一般的に金融機関で住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険(以下、団信)の加入を求められます。団信に加入すれば、万が一のときに住宅ローンの残債を肩代わりしてもらえるのが魅力です。ただ、中には「保険金が受け取れなかった」というケースもあります。 この記事では、団信の保険金が受け取れない理由や団信加入時に確認しておきたいポイント、団信の保険金が受け取れなかったときの対処法について解説します。 団体信用生命保険の保障内容 団信とは、加入者が死亡または所定の身体障害状態になった場合に、住宅の持分や返済割合などにかかわらず、以後の住宅ローンの返済が不要となる生命保険です。この仕組みにより、遺された家族は住宅ローンの返済を気にすることなく生活を続けることができます。 団信の基本保障は「死亡」および「高度障害状態」です。最近では3大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)なども保障するタイプもあります。団信加入には保険会社の審査があり、健康状態などの告知が必要です。 関連記事はこちら住宅ローンの団体信用生命保険とは?保障内容や特約を解説 団体信用生命保険が受け取れない理由 団信は生命保険の一種であるため、一定の条件を満たさないと保険金は受け取れません。ここでは、団信で保険金が支払われない主な理由を紹介します。 保険金の支払事由に該当しなかった 団信には、保険金が支払われる条件が定められています。例えば、事故によって障害が残ったとしても、保険会社が定める高度障害状態に該当しないと判断された場合や、病気でも所定の状態にならなければ保障対象とならない場合など、支払事由に該当しないと保険金は受け取れません。 病歴や通院歴を正確に告知していなかった 団信に加入する際は、健康状態に関する告知が義務付けられています。例えば、がん治療で通院していることを告知せずに加入し、加入後にそのがんが原因で死亡した場合や、申し込みの段階で、病歴や通院歴、服薬状況などを正確に告知していなかった場合は、告知義務違反と判断されて、保険金が受け取れないことがあります。 住宅ローンを滞納していた 一般的に、住宅ローンを滞納して保証会社などの第三者が、ローンを滞納している債務者に代わって金融機関に一括返済する、いわゆる代位弁済の手続きが始まると団信は解約となります。団信が解約されたタイミングで、支払事由に該当する事案が発生したとしても保険金を受け取れなくなってしまいます。 関連記事はこちら代位弁済とは?仕組みや流れ、考えられるリスクについて解説 金融機関に保険金請求をしていなかった 団信の保険金は、死亡や高度障害状態になった場合に自動的に受け取れるものではありません。保険金を受け取るには、契約者自身または遺族が金融機関に対して保険金の請求手続きを行う必要があります。 保険金を請求する際は、医師の診断書など所定の書類を準備して金融機関で手続きを行います。万が一のときは、金融機関に連絡し手続きの方法や流れを確認するようにしましょう。 団体信用生命保険の加入時に確認しておきたいポイント 団信のトラブルを未然に防ぐために、団信加入時に以下のポイントを確認しておきましょう。 保険金の支払条件に問題はないか 保険金が支払われる条件は、保険会社や商品によって異なります。加入時に死亡や高度障害状態の定義、3大疾病などの特約や保障範囲、給付条件などを確認しましょう。特に高度障害状態については、認定基準が細かく定められている場合があるので注意が必要です。責任開始日(保障が始まる日)や免責期間(保険金の支払いが免除される期間)なども把握しておきましょう。 関連記事はこちらフラット35の新機構団信と一般団信の違いとは?保障内容と3大疾病保障について解説 健康状態を正しく告知しているか 前述の通り、健康状態を正しく告知しないと告知義務違反と判断され、保険金が受け取れない場合があります。病歴や通院歴、服薬状況などの告知事項はもれなく、正確に告知することを心掛けましょう。告知すべきか迷う項目がある場合は、自己判断せずに金融機関や保険会社に相談することが大切です。 住宅ローンを無理なく支払い続けられるか 住宅ローンの滞納を続けると、団信が解約されて保障を受けられなくなる恐れがあります。将来にわたって住宅ローンを無理なく払い続けられるか、団信加入前に資金計画を立てることが重要です。 団体信用生命保険の保険金が受け取れないときの対処法 万が一、団信の保険金が受け取れなかった場合は、状況に応じて以下の対処法を検討しましょう。 住宅ローンの返済を続ける 団信未加入で住宅ローンの完済前に契約者が亡くなった場合、融資された住宅を相続人が債務を引き継ぐことになります。債務が引き継がれた相続人は、今後の自身の収入や財産状況を整理し、返済を続けることが可能かを検討しましょう。返済が苦しい場合は、金融機関に返済計画の見直しや借り換えなどの対応を相談するのも一つの方法です。 任意売却をする 契約者が亡くなり、住宅ローンを引き継いだが支払い続けるのが難しい場合は、任意売却で住宅を売却する方法もあります。任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者と債務者の間で同意して担保不動産を売却することです。競売に比べて、市場価格に近い値段で売却できる可能性があります。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 まとめ 団信に加入すれば、契約者に万が一のことがあった場合は保険金で住宅ローンが完済されます。ただし、状況によっては保険金が受け取れないこともあります。団信加入時には支払条件や告知事項をしっかりと確認し、無理のない返済計画を立てることが重要です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンを滞納したらどうなる?対処法も併せて解説 収入の減少や、まとまった支出の発生で、住宅ローンが払えなくなってしまう人もいるでしょう。住宅ローンを滞納すると、自宅が競売にかけられる恐れがあります。住宅ローンの返済が苦しいと感じたら、なる...
