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2019年3月に、金融庁から『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』が発表されました。これは、金融庁が全国の金融機関を対象として、おもに投資用不動産向け融資の実態についてアンケート調査をしたものです。その内容を2回にわたって紹介します。ここでいう投資用不動産向け融資とは、個人が投資目的で、居住あるいは宿泊用の不動産を取得するために金融機関が行なう融資のことで、一般的に不動産投資ローンと呼ばれるものです。 「不動産投資ローン」が拡大したのは2016年から まず、この調査の背景について説明をしておきましょう。2018年に明るみになったスルガ銀行 の不正融資問題を受けて、金融庁は、銀行と信用金庫、信用組合を対象として、不動産投資ローンの貸出額や残高、さらに、融資審査の中身についてアンケート調査をしました(調査時期は2018年10~11月)。 実は、スルガ銀行の不正融資問題が発覚する前から、すでに金融庁は不動産投資ローンについて注視をしていました。ここ数年、銀行および信用金庫の不動産業向け融資の残高は増加を続ける中、2016年3月期と2017年3月期に、不動産投資ローン(表の表記では「個人による貸家業向け貸出残高」)が拡大をしたからです。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高の推移】 上の表は、日銀が発表している銀行と信用金庫の「貸出先別貸出金」というデータを、金融庁が集計したものです。この表をみると、2016年3月期の1年間で、不動産業向けの貸出残高が前年比で6.3%増加していることがわかります。同様に、2017年3月期も6.4%増加しました。一方で不動産業向け融資の増加率に相応して、「個人による貸家業向け貸出残高」も、2016年3月期3.8%、2017年3月期4.0%と増加しました。この時期から、金融庁は、不動産投資ローンのリスクに懸念を持っていたようです。 不動産業向け融資は拡大傾向が続く その後、2018年にスルガ銀行を始めとした、地方銀行のアパート投資向けの不正融資が明らかとなります。その影響で、2019年3月期の「個人による貸家業向け貸出残高」は横ばいとなり、新規の貸出しは急減することとなりました。 ただし、ここで注意すべき点は、不動産業向け貸出については、不正融資が問題化した後もそれまでとあまり変わらないペースで拡大をしていることです。金融庁のアンケート調査には掲載されていませんが、「個人による貸家業向け貸出残高」を除いた不動産業向け貸出残高の推移は、下の表のようになっています。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高(個人による貸家業向け貸出残高を除く)の推移】 この表から分かるのは、不動産業向け貸出残高は2019年3月末時点で、前年比5.7%と依然として高い伸びを記録していることです。つまり、銀行と信用金庫の不動産業に対する融資姿勢には、それほど大きな変化はなかったことになります。 不動産業者に、「アパート投資向けの不正融資が社会問題化して以降、金融機関の融資姿勢に変化はあるか?」という質問をすると、「それほど変わっていない」という答えが返ってくることが多いのですが、このデータはそれを裏付けていると言えます。 但し、表①でみたように、不動産投資ローンについては、消極的なスタンスとなる金融機関は増えています。金融庁のアンケート調査によると、「消極的」と回答した銀行は、2016年3月期は全体の4%でしたが、2018年9月期には17%に、同じく、信用金庫は全体の11%から25%へと増加しています。 以上のことから、当面、不動産投資ローンの新規実行は伸び悩む一方、不動産業向け融資にはそれほど影響がない、ということが予想されるでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2) この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく... ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)
