海外送金の安全性は?よくある詐欺の手口とトラブルを防ぐ対策・注意点

公開日:2026.02.13


海外送金は、家族への仕送りやビジネス取引などで欠かせない手段ですが、「本当に安全なのか?」「詐欺に遭うリスクはないのか?」と不安に思う方も多いでしょう。実際、海外送金をめぐる詐欺や不正送金の事例は国内外で報告されています。

しかし、金融庁の規制や外為法に基づく手続き、そして各サービスのセキュリティ対策を理解すれば、リスクを低減することにつながります。

この記事では、海外送金の安全性を高める方法、詐欺の実例と防止策、そして安心して利用するためのポイントを詳しく解説します。海外送金の基本や仕組みを知りたい方は、以下の記事で詳細を記載していますので、ご参考にしてください。

海外送金で厳格な審査・規制が行われる理由

海外送金の安全性は?よくある詐欺の手口とトラブルを防ぐ対策・注意点

海外送金では、国内送金よりも厳しい審査が行われます。これは、送金の安全性を確保し、詐欺や不正送金を防ぐためです。具体的には、以下の理由があります。

犯罪資金の流用防止送金がテロ資金やマネー・ローンダリングに使われないよう、金融庁の規制や外為法に基づく確認が行われます。
利用者保護なりすましや詐欺メールによる被害を防ぐため、本人確認や追加書類の提出が求められます。
国際的な制裁対応ロシアや北朝鮮など、制裁対象国への送金は規制されており、事前確認が必要です。

国内送金と異なり、海外送金ではマイナンバーなどを記載した告知書の提出が法令(内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律)で義務付けられています。

こうした規制や審査は、利用者を守ることにも繋がります。送金サービスの案内に沿って、必要書類や本人確認にしっかり対応することが、安全な海外送金の第一歩です。

日本国内の法的規制と外為法の要点

日本で海外送金を行う場合、外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づく法的規制があります。外為法は、国や国際社会の平和・安全の維持(テロ資金供与の防止など)や、対外取引の正常な発展を確保する目的があります。

外為法における海外送金に関する主なポイントは以下のとおりです。

高額送金の事後報告制度送金額が3,000万円相当を超える場合、金融機関から日本銀行への事後報告が必要です。
制裁国・制裁対象者への送金規制・禁止(経済制裁措置)外為法は対外取引の自由を基本としますが、国際約束の履行・国際平和への貢献・日本の安全確保が必要な場合には、財務相と経産相が経済制裁を発動できます。
送金目的の申告金融機関は、経済制裁措置を確実に行うために、送金取引が外為法の規制対象取引ではないことを確認しており、送金目的によっては、追加書類の提出や本人確認が求められます。

上記の「3,000万円」は、主に国際収支統計の作成や市場動向の把握などを目的とした法律上の報告基準です。 一方で、これとは別にマネー・ローンダリング対策の観点から、実務上は10万円程度の少額送金であっても、金融機関独自に送金目的や原資の確認を求められることが一般的です。

詳細は財務省の公式サイトでも確認できます。

出典)
・財務省「(外国為替取引等取扱業者のための外為法令等の遵守に関するガイドライン
・財務省「(日本と海外との間の送金を行う際に必要な手続はどうなっていますか
・財務省「(経済制裁措置及び許可手続きの概要
・日本銀行「(外為法の報告制度について

送金先国の規制および制裁対象国の確認

海外送金は、どの国にも自由に行えるわけではありません。送金先の国によっては、受取金額に上限があったり、送金そのものが制限されていたりする場合があります。特に注意が必要な国は以下のとおりです。

ロシア・ベラルーシ経済制裁により送金制限あり
北朝鮮・イラン送金そのものが禁止または厳しく制限
その他の制裁対象国外務省や財務省の最新情報を確認

※上記は、記事公開時点において以下の出典元を参考に筆者が作成したものです。最新の情報は財務省の公式情報をご確認ください。

送金先国の規制は頻繁に変わるため、利用前に必ず金融機関や外務省の公式サイトで最新情報を確認しましょう。特に制限が多い国への送金は、手続きに時間がかかることがあるため、早めの準備が重要です。

出典)財務省「経済制裁措置及び対象者リスト

海外送金にまつわる主な詐欺の手口と実例


これまでは日本における海外送金の法的規制や、制裁対象国への送金について見てきましたが、ここからは海外送金で起こりがちな詐欺被害の事例を紹介します。実際に起こった事例を通じて、どのような点に気をつけるべきかを見ていきましょう。

