2023.07.26

マイホームの購入予算はどう決める?頭金や住宅ローンの考え方

公開日:2023.07.26

マイホームは高額の買い物であるため、あらかじめ予算を決めておく必要があります。資金計画を立てずに購入し、住宅ローンの返済が滞るようなことがあれば、最悪の場合はマイホームを手放すことになるかもしれません。安心して住み続けるためにも、購入予算の決め方について理解しておくことが大切です。

この記事では、マイホームの購入予算や住宅ローンの頭金、借入金額の決め方を紹介します。

マイホームの購入に必要なお金は?

マイホームの購入に必要なお金は、購入時にかかるお金と、購入後にかかるお金に分類できます。それぞれ詳しく見てみましょう。

マイホームの購入時にかかるお金

マイホームの購入時には、申し込みや契約時に支払う手付金や頭金と、住宅ローンの借入時に支払う諸費用が必要です。

手付金や頭金は、物件価格の10~20%が目安です。3,000万円の住宅を買うなら、頭金として300~600万円を用意します。ただし、不動産会社や物件によっては手付金が5%でもいい場合や、「100万円でも問題ない」という場合もあるので、自己資金を使いたくない場合には相談してみるといいでしょう。

一方、諸費用は物件価格の10%が目安です。具体的には、以下のような費用がかかります。

  • 登記費用(所有権、抵当権設定)
  • 司法書士報酬(登記を依頼)
  • 契約書に貼付する収入印紙(印紙税)
  • 住宅ローンの事務手数料・保証料
  • 火災保険料
  • 仲介手数料(中古物件の場合)

住宅ローンの借入時に諸費用を組み込める金融機関もあるため、自己資金を使いたくない場合には、仮審査の段階で問い合わせてみるといいかもしれません。

マイホームの購入後にかかるお金

マイホームの購入後にかかるお金は以下のとおりです。

  • 入居費用(引っ越し、家具・家電購入)
  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 住宅ローンの返済
  • 管理費・修繕積立金(マンションの場合)

引っ越しや家具・家電購入は個人差が大きい費用です。混雑するシーズンである3月に遠方の引っ越しをファミリーでする場合には、引っ越しだけで50万円程度かかる場合もあります。

不動産取得税は物件の取得に対して1度だけかかる税金です。都道府県からの納税通知書が届いた後に支払います。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者にかかる税金です。不動産会社などに確認して、税額の概算額を把握しておくことが大切です。

購入後は住宅ローンの返済も始まります。マンションを購入した場合は、毎月管理費と修繕積立金を支払わなくてはなりません。上記の他にも、不定期で発生する修繕費用、生活費3~6ヵ月分程度の予備費、将来のための貯蓄を確保しておくと安心です。

マイホームの購入予算は「頭金+住宅ローン」

マイホームの購入予算は、準備できる頭金の額と住宅ローンの借入金額で決まります。頭金の額を増やしすぎると、諸費用や購入後にかかるお金を含めた負担が大きくなります。頭金を払っても、ある程度の資金が残るようにしておくことが大切です。

住宅ローンの借入金額は、年収や家計の状況などによって判断する必要があります。概算値であればある程度試算することが可能です。

住宅ローンの借入可能額は年収でわかる

住宅ローンはいくらでも借り入れられるわけではありません。自身の借入可能額を把握し、その範囲内で借入金額を決める必要があります。そして、住宅ローンの借入可能額は、「年収倍率」「返済比率」の2つから試算できます。

年収倍率とは、年収に対する物件価格の割合です。購入者の年収が600万円、物件価格が3,000万円であれば、年収倍率は5倍(3,000万円÷600万円)となります。一般的に、借入可能額は年収倍率7倍が目安です。

住宅金融支援機構の「2021年度 フラット35利用者調査」によれば、年収倍率は5.7~7.5倍となっています。ただし、この調査はあくまでフラット35利用者だけの結果であり、銀行が扱う住宅ローンなどの利用者は調査対象に含まれていません。

次に、返済比率とは年収に対するすべての借り入れの年間返済額の割合です。購入者の年収が600万円、毎月のローン返済額が15万円(年間180万円)の場合、返済比率は30%(180万円÷600万円)となります。金融機関によって異なりますが、住宅ローンの返済比率は30~35%が目安です。

出典)住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」

住宅ローンの借入金額は無理なく返せる金額にする

住宅ローンの借入可能額は、あくまでも借り入れられる金額です。借入可能額いっぱいまで借りてしまうと、毎月の家計を圧迫し、返せなくなってしまう恐れがあります。住宅ローンの借入金額は、借入可能額の範囲内で無理なく返せる金額にすることが大切です。

また、借入時の年収が今後も続くとは限りません。収入減少の可能性も考慮し、実際に毎月払える金額を調べて借入金額を決めましょう。

ローンシミュレーションで返済額を調べよう

住宅ローンの返済額を調べる場合は、ローンシミュレーションが便利です。借入希望額や金利、返済期間などを入力するだけで、月々の返済額を簡単に試算できます。


ローンシミュレーション

※SBIエステートファイナンスのサイトへ遷移します。

借入金額や金利などを自由に設定して、返済額がどのように変わるかを試算してみましょう。

購入予算が足りないときは?

「購入したい物件が見つかったが、予算が足りない」というケースもあるでしょう。その場合は、一旦購入したい物件を諦めて、以下2つの方法を検討することをおすすめします。この2つの方法は時間がかかる方法ですが、確実に購入予算を増やすことができます。

頭金が貯まるまで待つ

1つ目は、住宅ローンの頭金が貯まるまで待つことです。計画的に貯蓄して頭金を増やすと、住宅ローンの借入金額が減ります。毎月の返済額を抑えられるため、結果として購入予算を増やすことが可能です。ただし、より多くの頭金を貯めるには時間がかかります。

貯金や金融資産を切り崩して頭金を増やす方法も考えられますが、無理に頭金を用意した結果、生活が困窮してしまう恐れもあります。基本的には時間をかけて頭金を貯める方法が安心といえるでしょう。

年収が上がるまで待つ

もう1つは、年収が上がるまで待つことです。年収が上がってから改めて審査を受けることで、住宅ローンの借入可能額が上がる可能性があります。ただし、年収が上がるまで待つのは頭金を貯める以上に時間がかかる恐れがあります。

なお、配偶者と収入合算する方法もあります。配偶者と合算した収入で審査を受けられるため、この方法でも借入可能額が上がる可能性があります。ただし、配偶者は連帯保証人になる必要があることに注意しましょう。

まとめ

マイホームの購入では、「住宅ローンの頭金」「諸費用」「購入後にかかるお金」の3つを考慮して予算を考える必要があります。また、住宅ローンは借入可能額ではなく、無理なく返済できる金額を調べて借入金額を決めることが大切です。

しっかりと資金計画を立てた上で、理想のマイホームを探しましょう。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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