不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この表示だけで比べることは困難です。実際に借り入れるローンの金利は、融資の審査を通過した後に提示されることになるからです。 時間に余裕があれば、複数の金融機関に融資の申し込みをし、審査後に提示された金利を比較して、いちばん有利なローンを選ぶことができるでしょう。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。申し込みごとに必要書類を揃えたりするのは、結構面倒なものです。金利を比較するために、5社も6社も申し込むという人は、かなり少ないと思われます。ほとんどの人は、もっとも早く審査を通過して、ローンが借りられることが決まった金融機関を選んでいるのではないでしょうか。 実際に契約されたローン金利がわかる「平均約定金利」 >不動産担保ローンの概要についてはこちら ただ、やはり金利が高いのか低いのかは、気になるところ。もし平均的な金利の水準がわかれば、それと比較することで、少なくとも金利が高いのか低いのかの目安くらいはつくことになります。実は、その平均的な水準は公表されています。日本貸金業協会は、各種の資料を公表しており、そこには平均的な金利水準も含まれているのです。 日本貸金業協会とは、「貸金業法」という法律に基づいて貸金業を営んでいる金融機関が加盟している業界団体です。2007年12月に、「貸金業法第26条第2項」の規定に基づき、内閣総理大臣の認可を受けて設立されました。参加しているのは、融資を行う、銀行以外の金融機関です。 平均約定金利 前述のように、この日本貸金業協会が発表する統計データの中に、「約定金利」という項目があります。約定金利とは、簡単にいうと、実際に契約されたローンの金利のことで、日本貸金業協会のホームページには、「月末平均約定金利」として、協会に加盟する金融機関が行った、月ごとのローンの金利の平均値を掲載しているのです。早速、そのデータをみてみましょう。以下は、2019年3月上旬に閲覧することができる最新のもので、2018年12月時点のデータです。 ○月末平均約定金利 消費者向け有担保貸付 6.08% 事業者向け有担保貸付 3.66% 消費者向けというのは借りる人が個人で、事業者向けというのは借り手が法人です。また、有担保貸付とは担保があるローンのことで、住宅ローンを除いたものですので、実質的に、不動産担保ローンのデータと考えて問題はありません。このデータは、2018年12月に行われたローンの平均値が個人向け6.08%、法人向け3.66%だった、ということを表しています。個人と法人で、「意外と差があるな」と思った人も少なくないかもしれません。 現在、不動産担保ローンを申し込んでいて、金融機関からローンの金利を提示された人がいれば(あるいはすでに返済を始めている人は)、ローン金利が平均よりも高いか低いのかは、この数値で判断ができることになります。 「平均約定金利」はひとつの目安 ただし、この平均約定金利はあくまで全体の平均値です。すでに、何度か借り入れをしていて、ローンの実績がある、つまり信用力が高い個人や法人が含まれているわけです。新規で不動産担保ローンを借りるときは、この平均約定金利よりも一般的には〝高め〟になるといえるでしょう。 また、貸金業者全体の平均約定金利なので、さまざまな業者が含まれている点にも注意が必要です。平均値を上回っているからといって、必ずしも〝高めの金利〟とはいえません。一見、高めの金利にみえても、同じような業態の金融機関の中では、低い方の金利になっている、といったケースもあり得ます。 業態別の平均約定金利 ちなみに、この日本貸金業協会の統計データには、融資をする金融機関の業態ごとのデータも掲載されています。その業態の名称は、「消費者金融」「事業者金融」「クレジット等」の3種類となっていますが、それぞれの名称が一般的に表す業態とはちょっとズレています。というのも、日本貸金業協会の分類は、金融庁が定めている分類に沿ったものになっているからです。金融庁の分類はかなり複雑になっているため、一般的に用いられている名称とは、そのカバーする業態が違っています。 以下、その業態別の平均約定金利を記しますので、上記の点を考慮に入れ、あくまで参考としてご覧ください。 ○消費者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融 5.86% 事業者金融 6.76% クレジット等 5.66% ○事業者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融 3.98% 事業者金融 4.10% クレジット等 1.59% 消費者向け、事業者向けともに、消費者金融の金利が事業者金融を下回っていることに、違和感を覚える人もいると思われます。事業者金融の金利の方が高い理由としては、ローンを利用する人や法人が、初回の借り入れであっても借入金額が多額になる場合が比較的多いこと、さらに、起業したばかりの法人が含まれていること、などが考えられます。いずれも、銀行など他業態の金融機関では貸し出しが難しいケースといえるでしょう。その分、金利が高めに設定されることになります。 なお、今回紹介したデータは、日本貸金業協会のホームページにある「月次統計資料」のコーナーで閲覧できます。興味のある方は、一度訪れてみてはどうでしょうか。 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる... 次に読むべき記事 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...
