更新日: / 公開日:2020.12.02
老後の資金計画や住宅ローン返済の選択肢として注目される「リースバック」「リバースモーゲージ」「リ・バース60」。いずれも「自宅を活用して資金を得る」商品・サービスですが、所有権の扱い、返済方法、相続への影響、費用構造など、仕組みやリスクは大きく異なります。
「どれを選べばいいのか?」「自分に合った商品・サービスはどれなのか?」と迷う方も少なくありません。この記事では、まず3つの商品の概要と特徴を紹介し、違いをひと目で理解できる比較表を掲載します。
さらに、利用目的別におすすめの商品・サービスと向いている方の特徴を整理し、選ぶ前に確認しておきたいチェックポイントをまとめました。自宅を活かした資金計画を安心して進めるための参考にしてください。
リースバックは、自宅を不動産会社などに売却し、そのまま賃貸契約を結んで住み続けられる不動産取引です。所有権は買主に移りますが、利用者は賃料を支払うことで引っ越しをせずに暮らせます。売却代金を一括で受け取れるため、老後資金や急な出費に対応しやすいのが特徴といえます。
ただし、家賃負担が発生することや、将来的に賃料改定や再契約できないリスクがある点には注意が必要です。
リ・バース60は、住宅金融支援機構が提供する高齢者向け住宅ローンで、毎月の返済は利息のみ、元金は契約者の死亡時に一括返済する仕組みです。返済は担保不動産の売却で行うのが一般的で、ノンリコース型のため相続人の負担が限定的になる点が安心材料です。老後の住まいを維持しながら資金を確保できるのが大きな特徴です。
ただし、長期間利用すると利息が積み上がることや、年齢や物件に関する利用条件がある点は理解しておきましょう。
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から融資を受けられる商品で、毎月の返済は利息のみ、元金は契約者の死亡時に一括返済する仕組みです。生活費や医療費など幅広い資金使途に対応できる柔軟性が魅力で、老後の資金計画に活用する人も増えています。
ただし、金利変動リスクや長生きによる利息負担の増加、担保評価による借入額の制限といったデメリットもあります。
リースバック、リ・バース60、リバースモーゲージは、いずれも「自宅を活用して資金を得る」という共通点がありますが、仕組みや条件は大きく異なります。以下の比較表で主要な違いを確認してください。
項目 | リースバック | リ・バース60 | リバースモーゲージ |
---|---|---|---|
利用条件金融審査 | 金融審査なし/年齢制限なし | 金融審査あり/原則60歳以上 | 金融審査あり/原則60歳以上 |
所有権 | 移転 | 維持 | 維持 |
資金使途 | 自由 | 住宅関連(購入・建築・リフォーム・借換) | 幅広い(生活費・医療費など) |
月々の支払い | 賃料 | 利息 | 利息 |
相続される権利 | 賃借権 | 所有権* | 所有権* |
維持・管理費用 | 不動産賃借にかかる費用 | 不動産所有にかかる費用 | 不動産所有にかかる費用 |
※元金を担保不動産の売却によって完済する場合は除く
リースバック、リ・バース60、リバースモーゲージは、いずれも「自宅に住み続けながら資金を確保できる」高齢者向けの商品・サービスです。住み慣れた環境を維持したい、引っ越しを避けたいというニーズに応える点では共通していますが、資金使途や返済方法、相続への影響などに違いがあります。
ここでは、代表的な利用目的ごとに、どの商品・サービスが適しているかを整理し、それぞれが向いている人の特徴をまとめました。
老後の生活費や医療費など、まとまった資金を早めに確保したい方には、リースバックやリバースモーゲージといった商品・サービスが適しています。
リースバックは、自宅を売却して現金化することで、一括でまとまった資金を得られるのが特徴です。住宅ローンの返済負担を軽減したい方にも有効な選択肢です。
一方、リバースモーゲージは、必要な分だけ段階的に借り入れられる柔軟性があり、生活費などを少しずつ補いたい方に向いています。
いずれのサービスも、賃料や利息の支払いが継続するため、安定した収入があることが前提となります。また、相続よりも生活資金の確保を優先したい方にとっては、これらの商品・サービスが現実的で安心感のある選択肢となるでしょう。
現在の住まいが老朽化していたり、バリアフリー対応の住宅への住み替えを考えている方には、リ・バース60が適した商品・サービスです。住宅関連資金に特化しているため、建て替えや新築購入、リフォームなどにも柔軟に対応できます。
毎月の返済は利息のみで済むため、収入に不安がある方でも利用しやすく、ノンリコース型を選択すれば、相続時の負担も限定的である点が安心材料です。住宅ローンの借り換えを検討している方にも有効な選択肢となります。
また、新居への引っ越しまでの間、仮住まいを避けたい場合には、リースバックを活用して現在の住まいに住み続けるという方法もあります。新居の準備が整うまでの期間を、安心して過ごすことができるでしょう。
毎月の住宅ローン返済が負担になっている方には、リ・バース60やリースバックといった商品・サービスが選択肢となります。
リ・バース60は、毎月の返済を利息のみに抑えることができるため、収入が限られている方でも無理なく利用しやすいのが特徴です。住宅ローンの借り換えとして活用することで、返済負担を大幅に軽減できる可能性があります。また、ノンリコース型を選択すれば、万が一契約者が亡くなった場合でも、相続人の返済義務が限定される点も安心材料です。
一方、リースバックは自宅を売却して得た資金でローン残債を一括返済する方法として有効です。売却後も賃貸契約を結ぶことで住み続けることができるため、住環境を変えずにローン問題を解消したい方に向いています。ただし、毎月の賃料が発生するため、長期的な収支計画を立てたうえでの利用が望まれます。
リースバック・リ・バース60・リバースモーゲージのいずれを選ぶにしても、事前に確認しておきたいポイントがあります。制度の違いを理解するだけでなく、自分や家族の状況に照らして慎重に検討することが重要です。
商品・サービスを選ぶ際には、家族との話し合いが欠かせません。自宅の扱いや相続に関わるため、事前に共有しておくことで安心して進めることができます。
相続人への負担を避けたい場合は、ノンリコース型のリ・バース60やリバースモーゲージが有効です。契約者が亡くなった後でも、相続人が元金を返済する義務を負わないため、相続時のトラブルを防ぎやすくなります。
また、毎月の支払いが無理なく続けられるか、資金の使い道、年齢や物件の条件を満たしているかも判断材料となります。
リースバック・リ・バース60・リバースモーゲージは、いずれも高齢者が自宅に住み続けながら資金を確保できる商品・サービスです。ただし、所有権の扱いや返済方法、相続への影響など、それぞれに異なる特徴があります。
この記事では、各商品の仕組みや違いを比較し、利用目的別におすすめの選択肢を整理しました。さらに、選ぶ際に確認しておきたいポイントも紹介しています。
自分のライフスタイルや資金ニーズに合った商品・サービスを選ぶことで、老後の安心と住まいの安定につながります。迷ったときは、無料相談やシミュレーションツールを活用し、専門家の意見を参考にすることもおすすめです。