2021.10.13

融資のリスケとは?メリットやデメリットを解説!

updated:2021.09.28

中小企業経営者は、景気悪化などで経営不振に陥り、資金繰りに悩むこともあるでしょう。借入金の返済に困ったときは、金融機関にリスケ(リスケジュール)を依頼する方法があります。

ただし、リスケにはデメリットもあるので、特徴を理解してから計画的に進めることが大切です。今回は、融資のリスケの現状やメリット・デメリット、リスケで立て直せないときの対処法について解説します。

リスケ(リスケジュール)とは?

リスケとは、リスケジュール(reschedule)の略語です。ビジネス用語で「スケジュールの見直し」の意味でよく使われますが、もう一つの意味で「返済計画の見直し」という意味があります。

一般的に、銀行などの金融機関が使うリスケとは、後者を意味しており、借入金の返済が困難になった際に返済条件を変更するという意味で使われます。資金繰りが厳しくなった中小企業者は、金融機関と交渉することで融資のリスケができるかもしれません。具体的には、以下のような対応がとられます。

  • 一定期間、返済額を減額する
  • 一定期間、元本支払いを据え置きする
  • 返済期間を延長し、返済額を減額する

2009年に施行された中小企業金融円滑化法により、中小企業者はリスケに対応してもらいやすくなりました。中小企業金融円滑化法は2013年3月末で期限を迎えていますが、金融庁は金融機関に対して、引き続き円滑な資金供給や貸付条件等の変更に努めるように要請しています。そのため、現在もリスケに応じてもらいやすい状況が続いています。

参考)金融庁「中小企業等に対する金融円滑化対策について」

融資のリスケはどれくらい行われている?

金融庁は、貸付条件の変更等の状況について実績を公開しています。2020年3月10日~2021年3月末でリスケの申込みを行った中小企業者の数は、銀行分で約44万件、協同組織金融機関分(信用金庫など)で約41万件です。多くの中小企業者が、金融機関にリスケの相談・交渉を行っています。

審査中や取下げを除くリスケの実行率は、銀行分が99.0%、協同組織金融機関分が99.5%です。実行率が非常に高いことから、正当な理由があればリスケに応じてもらえることがわかります。

参考)金融庁「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」

融資のリスケをするメリット・デメリットは?

リスケをするメリット

借入金の返済に困ったときにリスケをするメリットは以下の2つです。

  • 借り換えをするよりも余計な費用がかからない
  • 経営立て直しのための時間的猶予をもらえる

資金繰りを改善するには、借り換えという選択肢もありますが、借り換えは既存借入の全額返済手数料、新規借入の事務手数料などの費用が発生します。一方で、リスケによる支払条件の変更であれば、余計な費用はかかりません。

また、リスケをすると資金繰りが楽になるので、経営立て直しに集中して取り組むことができます。経営課題の改善に取り組んで業績が回復すれば、今まで通り事業を継続できるでしょう。

リスケをするデメリット

リスケをするデメリットは以下の2つです。

  • 新規の融資を受けづらくなること
  • 返済が長期化する

通常、リスケが行われている期間は、その金融機関からは追加融資を受けられません。返済原資を明確に示すことができなければ、他の金融機関から融資を受けるのも難しいでしょう。
新規融資を受けられないと手元資金のみで資金繰りをしなくてはならないため、リスケの前に運転資金を確保する必要があります。

リスケは、返済が長期化するのもデメリットです。返済条件の見直しによって、一時的に資金繰りは楽になるかもしれません。しかし、長い目で見るとかえって返済負担が増し、経営にマイナスの影響を与える可能性もあります。

融資のリスケを受けるためには?

いざ融資のリスケをしようと思っても、どのように進めていいのかわからないかもしれません。そのような中小企業者のために、中小企業庁では事業再生を支援するため、窓口相談や債権者調整等を含む再生計画の策定支援を行っています。

この支援は令和2年4月より、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、資金繰りに窮する中小企業者を支援するために始まりましたが、令和三年度以降も支援の実施が継続されています。

参考)特例リスケ支援(PDF形式:849KB) (令和3年4月14日更新)

また、このリスケ支援においては、スピーディーな対応や、専門家のアドバイスを受けることが出来たことに伴って、利用者の97%が満足と回答しています。他にも中小企業庁のサイトでは参考事例なども記載されています。リスケを検討している場合には、このような国の制度を利用することを検討してみてはいかがでしょうか。

参考)中小企業庁 新型コロナ特例リスケジュール

融資のリスケをする際の注意点は?