個人の被害事例:なりすまし・国際ロマンス詐欺

個人が巻き込まれやすい海外送金詐欺として、公的機関や警察庁が特に注意を呼びかけているのが、国際機関へのなりすましや、SNSを通じたロマンス詐欺です。

1. 国際的機関(WHOなど)へのなりすまし

実在する国際機関や医師を名乗る手口が多発しています。 公益社団法人 日本WHO協会によると、「WHOの医師」や「職員」を名乗る人物から、以下のような名目で送金を要求される事例が報告されています。

  • 「WHOとの契約金を受け取るための手数料が必要」
  • 「WHOにより口座が凍結されており、日本に送金するための手数料を立て替えてほしい」

また、警察庁の統計によると、こうしたSNSやマッチングアプリをきっかけとした「SNS型ロマンス詐欺」の被害は、前年に比べて大幅に増加しており、深刻な状況が続いています。 「愛している」「二人の将来のため」といった甘い言葉で信用させ、暗号資産の購入や指定口座への送金を指示し、一度送金すると連絡が取れなくなるのが典型的なパターンです。

「手数料」や「契約金」といった名目で、面識のない相手から海外送金を求められた場合は、詐欺を疑い、送金前に警察や消費生活センターに相談してください。

出典)
・公益社団法人日本WHO協会「(日本WHO協会からのお知らせ
・警察庁「(令和6年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)

法人の被害事例:ビジネスメール詐欺(BEC)

一方、法人間の取引においても、海外送金を巡る詐欺事件は多発しており、全国銀行協会なども「ビジネスメール詐欺」として注意を呼びかけています。

よくある手口としては、海外の関連会社や取引先の経営者・担当者を装った相手から、偽の取引メールが送られてくるケースです。「急に資金が必要になった」「送金先の銀行口座が変更になった」などともっともらしい理由で、偽の口座へ誘導し、送金させようとするのが特徴です。

実際に公表された被害事例

2020年、独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、海外取引において第三者からのなりすましメールによる詐欺被害に遭ったことを公表しました。

この事例では、取引先になりすました第三者から「振込先銀行口座の変更」を依頼する虚偽のメールが届き、担当者が偽の請求書に基づいて送金手続きを行ってしまったものです。その後、本来の取引先から入金確認の問い合わせがあり、資金を騙し取られていた事実が発覚しました。

出典)
・一般社団法人 全国銀行協会「(法人間の外国送金の資金をだまし取る詐欺にご注意!
・独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構「(海外取引にかかる誤送金について

海外送金の詐欺・トラブルを防ぐ具体的な対策


海外送金に関する詐欺被害を防ぐためには、手口を知るだけでなく、具体的な対策をあらかじめ講じておくことが重要です。ここでは、送金前に行うべき確認や、日頃のセキュリティ対策について解説します。

安全な事業者・サービスの選定

金融庁登録業者の確認方法

海外送金は主に、銀行・ネット銀行・資金移動業者を通じて行いますが、正規の事業者であるかを確認する方法があります。例えば、資金移動業者であれば、資金決済法に基づき金融庁(全国の財務局等)に登録されています。

金融庁の公式サイトでは、事業者の登録番号・登録年月日・事業者名・本店所在地・電話番号などが記載されています。海外送金サービス会社が公開している情報と合致するかをあらかじめチェックしておきましょう。

出典)金融庁「資金移動業者登録一覧

セキュリティ機能による判別

顧客から預かった資金を安全に管理することは、どのような形態の事業者にとっても重要な点です。顧客資産を守るために、各社ではさまざまなセキュリティ対策が行われており、どのサービスを利用するかの判断材料の一つとなるでしょう。

具体的なセキュリティ対策として、多要素認証の導入・SSL暗号化・アンチマルウェアツールの導入などが挙げられます。多要素認証とは、ID・パスワードなどの知識情報とスマホのアプリ・SNS認証などの所持情報、そして指紋・顔認証といった生体情報のうち、2つ以上の異なる組み合わせで本人確認を実施する認証方法をいいます。

SSL暗号化とは、Webサイトと閲覧者との間で行き交う通信データを暗号化し、なりすましや改ざんを防ぎ、個人情報や決済情報といった機密データを安全に送受信するための技術のことです。そして、アンチマルウェアツールとは、パソコンやスマホなどに害を与えるマルウェアの侵入を防ぎ、検知・駆除するためのソフトウェアや機能をいいます。

海外送金サービスを選ぶときには、複数のセキュリティ対策を実施している会社を選んでみましょう。ただし、サービス提供会社の対策を過信しすぎるのではなく、自分でも必要なセキュリティ対策に取り組むのが大切です。

出典)金融庁「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。

【環境設定】アカウントと利用環境の予防策

公式サイト・アプリ経由でのフィッシング対策

海外送金サービスを利用する際は、メールやSMSに記載されたリンクからアクセスするのではなく、あらかじめブックマークした「公式サイト」や、正規ストアからインストールした「公式アプリ」を経由して利用するようにしましょう。

