外構工事費用は住宅ローンに組み込める?仕組みと注意点を解説

公開日:2025.11.05

新築住宅の購入にあわせて、門扉や塀、駐車場などの外構工事を検討する方は少なくありません。ところが、外構工事費用は数十万円〜数百万円と高額になることもあり、「住宅ローンに組み込めるのか?」と悩む人も多いのではないでしょうか。

この記事では、外構工事費用を住宅ローンに含めるための条件や注意点、リフォームローンとの違いまでわかりやすく解説します。

外構工事とは

外構工事費用は住宅ローンに組み込める?仕組みと注意点を解説

外構工事とは、住宅の建物本体以外に施す工事のことで、一般的には「エクステリア工事」とも呼ばれます。門扉や塀、駐車場、玄関アプローチなど、住まいの外回りを整える工事が対象となり、住宅の機能性・安全性・美観を高める重要な役割を担います。

代表的な外構工事には、以下のようなものがあります。

  • 駐車場の舗装やカーポートの設置
  • 門扉・塀・フェンスの設置
  • 玄関アプローチの整備
  • ウッドデッキや庭の造園

外構工事費用は、工事の内容や範囲、デザイン、使用する素材などに応じて変動します。費用を正確に把握するには、複数の業者から見積もりをとることが重要です。

特に新築住宅の場合、外構工事の検討タイミングによって予算や工事がスムーズに進むかが左右されます。物件の引き渡し直前では打ち合わせの時間が限られるため、建物工事の着工前後に外構も含めて早めに相談することが理想的です。これにより、予算の確保や工事スケジュールの調整がしやすくなり、後々のトラブルも防ぎやすくなります。

外構工事費用は住宅ローンに組み込める?

外構工事費用を住宅ローンに組み込めるかどうかは、依頼方法と金融機関の取り扱い方針によって異なります。以下の2つの観点から確認しておきましょう。

依頼先による違い

外構工事の依頼方法には、主に以下の2つがあります。

  • 住宅建築と外構工事を工務店やハウスメーカーに一括して依頼する方法
  • 外構工事のみを別の専門業者に依頼する方法

一括依頼の場合は、外構工事費用も住宅ローンに含めることが可能なケースが多く、外構工事にかかる具体的な内容や費用が契約書等に明記されていれば金融機関も対応しやすくなります。

一方、外構工事を別の専門業者に依頼する場合は、住宅ローンに組み込めないことが一般的です。その場合は、リフォームローンやフリーローンなど、別の資金調達手段を検討する必要があります。

金融機関による取り扱いの違い

外構工事費用を住宅ローンに組み込めるかどうかは、金融機関の審査基準や契約書類等の内容によって異なります。

例えば、以下のような条件を満たすと、住宅ローンに外構工事費用を組み込める可能性があります。

  • 請負契約書・売買契約書・注文書などに外構工事費用が明記されていること
  • 物件の引き渡しまでに外構工事が完了していること
  • 住宅購入資金と同時に外構工事費用を支払うこと

これらの条件を満たす場合、金融機関に契約書類の原本を提示し、写しを提出することで、外構工事費用も住宅ローンの対象として認められることがあります。

出典)フラット35「対象となる住宅の建設費・購入価額とはどのようなものですか?

外構工事費用を住宅ローンに組み込む際の注意点

外構工事費用を住宅ローンに組み込むことを検討する際は、返済負担、税制優遇、業者選定の自由度など、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。

返済負担に問題がないか

外構工事費用を住宅ローンに含めると、当然ながら借入総額が増加します。これにより、月々の返済額や総返済額がどれくらい増えるのかを事前に試算し、家計への影響を確認しておくことが重要です。
目安として、住宅ローンの返済比率(年収に対する年間返済額の割合)は20%以内に抑えられているか確認しましょう。国土交通省の調査によると、注文住宅の平均返済比率は18.4%です。

将来的な教育費や老後資金などの支出も踏まえ、無理のない返済計画を立てましょう。

出典)国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査p.53

住宅ローン控除の対象になるか

原則として、外構工事は住宅の取得費用には含まれないため、住宅ローン控除の対象外です。ただし、以下の条件を満たす場合は控除対象となる可能性があります。

  • 外構工事費用が建物の建築費用の10%未満であること
  • 住宅本体と外構工事を同一の事業者に一括して依頼していること(外構工事費用を住宅ローンに組み込んでいること)

なお、リフォームローンで外構工事費用を支払った場合は、控除の対象にはなりません。控除の有無によって税負担が大きく変わる可能性があるため、事前に確認しておくことが大切です。

出典)国税庁「門や塀等の取得対価の額

施工のこだわりが満たされるか

住宅ローンに外構工事費用を組み込むには、基本的に住宅建築工事と外構工事を一括で依頼する必要があります。そのため、外構工事を自分で選んだ専門業者に依頼したい場合は、住宅ローンに含めるのが難しくなることがあります。

一括依頼には、スケジュール調整がしやすく、工事がスムーズに進むというメリットもありますが、依頼先の選択肢が限られることで、価格や品質の比較がしづらくなるリスクもあります。

自分にとって最適な方法を選ぶためには、外構工事の自由度と利便性のバランスをよく検討することが重要です。

外構工事における住宅ローンとリフォームローンの比較

外構工事費用の資金調達方法としては、住宅ローンに組み込む方法のほか、住宅ローンとは別にリフォームローンを利用する方法があります。どちらを選ぶかは、依頼先の専門業者の種類や金融機関の取扱方針、工事のタイミングなどによって異なります。

前述のとおり、住宅ローンは、建物の建築費用とあわせて外構工事費用を一括で借り入れる際に利用されるもので、一定の条件を満たせば外構工事費用も組み込むことが可能です。一方、住宅ローンに外構工事費用を組み込めない場合は、リフォームローンを別途利用することで資金を確保することができます。

以下の表で、住宅ローンとリフォームローンの主な違いを比較してみましょう。

住宅ローンリフォームローン
金利低め高め
住宅ローン控除原則対象外(例外あり)対象外
業者の自由度低い高い

※筆者作成

なお、住宅取得に関連するローンとして「諸費用ローン」があります。これは、住宅ローンに組み込めない事務手数料や登記費用などの借り入れに利用されますが、外構工事費用は基本的に対象外です。

また、資金使途に制限のない「フリーローン」を利用する方法もあります。こちらは外構工事費用にも使えますが、住宅ローンやリフォームローンに比べて金利が高めに設定されているため、慎重な検討が必要です。

まとめ

外構工事費用は、住宅ローンに組み込めるケースと組み込めないケースがあります。建築工事と外構工事を一括で依頼し、契約書類等で金額が確認できる場合は、住宅ローンに含められる可能性があります。一方、別の専門業者に依頼する場合は、リフォームローンなどの利用が必要です。

それぞれのローンには、金利や控除の対象、業者選定の自由度などに違いがあるため、返済負担や将来の支出も含めて慎重に検討しましょう。外構工事の内容や費用は早めに計画し、資金調達方法を含めて、自分に合った選択をすることが大切です。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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