固定資産税は、住宅などの不動産を所有している人に毎年課される税金です。固定資産税を払い忘れてしまうと延滞金が発生したり、最終的には財産を差し押さえられたりする場合もあります。この記事では、固定資産税の納期限や払い忘れたときに起こること、納期限を過ぎてしまったときの対処法を解説します。 固定資産税の納期限はいつ? 固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・家屋の所有者が納める税金です。納税義務者には、自治体から毎年納税通知書が届きます。原則として年4回の納期に分けて納めます。納期は条例によって定められるため、自治体によってことなります。例えば、東京23区の令和7年度の納期は以下のとおりです。 第1期:令和7年6月1日~6月30日(納期限6月30日) 第2期:令和7年9月1日~9月30日(納期限9月30日) 第3期:令和7年12月1日~令和8年1月5日(納期限1月5日) 第4期:令和8年2月1日~3月2日(納期限3月2日) 納税者が希望すれば、一度に全額を納めることも可能です。1年分の一括払用納付書には納期限の記載はありませんが、これは第1期から第4期までの税額をまとめて納めるためのものです。第1期納期限以降に納付した場合、納期限の翌日から納付日までの期間に応じて延滞金が発生する場合があるので、注意が必要です。 出典)東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」 固定資産税を払い忘れるとどうなる? 納期限を過ぎても固定資産税を納付しない場合、段階的にさまざまな対応が取られます。具体的には以下のとおりです。 督促状が届く 固定資産税を納期限までに納めないと、まずは自治体から督促状が届きます。督促状とは、税金の納付を促すために発行される書類です。地方税は、原則として納期限から20日以内に督促状が発行されます。督促状の送付後、電話や訪問などが行われる場合もあります。 催告書が届く 督促状が届いても納税しない場合は、自治体から催告書が届きます。催告書では法的措置を予告される場合があり、督促状よりも強く納税を求める意味合いがあります。また、財産の差し押さえを行うために、金融機関や勤務先などに対して財産調査が行われます。 本来の税額とは別に延滞金が発生する 納期限の翌日から納付日までの日数に応じて、本来の税額とは別に延滞金が発生します。延滞金の利率は、滞納期間や年によって異なります。令和7年分については、納期限の翌月から1ヵ月は税額に年2.4%、1ヵ月経過後は税額に年8.7%の割合を乗じた金額です。 関連記事はこちら税金を滞納するとどうなる?払えないときの解決方法や対策を紹介 固定資産税の納期限が過ぎてしまったときの対処法 もし固定資産税の納期限が過ぎてしまったことに気づいたら、放置せずにすぐ対処することが重要です。ここでは、具体的な対処法を紹介します。 納付書があれば金融機関などで納付できる 納期限が過ぎてしまっても、手元に納付書があれば金融機関やコンビニエンスストアなどで納付できる場合があります。納付書が使用できるかを確認したうえで、できるだけ早く納付しましょう。なお、滞納期間によっては、延滞金がかかる場合もあるので注意が必要です。 納付書をなくした場合は自治体に再発行を依頼する 固定資産税の納付書をなくした場合は、自治体の担当窓口に連絡して納付書の再発行を依頼しましょう。自治体の窓口に直接訪問する方法以外に、電話やインターネット(電子申請)で再発行の手続きができる場合もあります。再発行された納付書が手元に届き次第、速やかに納付を行いましょう。 払えない場合は自治体の窓口に相談する 経済的な理由などで固定資産税を払うのが難しい場合は決して放置せず、できるだけ早く自治体の窓口に相談しましょう。状況によっては、分割納付や差し押さえの猶予などが認められるかもしれません。相談する際は、事情を正直に伝えることが大切です。 固定資産税の払い忘れを防ぐための対策 最も確実な方法は、口座振替を利用することです。銀行口座から自動的に引き落とされるため、固定資産税を払い忘れる心配がありません。多くの自治体で口座振替が利用できるので、手続き方法を確認してみるとよいでしょう。 その他にも、近年ではQRコード決済を利用することで、納期に合わせた支払予約をできるサービスもあります。いずれにしても、納税通知書が届いたらすぐに納期限を確認しましょう。事前に資金を準備しておき、納期限を待つことなく速やかに納付することが重要です。 まとめ 固定資産税の払い忘れは、延滞金の発生やローン審査への影響だけでなく、最終的には財産の差し押さえという深刻な事態につながるリスクがあります。万が一納期限が過ぎてしまった場合は絶対に放置せず、自治体に相談することが大切です。口座振替を利用するなど、払い忘れを防ぐ対策を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 年金未納や税金滞納で差し押さえを受けたらどうなる? 国民年金保険料や税金などを滞納すると、財産を差し押さえられる恐れがあります。そもそも「差し押さえ」とはどういうもので、どのような財産が差し押さえの対象となるのでしょうか。 この記事では、差し...
1つの不動産を複数人で所有しているときに、各所有者が持つ所有権の割合を「持分」といいます。不動産担保ローンは、自分の持分だけを担保に融資を受けることはできるのでしょうか。この記事では、不動産担保ローンが持分のみで借りられるのか、また、特殊な不動産に対する融資が可能かどうかについて解説します。 自分の持分だけを担保にした不動産担保ローンは難しい 不動産担保ローンは、土地や不動産、マンションなどの不動産を担保に借り入れができるローンです。金融機関によっては、本人が所有する不動産だけでなく、家族や法人名義の不動産を担保にすることも可能です。しかし、共有名義の不動産について、自分の持分だけを担保にした融資を取り扱う金融機関は限られます。 「自分の持分だけを担保にした融資」とは、例えば、戸建て住宅を夫婦で二分の一ずつ所有している場合に、夫婦のどちらか一方のみの持分を担保とした借り入れを指します。 自分の持分だけを担保にした不動産担保ローンが難しい理由 金融機関が融資の際に担保提供を求めるのは、融資金が未回収となるリスクに備えるためです。不動産担保ローンの場合、金融機関は担保不動産に抵当権を設定します。これにより、万が一債務者がローンを返済できなくなった場合に、金融機関が担保不動産を競売にかけて、売却代金から優先的に弁済を受けられます。 しかし、担保不動産が共有名義であり、一方の持分のみを担保に融資を行う場合、その持分単独では不動産全体を処分できないため、融資金の回収リスクが高まります。そのため、多くの金融機関では持分のみを担保とした不動産の取り扱いに対応していません。なお、共有名義人全員が担保提供をする場合は、一人で所有する不動産を担保にする場合と同等に評価されることが一般的です。 関連記事はこちら抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説 不動産担保ローンでの特殊な不動産の融資可否 持分のほかに、一般的には「売却するのが難しい」といわれる特殊な不動産を担保にローンを組めるか気になる人もいるでしょう。 ここでは、「既存不適格建築物」「借地権付建物」「再建築不可」「市街化調整区域」の4種類の不動産について、不動産担保ローンの融資可否を紹介します。なお、あくまでも一般的な傾向であり、金融機関によって審査基準が異なる点には注意が必要です。 既存不適格建築物 既存不適格建築物とは、新築時には当時の法律に適合していたものの、その後の法改正などの影響で現在の基準に適合していない不動産をいいます。例えば、建築当時は問題なかったが、法改正により建ぺい率や容積率がオーバーしているケースが考えられます。 不適格という言葉が入っていますが、あくまでも現行法の基準を満たしていないという意味であり、違法な不動産ではありません。ただし、建て替える場合は現行法に適合させる必要があるため、現在と同じ不動産を建てることはできません。また、現行法に適合している不動産に比べると、金融機関の担保評価は低い傾向にあります。 既存不適格建築物は建築時には適法であった不動産であり、違反建築物ではないため、不動産担保ローンの融資対象となりますが、金融機関によっては取り扱い対象外の可能性もあります。 借地権付建物 借地権とは、不動産を建てるために一定期間にわたって土地を借りる権利のことです。一般的な不動産は、土地と建物をセットで取得します。一方で、借地権付建物とは、建物は自分の所有物ですが、土地の所有権は他人(地主)にある状態です。住宅ローンの場合、通常は土地と建物を一緒に担保とするため、借地権付建物では借り入れが難しくなります。 