海外送金の必要書類と本人確認(KYC)|スムーズに手続きする方法

公開日:2026.03.13


近年では海外留学やECサイト運営などの増加により、法人だけでなく個人でも海外送金を利用する機会が多くなりました。しかし、海外送金は国内送金と比べて手続きや審査のハードルが高く、不慣れな方にとってはつまずきやすいでしょう。

書類の不備や手続きの漏れがあると、送金ができないだけでなく、手数料だけが発生して資金が返却されてしまうリスクもあります。トラブルを避けるためにも、事前に仕組みやポイントを把握しておくことが大切です。

この記事では、個人が海外送金を行う場合の「必要書類一覧」をはじめ、「本人確認(KYC)」の仕組みと、スムーズに手続きを行うための注意点を解説します。

【個人向け】海外送金で必要な書類一覧

海外送金の必要書類と本人確認(KYC)|スムーズに手続きする方法

海外送金の手続きでは、国内送金よりも多くの情報が求められます。漏れがないよう事前に準備しましょう。

まずは、手続きに必要な書類や情報の全体を把握しておきましょう。

【海外送金に必要な書類】

  • 本人確認書類(免許証、パスポートなど)
  • マイナンバーを確認できる書類
  • 取引内容を確認するための書類(請求書、契約書など)
  • 受取人・送金先銀行に関する情報
  • 特定の国や地域で必要となるコードの情報(SWIFT、IBANなど)
  • 海外送金依頼書(申込書)

以下でそれぞれ詳しく解説します。

本人確認書類

本人確認書類としては、利用する金融機関等の規定に応じて、以下のような書類が1点、もしくは2点必要となります。

  • 運転免許証(有効期限内のもの)
  • パスポート(有効期限内のもの、かつ住所の記載があるもの)
  • 個人番号カード(有効期限内のもの)
  • 資格確認書(有効期限内のもの)
  • 住民票の写し(発行日より6ヵ月以内のもの)
  • 在留カードまたは特別永住者証明書(外国籍の方)

※金融機関等によって認められる本人確認書類の種類や組み合わせのルールは異なるため、必ず事前にご利用先の公式サイトでご確認ください。

運転免許証やパスポートなどの「顔写真付き本人書類」を持っていない場合は、「資格確認書と住民票」のように書類が2点必要となるケースがあるので注意しましょう。

マイナンバーを確認できる書類

海外送金サービスを利用する際には、マイナンバーに関する取り決めが定められた「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)および「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」により、マイナンバーに関する書類の提出が必要となります。

また、「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」には不正な送金やテロなどを防ぐ目的があり、海外送金を取り扱う銀行などの金融機関や資金移動業者は、利用者のマイナンバーを付記した関連書類を作成し、税務署に提出しなければなりません。

そのため、本人確認の際には以下のようにマイナンバーカード、あるいはマイナンバーが分かる書類が必要です。

  • 通知カード
  • マイナンバーカード(有効期限内のもの)
  • マイナンバーが記載された住民票の写し(発行日より6ヵ月以内のもの)

出典)
・e-Gov法令検索「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
・e-Gov法令検索「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律

取引内容を確認するための書類

海外送金を行う際には、取引内容を確認するための書類の提出を求められる場合があります。利用する金融機関・資金移動業者や取引内容によって、求められる書類は異なりますが、以下のようなものが必要とされるケースが多いです。

  • 送金原資に関する書類:通帳、給与明細、契約書 等
  • 送金目的に関する書類:商業送り状(INVOICE)、請求書 等
  • 受取人との関係書類(ご親族の場合):戸籍謄本、婚姻証明書、出生証明書 等

送金原資に関する書類としては、例えば給与が原資となる場合には雇用契約書や給与明細、物品の売買代金が原資となる場合は契約書や取引に関する書類が必要です。また、相続なら相続関係書類、保険金なら保険会社の支払金に関する書類など、求められる種類が個別事情により変わるので、利用する金融機関・資金移動業者の案内に沿って準備しましょう。