不動産担保ローンを利用して資金調達するには、金融機関の審査に通過する必要があります。不動産担保ローンの利用経験がないと、審査がどのように行われ、どうしたら審査に通過できるかわからないかもしれません。また、不動産担保ローンの審査に通過しなかった人も審査基準を理解することで、何故審査に落ちたのかを理解できる可能性もあります。 この記事では、不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイントを解説します。 不動産担保ローンの審査基準とは? 不動産担保ローンを申し込むと、金融機関は必ず審査を行ないます。金融機関は審査結果に基づいて、「お金を貸してもよいか?」「融資できる金額はどのくらいか?」といった判断をします。 不動産担保ローンの場合、審査の対象は融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」の大きく二つに分かれます。この審査基準を理解することで、審査に通過しやすくなるでしょう。 「信用力」の審査 審査対象の1つ目は信用力です。これは、ローン商品において必ず審査をされる対象で、不動産担保ローンであってもその重要性は変わりません。信用力を計る代表的な指標としては、まず収入が挙げられます。収入とは個人であれば年収、企業であれば利益のことです。 収入 当然、収入は多ければ多いほど信用力は高くなります。一方で、収入が多いかだけで評価されるわけではなく、「返済負担率」も重要なポイントです。返済負担率とは、借入金の返済額が収入に占める割合を示す指標で、「年間返済額」÷「年収」×100で求められます。例えば年収が500万円で、ローンの返済額が150万円のとき、返済負担率は30%(150万÷500万×100)になります。返済負担率が高くなるほど評価は悪くなり、審査に通過する可能性も低くなります。 返済履歴 過去にローンを借りたことがあれば、その返済状況も審査されます。ローンを借りたこと自体が評価を落とすわけではなく、ローンの支払状況が悪いことで信用力は低くなります。ローンを延滞したことが信用情報に登録されると、金融機関側は融資金の回収リスクが高いと判断するため、審査に通過したとしても融資条件が悪くなる可能性があります。 勤続年数 信用力の審査では、個人の場合は勤続年数、法人の場合は事業年数も審査されます。勤続年数が長くなるほど、安定した収入が継続的に得られているとみなされるからです。反対に、転職したばかりの個人や設立間もない法人は、収入に安定性がないと判断はされやすくなります。 年齢 不動産担保ローンの返済期間は、長期にわたることも多いため、年齢も審査項目になります。一般的な商品では、ローンを借りるときの「申込時年齢」や何歳までに完済する必要があるかという「完済時年齢」が定められています。 金融機関によって条件は異なりますが、申込時年齢が60歳から70歳、完済時年齢が70歳から80歳までに設定されていることが一般的です。高齢になることで返済負担率の面から厳しいだけでなく、そもそも申し込むことができない可能性もあります。 他の金融機関からの借入状況 また、他の金融機関からの借り入れの有無と、その借入金額、何社からの借り入れがあるのかも判断基準になります。不動産担保ローンの借入希望額だけではなく、すでに借りている金額も合算して返済負担率を判断するため、合計の借入金額がいくらなのかも留意しておく必要があります。 「不動産の価値」の審査 審査対象の2つ目は不動産の価値です。借り入れの担保とする不動産の価値が高いほど審査に通りやすく、まとまった金額のローンが組めます。不動産の価値を求める際にはいくつかの基準があり、実際に取引される価格である「実勢価格」のほか、国土交通省が発表している「公示地価」、都道府県による「基準地価」、国税庁の「路線価」、市町村の「固定資産税評価額」、の5つの指標で評価されることから、「一物五価」とも言われます。 関連記事はこちら公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説 土地の評価方法 土地の評価は金融機関によって重視する基準も異なりますが、比較的よく用いられるのは国税庁の路線価です。路線価の正式名称は「相続税路線価」といい、相続税を算定するときに使う地価のことです。 一般的な不動産の売買価格は公示地価や基準地価に基づいて算定されており、路線価は公示地価、基準地価よりも低く、その8割程度とされています。つまり、路線価は、公示地価、基準地価より2割程度は割安に評価されているわけです。 不動産担保ローンの審査の際に実態よりも低い路線価が採用されている理由は、金融機関のリスクヘッジのためです。