうかは、売主や工事請負業者、販売代理業者などに確認するのが確実です。申込時点では、フラット35Sの技術基準を満たしていることを証明する書類の提出は不要ですが、資金実行前までに、フラット35Sの基準を満たすことが確認できる適合証明書を金融機関に提出する必要があります。" } } ] }
近年、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利が上がっています。「今後金利がますます上昇するのでは?」と不安になり、全期間固定金利であるフラット35を利用したい一方で、既にフラット35の金利を高く感じており、どうするべきか迷っている人もいるかもしれません。 そういった方に知っていただきたいのが、「フラット35S」という制度です。一定の条件を満たし、この制度を利用することで、フラット35の金利を一定期間下げることができます。この記事では、フラット35Sの種類や金利、利用の条件について解説します。 フラット35Sとは フラット35Sとは、フラット35の申込者が長期優良住宅など、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度です。新築住宅だけでなく、中古住宅も対象です。 住宅の基準は通常のフラット35より厳しく設定されますが、基準を満たせば金利が下がるため、返済負担の軽減が期待できます。フラット35Sは、住宅の技術基準の高い順から、「フラット35S(ZEH)」、「フラット35S(金利Aプラン)」、「フラット35S(金利Bプラン)」の3種類があります。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】S」 フラット35Sの金利の引下げ幅と期間 フラット35Sの金利の引下げ幅と引下げ期間は、プランによって異なります。 フラット35S(ZEH)は、当初5年間は年-0.5%、6年目から10年目までは年-0.25%の引下げとなります。対してフラット35S(金利Aプラン)は当初10年間、フラット35S(金利Bプラン)は当初5年間、それぞれ年-0.25%の引下げとなります。 なお、どのプランでも金利引下げ期間が終了したら、通常のフラット35の金利に戻ります。 フラット35Sの返済シミュレーション フラット35Sによって、返済負担はどのくらい軽減されるのでしょうか。 下表は、借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入金利年1.80%、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしの場合の返済シミュレーションをまとめたものです。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】S」 通常のフラット35と比較した総返済額の負担軽減効果は、フラット35S(ZEH)で約114万円、フラット35S(金利Aプラン)で約74万円、フラット35S(金利Bプラン)で約40万円となります。より住宅の技術基準が厳しいプランほど、総返済額の負担軽減効果も高くなります。 フラット35Sの対象となる住宅の技術基準 フラット35Sを利用するには、フラット35の技術基準に加えて、プランごとに定められた追加基準を満たす必要があります。ここでは、フラット35Sの対象住宅の主な技術基準を紹介します。 ①フラット35S(ZEH) フラット35S(ZEH)では、「断熱性能」と「一次エネルギー消費量」の基準が設定されています。断熱性能は地域の区分、一次エネルギー消費量はZEH住宅の種類(区分)に応じた基準値を満たすことが要件です。 その他にも、戸建てと戸建て以外(マンションなど)で、それぞれ適用条件が詳細に定められています。 出典)【フラット35】S(ZEH)に関する基準 ②フラット35S(金利Aプラン) フラット35S(金利Aプラン)は、以下1~5のうち、いずれか1つ以上の基準を満たす新築住宅が対象です。 断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅 耐震等級3の住宅 免震建築物 高齢者等配慮対策等級4以上の住宅 長期優良住宅 中古住宅については、基準が異なります。詳しくは取扱金融機関にご確認ください。 出典)【フラット35】Sの対象となる住宅 ③フラット35S(金利Bプラン) フラット35S(金利Bプラン)は、以下1~5のうち、いずれか1つ以上の基準を満たす新築住宅が対象です。 断熱等性能等級4以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅 断熱等性能等級5以上の住宅で、かつ、一次エネルギー消費量等級4または等級5の住宅 耐震等級2以上の住宅 高齢者等配慮対策等級3以上の住宅 劣化対策等級3の住宅で、かつ、維持管理対策等級2以上の住宅 金利Aプランと同じく、中古住宅は基準が異なります。