2023.02.01

不動産投資でかかる費用と税金の種類、注意点を解説

公開日:2023.02.01

不動産投資では、物件を売買するときや所有中にさまざまな費用や税金がかかります。長期にわたる安定収入を確保するには、物件取得前にどのような費用や税金がかかるかを把握し、シミュレーションをしたうえで、物件を選ぶことが大切です。

この記事では、不動産投資でかかる費用や税金の種類と注意点を解説します。

不動産投資でかかる費用の種類

まずは、不動産投資でかかる費用の種類を確認していきましょう。

購入時にかかる費用

不動産投資で物件を購入する際にかかる費用は以下のとおりです。

費用内容金額の目安
仲介手数料仲介業者に支払う手数料売買価格×3.0%+6万円+消費税
司法書士報酬司法書士に所有権移転登記や抵当権設定登記を依頼する場合に支払う費用10~20万円程度
融資手数料融資を利用する際に必要な事務手数料や保証料金融機関によって異なる。

仲介手数料は、不動産の売買価格によって変わります。仮に物件価格が3,000万円であれば、仲介手数料の金額は「96万円+消費税」となります。なお、仲介業者なしで不動産を購入する場合は不要です。

所有権移転登記や抵当権設定登記(融資を利用する場合に必要)を司法書士に依頼する場合、司法書士報酬が必要になります。10~20万円程度が目安ですが、実際にかかる費用は司法書士によって異なります。また、融資を利用して購入をする場合には、融資事務手数料が発生します。

所有中にかかる費用

不動産投資で物件の所有中にかかる費用は下記のとおりです 。

費用内容金額の目安
修繕費不定期で発生する修繕費、設備交換費用など物件種別や築年数、管理状況などに左右される
管理費・修繕積立金区分マンションの場合に毎月支払う費用管理費:月額220円/㎡程度
修繕積立金:月額180円/㎡程度
業務委託手数料賃貸管理及び収納代行を依頼する場合に管理会社に支払う費用家賃の5.0%程度
ローンの支払利息不動産投資ローンの支払利息借入残高の2.0~5.0%程度
火災保険料、地震保険料加入する火災保険・地震保険の保険料年数万円程度
税理士報酬税理士に確定申告を依頼する場合に支払う費用3万円程度(確定申告のみを依頼する場合)
その他費用不動産投資に必要な交通費、通信費、教材費、交際費など支出内容によって異なる

区分マンションに投資する場合は、管理費・修繕積立金の支払いが必要です。金額はあくまで目安であり、実際には物件種別や築年数、管理状況などに左右されます。

賃貸管理を依頼する際の業務委託手数料や不動産投資ローンの支払利息も、管理会社や金融機関によって異なるため、購入前に確認しておくことが大切です。税理士報酬は、顧問契約を締結する場合は月数万円程度の顧問料が発生し、決算時に追加費用がかかることもあります。

そのほか、会計上は減価償却費も費用として計上されます。実際に手元のお金を支払うものではありませんが、確定申告などでは知っておく必要があります。

売却時にかかる費用

不動産投資で物件を売却する場合は、以下の費用がかかります。

費用内容金額の目安
仲介手数料仲介業者に支払う手数料売買価格×3.0%+6万円+消費税
司法書士報酬司法書士に抵当権抹消登記を依頼する場合に支払う費用2万円程度
ローン返済手数料不動産投資ローンの残債を一括返済するための費用金融機関によって異なる

不動産投資では、基本的に物件売却時にも仲介手数料がかかります。ただし、仲介なしで不動産を売却する場合は不要です。

また、抵当権抹消登記(融資を利用していた場合に必要)を司法書士に依頼する場合、司法書士報酬も必要になります。加えて、ローンが残っている不動産を売却する場合は、ローン返済手数料も発生します。

