公開日:2025.11.12
住宅ローンの返済日、うっかり口座の残高が足りずに返済できなかった。そんな経験はありませんか?実は、住宅ローンの口座残高不足による延滞状態を放置すると、遅延損害金の発生や信用情報への悪影響など、思わぬリスクにつながることがあります。
この記事では、住宅ローンが口座残高不足で返済できなかったときの再引き落としの有無や延滞によるリスク、今すぐできる対処法について、わかりやすく解説します。

住宅ローンの返済日に口座残高が不足して返済できなかったとしても、すぐに重大な問題になることはありません。しかし、遅延損害金の発生、信用情報への影響など、放置すると将来的に大きなリスクにつながる恐れがあります。
まずは、速やかに金融機関に連絡し、指示に従って対応することが大切です。
住宅ローン返済が遅れると、遅延損害金が発生する場合があります。これは、元金の償還が遅れた場合などに、返済期日を過ぎた日数に応じて課されたりする費用です。遅延損害金は、未払いの返済額に加えて支払う必要があるため、放置せず、速やかに対応することが重要です。
遅延損害金は、以下の計算式で求められます。
例) 元金10万円、遅延損害利率14.0%、延滞日数12日の場合
10万円×14.0%×12日÷365日=約460円
一度の延滞が少額だとしても、繰り返すことで合計額が大きくなり、家計への負担が増加します。特に、複数回の延滞が続くと信用情報にも記録されることがあるため、金融機関への早めの連絡と入金が欠かせません。
出典)一般財団法人 住宅金融普及協会「住宅ローン用語集」
住宅ローンの返済が口座残高不足でできなかった場合、再引き落としが行われるかどうかは金融機関によって異なります。
まずは、口座残高不足で引き落としができなかったことが判明した時点で、速やかに金融機関へ連絡し、どのように対応すればよいかを確認することが重要です。放置すると遅延損害金が発生するだけでなく、信用情報にも影響することがあるため、早めの行動がカギとなります。
多くの金融機関では、返済日に口座残高が不足していた場合、各金融機関の定めるタイミングで再引き落としが行われます。再引き落としの実施前までに返済口座に不足額を入金することで、返済を行うことができます。また、延滞期間に応じた遅延損害金も同時に引き落とされる場合もあるため、事前に返済額がいくらになるかを確認しておくことが重要です。
引き落としのタイミングについてなどは、金融機関のホームページや問い合わせ窓口にて確認しましょう。
一部の金融機関や住宅ローン商品では、再引き落としではなく、指定口座への振り込みを求められるケースもあります。この場合は、振込先の口座情報や金額を正確に確認し、速やかに対応しましょう。
なお、返済期日を過ぎてからの振り込みは、すでに延滞扱いとなっている可能性があります。延滞による遅延損害金が発生する場合もあるため、金融機関からの指示を受けたら、できるだけ早く対応することが重要です。
口座残高不足に気づいた時点で、速やかに金融機関へ連絡し、返済資金を入金すれば、大きな問題に発展することはほとんどありません。しかし、そのまま放置してしまうと、住宅ローンの延滞が深刻化し、以下のような重大なリスクにつながることがあります。
延滞が一定期間続くと、住宅ローンを分割で返済する権利(=期限の利益)を失い、残債の一括返済を求められることがあります。一括返済ができない場合は、任意売却や競売によって自宅を手放すことになるケースもあるため、早期対応が不可欠です。
住宅ローンの延滞情報は個人信用情報機関に登録され、いわゆる「ブラックリスト入り」状態になる場合があります。その結果、車のローンや教育ローンなどの新たな借り入れはもちろん、住宅ローンの借り換えも難しくなるため、将来の選択肢が大きく制限されてしまう恐れがあります。
住宅ローンの延滞が長期化すると、金融機関から督促状や催告状が送付されます。それでも対応しない場合、保証会社による代位弁済が行われ、競売の申立てを受ける場合があります。最終的には、自宅が差し押さえられ、強制的に競売にかけられて売却されることになり、家を失う結果につながります。
住宅ローンの返済をうっかり忘れただけでなく、そもそも今後の返済が厳しいといった場合には、早めに対策を講じることが重要です。ここでは、返済負担を軽減するための具体的な方法をいくつか紹介します。
金融機関によっては、返済期間の延長や毎月の返済額の調整など、返済スケジュールの見直しに応じてもらえる場合があります。たとえば、「フラット35」では、不況による収入減少などで返済が困難になった契約者を対象に、返済期間の延長や一時的な返済猶予の相談が可能です。
ただし、返済期間を延長することで、総返済額や利息が増えるため、事前にシミュレーションしておくと安心です。
他の住宅ローンに借り換えることで、金利や返済期間を見直し、毎月の返済額を抑えることができる場合があります。住宅ローンの借り換えが難しい場合は、不動産担保ローンや、シニア層向けのリ・バース60への借り換えも選択肢に入ります。
「リ・バース60」については、毎月の返済は利息のみで、元金は債務者の死後に一括返済される仕組みのため、老後の生活費の負担軽減が期待できます。
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、債権者と債務者が合意のうえで担保不動産を売却する方法です。競売とは異なり、市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。ただし、金融機関の同意が必要で、売却後も残債が残る場合があるため、事前に条件をよく確認しましょう。
リースバックとは、自宅を売却したあとも、同じ家に住み続けられるサービスです。売却先のリースバック運営会社と賃貸借契約を結び、毎月家賃を支払うことで住み慣れた環境を維持できます。
「今の家を手放したくない」「生活環境を変えたくない」と考えている方には、リースバックも選択肢の一つとなるでしょう。
住宅ローンの返済が口座残高不足でできなかった場合、時間が経つほど遅延損害金が増え、信用情報にも影響を及ぼす場合があります。多くの金融機関では、再引き落としが行われますが、対応方法は金融機関によって異なるため、必ず事前に確認しましょう。
住宅ローンをそのまま返済せずに放置すると、一括返済の請求や競売による自宅の売却など、深刻な事態に発展するリスクがあります。こうした事態を避けるためにも、口座残高不足で返済できなかったことに気づいたら速やかに金融機関へ連絡し、適切な対応を取ることが何よりも大切です。
不安な方は、まずは金融機関の窓口や相談センターに連絡してみましょう。また、住宅ローンの見直しや借り換えを検討している方は、専門家への相談もおすすめです。
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