2023.09.13

サービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説

公開日:2023.09.13

サービス付き高齢者向け住宅とは、サ高住とも呼ばれる高齢者のための集合住宅です。サービス付き高齢者向け住宅への入居を検討しているなら、あらかじめ必要な情報を集めておくことが大切です。

この記事では、サービス付き高齢者向け住宅の入居条件や費用、利用状況などを詳しく解説します。

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」です。「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づき、都道府県から登録を受けた住宅をサービス付き高齢者向け住宅と呼びます。

サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は以下のとおりです。

住宅に関する基準

サービス付き高齢者向け住宅では、高齢者が生活するのに相応しい規模と設備を確保する目的で、住宅に関する基準が設けられています。詳細は以下のとおりです。

  • 各専用部分の床面積は、原則25㎡以上(※1)
  • 各専用部分に、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること(※2)
  • バリアフリー構造であること

※1:ただし、居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分が、高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合は18㎡以上

※2:ただし、共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えずとも可

サービスに関する基準

サービス付き高齢者向け住宅では、専門家が日中建物に常駐してサービスを提供することが、認定の基準となっています。サービス内容は、安否確認と生活相談の2つが必須のサービスとして定められています。

なお、施設によって違いがありますが、食事の提供などの生活支援サービスを提供している施設もあります。実際に入居を検討する際には、どういったサービスが受けられるのかを施設に確認しておくことが大切です。

契約内容に関する基準

サービス付き高齢者向け住宅では、高齢者が安心して長く住み続けられるように、契約内容に関する基準も設けられています。いくつか抜粋して紹介します。

  • 専用部分が明示された契約であること
  • 長期入院などを理由に事業者から一方的に解約できないことになっている等、居住の安定が図られていること
  • 敷金などの、家賃、サービスの対価以外の金銭を受領しないこと

サービス付き高齢者向け住宅の入居条件

サービス付き高齢者向け住宅の入居対象者は、「60歳以上の方」もしくは「要介護、要支援認定を受けている60歳未満の方」です。ただし、施設によっては、認知症や感染症に関する独自の入居条件を追加している施設もあります。申し込みの前に確認しておきましょう。

同居者の入居条件

サービス付き高齢者向け住宅では、一定の条件を満たせば同居することも可能です。同居者の入居条件は以下のとおりです

  • 入居者の配偶者
  • 60歳以上の入居者の親族
  • 要介護、要支援認定を受けている入居者の親族
  • 特別な理由で知事から認められている者

なお、施設によっては2人部屋がなく、部屋が別々になることもあります。あらかじめ施設に確認しておくといいでしょう。

サービス付き高齢者向け住宅の入居費用

サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸借契約を事業者と締結して入居する形となるため、初期費用や毎月の家賃などが発生します。国土交通省が公表している資料によると、令和2年8月時点でのサービス付き高齢者向け住宅の入居費用は概ね10万円前後です。

・サービス付き高齢者向け住宅の入居費用

サービス付き高齢者向け住宅の入居費用

出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」

なお、サービス付き高齢者向け住宅では、上図の費用に含まれない「家賃、サービスの対価以外の金銭」を受領しないことが、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)で定められています。

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームとの違い

有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いは、下図のようになります。

・図:有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い

図:有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い

※厚生労働省が公表している図を元に編集者が作成

サービス付き高齢者向け住宅のうち約96%が有料老人ホームにも該当することが分かっています。

高齢者向け施設のうち、①食事の提供、②介護(入浴、排泄、食事)の提供、③洗濯や掃除等の家事の供与、④健康管理のいずれかをひとつでも提供していれば、有料老人ホームと呼ばれます。

この4つのサービスは、どれもサービス付き高齢者向け住宅と認定されるために必要なサービスに含まれません。しかし、サービス付き高齢者向け住宅の約96%が①食事の提供、を行っており、結果的に有料老人ホームにも該当するのが実態です。

介護が受けられるサービス付き高齢者向け住宅とは

上図の「有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い」のとおり、サービス付き高齢者向け住宅の中には、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設も一定数存在します。

平成26年の国土交通省の調査によると、「特定施設入居者生活介護の指定を受ける予定はない」と回答したサービス付き高齢者向け住宅が95.1%と多数を占めていることが分かっています。

約10年前の調査結果ではありますが、特定施設入居者生活介護の指定を受けたサービス付き高齢者向け住宅が少数である状況は、現在も大きくは変わっていないと推測されます。

サービス付き高齢者向け住宅の利用者

国土交通省が公表している「サービス付き高齢者向け住宅の現状等」を基に、入居者の要介護度や年齢の分布を紹介します。自分の状況が、サービス付き高齢者向け住宅の利用者の状況に該当するかを、参考にすることもおすすめです。

要介護度

サービス付き高齢者向け住宅の入居者を要介護度別で見ると、どの区分も一定数入居していることが分かります。

・サービス付き高齢者向け住宅入居者の要介護度別比率

サービス付き高齢者向け住宅入居者の要介護度別比率

出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」
※編集者が一部加工

年齢

入居者の年齢は、85歳以上が全体の57.3%と最も高く、75~84歳も30.8%となっており、全体の約9割が75歳以上であることが分かります。

・サービス付き高齢者向け住宅入居者の年齢別比率

サービス付き高齢者向け住宅入居者の年齢別比率

出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」

サービス付き高齢者向け住宅の利用が向いている人

サービス付き高齢者向け住宅に向いている人は、「自立した生活を送りたい人」です。サービス付き高齢者向け住宅はあくまでも「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」であり、基本的に24時間の医療体制や充実した介護サービスが付いている施設ではありません。

そのため、申し込み時点で介護なしで生活するのが困難な人や、健康面の不安を抱えており、常に見守りを必要としている人は、サービス付き高齢者向け住宅ではなく、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームを検討する方が安心して生活できる可能性があります。

ただし、サービス付き高齢者向け住宅は要介護度の高い人が住めない施設ではありません。自身の希望や健康状態を考慮したうえで、施設選びを行いましょう。

>特別養護老人ホームとは?

まとめ

サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリーに配慮した設計になっており、見守りサービスや生活相談などに対応してくれるのが特徴です。自立した生活を送りながらも、適度なケアを受けたいという方は、サービス付き高齢者向け住宅の利用を検討してみましょう。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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