不動産担保ローンでは、融資金の回収が不可能となった場合に、担保不動産を売却することで融資金を回収します。 しかし、地価の値下がりなどによって不動産の価値が下落すると、担保不動産を売却しても融資金を回収できない恐れがあります。そこで、より保守的な価格である路線価を採用し、将来的に不動産の価値が値下がりをしても、融資金を回収できる可能性が高まります。 建物の評価方法 土地に比べて建物の評価の方法は少し複雑です。まず、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築、購入した場合に必要となる金額のことです。そして、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを用いて、建物の評価額を決定します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると、建物の価格は0円とみなされることが多い点には注意が必要です。例えば、住宅用の木造戸建ての場合、国税庁が定める法定耐用年数は22年です。すると、築22年を超えた戸建ての建物価格は0円とみなされます。したがって、注文住宅などの比較的建物にお金をかけている建物だとしても、築年数が古いことで建物の評価は大きく下がります。 不動産担保ローンの審査に通過するためのポイント 不動産担保ローンの審査に通過するためには、事前準備が大切です。必要書類を早く集め、担当者からの質問には正確に回答して、なるべく多くの情報を提供することを心掛けましょう。担保不動産の評価や信用力も大切ですが、担当者への対応も審査結果に影響を与えます。 不動産担保ローン審査までの流れ 一般的に、不動産担保ローンの審査に進むためには金融機関のホームページから仮審査を申し込む必要があります。仮審査に申し込むとフォームで入力した内容をもとに、金融機関の担当者が仮審査を行います。 関連記事はこちら不動産担保ローンの「仮審査」とは? 仮審査の段階では一般的に、担保の対象となる不動産をそもそも取り扱えるのか、また、担保としたときに希望金額を融資することができるのかを主軸に審査します。仮審査に通過すると、金融機関の担当者との面談や借り入れの本申し込みに進みます。 不動産担保ローンの審査における必要書類 本申し込みに進むと前述した信用力や不動産の価値の審査に入り、必要に応じて以下のような必要書類を準備することとなります。 納税証明書 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書) 借入残高証明書(住宅ローンを借りている場合) 商業登記謄本、決算書類、事業計画書など(法人の場合) 不動産登記簿謄本 固定資産税納付書 納税証明書や収入証明書は、自治体の窓口で即日発行が可能です。住宅ローンが残っている不動産を担保にする場合は、住宅ローンを組んでいる金融機関に借入残高証明書の発行を依頼します。法人の場合は商業登記謄本や決算書類、事業計画書なども提出しなくてはなりません。 関連記事はこちら納税証明書とは?種類ごとの記載事項や取得方法などを解説 不動産登記簿謄本は法務局の窓口のほか、郵送やオンラインによる交付請求も可能です。固定資産税納付書は手元に保管しているかを確認し、見つからない場合は自治体の窓口で相談しましょう。 すべての必要書類を準備するには時間がかかるので、余裕を持って対応することが大切です。金融機関や条件によって、上記以外の必要書類もあるので、担当者に必ず確認しましょう。 不動産担保ローンの審査を受ける際の注意点 金融機関は日々多くの相談を受けており、担保不動産や信用力の調査を徹底的に行うため、虚偽の情報は逆効果です。仮に審査に通過したとしても、融資実行後に嘘が発覚した場合は一括返済を求められる恐れもあります。不利になることも正直に伝えるなど真摯に対応することで、金融機関から信頼を得ることができ、結果として審査に通過しやすくなるでしょう。 また、個人事業主や法人の場合は、事業計画書の内容も重要です。金融機関の信頼を得られるように、客観的な事業計画を具体的に作成することも審査通過のポイントです。内容がわかりやすく、根拠をもとに作られた事業計画であれば、金融機関は審査しやすくなります。 事業計画書を提出する前には、専門家などに内容を確認してもらうといいでしょう。自分ひとりで事業計画書を作成すると、金融機関の印象を少しでも良くしたいという思いから、売上などの見通しが甘くなることも考えられます。専門家の視点を取り入れることで、実現可能性が高い、説得力のある事業計画を作成できます。 不動産担保ローンの審査期間 不動産担保ローンを申し込む人の中には、急ぎで資金を借りたい人もいるかもしれません。しかし、不動産担保ローンは即日や数日での融資には向いていない商品です。