詳細は取扱金融機関にご確認ください。 出典)【フラット35】Sの対象となる住宅 フラット35Sの注意点 フラット35Sは金利引下げの特典を受けられますが、以下の点に注意が必要です。 予算金額次第で利用できない場合がある フラット35Sは予算が決まっており、全体の実行額が予算額に達する見込みとなった時点で受付が終了します。受付終了日は、終了する3週間前までにフラット35のホームページにて掲載されます。利用を検討している場合は、定期的に確認しておきましょう。 フラット35であれば必ず併用できるわけではない フラット35には、いくつか商品ラインナップがあります。そのうち、「フラット35(リノベ)※」はフラット35Sと併用できません。また、資金使途が借り換えの場合も利用できないので注意しましょう。 ※フラット35(リノベ)とは、中古住宅の購入とあわせて一定の要件を満たすリフォームを実施すると、フラット35の借入金利を一定期間引き下げる制度 借入期間中ずっと金利が下がるわけではない フラット35Sの金利引下げ期間は当初5~10年間です。金利引下げ期間が終了すると金利は元に戻り、その後は返済負担が大きくなります。金利が元に戻ったときに、返済が厳しくならないかを考えておく必要があります。 フラット35Sを利用すべき? フラット35を利用することが決まっている場合は、検討すべきでしょう。総返済額が減るため、一定期間金利を下げられるのは大きなメリットといえます。 ただし、フラット35Sを利用して金利を一定期間下げられたとしても、民間の金融機関の住宅ローンを固定金利で借りたほうが、総返済額が少なく済むことも考えられます。他の住宅ローンと総返済額などを比較したうえで、フラット35Sを利用するか判断することが大切です。 まとめ 一定の省エネルギー性や耐震性などを備えた住宅を購入する場合は、フラット35Sを利用することで金利が下がるかもしれません。固定金利で住宅ローンを組む場合は、銀行などのローンと比較したうえで、フラット35Sを検討してみてはいかがでしょうか。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが...
親子リレーローンは、親子二世代にわたって返済する仕組みの住宅ローン商品です。親子リレーローンを利用することで、単独でローンを組むより借入金額を増やせる可能性があります。一方で、親子リレーローンにはデメリットもあるので、仕組みを理解して利用することが大切です。 この記事では、親子リレーローンの概要やメリットとデメリット、注意点を解説します。 親子リレーローンの概要 親子リレーローンとは、主に親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代にわたって返済していくローンです。一般的には最初に親が返済し、親が定年退職したタイミングなどで子に返済を引き継ぎます。 「親子」という名称ですが、フラット35の親子ローンなど、申込者本人の孫や、子もしくは孫の配偶者を後継者とできる場合もあります。また、新築や購入だけでなく、リフォームや住み替え、借り換えでも利用できます。 申込要件 親子リレーローンは、金融機関ごとに申込要件が設定されています。例えば、とある民間の金融機関では、以下のような申込要件が設定されています。 親子で同居している、または将来同居を予定している 子の申込時年齢が満70歳未満、完済時年齢が満80歳未満(親の完済時年齢は上限なし) 安定した継続収入がある 団体信用生命保険(団信)に加入できる 親子の同居が要件となるかは、金融機関によって異なります。例えば、住宅金融支援機構が提供するフラット35の親子リレー返済では、後継者の同居は問われません。 原則として、親子ともに安定収入があることが要件です。また、親子のどちらかが団信に加入する必要があります。金融機関によっては、親子ともに団信への加入が求められる場合もあります。申込要件は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。 親子リレーローンのメリット 単独で住宅ローンを組む場合に比べて、親子リレーローンには以下のようなメリットがあります。 借入金額を増やせる 親子リレーローンでは、親子の収入合算で借入可能額を計算します。そのため、親または子が単独で住宅ローンを組むより借入金額を増やせます。単独で住宅ローンを申し込んだものの、借入希望額に届かなかった場合に有効です。 月々の返済額を減らせる 親子リレーローンは、親から子へ返済が引き継げます。