公開日:2025.12.24

海外送金サービスは銀行・ネット銀行・資金移動業者など多様な選択肢がありますが、どれを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。サービスごとに手数料・対応国・送金スピードが異なるため、比較して選ぶことが重要です。
この記事では、海外送金サービスを選ぶ前に知っておきたい基本から、手数料の仕組み・為替レートの影響・送金スピードの違いまで詳しく解説します。

海外送金サービスを利用する際には、単に「どの会社が安いか」だけでなく、仕組みや注意点を理解しておくことが重要です。送金方法や手数料の構造、為替レートの影響、着金までのスピードなど、複数の要素が総コストや利便性に直結します。
ここでは、海外送金の基本的な仕組みと、選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。
海外送金は、ある国の銀行や送金サービスから別の国の受取人の口座へ資金を移動する仕組みです。一般的には、以下の流れで行われます。
| 送金依頼 | 送金額・通貨・受取人情報を指定 |
|---|---|
| 為替換算 | 円を外貨に両替(為替レート+スプレッドが適用) |
| 送金処理 | SWIFTネットワークや送金業者のシステムを通じて資金移動 |
| 着金 | 受取人の口座に入金(中継銀行を経由する場合あり) |
注意点として、送金手数料の他に中継銀行手数料や受取銀行手数料が発生するケースがあります。また、送金目的によっては税務署への申告や本人確認(KYC)が必要になるため、事前に確認しておきましょう。
海外送金の総コストは、単なる「送金手数料」だけではありません。以下の3つの要素が密接に関係しています。
| 送金手数料(及び関連手数料) | 銀行やサービスによって異なり、送金時の手数料に加え、中継銀行や受取銀行の手数料が発生する場合もあり、これらを含めた総額で比較が必要です。 |
|---|---|
| 為替レート +スプレッド | 金融機関が設定するスプレッドは、市場レートと銀行や送金サービスが提示するレートの差を指し、これも実質的なコストとなります。スプレッドが広い場合は実質的なコストが増加します。 |
例えば、「手数料ゼロ」をうたうサービスでも、為替レートに大きなスプレッドが含まれている場合があります。また、スピードを重視して即日送金を選ぶと、追加手数料が発生するケースもあります。総コスト+利便性(スピード)のバランスを考えて選ぶことが重要です。

海外送金サービスを選ぶ際には、単に「手数料が安い」だけで判断するのではなく、総コスト・対応国・送金スピードを総合的に比較することが、失敗しない選び方の基本です。
海外送金の費用は、送金手数料だけでなく、為替レートのスプレッドや中継銀行・受取銀行の追加手数料も含まれます。例えば、手数料が無料と表示されていても、為替レートに大きなスプレッドが設定されている場合、結果的に高くなることがあります。
送金手数料が固定額なのか、送金額に応じて変わるのかを確認しましょう。また、為替レートにどれくらいのスプレッドが含まれているかを公式サイトでチェックすることも重要です。さらに、中継銀行や受取銀行で追加の手数料が発生する場合があるので、事前に把握しておくと安心です。
サービスによって、送金できる国や通貨の種類は異なります。特にビジネス利用で様々な国と取引をする場合は、対応範囲が広いサービスを選ぶことが重要です。
送金できる国や地域を公式サイトで確認しましょう。米ドルやユーロ以外の通貨にも対応しているかどうかもチェックが必要です。ビジネス利用の場合は、請求書対応や複数送金機能があるかどうかも見ておくと便利です。
即日送金などのスピードはサービスを選ぶ上で魅力的ですが、スピードだけで選ぶのではなく、その業者が信頼できるかどうかも同時に確認が必要です。
まずは、着金までにどれくらい時間がかかるのかを確認しましょう。即日送金なのか、数営業日かかるのかで利便性が大きく変わります。
それと同時に、安全性のチェックも不可欠です。金融庁(財務局)への登録有無(資金移動業者の場合)はもちろん、暗号化や二段階認証などのセキュリティ対策、法令に基づく厳格な本人確認(KYC)が行われている事業者であるかを必ず確認してください。

