2024.02.21

「フラット35はやめたほうがいい」と言われる理由とは?

公開日:2024.02.21

自宅を購入する際、「フラット35」を検討する人もいるでしょう。フラット35は一般的な住宅ローンにはないメリットがある一方で、デメリットもあるため、商品を調べていく中で「やめたほうがいい」などの記事を見ることもあるかもしれません。

この記事では、「フラット35はやめたほうがいい」と言われる理由を紹介します。

やめたほうがいいと言われる理由①:金利

そもそもフラット35とは、全期間固定金利の住宅ローンで、住宅金融支援機構と提携している民間の金融機関が提供しています。名称の通り、最長35年間の固定金利での借りられます。

借り入れ時に返済終了までの借入金利と返済額が確定するため、長期の返済プランを立てやすいのが特徴です。ただし、変動金利型の住宅ローンに比べると金利は高い傾向にあります。

2024年2月現在、フラット35(新機構団信付き:借入期間21年以上)の金利状況は下表のとおりです。

融資率*金利の範囲最も多い金利
9割以下年1.820%~年3.470%年1.820%
9割超年1.960%~年3.610%年1.960%

※融資率とは、住宅の建設費または購入価額に対するフラット35の借入額の割合を指す

出典)住宅金融支援機構「フラット35(金利情報)」

金融機関や融資条件によって異なりますが、フラット35の金利は年2%程度となっています。

それに対して2024年2月現在、銀行が提供している変動金利型の住宅ローンは、優遇金利の適用を加味すると0.3%台で提供している金融機関があります。また、全期間固定金利型の住宅ローンでも1.5%前後で提供している金融機関があります。

これらの点から、フラット35は銀行が提供する変動金利型や全期間固定金利型の住宅ローンよりも金利が高く「やめたほうがいい」と言われています。

やめたほうがいいと言われる理由②:頭金

フラット35は、総返済負担率などの利用条件を満たしていれば、頭金なしでも住宅の建設費または購入価額まで借りられます。しかし、上述のとおり、融資率が9割を超えると金利が高くなるため、少しでも低い金利で借りるには、頭金を1割以上準備しなくてはなりません。

仮に住宅の購入価額が5,000万円とすると、頭金として500万円以上を用意する必要があります。頭金を用意するのが難しい世帯は、融資率9割以下より高い金利が適用されてしまうため、不利になります。

それに対して、銀行の住宅ローンの場合、融資率が100%でも最優遇金利が使えることもあり、金利を下げるためには頭金が必要という点で「やめたほうがいい」と言われています。

やめたほうがいいと言われる理由③:物件の条件

フラット35で融資を受けるには、借入対象となる物件の条件を満たす必要があります。具体的には、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たしているかを確認するために、物件検査を受けて「適合証明書」を取得しなくてはなりません。

【例:新築住宅の場合の技術基準】

主な基準項目概要
接道原則として一般の道に2m以上接すること
住宅の規模一戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上
住宅の規格原則として2以上の居住室、炊事室、便所及び浴室の設置
断熱構造断熱等性能等級4以上、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上など
住宅の構造耐火構造もしくは準耐火構造であることなど

収入などの利用条件を満たしていても、物件がフラット35の基準をクリアしていないと住宅ローンを組めない点に注意が必要です。なお、金融機関によって異なりますが、物件検査を受ける際に数万円程度の手数料がかかることもあります。

それに対して、銀行の住宅ローンの場合、適合証明書が必須の要件ではなく、取得にかかる手続きや費用の面で「やめたほうがいい」と言われています。

フラット35は本当にやめたほうがいいのか?

フラット35は「やめたほうがいい」と言われることがある一方で、次のようなメリットもあります。

  • 全期間固定金利で返済額が一定のため家計管理がしやすい
  • 団体信用生命保険(団信)への加入が必須ではない
  • 保証料や繰上返済手数料が無料

一般的な住宅ローンの場合でも、全期間固定金利の商品はありますが、適用金利は担保物件や与信によって決定されます。そのため、申込人の与信次第では、銀行の住宅ローンが必ずしもフラット35よりも有利とは限らず、そもそも取り扱いの可否すら変わることもあります。

また、一般的な住宅ローンの場合は、団信の加入が融資条件となることがほとんどです。フラット35は団信加入が必須ではないため、健康面で団信加入が難しい人でも利用できる点はメリットともいえるでしょう。

さらに、一般的な住宅ローンは金融機関によって、保証料や繰上返済手数料がかかることもありますが、フラット35なら無料です。繰上返済による早期完済を計画している人にとって、繰上返済手数料がかからないのは大きなメリットといえます。

結局のところ、フラット35をやめたほうがいいかは、申込人の与信やそもそも住宅ローンで何を重視するかによって異なります。メリットとデメリットを比較して、自分に適した商品を選ぶと良いでしょう。

まとめ

フラット35は、「借入時の金利が比較的高い」「頭金を1割以上入れないと金利が高くなる」などの理由でやめたほうがいいと言われることがあります。しかし、「毎月の返済額がずっと変わらない」「保証料や繰上返済手数料が無料」といったメリットもあります。

フラット35を検討する場合は、メリットとデメリットをしっかりと比較して自分に向いているかを見極めましょう。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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