審査が柔軟な金融機関であったとしても、地主(借地権者)の同意の有無、借地権の残存期間などによって融資可能か判断されます。借地権付建物であっても融資を受けられる可能性はあるため、まずは不動産担保ローンを提供する金融機関に相談してみるとよいでしょう。 再建築不可 再建築不可とは、現在建てられている不動産を解体して更地にすると、新たな不動産を建てられない土地のことです。再建築不可の不動産は、主に都市計画法における都市計画区域や準都市計画区域にあります。これらの区域では、建築基準法で「幅が4m以上の道路に敷地が2m以上接していなければならない」という接道義務があり、基準を満たさないと新たに建物を建てることができません。 再建築不可の不動産は流通性が著しく劣るため、資産価値が低くなってしまいます。一般的には、再建築不可の不動産を担保に不動産担保ローンを借り入れることは難しいでしょう。 関連記事はこちらセットバックとは?2項道路や接道義務について徹底解説! 市街化調整区域 市街化調整区域は、都市計画法において「市街化を抑制すべき区域」と定義されており、原則として新たな開発行為や住宅の建築は制限されています。既存の建物を建て替える場合や用途を変更する場合には、自治体の許可が必要となることがあります。 このような制限があるため、市街化調整区域の不動産は担保評価が低くなりやすく、不動産担保ローンの審査が厳しくなる傾向があります。 関連記事はこちら市街化区域とは?市街化調整区域との違いを解説 まとめ 不動産担保ローンは、共有名義の不動産について、自分の持分だけを担保に融資を受けることは可能ですが、対応している金融機関は限られています。ただし、共有者全員が担保提供する場合は、通常の不動産担保ローンが利用可能です。自分の持分を担保に不動産担保ローンで借り入れをしたい場合は、金融機関に申し込む前に共有者同士で十分に話し合いましょう。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンの担保評価額を解説!いくら借りられるかの目安を知る方法とは? 不動産担保ローンの利用を検討する際、自分がいくら借りられるのか、気になる人もいるでしょう。自分がいくら借りられるかの目安を知るために重要なのが、担保とする不動産の評価である「担保評価額」です...
1つの不動産を複数人で所有する際、重要となるのが「共有持分」の考え方です。夫婦で不動産を購入する場合や相続などで共有持分となった場合、どんなことに注意すればよいのでしょうか。この記事では、共有持分の概要や不動産を共有名義で購入するメリット・デメリット、売却方法について解説します。 不動産の共有持分とは 共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有するときに、各共有者が持つ所有権の割合です。共有者は、この持分割合に応じて不動産の使用や管理などの権利を持つと同時に、固定資産税などの費用を負担する義務を負います。 持分割合の決め方 一般的に、共有持分の割合は不動産購入時に負担した金額の割合で決まります。例えば、夫婦で3,000万円の住宅を購入する場合、夫が2,000万円、妻が1,000万円費用を負担した場合、夫の持分割合は3分の2、妻の持分割合は3分の1となります。 相続で共有持分となる場合は、法定相続分に基づいて持分割合が決まることが一般的ですが、遺産分割協議によって異なる割合を定めることもできます。 共有持分でできること 共有持分を持つ共有者は、共有物に対して権利が与えられるとともに、権利に対して制限も受けます。民法上の規定としては以下のように定められています。 共有物の使用(民法第249条第1号)各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。 共有物の変更(民法第251条第1号)各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。 共有物の管理(民法第252条第1号)共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。 共有物の管理者(民法第252条の2 第1号)共有物の管理者は、共有物の管理に関する行為をすることができる。ただし、共有者の全員の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。 出典)e-Gov法令検索「民法」(第249条第1項、第251条第1項、第252条第1項、第252の2条第1項) 不動産を共有名義で購入するメリット 不動産を共有名義で購入するメリットは以下のとおりです。 ローンを組みやすい ペアローンは、1つの不動産に対して夫婦(または親子)がそれぞれ住宅ローンを組む方法です。不動産は夫婦の共有名義となり、それぞれの借入金額に応じて持分が決まります。 共有名義で購入する場合、夫婦や親子の収入を合算して住宅ローンの審査を受けられます。単独で契約するよりも借入可能額を増やすことができるため、物件の選択肢が広がります。 関連記事はこちら住宅ローンのペアローンと収入合算の違いとは? 共有者がそれぞれ住宅ローン控除を受けられる 不動産を共有名義で購入する場合、一定の要件を満たすと、共有者がそれぞれ住宅ローン控除を利用できます。所得税や住民税の節税効果も期待することができます。 不動産を共有名義で購入するデメリット 共有名義で不動産を購入する場合は、以下のようなデメリットもあります。 不動産を自由に売却できない 共有名義の不動産を売却するには、共有者全員の同意が必要です。共有者の中に反対する人がいる場合、単独では不動産全体を自由に売却できません。共有者全員で合意形成を図る必要があるため、時間と労力がかかります。 共有者間でトラブルが発生しやすい 不動産の修繕の必要性や実施時期、費用負担の割合などに対する考え方は人によって異なります。そのため、共有名義の不動産は、使用や管理、費用の分担などについて共有者間でトラブルが発生しやすい傾向にあります。 相続時に権利関係が複雑化する 共有者の1人が亡くなった場合、その持分は相続の対象となります。相続人が複数いる場合は権利関係がより複雑になるため、不動産を有効活用するのが難しくなるかもしれません。 共有持分を売却する方法 共有名義の不動産であっても、他の共有者の許可を得ることなく、自分の持分のみを売却することは可能です。具体的には、以下4つの方法があります。 他の共有者に売却する 自身の持分を他の共有者に買い取ってもらう方法です。他の共有者が、不動産の単独所有を希望している場合に有効です。売却価格は共有者間の協議によって決定されます。 分筆して自分の持分のみを売却する(現物分割) 分筆とは、1つの土地を複数の土地に分割してそれぞれ登記することです。土地の場合は、分筆して持分相当の土地を単独所有とし、それを売却することも可能です。土地の分筆にあたって筆界確認が必要となる場合は、筆界特定制度の活用を検討するとよいでしょう。 関連記事はこちら筆界特定制度とは?活用できる場面や申請の流れ、費用を解説 仲介業者を通じて売却する 一般的な不動産売買と同じように、仲介業者に依頼して共有持分の買主を探してもらう方法です。ただし、そもそも持分だけを買い取りたい買主が限られるため、買主を見つけるのに時間がかかったり、希望価格での売却が難しかったりします。 買取業者に持分の買取を依頼する 買取業者に共有持分を直接買い取ってもらう方法です。持分買取を専門としている不動産会社もいるため、仲介に比べると短期間で現金化できる可能性があります。ただし、買取価格は仲介での売却より低くなる傾向にあります。 共有持分を売却する際のポイント 共有持分をスムーズに売却するには、以下3つのポイントを押さえておくことが重要です。 売却前に他の共有者と相談する 複数の不動産業者と相談する 税金について確認しておく 共有持分での売却は需要がそもそも少ないため、売却自体が難航したり、希望価格での売却が難しかったりします。そのため、他の共有者と相談し不動産を売却することの合意を得る方がいいでしょう。 それでも話しがまとまらない場合などは、複数の不動産業者に相談し、経済条件だけでなく後々トラブルにならないように意思決定をするようにしましょう。 まとめ 不動産を共有名義で購入するとローンを組みやすくなる一方で、「自由に売却できない」「共有者間でトラブルが発生しやすい」などのデメリットがあります。共有持分を売却する場合は、仲介業者や買取業者への依頼、他の共有者への売却などを検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産買取のメリット・デメリットとは?不動産業者の選び方も解説 一般的に不動産を売却する場合は「不動産買取業者へ売却する方法」と「不動産仲介業者を通して売却する方法」の2種類があります。どのような場合に不動産買取を利用し、どのような不動産業者を選べばわか...