そのため、単独借り入れでは高齢であることを理由に期間が短くなってしまう場合でも、親子リレーローンであれば、返済期間を長くすることが可能です。返済期間が長くなれば、その分月々の返済額を抑えられます。 住宅ローン控除をそれぞれで利用できる 親子リレーローンでは、住宅の持分割合や返済負担割合に応じて、親と子がそれぞれ住宅ローン控除を利用できます。例えば、住宅の持分が2分の1ずつの場合、親と子のどちらもローン年末残高の50%を基準に控除を受けられます。 なお、持分割合と返済負担割合が一致しない場合、控除を受けられる金額が変わるため注意が必要です。詳しくは、税理士などの専門家に相談しましょう。 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 親子リレーローンのデメリット 一方で、親子リレーローンには以下のようなデメリットもあります。 親が亡くなった際に子に債務が残る 親子リレーローンは、基本的に子だけが団信に加入するか、親子がそれぞれ借入金額の1/2ずつ団信に加入する場合がほとんどです。そのため、どちらの場合であっても親が先に亡くなると、子に債務が残ることになります。 加えて、親が団信に加入できないローンの場合、親が返済期間中の早い段階で亡くなってしまった場合に、子に過大な負債が残る恐れもあります。返済を引き継ぐ子に過度な負担をかけないためには、親も団信に加入できるローンを選ぶのが有効です。 他のローンが組めなくなることがある 親子リレーローンでは、返済を引き継ぐ子は連帯債務者となります。親の返済期間中も同じ返済義務を負うため、子は他のローンを組めなくなる場合があります。他のローンを組むことを想定している場合は注意が必要です。 贈与とみなされる場合がある 親子リレーローンでは、住宅の持分割合とローンの返済負担割合を一致させるのが一般的です。「子の返済を親が負担する」など、一方に有利な変更をすると贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる恐れがあります。贈与とみなされることに不安がある場合は、返済方法について税理士などの専門家に確認しておくと安心です。 親子リレーローンの注意点 親子リレーローンを利用する場合は、以下の点に注意しましょう。 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例が使えない 父母や祖父母から住宅の新築や取得、増改築に充てるために金銭の贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税になる特例があります。非課税限度額は、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅は500万円です。 しかし、親子リレーローンは親子で住宅ローンを組んで返済していくため、この贈与税の特例の適用対象外です。 相続人の間でトラブルが起きる場合がある 親子リレーローンを組む場合、住宅の親の持分は相続財産に含まれます。子(相続人)が複数いる場合、その持分を巡ってトラブルになる恐れがあるため、事前に財産の分け方などを話し合っておくことが大切です。 Appendix:フラット35の親子リレーローンは親だけで団信に加入できる デメリットで解説したとおり、基本的に親子リレーローンは、親が先に亡くなると、子に債務が残ることになります。 しかし、フラット35の親子リレーローンの場合、親が返済している間は親が単独で団信に加入できます*。つまり、親が債務を引き継ぐ前(80歳未満)に亡くなった場合、保険金によって住宅ローンを完済でき、子に債務を残さずに済みます。 ただし、もし親が80歳になっても存命である場合は、団信に加入していない状態で子に債務を引き継がなければなりません。ただ、そのタイミングで、新たに子が団信に加入することもできます*。 以上を踏まえると、フラット35の親子リレーローンは「子に債務を残さずに済む可能性がある」という点で、有効な手段と言えます。親子リレーローンを利用する場合は併せて検討しても良いでしょう。 ※健康状態によっては団信に加入できない恐れもあるので注意が必要です。 まとめ 親子リレーローンは、単独でローンを組むより借入可能額が増えるため、理想の住宅を取得しやすくなるのがメリットです。住宅ローン控除も、親と子がそれぞれ利用できます。一方で、親が返済期間中に亡くなると、子に過大な負債が残る恐れがあります。相続人が複数いる場合は、相続トラブルの原因にもなります。 親との同居を見据えて住宅を購入する場合は、仕組みやメリットとデメリットを理解したうえで、親子リレーローンを検討してみるといいでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 老後生活への準備として住み替えやリフォームをする場合、まとまった資金が必要になります。しかし、高齢になると、一般的な住宅ローンやリフォームローンの審査に通りにくくなります。 このような時に活...
フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定金利型の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利と返済額が確定するため、長期にわたる返済計画を立てやすいのが特長です。 この記事では、住宅金融支援機構の「2022年度 フラット35利用者調査」の結果から、利用実績や読み取れることを紹介します。 フラット35の利用者は減少している フラット35の融資区分別(建て方別)の利用実績は下表のとおりです。 融資区分(建て方) 2021年度 2022年度(前年比) 注文住宅 8,200件 7,355件(-10.3%) 土地付注文住宅 20,429件 16,026件(-21.6%) 建売住宅 15,574件 11,128件(-28.5%) マンション 5,397件 4,278件(-20.7%) 中古戸建 8,363件 6,559件(-21.6%) 中古マンション 7,914件 5,796件(-30.7%) 合計 65,877件 51,142件(-22.4%) 出典)住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」 表からわかるとおり、すべての融資区分で利用者は減少しています。2022年度の全体利用実績は、前年と比較して-22.4%の減少となりました。 フラット35の利用者が減少したのは、借入時の金利が低い「変動金利型の住宅ローン」の人気が高まっていることが理由のひとつだと考えられます。国土交通省の調査によれば、住宅ローンの新規貸出額における金利タイプ別割合の推移は下図のとおりです。 〇新規貸出額における金利タイプ別割合の推移 出典)国土交通省「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」 変動金利型の新規貸出額は上昇が続いており、令和3年(2021年)度の割合は全体の76.2%となっています。一方で、令和2年度と令和3年度の全期間固定金利型の変動を見ると、+0.4%となっており、フラット35の利用者が減少する要因の説明にはなりません。 次に、下図は民間金融機関の住宅ローン金利の推移です。 〇民間金融機関の住宅ローン金利の推移 出典)住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」 変動金利型は、固定金利型に比べて借入時の金利が低く設定されています。近年、固定金利型の住宅ローン金利は上昇傾向にありますが、変動金利型に大きな変動は見られません。 これらの結果から、金利負担の軽減を重視して、変動金利型の住宅ローンを選ぶ人が増えていると考えられます。一方で、フラット35は年間5万件を超える利用実績があるのも事実です。 変動金利型は、市場金利が上昇すると返済額が増える「金利変動リスク」があります。借入時の金利は高くても、将来の利上げの可能性を考慮し、金利や返済額が変わらないフラット35を選択する人が一定数いることが考えられます。 フラット35の主な利用者は中間層 フラット35利用者の世帯年収を確認すると、2022年度の世帯年収別の利用割合は下表のとおりです。 世帯年収 利用割合 400万円未満 19.9% 600万円未満 39.2% 800万円未満 21.5% 1,000万円未満 9.5% 1,200万円未満 4.3% 1,200万円以上 5.6% 出典)住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」 2022年度のフラット35利用者は、世帯年収400~800万円が全体の約6割を占めています。平均世帯年収は634万円で、前年比+26万円となりました。一部のメディアでは「フラット35は審査に通りやすい」と説明されることもありますが、実際は一定以上の世帯年収がある中間層の利用が多いことが分かります。 一方で、住宅金融支援機構による「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】 」によると、住宅ローン利用者の800万円超の割合が40.3%となっています。このことから、住宅ローン利用者の中では、「相対的に年収の低い層」に利用されているとも言えます。 また、2022年度のフラット35利用者は、世帯年収400万円未満の割合も約20%あります。