リスケはあくまでも返済条件の見直しです。債務や利息が免除されるわけではありません。そのため、元本の返済が猶予されている間も利息の支払いは必要です。

リスケによって返済条件が見直されるのは、一般的に半年~1年程度の一定期間のみです。リスケ期間中に経営立て直しに取り組み、業績を改善させる必要があります。

現在は金融機関にリスケを申込むと、高い確率で引き受けてもらえます。金融庁は中小企業者に対する金融の円滑化を金融機関に要請していますが、今後は方針が変わる可能性もあります。リスケを検討しているなら、早めに金融機関に相談したほうよいかもしれません。

融資のリスケで立て直すことができなかった場合には?

リスケを行っても経営を立て直すことができなかった場合、不動産を所有していればその不動産を活用して資金を確保できるかもしれません。具体的には、下記のような方法があります。

融資のリスケ以外の資金調達方法①:不動産担保ローン

1つ目は、不動産担保ローンによって借り換えをすることです。不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保にお金を借りることができる商品で、既存の借入金の借り換えとしても利用することができます。借り換えによって毎月の返済額を減らすことができれば、資金繰りが楽になって経営立て直しに注力できます。しかし、このような状況で借り換え先を見つけるのは簡単ではないでしょう。特に、銀行などでは融資を断られる可能性が高いですが、ノンバンクの不動産担保ローンであれば利用可能な場合もあります。

不動産担保ローンは、信用力と担保不動産の価値を総合的に判断して審査を行うため、融資のリスケをしているような状況であっても融資を受けられる可能性もあります。また、銀行では扱わない築古や2番抵当、家族所有物件などの不動産も担保として申込みできます。上記のような特徴のある不動産担保ローンであれば、借り換え先として利用できるかもしれません。

融資のリスケ以外の資金調達方法②:リースバック

もう1つは、リースバックを利用する方法です。リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスのことです。自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることができます。リースバックを利用することで、自宅に住み続けながらまとまった資金を手に入れることができるのです。

リースバックによって事業の運転資金を確保すれば資金繰りを改善できる可能性があります。また、リースバックで売却した不動産は、将来的に買戻しができますので、経済状況が安定すれば、再び所有することも可能です。一方で、リースバックは、基本的に売却価格が市場価格よりも安くなります。加えて、所有権がリースバック運営会社に移転しますので、リフォームや建て替えなどが自由にできなくなってしまう点に注意が必要です。

融資のリスケ以外の資金調達方法③:任意売却

上記以外では、任意売却という方法もあります。任意売却とは、債務者が自分の意志で不動産を売却する方法です。任意売却によって自宅を売却すれば、借入金を返済し経営の立て直しに注力できる可能性があります。

リスケを行っても借入金を返済することができなければ、担保として提供した不動産は債権者の申し立てにより、競売にかけられてしまう可能性があります。競売では、売却価格が市場価格の7~8割程度に設定されることが一般的です。また、競売にかけられたことを周囲に知られてしまったり、余計な費用がかかってしまうなどのデメリットもあります。

一方で、任意売却の場合は、市場価格に近い価格で売却することができますので、競売などに比べてより高値で不動産を売却できる可能性があります。加えて、任意売却は通常の販売方法で売り出しますので、自身の状況が周囲に知られてしまうことはありませんし、売却したお金から諸経費を支払うことが認められているため、事前に余計な費用を準備する必要もありません。ただし、任意売却をするためには、事前に債権者である金融機関の同意が必要になります。

まとめ

借入金の返済に困ったときは、金融機関にリスケを申込むことで返済条件を見直してもらえる可能性があります。リスケをして一時的に資金繰りが楽になれば、経営立て直しに集中して取り組むことが可能です。

不動産を所有している場合は、リスケ以外の選択肢としてノンバンクの不動産担保ローンやリースバックも検討してみましょう。

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執筆者紹介

「金融/不動産知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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