一般的な住宅ローンは、契約者本人が居住するための不動産取得に資金使途が限定されます。そのため、セカンドハウスを購入する目的で住宅ローンを組むことはできません。ただ、セカンドハウスローンやフラット35を利用すれば、セカンドハウス購入のための借り入れができる可能性があります。 この記事では、フラット35を利用して、セカンドハウスを購入する方法について詳しく解説します。 セカンドハウスローンとは セカンドハウスとは、生活拠点としている自宅以外の別荘や別宅など、定期的に居住する目的で所有する住まいのことを指します。セカンドハウスローンとは、そのような自身のためのセカンドハウスや両親・子供のための不動産を購入する際に利用できるローンです。 セカンドハウスローンと一般的な住宅ローンの違い 住宅ローンは契約者本人が居住するための不動産取得に資金使途が限定されますが、セカンドハウスローンは生活拠点とは別の不動産の購入資金が資金使途の対象に含まれる点が大きな違いです。 また、一般的な住宅ローンは金利が低く設定されていますが、セカンドハウスローンは、住宅ローンとダブルローンになったり、自己居住用の住宅購入資金ではなかったりするので、金融機関はリスクが高いと判断するため、金利も高い傾向にあります。 セカンドハウスの購入にはフラット35が利用できる セカンドハウスを購入するとき、セカンドハウスローンだけでなく、フラット35も利用できます。フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。全国300以上の提携金融機関が扱っており、最長35年間固定金利で融資を受けられます。 借入時に毎月の返済額や総返済額が確定するため、資金計画を立てやすいのが特長です。資金使途がセカンドハウスの購入だからといって、金利や対象となる不動産、借入金額、借入期間などの条件に差はありません。融資を希望する場合は、住宅金融支援機構ではなく、民間の提携金融機関に申し込みを行います。 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 フラット35でセカンドハウスを購入する場合の注意点 フラット35でセカンドハウスを購入する場合は、以下の点について注意が必要です。 二重で借り入れができない 既にフラット35を利用して、契約者本人が居住する不動産を購入している場合、新たにセカンドハウス取得のためにフラット35を二重で借り入れることはできません。 住宅ローン控除が利用できない フラット35を利用して契約者本人が居住する不動産を購入する場合、一定の要件を満たすと住宅ローン控除を利用できます。しかし、セカンドハウスの購入を目的とする場合は原則として住宅ローン控除の対象外です。 投資目的でセカンドハウスの購入ができない フラット35は、賃貸に利用する投資目的で借り入れができません。あくまで、契約者本人やその家族がセカンドハウスを購入して居住することが前提であるため、第三者に貸し出すといった目的では利用できません。 フラット35を利用してセカンドハウスを購入する場合の手続き セカンドハウスを購入する目的でフラット35の融資を受けるには、金融機関の審査に通過する必要があります。ここでは、融資申し込み時の流れについて説明いします。 申し込みの流れ フラット35を利用する際の一般的な流れは以下のとおりです。 事前審査の申し込み 借り入れの本申し込み・団体信用生命保険の加入申し込み(任意) 本審査 物件検査・適合証明書の発行 借り入れの契約・火災保険の加入 フラット35を利用してセカンドハウスの購入を希望する場合は、銀行等の金融機関や不動産会社、住宅ローン専門の相談窓口などで事前審査を申し込みます。事前審査に通過したら、必要書類を提出して本審査に進みます。 この段階では、自身の収入や購入物件などについて詳細な情報提供が必要です。本審査に通過し、契約手続きが完了すると融資が実行されます。 申し込み条件 フラット35の申込条件は以下の3つです。なお、総返済負担率はフラット35だけでなく、自動車ローンやカードローンなどのすべての債務を含めて計算する点に注意が必要です。 申込時の年齢が満70歳未満である(親子リレー返済の場合は満70歳以上でも申し込み可) 日本国籍の人、外国籍で永住許可を受けている人または特別永住者である すべての借り入れについて、総返済負担率(年収に占める年間合計返済額の割合)が、年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下である 出典)住宅金融支援機構「【フラット35】ご利用条件」 必要書類 フラット35に申し込む際は、主に次の書類を提出する必要があります。必要書類は主に以下のようなものですが、詳細は金融機関によって異なるため、事前に確認して早めに準備しましょう。 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) 収入証明書類(源泉徴収票、所得証明書、確定申告書など) 購入する住宅に関する書類(売買契約書、工事請負契約書など) まとめ セカンドハウスローンやフラット35を利用すれば、別荘や週末を過ごすための別宅、単身赴任先の家など幅広い目的で不動産の購入を検討できます。一般的な住宅ローンとの違いを理解し、自身のライフプランや経済状況に応じて慎重に検討しましょう。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 専門スタッフに相談してみる SBIアルヒの店舗にて、フラット35の無料相談ができます。 ※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 フラット35の審査基準を徹底解説! フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。借入時に返済終了までの金利が確定するため、返済計画を立てやすく、金利変動リスクへの備えとなります。ただし、フラット3...