送金目的に関する書類も、目的に応じて必要なものが異なります。医療費なら入院・治療内容が分かる書類、商品・サービスの対価なら売買契約書や納品書、教育資金なら教育機関からの請求書など、状況に応じた書類が必要です。

取引内容の確認も、基本的にはマネーロンダリングやテロ資金供与対策のために行われます。万が一、金融機関などで取り扱えないと判断されれば、海外送金そのものを断られることもあるので注意しましょう。

受取人・送金先銀行に関する情報

そのほかに、受取人や送金先銀行に関する情報も必要です。受取人情報としては、国名や住所、電話番号、受取人口座番号、口座名義などの情報が求められます。

また、送金先銀行については、銀行名、支店名、所在地(国名、都市名・州名)などが必要です。

特定の国や地域で必要となるコード

海外送金では、特定の国や地域との取引で必要となるコードの情報も必要となります。代表的なコードとして挙げられるのが、「SWIFTコード(BIC)」です。

SWIFTとは国際銀行間通信協会の略称であり、SWIFTコードは銀行間通信において銀行を特定するためのコードです。8桁または11桁のアルファベットと数字で構成されており、基本的には支店・部署を示すコードを除いた8桁を使用します。

また、海外送金では「IBAN(アイバン)」と呼ばれる銀行口座を特定するための番号も必要となる場合があります。IBANは最大34桁のアルファベットと数字で構成され、銀行口座の所在国や支店、口座番号を特定するための統一規格コードです。

IBANのみで取引に必要な情報のほとんどを特定できるため、IBANが採用されている国へ送金する場合は、原則としてこちらの提示も指定されます。正確なコードの指定が行われなければ、入金の遅延や資金返却につながることがあります。

海外送金依頼書(申込書)

実際に送金手続きを行う際には、金融機関や資金移動業者が用意する「海外送金依頼書(申込書)」への記入・入力が必要です。

海外送金では、不正な取引を防止するために依頼書上で「送金目的」の申告が厳格に求められます。その際、英語での記入が必要となる場合が多いので、あらかじめ代表的な送金目的の英語表記をおさえておきましょう。

代表的な送金目的の記入例

項目代表的なシーン英語記入例
生活費海外在住の家族への仕送り、子どもの留学先での生活費の仕送りLiving expenses
給料海外の従業員への給与支払いSalary
学費・教育費留学費用、現地での習い事の費用Tuition fee
医療費海外に住む家族の医療機関での受診Medical expenses
通訳・翻訳料海外在住者への通訳、翻訳業務依頼Translation fee
旅費海外渡航時の現地での費用Travel expenses
不動産購入費外国不動産の購入Real estate purchases
寄付外国への寄付Donations
自分名義口座への預け入れ外国口座(自分名義)への入金Deposit to own account
税金海外で発生した税金の支払いTax
保険料・保険金保険料・保険金の支払いInsurance
運賃貨物の運賃Freight
投資対外投資に関する支払いInvestment

※上記は一般的な記入例です。実際の手続きでは、金融機関・資金移動業者ごとに指定された選択肢(プルダウン等)や規定のフォーマットが用意されているケースも多いため、必ずご利用のサービスの案内に従って入力してください。

海外送金で本人確認(KYC)が必要な理由とは?