不動産投資でかかる税金の種類

次に、不動産投資でかかる税金の種類を確認していきましょう。

購入時にかかる税金

物件購入時にかかる税金は下記のとおりです。

税金内容税額の目安
印紙税売買契約書に貼付する収入印紙契約金額による※1
登録免許税土地・建物の所有権移転登記、
抵当権設定登記にかかる税金※2
所有権移転登記:固定資産税評価額×2.0%
抵当権設定登記:借入金額×0.4%
不動産取得税不動産を取得した際にかかる税金固定資産税評価額×4.0%
固定資産税購入した年の残日数分の日割り計算分固定資産税額×購入した年の残日数/365日

※1 契約金額1,000万円超 5,000万円以下の場合は2万円
※2 融資を利用していた場合のみ必要

印紙税は売買契約時、登録免許税は司法書士報酬に含めて支払うのが一般的です。不動産取得税は、物件取得から半年~1年後に都道府県から納税通知書が届きます。また、固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課される税金であるため、購入した年の残日数分を購入時に支払う必要があります。

なお、上記の税額は本則税率の場合であり、軽減税率が適用される場合もあります。

所有中にかかる税金

物件を所有している間は以下の税金がかかります。

税金内容税額の目安
固定資産税・都市計画税毎年1月1日現在の土地・建物の所有者にかかる税金固定資産税:固定資産税評価額×1.4%
都市計画税:固定資産税評価額×0.3%
所得税・住民税1年間の不動産所得(不動産投資の利益)にかかる税金所得税:所得金額×5.0~45.0%
復興特別所得税:その年の基準所得税額×2.1%
住民税:所得金額×10.0%

物件を所有している間は、固定資産税・都市計画税を毎年支払います。 市区町村から納税通知書が届くため、自分で税額を計算する必要はありません。

不動産所得については、給与所得や事業所得などと合算して所得税額を計算し、確定申告をして税額を納めます。確定申告をすれば、住民税は市区町村から納税通知書が届きます。

売却時にかかる税金

不動産を売却する際は、以下の税金がかかります。

税金内容税額の目安
印紙税売買契約書に貼付する収入印紙契約金額による※1
登録免許税抵当権抹消登記にかかる税金※2不動産1個につき1,000円(土地と建物で合計2,000円)
譲渡所得税(所得税・住民税)不動産の譲渡所得(売却益)にかかる税金短期譲渡所得:譲渡所得×39.63%
長期譲渡所得:譲渡所得×20.315%

※1 契約金額1,000万円超 5,000万円以下の場合は2万円
※2 融資を利用していた場合のみ必要

印紙税は売買契約時、登録免許税は司法書士報酬に含めて支払うのが一般的です。

譲渡所得(売却益)が発生する場合は、確定申告をして譲渡所得税を納めなくてはなりません。譲渡した年の1月1日現在で、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」となります。

不動産投資の費用・税金に関する注意点

不動産投資の費用や税金に関する注意点は主に以下2つです。

必要経費になる支出とならない支出がある

不動産投資では、関連支出を経費に計上すると課税所得が減額され、所得税・住民税の負担軽減が期待できます。

ただし、必要経費になる支出とならない支出があります。たとえば、不動産所得にかかる所得税や住民税、不動産投資に直接関係ない支出は必要経費になりません。

必要経費になるか判断できない場合は、税務署や税理士に相談しましょう。

期限内に確定申告を行う

不動産所得や譲渡所得が生じた場合は、必ず期限内に確定申告を行いましょう。確定申告期間は毎年2月16日~3月15日です。期限内に申告を行わないと、延滞税などがかかる恐れがあります。

自分で確定申告をするのが難しい場合は、税理士に依頼することも可能です。

まとめ

不動産投資では、さまざまな費用や税金が発生します。物件を購入する場合は、これらの費用を踏まえた収支シミュレーションをした上で投資判断を行うことが大切です。不動産投資でかかる費用や税金を理解して、優良物件を探しましょう。

執筆者紹介

大西 勝士(Katsushi Onishi)
金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。
<運営ブログ>
https://www.katsushi-onishi.com/

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