賃貸物件を借りる際、家賃保証会社(賃料保証会社)の利用を必須条件とする物件が増えています。この記事では、賃貸物件における家賃保証の仕組みや保証内容、家賃保証料の相場について解説します。 家賃保証料とは 家賃保証料とは、賃貸物件を借りる際に家賃保証会社を利用するためにかかる費用です。借主は、家賃保証会社の審査に通過したうえで所定の家賃保証料を支払う必要があります。 賃貸物件における家賃保証の仕組み 家賃保証の仕組みは、主に「一般保証型」と「支払委託型」の2種類です。一般保証型は、借主が家賃を滞納した場合に、代わりに家賃保証会社が貸主に弁済する仕組みです。滞納した家賃を立て替えた後、家賃保証会社は借主に弁済金を請求します。 支払委託型は、借主からの委託に基づいて家賃保証会社が毎月家賃の立替払いを行い、借主に立替金を請求する仕組みです。滞納の有無に関係なく、家賃保証会社が貸主に家賃を支払うため、貸主にとっては家賃滞納時の請求を借主に行う必要がなくなり、家賃管理の負担が軽減されるというメリットがあります。 [一般保証型と支払委託型の違い] 出典)日本賃貸住宅管理協会「家賃債務保証は、借主と貸主の安心をつなぎます。」 家賃保証の保証範囲 賃貸物件における家賃保証の一般的な保証範囲は以下のとおりです。 家賃 原状回復費用 訴訟費用 残置物撤去費用 滞納された家賃のほかに解約通知義務違反による違約金や損害金なども保証に含まれる場合があります。保証範囲は家賃保証会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。 家賃保証料の相場 家賃保証料の金額や支払い方法は、賃貸物件や家賃保証会社によって異なります。賃貸物件を借りる際は、初期費用として所定の金額を支払うのが一般的です。家賃保証料の初期費用の相場は家賃の0.5~1ヵ月分で、2年目以降は家賃保証会社の更新料として数万円程度の支払いが生じます。 家賃保証会社の利用は必須? 近年、多くの賃貸物件で家賃保証会社の利用が必須となっています。日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、全国の賃貸物件で家賃保証会社の利用を必須としている割合は93.0%です。 家賃保証会社の利用が必須の賃貸物件を借りる場合、借主は連帯保証人を立てたとしても、家賃保証会社を利用しなければいけません。賃貸物件を借りる場合は、基本的に家賃保証料の支払いは避けられないと考えたほうが良いでしょう。 出典)日本賃貸住宅管理協会「第28回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』2023年4月~2024年3月」 家賃や家賃保証料を滞納するとどうなる? 家賃を滞納した場合、家賃保証会社は貸主に立替払いを行い、借主に立て替えた家賃を請求します。滞納が長期化すると遅延損害金が発生したり、家賃保証会社の更新料が高くなったりするケースもあるので注意が必要です。また、家賃保証料そのものを滞納すると家賃保証会社との契約が更新できず、最終的には強制退去となる可能性があります。 家賃保証会社を利用するメリット 家賃保証料の支払いが借主にとって費用負担となる一方で、家賃保証会社を利用することで以下のようなメリットがあります。 賃貸借契約をスムーズに進められる 家賃保証会社を利用すると、借主は賃貸借契約をスムーズに進めやすくなります。家賃保証会社が入居審査を行うことに加え、家賃滞納リスクを軽減できるため、貸主は安心して賃貸借契約を結ぶことが可能になります。 連帯保証人を立てる必要がない 多くの賃貸物件では、家賃保証料を支払えば連帯保証人を立てる必要がありません。特に単身者や高齢者、外国人など、連帯保証人を立てるのが難しい人にとっては大きなメリットといえるでしょう。ただし、中には連帯保証人を立てることを条件としているケース、連帯保証人を立てるか立てないかで家賃保証料の金額が変わるケースもあるので注意が必要です。 家賃保証料に関する注意点 賃貸物件における家賃保証料については、以下の点に注意が必要です。 初期費用として資金を準備しておく 多くの賃貸物件で、契約時に家賃の0.5~1ヵ月分の家賃保証料が発生します。敷金や礼金、引っ越し費用なども含めると、初期費用としてまとまった金額が必要になるかもしれません。賃貸物件を借りる場合は、初期費用を見積もる際に家賃保証料を考慮に入れるのを忘れないようにしましょう。 家賃保証会社は選べない 一般的な賃貸借契約において、貸主が指定した家賃保証会社の加入が求められます。そのため、自身で家賃保証料の安い家賃保証会社を探してきても、その家賃保証会社を利用できるとは限りません。 リースバックでも家賃保証料はかかる リースバックとは、リースバック運営会社と不動産の売買契約および賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることができるサービスです。賃貸借契約を結んで家賃を支払うため、リースバックも家賃保証会社の利用が必須となり、家賃保証料の支払いが発生するケースがあります。リースバック運営会社によって条件は異なるため、家賃保証会社の利用要否や費用について確認しておきましょう。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 まとめ 家賃保証料は、賃貸物件を借りる際に家賃保証会社を利用するための費用です。多くの物件で支払いは必須となっており、初期費用として考慮しておく必要があります。保証内容や金額、支払い方法は物件や家賃保証会社によって異なるため、賃貸借契約を締結する前に確認しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックの家賃設定を解説!家賃相場よりも高い? リースバックとは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、月々の家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金を確保したい...