フラット35は、総返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)などの申込要件が明確に示されています。年収が400万円未満であっても、申込要件を満たせば利用できる可能性もあることが読み取れます。 出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】」 フラット35の融資金額は依然上昇傾向 フラット35の融資金額の推移は以下のとおりです。 出典)住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」 2022年度のフラット35の融資金額は、全ての融資区分において上昇しています。また、ここ10年は全体的に右肩上がりの傾向が見られます。 日本では、日銀の金融緩和政策により低金利が続いています。少ない金利負担で融資を受けられることが不動産価格の上昇を招いており、フラット35の融資金額の増加にもつながっていると考えられます。 年収倍率や総返済負担率も上昇している 融資金額が以前上昇している状況下で、フラット35の年収倍率と総返済負担率はどのように推移しているのでしょうか。まず、フラット35の融資区分別の年収倍率の推移は以下のとおりです。 出典)住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」 2022年度のフラット35の年収倍率は、5.7~7.7倍となりました。この10年は、全体として右肩上がりで推移しています。また、フラット35利用者の2022年度の総返済負担率の割合は下表のとおりです。 総返済負担率 割合(前年比) 10%未満 4.5%(±0.0%) 15%未満 10.6%(-0.3%) 20%未満 18.4%(-0.8%) 25%未満 22.4%(-0.9%) 30%未満 27.5%(-0.7%) 30%以上 16.6%(+2.7%) 出典)住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」 2022年度の平均は23.1%(前年比+0.4%)です。総返済負担率が25%以上の割合は44.1%で、ここ10年で最大となりました。 融資金額の上昇に伴い、年収倍率や総返済負担率も上昇していることが分かります。この状況から、全体的にフラット35における取扱金融機関の積極的な融資姿勢も見て取れます。 40歳以上の利用者が増加傾向 今回の実績調査で最も着目すべき点は、フラット35利用者の年齢層が大幅に変化しつつある点です。フラット35の年齢別利用者割合の推移は以下のとおりです。 出典)住宅金融支援機構「2022年度 フラット35利用者調査」 2022年度のフラット35利用者の平均年齢は42.8歳(前年度比+1.3歳)です。2020年以降、顕著に40歳代以上の利用者割合が上昇しています。利用者の高齢化が進んでいる要因には、持ち家から持ち家の住み替えの際に、フラット35を利用する人が増えていることが挙げられるかもしれません。 まとめ 調査結果を見ると、依然としてフラット35の利用者が減っており、住宅価格が上昇し、返済負担率も上昇している状況が続いていることが分かりました。一方で、今回の調査結果で特筆すべき点は、フラット35の利用者が高齢化している点です。フラット35が50代以上の住宅ローンの選択肢の一つとして台頭していることが分かりました。 住み替えたいのに住宅ローンを組む目途が立たない人は、フラット35を検討してみるのもいいかもしれません。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 シニアが住み替える際の4つのポイント シニア世代は、子どもの独立や退職などをきっかけに生活環境が大きく変化します。今住んでいる家がライフスタイルに合わなくなると、将来を見据えて住み替えを検討することもあるでしょう。 この記事では...
フラット35は、自宅購入時に利用できる住宅ローン商品の一つです。住宅ローンを検討する際、全期間固定金利で自宅を購入したい場合は、フラット35が有力な選択肢となるでしょう。 この記事では、フラット35を利用するメリットや、利用を検討する前に知っておきたい基礎知識を解説します。 フラット35とは フラット35とは、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローン商品です。フラット35の特長をまとめると、以下のとおりです。 返済期間は最長35年間である 全期間固定金利である 全国300以上の提携金融機関が扱っており、基本的に全国どこでも利用可能 自宅(新築住宅・中古住宅)の購入資金や借り換え資金に活用できる 保証料・繰上返済手数料が無料 利用条件の詳細が公開されている 上記の特長を踏まえ、メリットとデメリットについて詳細を解説します。 