キャッシングやカードローンなどの無担保ローンでは、融資金額が比較的少額であり、収入証明書などの限られた書類を基に最短30分での借り入れが可能な商品性を持っています。 一方で、不動産担保ローンでは、前述の信用力や不動産の価値を審査するための書類だけでなく、実際に担保となる不動産を調査するために現地に赴くなど、無担保ローンにくらべて一定の審査期間が必要です。 そのため、スピード融資を謳っている金融機関でも、一般的には2週間程度の期間がかかると思っていた方が良いでしょう。 関連記事はこちら即日融資可能な不動産担保ローンの注意点を解説!最短で資金調達するには? まとめ 不動産担保ローンの審査の対象は、融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」であることを説明しました。しかし、審査通過のためには正確な情報を真摯に担当者に伝え、金融機関からの信頼を得ることが大切です。これらのポイントを踏まえたうえで不動産担保ローンの審査に進むといいでしょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる...
不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。無担保ローンに比べて、まとまった金額を低金利で借りられる一方、返済が滞ると不動産が競売にかけられるリスクもあります。 「住宅ローン返済中でも借りられる?」「家族名義の不動産でも使える?」など、気になるポイントも多いため、利用前に仕組みや特徴をしっかり理解しておくことが大切です。 この記事では、不動産担保ローンの仕組みやメリット・デメリット、必要書類や審査の流れまで、初めての方にもわかりやすく解説します。 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保にして、資金を借りられるローン商品です。金融機関によっては、築古や第二抵当の不動産のほか、家族や法人名義の不動産も担保にできます。 また、不動産担保ローンは有担保ローンの一種で、不動産のほかに、有価証券を担保とする証券担保ローンや、企業の在庫や売掛債権を担保とする動産担保融資(ABL)などがあります。 有担保ローンに対して、テレビCMなどで見かけるカードローンやキャッシングなどは無担保ローンに分類されます。無担保ローンは、一般的に不動産担保ローンよりも金利が高く、借入可能額が少額となりますが、手続きが簡単で即日融資が可能な商品もあります。 不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンの金利は低い?他ローンとの比較 不動産担保ローンは、カードローンやビジネスローンなどの無担保ローンに比べて、金利が低く設定される傾向があります。これは、不動産という資産を担保にすることで、金融機関にとってリスクが低くなるためです。 実際に、日本貸金業協会が公表した令和7年6月の統計によると、無担保貸付の平均約定金利が15.07%であるのに対し、有担保貸付(住宅向を除く)の平均約定金利は3.73%と、大きな差があります。 出典)日本貸金業協会「月次統計資料 令和7年6月発行」 借入限度額はどれくらい?最大1億円以上も可能 不動産担保ローンでは、担保となる不動産の評価額に応じて、借入限度額が大きく設定されることがあります。一般的なカードローンの限度額が数百万円〜1,000万円程度であるのに対し、不動産担保ローンでは1億円以上の融資が可能なケースもあります。 事業資金・相続対策などでまとまった資金を確保したい方にとって、大きなメリットとなります。 返済期間は最長35年?長期借入のメリットと注意点 不動産担保ローンは、返済期間を長く設定できる点も魅力のひとつです。金融機関によっては、住宅ローンと同様に最長35年の返済期間を選べる場合もあります。 長期借入によって月々の返済負担を軽減できる一方で、返済期間が長くなるほど利息の総額が増えるため、借入前に返済シミュレーションを行い、総返済額や月々の負担を確認しておくことが重要です。 なお、カードローンなどで一般的に採用される「リボルビング方式」とは異なり、不動産担保ローンでは元利均等返済や元金均等返済などの方式が用いられることが多く、返済計画の立てやすさも特徴です。 不動産担保ローンのデメリット 借り入れまでに時間がかかる 不動産担保ローンは、カードローンやキャッシングなどの無担保ローンと比べて、融資までに時間がかかる傾向があります。無担保ローンでは、最短数分で審査が完了し、即日融資が可能な商品もありますが、不動産担保ローンでは与信審査に加えて、不動産の調査や評価が必要です。 そのため、スピードを重視する金融機関であっても、融資実行までには数日〜数週間程度かかるのが一般的です。ただし、すでに同じ金融機関で不動産担保ローンを利用している場合は、追加融資が比較的早く受けられる可能性もあります。 