一般的に注文住宅を建てるときは、住宅ローンの融資が実行される前に、事前に土地購入代金や建物の一部建築費用などを用意しなければなりません。手元資金で支払うことができない時に、つなぎ融資を利用すれば、これらの費用の支払いに対応できる可能性があります。 この記事では、つなぎ融資の概要やメリット・デメリット、利用時の注意点を解説します。 つなぎ融資とは 一般的に、つなぎ融資とは、住宅ローン実行前に必要な資金を一時的に立て替えるためのローンのことをいいます。通常、住宅ローンは住宅の引き渡し時に実行されますが、注文住宅のように住宅の引き渡し前に土地購入代金や着工金、中間金などの支払いが発生する場合、住宅ローンが決済される前に資金を用意しなくてはなりません。このようなときに、つなぎ融資を利用すれば、住宅ローン実行前の支払いに対応できます。 売却つなぎ融資とは 売却つなぎ融資とは、売却予定の不動産を担保にして、融資を受けられるローンです。持ち家の人が、住み替えに発生する費用として、現在借りている住宅ローンを完済したり、新居の手付金や頭金を支払ったりする際に利用できます。 つなぎ融資は住宅ローンの融資を利用して一括で返済するのに対し、売却つなぎ融資は不動産を売却して得た資金から一括で返済する仕組みです。 つなぎ融資のメリット つなぎ融資には以下のようなメリットがあります。 住宅ローン実行までの資金を調達できる 注文住宅における土地購入代金や建築中の支払いはまとまった金額となるため、自己資金でまかなえる人は少ないでしょう。つなぎ融資を利用すれば、住宅ローン実行前に必要な資金を調達できます。 月々の返済負担が小さい つなぎ融資の返済は、一般的に利息のみです。元金は住宅ローン実行時に一括返済するため、月々の返済負担を抑えることができます。 住み替えをスムーズに進められる 売却つなぎ融資を利用すれば、買い先行で住み替えをする際も便利です。買い先行とは、先に新居を購入してから自宅を売却する方法です。自己資金がない状態で住み替えを検討する場合、自宅の売却代金を新居の購入に使うことができないため、頭金や手付金を用意できず、新居の購入が難しくなる場合があります。つなぎ融資を受けることで、一時的な資金不足を解消できます。計画を延期することなく、住宅取得をスムーズに進められるでしょう。 関連記事はこちら仮住まいなしで住み替えをする5つの方法 つなぎ融資のデメリット・注意点 つなぎ融資は、以下のようなデメリットや注意点もあります。 借り入れコストが発生する つなぎ融資を利用すると、契約時や完済時の手数料や借入期間中の利払いが発生します。また、融資年率も住宅ローンに比べて高い場合もあるので、期間が長期化すると想定よりもコストが大きくなる恐れがあります。 つなぎ融資に対応している金融機関は少ない つなぎ融資は、住宅ローン実行時に、つなぎ融資を一括返済する必要があるため、同じ金融機関で住宅ローンとセットで契約するのが一般的です。つなぎ融資に対応している金融機関は少ないため、借入先の選択肢は限られるかもしれません。 つなぎ融資の取り扱いはなくても、金融機関が提携しているローン会社を紹介してもらえる場合もあります。「つなぎ融資はA銀行、住宅ローンはB銀行」のように、別々の金融機関で組むことができるかは借入先によって異なります。まずは住宅ローンを申し込む金融機関に相談するとよいでしょう。 住宅ローン控除を利用できない 住宅ローン控除は、住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得した場合に受けられる税制優遇措置です。つなぎ融資は「借入期間が10年以上」などの要件を満たさないため、住宅ローン控除の対象外となります。 スケジュールに余裕を持つ つなぎ融資は、一般的に住宅ローンの本融資が実行されるまで、利息の支払いが発生します。悪天候などの諸事情によって、住宅の建築が当初の予定通りに工事が進まないこともあるでしょう。工事の進捗が遅れてつなぎ融資の借入期間が延びると、その分の金利負担が増えてしまいます。つなぎ融資を利用する際は、不測の事態が発生することも視野に入れ、資金やスケジュールに余裕を持つことが大切です。 つなぎ融資利用の流れ つなぎ融資を利用する際の一般的な流れは以下のとおりです。 ハウスメーカーと建築プランを決める つなぎ融資を利用できる金融機関を探す つなぎ融資と住宅ローンの審査を受ける つなぎ融資で住宅ローン実行前に発生する費用を支払う 住宅ローンでつなぎ融資の元金を一括返済する つなぎ融資を希望する場合は、ハウスメーカーや住宅ローンを申し込む金融機関に相談してみましょう。インターネット検索を利用して、つなぎ融資に対応している金融機関を調べるのも有効です。 まとめ つなぎ融資は、住宅ローン実行前に必要な資金を調達できる便利なローンです。ただし、つなぎ融資を利用するには借り入れコストが発生します。つなぎ融資のメリット・デメリットを比較検討したうえで、利用すべきかを判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 マイホーム購入の流れと押さえておくべきポイントを解説 マイホーム購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物です。しかし、実際に「家が欲しい」と思っても、何から始めたらよいかわからないのではないでしょうか。入居してから後悔しないように、事前に...
企業の創業時や事業の拡大時など、事業運営では設備投資が必要になる場面があります。まとまった費用がかかるため、資金調達に悩む経営者や個人事業主の方も多いのではないでしょうか。この記事では、設備資金の概要や運転資金との違い、融資を受ける方法などを解説します。 設備資金とは 設備資金とは、事業用の設備の購入に必要となる資金のことです。創業時や事業の拡大時などは、設備や施設の購入などに伴い、一時的にまとまった費用が発生します。設備投資に必要な資金を自己資金でまかなうのが難しい場合は、設備資金として金融機関から資金を調達する方法もあります。 設備資金の具体例 設備資金の内容は業種によって異なり、例えば以下のような資金が設備資金として該当します。 業種設備資金の例 製造業事務所の敷金・保証金、事務所や工場などの増設、拡張など 建設業事務所の敷金・保証金、建設機械、事業用車両の購入など 飲食業店舗の敷金・保証金、厨房機器、テーブル、椅子の購入費など 小売業店舗の敷金・保証金、陳列棚、什器購入費など 設備資金に含まれないもの 事業に関連して一時的に発生する支出であっても、以下の資金は設備資金に含まれません。あくまでも、事業をする上で必要となる設備に対しての支出が設備資金となります。 法人設立の資本金 増資のための出資金 個人使用が目的の乗用車 設備資金と運転資金を比較 設備資金と混同しやすい資金として、運転資金があります。 運転資金とは 運転資金とは、事業を継続するために必要な資金です。具体的には、人件費や仕入れ代金、家賃、光熱費など事業を継続するうえで必要な資金が運転資金に該当します。 設備資金と運転資金の違い 設備資金と運転資金は、主に支払いのタイミングや継続性に違いがあります。設備資金は、設備などを購入する際に、一時的にまとまった費用がかかるのが特徴です。一方、運転資金は、事業を運営している限り継続的にかかります。 設備資金の融資を受ける方法 設備資金の融資を受ける方法は、主に以下の3つがあります。 銀行融資 銀行などの民間金融機関では、設備資金の融資を行っています。経営状況や事業計画、返済能力などを審査されます。事業の将来性や財政状態を審査したうえで、融資条件が決定されます。 公的融資 公的融資の一つである日本政策金融公庫は、主に中小企業や個人事業主の資金調達支援を行っている政府系金融機関です。設備資金の融資も取り扱っており、すでに事業を行っている企業だけでなく、これから新規開業する個人も利用できる可能性があります。 ノンバンクからの融資 銀行ではないノンバンクを利用して設備資金の融資を受ける方法もあります。無担保での融資だけでなく不動産担保ローンを利用する方法もあり、商品としてはビジネスローンに該当します。 不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保に借り入れができるローン商品です。