フラット35を利用するメリット フラット35には、他の住宅ローンにはない特徴的なメリットもあります。以下に主なポイントを整理し、順に詳しく解説していきます。 返済額が変わらない全期間固定金利 保証料や繰上返済手数料が無料 団体信用生命保険の加入が任意 オーバーローンが可能 金利引き下げメニューが豊富 返済額が変わらない全期間固定金利 フラット35は全期間固定金利であり、借入期間中に金利が変わることがありません。一方、変動金利型の住宅ローンでは、金融情勢によって金利が定期的に見直され、返済額が変わることがあります。このような特徴から、フラット35は資金計画を立てやすい住宅ローンといえます。 保証料や繰上返済手数料が無料 フラット35では、保証料や繰上返済手数料が無料です。一般的な住宅ローンでは、保証料がかかることがあるほか、繰上返済手数料がかかる場合があります。そのため、一般的な住宅ローンに比べて、手数料の負担が少なく済む可能性があります。 団体信用生命保険の加入が任意 フラット35では、団体信用生命保険(以下、団信)の加入が任意です。対して、一般的な住宅ローンでは、団信への加入が義務付けられています。例えば、健康状態によって団信に加入できない場合、一般的な住宅ローンは利用できなくなります。その点、フラット35は団信の加入が任意のため、柔軟に利用できます。 また、団信に加入できる人でも、代わりに収入保障保険などの民間生命保険を利用することで、団信なしでフラット35を利用する選択肢を検討できます。保険の種類によっては、団信加入よりも費用を抑えられるほか、保障内容を柔軟に設計することもできます。 オーバーローンが可能 フラット35はオーバーローンにもできます。平成30年4月1日の制度改正以降、従前のフラット35では借りられなかった融資手数料や仲介手数料等の費用が、新たに住宅の売買代金に上乗せして借りられるようになりました。ただし、上乗せできるのはあくまで住宅の購入に必要な費用に限られる点や、手付金には利用できない点に注意が必要です。 なお、オーバーローンは複数の意味を持ちますが、この記事では「購入する住宅の価格に諸費用を上乗せして住宅ローンを組むこと」と定義しています。 出典)【フラット35】制度変更のお知らせ 金利引き下げメニューが豊富 フラット35には「ポイント制」という金利引下げメニューがあり、家族構成や住宅の性能のほか、エリアなどの要件によって金利の優遇を受けることが可能です。 申込者が長期優良住宅など、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合や、申込者が子育て世帯である場合などに金利引き下げが期待できます。条件の詳細は以下の記事で解説しています。実際に自分がどの程度金利引き下げが受けられるのかのシミュレーションもできるので、ぜひ参考にしてください。 関連記事はこちらフラット35の金利引き下げメニューについて詳しく解説 金利引継特約による優遇 金利引継特約とは、フラット35の返済中に長期優良住宅を売却する場合に、債務を引き継ぐことができる特約です。買主は売主が利用していた借入金利のまま、フラット35の債務を引き継ぐことができます。 売却金額がローン残高より高い場合、買主は差額を売主に支払います。一方、売却金額がローン残高を下回る場合、売主が差額を買主に支払う必要があります。 当初の借入時よりも金利が上昇している場合は、新規に住宅ローンを借りるよりも低い金利で債務を引き継ぐことが可能であり、これは売却時のアピールポイントになるかもしれません。 なお、債務承継した分の住宅ローン控除は受けられませんが、金利引継特約付きフラット35を利用し、購入額の不足分を新たにフラット35で借り入れ、住宅ローン控除の要件を満たすときは、この借り入れについては住宅ローン控除の対象となります。 また、団体信用生命保険の加入は、売主が加入していた団体信用保険と同じ保障内容のものであれば、加入申し込みが可能です。なお、平成29年9月30日以前の申込受付分及びフラット35(保証型)の場合は取り扱いが異なるため、取扱金融機関に確認しましょう。 フラット35を取り扱う金融機関の中には、金利引継特約付きの取り扱いがない場合もあるため、将来住み替えを考えている場合は注意しましょう。 出典)住宅金融支援機構「取扱金融機関一覧」 フラット35を利用するデメリット 一方で、フラット35を利用する場合、以下のようなデメリットもあります。 借入金利が比較的高い フラット35は、一般的な変動金利型の住宅ローンに比べて、借入時の金利が高く設定されています。そのため、目先の支払いだけを考えるのであれば、毎月の返済負担が重くなります。 また、フラット35は融資率(住宅の建設費または購入価額に占めるフラット35の借入金額の割合)が9割を超えると適用金利が高く設定されます。フラット35の金利を少しでも下げたい場合は、融資率が9割以下になるように頭金を準備することが必要です。 審査に住宅の技術基準が含まれる フラット35の審査では、住宅金融支援機構が定める住宅の技術基準が含まれます。検査機関による物件検査を受け、適合証明書を取得しなくてはなりません。そのため、一般的な住宅ローンでは必要のない手続きや費用が発生します。 関連記事はこちらフラット35を利用するために必要な適合証明書とは? フラット35の利用条件 フラット35は利用条件の詳細が明確に公開されているのも特徴です。フラット35を利用するにあたり、ご自身が条件を満たしているかを確認しておくことも大切です。実際の利用条件は、以下のとおりです。 申込時の年齢が満70歳未満である(親子リレー返済の場合は70歳以上でも申込可) 日本国籍の人、外国籍で永住許可を受けている人または特別永住者である すべての借り入れについて、総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)が、年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下である なお、総返済負担率はフラット35だけでなく、自動車ローンやカードローンなどのすべての債務を含めて計算する点に注意が必要です。 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」 民間の住宅ローンよりも「審査が緩い」とも言われることもあるフラット35ですが、前述のような「申込人に関する基準」と「住宅に関する基準」が明確に定められています。 関連記事はこちらフラット35の審査基準を徹底解説!本当に審査が甘い? フラット35はやめたほうがいい? フラット35は全期間固定金利で借りられるため、変動金利型の住宅ローンに不安がある人におすすめです。また、申込基準を満たしていれば審査に通りやすいので、高齢の人や個人事業主、転職して間もない人など、融資を受けづらい属性の人にも向いています。 ただし、借入時の金利は比較的高く設定されています。そのため、変動金利で毎月の支払額を抑えたい人、民間金融機関の住宅ローンで金利優遇を受けられる人には向かないでしょう。自身の状況や希望を考慮し、フラット35が自分に合っているかどうかを判断することが大切です。 関連記事はこちらフラット35はやめたほうがいい?3つのデメリットから見える注意点 Appendix:どんな人がフラット35を利用している? 住宅金融支援機構の「2024年度フラット35利用者調査(2025年7月25日公表)」によると、年齢別の利用割合では30歳代が29.2%で最も多く、次いで40歳代の26.8%が続き、30・40歳代の合計で全体の半数以上を占めています。 ただ、2023年度と比較すると、割合が多い30歳代や40歳代がどちらも減少していることがわかります。一方で、50歳代および60歳代の利用割合は直近5年間増加傾向にあることから、利用者の年代が上がっている傾向にあることが読み取れます。 世帯年収別の利用割合については、「世帯年収400万円以上600万円未満」の層が35.5%で最も多く、「世帯年収800万円未満」の層が全体の約8割を占めています。 ただ、「世帯年収600万円未満」が直近5年間減少傾向であるのに対して「世帯年収600万円以上」が徐々に増加傾向にあることが分かります。住宅価格の高騰により、フラット35を利用するには、より高い世帯年収が求められる傾向があります。 出典)住宅金融支援機構「2024年度 フラット35利用者調査」P.4 関連記事はこちら60歳以上のフラット35利用者が増加傾向!最新の実績調査を考察 まとめ フラット35は35年間固定金利のため、借入時点で毎月の返済額や総返済額が確定できるのが特長です。また、申込基準を満たしていれば、一般的な住宅ローンの審査に落ちてしまった人でも住宅ローンを組める可能性があります。 住宅ローンにおいて、毎月の返済額が変わらない安心感を重視する場合は、フラット35を検討してみてはいかがでしょうか。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35Sとは?種類や金利、利用条件について解説 近年、全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利が上がっています。「今後金利がますます上昇するのでは?」と不安になり、全期間固定金利であるフラット35を利用したい一方で、既にフラット3...