2020.09.09

「小さい飲食店」の開業資金に不動産担保ローンの活用も

飲食店を開業しようと思っても、飲食店を開業するためにどのような費用がかかるか知らなくてはなりません。そこで今回は、自己資金以外の資金としてどのような借入が利用できるのか、また、不動産を所有している場合に利用できる、不動産を活用した不動産担保ローンについてご紹介します。

小さな飲食店の開業資金はいくら必要?

自分の店(飲食店)を持ちたい――。そんな夢を抱いている人や、あるいはすでに準備を進めている人もいることでしょう。

では、小さな飲食店を開こうと思った場合、どれくらいの開業資金が必要になるのでしょうか。開業資金がいくらかかるかは、店を始める場所や規模、具体的な内容によって大きく異なりますが、具体的な開業資金の目安として次のような費用があります。

物件取得費

店舗用物件を借りるためには、契約をする際に必要となる保証金(10カ月分)や礼金(1~2カ月分)、仲介手数料(1ヵ月分)、前家賃(1ヵ月分)などがかかります。他にも、物件によっては保証会社への加入が義務付けられている場合があります(1ヵ月分程度)。そのため、借りる物件の約1年分の家賃が必要となります。

店舗工事/設備費

店舗を開くからには自分の好みのデザインへとリフォームする必要があるかもしれません。費用として、店舗の内装・外装等の設計・工事費や、厨房機器や店内のカーテンやテーブル・イスなど家具類の購入費用がかかります。

備品/諸経費

食器や調理器具、メニューボード、レジや電話機、パソコンなどの備品や、店のロゴやチラシ、領収書、スタンプなどの文具類なども必要です。火災保険に加入する保険料もかかります。一つ一つは大きな金額でなくとも、まとめると結構な金額になるかもしれませんので、しっかりと見積もっておきましょう。

予備費(運転資金)

オープンしてもすぐに売上が安定するとは限りませんが、その間も家賃や人件費、材料費などの支出は発生し続けます。そのため、売上がなかったとしても回せるよう、予備費として月々のランニングコストの3~4カ月分のストックは必要です。

全体で必要になる資金はこれらを合算した分といえます。どのような店か、家賃はいくらか、飲食店の種類、スタッフの人数などで予算は全く違ってきます。しかし、それほど家賃の高くないエリアで、バイトを雇って自分で経営する小さな店であっても1,000万円前後の資金は必要だと考えられます。実際には、しっかり試算をして確認することが大事です。

知っておきたい「FLコスト比率」

飲食店を経営しようと思ったら、「FLコスト比率」を知っておく必要があります。「FLコスト」は、F=Food(食材費)、L=Labor(人件費)の両方を合わせた金額で、飲食店における重要なコストです。

このFLコストが売上高に占める割合を見たものが「FLコスト比率」です。売上が月100万円で、食材費が25万円、アルバイトなどの人件費が25万円の場合、FLコスト比率=(25万円+25万円)÷100万円=50%となります。

売上からFLコストを引いた残りから、家賃や水道光熱費、設備などの減価償却費、消耗品費、雑費ほかのコストを差し引いた分が利益です。FLコスト比率が高くなりすぎないようにすることが、利益を出すためにも重要だと言われています。こういった数字のバランスも頭に置いて、開業の準備を進めたいものです。

開業資金に補助金・助成金は使える?

開業資金を捻出する際に、各種補助金や助成金は利用できるでしょうか。飲食店の開業でも使える補助金・助成金が見つかる場合がありますので、あらかじめ調べてみましょう。該当する場合は、上手に活用したいものです。

下記に例を示しますが、募集がない年があったり、あるいは地域が限定されていたり、年齢が限定されているものなどもありますので注意が必要です。

地域創造的起業補助金

サイトには「新たな需要や雇用の創出等を促し、我が国経済を活性化させることを目的に、新たに創業する者に対して創業に要する経費の一部を補助します」とあります。補助率は50%以内で、外部の調達資金がない場合は50万~100万円、ある場合は50万~200万円。新たに従業員を1名以上雇うなどの条件があります(平成30年度の場合)。
ただし、令和元年度、2年度の同補助金の募集は予定されていません。

詳細はこちら

若手・女性リーダー応援プログラム助成金

東京都中小企業振興公社の助成金。都内商店街の活性化を図るため、女性または39歳以下の若手男性が新規開業をする際に、店舗の新装・改装・設備導入等に要する経費の一部を助成します。助成は最大730万円(事業所整備費400万円、実務研修受講費6万円、店舗賃借料1年目:月15万円、2年目:月12万円)で、助成率は実費の3/4。事業所整備費・実務研修受講費は開業後に、店舗賃借料は交付決定日から1年経過後と2年経過後に交付されます。

詳細はこちら

こうした補助金や助成金は通常、支払いが発生した後の清算払いになります。開業資金を支払う時点では間に合いませんので、資金計画をしっかり立てる必要があります。また、審査がある場合は要件に合致しても利用できないこともあるため、過剰に期待しすぎないことも大事かもしれません。

開業資金不足を融資で補うには?

一般的には、開業資金は自己資金(貯蓄)と融資がベースになります。
融資を検討する際に、まず浮かぶのは地域の信用金庫ですが、それまでの事業実績がないと融資を受けるのは難しいという現実があります。通常だと、事業実績がなくても利用できて、比較的低利で借りられる日本政策金融公庫に相談することになります。

しかし、日本政策金融公庫でも、本人の返済能力(自己資金がない、信用情報機関に登録されている、税金の滞納があるなど)や事業計画がきちんと詰められていないなど、内容によっては審査が通らず、利用できないケースもあります。

その他、自治体の制度融資を利用する方法もあります。制度融資とは、自治体と信用保証協会、金融機関が連携して、創業間もない中小企業や個人事業主への融資を行うものです。具体的には、自治体が推薦する形で、信用保証協会の保証を付けて金融機関が貸出しを行っています。自治体によっては保証料や金利の一部を負担してくれるところもあり、比較的低利で借りることができます。ただし、融資実行まで時間がかかる点がデメリットです。

不動産を活用した資金調達も

不動産を活用しての開業資金の調達方法もあります。それが、不動産担保ローンです。
不動産担保ローンとは、不動産を担保にして融資を受けるものです。土地や一戸建て、マンション等が対象ですが、流通性のある不動産に限られることが多いようです。

金融機関によっては本人名義の物件だけでなく、配偶者や親名義でも担保にできるところもあります。有担保のローンのため、無担保ローンに比べて低利で利用でき、返済期間も長期で利用することが可能です。また、使途が限定されないフリーローンで、開業資金や事業資金として利用できます。不動産の評価や審査があるため、融資実行までは2週間から1カ月程度かかります。

まとめ

「自分の小さな店(飲食店)を持つ」という夢を実現するためにも、事業計画とともに資金調達も重要な要素です。コロナ禍の中でも生き残っていけるよう、よりよいアイデアとプランを立てることは大事です。

執筆者紹介

豊田 眞弓( Mayumi Toyoda )
マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。
個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。
<主な著書>
「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。

ご相談、仮審査申込は無料です。お気軽にお問い合わせください。
0120-334-258受付時間:月~土 9:00 - 17:45