「KYC(Know Your Customer)」とは、銀行口座開設時などに行われる本人確認手続きのことです。海外送金においてKYCは、送金者や受取人の身元確認を行うための不可欠なコンプライアンス要件となっています。

これほど厳格な確認が求められる主な理由は、詐欺やマネー・ローンダリング(資金洗浄)などの金融犯罪を防ぐことにあります。特に近年は、金融犯罪のグローバル化やサイバー攻撃のリスク増大に伴い、テロ資金供与対策としてKYCの強化が金融機関や資金移動業者に強く求められています。

KYCの一般的な手続きの流れ

基本的なKYCの手続きは、以下のステップで進められます。

必要書類の提出運転免許証などの本人確認書類に加え、取引内容や送金先に関する書類を提出します。
情報確認(審査)金融機関が申込者の身元と取引の正当性を確認します。
送金実行問題がないと判断されて初めて送金処理が行われます。

なお、送金額や送金先によっては、追加の書類提出を求められる場合もあります。

eKYCを用いたオンライン本人確認とは

近年普及しているのが、オンライン上で本人確認が完結する「eKYC(Electronic Know Your Customer)」です。

以前は非対面取引であっても、書類のコピーを郵送したり、転送不要郵便を受け取ったりする必要がありました。しかし、2018年の犯罪収益移転防止法の改正により、スマホ等で「本人確認書類」と「容貌(顔写真)」を撮影して送信することで、郵送なしで即時に本人確認が完了する方法が認められました。これにより、現在ではよりスムーズかつ迅速な手続きが可能になっています。

※筆者作成

出典)金融庁「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令』の公表について

海外送金で必要書類を提出するときの注意点


これまで見てきたように、海外送金ではさまざまな書類が必要であり、不備があれば送金の遅れや取引の中止につながることもあります。ここでは、海外送金時に必要書類を提出するときの注意点を確認しましょう。

書類不備を防ぐチェックポイント

書類の不備を防ぐうえでは、必要書類そのものの漏れと、記載内容の不備の両方に注意することが大切です。手続きを進める際の主なチェックポイントは以下のとおりです。

確認項目チェック
提出書類の漏れはないか
本人確認書類の有効期限は切れていないか
顔写真なしで本人確認を行う場合は指定書類を用意できているか
印鑑は利用する金融機関等のものをそろえているか
英文(受取人住所や金融機関名など)の表記ミスがないか
送金目的の証明書類は用意できているか
受取人取引銀行や経由銀行のコードは確認できているか

そのほかに、金融機関ごとに異なる書類が求められることもあるため、公式サイトや案内ページの内容を細かく確認しておきましょう。

送金目的の申告と事前準備

前述のように、海外送金では犯罪や不正行為を防止する観点から、特に審査が厳しくなっています。送金目的をきちんと説明できなければ、不正があると見なされて手続きが認められないこともあるので注意しましょう。

送金目的については、金融機関や資金移動業者の求めに応じて必要書類を提出し、場合によっては該当項目を英語で記載する必要があります。医療費や教育資金などの送金では、受取人の協力も必要となるため、事前に連携を取り合っておきましょう。

まとめ


改めて海外送金で準備すべき必要書類を再掲します。

  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • マイナンバーを確認できる書類(マイナンバーカードなど)
  • 送金目的や取引内容を証明する書類(請求書や契約書など)
  • 送金先銀行の正確な情報(SWIFTコードやIBANなど)

近年ではeKYCの導入により、金融取引における本人確認の手続きがスムーズになりました。非対面であっても郵送などの手続きが不要となり、オンライン上で本人確認が行えるため、海外との取引もしやすくなっているといえるでしょう。

一方で、海外に送金する場合は、不正な資金の流出や金融犯罪を予防するため、一般的な国内送金よりも厳しい審査が行われます。特に送金目的については、正確かつ具体的に説明できるようにしておかなければなりません。

「書類準備や提出方法に不安がある」「できるだけ手続きがわかりやすいサービスを利用したい」という方は、アプリやウェブを用いた海外送金サービスの活用がおすすめです。画面の案内に沿ってスマートフォンで書類を撮影・送信するだけで本人確認(eKYC)が完結するため、わざわざコピーを取ったり郵送したりする手間が省けます。また、手続き中のサポート体制も充実しているサービスを選べば、初めての方でも迷わずスムーズに送金が可能です。

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※SBIレミットのWEBサイトに遷移します。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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