不動産担保ローンへの借り換えを分かりやすく解説

更新日: / 公開日:2020.02.10

現在、銀行などの金融機関から借りているローンについて、「毎月の返済額を減らしたい」「資金繰りが厳しい」といった悩みをかかえていないでしょうか。このような悩みがある場合、不動産担保ローンへの借り換えを検討するのがおすすめです。

この記事では、不動産担保ローンへの借り換えのメリットとデメリット、借り換えを考える場面について解説します。

不動産担保ローンへの借り換えのメリット

不動産担保ローンへの借り換えのメリットは、以下の2点です。

総返済額を減らせる

新たな不動産担保ローンへの借り換えは、ローンの総返済額を減らせるのがメリットです。借り換えによって金利が下がれば、ローン残高は変わらなくても総返済額を減らすことが可能です。借り換える際の諸費用を考慮しても、金利や返済期間などの条件によっては総返済額を減らせます。担保とする不動産や債務者の属性に対する評価は金融機関によって異なるので、ローンを借り換えることで融資条件の改善が期待できます。

毎月の返済額を減らせる(資金繰りが楽になる)

不動産担保ローンの借り換えは、毎月の返済額を減らせるのもメリットのひとつです。借り換えによって融資条件が改善されれば、毎月の返済額と総返済額の両方を減らせます。また、総返済額はそれほど変わらなくても返済期間が長くなれば、毎月の返済額が減ってキャッシュフローが改善し、資金繰りが楽になります。

不動産担保ローンへの借り換えのデメリット

不動産担保ローンへの借り換えのデメリットは、借り換え時に余分な諸費用がかかることです。具体的には、現在のローンの繰上げ返済手数料と、新たに加入する不動産担保ローンの事務手数料です。不動産担保ローンへの借り換えを検討する際には、これらの諸費用を考慮しても返済負担を軽減できるのかを確認しておきましょう。

なお、繰上げ返済手数料は新しい不動産担保ローンで準備でき、事務手数料も融資金額から差し引かれるので、諸費用を別途用意する必要はありません。

不動産担保ローンへの借り換え手続きの流れ

不動産担保ローンの借り換えの手続きの流れは以下のとおりです。

借換元・借換先との相談と日程調整

1.金融機関にローン借り換えの相談をする(仮審査)

2.本申し込みを行い、審査結果を待つ

3.審査通過後、借換元の金融機関に連絡して、返済可能日と返済総額を確認する

4.借換先と契約日を調整する

まずは金融機関に不動産担保ローンの借り換えについて相談し、仮審査に申し込みましょう。仮審査の回答が出たら本申し込みを行い、審査通過後に借換元の金融機関に連絡して返済可能日と返済総額を確認します。借換先の融資金額や金利、手数料、返済総額などの条件が決定したら、現在の契約内容と比較し、確認したうえで借換先と契約手続きに進みましょう。

契約・借り換えの実行と実行後の手続き

5.借換先と契約手続きを行う

6.契約日当日に借換先から借換元に返済総額が振り込まれる

7.借換元から抵当権抹消に必要な書類を受領する

8.借換元の抵当権を抹消する

9.借換先の抵当権を設定する

10.新しい不動産担保ローンの返済が開始される

上記5~9は同日中に行われ、7~9は通常、借換先から紹介された司法書士に委託して手続きを進めます。一連の手続きが終了したら、新たな不動産担保ローンの返済が開始されます。

不動産担保ローンの借り換えイメージを紹介

ここでは、不動産担保ローンの借り換えを行い、総返済額と毎月の返済額が減った場合のイメージをひとつ紹介します。

A法人(仕入れ販売業)は、資金繰りに行き詰まった際に銀行から不動産担保ローンを借りましたが、金利が高かったため、キャッシュフローの改善を目的に不動産担保ローンの借り換えを行いました。担保とする不動産は、法人代表者所有の自宅(区分マンション)です。不動産担保ローンの借り換え前と借り換え後の状況は以下のとおりです。

〇不動産担保ローンの借り換え前と借り換え後の状況

借り換え前借り換え後
ローン残高2,230万円2,300万円
(手数料等含む)
返済期間20年20年
金利8.00%6.00%
月々の返済額18.6万円16.4万円
総返済額4,476万円3,954万円

ローン残高は2,230万円から2,300万円に増えていますが、金利が8.00%から6.00%に下がったことで、月々の返済額と総返済額の両方の引き下げに成功しました。このように、ローン残高は変わらなくても、ローンの借り換えによって金利などの融資条件が改善されれば、返済負担を軽減することができます。

不動産担保ローンによる借り換えを考える場面

不動産担保ローンによる借り換えは、以下のような場面で検討するといいでしょう。

毎月の返済が苦しいとき

毎月の返済が苦しいときは、ローンを借り換えることで毎月の返済額を減らすことができます。利用中のローンが不動産担保ローンであるときはもちろん、条件によっては無担保ローンや住宅ローンから不動産担保ローンへの借り換えであっても、返済負担の軽減が期待できます。

収入や売上が拡大し、返済能力が高まったとき

収入や売上が拡大して返済能力が高まったときは、金融機関からの評価も高くなります。不動産担保ローンによる借り換えを行うことで、好条件でまとまった資金を調達できる可能性があります。

返済中に金利以外の手数料を請求されたとき

現在のローンで繰上げ返済や条件変更などを行う場合、金融機関によっては金利以外に繰上げ返済手数料や条件変更手数料などを請求されます。このような場面では、不動産担保ローンによる借り換えを行うことで、今までより好条件で融資を受けられるかもしれません。

不動産を相続した、譲渡されたとき

相続や譲渡によって不動産を取得した場合、その不動産を担保に金融機関から不動産担保ローンを借りることができます。現在のローンを借り換えることで、毎月の返済額や総返済額の軽減が期待できます。

担保不動産の価格が上昇したとき

不動産価格が上昇すると担保不動産の価格も上昇し、不動産担保ローンで調達できる金額が増えます。金融機関によって担保評価額は異なるため、不動産担保ローンを借り換えることで調達できる資金が増える可能性があります。

まとめ

不動産担保ローンの借り換えは、毎月の返済額や総返済額を減らせる可能性があります。また、不動産担保ローンからだけでなく、無担保ローンや住宅ローンからの借り換えであっても、返済負担の軽減や資金繰りの改善が期待出来る場合があります。毎月のローン返済や資金繰りで困っているなら、不動産担保ローンへの借り換えを検討してみましょう。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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