公開日:2026.03.04
マイホームを取得する場合、地震による建物や家財の損壊に備えるには地震保険に加入するのが有効です。しかし、「保険料はいくらかかるのか」「家計への負担が重くなるのではないか」と不安を感じる方もいるかもしれません。地震保険料を節約するにはどうすればよいのでしょうか。
結論から言うと、地震保険料は「建物の構造」と「所在地」で大きく変わりますが、国の制度(保険料控除)や長期契約をうまく使えば、実質の負担額を抑えることが可能です。この記事では、地震保険料の決まり方、料金相場、節約のポイントをわかりやすく説明します。

地震保険料は、次の4つの要素で決まります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
地震保険では、建物の燃えにくさ・壊れにくさに応じて2つの区分があり、保険料が大きく変わります。
| 構造区分 | 該当する建物 | 保険料の目安 |
|---|---|---|
| イ構造 | 耐火建築物、準耐火建築物および省令準耐火建物(例:M構造、T構造) | ロ構造よりも安い |
| ロ構造 | イ構造以外の建物(例:H構造) | イ構造よりも高い |
火災保険の見積書や保険証券には、建物の構造級別が記載されています。構造級別が「M構造」「T構造」ならイ構造(安い)、「H構造」ならロ構造(高い)となります。
出典)損害保険料算出機構「地震保険基準料率表」
具体的な相場を見る前に、まず大前提として知っておきたいのが「地震保険料は、どの保険会社で契約しても金額は同じ」という点です。
地震保険は国と民間の保険会社が共同で運営する公共性の高い保険であるため、各社独自のアルゴリズム(計算方法)は存在しません。以下の「公定の計算式」に基づいて、機械的に算出されます。
この仕組みを理解したうえで、最新の相場(基本料率)を見ていきましょう。
地震保険料は、2022年10月から改定されています。以下は建物の所在地と構造区分に応じた保険金額1,000万円あたりの年間保険料の目安(割引適用なしの場合)です。
| 建物の所在地 (都道府県) | 建物の構造区分 | |
|---|---|---|
| イ構造(主として鉄骨・コンクリート造) | ロ構造(主として木造) | 北海道・青森県・岩手県・秋田県・山形県・栃木県・群馬県・新潟県・富山県・石川県・福井県・長野県・岐阜県・滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・鹿児島県 | 7,300 円 | 11,200 円 |
| 宮城県・福島県・山梨県・愛知県・三重県・大阪府・和歌山県・香川県・愛媛県・宮崎県・沖縄県 | 11,600 円 | 19,500 円 |
| 茨城県・徳島県・高知県 | 23,000 円 | 41,100 円 |
| 埼玉県 | 26,500 円 | 41,100 円 |
| 千葉県・東京都・神奈川県・静岡県 | 27,500 円 | 41,100 円 |
出典)財務省「地震保険の基本料率(令和4年10月1日以降保険始期の地震保険契約)」
住宅の免震・耐震性能に応じた割引制度や保険契約年数による割引は考慮されていないため、実際の保険料は上記金額よりも下がる可能性があります。
以下の条件で、実際に支払う保険料を試算しました。
| 地震保険の契約金額 | 地震保険の年間保険料 | |
|---|---|---|
| 建物 | 900万円~1,500万円 | 1万7,370円~2万8,950円 |
| 家財 | 300万円~500万円 | 5,790円~9,650円 |
出典)日本損害保険協会「地震保険 保険料シミュレーター」をもとに筆者試算
※本試算はあくまでも目安です。実際の地震保険料は損害保険会社または保険代理店にご確認ください。
地震保険の契約金額は火災保険の30~50%の範囲内で決める必要があることから、上記の金額となります。所在地の東京は保険料が最も高い地域の一つですが、イ構造かつ耐震等級割引(30%割引)が適用されるため、月額換算で約2,000円~3,000円に抑えられています。なお、実際の支払いは年払い、または一括払いが一般的です。
保険料は一律ですが、契約の仕方や制度活用で「支払うお金」や「実質負担」を減らすことができます。
保険期間を最長の「5年」にして一括払いにすると、1年ごとに更新するより保険料が割安になります。長期係数(割引率)は金利情勢により変動しますが、一般的に5年契約なら約4.7年分の保険料で済み、トータルの支払額を抑えることができます。
■長期係数(割引率)
| 期間 | 長期係数 |
|---|---|
| 2年 | 1.90 |
| 3年 | 2.85 |
| 4年 | 3.75 |
| 5年 | 4.70 |
出典)財務省「地震保険制度の概要」
※長期係数は金利情勢等により改定される場合があります。最新の割引率は代理店にご確認ください。
地震保険料は「地震保険料控除」の対象となり、支払った保険料に応じて所得税が戻ってきたり、翌年度の住民税が安くなったりする可能性があります。
| 税金の種類 | 控除される限度額 |
|---|---|
| 所得税 | 最高 50,000円 |
| 住民税 | 最高 25,000円 |
例えば、所得税率20%・住民税率10%の人が年間5万円の地震保険料を払った場合、年末調整や確定申告で約12,500円の税金が戻ってくる(安くなる)可能性があります。これを加味すれば、実質の保険料負担はさらに軽くなります。
住宅が「免震建築物割引」「耐震等級割引」「耐震診断割引」「建築年割引」のいずれかの要件に該当する場合には、それぞれの基準を満たすことが確認できる所定の資料(住宅性能評価書など)を提出すれば、以下の保険料の割引が受けられます。
特に中古住宅を購入した場合や、リフォームで耐震改修をした場合は、適用漏れがないか忘れずに確認しましょう。
出典)日本損害保険協会「地震保険の保険料の割引制度について教えてください。」
地震保険には「火災保険の保険金額の50%までしかかけられない」という法的な上限があります。「保険料を安くしたいから補償額を下げる」のではなく、「ベースの地震保険は長期契約・保険料控除で抑えつつ、足りない分を上乗せ保険でカバーする」のが現代の賢い備え方です。
通常の地震保険とは別に、不足分をカバーするために少額短期保険などに加入する、または火災保険の上乗せ特約を利用する方法があります。
例えば、マイホームが地震で全壊した場合、瓦礫の解体費や家が建つまでの仮住まい費用なども発生するため、元の家の価格以上に再建費用がかかるケースも珍しくありません。地震保険(最大50%)だけでは再建費用が不足するため、こうした「上乗せの備え」で自己資金の持ち出しを防ぐことが重要です。
地震保険料は、建物の所在地や構造、耐震性能、保険期間などに応じて決まる仕組みになっています。保険料の負担を軽減するには、「長期契約(一括払い)」を選択したり、物件選びの段階で「イ構造(マンション・鉄骨)」を選んだりするのが有効です。
ただし、地震保険では火災保険の最大50%しか補償されません。自己資金が少なく、地震保険や公的支援制度だけでは備えが不足する場合は、地震補償保険の上乗せを検討しましょう。
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