犯罪グループは、金融機関や送金サービスに成りすました偽のメールを送り付け、本物そっくりの「偽サイト(フィッシングサイト)」へ誘導してIDやパスワードを盗もうとします。しかし、公式アプリを利用すれば、偽のサイトへ誤ってアクセスしてしまうリスクを大幅に減らすことができます。

出典)金融庁「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。

パスワード管理とマルウェア対策の徹底

海外送金に絡んだ詐欺被害や不正送金のトラブルに巻き込まれるケースでは、基本的なセキュリティ対策が徹底されていないことが原因となる場合もあります。例えば、パソコンを導入したときに設定したパスワードやセキュリティソフトがそのままになっているようなケースです。

被害を避けるためには、パスワードは定期的に変更し、第三者から推測されやすいパスワードの利用は避けましょう。また、個人情報の窃取や乗っ取りといった損害を与えるマルウェア(悪意のあるプログラム)は、最新のセキュリティソフトでなければ防げない恐れがあります。

「すでにセキュリティ対策を行っているから大丈夫」と思わずに、定期的にチェックを行うようにしてみましょう。

【送金実行】送金前後の事実確認と着金管理

送金前の徹底:口座変更時は「電話」で確認

個人の利用であれ、法人間のビジネス上の送金であれ、相手方が普段と異なる方法で連絡をしてきたり、送金先が急に変わったりしているときには注意が必要です。送金を行う前に、まずは相手方に直接確認を取るようにしてみましょう。

もし確認ができなければ、送金は一旦留保しておいたほうが無難です。不審なところがあるときは、自分だけの判断で行動せずに、警察に相談をすることも大切だといえます。

送金後の徹底:受取人との「着金確認」

送金手続きが完了しても、安心せずに必ず「相手にお金が届いたか」を確認しましょう。海外送金は、国内振込とは異なり、即座に反映されないケースが多いです。

そのため、手続きが済んだらまずは受取人に連絡し、着金予定日を過ぎた頃に入金確認をお願いしましょう。万が一、予定日を過ぎても届いていない場合は、送金に使った「ご自身の利用した金融機関」に問い合わせて、送金状況の調査を依頼しましょう。

【トラブル対応】異常発生時の相談窓口と窓口一覧

異常を察知した際の即時アクション

海外送金詐欺の手口は年々巧妙化しており、どれほど注意を払っていても被害を完全にゼロにすることは容易ではありません。不審な点を感じた際や、実際に送金してしまった後の初動が、被害拡大を防ぐ唯一の手段となります。

相手方への確認が不十分なまま多額の送金を行うことは、極めてリスクが高い行為といえます。送金後に「騙されたかもしれない」と少しでも感じた場合は、以下の順序で直ちに行動してください。

1.送金元の金融機関へ連絡:送金の差し止めや「組戻し(返金手続き)」が可能か至急確認してください。
2.公的相談窓口への通報:警察や専門機関へ事案を報告し、法的なアドバイスを仰ぎます。

主な相談窓口一覧

詐欺被害に遭った資金を取り戻すことは、実務上非常に困難であるのが現実です。迅速に対応できるよう、以下の窓口を事前に把握しておくことをおすすめします。

相談先役割・特徴連絡先(目安)
警察相談専用電話犯罪の疑いがある場合の総合相談#9110
消費者ホットライン契約トラブルや詐欺全般の相談188(局番なし)
金融機関の専用窓口不正送金の停止や口座凍結の依頼各金融機関の公式サイトを参照

詐欺の被害に遭ってしまうと、お金を取り戻すのは困難でもあるため、気になることがあるときにはいつでも相談できるように、それぞれの相談窓口への連絡先をチェックしておくと素早く対応ができるはずです。

出典)
・警視庁「警察相談ダイヤル#9110
・消費者庁「消費者ホットライン

安全な海外送金のためのポイントまとめ


海外送金サービスは、さまざまな会社が提供しているので、複数の会社を比較しながら選ぶようにしましょう。特に安全性といった点では、どのようなセキュリティ対策を行っているのか、事前にホームページなどで確認しておくと良いです。

国内の送金よりも、海外送金のほうが金融機関の審査が厳しいのは、マネー・ローンダリング・テロ資金供与などの犯罪を防ぎ、法令を遵守するためです。こうした厳格な手続きは、結果として利用者を詐欺や不正送金のトラブルから守ることにもつながります。金融機関から求められた書類の提出や確認には、しっかりと対応していくことが肝心です。

この記事で紹介した事例やセキュリティ対策を基に、海外送金サービスを便利に活用してみましょう。

SBIレミットの国際送金について、webサイトで詳しく説明いたします。

※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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