2022.01.05

老人ホーム・介護施設にかかる費用と選び方を解説

updated:2021.09.28

前回、高齢期に体が弱ってきたり、あるいは要介護状態になったりしたときの選択肢として、自宅以外の老人ホーム(高齢者向け住まい・施設)にはどのようなものがあるのかを見てきました。今回は続編として、主に費用面から整理してみましょう。

介護施設と老人ホームとは

よく使用されている「介護施設」と「老人ホーム」ですが、実は正式に定義されているわけではありません。厚生労働省のサイトなどでは、「高齢者向け住まい・施設」といった表記になっています。

そのため、前回のコラムでは、介護施設を「介護サービスを受けることができる高齢者向け住まい・施設」、老人ホームを「広く高齢者が利用できる住まい・施設」と定義づけをして、それぞれの概要について解説してきました。

なお、高齢者向け住まい・施設の利用者数は、厚生労働省の資料では次のようになっています。

出典)厚生労働省・社会保障審議会資料より

2019年で利用が最も多かったのは、介護老人福祉施設です。次が有料老人ホームで、介護老人保健施設と続きます。有料老人ホームの種別では、住宅型有料老人ホームが介護付き有料老人ホームよりも多いことが上図からわかります。

老人ホーム(高齢者向け住まい・施設)の種類と費用の目安

では、老人ホーム(高齢者向け住まい・施設)の種類と費用の目安を整理しておきましょう。それぞれの施設の特徴などは上記で紹介したコラムの解説を参照してください。

費用は目安額のため、要介護度などで変わる場合もあります。また、施設によっては入所・入居時に一時金がかかる場合もあります。有料老人ホームは特に、グレードが高いものほど一時金が高くなる傾向があり、中には数千万円の一時金がかかるものもあります。

一方で、同じ部屋に対し、一時金があるプランと、一時金がないか少額である代わりに月額がやや高めのプランを用意しているところもあります。

介護施設を除く老人ホーム

施設 公的/民間 一時金(目安) 月額(目安)
軽費老人ホーム(自立型) 公的 0~数百万円 8~20万円
住宅型有料老人ホーム 民間 0~数千万円 15~30万円
養護老人ホーム 公的 不要 0~12万円
サービス付き高齢者向け住宅 民間 0~数十万円 10~25万円
シルバーハウジング 民間 敷金 1~13万円

介護施設

施設 公的/民間 一時金(目安) 月額(目安)
介護老人福祉施設 公的 不要 5~20万円
介護老人保健施設 公的 不要 5~20万円
介護医療院 公的 不要 7~17万円
介護療養型医療施設* 公的 不要 7~17万円
軽費老人ホーム(介護型) 公的 0~数百万円 10~25万円
認知症対応型共同生活介護 民間 0~数十万円 10~25万円
介護付有料老人ホーム 民間 数十万円~数千万円 15~30万円

※介護療養型医療施設は2023年度末で廃止
※執筆者作成

老人ホームの探し方

施設選びの際には、入所・入居する人の経済状態や要介護度をはじめ、いくつかの条件で絞り込む必要があります。主なポイントは次の3点です。

  • 健康状態
  • 予算
  • 立地

健康状態

自立や要支援の状態での入所・入居なのか、要介護の認定を受けているのか。要介護度は5段階のいくつなのか。また、認知症の症状はあるのかなど、入所・入居者の要介護度から絞り込むことになります。医療的措置が必要な場合は、介護医療院や介護療養型医療施設、介護老人福祉施設が候補となります。

予算

公的施設は費用が安いものの空きが出ないと入れない状況です。有料老人ホームなどの民間施設は費用が高めです。一時金や月額などはどれくらいまで負担できるのでしょう。年金や金融資産、住宅を売却・活用して準備できる資産などを加味して検討します。

立地

家族が住む地域で探すのか、広域で探すのか。立地条件から絞り込むこともできます。家族が訪れやすいよう利便性を重視する場合は、地域を限定して探すことになります。

実際には、住んでいる地域の地域包括支援センターなどで相談をして、空室状況なども踏まえて選択することになります。

体験入所・入居などで候補を絞る

入所・入居可能な施設を絞り込んだのち、次のような5つのポイントもチェックして施設を決めましょう。

  • 設備:浴室や食堂、リハビリ施設、トイレなど
  • 介護・医療サービス:施設スタッフによる介護か、外部サービスの施設か、看護スタッフがいるかなど
  • 食事:食事がおいしいか、病気に合わせて減塩、低糖などの配慮をしてくれるかなど
  • 入院時や看取り:病院に入院すると退所となるか、看取り(施設で亡くなること)ができるのかなど
  • 経営状態:施設の運営母体の財務状況に問題がないか、倒産時にどのような保証があるかなど

2025年は団塊世代が後期高齢者になり始めることから、大介護時代が始まるとされています。介護老人福祉施設は要介護3以上で入れる施設ですが、首都圏を中心に空きがなく要介護度4でもウエイティングとなっているところもあります(有料老人ホームに入りながら介護老人福祉施設の空きを待つ場合もあります)。

公的な介護施設は、重度の人が優先となり、選択の余地はなくなる可能性があります。有料老人ホームに入る場合は、具体的に施設を見学し、いくつか候補を絞っておくのがいいでしょう。体験入所・入居もできますので、60代になったら、元気なうちに候補を絞っておくと安心です。

まとめ

上記で紹介した選び方の他にも、資金的な準備もしっかりしておく必要があります。目先の費用がまかなえるかだけでなく、90歳、95歳まで長生きをしても払い続けられるかなど、持続性も確認しましょう。費用を捻出するために、自宅の売却や賃貸による運用、リバースモーゲージなどで住宅を活用する予定であれば、それが本当に可能かどうかなども確認しておきましょう。

執筆者紹介

豊田 眞弓( Mayumi Toyoda )
マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。
個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。
<主な著書>
「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。

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