資金使途が幅広く、設備資金としても利用できます。「開業したばかりで事業の実績がない」「赤字決算で資金調達が難しい」といったケースでも、担保不動産に価値があれば融資を受けられるかもしれません。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 設備資金の融資申し込みの必要書類 設備資金の融資を受けるには、借入先の審査に通過する必要があります。ここでは、融資申し込み時の必要書類について説明します。 調達した資金の使用目的がわかる書類 設備資金の融資に限らず、融資を受ける際には資金使途を明確にする必要があります。設備資金のみの融資を受けるのであれば、もちろん資金使途は設備投資に限られます。そのため、調達した資金を何に使うのか、使用目的や金額が記載された書類が必要になります。主な書類は以下のとおりです。 購入する設備の見積書 領収書 売買契約書 経営状況や事業の見通しがわかる書類 借主の財務の健全性や返済能力なども審査の判断基準になるため、経営状況や事業の見通しがわかる書類も必要です。主な書類は以下のとおりです。 決算書(直近3期分程度) 資金繰り表 事業計画書 設備資金の融資を受けるときの注意点 設備資金の融資を受ける際は、以下の点に注意しましょう。 無理のない返済計画を立てる 借入金額や返済期間は、経営状況に合わせて慎重に判断する必要があります。借入金額を増やしすぎたり、返済期間を短くしすぎたりすると、資金繰りの悪化を招く恐れがあります。事業運営に支障が出ることがないように、無理のない返済計画を立てましょう。 資金の使い道を変更しない 設備資金として融資を受けた資金は、設備投資にしか使えません。運転資金など、その他の目的に使用すると契約違反になる可能性があります。 まとめ 設備資金は、事業の成長・拡大に不可欠な設備投資に必要な資金です。 自己資金でまかなうのが難しい場合は、金融機関から融資を受ける必要があります。金融機関によって特徴が異なるため、経営状況にあわせて最適な借入先を選択しましょう。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 事業資金の種類とそれぞれの特徴を紹介 事業資金は商売をする上で必要になる資金ですが、何に使うかによって呼び方が異なります。融資を受ける際には基本的に「どんなことに、いくら資金が必要なのか」を明確にさせなければ融資を受けられません...
地震大国である日本において、耐震基準は住宅の安全性を左右する重要な要素です。旧耐震基準で建てられた住宅は、現行の新耐震基準に比べて耐震性能が劣る可能性があります。この記事では、旧耐震基準の概要や新耐震基準との違い、リスク、確認方法を解説します。 旧耐震基準とは 旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。建築確認は、建築工事に着手する前に設計内容が法令に適合しているかを確認する手続きを指します。旧耐震基準では、震度5程度の地震に対して建物が倒壊しないような構造基準として設定されています。 新耐震基準との違い 新耐震基準とは、1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。新耐震基準は、1977年に「新耐震設計法(案)」が公表されたのち、1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震(震度5、マグニチュード7.4)により妥当性が実証されたこともあり、建築基準法の体系に盛り込まれることになりました。この地震では、現在の仙台市域で住宅の全半壊4,385戸、一部損壊86,010戸の甚大な被害が生じました。 新耐震基準では、震度5程度の地震では建物が損傷せず、震度6強~7程度でも倒壊しないような構造基準として設定されています。また、木造建築物について壁量の見直しや基礎の基準強化も実施されました。 過去に発生した大地震では、旧耐震基準と新耐震基準で被害状況に大きな差がみられます。例えば、下図は平成7年の阪神・淡路大震災における建築年別の被害状況ですが、旧耐震基準に比べて、新耐震基準は「軽微・無被害」の割合が小さいことがわかります。 出典)国立研究開発法人 建築研究所「「新耐震基準」から40年を振り返る」 出典)国土交通省「参考資料集」 旧耐震基準の住宅が抱えるリスク 旧耐震基準の住宅は、現行の基準を満たす住宅と比較して次のようなリスクを抱えています。 建物が損傷・倒壊するリスク 地震発生時に建物が損傷・倒壊するリスクが新耐震基準に比べて高いです。新耐震基準で想定されている震度6強~7程度の地震が発生した場合、旧耐震基準の建物は耐えきれず、人命に関わる重大な事故につながる恐れがあります。 資産価値が下落するリスク 旧耐震基準の住宅は、大地震で損壊・倒壊するリスクが新耐震基準の住宅に比べて高いため、新耐震基準の住宅よりも資産価値が低く評価される傾向にあります。 補修コストが増大するリスク 旧耐震基準の建物は築年数が経過しているため、耐震性以外の部分でも劣化が進んでいる可能性があります。地震による損傷がなかったとしても、将来的に大規模な修繕が必要になるかもしれません。そのため、新耐震基準の建物に比べて補修コストが高くなる場合があります。 旧耐震基準の確認方法 所有中の住宅や購入を検討している住宅が、旧耐震基準で建てられたものかどうかを確認する方法が次の2つです。 建築確認日で判断する 建築確認日とは、行政が建築確認の申請を受理した日のことです。建築基準法に基づいて確認が行われるため、建築確認日が1981年5月31日以前なら旧耐震基準、1981年6月1日以降なら新耐震基準だと判断できます。建築確認日は建築確認済証などに記載されています。 耐震診断を受ける 住宅の耐震性をより正確に把握するには、耐震診断を受けるのが有効です。耐震診断では、専門家が建物の構造や劣化状況などを調査し、耐震性の有無を評価します。耐震診断を受けるには費用がかかりますが、一定の要件を満たすと国や自治体の支援制度を利用できる場合があります。詳しくは、自治体の担当窓口などにご確認ください。 旧耐震基準の住宅の対策方法は? 旧耐震基準の住宅であることが判明した場合は、まずは耐震診断を実施したうえで、耐震性が不十分であった場合は、以下のような対策を講じることが重要です。 耐震改修工事を実施する 建物の耐震性を向上させるには、耐震改修工事を実施するのが有効です。例えば、木造住宅の場合は基礎や柱、壁などの補強、屋根の軽量化などを行う方法があります。耐震改修を行うことで、新耐震基準相当の耐震基準に近づけることが可能です。工事費用はかかりますが、国や自治体の支援制度を利用できる場合があるので、自治体の担当窓口に相談してみましょう。 建て替えを行う 建物の老朽化が進んでいる場合など、耐震改修に高額な費用がかかる場合などは、建て替えを行うのも選択肢です。建て替えであれば、生活環境を変えることなく、最新の耐震基準を満たす安全性の高い住宅を建てることができます。 耐震性の高い住宅へ住み替えをする 旧耐震基準の住宅から、新耐震基準を満たした住宅へ住み替える方法もあります。建て替えとは異なり、現居の売却代金を新居の購入資金に充てることが可能です。また、工事期間中の仮住まいが不要で、速やかに新居での生活をスタートできます。 一方で、旧耐震基準の住宅は売却しにくく、買い手が見つかっても高値で売却できない可能性があります。現居の住宅ローンが残っている場合、残債を一括返済する必要があることにも注意が必要です。 関連記事はこちら住み替えの方法と成功させるポイント まとめ 旧耐震基準は、1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準です。新耐震基準に比べて耐震性が劣り、地震による損壊・倒壊や資産価値の下落、補修コストの増大といったリスクを抱えています。 旧耐震基準の住宅に住んでいる場合は、安全性を確保するために耐震改修工事や建て替え、住み替えなどの対策を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...
家財保険とは、火災保険のうち家財を補償対象とする契約のことです。例えば、火災などが発生した場合、建物だけでなく、その建物の中にある家具や家電など(家財)も損害を受ける可能性があります。この時、家財も補償の対象としている火災保険に加入していれば、建物及び家財の損害についても補償されます。 この記事では、家財保険の概要と補償内容、必要性について解説します。 家財保険とは 火災保険の補償対象は、「建物」と「家財」の2つに分けられます。このうち、家財に生じた損害を補償する契約のことを、一般的に「家財保険」といいます。家財とは、建物に付属している設備(浴槽、調理台など)ではなく、引っ越すときに運び入れるようなものです。例えば、イスやテーブル、ベッドなどの家具、衣類、本、家電製品などが家財にあたります。 火災保険は、火災や自然災害などで被害を受けたときに、その損害を補償してくれる保険です。 しかし、建物のみを補償対象としている契約の場合、家財の損害は補償してもらえません。もしものときの損害に備えるなら、家財も補償対象に加えておく必要があります。 火災保険との違い 家財保険は、火災保険の一部です。火災保険の補償対象は建物と家財に分かれており、それぞれ保険金額を決めて契約します。建物と家財の両方を補償対象とすることも、どちらか一方のみを補償対象とすることも可能です。 家財保険の補償内容 家財保険の一般的な補償対象は以下のとおりです。 家財保険の補償対象補償対象となる原因 右記の事象により家財に生じた直接的な損害火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災、水災、外部からの飛来物、水漏れ、盗難など 出典)一般社団法人 日本損害保険協会「火災保険」をもとに作成 ただし、保険会社や保険商品によって補償範囲が異なる場合があります。そのため、契約前に補償範囲について確認しておくことが大切です。 家財保険の補償対象外となるもの 地震や噴火、これらを原因とする津波で家財に損害が生じた場合、家財保険(火災保険)では補償されません。別途、地震保険に加入する必要があります。また、提供会社によって異なりますが、一般的に以下のようなものは家財保険の補償対象には含まれません。 家財保険の補償対象外となる主なもの 現金・小切手・有価証券 パソコン・スマホ等のデータ 動植物 自動車 現金やデータなどは、保管場所や管理方法を検討することが大切です。自動車は自動車保険(車両保険)の補償対象であるため、自宅の車庫で被害にあっても家財保険では補償されません。 なお、高価な貴金属や宝石、書画、骨董などは家財に含まれませんが、これらは保険会社へ申告することで、家財とは別枠で補償をつけることが可能です(明記物件)。明記物件を家財保険の補償対象にしたい場合は、事前に保険会社の担当者に相談しましょう。 家財保険の特約 家財保険(火災保険)は、特約として「借家人賠償責任補償」や「個人賠償責任補償」をつけることが可能です。それぞれの補償内容を確認していきましょう。 借家人賠償責任補償 借家人賠償責任補償とは、賃貸物件の借主が貸主に法律上の損害賠償責任を負ったときに補償される保険です。借主には原状回復義務があり、事故の内容によっては多額の損害賠償が生じるリスクがあります。そのため、賃貸物件に入居する際は、借家人賠償責任補償への加入を求められるのが一般的です。 補償対象となる事例として、「ストーブを消し忘れてボヤを起こした」「洗濯機のホースが外れた」などの理由で室内の床や壁を損壊させてしまったケースが考えられます。 個人賠償責任補償 個人賠償責任補償とは、日常生活において「他人にケガをさせてしまった」「他人のものを壊してしまった」などの理由で法律上の損害賠償責任を負ったときに補償される保険です。被保険者本人だけでなく、その家族も補償対象となります。補償対象となる事例として、「家族が自転車で通行人にケガをさせた」「水漏れで階下の部屋を水浸しにしてしまった」などが考えられます。 家財保険のほかに、自動車保険や傷害保険の特約として個人賠償責任補償に加入できるケースもあります。加入中の保険の補償内容を確認のうえ、必要に応じて家財保険に特約としてつけることを検討しましょう。 家財保険加入の必要性 ここでは、「賃貸物件」「持ち家」「リースバック」の3パターンについて、家財保険加入の必要性を紹介します。 賃貸物件の場合 賃貸物件の場合、一般的には貸主が建物の火災保険に加入するため、借主は家財のみを補償対象とする家財保険に加入します。その際、借家人賠償責任補償を付帯することが入居の条件になっているケースが多いです。貸主としては、借主が火災などを起こし、原状回復義務を履行できなくなるリスクに備える必要があります。そのため、賃貸物件では家財保険(特に借家人賠償責任補償)の必要性は高いといえます。 持ち家の場合 火災で建物に被害が生じると、通常は家財も損害を受けることになるでしょう。家具や家電などをすべて買い替えることになれば、多額の費用がかかる可能性があります。買い替えに必要な費用を見積もったうえで、家財保険の必要性を検討することが大切です。 リースバックの場合 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却して現金を得て、売却後は賃料を支払うことで引き続き同じ家に住むことができるサービスです。リースバックの場合、自宅の売却と同時に賃貸借契約を締結するため、賃貸物件の場合と基本的には同じで、借主は賃貸住宅用の家財保険に加入します。詳しくは、契約時にリースバック運営会社に確認しましょう。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 まとめ 火災や自然災害で建物が損壊すると、通常は建物内にある家財にも損失が生じます。家具や家電をすべて買い替えるとまとまった費用がかかるため、不安な場合は家財保険を検討しましょう。 賃貸物件の場合は、借家人賠償責任補償がセットになった家財保険の加入を求められるケースがほとんどです。貸主から案内された家財保険の補償内容を確認し、不明点があれば契約前に確認しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説 日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった...