公開日:2025.10.08
住宅ローンの審査に申し込んでも、必ずしもその金融機関で借りられるとは限りません。「1社だけの申し込みでは不安…」と感じる人もいるでしょう。実は、住宅ローンの本審査は複数の金融機関に申し込むことが可能です。
この記事では、住宅ローンの本審査を複数の金融機関に申し込むメリット・デメリットや注意点を詳しく解説します。
住宅ローンの本審査とは、金融機関に住宅ローンを正式に申し込むことで行われる最終的な審査です。この本審査に通過すれば、住宅ローンを契約して実際に融資を受けられます。
住宅ローン審査の一般的な流れは以下のとおりです。
住宅ローン審査は、一般的に事前審査と本審査の2回に分けられます。まずは申込者が申告した年収、借入希望額などの情報をもとに事前審査が行われます。事前審査に通過した後は、本審査として、より厳密に申込者の返済能力が判断されます。本審査に通過すると金融機関と金銭消費貸借契約を締結し、物件引き渡し日に融資実行となります。
事前審査は、本審査の前に行われる簡易的な審査です。金融機関が正式に融資を決定するまでには時間がかかりますが、申込者は借り入れの見込みが立たないと住宅購入を進められません。審査結果を待っている間に、希望物件が他の人に購入されてしまう恐れもあります。このような事情から、申込者が住宅ローンを組める見通しや借入可能額を把握できるよう、事前審査が設けられています。
一方、本審査では、詳細な書類・情報を用いて金融機関や保証会社が申込者の返済能力や物件の担保価値をより厳密に審査します。そのため、事前審査に通過しても、本審査の結果次第では借り入れができない場合もあります。
住宅ローンの本審査は、複数の金融機関に申し込むことができます。複数申し込むことで、より良い条件を比較・検討することができます。
住宅ローンは事前審査や本審査に通過していても、金融機関と金銭消費貸借契約を締結する前であれば、原則として手数料不要でキャンセルが可能です。ただし、金融機関によっては手数料が発生する場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
複数の金融機関の本審査に通過した場合は、希望する住宅ローン以外はキャンセルしても差し支えありませんが、金融機関への丁寧な連絡と配慮が重要です。できるだけ早く金融機関に断りの連絡を入れるようにしましょう。
なお、金銭消費貸借契約を締結した後でも、融資実行前であればキャンセルできる場合があります。ただし、住宅ローンの事務手数料や調査手数料などの費用負担が発生する場合があります。そのため、金融機関にも負担をかけることになるため、やむを得ない事情がない限り避けたほうがよいでしょう。
複数の金融機関に住宅ローンの本審査を申し込むことには、次のようなメリットがあります。
住宅ローンの本審査では申込者の返済能力を厳密に確認するため、審査に通過できるとは限りません。特に自営業者や転職して間もない人、既存借り入れがある人は慎重な対応が求められます。
複数の金融機関に申し込んでおけば、万が一、1社で否決されても他で承認される可能性があるため、審査落ちのリスクの軽減につながります。
住宅ローンは、金融機関ごとに金利水準や手数料、団体信用生命保険の特約条件などが異なります。複数の金融機関から融資承認を得ておけば、条件を比較してより有利な住宅ローンを選ぶことができます。
複数の金融機関に住宅ローンの本審査を申し込むことで、次のようなデメリットもあります。
住宅ローンの審査では、金融機関が申込者の返済能力を確認するために、信用情報機関へ照会を行います。たとえば、信用情報機関の株式会社シー・アイ・シーでは、申込情報を照会日から6か月間保有しています。この期間中に複数の金融機関へ申し込むと、各金融機関は申込者が他社にも申し込んでいることを把握できます。
申込情報に審査の可否は記載されませんが、同時期に多くの金融機関に住宅ローンの申し込みを行うと、「何か審査に通過できない理由があるのではないか」と疑念を持たれる場合もあります。複数の金融機関に申し込むこと自体に問題はありませんが、2~3社に絞るのが無難といえます。
本審査を受ける際は、収入証明書類や物件関連書類など、さまざまな必要書類を準備して提出しなくてはなりません。複数の金融機関に申し込みをすると、多くの書類を準備する必要があるため、対応に時間と手間がかかることになります。
住宅ローンの本審査は複数の金融機関に申し込むことが可能です。審査落ちのリスク軽減やより良い条件での契約につながる一方で、対応に時間や手間がかかるなどのデメリットもあります。メリット・デメリットを比較したうえで、複数の金融機関に本審査の申し込みをするか検討しましょう。
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