公開日:2025.10.10
旧耐震の物件は、価格の安さや立地の良さなどから一定の需要がある一方で、住宅ローンの審査では不利になることもあります。「審査に通らない」「希望額の融資が受けられない」といったケースの背景には、金融機関が耐震性や担保評価を重視している点が挙げられます。
この記事では、旧耐震物件でも住宅ローンを利用するための対策や、購入前に確認すべきポイントをわかりやすく解説します。
旧耐震の物件でも、一定の条件を満たせば住宅ローンを組める可能性があります。例えば、耐震診断を実施し、必要に応じて補強工事を行ったうえで、「耐震基準適合証明書」を取得すれば、住宅金融支援機構の【フラット35】などのローン商品が利用可能になるケースがあります。
そもそも旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用されていた耐震設計の基準です。この基準では、震度5程度の地震に耐える構造が求められていましたが、現在の「新耐震基準」と比べると安全性が劣るとされています。
そのため、金融機関は旧耐震物件に対して以下のような懸念を持つことがあります。
これらの要因が重なることで、担保評価が低くなり、住宅ローン審査に通りづらくなることがあります。
旧耐震の物件でも、適切な準備と対策を行うことで住宅ローンの審査に通る可能性があります。以下のポイントを意識して、事前に情報を整理しておきましょう。
まずは、物件の耐震性を確認するために「耐震診断」を実施しましょう。診断の結果に応じて補強工事を行い、「耐震基準適合証明書」を取得することで、【フラット35】などの住宅ローン商品が利用可能になるケースがあります。
この証明書には以下のようなメリットがあります。
取得には費用と手続きが必要ですが、将来的な安心感や資産価値の維持にもつながるため、早めの検討がおすすめです。
マンションの旧耐震物件では、建物全体の管理状況が審査に影響します。以下のような資料があると、金融機関からの評価が高まりやすくなります。
これらの資料を確認し、修繕の実績がある、長期修繕計画が策定されている、修繕積立金の残高が十分であるなど、管理状況が良好であれば、物件の維持管理が適切に行われている証拠となり、資産価値の安定性を示す材料になります。
購入後にリノベーションを予定している場合は、設計図や見積書などの資料を事前に準備しておきましょう。特に耐震補強を含む工事であれば、「安全性向上の意思がある」と金融機関に示すことができ、担保評価の向上につながる可能性があります。
また、リフォーム一体型ローンを利用する際にも、具体的な工事内容と費用が明記された資料が必要です。
旧耐震物件は担保評価が低くなりやすく、審査で「担保割れ」と判断されると希望額の融資が受けられないことがあります。こうした場合でも、頭金を多めに用意することで金融機関のリスクを軽減でき、審査通過の可能性が高まります。
さらに、借入額が少なくなることで、金利優遇を受けやすくなったり、月々の返済負担を抑えられたりするメリットもあります。
住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なります。特に地方銀行や信用金庫などは、地域性や物件の特性を考慮して柔軟に対応してくれる場合もあります。ある金融機関で断られたとしても、他の金融機関では通る可能性もあるため、複数の金融機関に相談することが重要です。
旧耐震の物件を購入する際は、将来的な資産価値や安全性を見据えて、以下のポイントを事前にしっかり確認しておきましょう。
物件が過去に耐震診断を受けているか、またその結果はどうだったかを確認しましょう。診断結果が「問題なし」または「補強済み」であれば、住宅ローン審査や地震保険の加入にも有利に働きます。
耐震診断の結果に基づいて、補強工事が行われているかどうかも重要です。工事が完了している場合は、「耐震基準適合証明書」の取得が可能となり、【フラット35】などのローン商品が利用しやすくなります。
物件の立地や周辺環境も、資産価値を左右する重要な要素です。以下の点をチェックしましょう。
流通性が高いエリアであれば、将来的な売却や賃貸もスムーズに進められる可能性があります。
前述のとおり、マンションの場合は、建物全体の管理状況が資産価値やローン審査に大きく影響します。以下のような資料があるかを確認しましょう。
旧耐震物件でも、適切な対策を講じることで住宅ローンの利用は十分可能です。特に【フラット35】では、「耐震基準適合証明書」の取得によって技術基準を満たすことができ、税制優遇や地震保険料の割引などのメリットも受けられます。
また、物件の管理状態や周辺環境、補強工事の有無などを事前に確認し、必要な資料を整えておくことで、金融機関からの評価を高めることができます。旧耐震だからといって、住宅ローンの利用を諦める必要はありません。
購入前には、耐震性・資産価値・流通性などを総合的に判断し、安心して住まい選びができるよう、しっかりと準備を進めましょう。
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