登記費用や手数料などの諸費用が発生する 不動産担保ローンでは、金利が低く設定されている一方で、さまざまな初期費用が発生します。主な費用には、事務手数料、不動産調査費用、印紙代、登記費用、司法書士報酬などが含まれます。 事務手数料は融資金額の数%で設定されることが多く、借入額によっては数十万円に達することもあります。さらに、担保設定に必要な登記費用や専門家への報酬を加えると、諸費用の総額は無担保ローンよりも高くなります。 そのため、低金利で借りられるメリットがあっても、総支払額では無担保ローンより高くなるケースもあるため、事前に費用の見積もりを確認しておくことが重要です。 返済不能時の競売リスクがある 不動産担保ローンでは、融資を受ける際に担保不動産に「抵当権」が設定されます。抵当権とは、債務者が返済できなくなった場合に、金融機関が不動産を売却して融資金を回収する権利のことです。 返済が滞ったからといってすぐに競売にかけられるわけではありませんが、延滞が続き、金融機関が回収困難と判断した場合には、競売手続きに移行する恐れがあります。 競売には、売却価格が市場価格より低くなる、所有権を失う、家族に知られるなどのリスクが伴うため、返済計画を慎重に立てることが求められます。 関連記事はこちら競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法 不動産担保ローンの申し込みから融資までの流れ 不動産担保ローンの申し込みから融資実行までの一般的な流れは、以下の6ステップで進みます。 仮審査 面談・本申込 不動産調査 審査 契約 融資実行 ① 仮審査 まずは、金融機関のホームページや窓口から仮審査を申し込みます。仮審査では、簡易的な不動産査定と申込者の基本情報をもとに、融資の可否や概算の融資限度額が提示されます。 ② 面談・本申込 仮審査に通過すると、営業担当者との面談に進みます。面談では、申込書の記入や本人確認書類、不動産関連書類の提出が必要です。なお、面談を行ったからといって、必ず本申込をしなければならないわけではありません。 ③ 不動産調査 本申込後、金融機関が担保にする不動産について詳細な調査を行います。調査方法は金融機関や物件の種類によって異なり、現地訪問や内覧が必要な場合もあります。 ④ 審査 不動産調査と並行して、申込者の信用情報や収入状況などをもとに与信審査が行われます。審査結果に基づき、最終的な融資金額や適用金利が決定されます。 ⑤ 契約 審査に通過すると、金銭消費貸借契約や抵当権設定登記などの契約手続きに進みます。契約は金融機関の店舗で行うのが一般的ですが、希望すれば自宅や事務所での対応も可能な場合があります。 ⑥ 融資実行 契約完了後、指定された融資実行日に資金が振り込まれます。なお、事務手数料などの諸費用は融資金から差し引かれるため、別途現金を用意する必要はありません。 不動産担保ローンの必要書類一覧と準備のポイント 不動産担保ローンの申し込みには、本人確認や収入状況、不動産の権利関係などを証明するための各種書類が必要です。以下は、一般的に求められる書類の一覧です。 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) 実印 印鑑証明書 納税証明書、固定資産税納付書 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書など) 不動産登記簿謄本 不動産権利証(登記識別情報) 借入残高証明書(他社借入がある場合) 商業登記簿謄本、決算書類、事業計画書など(法人の場合) 書類の提出タイミングと注意点 本申込時には、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類の提出が必要です。契約時には、印鑑証明書や実印を用意する必要があります。 審査の過程では、申込者の信用力を判断するために、納税証明書や固定資産税納付書、収入証明書などが求められます。また、担保となる不動産の状況を確認するために、不動産登記簿謄本や借入残高証明書の提出を求められることもあります。 金融機関によって異なる書類要件 必要書類は、金融機関の審査基準や担保とする不動産の種類によって異なる場合があります。特に法人名義の不動産を担保にする場合や、共有名義の物件を利用する場合は、追加書類が必要になることもあります。 事前に金融機関の担当者に確認し、漏れなく準備することで、審査や契約がスムーズに進みます。 不動産担保ローンの審査基準 不動産担保ローンの審査では、申込者の「信用力」と担保となる「不動産」の2つの要素を総合的に判断して、融資の可否が決定されます。 信用力の審査 個人の場合は、収入や年齢、過去の返済履歴、他社からの借入状況などが確認されます。法人の場合は、利益や財務状況、事業計画などが審査対象となります。 より詳しい審査項目や通過のポイントについては、以下の記事をご覧ください。