公開日:2025.11.19
「転職して間もないけれど、住宅ローンは組めるのだろうか…」
そんな不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。実は、勤続年数が1年未満でも、条件次第では住宅ローンの審査に通る可能性があります。
この記事では、金融機関が審査で重視するポイントや、勤続年数が短くても通過しやすくなる対策について、わかりやすく解説します。

住宅ローンを利用するには、金融機関の審査に通過する必要があります。その審査項目の中でも「勤続年数」は、安定した収入を判断する重要な指標とされています。ここでは、勤続年数が審査に与える影響について詳しく見ていきましょう。
国土交通省の調査によると、融資を行う際に考慮する項目の上位は以下のとおりです。
| 完済時年齢 | 98.4% |
|---|---|
| 借入時年齢 | 96.0% |
| 健康状態 | 95.1% |
| 年収 | 93.4% |
| 勤続年数 | 93.2% |
出典)国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査p.19」
このデータからもわかるように、勤続年数は年収や健康状態と並ぶ重要な審査項目であり、約9割の金融機関が重視しています。
では、具体的にどれくらいの勤続年数が求められるのでしょうか。以下は、金融機関が設定している勤続年数の基準です。
| 勤続年数の基準 | 回答数 | 回答率(複数回答) |
|---|---|---|
| 3年以上 | 128 | 約14% |
| 2年以上 | 53 | 約5% |
| 1年以上 | 612 | 約67% |
| その他 | 168 | 約18% |
※回答機関数908
出典)国土交通省「令和6年度 民間住宅ローンの実態に関する調査p.32」をもとに筆者作成
この結果から、「勤続年数1年以上」がひとつの目安となっていることがわかります。もちろん、3年以上の勤続が望ましいとする金融機関もあります。しかし、1年未満でも条件次第では住宅ローンの審査に通る可能性があります。
住宅ローンの審査では、勤続年数は「収入の安定性」を判断するための重要な指標です。現在の勤務先で長く働いているほど、収入が途絶えるリスクが低いと見なされ、審査では有利になります。反対に、勤続年数が短い場合は「収入が安定していない」と判断され、審査に不利となる場合があります。
勤続年数が短い主な理由のひとつが「転職直後」です。近年は転職が一般的になってきましたが、住宅ローンの審査では依然として勤続年数が重視される傾向があります。そのため、転職してすぐのタイミングで住宅ローンを申し込むと、審査で不利に働く可能性が高いでしょう。
勤続年数が1年未満でも、住宅ローンの審査に通る可能性はあります。ここでは、審査に通過しやすくなるローンの選び方と対策方法をまとめてご紹介します。
【フラット35】は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、全期間固定金利型の住宅ローンです。勤続年数に関する条件が設けられておらず、年齢・総返済負担率・資金使途などの要件を満たせば、勤続年数が1年未満でも申し込み可能です。
申込要件の1つである「総返済負担率」は、以下の基準が設けられています。
この基準を満たしていれば、他の要件・審査項目(信用情報、物件評価など)と合わせて総合的に判断されます。
勤続年数に厳格な基準を設けず、柔軟に審査する金融機関があります。そういった金融機関を選択したうえで、複数の住宅ローン商品を比較し、フラット35のような勤続年数の条件がないローン商品などを選ぶことで、審査通過の可能性を高めることができます。
勤続年数が短い場合でも、他の条件が良ければ審査に通る可能性は十分あります。例えば、以下のポイントを意識しましょう。
| 総返済負担率を抑える | 年収に対する年間返済額を低めに設定する |
|---|---|
| 信用情報に注意する | 他のローンを返済する、クレジットカードの延滞を避ける |
| 転職する場合は年収アップを狙う | 収入が上がればプラス評価につながる可能性がある |
住宅ローンの審査では、多くの金融機関が申込者の勤続年数を重視しています。転職などが理由で勤続年数が1年未満の場合、審査で不利になることはありますが、フラット35のように勤続年数の条件がないローン商品も存在します。
また、金融機関によって審査基準は異なるため、自分に合った選択肢を見つけることが大切です。勤続年数以外の条件(返済負担率、信用情報、年収など)を整えることで、審査通過の可能性を高めることもできます。
なお、勤続年数が短いからといって、虚偽の申告をするのは絶対に避けましょう。金融機関は審査の際に勤務先や勤務状況を確認します。虚偽が発覚すると、契約違反となり、債務の一括返済を求められるリスクもあるため、正確な情報で申し込むことが何より重要です。
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