不動産担保ローンを借りるときは、土地や建物、マンションといった不動産を担保にする必要があります。そして、融資可能額は、担保不動産の評価(担保評価額)によって変わります。
それでは、不動産の担保評価額はどのように算出され、融資可能額は何を目安に判断すればよいのでしょうか。まとまったお金が必要で不動産担保ローンを検討しているなら、担保評価額について理解しておくことが大切です。今回は、不動産担保ローンの担保評価額の算出方法や融資可能額の目安について解説します。
担保評価額とは、金融機関で融資を受ける際に担保設定する不動産の評価額のことです。金融機関は、不動産の担保評価額に基づいて融資の可否や融資可能額を決定します。担保評価額を算出するための計算式は以下の通りです。
不動産評価額を算出する指標は、「時価(不動産業者による評価額)」「公示価格」「相続税路線価」などいくつかの種類があります。どの指標を採用するかは、金融機関によって違いがあります。
担保掛目も金融機関によって異なりますが、60~80%程度が一般的です。
不動産担保ローンは、不動産を担保にお金を借りることができるローン商品です。不動産を担保にするため、低金利でまとまった金額の融資を受けられます。一方で、返済不能になった場合は、担保不動産が売却されるなどのデメリットがあります。
不動産担保ローンにおいても、前述した算式を使って不動産の担保評価額を算出します。
つまり、不動産評価額と担保掛目がわかれば、担保評価額は概算で算出できます。ただし、担保掛目を開示している金融機関は多くありません。融資可能額を正確に知りたい場合は、取扱金融機関に審査を申し込む必要があります。
担保評価額の算出方法がイメージできるように、ここでは、不動産評価額が5,000万円の場合で考えてみます。
上記のように不動産評価額が同じでも、担保掛目が異なると担保評価額は変わってきます。担保掛目は金融機関ごとに異なるため、金融機関によって融資可能額に違いが生じます。
そのため、資産価値の高い不動産を担保にしても、金融機関の担保掛目が低いと借りられる金額は少なくなってしまいます。不動産担保ローンを借りる場合は複数の金融機関に相談し、融資可能額を比較することが大切です。
前述の通り、多くの金融機関で担保掛目は60~80%となっています。そのため、担保不動産の時価の60~80%が担保評価額であることが推察できます。
担保評価額の目安を知りたい場合は、まずは不動産会社に査定を依頼したり、公示価格や路線価などを調べたりして不動産の時価を確認するといいでしょう。
基本的には、不動産の担保評価額が融資可能額の上限となります。ただし、すでに不動産を担保にした借り入れ(住宅ローン残債など)がある場合は、担保評価額からローン残債を差し引いた残りが融資可能額となります。
以下の不動産を担保に住宅ローンを借りているとき(残債1,000万円)に、追加で不動産担保ローンを借りるケースについて確認しましょう。
この場合、担保評価額から住宅ローン残債を差し引いた金額3,000万円(4,000万円-1,000万円)が融資可能額の上限となります。不動産を担保に追加融資を受ける場合は、既存借入の残債を考慮して融資可能額を判断します。
ただし、融資は不動産の担保評価額だけで決まるわけではありません。金融機関は担保不動産だけでなく、年収や職業、勤続年数、延滞履歴の有無といった申込者の属性も考慮して融資判断を行います。
不動産の担保評価額が高くても、返済能力を超える金額を融資してもらうことはできません。また、過去に破産歴などがあって指定信用情報機関に登録されている場合は、融資を受けるのは難しいでしょう。
不動産担保ローンはカードローンのような無担保ローンに比べて金利が低く、まとまったお金を長期間借りられます。資金使途は原則自由なので、生活資金や教育資金、事業資金など幅広い資金ニーズに対応できるのも魅力です。
不動産担保ローンの融資可能額の上限は、担保評価額の60~80%が目安となります。融資可能額の目安を知りたい場合は、不動産会社に査定依頼をするなど担保不動産の時価を確認するといいでしょう。
急ぎで資金が必要な場合や融資可能額を正確に知りたい場合は、不動産担保ローンを扱う金融機関に相談しましょう。
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