海外送金サービスには、メガバンク・ネット銀行・資金移動業者という3つの主要な選択肢があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、利用目的や送金条件によって適したサービスは異なります。ここでは、各分類の特徴を整理します。
メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行など)は、海外送金において高い信頼性を持ち、世界中の銀行ネットワークを通じて安全に資金を移動できます。
ネット銀行(楽天銀行、ソニー銀行、住信SBIネット銀行など)は、オンラインで完結できる利便性が魅力です。スマホやPCから簡単に送金でき、総コストもメガバンクより比較的安い傾向があります。多通貨対応や原則24時間手続き可能な点も特徴です。
資金移動業者は、銀行以外の企業が提供する海外送金サービスで、手数料の安さや送金スピードの速さが特徴です。金融庁に登録された事業者であり、資金決済法に基づいて運営されています。
銀行
| 送金手数料 | 対応通貨 | 送金スピード(着金日) | サポート体制 | |
|---|---|---|---|---|
| 三井住友銀行 | 店頭窓口:7,000~7,500円/件 インターネットバンキング:2,500~3,500円/件 | 6通貨 | 未記載 | 窓口・電話・チャット |
| 三菱UFJ銀行 | 店頭窓口:7,000~7,500円/件 インターネットバンキング:2,500~3,000円/件 | 12通貨 | 未記載 | 窓口・WEBサポート・電話・チャット |
| みずほ銀行 | 個人:8,000~8,500円/件 法人:7,000~7,500円/件 みずほダイレクトアプリ:5,000円 | 7通貨 | 送金手続きから一週間程度 | 窓口(一部テレビ電話の店舗あり)・チャット |
※本比較表は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものであり、最新の料金や条件を保証するものではありません。上記以外の手数料や実際の取引に際しては、必ず各金融機関の公式情報をご確認ください。
出典)
・三井住友銀行 「海外への送金・海外からの送金・外貨建て送金」
・MUFG 「外国送金」
・みずほ銀行 「外国への送金・受け取り」
ネット銀行
| 送金手数料 | 対応通貨 | 送金スピード(着金日) | サポート体制 | |
|---|---|---|---|---|
| 楽天銀行 | 750円/件 | 67通貨 | 送金日から1営業日~5営業日程度 | 電話・メール |
| ソニー銀行 | 3,000円/件 | 11通貨 | 送金実行から3営業日~4営業日以上 | 電話・チャット・WEBフォーム |
| 住信SBIネット銀行(法人) | 2,500円/件 | 10通貨 | SWIFT発信日からおおむね1日~3日程度 | WEBフォーム・チャット・電話 |
※本比較表は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものであり、最新の料金や条件を保証するものではありません。上記以外の手数料や実際の取引に際しては、必ず各金融機関の公式情報をご確認ください。
出典)
・楽天銀行「海外送金」
・ソニー銀行「ソニー銀行からの外貨送金」
・住信SBIネット銀行「法人のお客さま 外貨送金・外貨受取サービス」
資金移動業者
| 送金手数料 | 対応通貨 | 送金スピード(着金日) | サポート体制 | |
|---|---|---|---|---|
| Wise(ワイズ) | 0.33%~ | 24通貨 | 送金手続きから最短即日~最長5日 | 電話・メール・チャット |
| Revolut(レボリュート) | 送金手数料は無料 | 41通貨 | 送金手続きから最短即日~最長2営業日 | チャット |
| PayPal(ペイパル) | 499円/件 | 22通貨 | 即時振替:数分(最長30分) 標準振替:約3~6営業日 | 電話・メール |
| SBIレミット | 460円~/1件 | 13通貨 | 送金方法、着金方法、送金先国により変化 ■現金受取の場合 最短:10分/通常:1~3時間程度 ■銀行口座の場合 最短:10分/通常:1~2営業日 | 電話・メール |
※本比較表は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものであり、最新の料金や条件を保証するものではありません。上記以外の手数料や実際の取引に際しては、必ず各金融機関の公式情報をご確認ください。
出典)
・wise:公式サイト
・Revolut:公式サイト
・PayPal:公式サイト
・SBIレミット:公式サイト

海外送金サービスは、利用目的によって重視すべきポイントが異なります。ここでは、留学・仕送りの場合、ビジネス・法人送金の場合、高額送金や投資の場合に分けて、選び方の視点を整理します。
少額の海外送金を行う場合は、手数料の水準と利便性を重視することがポイントです。オンラインで簡単に手続きできるサービスや、スマホアプリで送金履歴を確認できる仕組みがあると、管理がしやすくなります。
また、即日着金や現金受取に対応しているサービスは、急ぎの送金にも対応しやすく、安心です。留学や仕送りでは、送金のタイミングが重要になるため、スピードと使いやすさを兼ね備えたサービスを選びましょう。
法人送金では、対応通貨の幅と業務効率化機能を重視することがポイントです。請求書対応や複数送金機能があるサービスは、経理業務の負担を減らします。
さらに、会計ソフトとの連携や送金履歴の一括管理を備えたサービスは、業務効率化に役立ちます。ビジネス利用では、こうした機能を確認して選ぶことも重要です。
まとまった金額(例:100万円超)を送金する場合は、送金上限額と安全性を確認することが不可欠です。暗号化通信や二段階認証などのセキュリティ対策、金融庁登録の有無を必ずチェックしましょう。

海外送金サービスは、銀行・ネット銀行・資金移動業者など複数の選択肢があります。それぞれに手数料の仕組み、対応通貨、送金スピードといった特徴があり、どのサービスが適しているかは利用目的によって異なります。
選ぶ際には、次のポイントを総合的に確認しましょう。
| 総コストの把握 | 送金手数料だけでなく、為替レートのスプレッドや中継銀行手数料など、その他のコストも含めて比較する。 |
|---|---|
| 送金スピードの確認 | 利便性(スピード)を追求しつつ、金融庁(財務局)登録の有無(資金移動業者の場合)やセキュリティ対策も必ず確認する。 |
| 用途による使い分け | 少額・急ぎなら「資金移動業者」、高額・安心重視なら「銀行」など、目的に応じて使い分ける。 |
海外送金は、利便性だけでなく安全性やコスト面のリスク管理も欠かせません。公式サイトや金融庁の登録情報を確認し、信頼できるサービスを選ぶことが、安心して送金するための第一歩です。
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