2021.01.13

住宅ローンの返済が厳しくなった人はどうすればいい?FPが解説

住宅ローンの返済が厳しくなった人はどうすればいい?FPが解説

コロナ禍による収入減で、住宅ローンの返済に苦しむ人も増えているようです。住宅ローンの返済が厳しくなったときにできることは何があるでしょう? また、2020年12月から「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍で失業・収入減となり返済が困難になった人に適用される特則が加わったことによる変更点についても知っておきましょう。

苦しいときは延滞前に金融機関に相談を

コロナ禍の影響で、2020年冬のボーナスは減額や支給がない企業も増えました。特に、中小企業への影響は大きく、飲食・観光含むサービス業などではボーナスどころか、会社の存続すら危ぶまれるところもあるようです。

コロナ禍による収入減や、ボーナス減・不支給で、住宅ローンの返済に苦しむ人はどうしたらいいのでしょうか。選択できる方法を考えてみましょう。

まず、最初のステップで絶対にやってはいけないのは、住宅ローンの延滞です。家計が厳しい、住宅ローンの返済ができないという場合は、とにかく金融機関へ相談に行きましょう。この段階では他の方法はありません。

金融機関に相談して認められれば、返済期間を延ばしてもらう、しばらく利息だけの返済にしてもらうなどの方法が適用されます。ただし、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)などの状況によっては適用されない場合もあるので注意が必要です。

フラット35では次のような選択肢がありますが、適用を受けるには一定条件もあります。

<フラット35の返済方法の変更メニュー>

  • 返済期間の延長(最長15年、完済時の年齢上限80歳)
  • 最長3年間、元金の支払いを据置いて利息だけ支払う(返済期間は変わらず)
  • ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など)
  • 機構団信特約料が別払いならその支払いの猶予も可

※出典:住宅金融支援サイト

民間の住宅ローンについては、金融機関によって対応が異なりますが、選択できる方法としては、次のようなもの挙げられます。ただし、現在の家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもありますので、個別に相談をして確認しましょう。

<民間の返済方法の変更メニュー>

  • 返済期間の延長
  • 返済猶予(一定期間、利息だけの支払いとする)
  • ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など)
  • 金利タイプの変更(例:固定金利期間選択型→変動金利型)

※注・家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもある

例えば、残債2800万円の住宅ローン(詳細条件は下記の通り)で、条件変更や返済猶予が受けられた場合、どれくらい軽減されるかを試算したものです。

<現在のローン>

残債 2800万円
毎月返済額(ボーナス払い分) 82,782円(191,016円)
残返済期間 28年
全期間固定金利 1.4%

ボーナス払いなしに変更した場合

残債 2800万円
毎月返済額 100,780円
残返済期間 28年
全期間固定金利 1.4%

ボーナス払いなし&変動金利0.5%に変更した場合

残債 2800万円
毎月返済額 89,321円
残返済期間 28年
変動金利 0.5%

ボーナス払いなし&変動金利&返済期間を5年延長した場合

残債 2800万円
毎月返済額 76,716円
残返済期間 33年
変動金利 0.5%

参照:SBIエステートファイナンス 返済シミュレーション

住宅ローンの返済が苦しくなったときの最初の方法としては上記のようなものとなりますが、あくまでも一時しのぎにすぎません。これによって時間を稼いでいる間に、家計や収入の立て直しを図ることがマストです。それが難しい場合は、後述する売却などの手段を検討することになります。

住宅ローンを延滞し続けるとどうなる?

最初の段階で延滞してはいけないと前述しましたが、もしも延滞してしまったらどうなるのかについても知っておきましょう(金融機関によっても異なる場合があるので、実際には借りている金融機関で確認を)。

延滞1カ月

延滞をしてしまうと、返済する予定だった住宅ローンの元金部分に遅延損害金が発生します(遅延日数分)。さらに、金融機関によっては金利優遇が受けられなくなることもあり、店頭金利の適用となって返済額が大きく増加する場合もあります。

延滞2~3カ月

金融機関から催告書や督促状が届き、延滞損害金の請求もあります。

延滞4~6カ月

金融機関から、「期限の利益の喪失」に関する通知が届き、住宅ローン債務の一括返済を求められます。保証会社を利用している住宅ローンでは、保証会社が金融機関に対して「代位弁済」し、以降は保証会社から請求されます。
*延滞3カ月超は信用情報機関に載り、一定期間、借入れやクレジットカードの使用などが制限される可能性もあります。

延滞7~12カ月

・住んでいたマイホームは任意売却(残債がある状態で抵当権を解除しての売却)をしたり、競売にかけられたりします。

参照:関連コラム「競売とは」

競売や任意売却をしても住宅ローンが完済しきれずに残ってしまうと、その債務を返済しながらの生活になってしまいます(無担保ローンで高金利)。これを解消できるよう、後述する「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」がコロナ禍も対象とする特則もできました。

収入改善のめどがつかないときは売却も…

コロナ禍で住宅ローンの返済が困難な状態にあり、返済猶予などをしても収入回復のメドが立たないという場合もあるでしょう。その場合は、傷が深くなる前に、売却など別の方法を検討する必要があります。

最も避けなくてはいけないことが、一時しのぎで高金利のカードローンやキャッシングなどに手を出す行為です。

どうしても、今後3カ月から半年以内に家計や収入の立て直しが難しいときは、家計のダメージが広がらないうちに住宅を手放すことを考えましょう。自主的な売却の方が競売よりも高く売れる可能性が高いです。ただし、有利に売却しようと考えたら、時間がかかります。不動産業者の直接買い取りだと早めに売れますが、価格は2~3割程度安くなります。

なお、自宅を売却してもそのまま済み続けたい場合にはリースバックという選択肢もあります。

参照:「リースバックとは」

「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍が加わった

最後に1つ、重要な変更点を押さえておきましょう。
「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に、新型コロナウイルス感染症の影響で失業や収入減となり住宅ローンの返済が困難になった人に適用される特則ができ、2020年12月1日から適用となりました。

この特則は、住宅ローンを借りている人が、債務免除を受けて、生活再建を行うことを目的としています。自己破産等の法的倒産手続きではなく、特定調整手続きを活用した債務整理による債務免除を行うことで、信用情報に登録されることもありません。

対象となるのは、2020年2月1日以前からの債務(住宅ローンやその他のローンが幅広く含まれる)に加え、2020年10月30日までに新型コロナ対応のために負担した債務です。

特定調停手続で債務整理をした場合は、以下のようなメリットを受けながら、対象債務の減免が受けられます。
・特別定額給付金などの 差押禁止財産に加え、財産の 一部を手元に残せる
・信用情報登録機関に登録されないので、その後の借入の可能性を残せる
・弁護士、不動産鑑定士など専門家の支援が無償で受けられる

一定の財産を残しつつローンの減額や免除を受けることができ、住宅を手放さずに、住宅ローン以外のローンだけを減免する方法もあるようです。

簡易裁判所の特定調停手続を行う必要がありますが、弁護士などの登録支援専門家が必要な書類の作成や債権者との協議などの手続を無償で支援してくれます。利用するには、最も借入残高が多い債権者から、制度利用の同意を得た上で弁護士などに手続支援を依頼します。こうした制度も上手に活用しましょう。

(参考)
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインについて
日本弁護士連合会のチラシ

執筆者紹介

豊田 眞弓( Mayumi Toyoda )
マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。
個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。
<主な著書>
「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。
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