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 不動産の審査 担保として提供される不動産が、対象物件として問題ないかを確認したうえで、担保評価額が算出されます。一般的に、不動産の価値が高いほど審査に通りやすく、借入可能額も大きくなります。 関連記事はこちら不動産担保ローンの担保評価額を解説!いくら借りられるかの目安を知る方法とは? 金融機関による審査基準の違い 同じ申込内容でも、金融機関によって審査結果が異なることがあります。ある金融機関では融資が難しい場合でも、別の金融機関では可能と判断されるケースもあります。銀行とノンバンクでは審査の傾向や基準が異なるため、複数の選択肢を比較することが重要です。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンの活用事例 まとまった資金を確保して資金繰りを改善 不動産担保ローンは、担保不動産の評価額に応じて高額な融資が可能であり、返済期間も長く設定できるため、資金繰りに余裕を持った調達ができます。特に、無担保ローンからの借り換えによって金利が下がれば、毎月の返済負担を軽減し、キャッシュフローの改善につながります。 ただし、返済期間が長くなるほど利息の総額は増えるため、借入前には返済シミュレーションを行い、総支払額を確認しておくことが重要です。 赤字決算でも事業資金を確保できる可能性 法人が赤字決算の場合、無担保での融資は難しいケースが多いですが、不動産担保ローンであれば、信用力だけでなく担保不動産の価値を加味して審査が行われるため、融資を受けられる可能性があります。 また、開業直後の法人や、これから創業する企業でも、事業計画や担保物件の内容によっては融資が可能なケースもあります。事業資金の確保手段として、不動産担保ローンは柔軟な選択肢となり得ます。 相続不動産を担保にして相続税や費用を準備 相続が発生すると、相続税や代償分割、遺留分の支払いなど、まとまった資金が必要になることがあります。相続財産の中に不動産が含まれている場合、その不動産を担保にすることで、相続に伴う費用を融資でまかなうことが可能です。 現金が手元にない場合でも、不動産担保ローンを活用することで、納税資金や分割資金を確保でき、円滑な相続手続きにつながります。 不動産担保ローンに関するよくある質問と回答 住宅ローン返済中でも借りられる?第二抵当権の活用 住宅ローンが残っている不動産でも、第二順位の抵当権を設定することで不動産担保ローンを利用できる可能性があります。ただし、住宅ローンの残債が多い場合は、担保余力が不足していると判断され、融資が難しくなるケースもあります。 関連記事はこちら住宅ローン返済中でも不動産担保ローンは使える?借り入れ可能な人の条件 本人以外の不動産を担保にできる?家族名義や法人名義のケース 親族や法人名義の不動産でも、一定の条件を満たせば担保として利用できる場合があります。その際、不動産の所有者が物上保証人や連帯保証人になることが求められるのが一般的です。 共有名義の不動産でも融資可能?必要な同意と保証人 共有名義の不動産を担保にする場合は、所有者全員の同意が必要です。また、共有者全員が連帯保証人となることが求められるケースが多いため、事前に関係者との調整が重要です。 信用情報に不安があっても融資可能?審査のポイント 信用情報に不安がある場合でも、融資を受けられる可能性はゼロではありません。金融機関によって審査基準が異なるため、ある機関で断られても、別の機関では融資が可能と判断されることもあります。 融資限度額はどれくらい?評価額と信用力で決まる 融資限度額は金融機関によって異なりますが、1億円以上の融資が可能なケースもあります。限度額は、申込者の信用力と担保不動産の評価額によって決定されるため、正確な金額を知るには金融機関への相談が必要です。 関連記事はこちら不動産担保ローンの相談でよくある悩みと解決策|第二抵当や信用情報に不安がある場合は? まとめ|不動産担保ローンのメリット・デメリットを理解して賢く活用 不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保にすることで、無担保ローンよりも低金利かつ高額な資金を長期間にわたって借りられるローン商品です。資金繰りの改善や事業資金の確保、相続税対策など、さまざまな目的で活用されています。 一方で、融資までに時間がかかることや、登記費用・手数料などの初期費用、返済不能時の競売リスクといった注意点も存在します。審査では、申込者の信用力と担保不動産の評価が重視され、金融機関によって基準が異なるため、複数の選択肢を比較することが重要です。 不動産担保ローンのメリット・デメリットを正しく理解し、自分の目的や状況に合った形で賢く活用しましょう。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる...