公開日:2025.09.19
リ・バース60は、住宅金融支援機構が提供する高齢者向け住宅ローン制度で、民間金融機関を通じて利用できます。資金使途は、住宅購入やリフォーム、借り換えなど、住宅関連に限定されており、生活費や医療費などには利用できません。
満60歳以上の人を対象に、自宅を担保に住宅関連資金を借り入れることができ、毎月の返済は利子のみ、一括返済する元金は契約者の死亡後に「担保不動産を売却して返済する」か「現金で返済する」かを選択できます。
この記事では、リ・バース60の金利タイプ、利子の仕組み、手数料の種類について、制度の正確な理解をもとに解説します。なお、リ・バース60の基本的な仕組みや特徴について詳しく知りたい人は、以下の関連記事をご覧ください。
金利タイプの選択は、月々の利子額や将来的な返済総額に影響します。特に変動金利型を選ぶ場合は、金利上昇による負担増の可能性があるため、慎重な検討が必要です。
固定金利型 | 契約時に決定した金利が契約期間中変わらないタイプ。将来の金利上昇リスクを避けたい方に向いています。 |
---|---|
変動金利型 | 市場金利の動向に応じて金利が変動するタイプ。金利が低い時期には有利ですが、将来的な上昇リスクがあります。 |
リ・バース60には 「ノンリコース型」と「リコース型」があり、契約時に選択します。一般的に、ノンリコース型は金利が高め、リコース型は金利が低めに設定される傾向があります。
ノンリコース型 | 相続人に残債務の返済義務が生じない代わりに、金利はやや高め。 |
---|---|
リコース型 | 相続人が残債務を返済する義務を負う可能性があるが、金利は低め。 |
契約前に、金利タイプと返済責任の関係を理解しておくことが重要です。
リ・バース60は、契約者の生存中は利子のみを毎月支払う仕組みです。元金は契約者の死亡後に一括返済されるため、月々の負担を抑えることができます。利子は元金に対して設定された利率に基づいて毎月支払います。
契約期間中に元金は減らないため、長期利用の場合は利子の累積額が大きくなる場合があります。返済総額の見通しを立てる際には、契約期間と金利水準の両方を考慮することが重要です。
固定金利型の場合は契約時の利率が維持され、変動金利型の場合は市場金利の動向に応じて利率が変動する可能性があります。なお、元金は契約終了時まで据え置かれるため、金利が変動しない限り、利子の支払額は基本的に一定です。
リ・バース60の利用には、金利以外にも複数の手数料がかかります。これらは一般的に契約時や契約終了時の各タイミングで発生し、金融機関によって金額や項目が異なります。
特に、保証料や維持費用の有無は商品設計によって異なるため、契約前に詳細を確認することが重要です。売却による返済を選択する場合は、不動産仲介手数料や登記費用などの諸経費も考慮する必要があります。
リ・バース60における手数料の分類
手数料の種類 | 内容例 | 発生タイミング | 備考 |
---|---|---|---|
契約時費用 | 事務手数料、登記費用、保証料など | 契約時 | 保証料は金融機関によって不要な場合も |
契約終了時費用 | 繰上返済手数料、不動産仲介手数料、登記費用など | 契約終了時 | 返済方法や契約形態により変動。譲渡所得税が発生する場合も |
リ・バース60とリースバックは、いずれも高齢者が自宅を活用して資金を得る手段ですが、制度の目的や仕組みは大きく異なります。
リ・バース60はあくまで住宅ローンであり、資金使途は住宅関連に限定されています。具体的には、住宅購入やリフォーム、借り換え、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金などが対象です。一方、リースバックは売却によって得た資金を自由に使えるため、生活費や医療費、旅行などにも充てることが可能です。
リ・バース60では、契約者が自宅の所有権を維持したまま資金を借りることができます。契約者の生存中は住み続けることができ、亡くなった後に元金を一括返済する仕組みです。
一方、リースバックでは、所有権を不動産会社などに譲渡し、賃貸借契約を結ぶことで住み続ける形になります。将来的に退去が必要になることもあるため、長期的な住まいの安定性を重視する場合は注意が必要です。
リ・バース60では、契約形態によって相続人の責任が異なります。まず、相続人は、契約者の死亡後に元金を「担保不動産の売却代金で返済する」か「現金で一括返済する」かの方法で返済する必要があり、前者の場合は自宅を残すことはできませんが、後者の場合には自宅を残すことができます。
また、「担保不動産の売却代金で返済する」場合には、契約時にノンリコース型を選択すれば、担保不動産の売却代金で元金が返済しきれなくても、相続人に追加の返済義務は発生しません。リコース型では、残債がある場合、相続人がその債務を返済する必要があります。
一方、リースバックは売却によって所有権が移転するため、相続財産として自宅を残すことはできません。ただし、その不動産に住み続ける権利である賃借権は相続の対象となります。
リ・バース60とリースバックの比較
比較項目 | リ・バース60 | リースバック |
---|---|---|
資金使途 | 住宅関連に限定(購入・リフォーム・借り換えなど) | 自由(生活費・医療費・旅行など) |
所有権 | 維持(契約者が所有者のまま) | 売却により譲渡(第三者が所有) |
毎月の支払い | 利子 | 家賃 |
A. 金利は契約時に選択する「固定型」または「変動型」によって異なります。固定型は契約時の利率が維持され、変動型は市場金利の動向に応じて変動します。また、「ノンリコース型」と「リコース型」の選択によっても金利水準が異なり、一般的にノンリコース型の方が金利は高めに設定されます。
A. 固定金利型を選択した場合、毎月の利子額は基本的に一定です。変動金利型の場合は、市場金利の変動に応じて利子額が変動する可能性があります。ただし、元金は契約者の死亡時に一括返済されるため、契約期間中の支払いは利子のみです。
A. いいえ。リ・バース60はローン商品であり、利子が利子を生む「複利」のような仕組みではありません。利子は元金に対して一定の利率で算出され、契約期間中に支払われます。投資商品とは異なり、利子の累積による増加はありません。
A. リ・バース60では、契約時に発生する初期費用(事務手数料、登記費用、保証料など)、契約終了時の費用(繰上返済手数料、売却時の諸費用など)などがあります。金融機関によって金額や項目が異なるため、事前に確認することが重要です。
A. 一部の手数料は借入額に含めることが可能な場合もありますが、基本的には契約時に別途支払う必要があります。詳細は金融機関ごとの商品設計によって異なります。
リ・バース60は、満60歳以上の方を対象に、自宅を担保に住宅関連資金を借り入れられる住宅ローン制度です。毎月の返済は利子のみで、元金は契約者の死亡後に一括返済されるため、年金生活でも利用しやすい設計となっています。
制度を理解するうえで重要なのは、金利の種類、利子の支払い方法、そして手数料の内訳です。金利は固定型と変動型があり、契約形態(ノンリコース型・リコース型)によっても水準が異なります。
利子は複利ではなく、元金に対して一定の利率で算出され、契約期間中に支払います。手数料は一般的に契約時・ 契約終了時にそれぞれ発生し、金融機関によって内容が異なるため、事前の確認が欠かせません。
これらの費用面を正しく理解することで、制度のメリットと注意点を把握し、自分に合った選択ができるようになります。検討の際は、家族との話し合いや専門家への相談も活用しながら、安心して制度を活用できるよう準備を進めましょう。
執筆者紹介
次に読むべき記事
リ・バース60は、満60歳以上の方でも借り入れができる高齢者向けの住宅ローンです。毎月の返済は利息のみであるため、月々の返済負担が小さいのがメリットです。元本は、債務者が亡くなったときに担保...