更新日: / 公開日:2025.01.08
住宅ローンの借り入れ先を検討する際、「民間銀行(一般団信)」と「フラット35(新機構団信)」のどちらを選ぶべきか、迷う方がいるかもしれません。
「フラット35の団信は手厚いと聞いたけれど、具体的に何が違うの?」「3大疾病の特約をつけると、トータルのコストはどう変わる?」このような疑問をお持ちではないでしょうか。
実は、両者の団信には「万が一の際に保障が適用される認定ハードル」や「特約をつけた際の金利負担」に明確な違いがあります。この記事では、民間金融機関の「一般団信」と、フラット35の「新機構団信」の違いを、比較表を交えて解説します。

団体信用生命保険(以下、団信)とは、住宅ローンの返済中に契約者が死亡、または高度障害などの所定の身体状態となった場合に、保険金によって住宅ローンの残債がゼロになる(完済される)生命保険のことです。
一般的な民間金融機関の住宅ローンでは、この団信への加入が必須条件となっていることがほとんどです。
これに対し、「新機構団体信用生命保険(以下、新機構団信)」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」を利用する方向けの、専用の団信を指します。
民間金融機関が提供する「一般団信」と、フラット35で利用できる「新機構団信」では、保障の条件や加入義務などに明確な違いがあります。まずは以下の比較早見表で、おおまかな違いを確認しておきましょう。
【一般団信と新機構団信の比較早見表】
| 比較項目 | 一般団信(民間金融機関) | 新機構団信(フラット35) |
|---|---|---|
| 加入義務 | 原則として必須 | 任意(加入しないことも可能) |
| 基本の保障条件 | 死亡 + 高度障害 | 死亡 + 身体障害(1・2級) |
| 保険料の支払い | 金利に含まれる(別途支払いはなし) | 金利に含まれる(団信なしの場合は金利-0.2% ※) |
| 3大疾病特約 | あり(金融機関により保障範囲・金利上乗せ幅は異なる) | あり(新3大疾病付機構団信:要介護保障付き) |
※2026年3月時点。最新の金利・制度詳細は住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください。
それぞれの違いについて、さらに詳しく解説します。
団信は、契約者が死亡した場合にローン残高がゼロになりますが、病気やケガで重い障害を負った場合の「認定ハードル(保障条件)」が異なります。
一般団信の多くは「高度障害状態」を保障の条件としています。たとえば、「両眼の視力を全く永久に失ったもの」「終身常に介護を要するもの」など、金融機関が定める非常に厳しい条件を満たす必要があります。
一方、フラット35の新機構団信は、身体障害者福祉法に基づく「身体障害者手帳(1級または2級)」の交付を保障の条件としています。実は、一般団信の「高度障害」よりも、新機構団信の「身体障害(1・2級)」の方が、認定基準が明確であり、対象となる障害の範囲が広い傾向にあるとされています。
たとえば視力障害の場合、一般団信は「両眼の視力を完全に失ったもの」が対象になりやすいのに対し、新機構団信(身体障害2級)では「両眼の視力の合計が0.02以上0.04以下」や、極度な視野の欠損なども認定対象に含まれます。万が一の際、客観的な公的基準(手帳の交付)で手続きが進められる点は、新機構団信の大きなメリットといえるでしょう。
民間金融機関の住宅ローンでは、団信への加入が「必須条件」となっていることがほとんどです。そのため、健康上の理由で団信の審査に通らなかった場合、住宅ローン自体を借りることができません(一部の「ワイド団信」などを除く)。
これに対し、フラット35の新機構団信は「任意加入」です。
健康状態に不安があり団信の審査に通らない方でも、団信なしでフラット35を利用してマイホームを購入することが可能です。なお、新機構団信に加入しない場合は、フラット35の借入金利から「-0.2%」引き下げられます。
なお、団信に加入せずにフラット35を利用する場合の注意点や金利差については、以下の記事で詳しく解説しています。
団信には、基本の保障(死亡+障害)に加えて、がん・急性心筋梗塞・脳卒中のいわゆる「3大疾病」に備える特約を付けることができます。この特約部分においても、一般団信と新機構団信では内容やコストに違いがあります。
一般団信の3大疾病特約は、金融機関によって保障の適用条件が異なります。多くの場合、「がんと診断確定されたとき」「急性心筋梗塞や脳卒中で所定の状態が60日以上継続したとき」などにローン残高がゼロになります。
対してフラット35の「新3大疾病付機構団信」は、これら3大疾病による所定の要件に該当したときに加え、「公的介護保険制度における要介護2~要介護5」または「機構の定める要介護状態」に該当したときも保障されるのが大きな特徴です。
要介護1の状態(立ち上がりや歩行に支えが必要)に加えて、食事や排泄、入浴などの日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態です。
民間金融機関の特約でも介護保障が付いているケースはありますが、フラット35の場合は「要介護2以上」という明確な公的基準でカバーされるため、老後の介護リスクにも手厚く備えたい方にとって安心感が高いといえます。
特約を付加する場合、基本の住宅ローン金利に一定の金利が上乗せされる(実質的な保険料となる)のが一般的です。
金融機関によって異なりますが、おおむね「年+0.1%~+0.3%程度」の上乗せが相場です。ネット銀行などでは、特定の病気に絞ることで金利上乗せなし(無料)としているケースもありますが、保障範囲が限定される場合があります。
フラット35の借入金利に「年+0.24%」が上乗せされます(※)。
※2026年3月時点。最新の金利・制度詳細は住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください。
金利上乗せ幅だけを見ると、一般団信の方が低コストで済むケースもあります。しかし、前述の「要介護2以上もカバーされる」という保障の広さを考慮すると、一概にどちらが優れているとは言えません。「コスト重視」か「カバー範囲の広さ重視」かで選ぶのがポイントです。
ここまでの違いを踏まえ、民間金融機関の住宅ローン(一般団信)よりも、フラット35(新機構団信)を選ぶのが向いている人の特徴をまとめます。
住宅ローン選びにおいて、金利の低さはもちろん重要ですが、「万が一のときに本当に自分や家族を守ってくれるか」という団信のスペックも非常に大切です。ご自身のライフプランや健康状態と照らし合わせて、最適な選択をしてください。
この記事では、民間金融機関の「一般団信」と、フラット35の「新機構団信」の保障内容の違いについて解説しました。重要なポイントを振り返ります。
| 比較ポイント | 解説 |
|---|---|
| 加入義務 | 一般団信は原則必須ですが、新機構団信は任意加入です。 |
| 保障の条件 | 一般団信の「高度障害」に対し、新機構団信は「身体障害(1・2級)」が基準。認定基準が明確で、保障範囲が広い傾向にあります。 |
| 3大疾病特約 | 新機構団信の特約(新3大疾病付機構団信)なら、3大疾病に加えて将来の「要介護2以上」のリスクにも備えられます。 |
住宅ローン選びでは、表面的な金利だけでなく、「万が一の事態から家族と住まいを守れるか」という団信のスペックも重要な比較ポイントです。
フラット35の利用を検討している方や、「自分の健康状態やライフプランに合うローンがどれか分からない」とお悩みの方は、まずは専門の相談窓口を活用し、無理のない資金計画を立ててみてはいかがでしょうか。
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